JP5776367B2 - 船舶バラスト水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶のバラストタンクに積み込まれるバラスト水に含まれる細菌類およびプランクトンなどの微細水生生物の殺滅を行う船舶バラスト水の処理方法に関する。
一般に船舶、特に貨物船は、積載貨物などの重量を含めて設計されているため、空荷または積荷が少ない状態の船舶は、プロペラ没水深度の確保、空荷時における安全航行の確保等の必要性から、出港前に港において海水を取水して船舶のバランスを取るが、このバラストとして用いられる水のことをバラスト水とよぶ。このバラスト水は、無積載で出港するとき、その出港地で港の海水などをバラストタンクに積み込む一方、逆に港内で積荷をするときには、バラスト水の排水を行う。
ところで、環境の異なる荷積み港と荷下し港との間を往復する船舶によってバラスト水の注排水が行われると、荷積み港と荷下し港におけるバラスト水に含まれる微生物の差異により沿岸生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されている。そこで、船舶のバラスト水管理に関する国際会議において2004年2月に船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約が採択され、バラスト水の処理が義務付けられることとなった。
バラスト水の処理基準として国際海事機構(IMO)が定める基準は、船舶から排出されるバラスト水に含まれる50μm以上の生物(主に動物プランクトン)の数が1m中に10個未満、10μm以上50μm未満の生物(主に植物プランクトン)の数が1mL中に10個未満、コレラ菌の数が100mL中に1cfu未満、大腸菌の数が100mL中に250cfu未満、腸球菌の数が100mL中に100cfu未満となっている。
このようなバラスト水の処理基準を満たすために、バラストタンクへ注水する海水中の微生物等を殺菌する方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、原水をろ過した後、紫外線(UV)を照射することにより微生物等を殺菌する装置が開示されている。また、特許文献2には、電解装置により電解塩素を発生させて、微生物等を殺菌するバラスト水の処理方法が開示されている。特許文献3には、バラスト水中にオゾンを注入することにより微生物等を殺菌する装置が開示されている。特許文献4には、バラスト水に次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムなどの塩素系の殺菌剤を添加して、滞留時間を確保することにより微生物等を殺菌するバラスト水の処理方法が開示されている。さらに、塩素酸塩、過酸化水素及び硫酸から酸化物としての二酸化塩素を生成させて殺菌剤とする技術、過酸化水素と酢酸とから過酢酸を生成させ、余剰の過酸化水素と過酢酸とにより殺菌する技術が知られている。
特開2010−207796号公報 特表2010−536540号公報 特開2010−13098号公報 特開2009−297610号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたバラスト水処理装置では、紫外線を発生するための装置が必要であるばかりでなく、多量の電気が必要であり、発電機を設けなければならない場合が多い。さらに、UVランプの定期的な洗浄が必要で手間がかかり実用的でない、という問題点がある。
また、電解装置により電解塩素を発生させて、微生物等を殺菌するバラスト水の処理方法が特許文献2に開示されているが、電解装置は高価でその制御も煩雑であり、多量の電気が必要で発電機を設けなければならない場合が多いうえに、塩分濃度の低い水を被処理水(原水)とする際には、処理時の電圧が上昇し消費電力が増加してしまう、という問題がある。
そこで、特許文献3に記載されているようにオゾンガスのような酸化性ガスを殺菌剤として用いたり、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムなどの塩素系の殺菌剤を用いたり、プランクトンの殺滅効果が高い酸化物としての二酸化塩素や過酸化物としての過酸化水素などの活性物質を用いたりしてバラスト水を処理することが広く行われている。
しかしながら、これらの殺菌剤は酸化剤(酸化性)であるので、十分なプランクトンの殺滅効果を得られるだけの量を添加すると、バラスト水の配管やバラストタンクが腐食することがある。このような腐食の問題は、建造されて間もない船舶の場合には十分な塗装が施されているので問題とならないが、塗装から数年を経過したものでは、塗装の劣化や亀裂が生じ、極めて腐食しやすい状態となっている。このため、既存の船舶においては、これらの殺菌剤による腐食が大きな問題となっている。特にバラストタンクは船舶の外周側に設置されることが多いため、腐食が進むと浸水等の問題が生じかねないため、バラストタンクの腐食は船舶の寿命に大きく影響する。
本発明は、かかる課題を解決して、バラスト水の配管やバラストタンクの腐食を抑制したバラスト水に含まれる細菌類およびプランクトンなどの微細水生生物の殺滅を行う船舶バラスト水の処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、船舶のバラストタンクに注水する水に殺菌剤又は殺藻剤と防食剤とを併用添加することを特徴とするバラスト水の処理方法を提供する(発明1)。
かかる発明(発明1)によれば、殺菌剤又は殺藻剤により細菌類およびプランクトンなどの微細水生生物の殺滅を行う一方、防食剤によりバラスト水の配管やバラストタンクの腐食を抑制することができ、船舶の長寿命化を図ることができる。
上記発明(発明1)においては、前記殺菌剤又は殺藻剤が、酸化物又は過酸化物であるのが好ましい(発明2)。
かかる発明(発明2)によれば、効率的に細菌類およびプランクトンなどの微細水生生物の殺滅を行うことができる。
また、上記発明(発明1)においては、前記殺菌剤又は殺藻剤が、前記船舶において電解もしくは化学反応により生成される化学種を用いることができる(発明3)。
かかる発明(発明3)によれば、船舶において殺菌剤又は殺藻剤を生成することで、殺菌剤又は殺藻剤を積載することなく、バラスト水の処理を行うことができる。
上記発明(発明1〜3)においては、前記防食剤が、亜硝酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、及びカルボン酸系低分子量ポリマーから選ばれた1種又は2種以上であるのが好ましい(発明4)。
かかる発明(発明4)によれば、これらの防食剤は殺菌剤又は殺藻剤に対する耐性を有するので、効果的にバラスト水の配管やバラストタンクの腐食を抑制することができる。
本発明の船舶バラスト水の処理方法によれば、船舶のバラストタンクに注水する水に殺菌剤又は殺藻剤と防食剤とを併用添加することにより、バラスト水の配管やバラストタンクの腐食を抑制しながら、細菌類およびプランクトンなどの微細水生生物の殺滅を行うことができる。
本発明の一実施の形態に係る船舶バラスト水の処理方法を実施可能なシステムを示すフロー図である。
本実施形態のバラスト水の処理方法は、船舶のバラストタンクに注水する水に殺菌剤又は殺藻剤と防食剤とを併用添加する。
上記殺菌剤又は殺藻剤としては、オゾン、ハロゲン系酸化物などの酸化物(二酸化物を含む)、過酸化水素などの過酸化物及び過酢酸などを用いることができ、これらの中では、ハロゲン系酸化物が好ましい。ハロゲン系酸化物としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムなどの次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸などの塩素化イソシアヌル酸、二酸化塩素などを用いることができる。特に次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸及びトリクロロイソシアヌル酸が好ましい。
これらの殺菌剤又は殺藻剤は、単独でもしくは2種以上を用いることができ、それぞれ既存薬剤を用いても良いし、あるいは電解反応による塩素の生成、塩素酸塩と過酸化水素と硫酸からの二酸化塩素の生成、過酸化水素と酢酸とから過酢酸を生成させてこれを余剰の過酸化水素と併用する、など化学反応により生成される化学種を用いることで、薬剤自体を船舶に搭載せずに船舶にてオンサイトで生成してこれを用いることもできる。
上述したような殺菌剤又は殺藻剤の添加量は、使用する殺菌剤又は殺藻剤の能力に応じて適宜設定すればよい。例えば、次亜塩素酸塩を用いる場合には2〜50mg/L程度、過酸化水素を用いる場合には5〜500mg/L程度、二酸化塩素を用いる場合には2〜50mg/L程度、及びジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸を用いる場合には1〜100mg/L(塩素換算)程度をそれぞれバラスト水に対して添加すればよい。なお、殺菌剤又は殺藻剤の添加量は、バラスト水中の有機物(DOC、POCなど)の量やアンモニアの濃度によって適宜調整すればよい。
また、防食剤としては、上述した殺菌剤又は殺藻剤と反応しにくい物質が好ましく、正リン酸塩、重合リン酸塩(ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩など)等のリン酸塩、ホスホン酸塩、二価金属塩(亜鉛塩、ニッケル塩など)、カルボン酸系低分子量ポリマー(アクリル酸やマレイン酸系のカルボキシ基を有する水溶液の低分子量ポリマー)、亜硝酸塩、クロム酸塩、アミン、アゾール類などを用いることができる。これらの中では、安定でかつ低濃度で効果が高い点からリン酸塩及びホスホン酸塩が好ましい。また、外部環境へ放出した際の影響が少ない点からリン酸塩、ホスホン酸塩及び亜硝酸塩が好ましい。
これらの防食剤は、単独でもしくは2種以上を用いることができる。上述したような防食剤の添加量は、使用する防食剤の能力や海水、汽水、淡水などのバラスト水の水質に応じて適宜設定すればよく、塩類濃度が高いほど多く添加するのが好ましい。例えば、トリポリリン酸塩やヘキサメタリン酸塩を用いる場合には2〜30mg/L程度、ホスホン酸塩を用いる場合には1〜20mg/L程度をバラスト水に対して添加すればよい。また、これらの防食剤、特にリン酸塩及びホスホン酸塩は、殺菌剤又は殺藻剤と一剤化してもよい。
さらに、バラスト水は、バラスト終了後荷積み港で環境中に排出されるため、環境に悪影響を及ぼしてはならない。殺菌剤又は殺藻剤は、酸化剤として機能するものであるので、通常は還元剤で還元処理し、無害化した後放流する。上記還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム)、チオ硫酸ナトリウムなどを用いることができる。特にチオ硫酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
次に、上述したような殺菌剤又は殺藻剤、防食剤及び還元剤を用いた本実施形態の船舶バラスト水の処理方法の一例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る船舶バラスト水の処理方法を実施可能なシステムを示すフロー図である。
図1において、船舶バラスト水の処理システムは、バラスト水としての原水Wの取水部1と、この取水部1に接続した原水Wを送給するメインライン2と、このメインライン2の末端に設けられたバラストタンク3とを備え、メインライン2の途中には送水手段としての第1の送液ポンプ4が設けられている。そして、メインライン2の第1の送液ポンプ4より下流側にバイパスライン5が付設されている。このバイパスライン5の途中には、殺菌剤Sが充填された殺菌剤溶液供給装置6Aが設置されていて、この殺菌剤溶液供給装置6Aの下流側で、メインライン2に合流する供給ライン5Aと殺菌剤溶液供給装置6Aに戻る返送ライン5Bとに分岐していて、供給ライン5Aには防食剤が充填された防食剤供給装置6Bが設けられている。
そして、バイパスライン5の殺菌剤溶液供給装置6Aより上流側には、供給手段としての第2の送液ポンプ7と、濾過手段としてのオートストレーナ8とが設けられている。なお、本実施形態においては、殺菌剤溶液供給装置6Aは、給水部Aが最底部にあるとともに、排出部Bが該殺菌剤溶液供給装置6Aの所定の高さに設けられているので、原水Wが滞留する高さが規定されており、殺菌剤Sが必要以上に溶解することがないようになっている。
また、メインライン2に並行して排出ライン9A、9Bが設けられていて、これら排出ライン9A、9Bはメインライン2と一部を共通して連通しており、排出ライン9Bの末端は排水部10となっている。なお、11A、11Bは給水バルブであり、12A、12Bは排水バルブである。
さらに、メインライン2のバラストタンク3の直前と、バイパスライン5の殺菌剤溶液供給装置6Aの下流で供給ライン5Aと返送ライン5Bとの分岐する前には、薬液センサとしての第1の塩素濃度センサ13と第2の塩素濃度センサ14とがそれぞれ設けられているとともに、返送ライン5Bには、流量調整機構としての流量調整バルブ15と返送手段としての第3の送液ポンプ16とが設けられている。このメインライン2の流量は図示しない流量計により計測可能となっている。そして、第1の塩素濃度センサ13と第2の塩素濃度センサ14と第2の送液ポンプ7と流量調整バルブ15と流量計とは、図示しないコンピュータなどの制御装置に接続しており、これらの塩素濃度センサ13、14のデータと流量計のデータとに基づき、前記制御装置は第2の送液ポンプ7と流量調整バルブ15とを制御可能となっている。
一方、排出ライン9Aには、還元剤供給機構17に連通した還元剤供給管18が接続されているとともに、排出ライン9Bにも第3の塩素濃度センサ19が設けられている。そして、第3の塩素濃度センサ19と還元剤供給機構17とは、制御装置に接続しており、この第3の塩素濃度センサ19のデータに基づき、前記制御装置は還元剤供給機構17を制御可能となっている。
また、還元剤供給機構17は、塩素が残留する排バラスト水WBに還元剤を供給して残存する塩素を還元し、残留塩素濃度を目標残留塩素濃度にまで低減するものである。目標残留塩素濃度にまで低減した上で外部環境に排水する。
上述したような船舶バラスト水の処理システムを用いて、バラスト水の積込み時に細菌類やプランクトンの死滅処理を行う本実施形態のバラスト水の処理方法について以下説明する。
まず、原水(バラスト水)Wの積込み時には、給水バルブ11A、11Bを開成し、排水バルブ12A、12Bを閉鎖した状態で取水部1を開放すると、初期状態においては水面とバラストタンク3との水頭差により、第1の送液ポンプ4を駆動しないか、もしくは軽微な動力で駆動するだけで、原水Wが取水部1からメインライン2を通過してバラストタンク3に流入する。
このとき、第2の送液ポンプ7を駆動することで、メインライン2からバイパスライン5に原水Wを分岐して供給し、殺菌剤Sが充填された殺菌剤溶液供給装置6Aを通過させることで、殺菌剤Sが溶解した殺菌剤溶液W1を得ることができる。
一方、殺菌能を維持するためにバラストタンク3に流入する原水Wにおける殺菌剤Sの濃度は所定の範囲内(例えば、1〜100mg/L(塩素換算))にある必要がある。しかしながら、バラストタンク3に原水Wが満たされていくに伴い、水面との水頭差が縮小するので、第1の送液ポンプ4の駆動力を増大し、これに伴いメインライン2を通過する原水Wの流量が変動する。そこで、第2の送液ポンプ7による送水量も増大させる必要があるが、これにより殺菌剤溶液W1における殺菌剤Sの濃度も変動してしまう。そこで、第1の塩素濃度センサ13と第2の塩素濃度センサ14とメインライン2の流量計のデータとに基づき、制御装置(図示せず)により流量調整バルブ15の開度を制御することで、殺菌剤溶液W1の塩素濃度を調整する。
具体的には、第1の塩素濃度センサ13の出力が所定の値、例えば1mg/L(塩素換算)よりも小さい場合には、返送ライン5Bから殺菌剤溶液供給装置6Aへの返送量が増加するように流量調整バルブ15の開度を大きくするように制御する一方、第1の塩素濃度センサ13の出力が所定の値、例えば100mg/L(塩素換算)よりも大きい場合には、供給ライン5Aへの通水量が増大するように流量調整バルブ15の開度を小さくするか、もしくは閉鎖するように制御すればよい。
このようにして殺菌剤溶液W1における殺菌剤Sの濃度を所望の値としたら、供給ライン5Aにおいて防食剤供給装置6Bから防食剤を所定の濃度で添加し、メインライン2に合流させればよい。
このとき、第2の送液ポンプ7によるバイパスライン5への流量は、メインライン2の全流量の1/10〜1/10000、好ましくは1/10〜1/1000の水量の範囲となるのが好ましい。バイパスライン5への分岐流量がメインライン2の全流量の1/10より多いと、殺菌剤溶液W1の濃度の制御が困難となり、この結果、殺菌剤Sの溶解量が増大し、殺菌剤Sの積載量が多く必要となるばかりか、高い能力の第2の送液ポンプ7が必要となり経済的でない一方、バイパスライン5への分岐流量がメインライン2の全流量の1/10000より少なくても、殺菌剤溶液W1の濃度の制御が困難となり、バラストタンク3に供給する原水W中の殺菌剤Sの濃度が1mg/L未満となり、十分な殺菌効果が得られなくなるばかりか、殺菌剤溶液W1自体の濃度が高くなりすぎて、トリハロメタンが生成しやすくなるため好ましくない。
また、本実施形態においては、バイパスライン5の殺菌剤溶液供給装置6Aより上流側に濾過手段としてのオートストレーナ8が設けられているので、原水W中の濁質物や比較的大型の水中生物等の異物等の固形不純物をここで除去することができ、殺菌剤溶液供給装置6A内に固形不純物が混入し、堆積するのを防止することができるようになっている。なお、オートストレーナ8の排出水は排出路8Aを経由して排出される。
このようにしてバラストタンク3に供給する原水Wを所定の塩素剤Sの濃度とすることにより、殺菌剤Sから発生する有効塩素によりバラスト水としての原水W中のプランクトンや細菌類を死滅させることができる。特に、殺菌剤溶液供給装置6Aからの殺菌剤溶液の塩素濃度を、第1の塩素濃度センサ13及び/又は第2の塩素濃度センサ14の塩素濃度に基づき流量調整バルブ15を制御することで、原水Wがどのような水質であっても確実かつ安価にIMOが定めるバラスト水基準を満たすバラスト水の処理が実現できる。さらに、防食剤を併用添加しているので、バラストタンク3や各種ライン(配管)の腐食を抑制することも可能となっている。
次に、バラスト水の排出時について説明する。バラスト水をバラストタンク3から排出する際には、排水バルブ12A、12Bを開成し、給水バルブ11A、11Bを閉鎖した状態で排水部10を開放した状態で第1の送液ポンプ4を駆動する。これにより、バラストタンク3内の排バラスト水WBが排出ライン9Aからメインライン2の一部を経由して、排出ライン9Bを経て排水部10から排出される。
このとき、第3の塩素濃度センサ19により、排バラスト水WB中の残留塩素濃度をセンシングし、排バラスト水WB中の残留塩素濃度に応じて、制御機構により還元剤供給機構17から排出ライン9Aに供給する還元剤の量を調整することにより、残留塩素を還元して、トリハロメタンの生成を抑制することができる。
以上、本発明について添付図面を参照して説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば、殺菌剤としてオゾンを用いる場合には、オゾン発生装置を別途搭載するとともに、オゾン溶解槽を設けてオゾン溶解水を調整し、このオゾン溶解水を用いればよい。
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
〔実施例1〜3及び比較例1,2〕
塩類濃度4重量%の人工海水を原水とし、この原水に表1に示す濃度で、殺菌剤としての次亜塩素酸ナトリウムと、各種防食剤とを添加して模擬バラスト水を調製した。
日本海事協会規格KA鋼材(無塗装)を試験鋼材として、この試験鋼材それぞれ4枚を25℃の恒温室で密閉容器に入れ、模擬バラスト水に全水没させ、3ケ月後に腐食生成物を除去した後重量変化を測定した。この重量変化に基づき1年間の腐食速度を算出した結果を表1に示す。また、殺菌剤及び防食剤を添加せずに、人工海水のみに浸漬した場合についての重量変化を測定した場合について、参考例としてあわせて表1に示す。
なお、試験鋼材は70mm×150mm×5mmで下地処理はショットブラスト(Sa>2.5)であり、試験前の試験鋼板の重量は24枚で409.214g〜412.182gであった。
Figure 0005776367
表1から明らかなとおり、次亜塩素酸ナトリウムのみを添加した比較例1、2では、人工海水(原水)のみの参考例よりも鋼板の腐食が促進される一方、殺菌剤とともに防食剤を併用した実施例1〜3では、腐食速度が参考例とほぼ同程度にまで抑制できることがわかった。
〔実施例4〜6〕
塩類濃度4重量%の人工海水を原水とし、この模擬原水に表2に示す濃度で、殺菌剤としてのトリクロロイソシアヌル酸と、各種防食剤とを添加して模擬バラスト水を調製し、この模擬バラスト水を用いて、実施例1と同様にして腐食速度を算出した。結果を表2に示す。また、殺菌剤及び防食剤を添加せずに、人工海水のみに浸漬した場合についての重量変化を測定した場合について、参考例としてあわせて表2に示す。
Figure 0005776367
表2から明らかなとおり、トリクロロイソシアヌル酸と防食剤を併用した実施例4〜6では、腐食速度が参考例とほぼ同程度にまで抑制できることがわかった。
本発明の船舶のバラストの水処理方法は、各種船舶、特に大型の船舶のバラスト水の処理に好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 末端にバラストタンクを設けるメインラインと、該メインラインに付設された塩素系の殺菌剤又は殺藻剤の添加手段を有するバイパスラインとを備えるバラスト水処理システムにおけるバラスト水の処理方法であって、
    前記バラストタンクに注水する水に塩素系の殺菌剤又は殺藻剤と防食剤とを併用添加し、
    前記バラストタンクに流入する原水の塩素濃度を測定する第一の塩素濃度センサと、前記メインラインの流量を測定する流量計と、前記バイパスラインに設けられ、塩素系の殺菌剤又は殺藻剤を添加した後の殺菌剤溶液の塩素濃度を測定する第二の塩素濃度センサとのデータに基づき、前記殺菌剤溶液の塩素濃度を制御することを特徴とするバラスト水の処理方法。
  2. 前記バラスト水処理システムにおいて、前記バイパスラインは、前記殺菌剤又は殺藻剤添加手段の下流側で、前記メインラインに合流する供給ラインと前記殺菌剤又は殺藻剤添加手段に戻る返送ラインとに分岐していて、
    前記返送ラインには、流量調整機構が設けられており、
    前記第1の塩素濃度センサの出力が所定の値よりも小さい場合には、前記返送ラインから前記殺菌剤又は殺藻剤添加手段への返送量が増加するように前記流量調整機構を制御し、
    前記第1の塩素濃度センサの出力が所定の値よりも大きい場合には、前記供給ラインへの通水量が増加するように前記流量調整機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のバラスト水の処理方法
  3. 前記殺菌剤又は殺藻剤が、船舶において電解もしくは化学反応により生成される化学種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバラスト水の処理方法。
  4. 前記防食剤が、亜硝酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、及びカルボン酸系低分子量ポリマーから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の船舶バラスト水の処理方法
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