JP5775770B2 - 重合開始剤およびビニルモノマーの重合方法 - Google Patents
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ただし、これらの有機亜鉛錯体は、活性プロトンと容易に反応し失活するために、活性プロトンを有するモノマーの重合やプロトン性溶媒での重合は困難であったという課題があった。
また、これまで、アート錯体ではない有機亜鉛化合物が、活性プロトンを有するような水溶性のビニルモノマーの重合開始剤となること、あるいはプロトン性溶媒での重合開始剤となるということは知られていなかった。
即ち、いずれの先行技術もビニルモノマーの重合開始剤として、最適な物質を提供するものではない。
すなわち本発明は、下記一般式(1)
t−BunZnX(2−n)・(MYm)l (1)
(式(1)中、nは1〜2の実数であり、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、Mは周期表第1族および第2族から選ばれる金属を示し、Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、mは1〜2の整数を示し、lは0.1〜6の実数である。)で示される有機亜鉛化合物と金属塩との錯体からなる、重合開始剤である。
また本発明は、この重合開始剤を用いたビニルモノマーの重合方法である。
t−BunZnX(2−n)・(MYm)l (1)
ここで式(1)中、nは1〜2の実数であり、mは1〜2の整数を示し、lは0.1〜6の実数である。XとYはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、両者は同じであっても異なっていてもよい。Mは周期表第1族および第2族から選ばれる金属を示し、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが挙げられる。
特に、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、p−スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウムなど、通常の有機金属を用いた場合には失活するような、水溶性のビニルモノマーに対しても、本発明のt−ブチル基を含有する有機亜鉛化合物と金属塩との錯体からなる重合開始剤は、重合開始機能を損なうことなく、重合を進行させることができる。
[測定機器]
1H−NMR測定はVarian社製 Gemini−300を用いて行った。
数平均分子量及び重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて下記条件で測定を行った。
分離カラム:TSK gel α−6000 +α−3000
カラム温度:40℃
移動相:リン酸緩衝液(pH=7)/アセトニトリル=9/1
移動速度:0.6ml/分
検出器:UV検出器、230nm
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛6.7g(49mmol)、THF(テトラヒドロフラン)60mLを加え、−60℃にて、15.5wt%(重量%)のt−BuLiのペンタン溶液20.8g(50mol)を滴下した。滴化後、常温まで昇温し30分間熟成後、減圧濃縮しペンタンを除去した後、THFにて希釈し、t−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液を68.6g得た。
1H−NMR測定にて、0.9ppm付近のtBu基に由来するピークとTHFの積分値より、t−BuZnCl−LiCl錯体の濃度を13.0wt%と算出した。
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド5.0gの水溶液(50mL)に、合成例1にて調製した13.0wt%のt−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液0.2gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したところ、固体が析出。固体を濾取後、乾燥し4.9gのポリマーを回収した。
窒素雰囲気下、0℃にてp−スチレンスルホン酸ナトリウム水和物1.0gの水溶液(10mL)に、合成例1にて調製した13.0wt%のt−BuZn2 ・LiClのTHF溶液0.2gを加え、常温で1時間間攪拌した。
得られた水溶液の1H−NMR測定したところ、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)が73%の転化率で得られていることを確認した。
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛6.1g(44mmol)、THF60mLを加え、−60℃にて、15.5wt%のt−BuLiのペンタン溶液36.6g(88mol)を滴下した。室温にて1時間攪拌した後濾過し、ろ液を減圧濃縮することで、t−Bu2Zn−LiCl錯体のTHF溶液を48.8g得た。
1H−NMR測定にて、0.9ppm付近のt−Bu基に由来するピークとTHFの積分値より、t−Bu2Zn−LiCl錯体の濃度を20.0wt%と算出した。
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド1.0gの水溶液(10mL)に、合成例2にて調製した20.0wt%のt−BuZn2−LiCl錯体のTHF溶液0.2gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したところ、固体が析出。固体を濾取後、乾燥し1.0gのポリマーを回収した。
窒素雰囲気下、0℃にてp−スチレンスルホン酸ナトリウム水和物1.0gの水溶液(10mL)に、合成例2にて調製した20.0wt%のt−BuZn2−LiCl錯体のTHF溶液0.2gを加え、常温で1時間間攪拌した。
得られた水溶液の1H−NMR測定したところ、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)が80%の転化率で得られていることを確認した。
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛3.0g(22mmol)、THF25mLを加え、0℃にて、7.3wt%のt−BuMgClのTHF溶液35.8g(22mmol)を滴下した。滴化後、常温まで昇温し30分間熟成後濾過し、t−BuZnCl−MgCl2錯体のTHF溶液を得た。
1H−NMR測定にて、0.8ppm付近のtBu基に由来するピークとTHFの積分値より、t−BuZnCl−MgCl2錯体の濃度を3.0wt%と算出した。
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド5.0g(44.4ミリモル)の水溶液(50mL)に、合成例3にて調製した3.0wt%のt−BuZnCl−MgCl2錯体のTHF溶液0.5gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したところ、固体が析出。固体を濾取後、乾燥し4.8gのポリマーを回収した。
窒素雰囲気下、0℃にてp−スチレンスルホン酸ナトリウム水和物5.0gの水溶液(50mL)に、合成例3にて調製した3.0wt%のt−BuZnCl−MgCl2錯体のTHF溶液1.6gを加え、常温で1時間間攪拌した。
得られた水溶液の1H−NMR測定したところ、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)が64%の転化率で得られていることを確認した。
GPC測定にて、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)の数平均分子量は390,000、重量平均分子量は2,000,000であった。
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛2.3g(17mmol)、THF30mLを加え、0℃にて、7.1wt%のt−BuMgClのTHF溶液55.0g(33mol)を滴下した。滴化後、常温まで昇温し30分間熟成後、濾過し、t−Bu2Zn−MgCl2錯体のTHF溶液を得た。
1H−NMR測定にて、0.8ppm付近のtBu基に由来するピークとTHFの積分値より、t−Bu2Zn−MgCl2錯体の濃度を2.7wt%と算出した。
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド1.0gの水溶液(10mL)に、合成例4にて調製した3.0wt%のt−Bu2Zn−MgCl2錯体のTHF溶液0.5gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したところ、固体が析出。固体を濾取後、乾燥し0.9gのポリマーを回収した。
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド5.6g(44.4ミリモル)の水溶液に、15.5wt%のt−BuLiのペンタン溶液0.7gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したものの、固体は析出せず、ポリマーは回収できなかった。
窒素雰囲気下、20℃にてN−イソプロピルアクリルアミド5.6g(44.4ミリモル)の水溶液に、7.7wt%のt−BuMgClのTHF溶液1.7gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したものの、固体は析出せず、ポリマーは回収できなかった。
窒素雰囲気下、0℃にてp−スチレンスルホン酸ナトリウム水和物1.0gの水溶液(10mL)に、8.1wt%のt−BuMgClのTHF溶液を1.2g加え、常温で1時間間攪拌した。
得られた水溶液の1H−NMR測定したところ、p−スチレンスルホン酸ナトリウムのみのピークを示し、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)は得られていなかった。
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛1.0g(7.3mmol)、THF20mLを加え、−60℃にて、15.0wt%のn−BuLiのヘキサン溶液3.2g(7.4mol)を滴下した。室温にて1時間攪拌した後濾過し、ろ液を減圧濃縮後、THFに希釈し、1.9wt%のn−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液を得た。
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド1.0gの水溶液(10mL)に、1.9wt%のn−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液0.6gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したものの、固体は析出せず、ポリマーは回収できなかった。
Claims (5)
- 一般式(1)
t−BunZnX(2−n)・(MYm)l (1)
(式(1)中、nは1〜2の実数であり、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、Mは周期表第1族および第2族から選ばれる金属を示し、Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、mは1〜2の整数を示し、lは0.1〜6の実数である。)で示される有機亜鉛化合物と金属塩との錯体からなることを特徴とする重合開始剤。 - 請求項1に記載の一般式(1)で示される有機亜鉛化合物と金属塩との錯体を重合開始剤として用いることを特徴とするビニルモノマーの重合方法。
- 重合に用いられる溶媒がプロトン性溶媒であることを特徴とする請求項2に記載のビニルモノマーの重合方法。
- プロトン性溶媒が水であることを特徴とする請求項3に記載のビニルモノマーの重合方法。
- ビニルモノマーが、水溶性モノマーであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のビニルモノマーの重合方法。
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