JP5775064B2 - プロテアソーム阻害剤による治療に対する末梢性ニューロパシー応答を評価するためのバイオマーカー - Google Patents

プロテアソーム阻害剤による治療に対する末梢性ニューロパシー応答を評価するためのバイオマーカー Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2009年3月24日出願の米国特許仮出願第61/162,848号の優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、概して薬理ゲノミクスの分野に関し、より具体的には、末梢性ニューロパシーの候補遺伝子の薬理ゲノミクス的解析に関する。
ボルテゾミブ等の制癌剤による治療は、末梢性ニューロパシー(PN)等の有害事象(AE)に関連している。ボルテゾミブによって誘導される末梢性ニューロパシーは、典型的には、ボルテゾミブによる治療の第1の過程中に生じ、一般的に、5サイクル目でプラトーに達する(Windebank & Grisold(2008)J.Peripher.Nerv.Syst.13:27〜46)。主に、細径線維性及び有痛性、軸索性、感覚性遠位性ニューロパシーが生じる。関連する疼痛は、7.8の平均評点を有する(評点0は、疼痛無しであり、評点10は、想像しうる最も最悪の疼痛である)(Cataら(2007)J.Pain 8:296〜306)。
ボルテゾミブによって誘導される疼痛は、感覚神経の3つの主な線維型(Aβ、Aδ、及びC内径(caliber)一次求心性線維)に関連している。電気生理学的神経伝導検査は、低振幅の感覚活動電位(遠位性、感覚性、軸索性ニューロパシー)を示している(Richardsonら(2006)J.Clin.Oncol 24:3113〜3120)。伝導検査は、一次ミエリン−シュワン細胞の損傷又は高速伝導線維の変性(尺骨神経において述べられた脱髄性ニューロパシー)のため、一次又は二次性脱髄プロセスと一致する(Badrosら(2007)Cancer 110:1042〜1049)。
他の要因に加えて、ミトコンドリア及び小胞体の損傷が、ボルテゾミブによって誘導されるヒトの末梢性ニューロパシーの発現において重要な役割を果たしている可能性がある。ボルテゾミブは、ミトコンドリアに基づくアポトーシス経路を活性化する(Peiら(2004)Clin.Cancer Res.10:3839〜3852)。また、ボルテゾミブは、ニューロン生存を媒介する神経成長因子(NGF)(NGFは、感覚神経細胞の分化及び生存を誘導する)の転写をブロックすることが示されているNF−kB活性化の阻害により証明されているように、ニューロトロフィンの脱制御において何らかの役割を果たしている可能性がある(Landowskiら(2005)Cancer Res.65:3828〜3836)。
ボルテゾミブによって誘導される末梢性ニューロパシーは、主に感覚性であることが観察されている。末梢性ニューロパシーの既存の徴候を有する患者は、治療中に末梢性ニューロパシーの悪化を経験する場合がある。用量を減少させると、第2相の多発性骨髄腫治験において等級>2のPNを有する患者の51%において末梢性ニューロパシーが改善又は分解する。投与を中止すると、第2相の多発性骨髄腫治験において、等級2の末梢性ニューロパシーのため中止している患者又は等級>3の末梢性ニューロパシーを有する患者の73%において末梢性ニューロパシーが改善又は分解する。
薬剤に対する有害な反応は、主な医学的問題を構成している。これら有害な事象の一部が、薬剤の作用に影響を及ぼす経路における患者間の遺伝的にコード化されている生化学的多様性に起因する限り、かかる影響を予測する変異の同定により、薬剤の使用がより効率的且つ安全になる。したがって、ボルテゾミブによって誘導されるニューロパシーのリスクが最も高い患者を同定するために有用なバイオマーカーが必要とされている。
本発明は、患者が、癌治療に応答して有害な神経学的事象を発現するリスクが増大しているかどうかを同定する方法であって、前記患者が前記リスク増大に関する1つ以上のバイオマーカーを有するかどうかを判定することを含み、前記バイオマーカーの存在が、前記有害な神経学的事象のリスク増大を示す方法を提供する。バイオマーカーの存在は、前記患者から生体サンプルを得、前記サンプルについて遺伝子型解析を実施することにより判定することができる。特定の実施形態では、有害な神経学的事象は、末梢性ニューロパシー、末梢性感覚性ニューロパシー、又は神経痛である。癌治療は、ボルテゾミブ等のプロテオソーム阻害剤の投与を含み得る。バイオマーカーは、rs4553808,rs1474642,rs12568757,rs11974610,又はrs126134のうちの1つ以上であり得る。
また、癌治療に応答して有害な神経学的事象を発現する可能性のある患者を同定する診断キット、及び癌を治療する方法、又は癌の治療レジメンを個別化する方法も提供する。
本発明は、制癌剤に対する有害な応答を予測するための有用な分子ツールとして機能する末梢性ニューロパシー候補遺伝子の同定について記載する。具体的には、本発明は、患者が、ボルテゾミブ等のプロテオソーム阻害剤による治療に応答して有害な神経学的事象を被るリスクが増大しているかどうかを同定する方法を目的とする。
本発明は、癌治療に応答する有害な神経学的事象のリスク増大と相関する、本明細書において「変異」、「マーカー」及び/又は「バイオマーカー」とも呼ばれる遺伝変異の同定を伴う。患者の薬物治療に対する応答とこれらのマーカーとの関連は、薬物開発の新しい機会をもたらすことを可能にしたり、その安全性及び/又は効果に対する信頼度がより高いため、他の治療選択肢の中で薬物の徴候を区別することを可能にしたりする。
癌治療は、単一の薬物の投与若しくは治療、又は1つ以上の薬物の投与若しくは治療を含み得る。特定の実施形態では、癌治療は、プロテオソーム阻害剤を患者に投与することを含む。プロテオソーム阻害剤としては、ボルテゾミブ及び/又はボルテゾミブと類似の構造を有する化合物が挙げられる。ボルテゾミブと類似の構造を有するプロテオソーム阻害剤としては、米国特許第7,119,080号、同第6,747,150号、同第6,617,317号、同第6,548,668号、同第6,465,433号、同第6,297,217号、同第6,083,903号、同第5,780,454号、同第7,422,830号、同第7,109,323号、同第6,958,319号、同第6,713,446号、及び同第6,699,835号に開示されている化合物が挙げられる。
有害な神経学的事象は、末梢性感覚性ニューロパシー、神経痛、末梢性ニューロパシー(NEC)であり得る。本発明の方法は、1つの神経学的事象のみのリスク増大、又は1つを超える神経学的事象のリスク増大を同定することができる。
リスク増大は、平均リスクに対する任意の増大であり得、任意の水準の治療に応答して有害な神経学的事象が発現するリスクの増大、治療の初期に有害な神経学的事象を発現するリスクの増大、又はより高用量の治療に応答して有害な事象を発現するリスクの増大を含む。リスク増大は、用量依存的であっても、用量非依存的であってもよい。
バイオマーカーの有無は、患者から生体サンプルを得、前記生体サンプルがバイオマーカーを含んでいるかどうかを判定することにより評価できる。本明細書で使用するとき、「生体サンプル」とは、被験体から単離された細胞又は生物学的流体等の、細胞又は組織物質を含有するか又はこれらからなるサンプルを指す。生体サンプルの例としては、例えば、痰、血液、血球(例えば、白血球)、羊水、血漿、血清、精液、唾液、骨髄、組織又は細針生検試料、尿、腹水、胸水及び細胞培養物(cell cultures)が挙げられる。生体サンプルはまた、組織学的目的のためにとられた凍結切片のような、組織の切片を含んでもよい。試験生体サンプルは、分析、モニタリング、又は観察の対象となっている生体試料である。対照生体サンプルは、試験生体サンプルに対するポジティブ又はネガティブコントロールのいずれかであることができる。対照生体サンプルは、試験生体サンプルと同種の関心組織、細胞及び/又は生物学的流体を含有することが多い。特定の実施形態では、生体サンプルは「臨床サンプル」であり、これはヒト患者由来のサンプルである。
本明細書で使用するとき、「含む」、「含有する」、「有する」及び「包含する」は、制限がなく非限定的な意味で用いられる。
「遺伝子型解析」とは、生物学的アッセイの使用により個体の遺伝子型を決定するプロセスを指す。これを行う現在の方法としては、PCR、DNAシークエンシング、アンチセンスオリゴヌクレオチドプローブ、及びDNAマイクロアレイ若しくはビーズへのハイブリダイゼーションが挙げられる。前記技術は、疾患に関連する遺伝子及び応答に関連する遺伝子を調べるための臨床研究で使用される。現在の技術的限界により、殆ど全ての遺伝子型解析は、不完全である。即ち、個体の遺伝子型のほんの一部しか決定されない。
「一塩基多型」(SNP、スニップと発音される)は、ゲノム(又は他の共有配列)における一塩基A、T、C、又はGが、ある種のメンバー間で(又は個体の染色体対間で)異なるときに生じるDNA配列変異である。例えば、異なる個体の2つの配列決定されたDNA断片であるAAGCCTAとAAGCTTAでは、一塩基が異なっている。この場合、2つの対立遺伝子C及びTが存在していると言われる。殆ど全ての一般的なSNPは、2つの対立遺伝子のみを有する。
個体群内では、SNPにはマイナー対立遺伝子頻度−特定の個体群においてみられる遺伝子座において最も低い対立遺伝子頻度が割り当てられる場合がある。これは、単に、一塩基多型について2つの対立遺伝子頻度の低い方である。ヒト個体群間で変異が存在するので、1つの地理的又は民族的群に共通するSNP対立遺伝子が、別の群よりも稀である場合がある。
有害な神経学的事象のリスク増大と相関する本発明に係るバイオマーカーとしては、rs4553808;rs1474642;rs12568757;rs11974610;及びrs126134が挙げられる。
この用途は、哺乳類の治療、及びヒト個体群のヒトゲノム内の遺伝子配列分散を含むホストの遺伝情報を利用する治療レジメンの選択の分野に関する。前記用途は更に、治療応答に影響を与える可能性のあるDNA配列の変異を同定する方法に関する。
本発明は、一般的に、哺乳類、特にヒトの遺伝子型に基づいて、疾患の適切な治療レジメンを同定する分野に関する。本発明は更に、薬物治療を含む治療に応答する患者間の変異の遺伝的基準に関する。具体的には、本発明は、薬物治療の効果及び安全性を最適化するための治療法の分野において有用な遺伝子配列分散の同定について記載する。これら分散は、ボルテゾミブ等の既に承認されている化合物の最適な使用の指導において有用であり得る。候補遺伝子(即ち、薬物の作用に妥当と思われる影響を及ぼし得る遺伝子)におけるDNA配列分散は、臨床試験において試験され、新規医薬製品の開発及び/又は既存の医薬製品のより有効な使用を改善するために有用な診断試験の確立を導く。遺伝分散の同定及び特定の患者に対する最適な治療法の選択における有用性の判定についても記載される。広くは、本発明は、治療効果、又は末梢性ニューロパシー等の副作用(即ち、安全性に関する問題を引き起こす総体的症状又はその他の望ましくない徴候若しくは症状)のいずれかで薬物治療に応答する患者集団のサブセットの同定に関する。
薬物の作用に関与している可能性のある遺伝子における遺伝子配列分散の同定は、遺伝分散が可変的薬物効果及び安全性の主な原因であるかどうかを判定するため、及び個々の患者において所与の薬物又は他の治療法が安全且つ有効であり得るかどうかを判定するために有用である。本発明では、治療に対する応答の差の予測に関連して有用であり得る遺伝子及び配列分散の同定が提供される。標的遺伝子及び分散は、例えば、特定の薬物の使用又は他の治療法を改良するための薬理ゲノミクス関連研究及び診断試験において有用である。
本発明の実施形態では、遺伝子の分散又は変異型は、薬物に対する特定の応答と関連している。遺伝子の特定の分散又は変異型の頻度は、薬物の投与に対する有効な応答の頻度に対応し得る。あるいは、遺伝子の特定の分散又は変異型の頻度は、薬物の投与から生じる有害な事象の頻度に対応し得る。あるいは、遺伝子の特定の分散又は変異型の頻度は、有益な又は有害な応答の頻度と密接に対応しない場合があるが、分散は、応答性又は毒性の高い患者のほんの一部のみを説明し得るので、応答性又は毒性の発生率の高い患者のサブセットを同定するために分散が有用である場合がある。このような場合、好ましい方針は、第1の分散によって有用に同定されない患者群を同定できる第2又は第3又は更なる分散を同定することである。
また、他の実施形態では、治療を選択する方法は、治療を除外する又は除くことを含み、この場合、少なくとも1つの分散の有無が、治療が無効又は禁忌であることの指標となる。他の好ましい実施形態では、特定の治療的処置により望ましくない副作用が生じる可能性がある場合、又は生じることが予測される場合、治療法の選択は、第1の治療及び第2の治療の両方を同定することを含んでもよく、ここで、第1の治療は、疾患又は状態を治療するのに有効であり、第2の治療は、第1の治療の有害な作用を低減する。
「治療を除く」又は「治療を除外する」という語句は、例えば、患者の細胞中の1つ以上の遺伝子における特定の分散の有無に基づいて特定の患者に用いるための可能な治療を対象から取り除く、又は治療の投与を中止することを指す。
通常、治療は、ある遺伝子型を有する患者において優先的に活性又は安全である化合物を投与することを伴い、ここで、この遺伝子は、本明細書において同定されるものである。投与は、化合物の組み合わせを含んでもよい。したがって、好ましい実施形態では、前記方法は、このような活性化合物又は化合物の組み合わせを同定することを伴い、ここで前記化合物又は化合物の組み合わせは、異なる型の遺伝子を有する患者に投与したとき、活性が低いか又は安全性が低いか又はこれらの両方である。
また、好ましい実施形態では、治療を選択する方法は、化合物、化合物の組み合わせ、又は医薬組成物を投与する方法を選択すること、例えば、好適な投与量レベル及び/又は投与頻度及び/又は投与方式を選択することを伴う。投与方法は、より良好な、好ましくは、最大の治療効果をもたらすよう選択することができる。この状況では、「最大」とは、考慮されるパラメータに基づいてほぼ極大であることを指し、絶対最大ではない。
更にこの状況では、「好適な投与量レベル」とは、薬理学的有効性と有害な作用との間の治療上合理的なバランスを提供する投与量レベルを指す。この投与量レベルは、特定の投与量レベルで薬物を投与することにより生じるピーク又は平均血清濃度に関連していることが多い。
同様に、「投与頻度」とは、治療が投与される特定の期間においてどのくらいの頻度であるかを指し、例えば、1日1回、2回、又は3回、1日おき、1週間に1回等である。薬物の場合、投与頻度は、一般的に、過剰な有害作用を引き起こすことなく、薬学的に有効な平均又はピーク血清濃度が得られる(自己投与される薬物の場合、好ましくは、同時に、合理的な患者のコンプライアンスを得ることができる)ように選択される。したがって、分別のある医師であれが特定の投与量レベルの投与頻度を減少させるように、そのような有害な作用なしに、可能な限り高い時間の割合に対して治療濃度域内に薬物の血清濃度を維持することが望ましい。
「遺伝子型」という用語は、被験体又は患者からのDNA中に存在する対立遺伝子を指し、ここで対立遺伝子は、特定の部位における核酸配列中に存在する特定のヌクレオチドにより定義することができる。遺伝子型は、ヒトの個体群において変動することが知られている単一多形部位に存在するヌクレオチドであることが多い。
少なくとも1つの分散の有無の検出は、本明細書において同定される遺伝子のうちの1つに対応する核酸配列又はそのような遺伝子産物とプローブとを接触させることを伴う。プローブは、例えば、異なる結合又はハイブリダイゼーションによって、遺伝子若しくは遺伝子産物の特定の形態、又は存在、又は特定の分散を区別することができる。
用語「遺伝子の変異型」、「遺伝子の形態」、又は「対立遺伝子」という用語は、集団内の遺伝子の1つの特定の形態、遺伝子の配列内の少なくとも1つの、しばしば1つ超の変異部位の配列における同遺伝子の他の形態とは異なる特定の形態を指す。遺伝子の異なる対立遺伝子間で異なるこれら変異部位の配列は、「遺伝子配列分散」又は「分散」又は「変異」と呼ばれる。「代替形態」とは、遺伝子配列内の少なくとも1つの、しばしば1つ超の変異部位において別個の分散を有することにより、他の対立遺伝子と区別することができる対立遺伝子を指す。
2つの対立遺伝子を比較するとき、ヒトのゲノム中には500〜1,000塩基ごとに約1塩基、ヒトゲノム中で分散が生じる。無関係の個体からの複数の対立遺伝子を比較するとき、異なる個体は、レファレンス配列と比較したとき異なる部位において配列分散を有することが多いので、変異部位の密度は上昇する。ほとんどの変異部位において、1つの塩基の別の塩基への置換、又は1つ以上のヌクレオチドの挿入/欠失を含む代替ヌクレオチドが2つだけ存在する。遺伝子内には、幾つかの変異部位が存在し得る。遺伝子又は代替対立遺伝子の変異型は、単一変異部位における代替分散の存在、又は異なる部位における幾つかの異なる分散の組み合わせ(ハプロタイプ)の存在により区別することができる。
遺伝分散又は遺伝子の変異型を「同定」することは、集団中に存在する分散を発見することを伴う。分散の同定は、疾患、状態、若しくは疾病素質、又は薬剤の効果若しくは安全性に関連することが既知である遺伝子の変異型を患者が有しているかどうかを判定する診断試験の開発に必要である。未だ発見されていない遺伝分散の同定は、診断試験で既知の分散の状態を「判定する」プロセス(遺伝子型解析と呼ばれることが多い)とは異なる。本発明は、本明細書に含まれ説明される遺伝子表に列挙される遺伝子の例示的分散を提供する。
本発明の状況では、「ハプロタイプ」という用語は、2つ以上の多型ヌクレオチドのシス配置、即ち、特定の染色体、例えば特定遺伝子上に存在する分散を指す。ハプロタイプは、多型ヌクレオチドの相、即ち、どの分散のセットが一方の親から遺伝し、どの分散が他方の親から遺伝するかということに関する情報を保存している。遺伝子型解析試験では、相に関する情報を得られない。例えば、ある遺伝子の25番目のヌクレオチド(AとCの両方が存在する)、また100番目のヌクレオチド(GとTの両方が存在する)がヘテロ接合性である個体は、ハプロタイプ25A−100G及び25C−100T、あるいは、25A−100T及び25C−100Gを有し得る。ハプロタイプ解析試験でのみ、これら2つの場合を明確に区別することができる。
本明細書で使用するとき、「分散」、「変異」及び「多型」という用語は、特に指定しない限り、一連の分散、ハプロタイプ、又は両方の混合物を指すこともある。更に、本明細書で使用するとき、単数形の分散、変異、又は多型という用語は、特に指定しない限りハプロタイプも包含する。この用法は、本出願を通して「...薬物応答と、1つの分散、複数の分散、1つのハプロタイプ、複数のハプロタイプ、又は分散及びハプロタイプの組み合わせとの間の相関を測定し...」といった煩わしい表現の必要性を最小限に抑えることを意図している。同様に、本明細書で使用するとき、「遺伝子型解析」という用語は、ある遺伝子上の1つ以上の分散の状態を判定する手順を意味し、ハプロタイプを含む一連の分散を含む。したがって「...患者の遺伝子型解析...」という句は、相が既知である一連の分散を含む1つ以上の分散の状態(即ち、ハプロタイプ)を決定することを意味する。
本発明の好ましい実施形態では、ある集団における遺伝子の分散又は変異型の頻度が既知である。当該技術分野で既知である頻度の尺度には、「対立遺伝子頻度」、即ち、1つの特定の分散又は一連の分散を有する集団内の遺伝子の割合が含まれる。任意の遺伝子に関する対立遺伝子頻度は合計すると1になるはずである。当該技術分野で既知の頻度の別の尺度は、「ヘテロ接合体頻度」、即ち、2つの対立遺伝子を保有するか、又はある遺伝子の特定の分散若しくは変異型の2つの形態(1つが各親から遺伝する)を保有する集団内の個体の割合である。あるいは、遺伝子の特定の形態についてホモ接合である個体数が有用な尺度となる場合がある。対立遺伝子頻度、ヘテロ接合体頻度及びホモ接合体頻度間の関係は、ハーディー−ワインベルグの等式で多くの遺伝子について報告されており、この等式は、平衡状態の自由に繁殖する集団における対立遺伝子頻度、ヘテロ接合体頻度及びホモ接合体頻度間の関係を提供するものである。ほとんどのヒトの分散は、実質的にハーディー−ワインベルグの平衡状態にある。
「集団」とは、限定的な個体群、又は特定の疾患若しくは症状を有する個体群、又は、これらに限定されないが、地理的、民族的、人種的、性別的、及び/又は文化的指標等により同定される特定の薬物により治療され得る個体を指す。ほとんどの場合、一集団は、好ましくは、少なくとも一万の、十万の、百万の、一千万の、又はそれ以上の個体を含み、人数が多いほどより好ましい。本発明の実施形態では、ある遺伝子の特定の分散又は変異型の対立遺伝子頻度、ヘテロ接合体頻度、又はホモ接合体頻度が既知である。本発明の好ましい実施形態では、治療に対する応答を予測し得る1つ以上の分散の頻度は、1つ以上の集団において診断試験を用いて決定される。
現時点において、特定の疾患若しくは症状、又は治療に対する応答と、遺伝子の特定の分散又は変異型との間の関係を明らかにするために集団全体について研究することは、一般的に現実的でないことを強調すべきである。このような研究は、疾患に罹患している集団を代表すると考えられる限定数の患者を用いる比較臨床試験で実施するのが好ましい。薬物開発プログラムは、一般的に、可能な限り大規模な集団を標的とするので、研究集団は一般に、男性及び女性からなり、更に臨床試験を実施する場所に依存して、様々な人種及び民族集団のメンバーからなる。このことは、集団の全てのセグメントにおける治療の効果を明らかにする上で重要である。
本明細書で使用するとき、「有効」及び「有効性」という用語は、薬理学的有効性及び生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、望ましい生物学的効果を患者にもたらす治療の能力を指す。生理学的安全性とは、治療の投与に起因する細胞、器官及び/又は生物体のレベルでの毒性又は他の有害な生理学的作用(副作用と呼ばれることが多い)の程度を指す。一方で「無効」という用語は、治療が、少なくとも層別化されていない集団において、たとえ有害作用がなくとも、治療上有用な十分な薬理学的効果をもたらさないことを示す(このような治療法は、1つ以上の配列分散又は対立遺伝子の存在により同定できる亜集団で無効な場合がある)。「効果が低い」とは、治療が治療的に有意に低い程度の薬理学的効果及び/又は治療的に大きな程度の有害な生理学的作用(例えば、より大きい肝毒性)をもたらすことを意味する。
したがって、ある薬物の投与に関して、ある疾患又は症状「に対して有効」である薬物とは、臨床的に適切な方法における投与が、少なくとも統計学的に有意な割合の患者に対して、例えば、症状の改善、治癒、疾病負荷の縮小、腫瘍塊の縮小又は細胞数の減少、寿命の延長、生活の質の改善、又は特定の種類の疾患若しくは症状の治療に慣れている医師が一般に肯定的であると認めている他の効果等の有益な効果をもたらすことを意味する。
有効性は特定の集団で測定される。従来の薬物開発では、集団は一般に、参加基準を満たす全ての被験者である(即ち治療される特定の種類の疾患又は症状を有する被験者)。遺伝的基準による研究集団の区分化が、VELCADE(商標)等の薬物の投与が末梢性ニューロパシーを引き起こし得る可能性のある亜集団を同定する基盤を提供し得ることが本発明の1つの態様である。
「有害な作用」という用語は、医学的に望ましくないと考えられる、治療の投与によって引き起こされる患者の身体的作用を意味する。したがって、例えば、有害作用としては、中でも、疾患細胞のみが死ぬことが望ましい状況における正常に機能する細胞の死、吐き気、発熱、食物を保持する能力の欠落、脱水、例えば、不整脈、尿細管壊死、脂肪肝、又は心血管系、腎臓、肝臓、若しくは肺の不全に至る肺線維症などの重要な器官の損傷等、健康に有害である広範囲の毒性作用を挙げることができる。これに関して、「禁忌」という用語は、このような患者の治療を行う慎重な医師が、治療の実施が好適ではないとみなすような有害な作用を生じさせる治療を意味する。このような決定に至る主な要因としては、例えば、代替治療の利用可能性及び相対的な利点、治療を行わない場合の結果、並びに治療の有害作用の永続性を挙げることができる。
多くの治療法、例えば、特定の化合物又は化合物の組み合わせの投与が、患者に副作用又は他の有害作用をもたらす場合があることが認められている。このような作用は、特定の患者における治療法の使用を制限したり、更には除外したりすることもあるほか、不可逆的な損傷、機能不全、若しくは患者の死を引き起こす場合がある。したがって、特定の実施形態では、分散情報を用いて第1の治療法及び第2の治療法の両方を選択する。通常、第1の治療は、疾患若しくは症状、又はその症候に対して生理学的効果をもたらす一次治療である。第2の治療は、第1の治療の1つ以上の有害作用を緩和又は除去する、例えば、全身毒性又は一次治療の副作用を低減することを目的とする。したがって、例えば、第2の方法を用いて第1の治療の用量の増加又は期間延長を可能にしたり、第1の治療に耐性がないか、又は第2の治療法を行うことなく、第1の治療の有害作用を低減したり第1の治療の有効性を強化したりすることが禁忌である患者に対し、第1の治療を行うことを可能にすることができる。
上記態様と同様に、ある実施形態では、少なくとも1つの治療法は、疾患若しくは症状を有する少なくとも何人かの患者において有効な化合物の投与を伴い、少なくとも1つの分散の有無は、前記治療が患者において有効であることの指標となり、及び/又は少なくとも1つの分散の有無は、前記治療が患者において無効又は禁忌であることの指標となり、及び/又は治療は第1の治療であり且つ少なくとも1つの分散の有無が、第2の治療が第1の治療の有害な作用を低減したり有効性を強化するのに有用であることの指標となり、及び/又は少なくとも1つの治療は複数の治療方法である。複数の治療に関しては、好ましくは、選択は、任意の治療法が複数の治療法のうちの少なくとも他の1つよりも有効であるか否かを判定することを伴う。
別の態様において、本発明は、患者の細胞において上記のように同定された遺伝子における少なくとも1つの分散の有無を、遺伝子における分散のリストと比較することによって、疾患若しくは症状を治療する方法を投与するために患者を選択するための方法、又は治療の投与方法に関して患者を選択する方法を提供し、この少なくとも1つの分散の有無は、治療若しくは投与方法が患者において有効であることの指標となる。患者の細胞に少なくとも1つの分散が存在する場合、患者は、代替治療を考慮するために選択される。
別の態様において、本発明は、患者の疾患又は症状のための治療法に対する応答又は耐性の増強又は低減された患者のサブセットを同定する方法を提供する。前記方法は、複数の患者において上記態様で同定された1つ以上の遺伝子における1つ以上の分散を、治療法に対する応答と関連づけることを伴う。前記関連づけは、複数の患者において1つ以上の遺伝子における1つ以上の分散を決定し、前記分散それぞれの有無(単独で又は様々な組み合わせで)を治療に対する患者の応答、特に、末梢性ニューロパシーの発現と関連づけることによって実施してもよい。前記応答は、統計学的に有意であるべきである。末梢性ニューロパシーの証拠により実証される、1つ以上の分散の存在と治療に対する応答との間の正の相関は、前記治療がそれらの分散を有する患者群において特に無効であることの指標となる。このような情報は、例えば、特定の治療若しくは治療の投与方法に関して患者を選択するために、若しくは選択から外すために、又は治療若しくは治療法が特に有用若しくは禁忌である患者群が存在することを立証するために有用である。
好ましい実施形態では、患者の遺伝子型に従って患者の応答を治療と関連づけることは、例えば、記載される変異のいずれかに従って本明細書に記載されるように、臨床試験のデータを用いて実施される。
研究の主目標は、医療で与えられた患者の薬物応答を正確に予測するマーカーを同定することである。そのような個別の評価は、個人に合った治療を大いに促進することができる。このような性質のアプローチは、一般に使用される薬物が、多くの患者にとって効果がなく、また副作用が頻繁な、癌の治療及び療法で特に必要とされる。薬物応答は標的細胞に固有の特性及び宿主の代謝特性の両方を反映するため、患者の薬物感度を予測する能力は、特に困難である。
本明細書で引用する全ての刊行物は、参照することにより組み入れられるものとする。特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
(実施例1)
治療前(スクリーニング)段階、非盲検治療段階、及び治療後段階の3段階からなる無作為化、非盲検、多施設治験を実施した。未だ治療されていない多発性骨髄腫の被験体約680人を、2つの治療群のうちの1つに無作為に割り付け、ベースラインのβ2−マイクログロブリン、ベースラインのアルブミン濃度、及び地域(北米、欧州、その他)に従って層別化した。被験体に、VELCADE(商標)/メルファラン/プレドニゾン(VMP)(治療群A)又はメルファラン/プレドニゾン(MP)(治療群B)を投与した。治療群Aの被験体に、VELCADE(商標)1.3mg/m2(4回の6週間サイクル中週2回[1週目、2週目、4週目、及び5週目][1サイクル当り8投与]、続いて、5回の6週間サイクル中週1回[1週目、2週目、4週目、及び5週目][1サイクル当り4投与]に加えて、メルファラン9mg/m2及びプレドニゾン60mg/m2(各6週間サイクルの1日目〜4日目に1日1回)を投与した。治療群Bの被験体には、各6週間サイクルの1日目〜4日目に1日1回、メルファラン9mg/m2及びプレドニゾン60mg/m2を9サイクル投与した。両群とも、最大9サイクル(54週間)治療を続け、疾患が進行したり許容できないほどの治療に関連する毒性が生じた場合、又は被験体が同意を取り消した場合、治療を中断した。
試験の被験体からのDNAサンプルをプレーティングし、液体処理ロボットを用いて≧50ng/μLの濃度に正規化した。次いで、プライマー伸長法に依存するGoldenGateプラットフォームを用いて、遺伝子型解析のためにDNAのプレートをIlluminaに移動した。各プレートには1つの盲検対照が含まれていた。対照は、二つ組のサンプルと、HapMapデータを作成するために用いられたCoriell DNA(Coriell Institute for Medical Research、408 Haddon Avenue、Camden、NJ)サンプル(これらサンプルについて公的に入手可能な遺伝子型のデータと比較することにより遺伝子型解析の正確性を立証するため)とからなっていた。
実施例に含まれる候補遺伝子は、遺伝性ニューロパシー、末梢性ニューロパシー、エネルギー生成及び速やかな軸索輸送、侵害受容及び痛覚伝達、神経発生並びに神経保護と既に関連づけられている。実施例において遺伝子型が解析された候補としては、ACCN2、ACE、ACTB、ACTG1、ACTR1A、ACTR1B、ADORA2A、ADRA2B、AGT、AGTR1、AKR1B1、AKT1、AKT2、APC、ARP11、AXIN1、BMF、CACNA1A、CACNA1B、CAPZA1、CAPZA2、CAPZA3、CAPZB、CD86、COMT、CTLA4、CTNNB1、CTSS、CYP3A4、CYP3A5、DCTN1、DCTN2、DCTN3、DCTN4、DCTN6、DNCL1、DNCL2A、DNM2、DVL1、DVL2、DVL3、DYNC1H1、DYNC1I1、DYNC1I2、DYNC1LI1、DYNC1LI2、DYNC2H1、DYNC2LI1、DYNLL2、DYNLRB2、ECGF1、EGR2、FGD4、FIG4、GARS、GCH1、GDAP1、GJB1、GJB2、GJB3、GJE1、GLRA3、GLS2、GLUL、GSK3A、GSK3B、HAP1、HSN2、HSPB1、HSPB8、HTR1B、IKBKAP、IL6、KIF1A、KIF1B、KIF3A、KIF3B、KIF5A、KIF5B、KIF5C、LITAF、LMNA、MAPK1、MAPK10、MAPK11、MAPK12、MAPK13、MAPK14、MAPK3、MAPK4、MAPK6、MAPK7、MAPK8、MAPK9、MC1R、MFN2、ミトコンドリアゲノム、MPZ、MTMR2、NDRG1、NEFL、NFE2L2、NGFB、NPY、NR1I2、NTRK1、OPRD1、OPRK1、OPRL1、OPRM1、PLP1、PMP22、PNOC、POLG、POLG2、PON1、PRPS1、PRX、PSMB1、PSMB10、PSMB2、PSMB3、PSMB4、PSMB5、PSMB6、PSMB7、PSMB8、PSMB9、PTGER1、PTGER2、PTGER3、PTGER4、PTGS1、PTGS2、SBF2、SCN3A、SCN9A、SH3TC2、SLC12A6、SPTBN1、SPTBN2、SPTBN4、SPTBN5、SPTLC1、SURF1、TCF1、TCF4、TH、TNF、TRAK2、TRPV1、TRPV4、TTR、VIP、WNT1、WNT10A、WNT10B、WNT11、WNT16、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9B、及びYARSが挙げられる。
以下の基準を全て満たす368人の被験体が分析に含まれていた:DNA解析に同意した、付録1に列挙されるSNPに関する遺伝子型のデータが使用可能であった、治療前及び少なくとも1サイクルのVELCADE(商標)治療後に有害事象に関連する臨床データを有していた(神経学的事象を有するもの及び神経学的事象が生じずに治療が完了したものを含む)。これら368人の被験体は、治療群A(154人の白人、2人の黒人、10人のアジア人)、治療群B(168人の白人、4人の黒人、12人のアジア人)及び治療を受けなかった18人を含んでいた。
一次有害事象のエンドポイントは、末梢性ニューロパシーNEC、末梢性感覚性ニューロパシー、及び神経痛を含む、VELCADE(商標)によって引き起こされる治療中に発現する末梢性ニューロパシーである。各特定の末梢性ニューロパシーのエンドポイントについて、帰無仮説では、この特定の治療中に発現する末梢性ニューロパシーに関連する、遺伝子型解析に成功したSNPは存在しないものとした。各遺伝子型解析に成功したSNPを試験して、この特定のVELCADE(商標)治療中に発現する末梢性ニューロパシーを有する患者と有さない患者との間でこのSNPの遺伝子型の分布に差が存在するかどうかを調べる。試験結果は、次に、多重度を補正するために遺伝子型解析に成功したSNPの総数によって調整される。
二次有害事象のエンドポイントは、任意の末梢性ニューロパシーを発症するまでの時間、等級2以上の末梢性ニューロパシーを発症するまでの時間、及び等級3以上の末梢性ニューロパシーを発症するまでの時間を含む、VELCADE(商標)によって引き起こされる治療中に発現する末梢性ニューロパシーが最初に発症するまでの時間である。各特定の発症までの時間のエンドポイントについて、帰無仮説では、この特定の治療中に発現する末梢性ニューロパシーの発症までの時間に関連する、遺伝子型解析に成功したSNPは存在しないものとする。各遺伝子型解析に成功したSNPについて、患者をこのSNPの遺伝子型に従って層別化し、異なる遺伝子型の患者間で、任意の時点における治療中に発現する末梢性ニューロパシーの発症確率に差が存在するかどうかを調べるために試験する。試験結果は、次に、多重度を補正するために遺伝子型解析に成功したSNPの総数によって調整される。一部の被験体は、末梢性ニューロパシーの多重発症、即ち、AEの回復後に1つ以上の再発事象を有する。同一患者における多重発症の場合、「任意の等級のニューロパシー」の分析については、最初のニューロパシーまでの時間、及び特定の等級のニューロパシーまでの時間は、この特定の等級が報告された最初の日とみなした。
一連の品質管理(QC)工程を実施して、分析で用いられる遺伝子型のデータの品質を保証した。遺伝子型のデータの品質は、内部対照(二つ組)サンプルを用いて評価した。この研究から7人の被験体について遺伝子型解析を2回行った。二つ組のサンプル間の一致率は、100%であった。この研究からの二つ組のサンプルのデータを、以下の方法で処理した。以下のルールによってデータをマージした:1)一致する遺伝子型のコール(call)を維持した。2)一方のサンプルが遺伝子型のコールを有していたが、他方のサンプルが欠損値(NA)を有していた場合、マージしたデータにコールされた遺伝子型を割り当てた。3)両方のサンプルが欠損値を有していた場合、マージしたデータは、欠損値を有していた。4)両方のサンプルが遺伝子型のコールを有しており、それらが互いに不一致である場合、マージしたデータに欠損値を割り当てた。
HapMapデータ(http://www.hapmap.org/)を作成するために用いられたCoriell DNAサンプルの遺伝子型のデータを、公的に入手可能な遺伝子型のデータと比較して、遺伝子型解析の正確性を立証した。Hapmap CEU被験体NA12043を品質対照として遺伝子型解析した(ID:GS0034314−DNAH11_J369、CEPH1346−11)。1927個の非mtSNPについて遺伝子型解析が成功し、そのうち1921個は、Hapmapプロジェクトにおいても遺伝子型解析された。これらのサンプル間の一致率は、98.23%であった。
遺伝子型のコール率が0.9未満であるサンプル、即ち、欠損遺伝子型データが10%超であるサンプルは、後続の解析から除外した。全ての遺伝子型解析されたサンプルは、95%超のコール率を有していた。したがって、欠損データが10%超であるために除外されたサンプルはなかった。3人の被験体のサンプルは、複数回試みたが遺伝子型解析に成功しなかった。
ヒトミトコンドリアゲノムの64個のタグ付けしているSNPもこの解析に含まれていた。64個のタグ付けしているSNPを、928個の公的に入手可能なヨーロッパ人のミトコンドリアゲノム配列のアラインメントに基づいて選択して、1%超のMAF及び9個のハプログループを有する144個の一般的なミトコンドリアSNP(mtSNP)を捕捉した(Saxena,R.ら(2006)「Comprehensive association testing of common mitochondrial DNA variation in metabolic disease」、American Journal of Human Genetics 79:54〜61)。
サンプルの遺伝子型間のペアワイズ相関を計算して、疑わしいサンプルを同定した。2人の被験体が同一の遺伝子型を有するにもかかわらず、表現型のデータは不一致である場合、両方の被験体を後続の解析から除外した。X染色体のSNPのヘテロ接合性を計算して、人口統計学的データを用いて性別の差異を同定した。3人の被験体は、性別制御遺伝子座解析下で差異を有していたので、解析から除外した。1人の更なる被験体が、X染色体SNP(rs12116382)においてヘテロ接合性ハプロイド遺伝子型を有することがPLINKにより同定され、これは潜在的な性別のエラーを示す。この被験体は、後続の解析から除外した。
品質管理対策及び人種による選別後、139人のVELCADE(商標)で治療されたサンプルが解析に含まれていた。
(実施例2)
新たに多発骨髄腫であると診断された65歳以下の患者において自家造血幹細胞移植(AHSCT)前の誘導処理としての、ビンクリスチン/アドリアマイシン/デキサメタゾン(VAD)とVELCADE(商標)/デキサメタゾンとを比較する無作為化、非盲検、多施設治験を実施した。約480人の患者がこの研究に含まれていた。被験体は、診断時に以下の4つの誘導処理群のうちの1つに無作為化された:
・A1VAD(4サイクル)
・A2VAD(4サイクル)、続いて、デキサメタゾン/シクロホスホミド/エトポシド/シスプラチナム(DCEP)(2サイクル)
・B1VELCADE+デキサメタゾン(4サイクル)
・B2VELCADE+デキサメタゾン(4サイクル)、続いてDCEP(2サイクル)
無作為化は、初期β2マイクログロブリン濃度(>又は≦3mg/L)及び蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)分析によって同定された13番染色体異常の存在に基づいて層別化された。誘導処理後(群A1及びB1)、又は圧密(consolidation)処理後(群A2及びB2)、全ての患者にAHSCTを行った。
172個の非ミトコンドリア遺伝子における2016個のSNPの遺伝子型解析のために、470個のサンプルをIlluminaに移動させた。470個のサンプルのうち、29個のサンプルはHapmap対照被験体であり(http://www.hapmap.org/)、3個のサンプルは、ベルギーの家族に由来する対照被験体であり、別の4個は、品質管理のための実施例1のサンプルである。したがって、この研究から合計434人の独特の被験体が存在していた(A1群103人、A2群105人、B1群111人、B2群111人、及び未処理4人)。
遺伝子型解析のデータセットは、遺伝子型解析の品質の対照としてHapmapプロジェクトから29個のサンプルを含んでいた。1939個の遺伝子型解析されたSNPのうち、1934個が対応するHapmapデータを有していた。遺伝子型のコールを比較すると、29個のサンプルが99.63%の平均一致率を有していた。しかし、一対のSNP(rs5699及びrs926103)は、Hapmapデータとデータセットとの間の一致率がほぼ0%であり、これは、これらSNPにおいて潜在的な遺伝子型解析のエラーを示す。データの品質を管理するために、Hapmapデータと処理データセットとの間で<90%の一致率を有する8個のSNPを関連解析から除去した。
品質管理及び選別後、212人のVELCADEで治療された被験体が、非mtSNPに対する関連解析に含まれていた。
(実施例3)
0.01未満のマイナー対立遺伝子頻度(MAF)のSNPは、後続の解析から除外したが、その理由は、遺伝子型解析コールを作成するために用いられるクラスタリングアルゴリズムの正確性が、非常に低いマイナー対立遺伝子頻度のSNPでは比較的低いためである。実施例1の解析全体においてコール率が90%未満であるSNPは11個存在しており、これらを除外した。残りのSNPのうち、26個のSNPは、0.01未満のMAFを有しており、これらを除外した。ハーディー−ワインベルグ平衡(HWE)試験を実施した。ハーディー−ワインベルグ平衡からの有意な偏差は、均質集団における潜在的な遺伝子型解析のエラーを示す場合がある。しかし、HWEからの軽度の偏差は、研究のエンドポイントとの正の関連を示す場合がある。実施例1の研究では、白人の被験体でHWE試験を実施したが、その理由は、彼らが、本明細書において報告される研究の最も大きな均質集団を形成しているためである。p値が0.05/2000未満であるHWEから逸脱しているSNPは、後続の解析から除外した。実施例1の研究からの5個のSNPはHWE試験に失敗したので、これらは除外した。付録1は、試験したSNP、遺伝子型の状態、コール率、MAF、HWE試験のP値、及び最終的な統計分析状態の全てのセットを列挙する。SNPレベルのQC後、1885個の非mtSNPを関連解析のために保持した。
実施例2の研究の被験体から遺伝子型解析された2016個の非mtSNPのうち、1939個のSNPの遺伝子型解析に成功した。コール率が90%未満であるSNPが6個存在していたので、除外した。残りのSNPのうち、11個のSNPは、0.01未満のマイナー対立遺伝子頻度(MAF)を有していたので、除外した。212人のVELCADEで治療された白人被験体に対して実施されたHWE試験に失敗した(P_HWE<0.05/2000)実施例2の研究からの6個のSNPが存在していたので、これらを除外した。2016個のSNPのアノテーションを、遺伝子型の状態、コール率、MAF、HWE試験のP値、及び最終的な統計分析状態と共に付録1に列挙する。QC後、1908個の非mtSNPが関連解析に含まれていた。
各非mtSNPについて、関連解析中に3つのゲノミックモデル:相加的、優性、及び劣性を試験した。研究した全ての非mtSNPは、メジャー対立遺伝子(A)とマイナー対立遺伝子(B)とを有する二対立遺伝子SNPである。優性モデルは、遺伝子型AAの被験体と遺伝子型AB又はBBの被験体とを比較する。劣性モデルは、遺伝子型AA又はABの被験体と遺伝子型BBの被験体とを比較する。相加的モデルは、Bが0コピーである被験体(AA)と、Bが1コピーである被験体(AB)及びBが2コピーである被験体(BB)とを比較する。1%超のMAFを閾値として用いて、品質管理プロセス中にSNPを選別した。この解析には、以下が含まれている:1)優性モデルの場合、少なくとも4人のAB/BB被験体のSNPのみが解析される、2)劣性モデルの場合、少なくとも4人のBB被験体のSNPのみが解析される、3)相加的モデルの場合、少なくとも4人のBB被験体、又は少なくとも4人のAB被験体及び0人のBB被験体のSNPのみが解析される。この選別後、解析用に、相加的モデルには合計1445個の解析用SNPが含まれ、優性モデルには1885個のSNPが含まれ、劣性モデルには1136個のSNPが含まれていた。実施例2のSNPの場合、関連解析中に3つのゲノミックモデルを試験し、1%超のマイナー対立遺伝子頻度を閾値として用いて、品質管理プロセス中にSNPを選別した。この条件下で、各SNPが有するB対立遺伝子の最低数は5であるが、その理由は、212×2×1%=4.24であるためであり、これは、3つの可能性のある遺伝子型分布:1)207 AA、5 AB、0 BB、2)208 AA、3AB、1BB、3)209 AA、1 AB、2 BBのうちのいずれか1つであり得る。この解析には、以下が含まれている:1)優性モデルの場合、少なくとも5人のAB/BB被験体のSNPのみが解析される、2)劣性モデルの場合、少なくとも5人のBB被験体のSNPのみが解析される、3)相加的モデルの場合、少なくとも5人のBB被験体、又は少なくとも5人のAB被験体及び0人のBB被験体のSNPのみが解析される。この選別後、解析用に、相加的モデルには1441個の解析用SNPが含まれ、優性モデルには1908個のSNPが含まれ、劣性モデルには1259個のSNPが含まれていた。
実施例1の研究で解析された64個のタグ付けしているmtSNPは全て、>90%のコール率を有していた。この遺伝子型mtSNPの遺伝子型情報を用いて、Saxena及び共同研究者(Saxenaら(2006)、American Journal of Human Genetics、vol.79、pages 54〜61)によって記載された方法に従って、他の80個の一般的なmtSNP及び9個のハプログループの遺伝子型を補完した。SNPレベルの品質管理及びこの選別プロセス後、62個のmtSNPを関連解析用に維持した。僅かに高いMAF閾値(0.01の代わりに0.025)をmtSNPに用いたことに留意すべきであるが、その理由は、mtSNPがヘテロ接合性遺伝子型を形成せず、遺伝子型BBの被験体に対して遺伝子型AAの被験体を解析したためである。遺伝子型を解析し、補完したmtSNPの一覧を、付録1に列挙する。ミトコンドリアSNPと末梢性ニューロパシーの分類との間に有意な関係は存在しなかったので、実施例2のデータセットの遺伝子型解析は行わなかった。
分位数−分位数プロット(Q−Qプロット)は、統計の順序値と特定の理論的分布の分位数とを比較するためのグラフデータ解析方法である。大規模な候補遺伝子関連研究では、結果を可視化するために関連についてのp値のQ−Qプロットを用いることが多い。このようなプロットでは、−log10に変換されたp値を順番に並べ、次いで、−log10に変換された一様分布の分位数に対してプロットする。対象エンドポイントに関連するSNPが存在しないという帰無仮説下では、p値は、一様分布に従うべきであり、Q−Qプロットは、予測される線上にのるはずである。極めて右側の裾における予測される線からのQ−Qプロットの逸脱は、有意な関連を示す場合があるが、Q−Qプロットの大部分の逸脱は、遺伝子型解析のエラー又は集団層別化等の潜在的なデータエラーを示す場合がある。エンドポイントのそれぞれについて、優性モデルにχ2試験を用いて初期解析を実施し、Q−Qプロットを用いてデータの潜在的問題を同定した。
実施例1における139人のVELCADE(商標)で治療された白人被験体では、1885個の非mtSNPに対する、優性モデルを用いた対象となる3つの有害事象(末梢性感覚性ニューロパシー、末梢性ニューロパシー、NEC、及び神経痛)のそれぞれについてのχ2試験のQ−Qプロットは、データに明らかな遺伝子型解析の問題が存在しないことを示した。観察されたP値は、一般的に、予測P値よりも大きい(−log10目盛では小さい)が、予測P値の95%信頼区間に入る。しかし、幾つかの観察されたP値は、−10log目盛上の95%信頼区間の下限から外れる。これは、比較的検出力の小さい、この解析を用いた小さなサンプルサイズと一致する。
実施例1における139人のVELCADEで治療された白人被験体の人口統計学的及びベースラインの特徴を表1及び2に要約する。「地域」を除いて、薬理ゲノミクス研究に含まれる139人の被験体のサブセットと、実施例1の研究のVMP群における340人の被験体との間にこれらベースラインの特徴の有意な差は存在しなかったが、その理由は、非白人被験体を薬理ゲノミクス(PGx)コホートにおいて除外したためである。
Figure 0005775064
Figure 0005775064
表3及び4に示すように、実施例2における212人のVELCADE(商標)で治療された被験体の人口統計学的情報及びベースラインの特徴を、実施例1における139人のVELCADE(商標)で治療された白人の被験体と比較した。被験体の年齢、身長、BMI、ベースラインのβ−マイクログロブリン、ベースラインのアルブミン、ベースラインのクレアチニンクリアランス、ニューロパシー及び糖尿病歴における有意な差が、実施例1の139人の被験体と実施例2の212人の被験体との間でみられた。
Figure 0005775064
*両側t検定により得られたP値
Figure 0005775064
*カイ二乗検定により得られたP値
全ての統計分析検定は、特に明記しない限り、5%の有意水準(両側(2-tailed))で解釈した。単一遺伝子座(SNP)関連試験のためのボンフェローニ調整及び複数遺伝子座(ハプロタイプ)関連試験のための無作為置換(1000回)を用いて多重検定補正を実施した。
個々のSNPとVELCADE(商標)治療中に発現する末梢性ニューロパシー事象との関連を、SASのロジスティック回帰を用いて遺伝子型、優性、及び劣性モデルに基づいて実施した(PROC LOGISTIC、SAS、v.9.1)。各末梢性ニューロパシーサブグループ内のサンプルは、AE発症数、有害事象の最大NCI毒性等級、可逆性、及び有害事象の持続期間に従って更に層化することができる。年齢、性別、人種、国籍、ベースライン時の神経系疾患の毒性等級、VELCADE(商標)の有害事象の臨床研究において決定される末梢性ニューロパシーのリスク要因等のベースライン時の人口統計学的データを共変数として用いた。ボンフェローニ調整を用いて多重検定補正を実施した。
HelixTree(HelixTree,v.6.2)におけるロジスティック回帰モジュールを用いてハプロタイプトレンド回帰に基づいてハプロタイプ関連分析を実施した。末梢性ニューロパシーと同じ染色体上の2〜4個の近接するSNPにより形成されるハプロタイプの関連を、共変数として年齢、性別、人種、国籍、及び進行中のVELCADE(商標)有害事象臨床研究で決定される末梢性ニューロパシーのリスク要因を用いて試験した。HelixTreeの期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いてハプロタイプ頻度を推定した。全てのマーカーの並べ替え(1000回)により多重検定補正を実施した。各並べ替え中、各サンプルについて群の標識(例えば、神経痛の有無)を無作為に並べ替えた。並べ替えた群の標識に基づいてハプロタイプ関連試験を実施した。ハプロタイプマーカーが元のデータセットよりも並べ替えたデータセットにおいてより有意なP値を有していた頻度を、並べ替えによって調整されたP値として用いた。
一次エンドポイントは、対象となる3つの有害事象のそれぞれの発症を含んでいた:末梢性感覚性ニューロパシー(68症例/71対照)、末梢性ニューロパシーNEC(72症例/67対照)、神経痛(59症例/80対照)、及び前記3つの有害事象のうちのいずれか1つの任意の発生(AE3:84症例/55対照)。患者を症例(対象となる有害事象のうちいずれかが発症している)及び対照(対象となる有害事象がない)に分類した。表5に示すように、薬理ゲノミクスサブセットの139人の選択された被験体における対象となる有害事象の発症頻度は、実施例1のVELCADEで治療された群と類似していた。
Figure 0005775064
実施例1と実施例2との間の一致について、回帰モデルは、以下を含む所定の共変数を全て含んでいた:年齢、性別、ベースライン時のb2−マイクログロブリン、ベースライン時のアルブミン、体表面積(BSA)、肥満度指数(BMI)、参加時のニューロパシー状態(感覚性ニューロパシー又は運動性ニューロパシーのいずれか)、ベースライン時における糖尿病状態、及びベースライン時におけるクレアチニンクリアランス(4群に分類:<30mL/分、≧30且つ≦50mL/分、>50且つ≦80mL/分、>80mL/分)。
閾値としてAP=0.05/(1885+62)=2.57E−5を用いて多重試験のためのボンフェローニ補正を行った後、1885個の非mtSNP及び62個のmtSNPはいずれも、実施例1で試験された有害事象のエンドポイントのいずれかの発症と任意の有意な関連を示さなかった。誤発見率(FDR)<0.05による補正を多重試験の閾値として用いたところ、SNPは、試験した有害事象のうちいずれかの発生とは有意な関連を示さなかった。
HelixTree(HelixTree v.6.2)におけるロジスティック回帰モジュールを用いてハプロタイプトレンド回帰に基づいてハプロタイプ関連分析を実施した。末梢性ニューロパシーと同染色体上の2〜4個の近接する非mtSNPにより形成されるハプロタイプの関連を試験した。HelixTreeの期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いてハプロタイプ頻度を推定した。全てのマーカーの並べ替え(1000回)により多重検定補正を実施した後、試験したハプロタイプはいずれも、研究下の有害事象のエンドポイントのいずれかと任意の有意な関連(P−並べ替え<0.05)を示さなかった。
個々のSNPとVELCADEで治療中に発症した末梢性ニューロパシー事象の発症時との関連付けを、ログランク検定及びSAS(PROC LIFETEST及びPROC PHREG、SAS v.9.1)におけるCox回帰を用いて、遺伝子型解析、優性及び劣性モデルに基づいて実施した。年齢、性別、人種、国籍、ベースライン時における神経系疾患の毒性等級、進行中のVELCADE(商標)有害事象臨床研究において決定される末梢性ニューロパシーのリスク要因等の、ベースライン時における人口統計学的データを、Cox比例ハザードモデルの共変数として試験した。ボンフェローニ調整を用いて多重検定補正を実施した。
試験した二次エンドポイントは、任意の末梢性ニューロパシーの発症までの時間(72事象/67打ち切り)、等級2以上の末梢性ニューロパシーの発症までの時間(50事象/89打ち切り)、及び等級3以上の末梢性ニューロパシーの発症までの時間(21事象/118打ち切り)を含んでいた。ロジスティック回帰で用いられる共変数と同じセットを、エンドポイントそれぞれについてCox比例ハザードモデルの共変数として用いた。
閾値としてP=0.05/(1885+62)=2.57E−5を用いて多重試験のためにボンフェローニ補正を行った後、1つのSNP(遺伝子CTLA4のrs4553808)が、劣性モデルにおける末梢性ニューロパシーの発症までの時間と有意な関連を示した(ワルド3型試験P=1.68E−6、FDR=0.0019)。比例検定は、Cox回帰の比例仮説がこのモデルによって妨げられないことを示した。rs4553808のマイナー対立遺伝子のホモ接合性遺伝子型(GG)を有する患者は、マイナー対立遺伝子を1又は0コピーしか含まない(AA/AG)患者よりも末梢性ニューロパシーの発症が早い傾向があり、これら被験体の発症までの中央時間は、89.5日に比べて36日であった。データセットの中でGG遺伝子型を有していた患者は6人しかいなかった。その全てが、実施例1の研究中何らかのレベルの末梢性ニューロパシーを有していた:2人の被験体は、最高等級1の末梢性ニューロパシーを有し、2人は最高等級2の末梢性ニューロパシーを有し、また2人の被験体は、最大等級3の末梢性ニューロパシーを有していた。VELCADEで治療されなかった群のrs4553808の遺伝子型がGGである5人の被験体は、いずれも、治験中任意の末梢性ニューロパシーを有していなかった。
単一マーカーと末梢性ニューロパシーの発症時におけるVELCADEの累積投与量との関連について試験した。このエンドポイントについて、rs4553808は、わずかに有意な関連を示した。rs4553808のマイナー対立遺伝子のホモ接合性遺伝子型(GG)を有する患者は、マイナー対立遺伝子を1又は0コピーしか含まない(AA/AG)患者よりも、低累積投与量のVELCADE(商標)において末梢性ニューロパシーを発症する傾向があり、これら被験体の発症までの中央時間は、18.8mg/m2に対し8.45mg/m2であった。
PSMB1遺伝子の1つのSNPであるrs1474642は、ボンフェローニ補正後の劣性モデルにおけるレベル2以上の末梢性ニューロパシーの発症までの時間と有意な関連を示した。閾値としてFDR<0.05を用いる場合、別のSNP、CTSSのrs12568757も有意な関連を示した。比例検定は、Cox回帰の比例仮説がこのモデルによって妨げられないことを示した。
エンドポイントとしてレベル2以上の末梢性ニューロパシーの発症までのVELCADEの累積投与量を用いたところ、rs1474642及びrs12568757は、わずかに有意な関連を示した。しかし、別のSNP、DYNC1I1のrs916758は、優性モデルにおいてレベル2以上の末梢性ニューロパシーの発症までのVELCADEの累積投与量と有意な関連を示した:ワルド3型検定P=6.14E−6、FDR=0.012。
rs1474642のマイナー対立遺伝子のホモ接合性遺伝子型(GG)を有する患者は、マイナー対立遺伝子を1又は0コピーしか含まない(AA/AG)患者よりもレベル2以上の末梢性ニューロパシーの発症が早い傾向があり、これら被験体の発症までの中央時間は、109日に対し26日であった。一方、発症時までのVELCADE(商標)の中央累積投与量は、22.1mg/m2に対し6.9mg/m2であった。ホモ接合性遺伝子型GGを有する患者は4人であった。そのうち2人の被験体が最高等級3の末梢性ニューロパシーを有し、1人が等級2の末梢性ニューロパシーを有し、1人は、治験中末梢性ニューロパシーを有していなかった。実施例1の研究のMP治療群では、142人の遺伝子型解析に成功したMP治療を受けた白人被験体のうちの6人が、rs1474642の遺伝子型GGを有していた。これら被験体はいずれも、治験中に任意の末梢性ニューロパシーを有していなかった。
同様に、rs12568757のマイナー対立遺伝子のホモ接合性遺伝子型(GG)を有する患者は、マイナー対立遺伝子を1又は0コピーしか含まない(AA/AG)患者よりも等級2以上の末梢性ニューロパシーの発症が早い傾向があり、発症までの中央時間は、113日に対し88日であった。一方、発症時までのVELCADE(商標)の中央累積投与量は、23.2mg/m2に対し18.4mg/m2であった。GG遺伝子型の患者は39人存在していた:10人は等級3の末梢性ニューロパシーを有し、11人は等級2、6人は等級1であり、12人は、治験中末梢性ニューロパシーを有していなかった。実施例1の研究のMP治療群では、142人の遺伝子型解析に成功したMP治療を受けた白人被験体のうちの39人が、rs12568757の遺伝子型GGを有していた。しかし、そのうち2人だけが、治験中末梢性ニューロパシーを有し、1人は等級1、もう1人は等級2であった。
rs916758のマイナー対立遺伝子1又は2コピー有する(AG/GG)患者は、マイナー対立遺伝子を含まない(AA)患者よりもレベル2以上の末梢性ニューロパシーの発症が早い傾向があり、発症までの中央時間は、109日に対し75日であった。一方、発症時までのVELCADE(商標)の中央累積投与量は、23.2mg/m2に対し16.6mg/m2であった。AG/GG遺伝子型の患者は32人存在していた:8人は等級3の末梢性ニューロパシーを有し、9人は等級2、2人は等級1であり、13人は、治験中末梢性ニューロパシーを有さなかった。実施例1の研究のMP治療群では、142人の遺伝子型解析に成功したMP治療を受けた白人被験体のうちの33人が、rs916758の遺伝子型AG/GGを有していた。しかし、そのうち2人だけが、治験中等級1の末梢性ニューロパシーを有していた。
SNPはいずれも、ボンフェローニ補正後に等級3以上の末梢性ニューロパシーの発症までの時間と有意な関連を示さなかった。しかし、閾値としてFDR<0.05を用いた場合、1つのSNP、遺伝子GJE1のrs11974610は、有意な関連を示した。エンドポイントとして等級3以上の末梢性ニューロパシーの発症までのVELCADE(商標)の累積投与量を用いたところ、rs11974610は、わずかに有意な関連を示した。rs11974610のマイナー対立遺伝子のホモ接合性遺伝子型(AA)を有する患者は、マイナー対立遺伝子を1又は0コピーしか含まない(GG/GA)患者よりも等級3以上の末梢性ニューロパシーの発症が早い傾向があり、発症までの中央時間は、113日に対し97日であった。一方、発症時までのVELCADE(商標)の中央累積投与量は、24.7mg/m2に対し17.6mg/m2であった。遺伝子型AAの患者は6人であった。そのうち4人が最高等級3の末梢性ニューロパシーを有しており、2人は、治験中末梢性ニューロパシーを有していなかった。実施例1の研究のMP治療群では、142人の遺伝子型解析に成功したMP治療を受けた白人被験体のうちの5人が、rs11974610の遺伝子型AAを有していた。そのうち1人だけが、治験中等級2の末梢性ニューロパシーを有していた。
rs4553808、rs1474642、及びrs11974610のマイナー対立遺伝子のホモ接合性遺伝子型を有する被験体は、重複していなかった。しかし、遺伝子型GGのrs12568757を有する39人の被験体の中で、2人はrs4553808がGGであり、1人はrs1474642がGGであり、3人はrs11974610がAAであった。同定されたマーカーを2コピー有する6人の被験体全てが、実施例1の研究中末梢性ニューロパシーを発症した。遺伝子型AG/GGのrs916758を有する32人の被験体のうち、16人はrs12568757もGGであり(そのうち11人が末梢性ニューロパシーを発症した)、2人は、rs4553808もrs12568757もGGであり、1人は、rs1474642もrs12568757もGGであり、1人は、rs11974610がAA、rs12568757がGGであり、1人は、rs1474642がGGであった。
様々なレベルの末梢性ニューロパシーの発症時間、又は実施例1における末梢性ニューロパシーの発症までのVELCADE(商標)の累積投与量のいずれかと有意な関連を示す5つのSNPは、実施例2の研究により検証された。末梢性ニューロパシー事象の発症率(末梢性ニューロパシー、感覚異常、及び知覚異常を含む)は、実施例2では実施例1の51.8%と同程度の44.8%である(P=0.24)。解析結果を表6に要約する。関連検定の未処理p値に基づいて、実施例1で同定された有意な関連は、いずれも実施例2では再現されなかった。しかし、rs4553808は、劣性モデルにおいて末梢性ニューロパシーの発症までの時間との関連において同じ傾向を示した(ワルド3型P値=0.138)。rs4553808のマイナー対立遺伝子の均質な遺伝子型(GG)を有する患者は、マイナー対立遺伝子を1又は0コピーしか含まない(AA/AG)患者よりも末梢性ニューロパシーの発症が早い傾向があり、発症までの中央時間は、70日に対し68日であった。rs916758も比較的に低い関連P値(ワルド3型P値=0.113)を有していたにもかかわらず、傾向は、実施例1でみられたものと逆であった。
Figure 0005775064
実施例2における1908個のSNP全てにおいて様々なレベルの末梢性ニューロパシーの発症までの時間と、VELCADE(商標)の累積投与量との関連を試験した。ボンフェローニを用いた多重検定補正の後、有意な関連は同定されなかった(0.05/1908=2.62E−05)。実施例2における一次エンドポイントを1908個の遺伝子型解析されたSNP全てにおいて試験した:末梢性感覚性ニューロパシー(8症例/204対照)、末梢性ニューロパシーNEC(44症例/168対照)、神経痛(9症例/203対照)、及び前記3つの有害事象のうちのいずれか1つの任意の発生(AE3:51症例/161対照)。1つのSNP(遺伝子TCF4のrs1261134)は、FDR調整による多重検定補正後、相加的モデルにおいて対象となる有害事象のうちのいずれか1つの発症と有意な関連を示した。
本発明者らは、劣性モデルにおいて様々なレベルの末梢性ニューロパシーの発症までの時間と有意な関連を示した4つのSNP(CTLA4のrs4553808、PSMB1のrs1474642、CTSSのrs12568757、及びGJE1のrs11974610)を同定した。これらSNPも、劣性モデルにおいて末梢性ニューロパシーの発症までのVELCADE(商標)の累積投与量とわずかに有意な関連を示した。別のSNP、DYNC1I1のrs916758は、実施例1の優性モデルにおいて等級2以上の末梢性ニューロパシーの発症までのVELCADE(商標)の累積投与量と有意な関連を示した。しかし、それは、末梢性ニューロパシーの発症までの時間と有意な関連を有していなかった。これらの関連は、VELCADE(商標)治療に関するが、その理由は、MP治療群で同定されたマーカーを有する被験体が、0又は非常に低い頻度の、治験中の末梢性ニューロパシーの発症を有していたためである。これらの関連はいずれも実施例2において再現されなかった。1つのSNP、rs4553808は、実施例2において末梢性ニューロパシーの発症までの時間との関連と同じ傾向を示した(P=0.138)。
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Claims (5)

  1. rs4553808のマイナー対立遺伝子、rs1474642のマイナー対立遺伝子、rs12568757のマイナー対立遺伝子、rs11974610のマイナー対立遺伝子、rs1261134のマイナー対立遺伝子及びrs916758のマイナー対立遺伝子のうちの1つ以上からなる群より選択されるバイオマーカーを同定するためのプローブを含む、患者が癌治療に応答して有害な神経学的事象を発現する増大したリスクを有しているかどうかを同定する方法に使用するための診断キットであって、前記有害な神経学的事象が、末梢性ニューロパシー、末梢性感覚性ニューロパシー、及び神経痛からなる群より選択され、前記方法が、前記患者が前記リスク増大に関する1つ以上の前記バイオマーカーを有するかどうかを判定することを含み、前記バイオマーカーの存在が、前記有害な神経学的事象のリスク増大を示す、上記診断キット。
  2. 前記癌治療が、プロテオソーム阻害剤の投与を含む、請求項1に記載の診断キット。
  3. 前記プロテオソーム阻害剤がボルテゾミブを含む、請求項2に記載の診断キット。
  4. 前記判定が、前記患者から生体サンプルを得ること、及び前記サンプルに対して遺伝子型解析を実施することを含む、請求項1に記載の診断キット。
  5. rs4553808のマイナー対立遺伝子、rs1474642のマイナー対立遺伝子、rs12568757のマイナー対立遺伝子、rs11974610のマイナー対立遺伝子、rs1261134のマイナー対立遺伝子及びrs916758のマイナー対立遺伝子のうちの1つ以上からなる群より選択されるバイオマーカーを同定するためのプローブと、前記バイオマーカーを同定するためのプローブを使用して、癌治療に応答して末梢性ニューロパシーを発現する可能性がある患者を同定するための説明書とを含む、癌治療に応答して有害事象を発現する可能性のある患者を同定するための診断キット又は等価物。
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