JP5775770B2 - 重合開始剤およびビニルモノマーの重合方法 - Google Patents

重合開始剤およびビニルモノマーの重合方法 Download PDF

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本発明は特定の有機亜鉛化合物からなる重合開始剤および該有機亜鉛化合物を重合開始剤として用いるビニルモノマーの重合方法に関する。
有機亜鉛化合物は、他の有機金属化合物と同様、アニオン重合性モノマーの開始剤として用いることができる。例えば、古川らはテトラエチル亜鉛のアルキル土類金属塩が、メチルビニルケトンの重合に有用な触媒であることを提案しており(例えば特許文献1参照)、中塚らはジ−n−ブチルジエチル亜鉛のジリチウム塩がアクリロニトリル類の重合触媒として有用であることを提案している(例えば特許文献2参照)。また、案西らはテトラ−n−ブチル亜鉛のバリウム塩がブタジエン、イソプレン等の重合触媒として有用なことを提案している(例えば特許文献3参照)。
p−トリフルオロメチルスチレンの重合には、n−ブチルリチウムなどの他にn−ブチルジエチル亜鉛酸リチウムなどの有機亜鉛アート錯体も重合開始剤となることが知られている(例えば特許文献4参照)。
また、アクリロニトリルの立体規則性重合の開始剤として、通常の有機金属化合物同様、ジ−n−ブチルジエチル亜鉛酸ジリチウムなどのアート錯体を用いることが可能であることも示されている(例えば特許文献5参照)。
α−フルオロアクリル酸エステルの重合においては、n−ブチルリチウムでは重合開始剤として機能しないのに対して、有機亜鉛化合物や、有機アルミニウム化合物およびそれらのアート錯体が重合開始剤として優れており、n−ブチルジエチル亜鉛酸リチウムが好適な例として例示されている(例えば特許文献6参照)。
ただし、これらの有機亜鉛錯体は、活性プロトンと容易に反応し失活するために、活性プロトンを有するモノマーの重合やプロトン性溶媒での重合は困難であったという課題があった。
一方、テトラt−ブチル亜鉛酸ジリチウムがN−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル等の重合触媒として有用であり、さらにこの触媒は、含水THF(テトラヒドロフラン)等の水を含む溶液中でもリビング重合的アニオン重合を進行させることができる画期的な方法として提案されている(例えば特許文献7参照)。
またt−ブチル基を少なくとも1つ含有する亜鉛アート錯体でも、同様に水系での重合が進行することが報告されている(例えば特許文献8、9参照)。
有機金属を開始剤とした重合に際しては一般に有機溶剤が使用されるが、この場合、溶媒からポリマーを分離、回収する工程が必要となるだけでなく、有機溶媒廃液を生成することとなる。それに対して、水溶媒でも反応を行うことができれば、これらの問題を回避することができることから、そのような開始剤の開発が望まれていた。上記のt−ブチル基含有の亜鉛アート錯体は、その要求を満たすものであった。
しかしながら、亜鉛アート錯体の合成には自然発火性物質である有機金属化合物を多量使用する必要があり、安全性および経済性の観点からさらなる改良が望まれていた。
また、これまで、アート錯体ではない有機亜鉛化合物が、活性プロトンを有するような水溶性のビニルモノマーの重合開始剤となること、あるいはプロトン性溶媒での重合開始剤となるということは知られていなかった。
特公昭39−18944号公報 特公昭44−27741号公報 特公昭45−40303号公報 特公昭63−95203号公報 特公平7−103189号公報 特開平3−103409号公報 特許3849024号公報 特開2007−320938号公報 再表2007/142188号公報
本発明の目的は、上記問題点を解決するためになされたものであり、水溶性やイオン性のビニルモノマー、溶媒、あるいは両者を用いても、高収率で重合体を得ることができる重合開始剤を提供し、さらにこれを用いたビニルモノマーの重合方法を提供することにある。
即ち、いずれの先行技術もビニルモノマーの重合開始剤として、最適な物質を提供するものではない。
本発明者らは、本課題を解決するために鋭意検討した結果、t−ブチル基を少なくとも1つ有する有機亜鉛化合物と金属塩との錯体がビニルモノマーの重合開始剤として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)
t−BuZnX(2−n)・(MY (1)
(式(1)中、nは1〜2の実数であり、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、Mは周期表第1族および第2族から選ばれる金属を示し、Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、mは1〜2の整数を示し、lは0.1〜6の実数である。)で示される有機亜鉛化合物と金属塩との錯体からなる、重合開始剤である。
また本発明は、この重合開始剤を用いたビニルモノマーの重合方法である。
本発明の重合開始剤は、下記一般式(1)で示される少なくとも1つのt−ブチル基を有する有機亜鉛化合物と金属塩との錯体である。
t−BuZnX(2−n)・(MYm) (1)
ここで式(1)中、nは1〜2の実数であり、mは1〜2の整数を示し、lは0.1〜6の実数である。XとYはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、両者は同じであっても異なっていてもよい。Mは周期表第1族および第2族から選ばれる金属を示し、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが挙げられる。
本発明に用いられる一般式(1)中、t−BuZnX(2−n)で示される有機亜鉛化合物の具体的な例としては、ジt−ブチル亜鉛、t−ブチル亜鉛クロライド、t−ブチル亜鉛ブロマイド、t−ブチル亜鉛アイオダイド等の有機亜鉛化合物があげられる。
一般式(1)中、MYmで示される金属塩の具体的な例としては、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウムなどが例示される。
金属塩であるMYmと有機亜鉛化合物であるt−BuZnX(2−n)のモル比を示すlは0.1〜6の範囲であることが好ましい。モル比が0.1よりも小さい場合には、水溶性モノマーの存在下で重合性能を示さなかったり、活性プロトンを有する溶媒中での触媒能を充分示さなかったりする。モル比が6を越える場合には、重合開始剤を溶解する溶剤に溶け難くなったり、生成したポリマー中の触媒残渣が増えることとなり、好ましくない。lの範囲としてさらに好ましくは0.3〜3である。
本発明のt−ブチル基を有する有機亜鉛化合物−金属塩錯体は、t−ブチル基を有する有機金属化合物と、ハロゲン化亜鉛を反応させることにより調整することができる。例えば、塩化亜鉛に対して等量のt−ブチルリチウムを反応させることで、t−BuZnCl・LiClを得ることができる。また、Grignard試薬であるt−BuMgClと塩化亜鉛とを反応させることによりt−BuZnCl・MgCl2を調整することができる。
あるいは、t−ブチル基を有する有機亜鉛化合物を出発源とし、これに金属塩を反応させることでも調整することができる。例えば、t−ブチル亜鉛ブロマイドに等量の塩化リチウムを反応させることで、t−BuZnBr・LiClを調整することができる。
これらのt−ブチル基を有する有機亜鉛化合物−金属塩錯体の合成には、反応溶媒として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル系溶媒あるいはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、あるいはそれらの混合液を用いることができる。なかでも、反応時の温度の制御あるいは均一性の保持の観点から、エーテル系溶媒を用いるのが好ましい。
このt−ブチル基含有の有機亜鉛化合物−金属塩錯体は、単体としてあるいは溶媒に溶解した溶液、いずれの形態でも用いることができるが、安全性及び取り扱いの容易さから、溶媒に溶解した溶液として用いることが好ましい。
この有機亜鉛化合物−金属塩錯体の溶液に使用される溶媒としては、有機亜鉛化合物−金属塩錯体を溶解する溶媒であれば特に限定はされないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒や、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。
本発明の重合方法に用いられるモノマーとしては各種ビニルモノマーが挙げられる。具体的にはアクリル酸、メタクリル酸およびアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミドなどのアクリル系モノマーや、スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−(クロロメチル)スチレン、4−メトキシスチレン、4−アミノスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、4−ビニル安息香酸、ブタジエン、イソプレンなどの炭化水素系ビニルモノマーが例示できる。
これらは単独でも、2成分以上あるいは他のビニルモノマーと併用した共重合を行うことができる。
特に、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、p−スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウムなど、通常の有機金属を用いた場合には失活するような、水溶性のビニルモノマーに対しても、本発明のt−ブチル基を含有する有機亜鉛化合物と金属塩との錯体からなる重合開始剤は、重合開始機能を損なうことなく、重合を進行させることができる。
重合に用いられる溶媒としては、通常用いられる溶媒であればよく、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル溶媒系、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類および水等が挙げられる。一般に、水やアルコール類は、有機金属化合物と容易に反応を起こすため、それらを溶媒に用いた場合、有機金属化合物は重合開始機能を失うとされている。しかしながら、本発明の重合開始剤は、水やアルコール系溶媒といったプロトン性溶媒系を重合溶媒として使用しても、重合開始機能を失うことがなく、高収率で重合体を得ることが出来る。
本発明における、重合において使用される重合開始剤の量は特に制限はないが、モノマー100モルに対して0.0001〜10モルの範囲で用いることが好ましい。この範囲より少ない場合には十分な重合活性が出ないことがあり、この範囲を超えた場合には、得られたポリマー中に多量の金属残渣が含まれることがあり、それを除去する工程が必要となることがある。
本発明に記載の有機亜鉛化合物を重合開始剤として用いることで、水溶性やイオン性のビニルモノマーおよび/または溶媒を用いても、高収率で重合体を得ることができる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定機器]
H−NMR測定はVarian社製 Gemini−300を用いて行った。
数平均分子量及び重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて下記条件で測定を行った。
分離カラム:TSK gel α−6000 +α−3000
カラム温度:40℃
移動相:リン酸緩衝液(pH=7)/アセトニトリル=9/1
移動速度:0.6ml/分
検出器:UV検出器、230nm
(合成例1) t−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液の調整
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛6.7g(49mmol)、THF(テトラヒドロフラン)60mLを加え、−60℃にて、15.5wt%(重量%)のt−BuLiのペンタン溶液20.8g(50mol)を滴下した。滴化後、常温まで昇温し30分間熟成後、減圧濃縮しペンタンを除去した後、THFにて希釈し、t−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液を68.6g得た。
H−NMR測定にて、0.9ppm付近のtBu基に由来するピークとTHFの積分値より、t−BuZnCl−LiCl錯体の濃度を13.0wt%と算出した。
(実施例1) t−BuZnCl−LiCl錯体によるN−イソプロピルアクリルアミドの重合
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド5.0gの水溶液(50mL)に、合成例1にて調製した13.0wt%のt−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液0.2gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したところ、固体が析出。固体を濾取後、乾燥し4.9gのポリマーを回収した。
(実施例2) t−BuZnCl−LiCl錯体によるp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重合
窒素雰囲気下、0℃にてp−スチレンスルホン酸ナトリウム水和物1.0gの水溶液(10mL)に、合成例1にて調製した13.0wt%のt−BuZn・LiClのTHF溶液0.2gを加え、常温で1時間間攪拌した。
得られた水溶液のH−NMR測定したところ、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)が73%の転化率で得られていることを確認した。
(合成例2) t−BuZn−LiCl錯体のTHF溶液の調整
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛6.1g(44mmol)、THF60mLを加え、−60℃にて、15.5wt%のt−BuLiのペンタン溶液36.6g(88mol)を滴下した。室温にて1時間攪拌した後濾過し、ろ液を減圧濃縮することで、t−BuZn−LiCl錯体のTHF溶液を48.8g得た。
H−NMR測定にて、0.9ppm付近のt−Bu基に由来するピークとTHFの積分値より、t−BuZn−LiCl錯体の濃度を20.0wt%と算出した。
(実施例3) t−BuZn−LiCl錯体によるN−イソプロピルアクリルアミドの重合
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド1.0gの水溶液(10mL)に、合成例2にて調製した20.0wt%のt−BuZn−LiCl錯体のTHF溶液0.2gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したところ、固体が析出。固体を濾取後、乾燥し1.0gのポリマーを回収した。
(実施例4) t−BuZn−LiCl錯体によるp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重合
窒素雰囲気下、0℃にてp−スチレンスルホン酸ナトリウム水和物1.0gの水溶液(10mL)に、合成例2にて調製した20.0wt%のt−BuZn−LiCl錯体のTHF溶液0.2gを加え、常温で1時間間攪拌した。
得られた水溶液のH−NMR測定したところ、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)が80%の転化率で得られていることを確認した。
(合成例3) t−BuZnCl−MgCl錯体のTHF溶液の調整
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛3.0g(22mmol)、THF25mLを加え、0℃にて、7.3wt%のt−BuMgClのTHF溶液35.8g(22mmol)を滴下した。滴化後、常温まで昇温し30分間熟成後濾過し、t−BuZnCl−MgCl錯体のTHF溶液を得た。
H−NMR測定にて、0.8ppm付近のtBu基に由来するピークとTHFの積分値より、t−BuZnCl−MgCl錯体の濃度を3.0wt%と算出した。
(実施例5) t−BuZnCl−MgCl錯体によるN−イソプロピルアクリルアミドの重合
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド5.0g(44.4ミリモル)の水溶液(50mL)に、合成例3にて調製した3.0wt%のt−BuZnCl−MgCl錯体のTHF溶液0.5gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したところ、固体が析出。固体を濾取後、乾燥し4.8gのポリマーを回収した。
(実施例6) t−BuZnCl−MgCl錯体によるp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重合
窒素雰囲気下、0℃にてp−スチレンスルホン酸ナトリウム水和物5.0gの水溶液(50mL)に、合成例3にて調製した3.0wt%のt−BuZnCl−MgCl錯体のTHF溶液1.6gを加え、常温で1時間間攪拌した。
得られた水溶液のH−NMR測定したところ、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)が64%の転化率で得られていることを確認した。
GPC測定にて、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)の数平均分子量は390,000、重量平均分子量は2,000,000であった。
(合成例4) t−BuZn−MgCl錯体のTHF溶液の調整
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛2.3g(17mmol)、THF30mLを加え、0℃にて、7.1wt%のt−BuMgClのTHF溶液55.0g(33mol)を滴下した。滴化後、常温まで昇温し30分間熟成後、濾過し、t−BuZn−MgCl錯体のTHF溶液を得た。
1H−NMR測定にて、0.8ppm付近のtBu基に由来するピークとTHFの積分値より、t−BuZn−MgCl錯体の濃度を2.7wt%と算出した。
(実施例7) t−Bu2Zn−MgCl錯体によるN−イソプロピルアクリルアミドの重合
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド1.0gの水溶液(10mL)に、合成例4にて調製した3.0wt%のt−BuZn−MgCl錯体のTHF溶液0.5gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したところ、固体が析出。固体を濾取後、乾燥し0.9gのポリマーを回収した。
(比較例1) t−BuLiによるN−イソプロピルアクリルアミドの重合
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド5.6g(44.4ミリモル)の水溶液に、15.5wt%のt−BuLiのペンタン溶液0.7gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したものの、固体は析出せず、ポリマーは回収できなかった。
(比較例2) t−BuMgClによるN−イソプロピルアクリルアミドの重合
窒素雰囲気下、20℃にてN−イソプロピルアクリルアミド5.6g(44.4ミリモル)の水溶液に、7.7wt%のt−BuMgClのTHF溶液1.7gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したものの、固体は析出せず、ポリマーは回収できなかった。
(比較例3) t−BuMgClによるp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重合
窒素雰囲気下、0℃にてp−スチレンスルホン酸ナトリウム水和物1.0gの水溶液(10mL)に、8.1wt%のt−BuMgClのTHF溶液を1.2g加え、常温で1時間間攪拌した。
得られた水溶液のH−NMR測定したところ、p−スチレンスルホン酸ナトリウムのみのピークを示し、ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)は得られていなかった。
(合成例5) n−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液の調整
窒素雰囲気下、200mLフラスコに塩化亜鉛1.0g(7.3mmol)、THF20mLを加え、−60℃にて、15.0wt%のn−BuLiのヘキサン溶液3.2g(7.4mol)を滴下した。室温にて1時間攪拌した後濾過し、ろ液を減圧濃縮後、THFに希釈し、1.9wt%のn−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液を得た。
(比較例5) n−BuZnCl−LiCl錯体によるN−イソプロピルアクリルアミドの重合
窒素雰囲気下、0℃にてN−イソプロピルアクリルアミド1.0gの水溶液(10mL)に、1.9wt%のn−BuZnCl−LiCl錯体のTHF溶液0.6gを加え、常温で1時間間攪拌した。その後、50℃にて30分間攪拌したものの、固体は析出せず、ポリマーは回収できなかった。
比較例5の結果より、t−ブチル基を有さない亜鉛化合物では、水溶性モノマーの重合開始剤として機能しないことを確認した。
本発明に係る重合開始剤はビニルモノマーの重合開始に用いて有用である。

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    t−BuZnX(2−n)・(MY (1)
    (式(1)中、nは1〜2の実数であり、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、Mは周期表第1族および第2族から選ばれる金属を示し、Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、mは1〜2の整数を示し、lは0.1〜6の実数である。)で示される有機亜鉛化合物と金属塩との錯体からなることを特徴とする重合開始剤。
  2. 請求項1に記載の一般式(1)で示される有機亜鉛化合物と金属塩との錯体を重合開始剤として用いることを特徴とするビニルモノマーの重合方法。
  3. 重合に用いられる溶媒がプロトン性溶媒であることを特徴とする請求項2に記載のビニルモノマーの重合方法。
  4. プロトン性溶媒が水であることを特徴とする請求項3に記載のビニルモノマーの重合方法。
  5. ビニルモノマーが、水溶性モノマーであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のビニルモノマーの重合方法。
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