JP5774474B2 - Rnaへの選択的な5’ライゲーションによるタグの付加 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
本願は、米国仮出願第61/050,046号明細書(2008年5月2日出願)の優先権を主張するものである。この仮出願の明細書は、参照することによってその全てが本明細書に援用される。
〔発明の分野〕
本発明は、所望のクラスまたはタイプの1つ以上のRNA分子の5’末端にタグを選択的に付加するための新規な方法、組成物およびキットに関する。それぞれのクラスは、特定の化学的な部分または化学基を、5’ヌクレオチドの5’位置に有するRNA分子からなる。本方法のいくつかは、本出願人によって発見された、RNA5’ポリホスファターゼ(RPP)と呼ばれる新規なクラスの酵素を用いる。これらの酵素は、5’ポリリン酸基を有するが、5’キャッピングされていないRNAを、5’一リン酸基を有するRNAへ変換する。また、本出願人によって発見されたいくつかの新規な方法は、RNA5’モノホスファターゼ(RMP)と呼ばれる別の新規なクラスの酵素を用いる。この酵素は、5’一リン酸基を有するが、5’ポリリン酸基を有さないRNAを、5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換する。さらに他の方法は、RPP、RMPおよび/または他の酵素(キャッピング酵素、デキャッピング酵素、および核酸に対するピロホスファターゼが挙げられる。)を単独でまたは連続で組み合わせて用いて、所望のクラスのRNA分子に、選択的な5’ライゲーションによるタグを付加するための新規な方法を提供する。本方法、本組成物および本キットは、例えば、研究、ヒトまたは非ヒトの診断、あるいはヒトまたは非ヒトの治療に有用である。
〔発明の背景〕
近年の研究において、ヒトゲノムのほとんどの部分(いわゆる「非翻訳領域」も含む。)がRNAに転写されることが示されている(例えば、Genome Research Volume 17, Issue 6: June 2007参照)。その結果、現在、転写された全てのRNA(mRNA、非翻訳RNA(マイクロRNA(miRNA)またはそれらのプリmiRNAもしくはプレmiRNAなど)、および他のRNA分子(特定されていないRNAを含む。)を含む。)の生物学的な運命および機能を特定したり、特徴付けたり、決定したりすることに非常に関心が持たれている。
また、真核生物における、分化、環境に対する生物学的な応答、および正常な細胞と異常な細胞との他の生物学的なプロセスを理解するために種々のRNA分子を特定したり、その発現を分析したりすることに以前から関心がもたれている。例えば、各疾患の発症および進行を理解し、あわよくば、疾患または疾患の進行を予防するための処置または方法を発見するために、真核細胞における疾患に関連するRNA分子を研究することに非常に関心がもたれている。
病原菌、マイコプラズマ、およびウイルスによって引き起こされた真核生物の疾患に関しては、感染の過程、疾患の発症および疾患の進行の間に、宿主および病原体の両方のゲノムにコードされるRNAの生物学的な機能を特定したり、特徴付けたり、決定したりすることに非常に関心がもたれている。
種々のクラスのRNA分子の5’末端の性質は、それらの生物学的な構造および機能において重要な役割を果たしている。RNA分子の5’末端の化学的な部分は、細胞または生体内でのRNA分子の構造、安定性、生物化学的なプロセシング、輸送、生物学的な機能および運命に影響を及ぼす。種々のクラスのRNAの5’末端にて一般的に発見される化学的な部分としては、三リン酸、一リン酸、ヒドロキシル、およびキャップヌクレオチドが挙げられる。5’末端の特定の化学的な部分は、RNAの開始点、プロセシング、成熟、および安定性についての重要な手がかりを与える。新たに特定されたRNAにおけるこの部分を特徴付けることは、細胞内でのRNAの役割の示唆さえもし得る。それ故、異なる5’末端の基を含んでいるRNA分子のクラスを識別し得る方法は、RNAを特徴付けたり、研究したり、操作したりするための重要なツールである。
例えば、細菌のmRNAは、5’末端に三リン酸基を典型的に有している。さらに、タンパク質に翻訳されない多くの真核生物のRNA(「非翻訳RNA」または「ncRNA」と称する。)が記載されており、これらのncRNAの多くが5’末端に三リン酸基を有している。さらに、原核生物および真核生物の低分子のリボソーマルRNA(例えば、5S rRNAまたは5.8S rRNA)およびトランスファーRNA(tRNA)は、5’末端に三リン酸基を典型的に有している。
大部分の真核生物の細胞性mRNAおよび大部分の真核生物のウイルス性mRNAの転写産物は、それらの5’末端にてキャッピングされている。「キャップ」または「キャップヌクレオチド」は、グアニンヌクレオシドからなる。このグアニンヌクレオシドは、その5’炭素を介して三リン酸基に連結し、この三リン酸基は、順に、mRNAの一次転写産物の最も5’側のヌクレオチドの5’炭素に連結している。ほとんどの真核生物では、キャップヌクレオチドにおけるグアニンの7位の窒素がメチル化されている。このように、ほとんどの真核生物の細胞のmRNAおよびほとんどの真核生物のウイルスのmRNAは、5’末端に「N7−メチルグアノシン」、すなわち「m7G」のキャップまたはキャップヌクレオチドを有している。
真核生物の細胞性およびウイルス性mRNAに加えて、いくつかのncRNAもキャッピングされ、いくつかのキャッピングされたncRNAも、真核生物のほとんどのmRNAのように3’ポリ(A)テールを有している。例えば、Rinn, JL et al.(Cell 129: 1311-1323, 2007)には、キャッピングされ、ポリアデニル化される、2.2キロベースのncRNAが1つ記載されている。このncRNAは、ヒトの12番染色体のHOXC領域にコードされており、「HOTAIR」と称され、2番染色体上のHOXD遺伝子の発現に対して非常に大きな効果を有している。さらに、サンプル中の、いくつかの真核生物の他のRNA(核内低分子RNA(「snRNA」)、およびプレmiRNAなど)もキャッピングされ得る。
真核生物の細胞性およびウイルス性のmRNA(およびいくつかの他の形態のRNA)の5’キャップは、mRNAの代謝に重要な役割を果たしており、程度の差こそあれ、核内でのmRNA転写産物のプロセシングおよび成熟、核から細胞質へのmRNAの輸送、mRNAの安定性、ならびにmRNAからタンパク質への効率的な翻訳のために必要とされる。例えば、キャップは、タンパク質の合成の開始ならびにインビボでの真核生物のmRNAのプロセシングおよび安定性に極めて重要な役割を果たす。キャップは、5’エキソリボヌクレアーゼ(XRN)の活性に対する耐性をもたらし、キャップが無い場合、mRNAは急速に分解してしまう(例えば、Mol. Biol. Med. 5: 1-14, 1988; Cell 32: 681-694, 1983参照)。したがって、真核細胞へ導入したり(卵母細胞へのマイクロインジェクションまたは細胞へのトランスフェクションを介した導入)、真核細胞で発現させたりするために(例えばインビトロにて)調製されるmRNAは、キャッピングされるべきである。
真核細胞のウイルス性RNAの多くは、キャッピングされている場合にのみ感染する。キャッピングされていないウイルス性RNA分子(すなわち、ウイルス性RNA分子は「キャップ」を有していない。)が細胞内へトランスフェクションまたはマイクロインジェクションを介して導入された場合、細胞性のリボヌクレアーゼによって迅速に分解されてしまう(例えば、Krieg, and Melton, Nucleic Acids Res. 12: 7057, 1984; Drummond, et al. Nucleic Acids Res. 13: 7375, 1979参照)。
多くの真核生物の細胞性遺伝子および真核生物のウイルス性遺伝子の、一次転写産物は、これらの転写産物のコード領域内の介在配列(イントロン)を除去するためのプロセシングを必要とする。キャップの利点はこのようなmRNA前駆体の安定性にまで及ぶ。例えば、mRNA前駆体にキャップが存在することによって、酵母におけるmRNA前駆体のインビボでのスプライシングが向上する。しかし、mRNA前駆体にキャップが存在することが、インビボでのスプライシング、またはインビトロの酵母スプライシングシステムを用いたスプライシングに必須でないことが示されている(Fresco, LD and Buratowski, S, RNA 2: 584-596, 1996; Schwer, B et al., Nucleic Acids Res. 26: 2050-2057, 1998; Schwer, B and Shuman, S, RNA 2: 574-583, 1996)。スプライシングの向上は、mRNA前駆体の安定性が増加したことに主に起因している。これは、キャップがない場合、mRNA前駆体が5’エキソリボヌクレーゼによって迅速に分解されるからである(Schwer, B, Nucleic Acids Res. 26: 2050-2057, 1998)。したがって、インビトロでのRNAのスプライシングの実験をするために合成された転写産物がキャップされることも、有益である。
キャッピングされたmRNAは核から輸出された後に細胞質に残存する一方、いくつかの他のRNA(いくつかのsnRNAなど)は、さらにメチル化されたキャップを有し、次いで核内へと輸入される。そして、核内にて、これらのRNAは、mRNA前駆体からのイントロンのスプライシングを受け、mRNAのエキソンが生成される(Mattaj, Cell 46: 905-911, 1986; Hamm et al., Cell 62: 569-577, 1990; Fischer, et al., J. Cell Biol. 113: 705-714, 1991)。
スプライシングの反応は、スプライシングされたイントロンのRNAを生成し、このイントロンのRNAは、5’一リン酸基を有するRNAを初期に含んでいる。このように、mRNA前駆体のスプライシング反応によって、初期に生成されたイントロンのRNA分子の少なくともいくつかも、5’リン酸基を有している。さらに、いくつかの他のRNA(真核生物またはウイルスがコードするマイクロRNA(miRNA)、ならびに真核生物および原核生物の巨大なリボソーマルRNA分子(rRNA)(真核生物の18Sおよび26Sまたは28SのrRNA、または原核生物の16Sおよび23SのrRNAが挙げられる。)など)は、5’末端に一リン酸基を有している。
リボヌクレアーゼAによって分解されるRNA、およびエンドヌクレアーゼによって処理される他のいくつかのRNA分子は、5’ヒドロキシル基を有している。
RNAの5’末端を修飾する酵素は、種々のRNA分子をインビトロにて特徴付けたり、操作したりするに有用なツールである。例えば、アルカリホスファターゼ(AP)(例えば、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB, Cleveland, OH)、またはアークティック(arctic)のアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA))は、キャッピングされていない一次RNAの5’三リン酸基およびrRNAの5’一リン酸基を5’ヒドロキシル基へ変換し、5’ヒドロキシル基を有するRNAを生成するが、キャッピングされたRNAには作用しない。核酸に対するピロホスファターゼ(PPase)(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP))は、キャッピングされたRNAおよびキャッピングされていないRNAの両方の三リン酸基を切断し、5’の一リン酸基を有するRNAを合成する。デキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素のD9もしくはD10)は、キャッピングされたRNA(例えば、m7GによってキャッピングされたRNA)を、5’一リン酸基を有するRNAへ変換する。キャッピング酵素(SCRIPTCAP(登録商標)のキャッピング酵素(EPICENTRE)、ポックスウイルスのキャッピング酵素、ワクシニアウイルスのキャッピング酵素、またはSaccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素であるRNAトリホスファターゼ)は、5’三リン酸基を有するRNAまたは5’二リン酸基を有するRNAをキャッピングされたRNAへ変換する。ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK;例えばT4PNK)は、RNA分子の5’末端上のヒドロキシル基にリン酸基を1つ付加し、RNA分子の3’末端の一リン酸基(例えば、リボヌクレアーゼAの作用によって生成された3’の一リン酸基)を除去する。さらに、5’エキソリボヌクレーゼ(XRN;例えば、Saccharomyces cerevisiaeのXrnIエキソリボヌクレアーゼ)は、5’一リン酸化RNAをモノヌクレオチドへ消化する。しかし、この5’エキソリボヌクレーゼは、5’三リン酸基、5’キャップ、または5’ヒドロキシル基を有するRNAを一般に消化しない。
また、RNAリガーゼの反応特異性も、5’末端に異なる基を有するRNA分子を区別するに有用なツールであり得る。この酵素は、ドナーであるRNAにおける5’一リン酸基と、アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)における3’ヒドロキシル基との間に、ホスホジエステル結合を形成することを特異的に触媒する。したがって、5’末端に一リン酸基を有するRNAは、サンプル中に存在してようが、5’三リン酸化RNAまたは5’キャッピングされたRNAをTAPを用いて処理することによって取得されたものであろうが、RNAリガーゼを用いて、3’ヒドロキシル基を有するアクセプタの核酸へ連結するためのドナーの基質である。5’末端に三リン酸基、二リン酸基、またはヒドロキシル基を含んでいるか、キャッピングされている5’末端の基を含んでいるRNA分子は、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)のためのドナー分子として機能しない。また、5’末端にヒドロキシル基を有するRNAは、サンプル中に存在しようが、APを用いて処理することによって得られたものであろうが、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)のためのドナーの基質としての役割を果たすことができない。同様に、ブロックする基(3'-terminal blocked group)を3’末端に含んでいるRNA分子(例えば、3’にリン酸基または3’にベータ−メトキシフェニルホスフェート基を有するRNA分子)は、RNAリガーゼのためのアクセプタの基質として機能しない。
多くの刊行物には、いわゆる「オリゴキャッピング法」を用いた、m7Gによってキャッピングされた真核生物のmRNAを操作するための、アルカリホスファターゼ、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)、およびRNAリガーゼの使用が開示されている。例えば、オリゴキャッピング法およびその使用は、国際公開第0104286号パンフレットおよび国際公開第2007/117039号パンフレットA1、米国特許第5,597,713号明細書、Suzuki, Y et al., Gene 200: 149-156, 1997、Suzuki, Y and Sugano, S, Methods in Molecular Biology, 175: 143 - 153, 2001, ed. by Starkey, MP and Elaswarapu, R, Humana Press, Totowa, NJ、Fromont-Racine, M et al., Nucleic Acids Res. 21: 1683-4, 1993、およびMaruyama, K and Sugano, S, Gene 138: 171-174, 1994に開示されている。
これらのオリゴキャッピング法では、真核生物の総RNA、または単離された、ポリアデニル化されたRNAをAPによって処理し、次いでAPを不活性化するか、または除去する。APは、5’三リン酸を有するRNA(例えばキャッピングされていない一次RNA)および5’一リン酸を有するRNAを、5’ヒドロキシルを有するRNAへ変換する。その後、サンプルをTAPによって処理する。このとき、TAPは、真核細胞の5’キャッピングされたmRNAを、5’一リン酸を有するmRNAへ変換する。生じた5’一リン酸化mRNAを、次いで、RNAリガーゼを用いて、アクセプタのオリゴヌクレオチドに「オリゴキャッピングする」(すなわち「5’ライゲーションによりタグを付加する」)。「オリゴキャッピングされた」mRNAは、「タグ」が5’末端に結合されており、第一鎖cDNAを合成するためのテンプレートとしての役割を果たす。このmRNAから合成された第一鎖cDNAは、3’末端にタグが結合されている。次いで、第一鎖cDNAの3’末端に結合されたタグに対して相補的な、第二鎖cDNAを合成するためのプライマーを用いて、二本鎖のcDNAを作製する。そして、生じた二本鎖cDNAを(例えば、完全長のcDNAのライブラリーを生成するために)使用することができる。例えば、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを完全長の第一鎖cDNAをテンプレートとして用いて作製したり、完全長の二本鎖cDNA(完全長のcDNAが挙げられる。)を作製したり、(例えば、cDNA末端のランダムな増幅(random amplification of cDNA ends(5’RACE))のような方法によって、または配列決定法によって)真核生物のmRNAの5’末端を特定したりするために、従来技術のオリゴキャッピング法は、m7GによってキャッピングされたRNAへ5’ライゲーションによりタグを付加するに有用である。
しかし、従来技術における現在のオリゴキャッピング法および他の方法は問題点を有している。この問題点の1つは、APの工程が、5’三リン酸基または5’一リン酸基を有する全RNA分子の5’末端を5’ヒドロキシル基へ変更することである(例えば、国際公開第0104286号パンフレットの図2参照)。これにより、5’一リン酸化(monophosphorylated)されたRNA分子(例えばmiRNA)がAPの工程によって脱リン酸化されてしまい、脱リン酸化後のRNA分子は、RNAリガーゼによってアクセプタのオリゴヌクレオチドとライゲーションするためのドナーとしての役割を果たすことができないので、ある種の適用分野にとってAP工程は有利である。しかし、また、APの工程によって、キャッピングされていないmRNA分子および(機能的意義を有しているかもしれない)キャッピングされていない非翻訳の一次RNA分子が脱リン酸化されてしまい、脱リン酸後のRNA分子は、アクセプタのオリゴヌクレオチドとライゲーションするためのドナーとしての役割を果たすことができなくなってしまう。従来技術では、サンプル中の5’三リン酸化されたキャッピングされていないRNA分子(キャッピングされていないmRNAおよびキャッピングされていない非翻訳の一次RNA)を選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための方法、ならびに5’ライゲーションによりタグを付加された5’一リン酸化RNA分子がサンプル中にないときに、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA分子をcDNAへ変換するための方法が必要とされている。
さらに、従来技術では、RNAの一次転写産物から5’三リン酸基を除去することもなく、5’一リン酸基を有するこれらのRNA分子を選択的に脱リン酸化するための方法が必要とされている。また、望まれないRNAがアクセプタのオリゴヌクレオチドによって5’ライゲーションによりタグを付加されないように、望まれないRNAの5’一リン酸基を選択的に5’ヒドロキシル基へと消化することができる酵素の組成物を使用する、方法、組成物およびキットが必要とされている。このように、RNAの5’モノホスファターゼの酵素の組成物を使用する、方法、組成物およびキットが必要とされている。
さらに、従来技術にて公知の方法は、m7GによってキャッピングされたRNA分子を選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するために使用することができる。このため、キャッピングされたRNA分子も含有しているサンプル中にて、キャッピングされていない一次RNA分子を選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための良好な方法が現在のところ存在しない。これは悲しむべきことである。というのも、真核生物のキャッピングされていない一次RNAは、細胞の生物学的な活性(遺伝子発現の調節が挙げられる。)に役割を果たすと考えられており、この一次RNAを特異的にオリゴキャッッピングし(すなわち、「5’ライゲーションによりタグを付加し」)、そして、研究することが望まれているからである。それ故、従来技術では、真核生物のキャッピングされたRNA分子も含有しているサンプル中にて、真核生物のキャッピングされていない一次RNA分子を選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための方法がさらに必要とされている。
一般に、細菌のmRNA分子はキャッピングされていない。しかし、悲しむべきことに、キャッピングされたRNA分子も含有しているサンプル中にて、キャッピングされていない一次RNA分子のみを選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための良好な方法が従来技術において現在のところ存在しない。このため、真核細胞と関係する病原性の原核生物(マイコプラズマなど)または共生の原核生物(Rhizobiumなど)の遺伝子の発現を研究することが困難である。従来技術では、(例えば、発病のプロセスまたは共生のプロセスの間の原核生物の遺伝子の発現を研究するために)真核生物のキャッピングされたmRNA分子に5’ライゲーションによりタグを付加することなく、原核生物の5’ポリリン酸化されたRNA(真核細胞に存在するか、真核細胞と関係する、細菌またはマイコプラズマ(真核細胞と関係する病原性または共生の原核生物など)のキャッピングされていない一次RNA分子が挙げられる。)に選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための方法が必要とされている。
従来技術では、実用的な目的のために(例えば、医学的または産業的に応用される酵素またはタンパク質を発現するRNA転写産物を特定するために)RNA分子を取得したり、特定したり、特徴付けたり、クローン化したり、発現させたり、研究したり、活用したりするために、種々の環境(例えば、土壌、海、湖、河および他の環境(温度、pH、元素または化合物の含有量あるいは他の性質が異なるか、極端である条件を有する環境が挙げられる。))からのサンプル中の原核生物の一次RNA分子に選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための方法がさらに必要とされている。例えば、従来公知の方法(例えば、J. Frias-Lopez et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105: 3805-3810, 2008に記載の方法)よりも、容易であり、効率的であり、メタトランスクリプトミック(metatranscriptomic)な調査および探究により良好なデータを提供する、5’ライゲーションによりタグを付加する方法が必要とされている。
このように、従来技術では、サンプル中の、望まれないRNA分子に5’ライゲーションによりタグを付加することなく、望まれるRNA分子を選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための方法が必要とされている(例えば、キャッピングされていないRNAおよびキャッピングされたRNAの両方を含有しているサンプル中にて、キャッピングされたRNA分子ではなく、キャッピングされていない一次RNA分子を選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための方法が必要とされている)。
本発明よりも前には、真核生物のキャッピングされたmRNAも消化することなく、一次RNA(キャッピングされていない真核生物の一次RNAなど)または細菌のmRNAの5’三リン酸を、5’一リン酸へ選択的に消化する酵素を用いる方法が従来技術として知られていない。よって、従来技術において知られるオリゴキャッピング法は、キャッピングされていない真核生物の一次RNAおよび/または原核生物の完全長のmRNAからcDNAを選択的に合成したり、キャッピングされていない完全長の真核生物の一次RNAおよび/または原核生物のmRNAから調製されたcDNAをクローン化したり、キャッピングされていない完全長の真核生物の一次RNAおよび/または原核生物のmRNAからのRNAを増幅したり、あるいはキャッピングされたRNA分子も含有しているサンプル中にて、キャッピングされていない完全長の真核生物の一次RNAおよび/または原核生物のmRNAの正確な5’末端の捕捉および特定をしたりするために使用することができない。従来技術では、所定の条件下においてキャッピングされていない一次RNAの5’三リン酸基を一リン酸基へ消化することができ、キャッピングされたRNAの5’末端を消化しない酵素組成物を使用する、方法、組成物およびキットが必要とされている。したがって、RNA5’ポリホスファターゼの酵素組成物を使用する、方法、組成物およびキットが必要とされている。
従来技術では、任意の所望の集団のRNA分子をRNAリガーゼを用いてアクセプタのオリゴヌクレオチドによって5’ライゲーションによりタグを付加したり、完全長の所望のRNA(例えば、完全長のキャッピングされた真核生物のRNA、完全長のキャッピングされていない真核生物の一次RNA、および/または完全長の原核生物の一次mRNA)からcDNAを合成したり、このcDNAをクローン化したり、上記RNAを増幅したり、(例えば、cDNA末端のランダムな増幅(random amplification of cDNA ends(5’RACE))、エキソンアレイ(exon array)または他のマイクロアレイのような方法によって、あるいは配列決定法によって)上記所望のRNAの正確な5’末端の捕捉および特定をしたりするために、RNA5’ポリホスファターゼの酵素の組成物および/またはRNA5’モノホスファターゼの酵素の組成物(従来技術にて公知の他の1つ以上の酵素と組み合わせされた組成物が挙げられる。)を使用する、方法、組成物およびキットが必要とされている。特定のタイプのRNA分子からタグを付加されたDNAフラグメントを作製したり、核酸の増幅に使用したり、(例えば、マイクロアレイまたはqPCRを用いて)発現を分析するために標識された標的を作製したり、次世代の配列決定法のためのテンプレートとして使用したりするための良好でより効率的な方法が必要とされている。
〔本発明の要旨〕
いくつかの実施形態において本発明は、サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法を提供する。この方法は、(i)5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAを含有しているサンプルであって、5’一リン酸基を有するRNAおよび/またはキャッピングされたRNAおよび/または5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有していること含んでいるサンプル、(ii)RNA5’ポリホスファターゼ、(iii)タグを示すアクセプタのオリゴヌクレオチド、および(iv)RNAリガーゼを提供する工程(A)、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、このサンプルをRNA5’ポリホスファターゼと接触させる工程(B)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、キャッピングされたRNAではなく、5’一リン酸基を有するRNAに連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(C)、を包含している。
他の実施形態において、本発明では、工程(A)にて提供されたサンプルが5’一リン酸基を有するRNAをさらに含有しているが、アクセプタのオリゴヌクレオチドは、工程(B)にて5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAから変換された5’一リン酸基を有するRNAにのみ連結され、工程(A)にて提供されたサンプル中に既に存在する5’一リン酸基を有するRNAには連結されない。この方法は、RNA5’モノホスファターゼを提供するサブ工程、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’モノホスファターゼと工程(B)の前に接触させるサブ工程、ならびにRNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去するサブ工程をさらに包含している。
他の実施形態において、本方法は、サンプル中のキャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加する工程をさらに包含している。本方法は、核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素を提供するサブ工程、ならびにサンプル中のキャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換され、これによって、工程(A)にて提供されたサンプル中に含有されているキャッピングされたRNAにも工程(C)にて5’ライゲーションによりタグが付加される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルを核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素と工程(C)の前に接触させるサブ工程、をさらに包含している。
いくつかの実施形態において、本発明は、サンプル中のキャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法を提供する。この方法は、(i)キャッピングされたRNAを含有しており、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAおよび/または5’一リン酸基を有するRNAおよび/または5’ヒドロキシル基を有するRNAを必要に応じて含有しているサンプル、(ii)RNA5’ポリホスファターゼ、(iii)RNA5’モノホスファターゼ、(iv)核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素、(v)アクセプタのオリゴヌクレオチド、および(vi)RNAリガーゼを提供する工程(A)、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’ポリホスファターゼと接触させる工程(B)、5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをRNA5’モノホスファターゼと接触させる工程(C)、RNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去する工程(D)、工程(D)のサンプル中のキャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(D)の後のサンプルを核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素と接触させる工程(E)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、工程(E)にて生成された5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結され、工程(B)にて5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAから変換された5’一リン酸基を有するRNAまたは工程(A)にて提供されたサンプル中に既に存在する5’一リン酸基を有するRNAには連結されずに、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAがキャッピングされたRNAから生成される条件で十分な時間にわたって、工程(E)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(F)を包含している。
ある実施形態において、本発明は、キャッピングされたRNAおよび/または5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法を提供する。この方法は、(i)キャッピングされたRNAおよび/または5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAを含有しているサンプル、(ii)核酸に対するピロホスファターゼ、(iii)アクセプタのオリゴヌクレオチド、および(iv)RNAリガーゼを提供する工程(A)、キャッピングされたRNAおよび5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、アルカリホスファターゼと接触されていないサンプルを核酸に対するピロホスファターゼと接触させる工程(B)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(C)、を包含している。
特定の実施形態において、工程(A)にて提供されたサンプルが5’一リン酸基を有するRNAをさらに含有しているが、アクセプタのオリゴヌクレオチドは、工程(B)にて、キャッピングされたRNAから、および/または5’ポリリン酸基を有し、キャッピングされていないRNAから、変換された5’一リン酸基を有するRNAにのみ連結され、工程(A)にて提供されたサンプル中に既に存在する5’一リン酸基を有するRNAには連結されない。この方法は、RNA5’モノホスファターゼを提供するサブ工程、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’モノホスファターゼと工程(B)の前に接触させるサブ工程、ならびにRNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去するサブ工程、をさらに包含している。
さらなる実施形態において、本発明は、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することなく、サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法を提供する。この方法は、(i)5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAおよび5’一リン酸基を有するRNAを含有しているサンプル、(ii)キャッピング酵素、(iii)RNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼ、(iv)核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素、(v)アクセプタのオリゴヌクレオチド、および(vi)RNAリガーゼを提供する工程(A)、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAがキャッピングされたRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをキャッピング酵素と接触させる工程(B)、5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをRNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼと接触させる工程(C)、工程(C)にて用いたRNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼを不活性化または除去する工程(D)、キャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(D)の後のサンプルを核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素と接触させる工程(E)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(E)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(F)を包含している。
いくつかの実施形態において、工程(A)にて提供されたサンプルは、キャッピングされたRNAをさらに含有しており、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAは、工程(A)のサンプルに提供されたキャッピングされたRNA、および工程(B)においてキャッピングされる、サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAの両方から生成される。
特定の実施形態において、本発明は、サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することなく、サンプル中のキャッピングされたRNAおよび5’一リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法を提供する。この方法は、(i)キャッピングされたRNA、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAおよび5’一リン酸基を有するRNAを少なくとも含有しているサンプル、(ii)デキャッピング酵素、(iii)アクセプタのオリゴヌクレオチド、および(iv)RNAリガーゼを提供する工程(A)、キャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをデキャッピング酵素と接触させる工程(B)、アクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結され、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(C)、を包含している。
他の実施形態において、本発明は、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAまたは5’一リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することなく、サンプル中のキャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法を提供する。この方法は、(i)キャッピングされたRNA、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA、5’一リン酸基を有するRNA、および/または5’ヒドロキシル基を有するRNAを含有しているサンプル、(ii)RNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼ、(iii)デキャッピング酵素、(iv)アクセプタのオリゴヌクレオチド、および(v)RNAリガーゼを提供する工程(A)、RNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼが活性化され、RNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼが触媒する反応が完了され得る条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼと接触させる工程(B)、工程(B)にて用いたRNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼを不活性化または除去する工程(C)、キャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(C)からのサンプルをデキャッピング酵素と接触させる工程(D)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が工程(D)にてキャッピングされたRNAから生成された5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(D)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(E)、を包含している。
他の実施形態において、本方法は、ポリAポリメラーゼおよびATPを提供する工程、ならびにポリ(A)テールがサンプル中のRNA分子の3’末端に付加されて、ポリ(A)テールを有するRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、サンプルをポリAポリメラーゼおよびATPと接触させる工程を包含している。
特定の実施形態において、サンプルは、第1のタイプの細胞、第1の状態の細胞、または第1の環境からの細胞に由来するRNAを含有している第1のサンプルを含んでいる。本方法は、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAから、第2のタイプの細胞、第2の状態の細胞、または第2の環境からの細胞に由来する第2のサンプル中にも存在するRNAを除き、これにより、第1のサンプル中のみに存在するが、第2のサンプル中には存在しないRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA分子の集団を生成することをさらに包含している。この方法は、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、および第2のタイプの細胞、第2の条件の細胞、または第2の環境からの細胞に由来するRNAを含有している第2のサンプルを提供する工程(i)、第2のサンプル中のRNAを逆転写することによって第一鎖cDNAを調製する工程(ii)、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAと第2のサンプルからのRNAから調製された第一鎖cDNAとの間に、ハイブリダイズした複合体が形成される条件で十分な時間にわたって、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを第2のサンプルからのRNAから調製された第一鎖cDNAとアニールさせる工程(iii)、ならびに、cDNAがアニールしたRNAが消化され、第1のサンプル中にのみ存在するが、第2のサンプル中には存在しないRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAからなる、除かれた5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、ハイブリダイズした複合体をRNaseHによって処理する工程(iv)を包含している。
さらなる実施形態において、第1のサンプル中のRNAから5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成するために工程(A)にて提供されたアクセプタのオリゴヌクレオチドは、親和性分子を含んでいる。本方法は、親和性分子に結合可能な親和性に基づき結合する物質が付着している固体表面を提供する工程、ならびに第1のサンプルからの5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが、親和性に基づき結合する物質が付着している固体表面に結合されて、第1のサンプル中のRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが固体表面に捕捉される条件で十分な時間にわたって、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを固体表面と、工程(iv)の前または後のどちらか一方において接触させる工程、を包含している。
いくつかの実施形態において、本方法は、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAから第一鎖cDNAを合成する工程を包含している。この方法は、RNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的な第一鎖cDNA(first-strand cDNA)が合成される条件で十分な時間にわたって、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAをRNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程を包含している。このような方法としては、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的な、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーを提供する工程、ならびに5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的なcDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを第一鎖cDNAを合成するためのプライマーおよびRNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程をさらに包含している方法が挙げられる。例えば、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーが配列を含んでおり、この配列の少なくとも3’末端は、(1)インビボにおける細胞またはインビトロのどちらかにおいて、サンプル中のRNAの3’末端または5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAの3’末端に転写後に付加されたホモポリマーの配列に対して相補的な配列、(2)1つ以上のRNA分子の3’末端における公知の配列に対して相補的な配列、(3)1つ以上のRNA分子の1つ以上の内部配列に対して相補的な配列、(4)全ての可能な配列の集合であって、各配列がランダムである集合、(5)ポリ(A)テールに対して相補的な配列(ポリ(A)テールは、オリゴ(dT)nの配列、オリゴ(dU)nの配列、オリゴ(U)nの配列、オリゴ(dT)nXのアンカー配列(anchored sequence)、オリゴ(dU)nXのアンカー配列、およびオリゴ(U)nXのアンカー配列の中から選択される。)、ならびに、(6)サンプル中のRNAの3’末端または5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAの3’末端に付加されたオリゴヌクレオチドのタグに対して相補的な配列、からなる群より選択される配列を示し、ならびに/あるいは第一鎖cDNAを合成するためのプライマーは、特定の5’配列をさらに示す。特定の5’配列は、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーの3’末端に示される配列の5’である。特定の5’配列は、この特定の5’配列に対して相補的な特定の3’配列を示す第二鎖cDNAを合成するためのテンプレートとして機能することができ、第二鎖cDNAの特異的なプライミングのための部位を提供する。
特定の実施形態において、本方法は、RNaseHおよびRNaseIを提供する工程、ならびにRNAが消化される条件で十分な時間にわたって、第一鎖cDNAを含有しているサンプルをRNaseHおよびRNaseIと接触させる工程をさらに包含している。他の実施形態において、本方法は、DNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、ならびに二本鎖cDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、第一鎖cDNAをDNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程をさらに包含している(このような方法としては、工程(A)にて提供されたアクセプタのオリゴヌクレオチドに対して相補的な第一鎖cDNAの一部に対して相補的な第二鎖cDNAを合成するためのプライマーおよびDNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、ならびに、二本鎖cDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、第二鎖cDNAを合成するためのプライマーおよびDNA依存的なDNAポリメラーゼを第一鎖cDNAと接触させる工程をさらに包含している方法が挙げられる。DNA依存的なDNAポリメラーゼは、第一鎖cDNAを合成するために提供されたRNA依存的なDNAポリメラーゼと同一であるか、またはDNA依存的なDNAポリメラーゼは、第一鎖cDNAを合成するために提供されたRNA依存的なDNAポリメラーゼと異なる。
特定の実施形態において、アクセプタのオリゴヌクレオチドの5’部分、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分、または第二鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分は、RNAポリメラーゼ用の二本鎖プロモータの一鎖に関する配列を示す。本方法は、RNAポリメラーゼ用の二本鎖プロモータを用いてRNAを合成し得るRNAポリメラーゼを提供する工程、RNAが合成される条件で十分な時間にわたって、二本鎖cDNAをRNAポリメラーゼと接触させる工程をさらに包含している。この方法では、RNAポリメラーゼ用の二本鎖プロモータの一鎖に関する配列がアクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAを合成するためのプライマー、または第二鎖cDNAを合成するためのプライマーにおいて示される。
いくつかの実施形態において、アクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAのプライマー、または第二鎖cDNAのプライマーは、親和性分子を含んでいるか、または親和性分子に連結されている。そして、本方法は、親和性分子に特異的に結合可能な親和性に基づき結合する物質によって共有結合的または非共有結合的にコーティングされた固体表面を提供する工程、ならびに、親和性分子が、固体表面に連結された親和性に基づき結合する物質と結合される条件で十分な時間にわたって、親和性分子に化学的に連結された、アクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAのプライマーまたは第二鎖cDNAのプライマーを、アクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAのプライマーまたは第二鎖cDNAのプライマーが関与する工程の前または後のどちらか一方において、接触させる工程をさらに包含している。
さらなる実施形態において、合成されたそれぞれの5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNA、または第二鎖cDNAは親和性分子を含んでおり、親和性分子を含んでいる5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNA、または第二鎖cDNAは、この親和性分子を固定表面に結合されることによって捕捉、単離または精製される。この方法は、親和性分子を含んでいる、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNAまたは第二鎖cDNAを固体表面と、親和性分子と固体表面に付着した親和性に基づき結合する物質との結合が促進される試薬の存在下およびこの結合が促進される条件において接触させて、親和性分子を含んでいる、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNAまたは第二鎖cDNAをこの表面に結合させ、これによって、親和性分子を含んでいる、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNAまたは第二鎖cDNAを捕捉、単離または精製する工程を包含している。このような方法では、親和性分子がビオチンであり、親和性に基づき結合する物質がアビジンまたはストレプトアビジンであるか、親和性分子がジゴキシゲニンであり、親和性に基づき結合する物質がジゴキシゲニンに特異的に結合する抗体であることが挙げられる。
いくつかの実施形態において、本方法は、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキットを提供する。このキットは、RNA5’ポリホスファターゼ(RPP)と、RNA5’モノホスファターゼ(RMP)、アルカリホスファターゼ(AP);核酸に対するピロホスファターゼ;デキャッピング酵素;キャッピング酵素;リガーゼ;アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド;ポリAポリメラーゼ;ポリUポリメラーゼ;RNA依存的なDNAポリメラーゼ(RT);第一鎖cDNAを合成するためのプライマー;RNaseH;第二鎖cDNAを合成するためのプライマー;RNAポリメラーゼ(RNAP);5’エキソリボヌクレアーゼ(Xrn);ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK);および5’三リン酸基または5’二リン酸基を有するRNA分子であって、これらの基のβまたはγのリン酸が標識されているもの、からなる群より選択される少なくとも1つの他の成分とを備えている。あるいは、このキットは、RNA5’モノホスファターゼ(RMP)(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE))と、RNA5’ポリホスファターゼ(例えば、アルミニウム誘導性のRNA5’ポリホスファターゼ(例えば、E. coliのRNA5’ポリホスファターゼI(RPPI)、EPICENTRE、またはShigellaのRNA5’ポリホスファターゼI)))、アルカリホスファターゼ(例えば、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB、Cleveland、OH)、またはアークティック(Arctic)のアルカリホスファターゼ(New England Biolabs ,MA);核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)、EPICENTRE);デキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、およびポックスウイルスまたはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素(例えば、ワクシニアウイルスのデキャッピング酵素D9およびD10))、キャッピング酵素(例えば、ポックスウイルスのキャッピング酵素、Saccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素、またはSCRIPTCAP(登録商標)キャッピング酵素のキット、(EPICENTRE));RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126RNAリガーゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド;ポリAポリメラーゼ(例えば、例えば、E. coliのポリAポリメラーゼ、EPICENTRE);RNA依存的なDNAポリメラーゼ(RT)(例えば、SUPERSCRIPT RT(Invitrogen, Carlsbad, CA)、AMV RT、MMLV RT(EPICENTRE));第一鎖cDNAを合成するためのプライマー;RNaseH (例えば、E. coliのRNaseHまたはHYBRIDASE(登録商標)RNaseH、EPICENTRE);第二鎖cDNAを合成するためのプライマー;RNAポリメラーゼ(RNAP)(例えば、T7型のRNAP(例えば、T7RNAP)、T3RNAP、またはSP6RNAP、EPICENTRE);5’エキソリボヌクレアーゼ(例えば、TERMINATOR(登録商標)5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼ(phosphate-dependent exonuclease)またはSaccharomyces cerevisaeのXrnIエキソリボヌクレアーゼ(XrnI)、EPICENTRE);ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)(例えば、T4PNK、EPICENTRE);および5’三リン酸基または5’二リン酸基を有するRNA分子であって、これらの基のβまたはγのリン酸が標識されているもの、からなる群より選択される少なくとも1つの他の成分とを備えている。また、本キットは、RPPが、アルミニウム誘導性のRPP、E. coliのRPPI、およびShigellaのRPPIの中から選択され、上述した少なくとも1つの他の成分が、キットに備えられている場合、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1)であるRMP;APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ、シュリンプのアルカリホスファターゼおよびアークティックのアルカリホスファターゼの中から選択されるAP;タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)である核酸に対するピロホスファターゼ;酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、ポックスウイルスのデキャッピング酵素およびワクシニアウイルスのデキャッピング酵素(例えば、ワクシニアウイルスのデキャッピング酵素D9およびD10)の中から選択されるデキャッピング酵素;ポックスウイルスのキャッピング酵素、Saccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素およびSCRIPTCAP(登録商標)キャッピング酵素の中から選択されるキャッピング酵素;T4RNAリガーゼおよびバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼの中から選択されるRNAリガーゼ;E. coliのポリAポリメラーゼおよびSaccharomyces cerevisiaeのポリAポリメラーゼの中から選択されるポリAポリメラーゼ;SUPERSCRIPT(登録商標)RT、AMV RTおよびMMLV RTの中から選択されるRT;E. coliのRNaseHおよびHYBRIDASE(登録商標)RNaseHの中から選択されるRNaseH;T7型のRNAP、T7RNAP、T3RNAPおよびSP6RNAPの中から選択されるRNAP;TERMINATOR(登録商標)5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼおよびSaccharomyces cerevisaeのXrnIエキソリボヌクレアーゼ(XrnI)の中から選択される5’エキソリボヌクレアーゼ;またはT4PNKであるPNK、からなる群より選択されることを含んでいる。
他の実施形態において、本発明は、サンプル中の2’OMe−RNA分子の3’末端にポリ(A)テールを付加するための方法を提供する。2’−OMe基は、このRNA分子の3’末端のヌクレオチドに存在する。この方法は、少なくとも1つのモノヌクレオチド−5’−ホスフェート残基(5’−XMP)(例えば、5’−AMP)が2’OMe−RNA分子の3’末端に連結される条件で十分な時間にわたって、サンプルを、アデニル化されたモノヌクレオチド(A5’pp5’X)(例えば、アデニル化されたアデノシン5’モノホスフェート、すなわちアデニル化されたジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A))およびT4RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2、あるいは切断されたT4RNAリガーゼ2)とインキュベートする工程(A)、ならびに、次いで、少なくとも1つのモノヌクレオチド−5’−ホスフェート残基(5’−XMP)(例えば、5’−AMP)が3’末端に連結された2’OMe RNA分子の3’末端にポリ(A)テールが付加される条件で十分な時間にわたって、工程(A)からのサンプルをポリメラーゼおよびATPと接触させる工程(B)を包含している。
いくつかの実施形態において、本発明は、ホモポリヌクレオチドのテール(すなわち、ポリ(X)テール)(例えばポリ(A)テール)を、サンプル中の目的のRNA分子(3’末端のヌクレオチド上に2’OMe基を有する目的のRNA分子、または3’末端のヌクレオチド上に2’OMe基を欠いた目的のRNA分子が挙げられる。)の3’末端に付加するための方法を提供する。この方法は、ライゲーションのドナーであるアデニル化された5’−モノヌクレオチドの(A5’pp5’X)(例えば、A5’pp5’A))からの5’−モノヌクレオチド(5’−XMP)残基が、複数回、連続的にライゲーションによって移動された結果として、ホモポリマーのテール(ポリ(X)テール)(例えば、ポリ(A)テール)が目的のRNA分子の3’末端に付加される条件で十分な時間にわたって、サンプルを、過剰なモル濃度のアデニル化された5’−モノヌクレオチド(A5’pp5’X)(例えば、アデニル化されたアデノシン−5’−モノホスフェート、すなわちジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A))およびT4RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2または切断されたT4RNAリガーゼ2)とインキュベートする工程を包含している。
〔図面の説明〕
図1は、RNA5’ポリホスファターゼによって触媒される反応の例を示す図である。
図2は、種々の5’末端の基を有するRNAの基質に対する酵素の活性を示す図である。
図3は、図2に示した酵素によるRNA基質の反応を示す図である。
図4は、E. coliのRNA5’ポリホスファターゼの、DNA配列およびアミノ酸配列を示す図である。
〔発明の説明〕
本発明は、研究、ヒトまたは非ヒトの診断的応用、あるいはヒトまたは非ヒトの治療的応用に使用するための、所望のクラスまたはタイプの1つ以上のRNA分子の5’末端にタグを選択的に付加するための新規な方法、組成物およびキットに関する。各RNAのクラスは、特定の化学的な部分または基をRNA分子の5’ヌクレオチドの5’の位置に有しているRNA分子からなる。「5’ライゲーションによりタグを付加する」と称される本方法の選択性は、1つ以上の特異的な酵素によってもたらされる。この酵素は、単独でまたは組み合わされて、所望のクラスのRNA分子のみを5’一リン酸を有するRNA分子へ選択的に変換する。5’一リン酸を有するRNA分子は、その後、RNAリガーゼを用いてアクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)に連結されるためのドナーとしての役割を果たすことができる。他の1つ以上の特異的な酵素は、単独でまたは組み合わされて、望まれないクラスのRNA分子のみを5’ヒドロキシルを有するRNA分子へ選択的に変換するが、5’ヒドロキシルを有するRNA分子は、アクセプタのオリゴヌクレオチドに連結されるためのドナーとしての役割を果たすことができない。例えば、新規の方法は、本出願人によって発見された新規の新しいクラスの酵素であるRNA5’ポリホスファターゼ(RPP)を用いて5’−キャッピングされたRNAでなく、5’三リン酸を有するRNAを5’一リン酸を有するRNAへ選択的に変換し、次いで、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドを用いて、5’一リン酸を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することについて開示している。また、出願人によって発見された本方法は、RNA5’モノホスファターゼ(RMP)を用いて、5’三リン酸を有するRNAでなく、5’一リン酸を有するRNAを、ライゲーションのドナーとしての役割を果たすことができない5’ヒドロキシルを有するRNAへ選択的に変換することについて開示している。いくつかの実施形態において、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAは、(例えば、DNAの配列決定法のための、タグを付加されたテンプレートとして用いたり、クローン化、増幅または他の応用のための完全長のcDNAを作製したりするために)タグを付加された第一鎖cDNAまたは二本鎖cDNAを合成するためのテンプレートとして使用される。DNAの配列決定法には、例えば、Roche 454、Illumina Solexa、または他の超並列的な配列決定用プラットホーム、あるいは“次世代”の配列決定用プラットホームが用いられる。いくつかの実施形態において、二本鎖cDNAは、RNAポリメラーゼのプロモータを含んでいる。この場合、本方法は、例えば、RT−qPCTに使用するため、マイクロアレイによる発現分析、プロモータの特定、RNAのプロセシングの分析、および5’RACEまたは3’RACEのための標的として使用するために、増幅されたセンスRNAまたはアンチセンスRNAを合成することをさらに包含している。
いくつかの実施形態において、本方法は、本出願人によって発見された、あるクラスの酵素(RNA5’ポリホスファターゼ)を使用する方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、本出願人が設計した新規の細菌RNA5’ポリホスファターゼ酵素(RPP)(「RNA5’ポリホスファターゼI」(「RPPI」))を使用する方法を提供する。タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)とは異なり、RNA5’ポリホスファターゼは、キャッピングされたRNA(例えば、m7GによってキャッピングされたRNA)の三リン酸の架橋を消化せずに、5’三リン酸化RNA(5'-triphosphorylated RNA)または5’二リン酸化RNA(5'-diphosphorylated RNA)を5’一リン酸基を有するRNAへ変換する(図1)。キャッピングされていない一次RNAまたは5’二リン酸化RNAをRNA5’ポリホスファターゼによって処理した後に、RNAリガーゼを用いて、β、γのリン酸基が脱リン酸化されたRNAに、アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)をタグとして付加することができる。
我々は、5’一リン酸基を有するRNAを5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換するための、RNA5’モノホスファターゼ(RMP)の新規な使用を本明細書においてさらに開示する。RMPは、5’一リン酸を有するRNA(例えば、ほとんどの真核生物の「マイクロRNA」、すなわち「miRNA」)を5’ヒドロキシルを有するRNAへ変換する。その結果、5’ヒドロキシルを有するRNAは、ライゲーションのためのドナーとしての役割を果たすことができず、5’ライゲーションによってタグを付加されない。miRNAに加えて、大部分のリボソーマルRNA(rRNA)(18Sおよび26S、または28Sの真核生物のrRNA、あるいは16Sおよび23Sの原核生物のrRNAなど)も、5’一リン酸基を有している。出願人は、RMP1がこれらのrRNA分子から5’一リン酸基を除去し、この目的に使用することができることを見出した。しかし、出願人が見出した他のある方法は、ほとんどのサンプル中における大量のrRNA(例えば、rRNAは、ほとんどの細胞中において総RNAの約95〜98%を占める。)を除去するためのRMPによる処理よりも、より効率的である。よって、いくつかの好ましい実施形態において、rRNAは、本発明の方法において使用されるために提供されたサンプルから(例えば、Invitrogen Life Technologiesからの、RIBOMINUS(登録商標)キットを用いて)除去される。5’ライゲーションによるタグの付加に使用されるために提供されたサンプルが実質的にrRNAを含有しないようにする代わりの方法を用いてrRNAを除去することによって、ユーザーは、本方法を用いて、サンプル中にあまり存在しない5’−一リン酸を有する他のRNA分子(例えばmiRNA)に5’ライゲーションによりタグをより効果的に付加することができる。それ故、本明細書において得に言及しない限り、いくつかの好ましい実施形態において、5’一リン酸化rRNA分子は、本発明の方法の工程(A)にて提供されたサンプルから実質的に除去されていることを理解される。
RPPおよびRMPは、特定の基を5’末端に有するRNA分子の実質的に任意の所望の集団を、5’一リン酸基を有するRNAへ変換するために、従来技術において既に公知の他の酵素と組み合わせて用いることができ、次いで、5’一リン酸基を有するRNAに、RNAリガーゼを用いてアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドと5’ライゲーションによりタグを付加することができる(例えば図2参照)。また、RPPおよびRMPは、特定の基を5’末端に有するRNA分子の実質的に任意の所望の集団を、5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換するために、単独でまたは従来技術において既に公知の他の酵素と組み合わせて用いることができる。5’ヒドロキシル基を有するRNAには、RNAリガーゼを用いてアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドと5’ライゲーションによりタグを付加することができない。このように、単独でまたは従来技術において既に公知の他の酵素と組み合わせて用いられるRPPおよびRMPは、5’末端の基の性質に基づいて、RNA分子の所望の集団に、高選択的に5’ライゲーションによりタグを付加するための新規な方法を提供する(例えば、図3参照)。本方法の種々の実施形態を以下に示す。しかし、当業者は、本明細書の記載に基づいて、RPPまたはRMPを、RNAの5’末端を修飾する従来公知の他の酵素と組み合わせて用いて、特定の集団のRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための他の方法を知ったり、理解したりする。このような他の方法の全ては本発明の範囲に含まれる。
本発明の方法1は、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAに、5’ライゲーションによりタグを付加するための方法である。この方法は、(i)5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、5’三リン酸基を有するRNAまたは5’二リン酸基を有するRNA)を含有しているサンプル、(ii)RNA5’ポリホスファターゼ(例えば、Escherichia coliのRPPIまたはShigellaのRPPI)、(iii)アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)、ならびに(iv)RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)を提供する工程(A)、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’ポリホスファターゼと接触させる工程(B)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成する条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(C)、を包含している。
方法1のいくつかの実施形態において、工程(A)において提供されたサンプルは、望まれない5’一リン酸基を有するRNA(例えば、miRNA)をさらに含有しており、工程(B)において5’ポリリン酸基を有するRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ変換する前に、または工程(C)においてアクセプタのオリゴヌクレオチドをRNAに連結する前に、本方法は、RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1、すなわちRMP1(EPICENTRE Technologies, Madison, WI))を提供する工程、および望まれないRNAを含有しているサンプルをRNA5’モノホスファターゼと接触させて、望まれない5’一リン酸基を有するRNAを脱リン酸化し、5’ヒドロキシル基を有するRNA生成する工程をさらに包含している。5’ヒドロキシル基を有するRNAは、アクセプタのオリゴヌクレオチドに連結されない(すなわち、5’ライゲーションによりタグを付加されない)。
したがって、本発明の方法2は、工程(A)において、サンプルが5’一リン酸基を有するRNAをさらに含有していること、工程(A)が、RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RMP1)を提供することをさらに包含していること、ならびに工程(B)が、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’モノホスファターゼと、サンプルをRNA5’ポリホスファターゼと接触させる前に接触させるサブ工程、およびRNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去するサブ工程をさらに包含していること、を除いて方法1と同一である。
方法1または方法2のいくつかの実施形態において、工程(A)において提供されたサンプルは、キャッピングされたRNAまたは5’ヒドロキシル基を有するRNAからなる望まれないRNAをさらに含有している。望まれないRNAは、工程(B)において5’一リン酸基を有するRNAへ変換されず、工程(C)において、オリゴヌクレオチドのアクセプタに連結されず、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが取得されない。
方法1または方法2のいくつかの実施形態(方法3と称する。)において、本方法は、サンプル中のキャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加する工程をさらに包含している。この方法は、核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素を提供するサブ工程、ならびにサンプル中のキャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換されて、これによって、工程(A)において提供されたサンプルに含まれているキャッピングされたRNAにも、工程(C)において5’ライゲーションによりタグが付加される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルを核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素と工程(C)の前に接触させるサブ工程、をさらに包含している。
本発明の方法4では、サンプルは、所望のキャッピングされたRNAを含有しており、必要に応じて、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、真核生物および/または原核生物の5’三リン酸基もしくは5’二リン酸基を有するRNA、またはキャッピングされていないプリmiRNAまたはキャッピングされていないmiRNA前駆体)、および/または5’一リン酸基を有するRNA(例えば、miRNA)を含有している。この方法は、RNA5’ポリホスファターゼを用いて、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ変換し、次いで、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAをRNA5’ポリホスファターゼと接触させることによって得られた5’一リン酸基を有するRNAと、RNA5’ポリホスファターゼによる処理の前から5’一リン酸基を有していたサンプル中のRNAとの両方を、RNA5’モノホスファターゼを用いて脱リン酸化する。このように、サンプル中のキャッピングされていない一次RNAおよび5’一リン酸化RNAを、5’ライゲーションによりタグを付加するための基質でない5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換する。次いで、RNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去した後に、サンプルを核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ)またはデキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはD9およびD10のワクシニアウイルスのデキャッピング酵素)と接触させて、キャッピングされたRNAを、5’ライゲーションによりタグを付加するための5’一リン酸基を有するRNAへ変換する。異なる実施形態において、サンプル中のキャッピングされたRNAは、天然に生じるもの(例えば真核生物のmRNA)であるか、または(例えば原核生物のmRNAを)キャッピング酵素を用いてインビトロにてキャッピングすることによって生成されたもののどちらか一方である。したがって、いくつかの実施形態において、5’ライゲーションによってタグを付加する方法は、(例えば真正細菌の系における)転写開始部位をマッピングするために有用である。現在、従来技術において公知のCAGE法は、原核生物(例えば真性細菌)の転写産物の転写開始部位をマッピングすることができない。従来技術におけるオリゴキャッピング法と比べたときの、本発明の方法4の利点の1つは、必要に応じて、5’一リン酸基を有するRNAを生成する各工程の後に、5’ライゲーションによりタグを付加するためのサンプルからアリコートを採取することによって、サンプル中の(5’末端の性質に基づく)各タイプのRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することができる。この方法は、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAまたはサンプル中の5’一リン酸を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することなく、キャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することができる。
したがって、方法4は、サンプル中のキャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法である。この方法は、(i)キャッピングされたRNA(例えば、m7GによってキャッピングされたRNA)を含有しており、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、5’三リン酸を有するRNAおよび/または5’二リン酸基を有するRNA)および5’一リン酸基を有するRNA(例えば、miRNA)を必要に応じて含有している、サンプル、(ii)RNA5’ポリホスファターゼ(例えば、E. coliのRPPIまたはShigellaのRPPI)、(iii)RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RMP1)、(iv)核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、TAP)またはデキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはD9およびD10のワクシニアウイルスのデキャッピング酵素)、(v)アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)、および(vi)RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)を提供する工程(A)、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’ポリホスファターゼと接触させる工程(B)、5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’モノホスファターゼと接触させる工程(C)、RNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去する工程(D)、サンプル中のキャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルを核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素と接触させる工程(E)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、工程(E)にて生成された5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されるが、工程(B)において5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAから変換された5’一リン酸基を有するRNAまたは工程(A)において提供されたサンプル中に既に存在する5’一リン酸基を有するRNAには連結されずに、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAがキャッピングされたRNAから生成される条件で十分な時間にわたって、工程(E)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(F)を包含している。
方法4のいくつかの実施形態において、サンプルは、工程(F)における5’ライゲーションによるタグを付加されない、5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有している。
本発明の方法5は、キャッピングされたRNAおよびキャッピングされていない一次5’ポリリン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法である。この方法は、(i)キャッピングされたRNA(例えば、m7GによってキャッピングされたRNA)および/または5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、5’三リン酸基または5’二リン酸基を有するRNA)を含有しているサンプル、(ii)核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、TAP)、(iii)アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)、ならびに(iv)RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)を提供する工程(A)、キャッピングされたRNAおよび5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、アルカリホスファターゼと接触していないサンプルを核酸に対するピロホスファターゼと接触させる工程(B)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(C)を包含している。
方法5のいくつかの実施形態において、サンプルは、工程(C)にて5’ライゲーションによりタグを付加される5’一リン酸基を有するRNA、または工程(C)にて5’ライゲーションによりタグを付加されない5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有している。
方法5は、従来技術におけるオリゴキャッピング法と異なっている。というのも、このオリゴキャッピング法は、5’三リン酸を有するRNAを5’ヒドロキシルを有するRNAへAPを用いて変換し、5’ヒドロキシルを有するRNAは、RNAリガーゼを用いた5’ライゲーションによりタグを付加する(オリゴキャッピング)ための基質として使用することができないからである。本方法5の利点は、この方法5が、5’三リン酸を有するRNAおよび5’一リン酸を有するRNAから、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成できることである。その結果、同一性(例えば配列)、(例えば、サンプル内の他のRNA分子と比較したときの、および/または1つ以上の他のサンプル中の他のRNAと比較したときの)5’三リン酸化RNA分子および5’一リン酸化RNA分子の量または相対的な存在量、注釈、および生物学的な機能を分析することができる。キャッピングされていない5’三リン酸を有するRNAまたはキャッピングされていない5’一リン酸を有するRNAは、生物学的に重要な機能を有している可能性がある。一方、従来技術の方法と比較した場合に上記方法の欠点となり得ることは、サンプル中のRNAをAPによって処理する工程がないので、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNA分子にも5’ライゲーションによりタグが付加されてしまい、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA分子が、特定の目的にとって興味のないものになってしまうかもしれないことである。
本発明の方法6は、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することなく、サンプル中のキャッピングされたRNAおよび5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAの両方に、5’ライゲーションによりタグを付加するための方法である。この方法は、キャッピングされたRNA(例えば、m7GによってキャッピングされたRNA)、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、真核生物および/原核生物の5’三リン酸基または5’二リン酸基を有するRNA)、および5’一リン酸基を有するRNA(例えば、miRNA)を含有しているサンプル、(ii)RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RMP1)、(iii)核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、TAP)、(iv)アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)、ならびに(v)RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)を提供する工程(A)、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’モノホスファターゼと接触させる工程(B)、RNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去する工程(C)、キャッピングされたRNAおよび5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(C)からのサンプルを核酸に対するピロホスファターゼと接触させる工程(D)、ならびに、アクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、工程(D)にて生成された5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(D)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる(E)工程を包含している。
方法6のいくつかの実施形態において、サンプルは、工程(E)にて5’ライゲーションによりタグを付加されない、5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有している。
方法6は、従来技術におけるオリゴキャッピング法と異なる。というのも、このオリゴキャッピング法は、5’三リン酸を有するRNAを5’ヒドロキシルを有するRNAへAPを用いて変換し、5’ヒドロキシルを有するRNAは、RNAリガーゼを用いたオリゴキャッピングための基質として使用することができないからである。本方法6の利点は、この方法6が、(生物学的に重要な機能を有しているかもしれない)5’三リン酸基を有するRNAから5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成することである。このように、キャッピングされていない5’三リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することによって、同一性(例えば配列)、他のRNA分子と比較したときの量または相対的な存在量(例えば、別のサンプル中の上記存在量と比較したときのサンプル内の上記存在量)、注釈、および生物学的な機能を分析することができる。本発明の他の利点の1つは、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAを、5’ライゲーションによってタグを付加されない5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換するRNA5’モノホスファターゼを使用することである。よって、この方法は、特定の目的にとって興味のない5’−一リン酸化RNAを除去するために用いることができる。
本発明の方法7は、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することなく、サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法である。この方法は、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、5’三リン酸基を有するRNA(例えば、原核生物のmRNA)または5’二リン酸基を有するRNA)、および5’一リン酸基を有するRNA(例えば、miRNA)を含有しているサンプル、(ii)キャッピング酵素(例えば、SCRIPTCAP(登録商標)キャッピング酵素システム、EPICENTRE)、(iii)RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RMP1、EPICENTRE)またはアルカリホスファターゼ(例えば、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB, Cleveland, OH)、またはアークティックのアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA))、(iv)核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、TAP(EPICENTRE))またはデキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはD9およびD10のワクシニアウイルスのデキャッピング酵素s)、(v)アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)、ならびに(vi)RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)を提供する工程(A)、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAがキャッピングされたRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをキャッピング酵素と接触させる工程(B)、5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをRNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼと接触させる工程(C)、工程(C)にて用いたRNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼを不活性化または除去する工程(D)、キャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(D)の後のサンプルを核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素と接触させる工程(E)、ならびに、アクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(E)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(F)を包含している。
方法7のいくつかの実施形態において、サンプルは、工程(F)における5’ライゲーションによるタグを付加されない、5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有している。
サンプルをキャッピング酵素によって処理することを包含している方法7の工程(B)は、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、5’三リン酸基を有するRNA(原核生物の一次RNAなど)または5’二リン酸基を有するRNA)からキャッピングされたRNAを生成する。次いで、工程(C)において、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNA(例えば、miRNA)を、RNAリガーゼによって5’ライゲーションによりタグを付加されない5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換する。最後に、キャッピングされたRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、TAP)またはデキャッピング酵素を用いて変換し、そしてRNAリガーゼを用いて5’一リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加する。
本発明の方法8は、工程(A)において提供されたサンプルが、キャッピングされたRNA(例えば、m7GによってキャッピングされたRNA(例えば、真核生物のmRNA))をさらに含有していること、および工程(F)において、本方法が、工程(A)のサンプルに提供されたキャッピングされたRNAと、工程(B)にてキャッピングされる、サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAとの両方から5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成することを除いて、1実施形態の方法7を包含している。方法8のいくつかの実施形態において、サンプルは、工程(F)における5’ライゲーションによるタグを付加されない、5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有している。
核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、TAP)が工程(A)にて提供される上述した方法の何れかのいくつかの実施形態(例えば、方法4〜8のいくつかの実施形態)において、本方法は、サンプル中のキャッピングされたRNAおよび5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、キャッピングされたRNAまたは5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAを含有しているサンプルを核酸に対するピロホスファターゼと接触させる工程の後に、核酸に対するピロホスファターゼを不活性化または除去する工程をさらに包含している。特定の実施形態に関して可能であれば、核酸に対するピロホスファターゼを不活性化することが好ましい。核酸に対するピロホスファターゼの不活性化は、反応混合物の条件を反応後に、核酸に対するピロホスファターゼが不活性であるが、本方法の次の工程に用いられる酵素が活性であるという新たな条件に変更することによって実施される。例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)は、50mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)、1mMのEDTA、0.1%のβ−メルカプトエタノールおよび0.01%のTriton X100から構成される反応混合物にて活性である。反応後に、TAPの反応混合物に、リン酸ナトリウム(pH7.8)を終濃度が20mMになるまで添加することによってpHを約7.5に調整する。これによって、TAPを不活性化することができる。もちろん、本方法の次の工程に用いる酵素がこれらの条件下にて活性であることを確認することが重要である。
本発明の方法9は、サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAに、5’ライゲーションによりタグを付加することなく、サンプル中のキャッピングされたRNAおよび5’一リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法である。この方法は、(i)少なくともキャッピングされたRNA、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、5’三リン酸基を有するRNA(例えば、原核生物のmRNA)または5’二リン酸基を有するRNA)、および5’一リン酸基を有するRNA(例えば、miRNA)を含有しているサンプル、(ii)デキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはD9およびD10のワクシニアウイルスのデキャッピング酵素s)、(iii)アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)、ならびに(iv)RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)を提供する工程(A)、キャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをデキャッピング酵素と接触させる工程(B)、ならびにアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(C)を包含している。
方法9のいくつかの実施形態において、サンプルは、工程(C)にて5’ライゲーションによりタグを付加されない、5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有している。
本発明の方法10は、サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAまたは5’一リン酸基を有するRNAに5’ライゲーションによりタグを付加することなく、サンプル中のキャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法である。この方法は、(i)少なくとも、キャッピングされたRNA、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNA(例えば、5’三リン酸基を有するRNA(例えば、原核生物のmRNA)または5’二リン酸基を有するRNA)、5’一リン酸基を有するRNA(例えば、miRNA)、および/または5’ヒドロキシル基を有するRNAを含有しているサンプル、(ii)RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RMP1(EPICENTRE))またはアルカリホスファターゼ(例えば、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB, Cleveland, OH)、またはアークティックのアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA))、(iii)デキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはD9およびD10のワクシニアウイルスのデキャッピング酵素s)、(iv)アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)、ならびに(v)RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)を提供する工程(A)、RNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼが活性化され、RNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼが触媒する反応が完了され得る条件で十分な時間にわたって、サンプルをRNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼと接触させる工程(B)、工程(B)にて用いたRNA5’モノホスファターゼまたはアルカリホスファターゼを不活性化または除去する工程(C)、キャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、サンプルをデキャッピング酵素と接触させる工程(D)、ならびに、アクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、工程(D)にてキャッピングされたRNAから生成された5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(D)からのサンプルをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼと接触させる工程(E)を包含している。
方法10のいくつかの実施形態において、サンプルは、工程(E)にて5’ライゲーションによりタグを付加されない、5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有している。
デキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはD9およびD10のワクシニアウイルスのデキャッピング酵素s)が工程(A)にて提供される上述した方法の何れかのいくつかの実施形態(例えば、方法4および7〜10のいくつかの実施形態)において、本方法は、サンプル中のキャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、キャッピングされたRNAを含有しているサンプルをデキャッピング酵素と接触させる工程の後に、デキャッピング酵素を不活性化または除去する工程をさらに包含している。特定の実施形態に関して可能であれば、デキャッピング酵素を不活性化することが好ましい。デキャッピング酵素の不活性化は、反応混合物の条件を反応後に、デキャッピング酵素が不活性であるが、本方法の次の工程に用いられる酵素が活性であるという新たな条件に変更することによって実施される。もちろん、本方法の次の工程に用いる酵素がこれらの条件下にて活性であることを確認することが重要である。
また、本発明は、方法1〜10のいずれかの実施形態であって、工程(A)において、5’エキソリボヌクレアーゼ(XRN)(例えば、Saccharomyces cerevisaeのXrnIエキソリボヌクレアーゼ(XrnI)、TERMINATOR(登録商標)5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼ(EPICENTRE))がさらに提供され、サンプル中の5’一リン酸基を有するRNAが消化される条件で十分な時間にわたって、サンプルをXRNと、工程(B)の前に接触させる、実施形態を包含している。
また、本発明は、方法1〜10のいずれかの実施形態であって、工程(A)において、5’エキソリボヌクレアーゼ(XRN)(例えば、Saccharomyces cerevisaeのXrnIエキソリボヌクレアーゼ(XrnI)、TERMINATOR(登録商標)5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼ(EPICENTRE))がさらに提供され、5’一リン酸を有するRNAが消化される条件で十分な時間にわたって、サンプルをXRNと、サンプル中に存在するRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される工程の後に接触させる、実施形態を包含している。これらの実施形態のいくつかにおいて、サンプルをXRNと接触される工程は、上記反応における別の工程(サンプルをRNA5’モノホスファターゼ(RMP)またはアルカリホスファターゼ(AP)と接触させる工程など)に取って代わる。
方法1〜10のいずれかのいくつかの好ましい実施形態において、工程(A)において提供されたサンプルは、本方法に使用される前に、リボソーマルRNA(例えば、18Sおよび26Sまたは28Sの真核生物のrRNA、あるいは16Sおよび23Sの原核生物のrRNA)を除去するために(例えば、INVITROGENからのRIBOMINUS(登録商標)のrRNA除去キットまたは別の適切な方法を用いて)処理される。プロトコール(RIBOMINUSキットのためのプロトコールなど)を用いてリボソーマルRNAを除去することによって、本発明の方法を用いてサンプル中の目的のRNA分子(5’一リン酸基を有する目的のRNA分子が挙げられる。)を容易に分析することができる。
本発明の方法11は、方法1〜10のいずれかの実施形態を包含しており(方法1〜10の任意の実施形態が挙げられる。)、サンプル中の目的のRNA分子の少なくともいくつかがポリ(A)テールを有していない。この方法は、ポリ(A)テールを、目的のRNA分子の3’末端に付加する工程をさらに包含している。
いくつかの実施形態において、ポリ(A)テールを付加する方法は、ポリAポリメラーゼ(例えば、Escherichia coliのポリAポリメラーゼまたはSaccharomycesのポリAポリメラーゼ)およびATPを提供する工程、ならびにサンプル中のRNA分子の3’末端にポリ(A)テールが付加されて、ポリ(A)テールを有するRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、サンプルをポリAポリメラーゼおよびATPと接触させる工程を包含している。
しかし、本出願人は、2’−O−メチル基(2’OMe)を3’末端のヌクレオチドに有しているRNA分子(例えば、植物miRNA、生殖細胞特異的piwiRNA、内因性siRNA)が、E. coliまたはSaccharomycesのポリAポリメラーゼを用いてもインビトロにてアデニル化されにくいか、アデニル化されないことを発見したが、これは不幸なことである。なぜなら、このような2’Oにメチル基が付加されたRNA(「2’OMe−RNA」とも称する。)の存在量のプロフィールを作成したり、これらのRNAの機能を特定したり、探究、医学的応用および農業的応用のためにこれらのRNAを用いたりするためにこれらのRNAを調査することに現在、非常に関心がもたれているからである。このような2’OMe−RNAをポリアデニル化すれば、第一鎖cDNAを合成したり、その後の他の操作(増幅(例えばRNAの増幅)が挙げられる。)を行ったりするためのプライミング部位を付加することが可能になるし、および/あるいは(次世代または古い世代のシークンシング法(例えばサンガーのシーケンシング法)のためのテンプレートを調製するための)第一鎖cDNAまたは二本鎖cDNAに配列決定用タグドメインを付加するためのプライミング部位を付加することが可能になる。出願人は、過剰なモル濃度の精製されたジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A、アデノシン−5’−モノホスフェートのアデニル化された形態)を、2’OMe−RNA(例えば、化学的に合成された2’OMe−オリゴリボヌクレオチド(IDT, Coralville, IA)、例えば、miR173[2’OMe]と同一である2’OMe−オリゴリボヌクレオチド、Arabidopsis thalianaの2’OMe−miRNA)およびRNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2(EPICENTRE, Madison, WI)とインキュベートした結果、1個または2個のアデノシンのヌクレオチドが3’末端の3’の位置に連結した2’OMe−オリゴリボヌクレオチドがほぼ定量的に合成され、次いで、ポリ(A)テール(例えば、第一鎖cDNAを合成するためのプライミング部位としての役割を果たすに適切なポリ(A)テール)が、これらのアデノシンのヌクレオチドによって伸長された2’OMe−オリゴリボヌクレオチド分子のほぼ100%に、製造業者(EPICENTRE, Madison, WI, USA)の指示書に従ったインビトロでの反応にてポリAポリメラーゼを用いて付加されることを観察している。したがって、サンプル中の5’ライゲーションによりタグを付加されることが望まれるRNAの少なくともいくつかが、3’末端のヌクレオチドに2’OMe基を有しており、ポリ(A)テールを付加する工程が、ポリAポリメラーゼを用いることを包含している方法11の特定の1実施形態において、本方法は、サンプルをポリAポリメラーゼおよびATPと接触させる工程の前に、2’OMe基を3’末端のヌクレオチドに有するRNAを含有しているサンプルを、ジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A)およびT4RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2)と、ATPまたはNADの非存在下で、少なくとも1つのアデノシン残基が少なくとも「2’OMe基を3’末端のヌクレオチドに有するRNA」の3’末端に付加される条件で十分な時間にわたって、インキュベートする工程をさらに包含している。
予期せぬことに、本出願人は、2’OMe基を3’末端のヌクレオチドに有する目的のRNAを含有しているサンプル(または、2’OMe基を3’末端のヌクレオチドに有していない目的のRNAを含有しているサンプル)を、ジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A)およびT4RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2)と、より長い反応時間にわたってインキュベートした結果、複数のアデノシンが、2’OMe基を3’末端のヌクレオチドに有していたRNAに付加されたことをさらに発見した。例えば、実験の1つでは、過剰なモル濃度のジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A)およびT4RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2)と4時間、反応する間に、およそ15個〜20個のアデノシンが5’三リン酸化RNA分子(51mer)のほぼ全てに付加された。したがって、いくつかの実施形態において、ポリ(A)テールをサンプル中の目的のRNA分子の3’末端に付加する方法11は、複数のアデノシンを含んでいるポリ(A)テールまたは複数のアデノシンからなるポリ(A)テールが目的のRNA分子の3’末端に付加される条件で十分な時間にわたって、目的のRNA分子を含有しているサンプルを過剰なモル濃度のジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A)およびT4RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2)とインキュベートする工程のみを包含している。
本出願人は、複数のアデノシンを含んでいるポリ(A)テールまたは複数のアデノシンからなるポリ(A)テールが上述したRNAの3’末端に付加される条件で十分な時間にわたって、目的のRNA分子を含有しているサンプルを過剰なモル濃度のジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A)およびT4RNAリガーゼと、インキュベートする工程を包含している方法は、従来技術にて以前から記載されていない新規な方法であると考えている。なお、上記目的のRNA分子は、例えば、2’OMe基を3’末端のヌクレオチドに有するRNAを含んでいる。あるいは、この目的のRNA分子は任意のRNA分子を1つ以上含んでおり、任意のRNA分子は2’OMe基を有していてもよいし、有していなくてもよい。T4RNAリガーゼは、例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2(切断されたT4RNAリガーゼ2が挙げられる。)である。さらに、本出願人は、このような新規な方法は、目的のRNA分子の5’末端にアクセプタのオリゴヌクレオチドを連結して、5’ライゲーションによりタグを付加するための本方法に関連していないとしても特許性を有していると考えている。
このように、1実施形態の本発明は、ポリ(A)テールをサンプル中の2’OMe−RNA分子の3’末端に付加するための一般的な方法である。この方法は、少なくとも1つのモノヌクレオチド−5’−ホスフェート残基(5’−XMP)(例えば、5’−AMP)が2’OMe−RNA分子の3’末端に連結される条件で十分な時間にわたって、サンプルをアデニル化されたモノヌクレオチド(A5’pp5’X)(例えば、アデニル化されたアデノシン5’モノホスフェート、すなわち、ジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A))およびT4RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2、または切断されたT4RNAリガーゼ2)とインキュベートする工程(a)、ならびに、次いで、3’末端にモノヌクレオチド−5’−ホスフェート残基(5’−XMP)(例えば、5’−AMP)が少なくとも1つ連結された2’OMe−RNA分子の3’末端にポリ(A)テールが付加される条件で十分な時間にわたって、工程(a)からのサンプルをポリAポリメラーゼおよびATPと接触させる工程(b)を包含している。
したがって、別の実施形態の本発明は、ホモポリヌクレオチドのテール(すなわち、ポリ(X)テール)(例えばポリ(A)テール)をサンプル中の目的のRNA分子(2’OMe基を3’末端のヌクレオチドに有する目的のRNA分子、または2’OMe基を3’末端のヌクレオチドに有していない目的のRNA分子が挙げられる。)の3’末端に付加するための一般的な方法である。この方法は、ライゲーションのドナーであるアデニル化された5’−モノヌクレオチド(A5’pp5’X)(例えば、A5’pp5’A))から、5’−モノヌクレオチド(5’−XMP)残基が複数の連続的なライゲーションによって目的のRNA分子の3’末端に移動された結果として、ホモポリマーのテール(ポリ(X)テール)(例えば、ポリ(A)テール)が目的のRNA分子の3’末端に付加される条件で十分な時間にわたって、サンプルを過剰なモル濃度のアデニル化された5’−モノヌクレオチド(A5’pp5’X)(例えば、アデニル化されたアデノシン−5’−モノホスフェート、すなわちジアデノシンピロホスフェート(A5’pp5’A))およびT4RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ1またはT4RNAリガーゼ2もしくは切断されたT4RNAリガーゼ2)とインキュベートする工程を包含している。
方法11のいくつかの実施形態において、ポリ(A)テールが、方法1〜10のいずれかにて生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに付加される。方法11のいくつかの他の実施形態において、ポリ(A)テールをサンプル中のRNAに付加する工程は、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成する前に実施される。
方法11のいくつかの実施形態において、5’ライゲーションによりタグを付加するためのアクセプタのオリゴヌクレオチドは、5’キャップヌクレオチドを有するアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドであり、本方法は、ポリ(A)テールを有する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを用いて真核細胞を形質転換して、5’ライゲーションによりタグを付加されたポリ(A)テールを有するRNAを真核細胞にて発現させる工程をさらに包含している。これらの実施形態のいくつかにおいて、5’ライゲーションによりタグを付加されたポリ(A)テールを有するRNAは、サンプル中の、タンパク質をコードするRNA(原核生物のmRNAを含んでいるRNA)から生成されたものであり、このタンパク質が真核細胞にて発現する。
方法11のさらに別の実施形態において、異なるホモポリマーのテールをサンプル中の3’末端に付加する酵素が方法1〜10のいずれかに用いられる。例えば、ポリ(U)テールもしくはポリ(C)テールもしくはポリ(I)テールをサンプル中のRNAの3’末端に付加することをもたらす酵素および反応条件を用いることができる。この場合、ホモポリマーのテールにアニールする適切なプライマーを本明細書にて説明する実施形態に用いることができる。プライマーは、本方法に提供され、本方法にて用いられる。ポリUポリメラーゼ活性を有する酵素は、従来技術において記載されている(例えば、Kwak, Jae Eun and Wickens, M, RNA 13: 860-867, 2007)ホモポリマーのヌクレオチドのテールをサンプル中のRNAの3’末端に付加することができる酵素を、本発明の方法1〜10のいずれかのために用いることができる。
方法11は、サンプル中のRNAが異なる配列を示す種々の異なるRNA分子を含んでいるとしても、ポリ(A)テールまたは別のホモポリマーのテールをサンプル中のRNAの3’末端に付加することによって、サンプル中の全RNA分子から第一鎖cDNAを合成するためのプライミング部位を提供するので、有利であり得る。また、ポリ(A)テール(または別のホモポリマーのテール)がサンプル中のRNA(または方法1〜10のいずれかにて生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA)の3’末端に付加されるので、このテールを第一鎖cDNAを合成するためのプライマーのプライミング部位として用いることによって、完全長の第一鎖cDNAを少なくとも生成できる可能性がある。このようなことは、RNAまたは5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA内の内部配列がプライミング部位として用いられた場合、起こらない。
ポリ(A)テールまたは他のホモポリマーのテールがサンプル中のRNA、または5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに付加される本明細書に記載の本発明の方法のこれらの実施形態において、用語「5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA」はポリ(A)テールまたは他のホモポリマーのテールを3’末端に有する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAをいうことを本明細書において理解される。
本発明のさらに他の実施形態は、タイプに特異的な、条件に特異的な、または環境に特異的な、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAのみを取得するための方法およびキットを提供する。このようなタイプに特異的な、条件に特異的な、または環境に特異的な、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAは、あるタイプまたは条件または環境の細胞中の5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAであって、別のタイプまたは条件または環境の細胞中のRNAと同一のものを除くことによって、取得される。
したがって、いくつかの実施形態において、本方法は、ある状態の細胞、ある条件の細胞またはある環境の細胞からのRNAを含有していた第1のサンプルから生成した5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに、第2の状態の細胞、第2の条件の細胞または第2の環境の細胞からのRNAを含有していた第2のサンプルから調製した過剰量のcDNAをアニールする工程、ならびにcDNAがアニールされた、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが消化され、cDNAがアニールされていない、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが消化されないことによって、cDNAと相同な5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが除かれる条件で十分な時間にわたって、cDNAがアニールされた、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAをRNaseHと接触させる工程をさらに包含している。いくつかの実施形態において、第1のサンプルからの5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAは、親和性分子が付着または連結したアクセプタのオリゴヌクレオチドを用いて生成されたものである。この場合、上述の除く工程の後に残留する第1のサンプルからの5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAは、第1のサンプルからの5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを含有しているサンプルを、親和性分子と結合することができる親和性に基づき結合する物質が付着した固体表面と接触させる工程の後に回収される。このサンプルを固体表面と接触させることは、親和性分子が、この表面に付着した親和性に基づき結合する物質に結合されることによって除かれる条件で十分な時間にわたって行われる。いくつかの実施形態において、親和性分子がビオチンであり、固体表面に付着した親和性に基づき結合する物質がアビジンまたはストレプトアビジンである。
したがって、いくつかの実施形態の本発明は、あるサンプル中のRNAから5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成するための方法を提供し、上記あるサンプルは、第2のサンプル中のRNAと共通するRNAが除かれたものである。例えば、本発明の方法12は、方法1〜11のいずれかの実施形態を包含しており、サンプルが、第1のタイプの細胞、第1の条件の細胞または第1の環境からの細胞に由来するRNAを含有している第1のサンプルを含んでいる。この方法は、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAから、第2のタイプの細胞、第2の条件の細胞、第2の環境からの細胞に由来する第2のサンプル中にも存在するRNAを除くことによって、第1のサンプル中のみに存在するが、第2のサンプル中には存在しないRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA分子の集団を生成することになる。この方法は、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、および第2のタイプの細胞、第2の条件の細胞、または第2の環境からの細胞に由来するRNAを含有している第2のサンプルを提供する工程(i)、第2のサンプル中のRNAを逆転写することによって第一鎖cDNAを調製する工程(ii)、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAと第2のサンプルからのRNAから調製された第一鎖cDNAとの間に、ハイブリダイズした複合体が形成される条件で十分な時間にわたって、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを、第2のサンプルからのRNAから調製された第一鎖cDNAとアニールさせる工程(iii)、cDNAがアニールしたRNAが消化され、第1のサンプル中にのみ存在するが、第2のサンプル中には存在しないRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAからなる、除かれた5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、ハイブリダイズした複合体をRNaseHによって処理する工程(iv)、ならびにこの除かれた5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを取得する工程(v)を包含している。方法12のいくつかの実施形態において、本方法は、工程(iv)の後に、RNaseHを不活性化または除去する工程をさらに包含している。好ましい実施形態において、RNaseHは加熱によって不活性化される。
方法13は方法12の1実施形態であり、第1のサンプル中のRNAから5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成するために工程(A)に提供されるアクセプタのオリゴヌクレオチドが、親和性分子を含んでいる。この方法は、親和性分子と結合することができる親和性に基づき結合する物質が付着した固体表面を提供する工程、ならびに第1のサンプルからの5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが、親和性に基づき結合する物質が付着した固体表面に結合されて、第1のサンプル中のRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが固体表面に捕捉される条件で十分な時間にわたって、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを固体表面と工程(iv)の前または後のどちらか一方において接触させる工程をさらに包含している。
したがって、除かれた5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成し、捕捉するための方法12および13は、それぞれ、サンプル中の細胞のタイプに特異的な(すなわち、「タイプに特異的な」)、サンプル中の細胞が曝された条件に特異的な(すなわち、「条件に特異的な」)、またはサンプル中の細胞が取得された環境に特異的な(すなわち、「環境に特異的な」)、RNA分子の集団を含有しているサンプルを取得する方法を提供する。このRNA分子の集団(「除かれたRNA」または「除かれた5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA」と称することもある。」は、さらなる分析または使用にとって有用である。例えば、除かれたRNAは、(例えば、アフィメトリクス(Affymetrix)(Agilent, Illumina)、またはニブルジェンシステムズマイクロアレイチップ(NimbleGen Systems microarray chip)での分析によって)同定され得る。あるいは、除かれたRNAは、(例えば、従来技術におけるサンガーのジデオキシ法や、「NexGen」の配列決定法のいずれか(Rocheからの454シークエンサー、Illuminaからのソレキサシークエンサー(Solexa sequencer)、Applied Biosystemsからのソリッドシークエンサー(Solid sequencer)または従来技術における他の任意のシークエンサーおよびシステム)を用いた)配列決定のためのテンプレートとして用いるための第一鎖cDNAを調製するための用いられ得る。いくつかの実施形態において、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAは、5’末端に、(例えば、Roche 454Aのシークエンスアダプターまたはその相補体のための)配列決定用のタグのドメインを示すタグを有しており、第一鎖cDNAは、第2の配列決定用のタグのドメインを示す、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーを用いて合成し、これによって、(例えば、Roche 454のプラットホームにて配列決定用のテンプレートとして用いるための)5’および3’にタグが付加された適切な第一鎖cDNA分子を提供する。
さらに、除かれたRNAがある条件を有する細胞(癌細胞など)、あるいは別の臓器の疾患に由来する細胞、あるいは細菌、マイコプラズマ、真菌またはウイルスの病原体に感染された細胞に由来する場合、除かれたRNAは、薬学的な薬物の標的として可能性のある集団を含んでいる。このような集団は、さらに検証されれば、疾患の症状を軽減するか、または疾患を治療する可能性を秘めている医薬を開発するために用いることができる。もちろん、検証された、条件に特異的な標的を、ヒトまたは動物の診断のための検査、アッセイおよびキットを開発するために用いることもできる。また、除かれたRNAは研究にとっても有用である。例えば、1実施形態において、癌の進行を理解したり、治療法および処置を開発したりするために、癌幹細胞からの除かれたRNAを、同一のタイプの正常な細胞からの除かれたRNA、および/または癌の病変からの幹細胞でない他の癌細胞からの除かれたRNAと比較する。さらに別の実施形態において、除かれたRNAを、キャッピングされ、ポリアデニル化されたRNAを合成するために用いる。このキャッピングされ、ポリアデニル化されたRNAを、疾患を予防または処置するためのワクチンとして使用するための、RNAを備えた抗原提示細胞(APC)を作製するためにさらに用いる。例えば、いくつかの実施形態において、患者からの腫瘍に由来する癌幹細胞からの除かれたRNAを用いて、同じ患者から調製した樹状細胞の形質転換に用いるためのキャッピングされ、ポリアデニル化されたRNAを作製する。腫瘍に特異的なRNAを備えた樹状細胞はこの腫瘍に特異的な抗原を提示する。腫瘍抗原を提示する樹状細胞は、患者における細胞性免疫反応の誘導を試みるためのワクチンを作製するために、活性化されて用いられる。さらに別の実施形態において、腫瘍抗原を提示する樹状細胞は、培養液中にて細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を作製するために用いる。このCTLは、患者を処置するための免疫療法のワクチンとして患者に(例えば、静脈内に、皮下に、筋肉内に、腹腔内に、または他の送達経路を介して)投与される。さらに他の実施形態において、除かれたRNAを用いて、タイプに特異的なまたは条件に特異的なタンパク質またはポリペプチドをインビトロの翻訳によって作製する。このタンパク質またはポリペプチドを、疾患を予防または処置するための免疫療法のワクチンを作製するための抗原として使用することができる。
さらに、除かれたRNAが、特定の環境からの細胞(例えば、環境サンプルからの原核のまたは真核の微生物生物)を含有しているサンプルに由来する場合、上述した方法は、核酸分子を同定(例えば、配列決定を)したり、((例えば、マイクロアレイ、デジタルの次世代の配列決定法、または他の方法を用いて)例えば、あるサンプルからのまたはあるサンプルに由来する1つ以上核酸分子の存在量を測定し、別のサンプル中のこの核酸分子の存在量と比較することによって)核酸分子の相対的な存在量を定量または決定したり、注釈付けを行ったり、上記環境サンプル中に発現した核酸分子の生物学的な機能を発見したりするために用いることができる。また、この場合、上述した方法は、環境サンプルの上述の態様を、(時期が異なるが、同一の場所および環境に由来するものであってもよいし、異なる場所および環境に由来するものであってもよい)他の環境サンプルの上述の態様と比較するために用いることができる。このように、上記方法は、種々のメタトランスクリプトミックな研究(探究、または工業的な応用もしくは商業的な応用に有用な遺伝子の同定が挙げられる。)に用いることができる。
本発明の方法14は、方法1〜13のいずれかの実施形態を包含しており、この方法は、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAからの第一鎖cDNAを合成することをさらに包含している。この方法は、RNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、および第1鎖の5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的なcDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAをRNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程をさらに包含している。
方法14のいくつかの実施形態において、サンプル中のRNAに対して相補的な第一鎖cDNAを合成するためのプライマーは、RNA依存的なDNAポリメラーゼを用いる第一鎖cDNAの合成に提供されない。理論に縛られること無く、これらの実施形態において、cDNAは、おそらく分子間または分子内のプライミングによって合成される。いくつかの実施形態において、合成されるcDNAは二本鎖である。理論に縛られること無く、二本鎖cDNAはおそらく(例えば、第二鎖cDNAの合成をプライミングするためのcDNAにアニールされるRNAを用いた)分子間のプライミングによって、または(例えば、第二鎖cDNAの合成をプライミングするための第一鎖cDNAの3’末端におけるヘアピンを用いた)分子内のプライミングによって合成される。
方法14の他の実施形態において、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーが、テンプレートとしての5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを用いて第一鎖cDNAの合成をプライミングするために提供される(5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAは、3’末端に、任意のポリ(A)テールまたは他のホモポリマーのテール、あるいはオリゴヌクレオチドのタグのシーケンスを含んでいる。)。したがって、方法15は、方法14を包含している。方法15は、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的な第一鎖cDNAを合成するためのプライマーを提供する工程、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的なcDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを第一鎖cDNAを合成するためのプライマーおよびRNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程をさらに包含している。
方法16は、方法15の実施形態を包含している。方法16において、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーは、配列を含んでおり、この配列の少なくとも3’末端が、(1)インビボにおける細胞においてまたはインビトロにおいて、サンプル中のRNAの3’末端または5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAの3’末端に転写後に付加されたホモポリマーの配列に対して相補的な配列、(2)1つ以上のRNA分子の3’末端における公知の配列に対して相補的な配列、(3)1つ以上のRNA分子の1つ以上の内部領域に対して相補的な配列(例えば、1つ以上の特定の内部配列に対して相補的な配列)、(4)全ての可能な配列の集合であって、各配列がランダムである集合(例えば、ランダムヘキサマーの配列またはランダムノナマーの配列が挙げられる。このようなランダムヘキサマーの配列またはランダムノナマーの配列には、RNA内の全ての配列に対して相補的なプライマーが少なくとも1つ存在している。)、(5)ポリ(A)テールに対して相補的な配列(例えば、任意の長さの、オリゴ(dT)nの配列、オリゴ(dU)nの配列、オリゴ(U)nの配列、オリゴ(dT)nXのアンカー配列、オリゴ(dU)nXのアンカー配列、およびオリゴ(U)nXのアンカー配列の中から選択される。「n」は、約6〜約24のヌクレオチドであることが好ましく、「X」はdG、dC、およびdAのヌクレオチドの混合物であることが好ましい。)、ならびに(6)サンプル中のRNAの3’末端または5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAの3’末端に付加されたオリゴヌクレオチドのタグに対して相補的な配列、からなる群から選択される配列を示す。
方法16のいくつかの好ましい実施形態において、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーは、目的のRNAの3’末端における、ポリ(A)テールまたは他のホモポリマーのテールの配列、あるいはオリゴヌクレオチドのタグの配列に対して相補的である。これらの実施形態は、RNA分子の3’末端にアニールする第一鎖cDNAを合成するためのプライマーが完全長の第一鎖cDNAを合成することができる可能性があるので、いくつかの応用にとって好ましい。次いで、二本鎖cDNAを作製するために第一鎖cDNAを用い、第二鎖cDNAが、目的のRNAの5’末端に連結されたアクセプタのオリゴヌクレオチドに対して順に相補的な第一鎖cDNAの一部に対して相補的である場合、二本鎖cDNAも完全長であり、目的のRNA分子の真の5’末端および3’末端に対応する配列を含んでいる。いくつかの実施形態におい、ポリ(A)テールをプライミングするための方法は、ポリ(A)テールが、集団内のRNAが異なる配列を含んでいたとしても、これらのRNAの全てに付加され得るので、好ましい。いくつかの実施形態において、ポリ(A)テールは、サンプル中に天然に生じるもの(例えば、真核生物のmRNA(オリゴ(dT)によって選択されたポリ(A)テールを有する真核細胞のmRNAが挙げられる。))である。これらの実施形態は、例えば、(クローン化のため、アレイまたはマイクロアレイを用いた遺伝子発現の分析のため、あるいは配列決定のため、あるいは他の分析のために)サンプル中の1つ以上の(全てが挙げられる。)完全長のRNA分子(例えば、mRNA分子)からcDNAを作製するに有用である。
方法16の他のいくつかの実施形態において、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーは、サンプル中のRNA内の公知の配列に対して相補的である(例えば、RNAのコード領域の3’末端における公知の配列に対して相補的である。)。この場合、この方法は、特定の遺伝子の発現分析またはクローン化のために、特定のmRNAからcDNAを作製することに有用である。
方法16の他の実施形態において、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーは、ランダムな配列を示す(例えば、ランダムヘキサマーまたはランダムノナマーのプライマー)。この場合、この方法は、分解したRNA(ホルマリンによって固定した、パラフィンに包埋された組織切片からの、分解したmRNAなど)からcDNAを作製することに用いられる。この方法は、例えば、組織切片における遺伝子の発現分析またはクローン化のために用いられる。また、ランダムな配列を示す第一鎖cDNAを合成するためのプライマーは、cDNAを作製するための実施形態に用いることもでき、この場合、RNAの配列は知られていないか、RNAが異なる配列を示す複数の異なるRNA分子を含んでいる。
本発明の方法17は、方法16の実施形態のいずれかを含んでおり、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーが、特定の5’配列をさらに示す方法である。この特定の5’配列は、このプライマーの3’末端に示される配列の5’である。特定の5’配列は、この特定の5’配列に対して相補的な特定の3’配列を示す第二鎖cDNAを合成するためのテンプレートとしての役割を果たすことができ、第二鎖cDNAが特異的にプライミングするための部位を提供する。いくつかの実施形態において、特定の5’配列は、1つ以上のタグのドメインを示すタグを含んでいるか、またはこのタグからなる。タグのドメインとしては、例えば、Roche 454配列決定用のプラットホームを用いた超並列的なDNA配列決定用の、Roche 454の配列決定用のアダプターを示す配列決定用のタグのドメインなどが挙げられる。
本発明の方法18は、方法14〜17のいずれかの実施形態を含んでいる。この方法は、RNaseH(例えば、Escherichia coliのRNaseH、またはHYBRIDASE(登録商標)熱安定性のRNaseH、(EPICENTRE, Madison, WI))およびRNaseI(例えば、Escherichia coliのRNaseI(EPICENTRE))を提供する工程、ならびにRNAが消化される条件で十分な時間にわたって、第一鎖cDNAを含有しているサンプルをRNaseHおよびRNaseIと接触させる工程をさらに包含している。
方法18は、第一鎖cDNAを合成した後の、ハイブリダイズしていないRNAおよびRNAのテンプレートを除去するために用いられる。方法18のいくつかの好ましい実施形態において、この方法は、RNaseHおよびRNaseIを不活性化または除去する工程をさらに包含している。いくつかの実施形態において、RNaseHおよびRNaseIは、次の工程に進む前に、反応を加熱する(例えば、E. coliのRNaseHおよびRNaseIの場合、約15〜30分間、70℃で加熱する)ことによって不活性化される。RNaseHおよびRNaseIによる処理の後に、RNaseHおよびRNaseIの存在が有害でない1つ以上の他の工程が実施されるという方法のいくつかの実施形態において、RNaseHおよびRNaseIを不活性化または除去する工程が省略される。
本発明の方法19は、方法14〜18のいずれかの実施形態を含んでおり、この方法は、DNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、および二本鎖cDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、第一鎖cDNAをDNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程を包含している。
方法20は、方法14〜19のいずれかの実施形態を含んでおり、この方法は、二本鎖cDNAを合成することをさらに包含している。この方法は、工程(A)にて提供されたアクセプタのオリゴヌクレオチドに対して相補的な第一鎖cDNAの一部に対して相補的な第二鎖cDNAを合成するためのプライマーおよびDNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、ならびに二本鎖cDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、第二鎖cDNAを合成するためのプライマーおよびDNA依存的なDNAポリメラーゼを第一鎖cDNAと接触させる工程をさらに包含している。
方法21は、方法19または20の実施形態を含んでおり、DNA依存的なDNAポリメラーゼが、第一鎖cDNAを合成するために提供されたRNA依存的なDNAポリメラーゼと同一である。
方法21は、方法19または20の実施形態を含んでおり、DNA依存的なDNAポリメラーゼが、第一鎖cDNAを合成するために提供されたRNA依存的なDNAポリメラーゼと異なる。
方法23は、方法19〜22のいずれかの実施形態を含んでいる。この方法では、アクセプタのオリゴヌクレオチド(例えば、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド)の5’部分、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分、または第二鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分が、二本鎖のRNAポリメラーゼ(例えば、T7型RNAポリメラーゼ(T7、T3、SP6のRNAポリメラーゼなど))のプロモータの一鎖に関する配列を示す。この方法は、RNAポリメラーゼ用の二本鎖プロモータを用いてRNAを合成し得るRNAポリメラーゼを提供する工程、ならびにRNAが合成される条件で十分な時間にわたって、二本鎖cDNAをRNAポリメラーゼと接触させる工程をさらに包含している。この方法では、RNAポリメラーゼ用の二本鎖プロモータの一鎖に関する配列がアクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAを合成するためのプライマー、または第二鎖cDNAを合成するためのプライマーにおいて示される。
したがって、方法23のいくつかの実施形態において、アクセプタのオリゴヌクレオチドは、RNAポリメラーゼのプロモータの一鎖に関する配列を示し、他の実施形態において、アクセプタのオリゴヌクレオチドは、RNAポリメラーゼのプロモータの一鎖に関する配列を示さない。
アクセプタのオリゴヌクレオチドがRNAポリメラーゼのプロモータの一鎖に関する配列を示さない方法23のいくつかの実施形態において、RNAポリメラーゼのプロモータの一鎖に関する配列は、第二鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分によって示され、このプライマーの3’部分は、第一鎖cDNAの3’末端におけるタグに相補的であり、アニールする配列を示す。第一鎖cDNAの3’末端におけるタグは、順に、本方法の5’ライゲーションによりタグを付加する工程の間に、RNAリガーゼによって5’一リン酸基を有するRNAに連結された、アクセプタのオリゴヌクレオチドに対して相補的である。したがって、第一鎖cDNAの3’末端におけるタグは、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAをRNA依存的なDNAポリメラーゼと接触する工程の間に、付加される。次いで、二本鎖DNAを合成する工程の間に、テンプレートとしての第一鎖cDNAを用いた、第二鎖cDNAのプライマーの伸長、およびテンプレートとしての第二鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分を用いた第一鎖cDNAの伸長の両方をDNA依存的なDNAポリメラーゼが行うことによって、RNAポリメラーゼのプロモータが生成される。いくつかのこれらの実施形態において、二本鎖cDNAを用いて合成されたRNAは、本方法の工程(A)において提供されたサンプルに含有されているRNAに対するセンスRNAである。
アクセプタのオリゴヌクレオチドがRNAポリメラーゼのプロモータの一鎖に関する配列を示さない方法23のさらに他の実施形態において、RNAポリメラーゼのプロモータの一鎖に関する配列は、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分によって示され、このプライマーの3’部分は、本方法を用いて生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的である。これらの実施形態のいくつかにおいて、二本鎖cDNAを用いて合成されたRNAは、本方法の工程(A)において提供されたサンプルに含有されているRNAに対するアンチセンスRNAである。
方法24は、方法1〜23のいずれかの実施形態を包含しており、アクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAのプライマー、または第二鎖cDNAのプライマーが、それぞれ、親和性分子(例えば、ビオチンまたはジゴキシゲニン)を含んでいるか、この親和性分子に連結されている方法である。この方法は、親和性分子と特異的に結合し、特異的な結合のペアを形成し得る親和性に基づき結合する物質(例えば、ビオチンと結合する場合は、ストレプトアビジンまたはアビジン、あるいはジゴキシゲニンと結合する場合は、抗体)によって共有結合的または非共有結合的にコーティングされた固体表面を提供する工程、親和性分子が、固体表面に連結された親和性に基づき結合する物質と結合される条件で十分な時間にわたって、親和性分子に化学的に連結された、それぞれのアクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAのプライマーまたは第二鎖cDNAのプライマーを接触させる工程をさらに包含している。この接触は、アクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAのプライマー、または第二鎖cDNAのプライマーが用いられる工程の前または後のどちらか一方において行われる。
方法24に関して、本発明は、特定の固体表面に限定されず、固体表面は多孔質であってもよいし、非多孔質であってもよく、特定の方法および適用に適した任意の組成、大きさまたは形状であり得る。例えば、固体表面は、磁性を有するビーズ、コーティングされたビーズ、スライド、マイクロタイタープレートの壁、チューブ、ならびにガラス、プラスチック(例えばラテックスまたはポリスチレン)、シリカ、テフロン(登録商標)または他の適切な材料からなるディップスティックからなる群より選択され得る。親和性に基づき結合する物質によってコーティングされた固体表面の目的は、親和性分子に化学的に連結された、アクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAのプライマーまたは第二鎖cDNAのプライマーの、操作(例えば、反応混合物中の他の分子から除去するために洗浄したり、捕捉したりすること)、単離および捕捉を可能にすること、あるいは得られた5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNA、第二鎖cDNAまたは二本鎖cDNAのそれぞれの、操作、単離および捕捉を可能にすることである。非特異的な結合を防止するために、いくつかの実施形態において、固体支持体は、DNAを含まないtRNA、タンパク質(例えばBSA)、多糖類(例えば、グリコーゲン、デキストラン硫酸、またはヘパリン)からなる群より選択される物質を大過剰用いて処理される。また、本発明は、親和性分子と親和性に基づき結合する物質とが特異的に結合し、特異的な結合のペアを形成できるのであれば、特定の親和性分子または親和性に基づき結合する物質に限定されない。
本発明の方法25は、方法24の好ましい実施形態を含んでおり、合成されたそれぞれの5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNAまたは第二鎖cDNAが親和性分子を含んでおり、親和性分子を含んでいる5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNAまたは第二鎖cDNAが、固体表面に結合されることによって捕捉、単離または精製される。この方法は、親和性分子を含んでいる、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNAまたは第二鎖cDNAを固体表面と、親和性分子と固体表面に付着した親和性に基づき結合する物質との結合が促進される試薬の存在下およびこの結合が促進される条件において接触させて、親和性分子を含んでいる、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNAまたは第二鎖cDNAをこの表面に結合させ、これによって、親和性分子を含んでいる、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNAまたは第二鎖cDNAを捕捉、単離または精製する工程を包含している。
方法26は、方法24または25の実施形態を含んでおり、親和性分子がビオチンであり、親和性に基づき結合する物質がアビジンまたはストレプトアビジンであるか、親和性分子がジゴキシゲニンであり、親和性に基づき結合する物質が、ジゴキシゲニンに対して特異的に結合する抗体である。
方法1〜26のいずれかのいくつかの実施形態において、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAは、真核生物の一次RNA、原核生物の一次RNA(例えば、細菌のmRNA)、ncRNA、およびRNAポリメラーゼを用いてインビトロの転写反応にて合成されたRNAの中から選択される、5’三リン酸基を有するRNAを含んでいるか、またはこの5’三リン酸基を有するRNAからなる。
方法1〜26のいずれかのいくつかの実施形態において、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAは、キャッピング酵素のシステム(例えば、ポックスウイルスのキャッピング酵素、ワクシニアのキャッピング酵素、Saccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素、またはSCRIPTCAP(登録商標)のキャッピング酵素のキット(EPICENTRE))のRNAトリホスファターゼによって、RNAの一次転写産物を消化した産物である、5’二リン酸基を有するRNAを含んでいるか、またはこの5’二リン酸基を有するRNAからなる。
一般に、方法1〜26のいずれかの工程(A)において提供されたサンプルは、1つの真核生物または1つの原核生物に由来するものであってもよいし、1つ以上の真核生物および/あるいは1つ以上の原核生物に由来するものであってもよい。いくつかの実施形態において、サンプル中のRNAは、インビトロでの転写またはRNAの増幅を用いて増幅される。しかし、このような実施形態において、RNAは、インビトロでの転写またはRNAの増幅の前に、5’ライゲーションによってタグを付加されることが好ましい。このようにすれば、サンプル中の5’ライゲーションによりタグを付加されるRNAの5’末端の基を、生物学的な原料(source)にて存在するものとすることができる。
本発明の方法の何れかに関し、サンプル中に存在する場合、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAは、5’三リン酸基または5’二リン酸基を有するRNAを有するRNAからなり得る。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、サンプル中に存在する場合、5’三リン酸基を有するキャッピングされていないRNAは、原核生物の一次RNA、真核生物の一次RNA、およびRNAポリメラーゼを用いてインビトロのDNAの転写によって合成されたRNAからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、RNAポリメラーゼを用いてDNAのテンプレートをインビトロにて転写することによって合成されたRNAは、RNAの増幅反応に由来する。RNAの増幅反応としては、本発明の1つ以上の方法を用いてセンスRNAまたはアンチセンスRNAを合成する、RNAの増幅反応が挙げられる。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、サンプル中に存在する場合、5’三リン酸基を有するキャッピングされていないRNAは、真核生物のmRNA、真核生物の非翻訳RNA、原核生物のmRNA、および/または原核生物の非翻訳RNAを含んでいる。本方法のいずれかのいくつかの実施形態において、5’二リン酸基を有するRNAは、サンプル中に存在する場合、RNAトリホスファターゼによってキャッピングされていない一次RNAを消化した産物であってもよい。RNAトリホスファターゼは、例えば、キャッピング酵素のシステム(例えば、ポックスウイルスのキャッピング酵素、ワクシニアウイルスのキャッピング酵素、またはSaccharomyces cerevisiaeのRNAトリホスファターゼ)を含んでいるRNAトリホスファターゼ活性を有するポリペプチドである。あるいは、5’二リン酸基を有するRNAは、サンプル中に存在する場合、Dcp2のサブユニットを含んでいるデキャッピング酵素によって5’キャッピングされたRNAを消化した産物であってもよい。デキャッピング酵素は、例えば、真核生物のmRNAのデキャッピング酵素(Coller, J and Parker, R, Ann. Rev. Biochem. 73: 861-890, 2004)、酵母のデキャッピング酵素(Steiger, M et al., RNA 9: 231-238, 2003)、哺乳動物のデキャッピング酵素(Piccirillo, C et al., RNA 9: 1138-1147, 2003)、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素(Gunawardana, D et al., Nucleic Acids Res. 36: 203-216, 2008およびIwasaki S, et al., FEBS Lett. 581: 2455-2459, 2007)、およびワクシニアウイルスのデキャッピング酵素(例えば、ワクシニアウイルスのD9またはD10のデキャッピング酵素;(Parrish, S and Moss, B, J Virol. 81: 12973-12978, 2007; Parrish, S et al., Proc Natl Acad Sci USA 104: 2139-2144, 2007))である。
一般に、5’ライゲーションによりタグを付加することを望まれる目的のRNA分子が、サンプル中にて5’−ヒドロキシル基を有するRNAを含んでいる場合、方法1〜26のいずれかは、サンプル中の5’−ヒドロキシル基を有するRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、RNAをアクセプタのオリゴヌクレオチドおよびRNAリガーゼとインキュベートすることを含んでいる工程の前に、サンプルをポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)(例えば、T4PNK)およびATPによって処理する工程をさらに含んでいる。
一般に、アクセプタのオリゴヌクレオチドが提供され、用いられるという本発明の全ての方法に提供され、用いられるアクセプタのオリゴヌクレオチドとしては、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドが好ましい。このため、方法1〜26のいずれかのいくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのオリゴヌクレオチドは、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド(「RNAのアクセプタオリゴ」、「RNAアクセプタ」「アクセプタRNA」「RNAアクセプタ分子」、または「RNAオリゴアクセプタ」などとも称する。)である。しかし、いくつかの実施形態では、アクセプタであるDNAのオリゴヌクレオチドを用いる。アクセプタのオリゴヌクレオチドは長さに関して限定されないが、一般に、最小のサイズのアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドは、トリヌクレオシドジホスフェートからなる。いくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドは、3個のリボヌクレオチド〜約25個のリボヌクレオチドからなる。このように小さいサイズの範囲のアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドは、より大きいものよりも好ましい。というのも、(例えば、ドナーであるRNA分子の5’ライゲーションによりタグを付加する効率を増加させるために)RNAリガーゼの工程のためにより高いモル濃度のアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドを使用することができるからである。また、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドが自身に対してアニールしたり、ドナーであるRNA分子によって示される1つ以上のRNAの配列に対してアニールしたりすることがあり、これによって、ライゲーションの効率が低下することや、アーチファクトがもたらされることがあるが、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドがより短ければ、自身に対するアニールおよび上記RNAの配列に対するアニールの可能性がより低くなるからである。このように、いくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドは、(例えば、分子内配列の相補性に起因して)自身に対してアニールしそうになく、(例えば、分子間配列の相補性に起因して)サンプル中のドナーであるRNA分子または他の核酸にアニールしそうにない配列を示す。
いくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの5’末端は、ライゲーションのためのドナーであるRNAとしての役割を果たすことができないように、5’ヒドロキシル基を有する。いくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの5’末端は、5’キャップヌクレオチドを有している。5’−キャッピングされたアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドは、ライゲーションのためのドナーであるRNAとしての役割を果たすことができない。
ヌクレオシドの組成に関し、T4RNAリガーゼがリガーゼとして用いられるいくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドはアデノシンからなる。いくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドは、ウリジンからなるものでない。いくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの3’末端における最後の2個のヌクレオチドは、アデノシンからなる。いくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの3’末端における最後の3個のヌクレオチドはアデノシンからなる。いくつかの好ましい実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドはウリジンからなるものでない。アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドを設計し、使用するためのさらなる情報、ならびに本発明の方法を用いて5’ライゲーションによりタグを付加されるドナーであるRNAの特性および使用に関するさらなる情報は、従来技術にて開示されている(例えば、 Gumport RI and Uhlenbeck OC, Gene Amplif Anal. 2: 313-345, 1981; Romaniuk E, McLaughlin LW, Neilson T, and Romaniuk PJ. Eur J Biochem. 125: 639-43, 1982; Romaniuk PJ and Uhlenbeck OC. Methods Enzymol.;100: 52-59, 1983; and Uhlenbeck OC and Gumport RI (1982) In: The Enzymes Vol. XV, pp. 31-58, (Boyer, P.D., ed.) Academic Press, New York)。一般に、ドナーである分子のリン酸化された5’末端の特定のヌクレオチドの組成は、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドのヒドロキシル化された3’末端のヌクレオチドの組成ほど、5’ライゲーションによりタグを付加する効率に対する影響をほとんど有していない。
いくつかの好ましい他の実施形態において、T4RNAリガーゼ以外の別のRNAリガーゼ(例えば、バクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)が、リガーゼとして用いられ、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドは、アデノシン以外の1つ以上のヌクレオシドからなり得る。可能であれば、ドナーである5’一リン酸化RNA分子と特定のRNAリガーゼによってライゲーションするために最適なアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの3’ヌクレオチドは、実験的に決定される。
種々の異なる酵素が本発明の方法に使用される。RNA5’ポリホスファターゼ(RPP)を用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RPPは、アルミニウム誘導性のRNA5’ポリホスファターゼ、E. coliのRPP、E. coliのRPPI、ShigellaのRPP、およびShigellaのRPPIの中から選択される。RNA5’モノホスファターゼ(RMP)を用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RMPがRNA5’モノホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE)である。アルカリホスファターゼを用いる本発明の方法のいくつかの実施形態において、アルカリホスファターゼは、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB, Cleveland, OH)、およびアークティックのアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA)の中から選択される。核酸に対するピロホスファターゼを用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、ピロホスファターゼは、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)(EPICENTRE)である。デキャッピング酵素を用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、デキャッピング酵素は、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、およびワクシニアウイルスのデキャッピング酵素D9またはD10の中から選択される。キャッピング酵素を用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、キャッピング酵素は、ポックスウイルスのキャッピング酵素、Saccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素、ワクシニアウイルスのキャッピング酵素、およびSCRIPTCAP(登録商標)キャッピング酵素(EPICENTRE)の中から選択される。RNAリガーゼを用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RNAリガーゼは、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、バクテリオファージTS2126のRNAリガーゼの中から選択される。ポリAポリメラーゼを用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、ポリAポリメラーゼは、E. coliのポリAポリメラーゼ(EPICENTRE)、およびSaccharomyces cerevisiaeのポリAポリメラーゼの中から選択される。RNA依存的なDNAポリメラーゼを用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RNA依存的なDNAポリメラーゼは、SUPERSCRIPT RT(Invitrogen, Carlsbad, CA)、AMV RT、およびMMLV RT(EPICENTRE)の中から選択される。RNaseHを用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RNaseHは、E. coliのRNaseH(EPICENTRE)、Tth RNaseH、Tfl RNaseH、およびHYBRIDASE(登録商標)RNaseH(EPICENTRE)の中から選択される。RNAポリメラーゼ(RNAP)を用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RNAポリメラーゼは、T7型のRNAP、T7RNAP、T3RNAP、およびSP6RNAP(EPICENTRE)の中から選択される。エキソリボヌクレアーゼ(XRN)を用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、エキソリボヌクレアーゼは、Saccharomyces cerevisaeのXrnIエキソリボヌクレアーゼ(XrnI)およびTERMINATOR(登録商標)5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼ(EPICENTRE)の中から選択される。ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)を用いる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドキナーゼはT4PNK(EPICENTRE)である。
当業者は、本発明の種々の方法のある工程を実施する順番が重要であることを理解する。また、サンプル中に存在し得る種々のクラスのRNA分子の5’末端における基に対する各酵素の効果が意図されるゴールに悪影響を与えないように注意深く考慮された場合、工程の順番が変更され得ることを理解する。
特定の酵素が提供され、用いられる本発明の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、この方法は、本発明にこの特定の酵素を使用した後に、特定の酵素を不活性化または除去する工程をさらに包含している。特定の実施形態に関して可能であれば、特定の酵素の不活性化は、加熱によって実施されるか、または反応後の反応混合物の条件を、特定の酵素が不活性になるが、本方法の次の工程に用いる酵素が活性である新しい条件に変更することによって実施される。例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1)は、反応混合物を65℃で約15分間加熱することによって不活性化され得る。E. coliのRNA5’ポリホスファターゼI(RPPI)は、マグネシウムを約1〜10mMの終濃度になるように添加することによって、および/または無機リン酸イオンを約0.1mMの終濃度になるように添加することによって、RPPIの反応混合物柱にて不活性化され得る。タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)は、リン酸ナトリウム(pH7.8)をTAPの反応混合物へ約10mMの終濃度になるように添加してpHを6.0から約pH7.5へ調整することによって不活性化され得る。もちろん、本方法の次の工程に用いる酵素が、特定の酵素を不活性する工程から得られた反応条件下において活性であることを確認することが重要である。
本発明の1実施形態はキットである。このキットは、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼまたはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ(これらは、全てEPICENTREから入手される。)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、およびRNA5’ポリホスファターゼ(例えば、アルミニウム誘導性のRNA5’ポリホスファターゼ(例えば、Escherichia coliのRNA5’ポリホスファターゼI(E. coliのRPPI、すなわち、RPPI(EPICENTRE))またはShigellaのRNA5’ポリホスファターゼI)を備えている。いくつかの実施形態において、キットは、RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE)をさらに備えている。RNA5’モノホスファターゼをさらに備えているキットのいくつかの実施形態において、このキットは、核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)、EPICENTRE)、またはデキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素のD9もしくはD10)をさらに備えている。
本発明の別の実施形態は、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE)、および核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)、EPICENTRE)を備えているキットである。
本発明の別の実施形態は、核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、およびバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼを備えているキットである。
本発明の別の実施形態は、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、RNA5’ポリホスファターゼ(例えば、アルミニウム誘導性のRNA5’ポリホスファターゼ(例えば、Escherichia coliのRNA5’ポリホスファターゼI(E. coliのRPPI、すなわちRPPI(EPICENTRE))またはShigellaのRNA5’ポリホスファターゼI)、ならびに少なくとも1つの他の成分を備えている。少なくとも1つの他の成分は、RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE)および核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)、EPICENTRE)、およびデキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素のD9またはD10)からなる群より選択される。
本発明の別の実施形態は、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、キャッピング酵素(例えば、ポックスウイルスのキャッピング酵素、Saccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素、またはSCRIPTCAP(登録商標)キャッピング酵素のキット(EPICENTRE))、および少なくとも1つの他の成分を備えている。少なくとも1つの他の成分は、RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1)、EPICENTRE)またはアルカリホスファターゼ(例えば、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB, Cleveland, OH)、またはアークティックのアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA);および核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)、EPICENTRE)またはデキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素のD9もしくはD10)からなる群より選択される。
本発明の別の実施形態は、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、デキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素のD9もしくはD10)、および少なくとも1つの他の成分を備えている。少なくとも1つの他の成分は、RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1)、EPICENTRE);およびアルカリホスファターゼ(例えば、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB, Cleveland, OH)またはアークティックのアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA)からなる群より選択される。
本発明の別の実施形態は、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、およびデキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素のD9もしくはD10)を備えているキットである。
上述したキットのいずれかのいくつかの実施形態において、キットは、ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)(例えば、T4PNK、EPICENTRE)、第一鎖cDNAを合成するためのプライマー、第二鎖cDNAを合成するためのプライマーRNA依存的なDNAポリメラーゼ、およびRNAポリメラーゼ(RNAP)(例えば、T7型のRNAP、例えば、T7RNAP、T3RNAP、またはSP6RNAP、EPICENTRE)からなる群より選択される少なくとも1つの他の成分をさらに備えている。
本発明のキットの別の実施形態は、RNA5’ポリホスファターゼ(例えば、アルミニウム誘導性のRNA5’ポリホスファターゼ(例えば、Escherichia coliのRNA5’ポリホスファターゼI(E. coliのRPPI、すなわちRPPI(EPICENTRE))またはShigellaのRNA5’ポリホスファターゼI)を、少なくとも1つの他の成分と組み合わせて備えているキットである。このキットにおける少なくとも1つの他の成分は、RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE)、アルカリホスファターゼ(例えば、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB, Cleveland, OH)またはアークティックのアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA)、核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)、EPICENTRE)、デキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素のD9もしくはD10)、キャッピング酵素(例えば、ポックスウイルスのキャッピング酵素、Saccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素、またはSCRIPTCAP(登録商標)キャッピング酵素のキット(EPICENTRE))、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、ポリAポリメラーゼ(例えば、E. coliのポリAポリメラーゼ、EPICENTRE)またはポリUポリメラーゼ、RNA依存的なDNAポリメラーゼ(RT)(例えば、SUPERSCRIPT RT(Invitrogen, Carlsbad, CA)、AMV RT、MMLV RT(EPICENTRE))、第一鎖cDNAを合成するためのプライマー、RNaseH(例えば、E. coliのRNaseHまたはHYBRIDASE(登録商標)RNaseH、EPICENTRE)、第二鎖cDNAを合成するためのプライマーRNAポリメラーゼ(RNAP)(例えば、T7型のRNAP、例えば、T7RNAP、T3RNAP、またはSP6RNAP、EPICENTRE)、5’エキソリボヌクレアーゼ(XRN) (例えば、Saccharomyces cerevisaeのXrnIエキソリボヌクレアーゼ(XrnI)、またはTERMINATOR(登録商標)5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼ、EPICENTRE)、ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)(例えば、T4PNK、EPICENTRE)、および5’三リン酸基または5’二リン酸基を有し、これらの基のβまたはγのリン酸が標識されているRNA分子、からなる群より選択される。
本発明の別の実施形態は、RNA5’モノホスファターゼ(RMP)(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE)を、少なくとも1つの他の成分と組み合わせて備えているキットである。このキットにおける少なくとも1つの他の成分は、RNA5’ポリホスファターゼ(例えば、アルミニウム誘導性のRNA5’ポリホスファターゼ、例えば、Escherichia coliのRNA5’ポリホスファターゼI(E. coliのRPPI、すなわちRPPI(EPICENTRE))またはShigellaのRNA5’ポリホスファターゼI)、アルカリホスファターゼ(例えば、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE)、シュリンプのアルカリホスファターゼ(USB, Cleveland, OH)またはアークティックのアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA)、核酸に対するピロホスファターゼ(例えば、タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)、EPICENTRE)、デキャッピング酵素(例えば、酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、Arabidopsis thalianaのデキャッピング酵素、またはワクシニアウイルスのデキャッピング酵素のD9もしくはD10)、キャッピング酵素(例えば、ポックスウイルスのキャッピング酵素、Saccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素、またはSCRIPTCAP(登録商標)キャッピング酵素のキット、(EPICENTRE))、RNAリガーゼ(例えば、T4RNAリガーゼ(EPICENTRE)、またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド、ポリAポリメラーゼ(例えば、E. coliのポリAポリメラーゼ、EPICENTRE)、RNA依存的なDNAポリメラーゼ(RT)(例えば、SUPERSCRIPT RT(Invitrogen, Carlsbad, CA)、AMV RT、MMLV RT(EPICENTRE))、第一鎖cDNAを合成するためのプライマー、RNaseH (例えば、E. coliのRNaseHまたはHYBRIDASE(登録商標)RNaseH、EPICENTRE)、第二鎖cDNAを合成するためのプライマーRNAポリメラーゼ(RNAP)(例えば、T7型のRNAP、例えば、T7RNAP、T3RNAP、またはSP6RNAP、EPICENTRE)、5’エキソリボヌクレアーゼ(XRN)(例えば、TERMINATOR(登録商標)5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼ(EPICENTRE)、またはSaccharomyces cerevisaeのXrnIエキソリボヌクレアーゼ(XrnI))、ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)(例えば、T4PNK、EPICENTRE)、および5’三リン酸基または5’二リン酸基を有し、これらの基のβまたはγのリン酸が標識されているRNA分子からなる群より選択される。
本発明の方法、キットおよび組成物は広範囲の応用性を有している。例えば、本発明の方法、キットおよび組成物を用いて生成した核酸分子を、任意の所望の完全長のRNA(例えば、完全長のキャッピングされた真核生物のmRNA、miRNA、完全長のキャッピングされていない真核生物の一次RNA(非翻訳RNAを含む。)、または完全長の原核生物の一次mRNA)からcDNAを合成したり、このcDNAをクローン化したり、この所望のRNAのRNA増幅を行ったり、(シーケンシングによって、あるいはcDNA末端のランダムな増幅(random amplification of cDNA ends(RACE))、エキソンのアレイ、または他のマイクロアレイなどの方法を用いることによって)所望のRNAの正確な5’末端の捕捉および特定をしたりするために、使用することができる。
一般に、本明細書に開示した方法1〜26のいずれか、キットおよび組成物のいずれかは、国際公開第2007/117039号明細書A1に記載されるような目的および応用と同一のものを改善し、これらの目的および応用に使用することができる。
本明細書に開示した方法1〜16のいずれか、またはキットおよび組成物のいずれかは、2つの異なるサンプルのそれぞれから核酸分子を生成するために、別々にまたは組み合わせて使用される。この核酸分子は、標識されたまたは標識されていない、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、第一鎖cDNA、第二鎖cDNA、二本鎖cDNA、または二本鎖cDNAのインビトロでの転写によって合成されたRNA、からなる。この核酸分子は、核酸分子を分析したり、核酸分子を同定(例えば、配列決定)したり、((例えば、マイクロアレイまたはリアルタイムPCRを用いて)例えば、あるサンプルからのまたはあるサンプルに由来する1つ以上核酸分子の存在量を測定し、別のサンプル中のこの核酸分子の存在量と比較することによって)核酸分子の相対的な存在量を定量または決定したり、注釈付けを行ったり、核酸分子が生成されたサンプル中のRNA分子の生物学的な機能を発見したりするために用いられる。いくつかの実施形態において、研究のために、核酸分子は分析され、同定され、定量され、配列決定され、注釈付けされるか、生物学的機能が発見される。一方、他の実施形態において、
この成果は、商業的な目的のために実施される。このような商業的な目的は、例えば、工業的、農業的、または他の商業的な応用のために遺伝子を発見し、発現すること、またはヒトまたは動物への医学的、治療的、または診断的な応用のための情報を用いることである。
〔定義〕
本発明は、以下に規定するような用語の定義に基づいて理解され、解釈される。用語「例えば」、「など」、「挙げられる」またはそれらのバリエーションが本明細書にて用いられる場合、これらの用語は、限定の用語であるとみなされず、「限定されないが」または「限定することなく」ということを意味すると解釈される。
本明細書にて用いられる場合、「アクセプタのオリゴヌクレオチド」は、5’リン酸基を有するRNAの5’末端にRNAリガーゼの作用によって連結されることができる、3’ヒドロキシル基を有するオリゴヌクレオチドを意味する。5’リン酸基を有するRNAを「ドナー」と称する。リボヌクレオチドからなるアクセプタのオリゴヌクレオチドを、本明細書では、「アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド」または「RNAアクセプタ」と称する。
本明細書における「親和性に基づき結合する分子」または「特異的な結合のペア」は、特定の条件(「結合条件」という。)下において互いに親和性を有し、結合する分子を意味する。ビオチンおよびストレプトアビジンまたはアビジンが、「特異的な結合のペア」または「親和性に基づき結合する分子」の例であるが、本発明は、この特定の「特異的な結合のペア」を使用することに限定されない。
本明細書にて規定される「親和性分子」は、本明細書にて「親和性に基づき結合する物質」と称される別の物質に特異的に結合することができる分子を意味する。「親和性分子」および「親和性に基づき結合する物質」は、「親和性に基づき結合する分子」または「特異的な結合のペア」を構成するか、または含んでいる。親和性分子(例えば、ビオチンまたはジゴキシゲニン)は他の分子(例えば、RNAまたはDNA)に抱合され得る。親和性に基づき結合する物質(例えば、ビオチンに結合するストレプトアビジンまたはアビジン、あるいはジゴキシゲニンに結合する特異的な抗体)は、従来技術において公知の方法を用いて固体表面へ共有結合的に抱合され得るか、非共有結合的に結合され得る。従来技術において公知の方法は、例えば、Avidin-Biotin Chemistry: A Handbook, by D. Savage et al., Pierce Chemical Company, 1992、Handbook of Fluorescent Probes and Research Products, Ninth Edition, by R.P. Hoagland, Molecular Probes, Inc.、およびBIOCONJUGATE Techniques, by Greg T. Hermanson, Published by Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996に記載の試薬および方法である。また、DNAまたはRNAに抱合される親和性分子も、従来技術において公知の試薬および方法を用いてオリゴヌクレオチド合成機を使用して合成され得る。
本発明によれば、用語「結合」は、非共有結合の結果としての、親和性分子と親和性に基づき結合する物質との間の相互作用を意味する。非共有結合は、水素結合、疎水的相互作用、ファンデルワールス結合、およびイオン結合などである。理論によって縛られること無く、これらの種類の非共有結合は、特異的な結合のペアに関与する分子の相補的な形状または構造に部分的に起因する結合をもたらすことを従来技術において考えられている。「結合」の定義および多種多様な親和性に基づき結合する分子または特異的な結合のペアに基づけば、結合条件が、異なる特異的な結合のペアについて変更されることが明白である。当業者は、親和性に基づき結合する分子の間にサンプル中にて結合が生じる条件を容易に発見するか、または決定することができる。特に、当業者は、「特異的な結合」であると従来技術において考えられる、親和性に基づき結合する分子間の結合が生じ得る条件を容易に決定することができる。従来技術において理解されるように、このような特異性は、大抵、親和性に基づき結合する分子間の親和性がサンプルにおける他の物質および成分(例えば、容器の壁、固体支持体)よりも高いことに起因している。ある場合において、特異性は、親和性に基づき結合する分子の会合が、サンプル中の他の物質および成分との会合よりも顕著に迅速であることに関係していることもあるか、このことに起因していることもある。
「キャップ」または「キャップヌクレオチド」は、RNAの一次転写産物の5’末端に連結した修飾されたグアニンヌクレオチドである。5’末端にキャップヌクレオチドが連結したRNAを、「キャッピングされたRNA」、「キャッピングされたRNAの転写産物」または「キャッピングされた転写産物」と称する。一般的なキャップヌクレオシドは、7−メチルグアノシンまたはN7−メチルグアノシン(「標準的なキャップ」と称することもある。)である。7−メチルグアノシンまたはN7−メチルグアノシンは、「m7G」として名付けられる構造を有している。この場合、キャッピングされたRNAまたは「m7GによってキャッピングされたRNA」は、m7G(5’)ppp(5’)N1(pN)x−OH(3’)、またはより単純にm7GpppN1(pN)xまたはm7G(5’)ppp(5’)Nとして名付けられる構造を有している。m7Gは、7−メチルグアノシンのキャップヌクレオシドを表す。pppは、キャップヌクレオシドの5’炭素とRNAの一次転写産物の第1のヌクレオチドとの間の三リン酸の架橋を表す。N1(pN)x−OH(3’)は、RNAの一次転写産物を表す。N1は最も5’側のヌクレオチドである。「p」はリン酸基を表す。「G」はグアノシンヌクレオシドを表す。「m7」はグアニンの7位のメチル基を表す。(5’)は、「p」がキャップヌクレオチドのリボース、およびmRNAの転写産物の第1のヌクレオシド(「N」)のリボースに連結する位置を示す。この「標準的なキャップ」に加えて、種々の他の天然に生じるキャップの類似体および合成のキャップ類似体が従来技術において公知である。任意のキャップヌクレオチドを有するRNAを「キャッピングされたRNA」と称する。キャッピングされたRNAは、生物学的なサンプルから天然に生じるものであってもよいし、5’三リン酸基を有するRNAまたは5’二リン酸基を有するRNAをキャッピング酵素のシステムによってインビトロにてキャッピングすることによって取得されたものであってもよい。キャッピング酵素のシステムとしては、例えば、ワクシニアのキャッピング酵素のシステムまたはSaccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素のシステムが挙げられる。また、キャッピングされたRNAは、RNAポリメラーゼのプロモータを含んでいるDNAテンプレートのインビトロでの転写(IVT)によって取得されたものであってもよい。GTPに加えて、IVTの反応は、従来技術において公知の方法を用いた(例えば、AMPLICAP(登録商標)T7キャッピングキット(EPICENTRE)を用いた)ジヌクレオチドのキャップの類似体を含んでいてもよい。ジヌクレオチドのキャップの類似体は、例えば、m7GpppGのキャップの類似体、またはN7−メチル、2’−O−メチル−GpppG ARCAのキャップの類似体、またはN7−メチル、3’−O−メチル−GpppG ARCAのキャップの類似体である。
インビボでの、5’三リン酸化されたmRNAの一次転写産物のキャッピングは、酵素が関与するいくつかの工程を経て生じる(例えば、Martin, S A et al., J. Biol. Chem. 250: 9322, 1975; Myette, J R and Niles, E G, J. Biol. Chem. 271: 11936, 1996; M A Higman, et al., J. Biol. Chem. 267: 16430, 1992参照)。
以下の酵素反応が、真核生物のmRNAのキャッピングに関与している。
(1)RNAトリホスファターゼがmRNAの5’三リン酸を二リン酸に切断する、
pppN1(p)Nx-OH(3') → ppN1(pN)x-OH(3') + Pi、
次いで、
(2)RNAグアニルトランスフェラーゼが、mRNAの最も5’側のヌクレオチド(N1)の5’二リン酸へのGTPの連結を触媒する、
ppN1(pN)x-OH(3') + GTP → G(5')ppp(5')N1(pN)x-OH(3') + PPi、
最後に、
(3)グアニン−7−メチルトランスフェラーゼが、S−アデノシル−メチオニン(AdoMet)を補助因子として用いて、キャップヌクレオチドにおけるグアニンの7−窒素のメチル化を触媒する、
G(5')ppp(5')N1(pN)x-OH(3') + AdoMet → m7G(5')ppp(5)N1(pN)x-OH(3') + AdoHyc。
RNAトリホスファターゼおよびRNAグアニルトランスフェラーゼの酵素活性の作用から生じるRNA、ならびにグアニン−7−メチルトランスフェラーゼの酵素活性によってさらにメチル化されるRNAを、本明細書において「5’キャッピングされたRNA」または「キャッピングされたRNA」と称する。本明細書において「キャッピング酵素のシステム」またはより単純に「キャッピング酵素」は、「キャッピングされたRNA」をもたらす酵素活性を有するポリペプチドの1つ以上の任意の組合せを意味する。キャッピング酵素のシステム(クローン化された形態の酵素が挙げられる。)は、多くの原料から同定および精製されており、従来技術において周知である(例えば、Shuman, S, Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 66: 1-40, 2001; Shuman, S, Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 50: 101-129, 1995; Shuman, S et al., J. Biol. Chem. 255: 11588, 1980; Banerjee, A K, Microbiol. Rev. 44: 175-205, 1980; Wang, S P et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 9573, 1997; Higman M.A. et al., J. Biol. Chem. 267: 16430, 1992; Higman, MA et al., J. Biol. Chem. 269: 14974-14981, 1994; Myette, JR and Niles, EG, J. Biol. Chem. 271: 11936-11944, 1996参照)。5’ポリリン酸を有するキャッピングされていないRNAをキャッピングされたRNAへ変換し得る任意のキャッピング酵素のシステムを、キャッピング酵素のシステムを提供するか、用いる本発明の実施形態のいずれかに用いることができる。いくつかの実施形態において、キャッピング酵素のシステムはポックスウイルスのキャッピング酵素のシステムである。いくつかの好ましい実施形態において、キャッピング酵素のシステムはワクシニアウイルスのキャッピング酵素である。いくつかの実施形態において、キャッピング酵素のシステムはSaccharomyces cerevisiaeのキャッピング酵素である。また、ある原料からのRNAトリホスファターゼをコードする遺伝子、RNAグアニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子およびグアニン−7−メチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が、別の原料からのこれらの遺伝子の1つまたは全ての欠損を補完することができるという事実を考慮すると、キャッピング酵素のシステムが1つの原料に由来するものであってもよいし、RNAトリホスファターゼの活性、RNAグアニルトランスフェラーゼの活性および/またはグアニン−7−メチルトランスフェラーゼの活性、の1つ以上が、異なる原料に由来するポリペプチドを含んでいてもよい。
本明細書にて規定される「デキャッピング酵素」は、デキャッピング酵素が5’ポリリン酸基を有するRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ変換しない条件下において、キャッピングされたRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ変換する酵素を意味する。真核生物では、長いキャッピングされたRNAが、典型的に、Dcp1/Dcp2の複合体からなるデキャッピング酵素によって、5’一リン酸基を有するRNAへ変換される。Dcp1/Dcp2の複合体のうちDcp2が酵素サブユニットであり、このデキャピング酵素を本明細書において「Dcp2型のデキャッピング酵素」と称する。よって、デキャッピング酵素を用いる本発明の好ましい実施形態において、デキャッピング酵素がDcp2型のデキャッピング酵素である。Dcp2型のデキャッピング酵素は、ヌーディックス(Nudix)スーパーファミリーの酵素のメンバーである。ヌーディックススーパーファミリーの酵素は、配列GX5EX7REUXEEXGUを示すヌーディックス(またはMutT)モチーフまたはヌーディックスボックスと呼ばれる、保存されたアミノ酸配列を共有する((Dunckley, T and Parker, R. EMBO J 18: 5411-5422, 1999; van Dijk, E et al., EMBO J. 21: 6915-6924, 2002; Steiger, M et al., RNA 9: 231-238, 2003; Xu, W et al. J. Biol. Chem. 279: 24861-24865, 2004; Gunawardana, D et al., Nucleic Acids Res. 36: 203-216, 2008)。短いキャッピングされたRNA(ジヌクレオチドが挙げられる。)を5’二リン酸基を有するRNAへ消化するDcpS型の酵素は、本明細書にて規定されるデキャッピング酵素ではない。
本明細書にて用いられる場合、用語「酵素」は、化学的および生物学的な反応の触媒を司るタンパク質分子またはタンパク質分子の集合体をいう。一般に、本発明の方法、組成物またはキットは、特定の原料からの特定の酵素を使用することに限定されない。むしろ、本発明の方法、組成物またはキットは、特定の方法、組成物またはキットに関して本明細書に開示した特定の酵素と同等の酵素活性を有する、任意の原料からの任意の酵素を含んでいる。例えば、RNA5’ポリホスファターゼは、Escherichia coliまたはShigellaのRNA5’ポリホスファターゼIであってもよいし、適切な反応条件下において5’ポリリン酸基を有するRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ変換する別のRNA5’ポリホスファターゼ酵素であってもよい。RNA依存的なDNAポリメラーゼは、AMV逆転写酵素;MMLV逆転写酵素;SUPERSCRIPTI、SUPERSCRIPTII、SUPERSCRIPTIII、またはAMV THERMOSCRIPTの逆転写酵素(INVITROGEN);またはMONSTERSCRIPTの逆転写酵素(EPICENTRE)であってもよいし、テンプレートとしてのRNAおよびこのRNA内の相補的な配列にアニールするオリゴヌクレオチドプライマーを用いてDNAを適切な反応条件下において合成することができる別の酵素であってもよい。ポリヌクレオチドキナーゼはT4ポリヌクレオチドキナーゼであってもよいし、ATPまたは別のヌクレオシド−5’−三リン酸から、一リン酸基を、5’ヒドロキシル基を有するRNAの5’末端へ適切な反応条件下において移動させることができる別の酵素であってもよい。ポリAポリメラーゼは、pcnB遺伝子にコードされたEscherichia coliのポリAポリメラーゼであってもよいし、ATPが存在し、核酸のテンプレートが存在しないときに、適切な反応条件下において、3’ヒドロキシル基を有するRNAの3’末端にてポリ(A)テールを合成することができる別の酵素であってもよい。リボヌクレアーゼHは、Escherichia coliのRNaseHまたはHYBRIDASE(登録商標)Thermostable RNaseH(EPICENTRE, Madison, WI)であってもよいし、適切な反応条件下において、DNAにアニールしたRNAを消化するが、一本鎖RNAまたはRNAにアニールしたRNAを消化しない別の酵素であってもよい。核酸に対するピロホスファターゼは、タバコ酸性ピロホスファターゼであってもよいし、m7GによってキャッピングされたRNAの三リン酸の架橋を切断することによって5’一リン酸基を有するRNAを適切な反応条件下において生成する別の酵素であってもよい。アルカリホスファターゼは、APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ(EPICENTRE, Madison, WI)、あるいはシュリンプのアルカリホスファターゼまたはアークティックのアルカリホスファターゼ(New England Biolabs, MA)であってもよいし、5’ポリリン酸基を有するRNAまたは5’一リン酸基を有するRNAを5’ヒドロキシル基を有するRNAへ適切な反応条件下において変換する別の酵素であってもよい。さらに、本発明の方法は、この方法の工程に提供され使用される任意の特定の酵素の1つが、2つ以上の酵素の組合せと置換された実施形態を含んでいる。2つ以上の酵素を組み合わせて使用する場合、段階的な方法で別々に用いようが、同時に一緒の反応混合物として用いようが、特定の酵素を1つ用いて合成したRNAと同一のRNAが合成されることになる。本明細書に提示された方法、バッファおよび反応条件(実施例に記載されたものを含む。)は、本発明の方法、組成物およびキットの実施形態にとって現時点にて好ましいものである。しかし、本発明のいくつかの酵素を使用するための他の酵素保存バッファ、反応バッファ、および反応条件が従来技術において公知であり、本発明にて使用するに適切であり得、本明細書にて挙げられる。
本発明の方法、組成物またはキットに使用される任意の酵素は、ネイティブなタンパク質であってもよいし、組換えタンパク質であってもよい。用語「ネイティブなタンパク質」は、天然に生じる(すなわち、組み換えでない)原料から単離されたタンパク質を示すために本明細書にて用いる。本明細書にて使用される場合、用語「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」は、組換えDNA分子から発現されたタンパク質分子をいう。ネイティブな型のタンパク質と比較したときに同一または類似の性質を有する組換え型のタンパク質が、分子生物学的な技術を用いて製造され得る。また、ポリペプチドの発現、精製または他の所望の性質を改善するためにネイティブな配列の変異体を作製してもよい。組換えタンパク質は融合タンパク質であってもよい。本明細書にて用いる場合、用語「融合タンパク質」は、外因性のタンパク質断片に連結された目的のタンパク質を含んでいるキメラタンパク質をいう。目的のタンパク質が、例えば、E. coliのRNA5’ポリホスファターゼI(RPPI)またはその断片であり、外因性のタンパク質断片が、例えば、RPPIでないタンパク質を含んでいる融合パートナーである。融合パートナーは、宿主細胞にて発現したときの、所望の酵素活性を有するタンパク質の溶解度を向上し得る。また、融合パートナーは、宿主細胞または培養上清あるいはそれらの両方からの、組換え融合タンパク質の精製を可能にする親和性タグを提供し得る。必要に応じて、融合タンパク質を、従来技術にて公知の種々の酵素的または化学的な手段によって目的のタンパク質から除去してもよい。
本発明の好ましい実施形態において、方法、組成物またはキットに使用する酵素組成物は、精製されたタンパク質を含んでいる。本明細書において用いる場合、用語「精製された」または「精製すること」は、目的の成分(タンパク質など)から夾雑物のいくつかを除去する任意のプロセスの結果を意味する。例えば、特定の所望のタンパク質(例えばRPPIまたはRMP1)は、混入する他の望まれないタンパク質、核酸、炭水化物、脂質および/または生化学的な小分子を除去することによって精製される。夾雑物を除去した結果、組成物中の所望のタンパク質の割合が増加する。例えば、好ましい実施形態において、RPPIまたはRMP1の組成物は、混入する核酸および核酸に対する活性を有する他の酵素を含まないように、精製される。
いくつかの実施形態において、所望のタンパク質(例えばRPPIまたはRMP1)は、Escherichia coliの細胞にて複製され、発現するプラスミドまたは他のベクター内の遺伝子(および/または遺伝子の機能的なバリアントおよびホモログ)を発現させることによって取得されることが好ましい。あるいは、この所望のタンパク質は、TRANSPOSOME(登録商標)システム(例えば、EZ−Tn5(登録商標)TRANSPOSOME(登録商標)システム(EPICENTRE, Madison, WI)を用いて、Escherichia coli細胞内の染色体に挿入された遺伝子(および/または遺伝子の機能的なバリアントおよびホモログ)を発現させることによって取得されることが好ましい。なぜなら、このような組換え体の原料から取得された酵素は、組換え体でない原料から取得される酵素と比べて、純度がより高く、混入する酵素の活性を含んでおらず、一般に酵素の濃度が高いからである。
本明細書において用いる場合、用語「遺伝子」は、コードされたポリペプチドまたはタンパク質の前駆体の産生に必要な、制御配列およびコード配列を含んでいるDNA配列をいう。ポリペプチドは、完全長のコード配列によってコードされていてもよいし、所望のタンパク質の活性が保持されている限り、このコード配列の任意の部分によってコードされていてもよい。
本発明の好ましい実施形態において、酵素は「安定化」される。「酵素が安定化される」とは、酵素が、分解および酵素活性の喪失の原因となるプロテアーゼおよび他の夾雑物によって十分に汚染されておらず、酵素が、所定の配合の酵素の保存バッファ中に提供されており、このバッファ中では、マイナス20℃にて6ヶ月間保存する間に活性の顕著な喪失がないことが意図される。安定化された多くの酵素(例えば、E. coliの5’RPPI、T4PNK、T4RNAリガーゼ)の組成物を提供するための適切な酵素の保存バッファの1つは、50mMのTris−HCl(pH7.5)、100mM NaCl、100mM EDTA、1mM DTTおよび0.1%の非イオン性界面活性剤(Triton X−100)を含有している50%グリセロールの溶液、を含んでいる。
さらに、本発明のタンパク質(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼ)のバリアントの形態は、本明細書にてより詳細に説明されたペプチドおよびDNA分子と均等であるとみなされる。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの単離された置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との単離された置換、トレオニンのセリンとの単離された置換、またはあるアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸との同様の置換(すなわち、保存的変異)は、生じた分子の生物学的な活性に対して重大な影響を有していない。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示した酵素のバリアントを提供する。このバリアントは保存的な置換を含んでいる。保存的な置換は、アミノ酸の側鎖について関連するアミノ酸のファミリー内にて行われる。遺伝的にコードされたアミノ酸は、(1)酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、(2)塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、ヒスチジン)、(3)非極性アミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および(4)無電荷の極性アミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン)、の4つのファミリーに分けられ得る。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、芳香族アミノ酸として一緒に分類されることもある。同様に、アミノ酸のレパートリーは、(1)酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、(2)塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、ヒスチジン)、(3)脂肪族アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン)(なお、セリンおよびトレオニンは必要に応じて、脂肪族のヒドロキシル基を有するアミノ酸として別にグループ化される)、(4)芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)、(5)アミドアミノ酸(アスパラギン、グルタミン)、および(6)含硫アミノ酸(システインおよびメチオニン)としてグループ化され得る(例えば、Stryer ed., Biochemistry, pg. 17-21, 2nd ed, WH Freeman and Co., 1981)。ペプチドのアミノ酸配列内の電荷が機能的なポリペプチドの原因になるか否かは、バリアントのペプチドが野生型タンパク質と同様に機能できることを評価することによって、容易に決定することができる。1個よりも多い置換を有するペプチドを、同じようにして容易に試験することができる。
より稀であるが、本発明の方法、組成物またはキットに用いる酵素のバリアントには、「保存的でない」変更を含んでいる(例えば、グリシンのトリプトファンとの置換)。類似する少数のバリエーションとしては、アミノ酸の欠失または挿入あるいはそれらの両方を挙げることができる。生物学的な活性を消失することなく、どのアミノ酸残基を置換、挿入または欠失できるのかを決定するガイダンスは、コンピュータープログラム(例えば、LASERGENE software, DNASTAR Inc., Madison, WI)を用いて見出すことができる。
バリアントは、定方向進化、または以下にて詳細に説明するバリアントのコンビナトリアルライブラリーを製造するための他の技術などの方法によって製造し得る。本発明のさらに他の実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、本発明の方法、組成物またはキットの酵素のコード配列を(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼの配列を操作することによって)変更するために、操作され得る。このような変更としては、遺伝子産物のクローン化、プロセシング、局在、分泌および/または発現を修飾する変更が挙げられる。例えば、従来技術において周知の技術(例えば、新たな制限酵素部位を挿入したり、グリコシル化のパターンを変更したり、またはコドンの選択を変更したりするための部位特異的変異誘発法)を用いて、変異を導入してもよい。
本発明のさらに他の実施形態は、変異体またはバリアントの形態の本発明の酵素を提供する。(例えば、RNA5’ポリホスファターゼの)活性を有するペプチドの構造を、活性または安定性(例えばエキソビボでの有効期間および/またはインビボでのタンパク質分解に対する耐性)を増強するために修飾することができる。このような修飾されたペプチドは、本明細書にて規定される対象のタンパク質の活性を有するペプチドと機能的に均等であるとみなされる。アミノ酸配列が(例えば、アミノ酸の置換、欠失または付加によって)変更された修飾されたペプチドが、製造され得る。
さらに、上述したバリアント(例えば変異体)の形態の対象のタンパク質も、より詳細に説明されたペプチドおよびDNA分子と均等であるとみなされる。例えば、上述したように、本発明は、アミノ酸の保存的な置換またはアミノ酸の保存的でない置換を含んでいる、変異体およびバリアントのタンパク質を包含している。
本発明は、本タンパク質(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼ)のコンビナトリアル変異体のセット、および(例えば、EZ−Tn5(登録商標)Protein Truncation Kit(EPICENTRE)を用いて)切断された変異体のセットを生成する方法をさらに意図している。本発明は、機能的な(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼの活性を示す)バリアントの配列(すなわち、変異体)であると見込まれる配列を同定するために特に有用である。このようなコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、酵素活性が改善または変更された新規な酵素のバリアントを生成することである。
それ故、本発明のいくつかの実施形態において、タンパク質のバリアント(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼのバリアントは、変更された(例えば、増加または低減された)酵素活性を提供するように本発明の方法によって操作される。他の実施形態において、タンパク質のバリアントは、特定の応用のために、熱安定性(すなわち、「耐熱性」)、または熱不安定性の活性を提供するように操作される。本発明の他の実施形態において、コンビナトリアルケミストリーに(combinatorially)から得られたバリアントを生成する。このバリアントは、天然に生じるタンパク質の基質多様性(substrate variability)と異なる基質多様性を有している。このようなタンパク質は、組換えDNAコンストラクトから発現された場合、本明細書に記載した方法に使用されると分かる。
本発明のさらに他の実施形態は、対応する野生型タンパク質と細胞内の半減期が劇的に異なる、タンパク質のバリアント(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼのバリアント)を提供する。例えば、変更されたタンパク質は、タンパク質を分解または破壊することになるか、そうでなければタンパク質を不活性化する他の細胞のプロセスに対して、より安定な状態またはより不安定な状態であり得る。このようなバリアントおよびこれらのバリアントをコードする遺伝子を、タンパク質の半減期を調節することによって発現の部位を変更することに利用することができる。例えば、半減期が短ければ、より一時的な生物学的効果を発揮することができ、誘導可能な発現系の一部である場合、細胞内のタンパク質のレベルをより厳密に制御することができる。
本発明のさらに他の実施形態において、タンパク質のバリアント(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼのバリアント)は、アンタゴニストとして作用するように、コンビナトリアルの手法によって生成される。アンタゴニストとして作用するバリアントは、対応する野生型タンパク質の、細胞機能を調節する能力を妨害することができる。本発明のコンビナトリアル変異の手法のいくつかの実施形態において、タンパク質のホモログ、バリアント、または他の関連するタンパク質の集団に関するアミノ酸配列が整列される。この場合、これらの配列は、ホモロジーが可能な限り最も高くなるように整列されることが好ましい。このようなバリアントの集団としては、1つ以上の種または亜種に由来するタンパク質のホモログ(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼのホモログ)、または、同一の種または亜種に由来するが、変異または多型が原因で異なるタンパク質のバリアントが挙げられる。整列された配列の各位置に見られるアミノ酸は、コンビナトリアル配列(combinatorial sequence)の縮重の組(degenerate set)を作製するために選択される。
本発明の好ましい実施形態において、タンパク質のコンビナトリアルライブラリーは、ポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーによって製造される。上記ポリペプチドのライブラリーのポリペプチドは、それぞれ、タンパク質の配列であると見込まれる配列を少なくとも一部含んでいる。例えば、所定の配列であると見込まれる配列(例えば、RNA5’ポリホスファターゼまたはRNA5’モノホスファターゼの配列であると見込まれる配列)の縮重の組が、個々のポリペプチドとして発現可能なように、または所定の配列の組を含んでいる(例えば、ファージディスプレイのための)より大きい融合タンパク質の組として発現可能なように、合成のオリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することができる。
タンパク質のホモログおよびバリアントであると見込まれるもののライブラリーを、オリゴヌクレオチドの縮重配列から生成することができる多くの方法が存在する。いくつかの実施形態において、遺伝子の縮重配列の化学的な合成を自動DNA合成機にて実施し、合成遺伝子を、発現用の適切な遺伝子に連結する。遺伝子の縮重の組は、タンパク質配列であると見込まれる配列の所望の組をコードする全ての配列を1つの混合物にて提供するために用いる。縮重のオリゴヌクレオチドの合成は従来技術において周知である(例えば、Narang, Tetrahedron Lett., 39: 39, 1983; Itakura et al., Recombinant DNA, in Walton (ed.), Proceedings of the 3rd Cleveland Symposium on Macromolecules, Elsevier, Amsterdam, pp 273-289, 1981; Itakura et al., Annu. Rev. Biochem., 53: 323, 1984; Itakura et al., Science 198: 1056, 1984; Ike et al., Nucl. Acid Res., 11: 477, 1983参照)。このような技術は、他のタンパク質の定方向進化に採用されている(例えば、Scott et al., Science 249: 386, 1980; Roberts et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 2429, 1992; Devlin et al., Science 249: 404, 1990; Cwirla et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6378, 1990;および米国特許第5223409号明細書; 米国特許第5198346号明細書; 米国特許第5096815号明細書)。
タンパク質をコードする核酸を定方向進化のための出発物質の核酸として利用できることが意図される。これらの技術を利用して、所望の性質を有する(例えば、酵素活性が増加、低減または変更された)酵素のバリアントを開発することができる。
いくつかの実施形態において、ランダム変異誘発によって人工的な進化を実施する。人工的な進化を、例えば、エラープローンRCR(error-prone PCR)を利用して、ランダムな変異を所定のコード配列に導入することによって実施する。この方法は、変異の頻度を精密に調整することを必要とする。一般に、有益な変異は稀であり、有害な変異が一般的である。これは、有害な変異と有益な変異とが組み合せられると、多くの場合、不活性な酵素が得られるからである。標的化される遺伝子に対する塩基の置換の理想的な数は、通常、1.5個〜5個である(Moore and Arnold, Nat. Biotech., 14, 458, 1996; Eckert and Kunkel, PCR Methods Appl., 1: 17-24, 1991; Caldwell and Joyce, PCR Methods Appl., 2: 28, 1992; and Zhao and Arnold, Nuc. Acids Res. 25: 1307, 1997)。突然変異の後に、生じたクローンを所望の活性について選抜する。多くの場合、所望の性質を有する酵素を開発するには、突然変異および選抜を連続的に何度も行うことが必要になる。留意するべきことは、有用な変異のみが、次回の突然変異に持ち越されることである。
本発明の他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、遺伝子シャッフリング(gene shuffling)法またはセクシャルPCR法に用いられる(例えば、Smith, Nature, 370: 324, 1994; U.S. Pat. Nos. 5837458; 5830721; 5811238; 5733731)。遺伝子シャッフリングは、いくつかの変異DNAをランダムに断片化し、その後、断片化されたDNAをPCRによって完全長の分子へ再構築することを含んでいる。種々の遺伝子シャッフリングの手法の例は、DNaseを用いて処理すること、互い違いに伸長するプロセス、およびランダムにプライミングしてインビトロにて組み換えること、これらの後に構築することを含んでいる。DNaseに媒介される方法では、陽性の変異のプールから単離されたDNAの部分をDNase Iを用いてランダムな断片へと切断し、プライマーを添加せずに複数回のPCRに供する。ランダムな断片の長さは、PCRのサイクルが進むと、切断されていない上記部分の長さに達する。その結果として、変異が、混合された種々のクローン内に存在し、そして生じた配列のいくつかに蓄積する。複数のサイクルの選抜およびシャッフリングを行うことによって、いくつかの酵素の機能が向上されている(Stemmer, Nature, 370:398, 1994; Stemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 10747, 1994; Crameri et al., Nat. Biotech., 14: 315, 1996; Zhang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94: 4504, 1997;およびCrameri et al., Nat. Biotech., 15: 436, 1997)。
ある性質を有する遺伝子産物について、cDNAライブラリーをスクリーニングしたり、点変異によって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングしたりするための、広範な技術が従来技術において公知である。このような技術は、コンビナトリアル変異によって、またはタンパク質もしくはバリアントの組換えによって生成された遺伝子ライブラリーを迅速にスクリーニングするために、一般的に適合される。巨大な遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く用いられる技術は、複製可能な発現ベクターへ遺伝子のライブラリーをクローン化することと、生じたベクターのライブラリーによって適切な細胞を形質転換することと、産物を検出される遺伝子をコードするベクターが、所望の活性を検出されることによって比較的容易に単離される条件でコンビナトリアルな遺伝子を発現させることと、を典型的に包含している。
また、本発明の核酸およびタンパク質の断片は、これらの断片が所望の酵素活性をコードしているか、有しているのであれば、用いられてもよい。
本明細書において用いる場合、「5’エキソリボヌクレアーゼ」(「XRN」)は、5’一リン酸化された末端を有する一本鎖RNAの基質に対する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が、5’三リン酸化された末端または5’キャッピングされた末端を有する同一のRNAの基質に対する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性よりも20倍を超える5’エキソヌクレアーゼを意味する。本発明の5’エキソリボヌクレアーゼの酵素活性を多種多様な方法を用いて測定することができる。5’三リン酸を有するRNA基質、5’キャップを有するRNA基質、または5’一リン酸を有するRNA基質を用いた、活性の評価および相対的な活性の決定をするための適切な方法が、StevensおよびPooleによって記載されている(J. Biol. Chem., 270: 16063, 1995)。5’エキソリボヌクレアーゼの好ましい組成物は、Saccharomyces cerevisiaeのXrn1p(5’エキソリボヌクレアーゼ1)(または「XrnIエキソリボヌクレアーゼ」または「XrnI5’エキソリボヌクレアーゼ」または「5’Xrn1pエキソリボヌクレアーゼ」)である。Saccharomyces cerevisiaeのXrn1pを従来技術において公知の方法を用いて調製することができる。いくつかの実施形態において、5’エキソリボヌクレアーゼを、Saccharomyces cerevisiaeのXRN1遺伝子を発現させることによって取得する。このXRN1遺伝子の発現は、このXRN1遺伝子をプラスミド内にクローン化し、次いで、Escherichia coli細胞にて複製し、この細胞内にて発現させることによって実施する。
「オリゴキャップ」または「オリゴヌクレオチドのキャップ」は、「オリゴキャッピング」法の一部として、5’一リン酸化RNA分子の5’末端にRNAリガーゼの作用によって連結された、アクセプタのオリゴヌクレオチドである。従来技術におけるオリゴキャッピング法のほとんどの実施形態において、オリゴキャップはアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドである。「オリゴキャップ」は、真核生物のmRNA分子にて典型的に見出される「m7Gキャップ」と異なる。真核生物のmRNAおよび真核生物のいくつかの他のRNA分子の、キャップ(例えばm7Gキャップ)を、本明細書において「m7G−キャップ」または「キャップヌクレオチド」または「ヌクレオチドのキャップ」とも称することがあり、「オリゴヌクレオチドのキャップ」または「オリゴキャップ」と区別する。我々は、キャップヌクレオチドがグアニン塩基のN7のメチル基に加えて他の修飾を有しているかもしれないとしても、このキャップヌクレオチドを有するRNA(例えば真核生物のmRNA)を本明細書において「m7GによってキャッピングされたRNA」と称することがある。
本明細書において用いる場合、「核酸に対するピロホスファターゼ」または「ピロホスファターゼ」(「PPase」)は、m7GによってキャッピングされたRNAの三リン酸の架橋のピロホスフェート結合、または5’三リン酸を有する一次RNA内の5’三リン酸の三リン酸の架橋のピロホスフェート結合を切断し、5’一リン酸を有するRNAを生成する酵素を意味する。核酸に対するピロホスファターゼは、タバコ酸性ピロホスファターゼ(「TAP」)であってもよいし、本方法において同様の活性を有する任意の他の酵素であってもよい。例えば、バキュロウイルスのホスファターゼ(BVP)(Takagi, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 9808-9812, 1998; Gross, C.H. and Shuman, S., J. Virology 72: 7057-7063, 1998)、ヒトのPIR1のタンパク質(Deshpande, T. et al., J. Biol. Chem. 274: 16590-16594, 1999)、およびE. coliのRppHのタンパク質(Deana, A et al., Nature 451: 355-358, 2008)が、5’三リン酸化RNAを5’一リン酸化RNAへ変換することが報告されている。これらの酵素のキャッピングされたRNAに対する活性は報告されていないが、この活性はテストされると考えられる。そして、BVP、PIR1およびRppHのタンパク質の中から選択されるタンパク質のいずれかが、キャッピングされたRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ変換する活性を有しており、この活性を有するタンパク質のいずれかが、本発明の方法のいずれかにおいて核酸に対するピロホスファターゼとして使用され得ることが考られる。
「ポリAポリメラーゼ」(「PAP」)は、ATPを選択的に用いて、AMP残基をRNAのヒドロキシル化された3’末端に組み込む、テンプレートに依存しないRNAポリメラーゼを意味する。このRNAポリメラーゼは、ほとんどの真核生物、原核生物、および真核生物のウイルスにて発見される。植物、動物、細菌およびウイルスから研究されたPAP酵素は全て、同一の総括反応を触媒するので(例えば、Edmonds, M, Methods Enzymol., 181; 161-180, 1990参照)、これらのPAP酵素は構造的に高度に保存されており(例えば、Gershon, P, Nature Structural Biol. 7: 819-821, 2000参照)、特定の配列または大きさのRNA分子に対する固有の特異性を欠いている。PAPが、ポリアデニル化シグナルAAUAAA(Wilusz, J and Shenk, T, Cell 52: 221, 1988)を認識するタンパク質から分離された場合、種々の原料のいずれかから精製された野生型PAP酵素および組換えPAP酵素を、本発明のキットおよび方法に使用することができる。
「一次RNA」または「RNAの一次転写産物」は、RNAポリメラーゼによってインビボまたはインビトロにて合成され、最も5’側のヌクレオチドの5’炭素に三リン酸を有するRNA分子を意味する。
「複製」は、RNA分子をテンプレートとして、RNA依存的なRNAポリメラーゼ(すなわち、「レプリカーゼ」)によってRNA分子を形成または合成することを意味する。
本発明によれば、「RNAの増幅」は、RNA産物を合成することになる方法である。RNAの増幅では、RNA配列またはその相補的な配列のコピー数が、サンプル中に存在する配列のコピー数と比較して増加する。例えば、オリゴdTのプロモータープライマー(promoter primer)を第一鎖cDNAを合成するためのプライマーとして用いる方法を、Van Gelder, R.N., et al.によってProc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1663, 1990に記載されたようなアンチセンスRNA(aRNA)を合成するために用いることができる。この目的のためのキットは市販されており、用いることができる。このようなキットとしては、EPICENTRE(Madison, WI)から入手可能な種々のキット(1ラウンド(1-round)TARGETAMP(登録商標)アミノアリル(Aminoallyl)aRNA増幅キット(Amplification Kit)、2ラウンド(2-round)TARGETAMP(登録商標)アミノアリルaRNA増幅キット、1ラウンドTARGETAMP(登録商標)aRNA増幅キット、2ラウンドTARGETAMP(登録商標)aRNA増幅キットなど)のような1ラウンド増幅キットおよび2ラウンド増幅キットが挙げられる。また、第二鎖cDNAを合成するためのプライマー(またはPCRプライマー)を、(例えば本明細書に記載の方法を用いて)センスRNAを合成するためのRNAを増幅する方法に用いることができる。この第二鎖cDNAを合成するためのプライマーは、5’部分にて、RNAポリメラーゼのプロモータの一鎖に関する配列を示し、3’部分にて、第一鎖cDNAの3’末端のタグによって示される配列に対して相補的な配列を示す。したがって、これらの実施形態において、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドは、5’一リン酸基を有するRNAを含んでいる目的のRNAの5’末端に連結される。これにより、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが得られる。次いで、この5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAをテンプレートとして用い、RNA依存的なDNAポリメラーゼを使用して第一鎖cDNAを合成する。次いで、DNAポリメラーゼと第二鎖cDNAを合成するためのプライマー(またはPCRプライマー)を用いて、RNAポリメラーゼのプロモータを含んでいる二本鎖cDNAを合成する。最後に、RNAポリメラーゼのプロモータに結合し、このプロモータから転写を開始するRNAポリメラーゼを用いて、二本鎖cDNAからインビトロにて転写することによって、増幅されたセンスRNAを合成する。サンプル中の目的のRNAが5’一リン酸基を予め有していない場合、このRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ変換する。例えば、キャッピングされたRNAおよび5’ポリリン酸基を有するRNAの両方を含んでいる目的のRNAを5’一リン酸基を有するRNAへ変換するためには、タバコ酸性ピロホスファターゼを用い、5’ポリリン酸基を有するRNAのみを5’一リン酸基を有するRNAへ変換するためには、RNAポリホスファターゼを用いる。
また、本発明は、二本鎖cDNAの合成を必要とするRNAを増幅する方法に限定されない。例えば、本発明は、米国特許出願公開第2004/0171041号明細書に記載されたような、RNAを増幅する方法および組成物を含んでいる。米国特許出願公開第2004/0171041号明細書に記載されたような、RNAを増幅する方法および組成物は、一本鎖のプロモータに機能的に連結された一本鎖のテンプレートを用いてRNAを合成することができるRNAポリメラーゼを用いるものであり、例えば、MINI−VのRNAポリメラーゼを用いる方法である。MINI−VのRNAポリメラーゼは、EPICENTREから入手可能なMINI−V(登録商標)のインビトロ転写キット(In Vitro Transcription Kit)に備えられている。これらの実施形態において、一本鎖のプロモータがcDNAの5’末端または3’末端のどちらか一方に連結されており、後に一本鎖DNAテンプレートを(例えば、MINIV RNAポリメラーゼを用いて)インビトロにて転写することによって、増幅されたアンチセンスRNAまたは増幅されたセンスRNAをそれぞれ生じる。なお、このcDNAは、RNA依存的なDNAポリメラーゼを用いてプライマーを伸長するmRNAの逆転写によって作製されたものである。
本明細書において規定される場合、「RNAリガーゼ」は、アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド(ヒドロキシル基を3’末端に有している。)とRNAのドナー(5’末端に5’リン酸基を有している。)との連結またはライゲーションを触媒することができる酵素または酵素組成物を意味する。本発明はRNAリガーゼに関して限定されず、任意の原料からの任意のRNAリガーゼを、本発明の方法およびキットの実施形態に用いることができる。例えば、いくつかの実施形態において、RNAリガーゼは、バクテリオファージT4の遺伝子63によってコードされたポリペプチド(gp63)である。この酵素は、普通、単純に「T4RNAリガーゼ」と称されるが、Ho, CKおよびShuman, Sが第2のRNAリガーゼ(gp24.1)をProc. Natl. Acad. Sci. USA 99: 12709-12714, 2002に記載してから、今ではより正確に「T4RNAリガーゼ1」と呼ばれる。第2のRNAリガーゼ(gp24.1)は、バクテリオファージT4の遺伝子24.1によってコードされており、今では「T4RNAリガーゼ 2」と呼ばれる。特に断りの無い限り、本明細書において「T4RNAリガーゼ」を用いた場合、「T4RNAリガーゼ1」が意図される。例えば、いくつかの他の実施形態において、RNAリガーゼは、米国特許第7303901号明細書に開示されたような、Thermus scotoductusに感染するバクテリオファージTS2126からのRNAリガーゼ遺伝子に由来するか、またはこの遺伝子にコードされるポリペプチド(すなわち、バクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)である。
本明細書にて規定する場合、「RNA5’モノホスファターゼ」または「RNA5’モノホスファターゼ酵素」または「RNA5’モノホスファターゼの組成物」または「RMP」は、このRNA5’モノホスファターゼが、キャッピングされていない一次RNA(5’三リン酸基を有するRNAを意味する。)を5’ヒドロキシル基を有するRNAへ実質的に消化しない条件で、5’一リン酸基を有するRNAを5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換することができる酵素または酵素組成物を意味する。異なる実施形態において、RNA5’モノホスファターゼを使用する本発明の方法に用いるための適切なRNA5’モノホスファターゼは、用いた条件下において、反応物中の50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える、90%を超える、または90%を超える5’一リン酸化RNAを5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換するが、この反応混合物における5’三リン酸化RNA(例えば、原核生物のmRNA)を実質的に消化しない酵素である。例えば、いくつかの実施形態において、これは、従来公知の方法(5’一リン酸化RNAおよび5’三リン酸化RNAを増幅するための適切なプライマーの対を用いる、リアルタイムqRT−PCT)を用いて評価することができる。RNA5’モノホスファターゼを、RNAの5’一リン酸基を5’ヒドロキシル基へ消化する能力に関して本明細書にて規定したが、RNA5’モノホスファターゼは他の酵素活性を有することもできる。例えば、RNA5’モノホスファターゼは、3’一リン酸基を有するRNAから3’一リン酸基を除去するという酵素活性を有していてもよい(この酵素活性を有している必要はない)ことが本明細書において理解される。さらに、RNA5’モノホスファターゼは、DNAの末端、リボヌクレオチドの末端、もしくはデオキシリボヌクレオチドの末端から、または核酸でない基質の末端からでさえも一リン酸基を切断することが可能であってもよい(可能である必要はない)。RNA5’モノホスファターゼを使用する本方法の何れかに用いることができる適切なRNA5’モノホスファターゼの1つは、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE, Madison, WI, USA)。である。本発明はRMP1を含んでいる実施形態に限定されず、5’一リン酸基を有するRNAを5’ヒドロキシル基を有するRNAへ特異的に変換し、同じ反応混合物中に存在する5’三リン酸基を有するRNAを5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換しないという、意図された目的のために機能するのであれば、任意のRNA5’モノホスファターゼを用いることができる。
RNA5’モノホスファターゼの酵素活性は、種々の基質(例えば、p−ニトロフェニルリン酸塩、または、5’一リン酸基を有する核酸(RNAまたはDNA))、条件、およびアッセイを用いる様々な方法によって規定され得る。例えば、1ユニットの規定としては、以下のような規定を用いることが可能である。RNA5’モノホスファターゼの1ユニットは、「15mMのp−ニトロフェニルリン酸塩および5mMの塩化カルシウムを含む、pH9.6の1Mのジエタノールアミン中で、25℃にて1分間あたり、1マイクロモルのp−ニトロフェニルリン酸塩を脱リン酸化させる酵素の量」と規定し得る。ユニットの規定の別の例としては、以下のような規定を用いることができる。RNA5’モノホスファターゼ(例えば、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1)、EPICENTRE)の1モレキュラーバイオロジーユニット(1 molecular biology unit(MBU))は、「適切な反応バッファ中で、30℃にて60分間あたり、5’一リン酸基を有する核酸の基質の規定された調製物の1マイクログラムから、5’一リン酸基を除去する酵素の量」と規定し得る。例えば、RMP1にとって適した上記反応バッファは、pH7.5の33mM Tris−acetate、66mMの酢酸カリウム、10mMの酢酸マグネシウム、5mMの塩化カルシウム、および0.5mMのDTTを含んでいる。例えば、RMP1にとっての上記基質は、RNAまたはDNA(例えば、バクテリアの16Sおよび/または23SリボソームRNAの規定された調製物、または、5’一リン酸基を有する規定されたDNA)である。
本明細書にて規定する場合、「RNA5’ポリホスファターゼ」または「RNAポリホスファターゼ」は、5’三リン酸基を有するRNA(例えば、真核生物または原核生物のキャップされていない初期のRNA)または5’二リン酸基を有するRNAを、5’一リン酸基を有するRNAへ変換する酵素または酵素組成物であって、キャップされたRNA(例えば、m7GによってキャップされたRNAを5'一リン酸基を有するRNAへ変換しない酵素または酵素組成物、を意図する。しかしながら、本明細書中に規定する酵素活性を有することに加えて、RNA5’ポリホスファターゼは、別の酵素活性をも備え得る。例えば、本明細書中において、RNA5’ポリホスファターゼは、RNA分子の5’末端に連結した2つ以上のリン酸塩を含む、あらゆる直鎖型のポリリン酸塩からリン酸塩を除去し得る。加えて、RNA5’ポリホスファターゼは、DNA、RNA、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、または、非核酸であるポリリン酸塩基質の5’末端に連結した2つ以上のリン酸を含む、直鎖型のポリリン酸をも分解し得る。本発明のいくつかの実施形態は、アルミニウム誘導性のバクテリア遺伝子(例えば、Escherichia coliのRNA5’ポリホスファターゼ1、または、E. coliの5’RPP1、または、E. coliのRPP1、または、場合によっては単にRPP1)によってコードされたRNA5'ポリホスファターゼを用いる、組成物、キットおよび方法を包含している。精製されたE. coliのRNA5'ポリホスファターゼ1酵素は、おおよそ19kDaのタンパク質であった。RNA5'ポリホスファターゼ1の核酸配列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)が決定された(図4)。明細書中に用いられる用語「RNA5’ポリホスファターゼ」は、特に指定されない限り、タンパク質または遺伝子を意図し得る。
E. coliのRNA5'ポリホスファターゼ1(E. coliの5'RPP1)の安定した酵素組成物を提供するために適した酵素保存用のバッファとしては、50mMのTris−HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、100mMのEDTA、1mMのDTTおよび0.1%の非イオン性界面活性剤であるTritonX−100を含んでいる50%グリセロール溶液を挙げることができる。
RNA5’ポリホスファターゼの酵素活性は、種々の基質(例えば、NTP、初期のRNA、6,8−ジフルオロ−4-メチルウンベリフェリルホスフェート(methylumbelliferyl phosphate))、条件、およびアッセイを用いる様々な方法によって規定され得る。例えば、1ユニットの規定としては、以下のような規定を用いることが可能である。RNA5’ポリホスファターゼの1ユニットは、「標準的な反応アッセイの条件下で、37℃にて60分間あたり、ATPから1ナノモルの無機リン酸塩を放出する酵素の量」と規定し得る。例えば、E. coliのRNA5'ポリホスファターゼ1の場合、標準的な反応アッセイの条件としては、50mMのHEPES/KOH(pH7.5)、0.1MのNaCl、1mMのEDTA、0.1%のBMEおよび0.01%のTritonX100からなる反応バッファ中に1mM ATPを添加したものを用いる。
本発明の方法は、E. coliの5’RPP1を使用することに限定されない。上記方法における反応条件下でE. coliの5’RPP1と同等の酵素活性を有する、あらゆるRNA5'ポリホスファターゼが用いられ得る。本明細書中で規定するように、「RNA5'ポリホスファターゼ」または「RNAポリホスファターゼ」は、上記RNAポリホスファターゼが、キャップされたRNAの5'末端を5'一リン酸塩へ分解しない条件下において、初期のRNAの5'三リン酸基を5'一リン酸へ分解することができる酵素組成物を意図する。例えば、RNA5’ポリホスファターゼは、Escherichia coliのRNA5'ポリホスファターゼ1(E. coliのRPP1)およびShigellaのRNA5'ポリホスファターゼ1(ShigellaのRPP1)の中から選択され得る。しかしながら、本発明の方法については、上記酵素は、RNA5'ポリホスファターゼ活性を有する、あらゆる材料に由来するあらゆる酵素であり得る。例えば、バキュロウイルスのホスファターゼ(BVP)(Takagi, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 9808-9812, 1998; Gross, C.H. and Shuman, S., J. Virology 72: 7057-7063, 1998)、ヒトPIR1タンパク質(Deshpande, T. et al., J. Biol. Chem. 274: 16590-16594, 1999)およびE. coli RppHタンパク質(Deana, A et al., Nature 451: 355-358, 2008)は、5'が三リン酸化RNAを5'が一リン酸化RNAへ変換することが報告されているが、これらの活性が、キャップされたRNAへ作用することは報告されていない。この活性を試験するとともに、キャップされたRNAを、5’に一リン酸基を有するRNAへ変換する活性を有していないBVP、PIR1およびRppHタンパク質の中から選択された何れかのタンパク質を、RNAポリホスファターゼを用いる本発明の何れかの方法におけるRNAポリホスファターゼとして用いられ得ることが予期される。
本明細書中で規定するように、「RNaseH」は、同じ反応混合物中に存在するDNAまたはハイブリダイズしていないDNAを分解することなく、RNAとDNAとの複合体中のRNAを特異的に分解する酵素または酵素組成物を意図する。典型的なRNaseHとしては、E. coliのRNaseH、HYBRIDASETM thermostable RNaseH、およびThermus RNaseH(例えば、TthまたはTfl RNaseH)が挙げられる。しかしながら、本発明は、RNAとDNAとの複合体中のDNAにアニーリングしたRNAを特異的に分解するという目的のために機能する限り、RNaseHについて限定されない。
本明細書中で規定するように、「RNaseI」は、同じ反応混合物中に存在する二本鎖のRNA、一本鎖のDNAまたは二本鎖のDNAを分解することなく、全てのジヌクレオチド中の1本鎖RNAをヌクレオシド−3’−一リン酸へ特異的に分解する酵素または酵素組成物を意図ずる。典型的なRNaseIとしては、E. coliのRNaseIが挙げられる。しかしながら、本発明は、同じ反応混合物中に存在する二本鎖のRNA、一本鎖のDNAまたは二本鎖のDNAを分解することなく、一本鎖のRNAを特異的に分解するという目的のために機能する酵素である限り、RNaseIに限定されない。
本明細書中で用いるように、「ヌクレオシド」は、ペントース糖へ共有結合したプリン(グアニン(G)またはアデニン(A))、またはペントース糖へ共有結合したピリミジン(チミン(T)、ウリジン(U)またはシチジン(C))からなる化合物を意図するが、「ヌクレオチド」は、ペントース糖のヒドロキシル基の1つがリン酸化されたヌクレオシドを意図する。
本明細書中で用いるように、「核酸」または「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドが共有結合した配列(sequence)である。当該配列において、1つのヌクレオチド内の糖の3’の位置は、隣のヌクレオチド内の糖の5’の位置へ、ホスホジエステル基によって結合している。上記配列において、ヌクレオチド残基(ベース(bases))は、特定の配列(例えば、ヌクレオチドの直線状の順序)にて連結している。本明細書中で用いるように、「オリゴヌクレオチド」は、短いポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドの一部分を意図する。典型的なオリゴヌクレオチドは、略2〜略100ベースの配列を含んでいる。用語「オリゴ」は、時には、用語「オリゴヌクレオチド」の代わりに用いられる。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、アクセプタのオリゴヌクレオチド(「アクセプタオリゴ」、「オリゴヌクレオチドアクセプタ」、「オリゴアクセプタ」、「アクセプタ」または「アクセプタ分子」などとも呼ぶ)である。アクセプタのオリゴヌクレオチドは、自身の3’末端にヒドロキシル基を有している。このヒドロキシル基は、アクセプタのオリゴヌクレオチドを、5’一リン酸を有するRNA分子(ドナー)へ連結させることができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)からなるか、2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)を含んでいる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチド(RNA)からなるか、リボヌクレオチド(RNA)を含んでいる。オリゴヌクレオチドがリボヌクレオチド(RNA)からなるいくつかの好ましい実施形態では、上記オリゴヌクレオチドは、「アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド」、「RNAのアクセプタオリゴ」、「RNAアクセプタ」または「RNAオリゴヌクレオチドアクセプタ」などである。これらは、自身の3’末端にヒドロキシル基を有しており、RNAリガーゼ(例えば、T4 RNAリガーゼ(EPICENTRE)またはバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼ)によって、5'末端に一リン酸基を有するRNA分子(例えば、「RNAドナー」または「RNAドナー分子」など)に連結され得る。
直鎖の核酸分子は、「5’末端(5’エンド)」および「3’末端(3’エンド)」を有していると考えられている。その理由は、置換モノヌクレオチド内の糖の5’炭素および3’炭素において、核酸のホスホジエステル結合が生じるからである。5’炭素に対して新たな結合を生じるポリヌクレオチドの末端は、5’末端ヌクレオチドである。3’炭素に対して新たな結合を生じるポリヌクレオチドの末端は、3’末端ヌクレオチドである。本明細書で用いるように、「末端ヌクレオチド」とは、3’または5’末端に存在するヌクレオチドを意図する。
核酸分子は、「5’エンド」および「3’エンド」を有していると考えられている。その理由は、キャップを除けば(本明細書の他の箇所に記載したように)、モノヌクレオチドは、ホスホジエステル結合を介して、一方向へ連結されてオリゴヌクレオチドを形成する。このとき、1つのモノヌクレオチド内の糖の5’炭素に結合したリン酸が、隣接するモノヌクレオチド内の糖の3’炭素に結合した酸素へ結合される。それ故に、5’リン酸が、モノヌクレオチド内の糖の3’炭素の酸素へ結合しない場合には、オリゴヌクレオチドの末端は、5’エンドと呼ばれる。3’酸素が、後に続くモノヌクレオチド内の糖の5’リン酸塩へ結合しない場合には、オリゴヌクレオチドの末端は、3’エンドと呼ばれる。
本明細書中で用いるように、用語「5’(5'-of)」および「3'(3'-of)」は、一本鎖の核酸中に存在する別の化学基、核酸または核酸配列に対する、特定の化学基、核酸または核酸配列の位置または方向を意図する。例えば、RNAのアクセプタオリゴの3'エンドにある3'ヌクレオチドの3'位置に存在するヒドロキシル基には、RNAリガーゼを用いてRNAドナー分子の5'エンドが連結され得るが、当該ヒドロキシル基は、RNAアクセプタのオリゴヌクレオチド内のあらゆる他の化学基または核酸の3'である。全ての他の化学基、ヌクレオチドまたはヌクレオチド配列は、RNAアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’エンドの5’である。例えば、いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ プロモーター配列は、RNAアクセプタのオリゴヌクレオチドの3’エンドに存在するヌクレオチドの5’であり得る。当業者は、これらの用語を、核酸化学および核酸構造、特に、標準的な核酸ヌクレオチド内の3’および5’の位置の糖に関連付けて理解するであろう。第1の核酸配列が、1つの鎖の第2の配列の3'である場合には、第1の配列の相補鎖は、相補鎖の第2の配列の相補鎖の5’である。
ポリペプチド分子は、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有すると考えられている。その理由は、ペプチド結合は、第1のアミノ酸のバックボーンのアミノ基と、第2のアミノ酸のバックボーンのカルボキシル基との間で生じるからである。
「RNAトリホスファターゼ」は、キャップヌクレオチド(例えば、m7G)を真核生物のmRNAの5'末端へ加えるキャッピング酵素のシステムの酵素または酵素のサブユニットを意図する。RNAトリホスファターゼは、初期のmRNA転写物の5'三リン酸を5'二リン酸へ分解する触媒作用を有している。いくつかのキャッピング酵素のシステムでは、RNAトリホスファターゼは、グアニルトランスフェラーゼ活性をも有するタンパク質の一活性である(例えば、ワクシニアのキャッピンング酵素に関して)。一方、別のキャッピング酵素のシステムでは、RNAトリホスファターゼとグアニルトランスフェラーゼ活性とが別々のタンパク質である(例えば、Saccharomyces cerevisiae)。初期のmRNA転写物の5’三リン酸を5’二リン酸へ分解する活性を有する、あらゆるRNAトリホスファターゼが、本発明の方法に用いられ得る。
用語「サンプル」または「生物学的サンプル」は、非常に広い意味で用いられ、生物学的原料および環境に起因する原料(environmental sources)を含むあらゆる原料から得られる、サンプルまたは標本を包含する。本明細書中で用いるように、生物から得られる生物学的サンプルを指して用いられる用語「サンプル」は、液体、固体、組織および気体を含んでいる。本発明の好ましい実施形態では、生物学的サンプルとして、体液、分離された細胞、固定化された細胞、および細胞溶解物などが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、上記サンプルは、ホルマリンで固定化されたパラフィン包埋(FFPE)組織切片であり、当該サンプル中に含まれるRNAには、分解されたRNA分子が含まれる。当該分解されたRNAには、分解されたキャッピングされたRNA、5’ポリリン酸基を有する分解されたRNA、5’一リン酸基を有する分解されたRNA、および/または、5’ヒドロキシル基を有する分解されたRNAが含まれる。それ故に、サンプル中の1つ以上のRNA分子に5’ライゲーションによりタグを付加するための方法におけるいくつかの実施形態では、上記サンプルは、分解されたRNAを含んでいる。上記方法は、サンプル中の1つ以上の個々の分解されたRNA分子(例えば、分解された、キャッピングされたRNA、または分解された、5’三リン酸化RNA)に、5’ライゲーションによりタグを付加するために用いられる。これらの実施形態のいくつかでは、取得され、分離され、精製され、または、解析された上記1つ以上のRNA分子は、天然に生じた分解されていないRNAに由来する、RNA分子の5’末端部分のみを、または、主として5’末端部分を含む(例えば、キャッピングされたRNAまたは5’三リン酸化RNAの5’末端部分のみ)。しかしながら、これらの例は、本発明に用いられるサンプルのタイプを限定するものではない。
「タグ」は、「タグ配列」と呼ばれる配列を示すDNAを意図し、この「タグ配列」は、タグが連結または付加されたDNAの同定、認識、および/または、分子学的もしくは生化学的な操作を可能にする。(例えば、DNAポリメラーゼによって伸長するための、プライマーがアニーリングする部位(換言すれば、プライミング部位)を提供することによって、例えば、DNAの配列の解析または核酸の増幅のための、または、例えば、ライゲーション反応のためのオリゴヌクレオチドがアニーリングするための部位を提供することによって(例えば、テンプレート依存的なDNAリガーゼを用いたライゲーションのための「ライゲーションのテンプレート」、例えば、シークエンシング−バイ−ライゲーション(sequencing-by-ligation)のため)、または、オリゴデオキシリボヌクレオチドがアニーリングするための部位を提供するために、例えば、ハイブリダイゼーションによって配列を解析するために(Drmanac et al in U.S. Patent Application Nos. 20090011943; 20090005252; 20080318796; 20080234136; 20080213771; 20070099208; and 20070072208参照))。DNA分子にタグを結合させる工程は、本明細書中で、しばしは「タグの付加(タグ化(tagging))」と呼び、タグを付加されたDNAを「タグ化された」(例えば、「タグ化されたDNA」)と呼ぶ。上記タグは、1つ以上の「タグ部」または「タグドメイン」を有し得、本明細書において、これらは、所望の意図された目的または適用のための配列を提示するタグの、部分またはドメインを意図する。異なるタグドメインの名称および記載は、便宜上、異なる実施形態において、タグの異なる部分またはドメインの意図された目的および適用を、理解および議論することを容易にするようになっている。しかしながら、これらの名称および記載は、タグ、または当該タグのあらゆるタグドメインの使用または適用を何ら制限することはない。それ故に、あらゆる特定のタグまたはタグドメインは、意図された目的または適用、および最初の目的または適用に加えて(または代えて)、あらゆる目的に使用され得る。例えば、「捕捉用のタグドメイン(capture tag domain)」または「捕捉用のタグ(capture tag)」は、タグドメインが結合されたssDNA断片の捕捉を容易にすることを目的にした配列を提示するためのタグドメインを意図する(例えば、ビーズ上または他の表面上に存在するタグ化されたRNAまたはDNAを捕捉するためのアニーリング部位または親和性タグを提供するために、例えば、タグドメイン配列のアニーリング部位は、表面上の特異的な配列(例えば、ビーズ上、マイクロチップ上、マイクロアレイ上、配列決定用のビーズ(sequencing bead)上のプローブなど)にアニーリングすることによって、捕捉を可能にする。)。本発明の方法のいくつかの実施形態では、表面上の相補的なプローブにアニーリングすることによって、タグ化されたRNAまたはDNAが捕捉された後で、捕捉タグドメインは、上記タグ化されたRNAまたはDNA(または、上記タグ化されたRNAまたはDNAの相補体)をテンプレートとして用いて、DNA合成を準備するための部位を提供する。別のいくつかの実施形態では、上記捕捉タグドメインは、親和性に基づき結合する分子を含むまたは親和性に基づき結合する分子からなる、化学基または構成成分へ結合される(例えば、タグ化されたRNAまたはDNAの5’部分が、第1の親和性に基づき結合する分子(例えば、ビオチン、ストレプトアビジン、抗原または当該抗原に結合する抗体など)へ結合され、第1の親和性に基づき結合する分子と特異的な結合対を形成する第2の親和性に基づき結合する分子が結合された表面上に、タグ化されたRNAまたはDNAを捕捉することを可能にする。)。「配列決定用タグドメイン(sequencing tag domain)」または「シークエンシングタグ(sequencing tag)」は、タグが結合したRNAまたはDNAの配列決定(sequencing)を容易にする配列を提示するためのタグドメインを意図する(例えば、合成によって、配列決定のためのプライミング部位を提供するため、または、ライゲーションによって、配列決定のためのアニーリング部位を提供するため、または、ハイブリダイゼーションによって、配列決定のためのアニーリング部位を提供するため)。例えば、いくつかの実施形態では、上記配列決定用タグドメインは、タグ化されたDNAまたは当該タグ化されたDNAの相補鎖のプライミングDNA合成(priming DNA synthesis)のための部位を提供する。「検出用タグドメイン(detection tag domain)」または「検出タグ(detection tag)」は、本発明の方法を用いて作製されたタグ化されたRNAまたはDNAの検出を容易にするための、配列または検出可能な化学的な構造体もしくは生化学的な構造体を提示するタグドメインを意図する(例えば、上記配列または化学的な構造体は、検出可能な分子を含むか、または、検出可能な分子に結合される。上記検出可能な分子は、可視的な色素、蛍光性の色素、化学発光性の色素、他の検出可能な色素;基質の存在下で検出可能な酵素(例えば、NBTおよびBCIP存在下のアルカリホスファターゼ、または、適切な基質存在下のペルオキシダーゼ);検出可能なタンパク質(例えば、GFP(green fluorescent protein));および、検出可能な構造体へ結合する親和性に基づき結合する分子、または、別の検出可能な親和性に基づき結合する分子と親和性のペアまたは特異的な結合のペアを形成し得る親和性に基づき結合する分子;または、当該分野で公知の他の多くの検出可能な分子またはシステム、から選択される。)。「アドレスタグドメイン(address tag domain)」または「アドレスタグ(address tag)」は、特定のサンプルを同定することができる配列を提示するタグドメインを意図する(例えば、タグ化されたRNAまたはDNAは、各サンプルに対して異なる配列を提示するための、異なるアドレスタグドメインを有する。)。「制限酵素部位ドメイン(restriction site domain)」は、エンドヌクレアーゼ(restriction endonuclease)による分解を容易にする配列を提示するためのタグドメインを意図する。例えば、いくつかの実施形態では、制限酵素部位ドメインは、ジタグ化RNAまたはDNA(di-tagged RNA or DNA)を作製するために用いられる。いくつかの実施形態では、上記制限酵素部位ドメインは、タグドメイン内に、相補的な2本鎖の5'末端を作製するために用いられる。当該末端は、テンプレート依存的なDNAリガーゼを用いて、別のDNA分子へ連結され得る。いくつかの好ましい実施形態では、タグ内の制限酵素部位ドメインは、たとえ標的のDNA内に存在したとしても稀にしか存在しない制限酵素認識部位の配列を提示する(例えば、NotIまたはAscIのような、稀にしか切断しないエンドヌクレアーゼ(rare-cutting restriction endonuclease)の制限酵素認識部位)。いくつかの好ましい実施形態では、制限酵素部位ドメイン内の制限酵素認識部位は、タイプIIのエンドヌクレアーゼ(例えば、FokI エンドヌクレアーゼなど)のものである。1つのタグドメインは、2つ以上の異なるタグドメインの機能、目的または適用を、包含または提供し得る(例えば、配列決定用タグドメインは、捕捉タグドメインと、アドレスタグドメインまたは検出用タグドメインとの両方を含み得る。)。上記タグは、特定の目的、適用または機能の何れかに用いられるために、1つ以上の異なるドメインに関して更に記載される必要はない。
「転写」は、DNA分子をテンプレートとして用いる、RNAポリメラーゼによるRNA分子の形成または合成を意図する。本発明では、転写に用いられるRNAポリメラーゼは限定されない。例えば、T7型のRNAポリメラーゼが用いられ得る。
本明細書において「T7型のRNAポリメラーゼ」は、T7型のバクテリオファージに由来するRNAポリメラーゼの野生型または変異型を意図する。「T7型のRNAポリメラーゼ」は、ファージにコードされた酵素、および、RNAポリメラーゼ遺伝子をDNAベクター内へクローン化して、バクテリアまたは他の細胞内で発現させることによって得られる酵素、の両方を包含している。このことは、試験されてきた全てのT7型のバクテリオファージの遺伝的構成(genetic organization)が、T7の遺伝的構成と本質的に同じであるという事実に基づいている。本発明におけるT7型のバクテリオファージの例としては、Escherichia coli ファージ T3、phiI、phiII、W31、H、Y、A1、122、cro、C21、C22、およびC23;Pseudomonas putida ファージ gh−1; Salmonella typhimurium ファージ SP6;Serratia marcescens ファージ IV;Citrobacter ファージ ViIII;およびKlebsiella ファージ No.11 (Hausmann, Current Topics in Microbiology and Immunology 75: 77-109, 1976; Korsten et al., J. Gen. Virol. 43: 57-73, 1975; Dunn, et al., Nature New Biology 230: 94-96, 1971; Towle, et al., J. Biol. Chem. 250: 1723-1733, 1975; Butler and Chamberlin, J. Biol. Chem. 257:5772-5778, 1982)が挙げられる。変異RNAP(Sousa et al., U.S. Patent No. 5,849,546; Padilla, R and Sousa, R, Nucleic Acids Res., 15: e138, 2002; Sousa, R and Mukherjee, S, Prog Nucleic Acid Res Mol Biol., 73: 1-41, 2003)の例としては、T7 RNAP Y639F変異酵素、T3 RNAP Y640F変異酵素、SP6 RNAP Y631F変異酵素、639および784の両位置のアミノ酸が変化しているT7 RNAP、640および785の両位置のアミノ酸が変化しているT3 RNAP、または、631および779の両位置のアミノ酸が変化しているSP6 RNAPが挙げられる。上記変異RNAPは、本発明の方法またはアッセイのいくつかの実施形態にも用いられ得る。特に、このような変異酵素は、ddNTPおよび他の特定の基質に加えて、dNTPおよび2'−F−dNTPを用い(corporate)得る。上記dNTPおよび2'−F−dNTPは、特定の特性および用途を有するRNA分子を合成するために、利点を有している。いくつかの実施形態では、ファージ N4 mini−vRNAP(当該N4 mini−vRNAPは、)は、T7型のRNAPである。なお、当該ファージ N4 mini−vRNAPは、N4 vRNAPの998−2103のアミノ酸に対応する、転写活性のあるN4 vRNAPの1106アミノ酸からなるドメインであって、T7 RNAPと共通した特定のドメインを有している(Kazmierczak, K.M., et al., EMBO J 21: 5815-5823, 2002; 米国特許第7,452,705号明細書)。別のいくつかの実施形態では、非標準的な核酸(例えば、2'−F−dNTPなど)が組み込まれ得るN4 mini−vRNAP Y678F変異酵素(米国特許第7,452,705号明細書)は、T7型のRNAPである。転写を行うために、RNAポリメラーゼは、「RNAポリメラーゼのプロモーター」、「転写プロモーター」または単に「プロモーター」と呼ばれる、凡そ25ヌクレオチドの長さのDNA配列を認識して当該配列に結合し、そこからの転写を開始する。ほとんどの場合、プロモーター配列は、2本鎖である。本明細書中では、RNA合成のテンプレートになる配列へ共有結合する、2本鎖プロモーター中の配列は、「センス鎖」または「センスプロモーター配列」と規定され、当該配列の相補鎖は、「アンチセンス鎖」または「アンチセンスプロモーター配列」と規定される。
本明細書において、用語「バッファ」または「バッファ試薬」は、溶液へ加えられたときに、当該溶液のpHの変化を抑制する物質が意図される。本明細書において、用語「反応バッファ」は、その中で酵素反応が行われるバッファ溶液を意図する。本明細書において「保存バッファ」は、その中で酵素が保存されるバッファ溶液を意図する。
本明細書において、用語「キレート剤(chelator)」または「キレート試薬(chelating agent)」は、金属カチオンへの結合に利用できる孤立電子対(a lone pair of electrons)を有する1つ以上の原子を備えた、あらゆる材料を意図する。本明細書において、「二価塩(divalent salt)」または「二価金属カチオン("divalent metal cation)」は、溶液中で2+の電化(net 2+ charge)を有する金属(例えば、Mg、 Mn、 CaまたはSrなど)を備えた、あらゆる塩を意図する。
本明細書において、用語「相補的(complementary)」または「相補性(complementarity)」は、塩基対合則にしたがったヌクレオチド配列に関連して用いられる。例えば、配列「5'−A−G−T−3'」は、配列「3'−T−C−A−5'」に対して相補的である。相補性は、「部分的」であり得、この場合には、塩基対合則にしたがって、核酸のいくつかのみが対合する。または、核酸間が、「完全(complete)」相補性または「全体(total)」相補性であってもよい。核酸配列間の相補性の程度は、核酸配列間のハイブリダイゼーションの効率および強さに対して、重大な影響を及ぼす。これは、核酸のハイブリダイゼーションに依存した検出方法と同様に、増幅反応において極めて重要である。
用語「ホモロジー」は、ある核酸配列の別の核酸配列に対する相補性の程度をいう。部分的なホモロジーであってもよいし、完全なホモロジー(すなわち、相補性)であってもよい。部分的に相補的な配列は、完全に相補的な配列が標的の核酸にハイブリダイズすることを少なくとも部分的に阻害する配列であり、「実質的に相同である」という機能的な用語を用いるために称される。完全に相補的な配列の、標的の配列へのハイブリダイゼーションの阻害は、ストリンジェンシーが低い条件下においてハイブリダイゼーションのアッセイ(サザンブロットまたはノーザンブロット、および溶液ハイブリダイゼーションなど)を用いて試験され得る。実質的に相同な配列またはプローブは、ストリンジェンシーが低い条件下において完全に相同な配列が標的に結合する(すなわち、ハイブリダイズする)ことを競合し、阻害する。ストリンジェンシーが低い条件では非特異的な結合が許されることを言っているのではない。ストリンジェンシーが低い条件は、2つの配列が互いに結合することが特異的な(すなわち、選択的な)相互作用であることを必要とする。非特異的な結合がないことは、相補性を欠いているか、相補性の程度が極低い(例えば、相補性が約30%未満である)第2の標的を用いることによって試験され得る。特異的な結合が少ないか、存在しない場合、プローブは標的の核酸にハイブリダイズしない。
二本鎖の核酸配列(cDNAまたはゲノムクローンなど)に関して用いる場合、用語「実質的に相同な」は、本明細書に記載したストリンジェンシーが低い条件下において二本鎖の核酸配列の1つまたは両方にハイブリダイズし得る任意のプローブをいう。
本明細書において用いる場合、用語「ハイブリダイゼーション」または「アニーニング」は、相補的な核酸の鎖の対合に関して用いる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸の鎖の間の会合の強度)は、従来技術において周知の多くの要因によって影響を受ける。このような要因としては、核酸間の相補性の程度や、塩濃度、形成されたハイブリッドのTm(融解温度)、他の成分の存在(例えば、ポリエチレングリコールまたはベタインの存在または非存在)、ハイブリダイズする鎖のモル濃度および核酸の鎖のG:C含有量のような条件によって影響を受ける関連する条件のストリンジェンシーが挙げられる。
用語「単離された」または「精製された」を、「単離されたポリヌクレオチド」、「単離されたオリゴヌクレオチド」、「精製されたRNA」、「精製されたキャッピングされたRNA」のように核酸に関して用いる場合、この用語は、核酸の原料に一般的に関連する夾雑物の少なくとも1つから分離され、同定された核酸をいう。したがって、単離または精製された核酸(例えばDNAおよびRNA)は、天然に発見される形態または設定と異なる形態または設定で存在するか、あるいは、天然に発見される核酸を処置方法または精製方法に供する前に存在する形態または設定と異なる形態または設定で存在する。例えば、所定のDNA配列(例えば遺伝子)は、他の遺伝子と一緒に宿主細胞の染色体にて発見される。そして、特定のRNA(例えば、特定のタンパク質をコードする特定のmRNA)は、多くのタンパク質をコードする多数の他のmRNAとの混合物として細胞中に発見される。単離または精製された、ポリヌクレオチド、核酸、オリゴヌクレオチド、DNAまたはRNAは、一本鎖または二本鎖の形態で存在し得る。単離または精製されたポリヌクレオチドまたは核酸をタンパク質の発現に利用する場合、このポリヌクレオチドは、センス鎖またはコーディング鎖を最小限に含んでいる(すなわち、このようなポリヌクレオチドは一本鎖であり得る。)が、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含んでいてもよい(すなわち、このようなポリヌクレオチドは二本鎖であってもよい。)。
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態および局面を例証するために記載され、その範囲に限定されるように解釈されるべきではない。
〔RNAポリホスファターゼの発見および精製〕
本発明者らがSDS−PAGEゲル中にてインサイチュでEscherichia coliタンパク質を復元させたときに、RNAポリホスファターゼ(RPP)を見出した。γ−32Pで末端標識されたRNAポリメラーゼの存在下でポリアクリルアミドを重合させることによって、SDS−PAGE(15%)分離ゲルを調製した。このRNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼ、T7反応緩衝液、γ−32Pで標識されたGTP、ならびに未標識のATP、CTPおよびUTPを用いて、線状DNAのインビトロ転写によって合成した。電気泳動の後に、SDSを含まない緩衝液中でゲルをインキュベートすることによってSDS−PAGE泳動用緩衝液を交換して、SDSを除去し、インサイチュにてタンパク質の復元を可能にした。ゲルを緩衝液中で一晩インキュベートし、ゲルをSYBR Gold(Invitrogen, Carlsbad, CA)で染色した。染色されなかったバンドは、約30,000の分子量を有して移動したことの証拠である。しかし、ゲルを7.5%酢酸で固定し、次いで乾燥し、そしてオートラジオグラフィに供したときに、放射活性を欠いた2つのバンドが観察された。これらは、分子量が約30,000(30kDa)および約19,000(19kDa)を有して移動した。SYBR Gold染色は、この19kDaバンドにおけるRNAの存在を示し、19kDaタンパク質によって32Pで末端標識されたRNA脱リン酸化と一致したが、分解はなかった。30kDaバンドにおけるSYBR Gold染色がなかったことは、バンド中のタンパク質がRNase(おそらくRNaseI)であることを一致した。
酵素活性についてのアッセイを単純化し、酵素の精製を容易にするために、本発明者らは代替的な酵素基質を探索した。本発明者らは、蛍光性のホスファターゼ基質である6,8−ジフルオロ−4−メチルウンベリフェリルホスフェート(DiFMUP)が、19kDaタンパク質の基質であることを見出した。加水分解の際に、この基質は蛍光産物である6,8−ジフルオロ−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン(DiFMU)に変換された。これは、358nmでの吸収ピークおよび455nmでの励起ピークを有している。驚いたことに、Rpp酵素は、DiFMUPを基質として用いた場合に4−メチルウンベリフェリルホスフェート(4MUP)を基質として用いた場合よりも、50倍よりも高い活性を示した。よって、標準的な紫外蛍光照射器を用いて、DiFMUPを使用して、ポリアクリルアミドゲル上でインサイチュでのタンパク質の復元の後に、Escherichia coliの総抽出物中の単一の19kDaの蛍光バンドを検出した。このバンドをまた、クーマシーブルータンパク質色素によって染色した。単純なDiFMUPアッセイを用いて、本発明者らは、RNAポリホスファターゼタンパク質の精製をスケールアップし得、そしてその物理的特性および酵素学的特性をさらに特徴付けた。例えば、いくつかの実施形態において、以下の方法の1つ以上をもちいてRNAポリホスファターゼ活性を精製した:ポリチレンイミン分画;硫酸アンモニウム分画;Bio−Erx70陽イオン交換カラムクロマトグラフィ(例えば、Bio−Rex70クロマトグラフィ);ゲルろ過カラムクロマトグラフィ(例えばSephacryl S100);および陰イオン交換カラムクロマトグラフィ(例えば、SP−Sepharose)。RNAポリホスファターゼ活性は、イオン交換カラムおよびゲルろ過カラムの両方において単一のピークとしてクロマトグラフされ、このことは19kDaタンパク質が、この活性を示す唯一の酵素であることを示唆する。
〔RNAポリホスファターゼをコードする遺伝子の同定〕
RNAポリホスファターゼ酵素タンパク質を同定し、このタンパク質をコードする遺伝子座を決定するために、RNAポリホスファターゼをゲル中にてトリプシンで消化し、生じたトリプシン消化物を、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)を用いて分析した。MASCOT検索エンジンを用いてNCBIデータベースにてタンパク質配列と比較した場合、RNAポリホスファターゼに由来するトリプシン消化したペプチドの配列はEscherichia coli 53638からのタンパク質と一致した。実際に上位12のマッチ(タンパク質スコアの範囲が439〜229、p<0.05)は、異なる系統のEscherichia coliからのデータベースにおける同一のタンパク質であった。異なる系統のEscherichia coliからの12個のタンパク質のアラインメントは、これらが実質的に同一であることを示した。Escherichia coli K12(MG1655)において、このタンパク質(ローカスタグb2252)は、機能が未知のアルミニウム誘導性タンパク質として記載されている。対応するアルミニウム誘導性(ais)遺伝子は、50.04分にマップし、約200アミノ酸のタンパク質をコードする。これは、必須でない遺伝子として分類され、無機リン酸を含まない、規定の培地中で増殖される培養物に0.2mM ZnSO4が添加された後にそのmRNAレベルが16倍誘導される。この遺伝子のタンパク質産物に対する情報は利用可能でない。なぜなら、このタンパク質はこれまでに検出されていないからである。理論に縛られることなく、このタンパク質のORFにおける保存されたドメインの検索は、このタンパク質がホスホグリセリン酸ムターゼ様のスーパーファミリーの万バーであり得ることを示す。このファミリーに置ける酵素の触媒活性は、ヒスチジンのリン酸化を含む。
〔ais遺伝子のクローニングおよび過剰発現〕
本発明者らは、NdeIおよびBamHIの制限酵素部位を含む特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用いた、Escherichia coli K12(MG1655)から単離したゲノムDNAを用いたポリメラーゼ鎖反応によってais遺伝子(b2252ローカス)を増幅した。NdeI制限配列を含むフォワードプライマーを操作して第1コドンをGTGからATGに変更した。増幅された産物を、T7ベースの誘導性のpETプラスミド発現ベクターの対応する部位へクローニングし、次いでEscherichia coli EC100コンピテント細胞の形質転換、およびリコンビナントの選択を行い、挿入DNAの配列がais遺伝子であることを確認した。リコンビナントクローンからのタンパク質のRNAポリホスファターゼ活性を、以前と同様にインサイチュゲルアッセイを用いて蛍光によって検出し、誘導の差異のタンパク質の過剰発現をクーマシーブルー染色によってモニタリングした。これらの実験において、精製したネイティブRNAポリホスファターゼをコントロールとして用いた。誘導されなかった細胞に存在する内因性のRNAポリホスファターゼの検出を最小化するために、リコンビナントクローンからのタンパク質のほぼ全量をゲルアッセイに用いた。
誘導されたリコンビナント細胞から調製したタンパク質抽出物において、蛍光およびクーマシーブルー染色のバンドが2つ見られた。誘導されたリコンビナント細胞からのこれらのバンドの1つは、RNAポリホスファターゼ活性を有する可溶性タンパク質であった。これは、サイズおよび特性において19kDaのネイティブなRNAポリホスファターゼ酵素と同一であった。さらに、RNAポリホスファターゼ活性を有する第2の24kDaタンパク質もまた、誘導されたリコンビナント細胞において過剰発現されていた。このタンパク質は封入体に優勢に存在した。精製したネイティブな酵素、ならびにリコンビナントの24kDaおよび19kDaのRNAポリホスファターゼ酵素のアミノ末端を、エドマン分解によって決定した。精製したネイティブな酵素およびリコンビナントの19kDaタンパク質のアミノ末端の配列(S−N−G−L−P)は同一であった。24kDaリコンビナントタンパク質のアミノ末端の配列(M−L−A−F)はクローニングしたais遺伝子のアミノ末端に対応した。ネイティブな酵素のアミノ末端配列S−N−G−L−Pは、このタンパク質がシグナルペプチダーゼによってプロセッシングされ、このネイティブな酵素がペリプラズム空間に存在することを、示唆する。ネイティブな酵素の亜細胞分布を決定するために、Escherichia coli B細胞を、スフェロプラストに変換し、上清(ペリプラズム画分)に放出されたRNAポリホスファターゼ活性と、スフェロプラスト(細胞質画分)に残存したRNAポリホスファターゼ活性とを、インサイチュでのゲルアッセイの蛍光によって測定した。RNAポリホスファターゼを、ペリプラズム画分において検出した。この活性は、19kDaサイズの精製されたネイティブな酵素と同時に移動した。細胞質画分もまたRNAポリホスファターゼ活性を含み、これは、19kDaタンパク質として移動したが、24kDaのRNAポリホスファターゼを検出しなかった。理論に縛られることなく、このデータは、リコンビナントの19kDaのRNAポリホスファターゼが、24kDaタンパク質がそのアミノ末端をプロセッシングされることによってもたらされるペリプラズムタンパク質であることを示唆する。非リコンビナント細胞の細胞質画分において観察される19kDaのRNAポリホスファターゼ活性の存在は、細胞からスフェロプラストへの変換が不完全であったことに起因し、リコンビナント細胞における24kDaの活性なタンパク質の存在は、おそらく、リコンビナント細胞内の封入体に存在するプロセッシングされていないタンパク質に起因する。ais遺伝子は、Zalucki, YM, et al. (Nucleic Acids Res. 35: 5748-5754, 2007) によって、分泌タンパク質に分類されるが、推定の切断部位と同定されたアミノ末端とが異なるということは、興味深いことである。
〔精製されたRNAポリホスファターゼの酵素学的特性〕
精製したRNAポリホスファターゼ酵素は広い範囲のpHにわたって活性である(例えば、pH5.0〜pH8.0の間の範囲において最適な活性を有している。)。驚くことに、そして他のいくつかのリン酸除去酵素とは異なって、RNAポリホスファターゼ酵素は二価カチオン(例えばMg2+)を必要とせず、EDTAの存在下で活性である。実際に、1mMのMg2+カチオンの存在下で、この酵素は阻害された。
核酸(例えば、一次RNA)または5’二リン酸化RNA(例えば、キャッピング酵素RNAトリホスファターゼ反応)からのβリン酸およびγリン酸の除去に加え、精製した約19kDaの単一サブユニットのRNAポリホスファターゼは、広範な他の基質からリン酸基を除去する。この基質としては、ヌクレオシド5’−二リン酸およびヌクレオシド5’−三リン酸(例えば、NTPs、NDPs、dNTPs、dNDPs)が挙げられる。加水分解の産物は、ヌクレオシド5’一リン酸および無機オルソリン酸である。ヌクレオシド5’一リン酸は基質ではない。ADPは、ATPと比較して50%の効率で加水分解される。この酵素は、段階的な様式でヌクレオシド三リン酸を加水分解し、無機オルソリン酸をピロリン酸の代りに放出する。薄層クロマトグラフィによる、ATP加水分解産物の経時的な分析は、最初にADPの蓄積を示し、次いで、AMPが出現する。興味深いことに、ポリホスフェートは、ATPと同様に、RNAポリホスファターゼのよい基質であるが、無機ピロリン酸は基質ではないようだ。シンメトリカルな二ヌクレオシド三リン酸であるG[5’]ppp[5’]Gおよびそのメチル化誘導体m7G[5’]ppp[5’]Gは極わずかしか加水分解されない。例え、加水分解されたとしても、この酵素はエキソポリホスファターゼであることが示唆される。また、DiFMUP(この酵素の最初のスクリーニングおよび同定において使用された基質)はよい基質であり、4−メチル−ウンベリフェリルホスフェートおよびp−ニトロフェニルホスフェート(PNPP)はこの酵素にとってよい基質ではない。そして、ビス(p−ニトロフェニル)ホスフェートは極わずかしか加水分解されない。理論に縛られることなく、6位または8位のフッ素が、単一のリン酸を有するとはいえ、おそらくこの酵素の基質であるDiFMUPを生成する役割を担う。5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェートおよびホスホアミノ酸であるアミノセリンは、本質的には、基質として認識されなかった。
本発明者らは、三リン酸基または二リン酸基を一リン酸の5’末端に有しているRNAを切断し得るが、キャッピングされたRNAを一リン酸に切断し得ないRNAポリホスファターゼは、当該分野においてこれまでに記載されていない。この活性は、種々の方法に有用であり、本明細書中に記載されている広範な方法に有用である。しかし、理論に縛られることなく、本発明者らは、RNAポリホスファターゼを供給する細菌が、天然には類似の機能のための酵素を使用するということを信じることができない。また、本発明者らは、原核生物においてRNAポリホスファターゼがペリフェラズム性の酵素であるという知見が、この酵素の天然の機能が必須栄養素(例えばリン酸)をその環境内にて捕捉することであり得るということを示している。よって、本明細書中に記載されている方法は、例え本発明の目的に好都合であるとはいえ、人為的であり得る。にもかかわらず、これらのホスファターゼおよび他のいくつかのホスファターゼは多機能性であり広範なリン酸化化合物(例えば、ヌクレオチド、糖リン酸、リン脂質、およびポリホスフェート)に対して活性であるので、天然においてRNAポリホスファターゼが担う役割は未知のままである。
〔5’ライゲーションによるタグの付加における使用のための、サンプルからの総RNAの単離〕
いくつかの実施形態において、(例えば、MASTERPURETM RNA精製キット(EPICENTRE, Madison, WI)を、製造業者のプロトコルに従って用いて、あるいは当該分野における別の好適な方法を用いて)総RNAをサンプルから単離した。いくつかの実施形態において、総RNAを細菌の培養物から単離した。いくつかの実施形態において、総RNAを培養したヒトHela細胞から、MASTERPURETM RNA精製キット(EPICENTRE, Madison, WI)を用いて単離した。いくつかの実施形態において、総RNAを(例えば、Frias-Lopez, J et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105: 3805-3810, 2008に記載されているような)周囲の供給原料から単離した。いくつかの実施形態において、総RNAを、リゾビウムまたは他の窒素固定共生細菌を含む、マメ科植物の根粒から単離した。いくつかの実施形態において、総RNAを、細菌性の病原体またはマイコプラズマ性の病原体に感染した組織の、動物またはヒトの臨床サンプルから単離した。いくつかの実施形態において、総RNAを、ヒトまたは動物のサンプルから(例えば、癌標本または同一タイプの正常細胞から)単離した。
〔5’ポリホスフェート基を有するRNAを、5’一リン酸基を有するRNAに変換するRNA5’ポリホスファターゼを用いた、RNAの処理〕
いくつかの実施形態において、1μgのサンプルRNA(未処理または別の酵素で処理済)を、20μLの反応混合液中で37℃で30分間インキュベートする。反応混合液には、1×RNA 5’ポリホスファターゼ反応緩衝液(50mM HEPES/KOH(pH 7.5),0.1M NaCl,1mM EDTA,0.1% BME、および0.01% TRITON X100を含む。)にE. coli RNA 5’ポリホスファターゼI(RPP I,EPICENTRE)が含まれている。20ユニットのRPP Iを標準的な20μLの反応において使用したが、いくつかの実験においては異なる量の酵素を使用した。いくつかの実施形態において、RPP I処理したサンプルRNA、および/またはTERMINATOR処理したサンプルRNAを、Zymo Research RNA cleanup column (Orange, CA)を用いて精製し、アガロースゲル電気泳動によって分析した。アガロースゲル分析によって示されたように、RPP I酵素は、AMPLISCRIBETM T7 Kit (EPICENTRE)からの1.4kbの5’三リン酸化されたコントロール転写物を、TERMINATOR感受性の5’一リン酸化された形態に変換した。同一の条件下でのコントロール実験において、TERMINATOR酵素はRPP I処理した5’キャッピングされた915ベースの転写物を消化しなかった。これは、5’ポリリン酸化されたRNA(5’キャッピングされたRNAではない)を5’一リン酸化された形態へ変換する際のRPP I酵素の特異性を示す。
いくつかの実施形態において、RPP I処理したRNAを、フェノール:クロロホルム、クロロホルム抽出およびエタノール沈殿によって清浄化した。サンプルをRPP Iで処理する前にRMP1で処理した場合(以下の実施例を参照のこと)のいくつかの実施形態において、RMP1酵素活性は、EDTAの添加によって阻害され、RMP1処理したRNAからの反応混合物全体を、2×濃度のRPP I反応混合物10μLに添加した。
いくつかの実施形態において、酵素でのRNAの処理からの反応混合物を、フェノール:クロロホルム(1:1混合)で一度、クロロホルムで一度抽出し、そして、エタノール沈殿によって、RNAを水相から変換し、10μLの10mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA中に溶解する。
RNAをポリアデニル化することが所望される場合のいくつかの実施形態において、RPP I反応からの反応混合物の容量全体を、ポリ(A)テール化反応に使用する。
〔5’一リン酸基を有するRNAを、5’ヒドロキシル基を有するRNAに変換するための、RNA5’一ホスファターゼでのRNAの処理〕
サンプルRNAが5’ライゲーションによるタグの付加のための本発明の方法において使用される場合のいくつかの実施形態において、約1μgのサンプルRNAを、約1〜約100 Molecular Biology Units(MBU)のRNA5’一ホスファターゼ1(RMP1、EPICENTRE)と、反応緩衝液中にて30℃で60分間インキュベートする。反応緩衝液は、以下からなる:(i)33mM Tris−酢酸,pH 7.5,66mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,5mM 塩化カルシウム,および0.5mM DTT;あるいは(ii)50mM Tris−HCl,pH 8.0,2mM 塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウム,および5mM 塩化カルシウム。好ましい実施形態において、rRNA(例えば、真核生物の18S rRNAおよび26S rRNAまたは28S rRNA、あるいは原核生物の16S rRNAおよび23S rRNA)を、本発明の方法において使用する前にサンプルから除去する。これは、他の方法(例えば、RIBOMINUSTMキット)がほとんどのサンプル中に存在する高レベルのrRNA(例えば総RNAの約98%)を除去するためにRMP1よりも効率的であることを出願人らが見出したからである。rRNAがサンプルから除去される場合、5’ライゲーションによるタグの付加のため、および普遍的でない他の5’一リン酸化RNA分子(例えばmiRNA)の下流の分析のために、本発明の方法を用いることがより容易である。
にもかかわらず、出願人は、種々のクラスのRNA分子を含むサンプルを用いて、mRMP1の活性および特異性を研究するために多くの実験を行った。例えば、いくつかの実験において、以下の(i)〜(iii)のいずれかからなるサンプルRNAを、約10〜60 MBUのRMP1(EPICENTRE)とともに、上述した反応緩衝液中にてインキュベートした:(i)Hela細胞からの総RNA;(ii)参照用ヒト総RNA(STRATAGENE);(iii)AMPLISCRIBETM T7 High Yield Transcription Kit (EPICENTRE)からの、1.4Kbの5’三リン酸化されたコントロール転写物。いくつかの実施形態において、RMP1処理したサンプルRNAを、次いで、製造業者の指示に従って、TERMINATORTM 5'-Phosphate-dependent Exonuclease (EPICENTRE, Madison, WI)で処理した。コントロール反応物を、同一条件下にて、RMP1なしまたはTERMINATORTM酵素なしでインキュベートした。次いで、いくつかの他の実施形態において、RMP1処理したサンプルおよびTERMINATORTM処理したサンプルを、Zymo Research RNA cleanup column (Orange, CA)を用いて精製し、アガロースゲル電気泳動によって分析した。20μLの反応物あたり約10MBU以上のRMP1は、TERMINATORTM酵素によるHelaの18S rRNAまたは28S rRNAの消化物を減少させ、20μLの反応物あたり20MBU以上のRMP1は、TERMINATORTM酵素によるHelaの18S rRNAまたは28S rRNAの消化物を、顕著に(しかし完全ではなく)減少させた。STRATAGENEの参照ヒトRNAを用いた同様の反応において、20μLの反応物あたり約10MBU以上によって、TERMINATORTM酵素による18S rRNAまたは28S rRNAの消化物を検出可能に減少させ、20μLの反応物あたり20MBUのRMP1は、TERMINATORTM酵素による18S rRNAまたは28S rRNAの消化物を顕著に減少させ、20μLの反応物あたり約40MBUのRMP1は、TERMINATORTM酵素による消化から18S rRNAまたは28S rRNAを、20μLの反応物あたり20MBUのRMP1よりも約2倍保護した。このことは、RMP1が5’一リン酸化された18S rRNAまたは28S rRNAを脱リン酸化して、TERMINATOR 5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼによる消化から保護したようである。約10MBUのRMP1を用いたAMPLISCRIBETM T7キットからの1.4Kbの5’三リン酸化されたコントロール転写物の前処理は、1.4Kbの転写物をTERMINATOR酵素による消化に感受性にしなかったが、RMP1での処理の後の、RMP1処理した1.4Kbの転写物のRPPIでの処理は、1.4Kbの転写物のTERMINATOR酵素による消化を生じさせた。よって、試験した条件下で、RMP1は、1.4Kbの5’三リン酸化された転写物を、TERMINATOR感受性の5’一リン酸化形態またはTERMINATOR耐性の5’ヒドロキシル化形態へ変換しなかった。このことは、RMP1酵素およびRPP I酵素のそれぞれの特異性を示している。他の反応において、5’キャッピングされたRNA転写物が未処理であろうと、RMP1酵素で最初に処理されてようと、5’キャッピングされた915ベースのRNA転写物は、TERMINATOR酵素によって消化されなかった。この5’キャッピングされたRNA転写物は、AMPLISCRIBETM T7-Flash Transcription Kit (EPICENTRE)を用いるインビトロ転写、引き続くSCRIPTGUARDTM Capping Enzyme (EPICENTRE)によって調製され、これらの両者は、製造業者の指示に従った。(いくつかの実施形態において、反応混合物を、フェノール:クロロホルム(1:1混合)で一度、クロロホルムで一度抽出し、RNAをエタノール沈殿によって回収し、RMP1および/またはTERMINATORの処理の後に、10μLの10mM Tris−HCl,pH 8.0,1mM EDTAに溶解する。いくつかの実施形態において、反応混合物を抽出せずに、次の工程に進める前(例えば、TERMINATOR反応またはRNA 5’ポリホスファターゼ反応の前)に10〜20mM EDTAを添加する。)
5’三リン酸化RNAと比較した、5’一リン酸化RNAに対するRMP1、RPP Iおよび他の酵素の特異性を分析するために、さらなる実験を行った。これらの実験について、γ32P標識した51マーの5’三リン酸化RNAを、AMPLISCRIBETM T7 transcription kit (EPICENTRE)およびγ32P−GTPを用いて、インビトロ転写によって調製し、そして、同一の配列の、α32P標識した51マーの5’三リン酸化RNAを、先ず、APexTM thermolabile alkaline phosphatase (EPICENTRE)とともにAMPLISCRIBETM T7 transcription kit (EPICENTRE)を用いて作製した未標識の51マーのRNAを処理して5’ヒドロキシル化された51マーのRNAを調製し、次いで、γ32P標識したATPおよびT4 polynucleotide kinase (EPICENTRE)を用いて5’末端を標識することによって調製した。γ32Pおよびα32Pで標識した51マーのRNAの各々を、RMP1 (EPICENTRE)、RPP I (EPICENTRE) 、ApexTM thermolabile alkaline phosphatase、SCRIPTCAPTM capping enzyme (EPICENTRE) 、tobacco acid pyrophosphatase (TAP, EPICENTRE) 、およびTERMINATORTM 5'-phosphatase dependent exonuclease (EPICENTRE)とともに、それぞれインキュベートした。RMP1(2MBU @〜1MBU/pmol)は、約0.13pmolのα32P−一リン酸標識された51マーのRNAを5’ヒドロキシル化形態に、ApexTM alkaline phosphataseを用いた場合と同程度に脱リン酸化した。また、α32P一リン酸標識された51マーのRNAは消化され、32P標識されたRNAは、TERMINATORエンドヌクレアーゼとのインキュベートの後に検出されなかった。しかし、RPP I、TAPまたはSCRIPTCAPTM キャッピング酵素によって、32P標識は、α32P一リン酸で標識された51マーのRNAから除去されなかった。RMP1(2MBU @〜1MBU/pmol)もTERMINATORエンドヌクレアーゼも、γ32P一リン酸で標識された51マーのRNAから32P標識を除去しなかったが、APex alkaline phosphatase、RPP I、TAP、およびSCRIPTCAPTM キャッピング酵素のそれぞれによって、32P標識は、γ32P一リン酸で標識された51マーのRNAから除去された。
〔総RNAのポリアデニル化〕
以下の成分を、RNAのポリ(A)テール化について上述した工程からの20μLの各反応混合物に室温で添加した。
Figure 0005774474
10×ポリAポリメラーゼRxn緩衝液:0.5M Tris−HCl(pH 8.0),2.5M NaCl,10mM DTT、および100mM MgCl2
反応混合物を、37℃で30分間インキュベートした。
いくつかの実施形態において、反応混合物を、フェノール:クロロホルム(1:1混合)で一度、クロロホルムで一度抽出し、エタノール沈殿によってRNAを水相から回収し、10μLの10mM TE溶液(Tris−HCl(PH 8.0)および1mM EDTA)中に溶解する。
〔2’−O−メチル化された3’末端ヌクレオチドを有するRNAのポリアデニル化〕
2’−O−メチル基を3’末端ヌクレオチドに有するRNA分子(2’OMe−RNA)(例えば、植物miRNAs、生殖細胞特異的piwiRNAs、内因性siRNAs)は、E. coliまたはSaccharomycesのポリAポリメラーゼによってほとんどまたはまったくポリアデニル化されない。しかし、添加したATPの非存在下でT4 RNAリガーゼ1またはT4 RNAリガーゼ2によって、ライゲーションアクセプタとして用いた2’OMe−RNAの3’末端に、ライゲーションドナーとして用いた、アデニル化された5’−AMP(A5’pp5’A)に、1または2個のAMP残基をライゲーションした後に、1または2個のAMP残基を有した2’OMe−RNAが、ポリAポリメラーゼ(EPICENTRE)によってポリアデニル化され得ることを、出願人は見出した。また、ライゲーションアクセプタとして用いた2’OMe−RNAまたは2’OMe基を欠いた同一配列のRNAよりも2000倍モル過剰のA5’pp5’Aの、延長されたインキュベーション(例えば4時間以上)は、多数のAMPヌクレオチドが各RNA分子の3’末端に連続的に連結されたことに起因して、約15〜20ヌクレオチドのポリ(A)テールの付加を生じさせた。両方の方法によって得られたポリアデニル化された2’OMe−RNA分子は、相補的なオリゴ(dT)またはオリゴ(dU)のプライマー、またはオリゴ(dT)またはオリゴ(dU)を含むアンカーされたプライマーを用いる逆転写によるcDNA合成のテンプレートである。このようなプライマーはタグを5’部位に示す(上記タグは、例えば、例えば、Roche454配列決定用プラットホーム、あるいは他の次世代の配列決定用プラットホームまたはより古い配列決定用プラットホームを用いて配列決定するための、配列決定用テンプレートを生成するための、配列決定用タグドメイン(例えば、Roche 454Aまたは454Bの配列決定用タグドメイン)を含む、または、配列決定用タグドメインからなる。)。
Aが伸長した2’OMe−RNAは、3’末端にさらなるAヌクレオチドのない22ヌクレオチドRNAではなく、以前に記載したようにポリAポリメラーゼを用いて定量的にテール化された。次いで、このポリ(A)テール化された分子は、製造業者EPICENTREのプロトコルに従う、ATP依存的なT4 RNAリガーゼ1媒介性の標準的なライゲーション反応において、5’ライゲーションによるタグを付加され得る。
よって、いくつかの実施形態において、ライゲーションドナーとしての精製されたA5’pp5’A(1mM)を、0.5μMの2’OMe−RNAアクセプタ(IDTより得た。)とともに22℃で種々の時間にわたってインキュベートした。この2’OMe−RNAアクセプタは、Arabidopsis thaliana miRNA (miR173[2’OMe])として同定され、以下の配列を示す:rUrUrCrGrCrUrUrGrCrArGrArGrArGrArArArUrCrAmC(配列番号3)。インキュベーションを行った反応液(10μL)は、以下を含む:25mM Tris−HCl(pH 8.0)、1mM MgCl2、50mM NaCl、10mM DTT、20% DMSO、20ユニットのScriptGuardTM RNase inhibitor、0.5μLのAPexTM heat-labile alkaline phosphatase(これは、A5’pp5’Aドナーと2’OMe−RNAアクセプタとの間のライゲーション反応から放出された5’−AMPを脱リン酸化するために含められた。)、および、T4 RNAリガーゼ1またはT4 RNAリガーゼ2の、種々の量の異なる調製物(全ての酵素をEPICENTREから得た。)。各反応からの2.5μLのアリコートを、引き続く電気泳動(16%尿素−ポリアクリルアミドゲル)およびSYBRゴールドでの染色によって分析した。
AMP残基を、T4 RNAリガーゼ1およびT4 RNAリガーゼ2の両方によって2’OMe−RNAに連結した。これらの実験において、T4 RNAリガーゼ2が、特に、アデニル化されるリガーゼ酵素分子の割合が低い場合に、2’OMe−RNAへのドナーの連結により効果的であった。1〜約4時間のインキュベーションの後に、T4 RNAリガーゼ2(5μM)は1個以上のAMP残基を約50%〜約80%の2’OMe−RNA分子に付加した。12時間のインキュベーションの後に、90%を超える2’OMe−RNA分子が、3’末端に連結された1個以上のAMP残基を有した。12時間よりも長くインキュベーション時間を延長した場合、および/または、RNAリガーゼのいずれかの濃度をより高くした(例えば、5〜約50μM)場合、ライゲーション効率が上昇した。
いくつかの実験において、生じた5’ライゲーションによってタグ化されかつポリ(A)テール化されたRNAを、MMLV逆転写酵素を用いた逆転写によってcDNAに変換し、PCRによって増幅した(例えば、第一鎖cDNA合成のためのテンプレートを得るために40μLの反応物に10μLのライゲーション反応混合物を37℃で10分間添加し、次いで、酵素を85℃で10分間インキュベートすることによって不活性化し、1μLのRNAse混合物(EPICENTRE)を用いて55℃で5分間消化することによる。40μLの反応物は、各500μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、0.5μMのアンカーされたオリゴ(dT)アダプタープライマー:(CTATAGGCGCGCCACCGGTGTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN)(配列番号4)、および40ユニットのMMLV逆転写酵素(EPICENTRE)を含む。)。
1μLの、50倍希釈した第一鎖cDNA合成混合物を、100μLの反応混合物中でPCRによって、94℃で30秒間、60℃で10秒間、および72℃での10秒間のサイクルで増幅した。100μLの反応混合物は、1×MasterAmpTM PCR PreMix E(EPICENTRE)、20pMのフォワードPCRプライマー(AATGCGGCCGCGCCTCCCTCGCGCCATCAG(配列番号5))、20pMのリバースPCRプライマー(TATAGGTGCCGGCGCGCCACCGGTG(配列番号6))、および1μLのFailSafeTM PCR Enzyme mix(EPICENTRE)を含む。15サイクルおよび18サイクルの後に、5μLのPCR反応物を、8%ポリアクリルアミドゲル上で分析し、SYBRゴールド染色によって可視化した。
次いで、PCR産物を、NotIおよびAscIの制限酵素で消化し、pCDC1-KTM cloning-ready vector(EPICENTRE)に連結し、これを、TransforMaxTM EC100TM cells (EPICENTRE)の形質転換に用いた。無作為に拾い上げた21個の形質転換体コロニーを配列決定し、予想したmiR173配列に対応することを確認した。
〔タバコの酸性ピロホスファターゼの反応〕
いくつかの実施形態において、RRP I反応工程、またはRMP1およびRRP Iの反応工程の両方が省略され、タバコの酸性ピロホスファターゼ(TAP)の反応工程によって置き換えられる。例えば、いくつかの実施形態において、1μgの総RNA(これはアルカリホスファターゼで処理されていない。)を、50mM 酢酸ナトリウム(pH 6.0)、1mM EDTA、0.1% β−メルカプトエタノールおよび0.01% Triton X100の中で、10ユニットのTobacco Acid Pyrophosphatase(EPICENTRE)とともに、10μLの容量にて37℃で30分間インキュベートした。コントロール反応を、TAP酵素なしで、同一緩衝液中でインキュベートした。
〔5’一リン酸基を有するRNAの、5’ライゲーションによるタグ付加の反応〕
5’ライゲーションによるタグ付加によってタグ化されることが所望される、5’一リン酸化RNAを含む各サンプルをRPP IまたはTAPで処理し(ポリ(A)テール化反応工程を、その前後に含むかまたは含まない。)、次いで、5’ライゲーションによるタグ付加の反応に供した。上記工程からの反応混合物に以下の成分を室温にて連続的に添加した:
Figure 0005774474
10×RLRT緩衝液:500mM Tris−HCl(pH 8.3)、750mM KClおよび30mM MgCl2
アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドの例示的な配列:rGrArGrCrGrGrCrCrGrCrCrUrGrCrArGrGrArArA(配列番号7).
反応混合物を、37℃で30分間インキュベートし、5’一リン酸化RNAの5’ライゲーションによるタグ付加を生じた。
〔第一鎖cDNA合成反応〕
5’ライゲーションによるタグ付加の後に、5’ライゲーションによってタグ付加したRNAサンプルを、それぞれ第一鎖cDNAの合成のための単プレートとして使用する。所望するならば、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーは、第一鎖cDNAの合成のためのテンプレートとして用いられる、5’ライゲーションによってタグ付加したRNAの3’末端に相補的でないタグをその5’部位に有する;いくつかの実施形態において、第一鎖cDNA合成ブライマーの5’部位におけるタグは、配列決定用タグドメインを含むか、配列決定用タグドメインからなる。第一鎖cDNA合成は、先の5’ライゲーションによるタグ付加反応からの反応混合物に以下の成分を添加することによって達成される:
Figure 0005774474
第一鎖cDNAを合成するためのプライマーの例示的な配列:TAGACTTAGAAATTAATACGACTCACTATAGGCGCGCCACCGGTGd(T)18(配列番号8).
反応混合物を37℃で30分間インキュベートし、5’および3’にタグ化された第一鎖cDNAが生じた。
〔第一鎖cDNAの合成の後のRNAの回収〕
第一鎖cDNA合成反応に続いて、RNA:cDNAハイブリッド中におけるRNAおよび用いられなかったRNAアクセプタオリゴを、RNaseIおよびRNaseHで消化して、第一鎖cDNAのみを得る。これは、RNAse混合物(0.5ユニットのRNase Iおよび0.5ユニットのHYBRIDASE TM Thermostable RNase H (EPICENTRE)を含む。)を第一鎖cDNAが合成される反応混合物に添加して、次いで55℃で5分間インキュベートすることによって達成される。
〔第二鎖cDNA合成〕
上述したように合成された第一鎖cDNAを、第二鎖cDNAの合成のためのテンプレートとして使用する:
Figure 0005774474
第二鎖cDNA合成プライマーの例示的な配列:TCATACACATACGATTTAGGTGACACTATAGAGCGGCCGCCTGCAGGAAA(配列番号9).
反応混合物を72℃で10分間インキュベートし、cDNAの各鎖の両端にタグを有する二本鎖cDNAが生じる。
次いで、反応混合物を、フェノール:クロロホルム(1:1混合)で一度、クロロホルムで一度抽出し、そして100μLのDNA Fragment 2X Precipitation Solution(EPICENTRE)を添加して、10分間氷上にて冷やす。遠心分離によってDNAを回収し、ペレットを70%エタノールで一度洗浄し、25μLの10mM Tris−HCl(pH 8.0)、1mM EDTA中に溶解する。
〔PCR増幅〕
いくつかの実施形態において、第一鎖cDNAを、第二鎖cDNAの合成について上述したものと同一の成分を添加することによって(例えば、クローニングのために)PCRによって増幅する。タグ化された第一鎖cDNAを増幅するために、第二鎖cDNAを合成するためのプライマー(PCRプライマー1として作用する。)を添加することを除いて、1μLの以下のプライマー(PCRプライマー2)もまた、1μLの水の代りにPCR反応物に添加する:
PCRプライマー2の例示的な配列:5’ TAGACTTAGAAATTAATACGACTCACTATAGGCGCGCCACCG(配列番号10).
PCR反応混合物を以下の温度でサイクリングする:
工程I:95℃で30秒間
工程II:「94℃で30秒間、60℃で30秒間、72℃で4分間」を15サイクル。
次いで、反応混合物をフェノール:クロロホルム(1:1混合)で一度、クロロホルムで一度抽出し、そして100μLのDNA Fragment 2X Precipitation Solution(EPICENTRE)を添加して、10分間氷上にて冷やす。遠心分離によってDNAを回収し、ペレットを70%エタノールで一度洗浄し、25μLの10mM Tris−HCl(pH 8.0)、1mM EDTA中に溶解する。
〔RNA合成反応〕
いくつかの実施形態において、二本鎖cDNAまたはPCR増幅したcDNAを、RNAのインビトロ転写のためのテンプレートとして使用する。例えば、先の実施例における第二鎖cDNA合成プライマーは、SP6 RNAポリメラーゼプロモータのための配列を示す。このプロモータを含む二本鎖cDNAは、センスRNAの合成のためのテンプレートである。RNA合成反応は、(例えば、AMPLISCRIBETM SP6 transcription kit,EPICENTREを用いて)、このキットとともに提供される製造業者のプロトコルに従って達成され得る。他の実施形態において、RNAポリメラーゼプロモータのための配列をその5’部位に示す第一鎖cDNAを合成するためのプライマーが、第一鎖cDNA合成反応のために使用され得る。例えば、上述した実施例における、T7 RNAポリメラーゼプロモータのための配列を示す第一鎖cDNAを合成するためのプライマー、または、TARGETAMPTM RNA増幅キットにて提供されるオリゴ(dT)T7プロモータを使用して、ポリ(A)テールを有するRNAの第一鎖cDNAを合成し得る。次いで、二本鎖cDNAまたはPCR増幅されたcDNAの合成に続いて、生じた二本鎖cDNAを、(例えば、AMPLISCRIBE TM T7 transcription kit, EPICENTRE、またはTARGETAMPTM RNA増幅キット中のインビトロ転写試薬を、各キットとともに提供されるプロトコルに従って用いる)アンチセンスRNAの合成のためのテンプレートとして使用し得る。いくつかの実施形態において、RNAを、インビトロ転写の間またはその後に標識して、マイクロアレイ分析のための標識として用いる。
〔5’ライゲーションタグ化RNAの5’末端の分析〕
いくつかの他の実施形態において、タグ化された第一鎖cDNAの3’末端(これは、5’ライゲーションによってタグ化された対応するRNAの5’末端に対応する。)をPCRによって増幅する。ポリメラーゼ鎖反応(PCR)には、PCRプライマー1および異なる標的に特異的なプライマーを用いる。この目的のために、第一鎖cDNAの3’末端に付加されたタグの配列に相補的なオリゴヌクレオチドプライマー(PCRプライマー1)、および、第一鎖cDNAの公知の配列に相補的である第2のPCRプライマーとしての標的特異的なプライマーを、以下に図示されたようなPCRに使用する。第2のPCRプライマーは、分析されることが所望される種々のRNAsの各々についてのコード配列の5’末端に相補的である:
Figure 0005774474
〔5’タグ化および3’タグ化された第一鎖cDNAの、配列決定用テンプレートとしての使用〕
いくつかの他の実施形態において、配列決定用タグドメインを含むか、配列決定用タグドメインからなる5’タグおよび/または3’タグを、(上述したような)第一鎖cDNA合成反応の間に、5’タグ化および3’タグ化された第一鎖cDNAに,(i)第一鎖を合成するためのプライマーおよび/または(ii)アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドを用いることによって導入する:(i)第一鎖を合成するためのプライマーは、その5’部位に第一の配列決定用タグドメインを示し、第一の配列決定用タグドメインは、第一鎖cDNAの3’末端に組み込まれる;(ii)アクセプタのRNAオリゴヌクレオチドは、第二の配列決定用タグドメインを含むか、第二の配列決定用タグドメインからなり、第二の配列決定用タグドメインは、第一鎖cDNAの3’末端にコピーされる(例えば、ここで、配列決定用タグドメインは個々の配列決定用プラットホーム(例えば、Roche 454、Illumina Solexa、Intelligent Biosystems、または他の配列決定用プラットホーム)についての配列決定用アダプタの配列を示す。)。これらの実施形態において、5’タグ化および3’タグ化された第一鎖cDNA分子は、配列決定用のテンプレートとして使用される。いくつかの実施形態において、5’タグ化および3’タグ化された第一鎖cDNA分子は、(一般的には上述されるような)二本鎖の二タグ化されたcDNAに変換され、そして、この二本鎖の二タグ化されたcDNAは配列決定用のテンプレートとして使用される。
〔要約〕
タグ化されたRNA、ならびに第一鎖cDNAまたは二本鎖cDNAが、5’一リン酸化RNAの合成について上述されたような方法を用いてキャッピングされていない一次RNAから、RNAポリホスファターゼを用いて一次RNAから、あるいは、TAPまたはデキャッピング酵素を用いて一次RNAまたはキャッピングされたRNAから、RNAのポリアデニル化、RNAリガーゼを用いるアクセプタのRNAオリゴヌクレオチドへのライゲーションによる5’一リン酸化RNAの5’ライゲーションタグ化によって調製され得、RNA依存的DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、および付加されたポリ(A)テールにアニーリングする第一鎖cDNAを合成するためのプライマーを用いて第一鎖cDNAを合成し、RNaseIおよびRNaseHを用いてRNAを除去し、そして、DNAポリメラーゼ、および第一鎖cDNAの一部の配列(RNA分子の5’末端に付加された5’ライゲーション化タグに相補的である。)にアニーリングする第二鎖cDNA合成プライマーを用いて第二鎖cDNA(すなわち二本鎖cDNA)を合成する。所望される場合、上述したように合成された二本鎖cDNA分子を、サンプル中の一次RNA分子の全長に対応するcDNAライブラリーを調製するためにプラスミドまたは他のベクターにクローニングし得る。よって、5’ライゲーションによるタグ化方法は、5’キャッピングを有していないために、当該分野においてすでに知られているオリゴキャッピングcDNA合成法によって補足し得ない転写物から、生物学的に関連するcDNAを捕捉し得る。
本願において言及された刊行物および特許文献の全てが、本明細書中において参照として援用される。本明細書中に記載された本発明の方法および組成物の種々の改変および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明らかである。本発明が特定の好ましい実施形態と組み合わせて記載されているが、特許請求の範囲に記載された本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことが、理解されなければならない。さらに、当業者に自明である、本発明を実施するための記載された様式の種々の改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内であるということが意図される。
図1は、RNA5’ポリホスファターゼによって触媒される反応の例を示す図である。 図2は、種々の5’末端の基を有するRNAの基質に対する酵素の活性を示す図である。 図3は、図2に示した酵素によるRNA基質の反応を示す図である。 図4は、E. coliのRNA5’ポリホスファターゼの、DNA配列およびアミノ酸配列を示す図である。

Claims (16)

  1. サンプル中の5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法であって、
    (i)5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAを含有しているサンプルであって、5’一リン酸基を有するRNAおよび/またはキャッピングされたRNAおよび/または5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有していることを含んでいるサンプル、
    (ii)RNA5’ポリホスファターゼ、
    (iii)タグを示すアクセプタのオリゴヌクレオチド、および
    (iv)RNAリガーゼ
    を提供する工程(A)、
    該5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、該サンプルを該RNA5’ポリホスファターゼと接触させる工程(B)、ならびに
    該アクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、キャッピングされたRNAではなく、該5’一リン酸基を有するRNAに連結されて、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルを該アクセプタのオリゴヌクレオチドおよび該RNAリガーゼと接触させる工程(C)
    を包含しており、
    該RNA5’ポリホスファターゼは配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記工程(A)にて提供されたサンプルが5’一リン酸基を有するRNAをさらに含有しているが、前記アクセプタのオリゴヌクレオチドは、前記工程(B)にて前記5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAから変換された5’一リン酸基を有するRNAにのみ連結され、工程(A)にて提供されたサンプル中に既に存在する該5’一リン酸基を有するRNAには連結されない、方法であり、
    RNA5’モノホスファターゼを提供するサブ工程、
    該サンプル中の該5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、該サンプルを該RNA5’モノホスファターゼと工程(B)の前に接触させるサブ工程、ならびに
    該RNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去するサブ工程
    をさらに包含している、方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、
    前記サンプル中のキャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加する工程をさらに包含しており、
    核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素を提供するサブ工程、ならびに
    該サンプル中の該キャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換され、これによって、前記工程(A)にて提供されたサンプル中に含有されているキャッピングされたRNAにも前記工程(C)にて5’ライゲーションによりタグが付加される条件で十分な時間にわたって、前記工程(B)からのサンプルを該核酸に対するピロホスファターゼまたは該デキャッピング酵素と工程(C)の前に接触させるサブ工程
    をさらに包含している、方法。
  4. サンプル中のキャッピングされたRNAに5’ライゲーションによりタグを付加するための方法であって、
    (i)キャッピングされたRNAを含有しているサンプル、
    (ii)RNA5’ポリホスファターゼ、
    (iii)RNA5’モノホスファターゼ、
    (iv)核酸に対するピロホスファターゼまたはデキャッピング酵素、
    (v)アクセプタのオリゴヌクレオチド、および
    (vi)RNAリガーゼ
    を提供する工程(A)、
    該5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、該サンプルを該RNA5’ポリホスファターゼと接触させる工程(B)、
    該5’一リン酸基を有するRNAが5’ヒドロキシル基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(B)からのサンプルを該RNA5’モノホスファターゼと接触させる工程(C)、
    該RNA5’モノホスファターゼを不活性化または除去する工程(D)、
    工程(D)の後のサンプル中の該キャッピングされたRNAが5’一リン酸基を有するRNAへ変換される条件で十分な時間にわたって、工程(D)の後のサンプルを該核酸に対するピロホスファターゼまたは該デキャッピング酵素と接触させる工程(E)、ならびに
    該アクセプタのオリゴヌクレオチドの3’末端が、工程(E)にて生成された5’一リン酸基を有するRNAの5’末端に連結され、工程(B)にて5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAから変換された5’一リン酸基を有するRNAまたは工程(A)にて提供されたサンプル中に既に存在する5’一リン酸基を有するRNAには連結されずに、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAがキャッピングされたRNAから生成される条件で十分な時間にわたって、工程(E)からのサンプルを該アクセプタのオリゴヌクレオチドおよび該RNAリガーゼと接触させる工程(F)
    を包含しており、
    該RNA5’ポリホスファターゼは配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる、方法。
  5. 前記サンプルが、5’ポリリン酸基を有するキャッピングされていないRNAおよび/または5’一リン酸基を有するRNA、および/または5’ヒドロキシル基を有するRNAをさらに含有していることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. ポリAポリメラーゼおよびATPを提供する工程、ならびに
    ポリ(A)テールが前記サンプル中のRNA分子の3’末端に付加されて、ポリ(A)テールを有するRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、該サンプルを該ポリAポリメラーゼおよび該ATPと接触させる工程
    をさらに包含している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記サンプルが、第1のタイプの細胞、第1の状態の細胞、または第1の環境からの細胞に由来するRNAを含有している第1のサンプルを含んでおり、
    該第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAから、第2のタイプの細胞、第2の状態の細胞、または第2の環境からの細胞に由来する第2のサンプル中にも存在するRNAを除き、これにより、第1のサンプル中のみに存在するが、第2のサンプル中には存在しないRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA分子の集団を生成することをさらに包含している、方法であり、
    第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、および第2のタイプの細胞、第2の条件の細胞、または第2の環境からの細胞に由来するRNAを含有している第2のサンプルを提供する工程(i)、
    第2のサンプル中のRNAを逆転写することによって第一鎖cDNAを調製する工程(ii)、
    第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAと第2のサンプルからのRNAから調製された第一鎖cDNAとの間に、ハイブリダイズした複合体が形成される条件で十分な時間にわたって、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを第2のサンプルからのRNAから調製された第一鎖cDNAとアニールさせる工程(iii)、ならびに、
    該cDNAがアニールしたRNAが消化され、第1のサンプル中にのみ存在するが、第2のサンプル中には存在しないRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAからなる、除かれた5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが生成される条件で十分な時間にわたって、ハイブリダイズした複合体をRNaseHによって処理する工程(iv)
    を包含している方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、
    前記第1のサンプル中のRNAから前記5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを生成するために前記工程(A)にて提供された前記アクセプタのオリゴヌクレオチドが、親和性分子を含んでおり、
    該親和性分子に結合可能な親和性に基づき結合する物質が付着している固体表面を提供する工程、ならびに
    該第1のサンプルからの該5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが、該親和性に基づき結合する物質が付着している固体表面に結合されて、第1のサンプル中のRNAに由来する5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAが該固体表面に捕捉される条件で十分な時間にわたって、第1のサンプルから生成された5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを該固体表面と、前記工程(iv)の前または後のどちらか一方において接触させる工程
    をさらに包含している、方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAから第一鎖cDNAを合成する工程をさらに包含している、方法であり、
    RNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、および
    5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的な第一鎖cDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAをRNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程
    をさらに包含しており、
    5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的な、第一鎖cDNAを合成するためのプライマーを提供する工程、ならびに
    5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAに対して相補的なcDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAを第一鎖cDNAを合成するためのプライマーおよびRNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程をさらに包含していることを含んでいる、方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、
    前記第一鎖cDNAを合成するためのプライマーが配列を含んでおり、該配列の少なくとも3’末端は、
    (1)インビボにおける細胞またはインビトロのどちらかにおいて、前記サンプル中のRNAの3’末端または5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAの3’末端に転写後に付加されたホモポリマーの配列に対して相補的な配列、
    (2)1つ以上のRNA分子の3’末端における公知の配列に対して相補的な配列、
    (3)1つ以上のRNA分子の1つ以上の内部配列に対して相補的な配列、
    (4)全ての可能な配列の集合であって、各配列がランダムである集合、
    (5)ポリ(A)テールに対して相補的な配列であって、オリゴ(dT)nの配列、オリゴ(dU)nの配列、オリゴ(U)nの配列、オリゴ(dT)nXのアンカー配列、オリゴ(dU)nXのアンカー配列、およびオリゴ(U)nXのアンカー配列の中から選択される、配列、ならびに、
    (6)前記サンプル中のRNAの3’末端または5’ライゲーションによりタグを付加されたRNAの3’末端に付加されたオリゴヌクレオチドのタグに対して相補的な配列、からなる群より選択される配列を示し、ならびに/あるいは
    前記第一鎖cDNAを合成するためのプライマーが、特定の5’配列をさらに示し、
    該特定の5’配列は、前記第一鎖cDNAを合成するためのプライマーの3’末端に示される配列の5’であり、該特定の5’配列に対して相補的な特定の3’配列を示す第二鎖cDNAを合成するためのテンプレートとして機能することができ、該第二鎖cDNAの特異的なプライミングのための部位を提供する、方法。
  11. RNaseHおよびRNaseIを提供する工程、ならびに
    RNAが消化される条件で十分な時間にわたって、前記第一鎖cDNAを含有しているサンプルをRNaseHおよびRNaseIと接触させる工程
    をさらに包含している、請求項9または10に記載の方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法であって、
    DNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、および
    二本鎖cDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、前記第一鎖cDNAをDNA依存的なDNAポリメラーゼと接触させる工程
    をさらに包含している、方法であり、
    前記工程(A)にて提供された前記アクセプタのオリゴヌクレオチドに対して相補的な該第一鎖cDNAの一部に対して相補的な第二鎖cDNAを合成するためのプライマーおよび該DNA依存的なDNAポリメラーゼを提供する工程、ならびに、
    二本鎖cDNAが合成される条件で十分な時間にわたって、第二鎖cDNAを合成するためのプライマーおよびDNA依存的なDNAポリメラーゼを第一鎖cDNAと接触させる工程をさらに包含していることを含んでおり、
    DNA依存的なDNAポリメラーゼが、第一鎖cDNAを合成するために提供されたRNA依存的なDNAポリメラーゼと同一であるか、またはDNA依存的なDNAポリメラーゼが、第一鎖cDNAを合成するために提供されたRNA依存的なDNAポリメラーゼと異なる、方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    前記アクセプタのオリゴヌクレオチドの5’部分、前記第一鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分または前記第二鎖cDNAを合成するためのプライマーの5’部分が、RNAポリメラーゼ用の二本鎖プロモータの一鎖に関する配列を示し、
    該RNAポリメラーゼ用の二本鎖プロモータを用いてRNAを合成し得るRNAポリメラーゼを提供する工程、および
    RNAが合成される条件で十分な時間にわたって、前記二本鎖cDNAを該RNAポリメラーゼと接触させる工程
    をさらに包含しており、
    該RNAポリメラーゼ用の二本鎖プロモータの一鎖に関する配列が、該アクセプタのオリゴヌクレオチド、該第一鎖cDNAを合成するためのプライマーまたは該第二鎖cDNAを合成するためのプライマーにおいて示される、方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記アクセプタのオリゴヌクレオチド、第一鎖cDNAのプライマー、または第二鎖cDNAのプライマーが、親和性分子を含んでいるか、または該親和性分子に連結されており、
    該親和性分子に特異的に結合可能な親和性に基づき結合する物質によって共有結合的または非共有結合的にコーティングされた固体表面を提供する工程、ならびに、
    該親和性分子が、該固体表面に連結された親和性に基づき結合する物質と結合される条件で十分な時間にわたって、該親和性分子に化学的に連結された、該アクセプタのオリゴヌクレオチド、該第一鎖cDNAのプライマーまたは該第二鎖cDNAのプライマーを、該アクセプタのオリゴヌクレオチド、該第一鎖cDNAのプライマーまたは該第二鎖cDNAのプライマーが関与する工程の前または後のどちらか一方において、接触させる工程をさらに包含している、方法。
  15. 請求項14に記載の方法であって、
    合成された、前記5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、前記第一鎖cDNAまたは前記第二鎖cDNAのそれぞれが前記親和性分子を含んでおり、
    該親和性分子を含んでいる、該5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、該第一鎖cDNAまたは該第二鎖cDNAが、該親和性分子を前記固定表面に結合されることによって捕捉、単離または精製される、方法であり、
    該親和性分子を含んでいる、該5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、該第一鎖cDNAまたは該第二鎖cDNAを該固体表面と、該親和性分子と該固体表面に付着した前記親和性に基づき結合する物質との結合が促進される試薬の存在下および該結合が促進される条件において接触させて、該親和性分子を含んでいる、該5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、該第一鎖cDNAまたは該第二鎖cDNAを該表面に結合させ、これによって、該親和性分子を含んでいる、該5’ライゲーションによりタグを付加されたRNA、該第一鎖cDNAまたは該第二鎖cDNAを捕捉、単離または精製する工程を包含しており、
    該親和性分子がビオチンであり、該親和性に基づき結合する物質がアビジンまたはストレプトアビジンであるか、該親和性分子がジゴキシゲニンであり、親和性に基づき結合する物質がジゴキシゲニンに特異的に結合する抗体であることを含んでいる、方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキットであって、
    RNA5’ポリホスファターゼ(RPP)と、
    RNA5’モノホスファターゼ(RMP)、アルカリホスファターゼ(AP);核酸に対するピロホスファターゼ;デキャッピング酵素;キャッピング酵素;リガーゼ;アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド;ポリAポリメラーゼ;ポリUポリメラーゼ;RNA依存的なDNAポリメラーゼ(RT);第一鎖cDNAを合成するためのプライマー;RNaseH;第二鎖cDNAを合成するためのプライマー;RNAポリメラーゼ(RNAP);5’エキソリボヌクレアーゼ(Xrn);ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK);および5’三リン酸基または5’二リン酸基を有するRNA分子であって、これらの基のβまたはγのリン酸が標識されているもの、からなる群より選択される少なくとも1つの他の成分と
    を備えているか、あるいは
    RNA5’モノホスファターゼ(RMP)と、
    RNA5’ポリホスファターゼ
    アルカリホスファターゼ、シュリンプのアルカリホスファターゼ、またはアークティックのアルカリホスファターゼ;核酸に対するピロホスファターゼ;デキャッピング酵素;キャッピング酵素;RNAリガーゼ;アクセプタのRNAオリゴヌクレオチド;ポリAポリメラーゼ;RNA依存的なDNAポリメラーゼ(RT);第一鎖cDNAを合成するためのプライマー;RNaseH;第二鎖cDNAを合成するためのプライマー;RNAポリメラーゼ(RNAP);5’エキソリボヌクレアーゼ;ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK);および5’三リン酸基または5’二リン酸基を有するRNA分子であって、これらの基のβまたはγのリン酸が標識されているもの、からなる群より選択される少なくとも1つの他の成分とを備えており、
    該RPPが、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなり、少なくとも1つの他の成分は、キットに備えられている場合、RNA5’モノホスファターゼ1(RMP1)であるRMP;APEX(登録商標)アルカリホスファターゼ、シュリンプのアルカリホスファターゼおよびアークティックのアルカリホスファターゼの中から選択されるAP;タバコ酸性ピロホスファターゼ(TAP)である核酸に対するピロホスファターゼ;酵母のデキャッピング酵素、哺乳動物のデキャッピング酵素、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)のデキャッピング酵素、ポックスウイルスのデキャッピング酵素およびワクシニアウイルスのデキャッピング酵素の中から選択されるデキャッピング酵素;ポックスウイルスのキャッピング酵素、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のキャッピング酵素およびSCRIPTCAP(登録商標)キャッピング酵素の中から選択されるキャッピング酵素;T4RNAリガーゼおよびバクテリオファージTS2126のRNAリガーゼの中から選択されるRNAリガーゼ;エシェリヒア・コリ(E. coli)のポリAポリメラーゼおよびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のポリAポリメラーゼの中から選択されるポリAポリメラーゼ;SUPERSCRIPT(登録商標)RT、AMV RTおよびMMLV RTの中から選択されるRT;エシェリヒア・コリ(E. coli)のRNaseHおよびHYBRIDASE(登録商標)RNaseHの中から選択されるRNaseH;T7型のRNAP、T7RNAP、T3RNAPおよびSP6RNAPの中から選択されるRNAP;TERMINATOR(登録商標)5’−ホスフェート依存的エキソヌクレアーゼおよびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)のXrnIエキソリボヌクレアーゼ(XrnI)の中から選択される5’エキソリボヌクレアーゼ;またはT4PNKであるPNK、からなる群より選択される、ことを含んでいる、
    キット。
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