JP5773893B2 - 乗客コンベアの安全装置及び安全システム - Google Patents
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(イ)乗客コンベアの構成
図1は第1の実施形態の乗客コンベアの全体構成を示す図である。トラス3が建物の上階側と下階側に架設されている。トラス3の上階側には上階側機械室20が設けられ、上階側機械室20の中にスプロケット4aが設けられている。トラス3の下階側には下階側機械室30が設けられ、下階側機械室30の内部にスプロケット4bが設けられている。スプロケット4a、4bに無端状のチェーン5が巻き掛けられている。スプロケット4a、4bの何れか一方は、モータや減速機やブレーキ装置を有する制御手段1に連結され、制御手段1の駆動により回転する。この回転によりチェーン5及びもう一方のスプロケットが駆動する。チェーン5には踏段6が等間隔に隙間無く連結されている。チェーン5が駆動することにより、これに連結された踏段6が図示しないガードレールに沿って上階側と下階側の間を循環移動する。トラス3の内部には監視手段10が設けられている。制御手段1は、監視手段10から入力された指令に基づいて動作する。具体的には、監視手段10から運転指令が入力されるとモータを駆動して通常運転速度で踏段6を循環移動させ、低速運転指令が出力されるとモータを運転指令時より低速で駆動して通常の運転速度よりも遅い速度で踏段6を循環移動させ、運転停止指令が入力されるとモータを停止するとともにブレーキ装置(図示せず)を作動させて踏段6の循環移動を停止させる。踏段6の両側には欄干7が立設されている。欄干7には乗客の手すりとなるハンドレール8が装着されている。ハンドレール8は、無端状であり、踏段6の移動と同期して欄干7の端面を周回する。前記周回は、例えば制御手段1の駆動力が伝達されることで生じる。
図2は監視手段10の構成を示すブロック図である。監視手段10は、乗客コンベアの故障を検出する一対の故障検出部16a、16bと、監視手段10自身の故障を検出する一対の自己診断部17a、17bを備える。故障検出部16aは、検出手段2a、入力回路11a、マイクロプロセッサ12a、外部メモリ13a、出力回路14aを備える。またマイクロプロセッサ12aは自己診断部17aを兼ねる。故障検出部16bは、検出手段2b、入力回路11b、マイクロプロセッサ12b、外部メモリ13b、出力回路14bを備える。またマイクロプロセッサ12bは自己診断部17bを兼ねる。
図3は第1の実施形態におけるマイクロプロセッサ12a、12bによる処理のフローチャート図である。マイクロプロセッサ12a、12bは、入力回路11a、11bより入力される信号により故障を検出した場合(ST1のYes)、故障箇所の特定を行う(ST2)。故障箇所が乗客コンベアの場合(ST3)、運転停止指令を出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST4)。運転停止指令を受けた制御手段1が駆動停止することにより乗客コンベアが停止する。故障箇所が監視手段10である場合(ST5)、乗客コンベアを通常の運転速度より遅い低速で運転することを命ずる低速運転指令を前記出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST6)。低速運転指令を受けた制御手段1が運転指令時より低速で駆動し、乗客コンベアは通常の運転速度より遅い低速で運転を開始する。低速運転指令出力後予め設定した時間が経過した場合(ST7のYes)、運転停止指令を前記出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST4)。運転停止指令を受けた前記制御手段1が駆動停止し、乗客コンベアが停止する。
第1の実施形態によれば、乗客コンベアが故障した場合は乗客コンベアを即停止するため、乗客の安全が確保される。監視手段10を構成する故障検出部16a、16bの一方が故障した場合は、低速運転時間の間に限り、故障していないもう一方の故障検出部で乗客コンベアを監視しながら低速で運転を継続するため、乗客の安全を確保した上で乗客コンベアの利用も継続でき、サービス低下を最小限に抑えることができる。なお、低速運転時間の間であれば、故障検出部16a、16bの両方が故障することは殆ど無い。また、故障検出部16a、16bの両方が同時に同一の故障を起こし、マイクロプロセッサ12aと12bの比較結果に相違が出ないということは殆どありえない。従ってマイクロプロセッサ12a、12bによる処理において、これらの事態を想定する必要はない。
(イ)乗客コンベア及び監視手段10の構成
図4は第2の実施形態の乗客コンベアの全体構成を示す図である。基本的な構成は第1の実施形態の乗客コンベアと同一である、乗客検出手段40であるセンサが乗客コンベアの両端に立設された欄干7の乗り口付近に設けられている点が異なる。ただし乗客検出手段40の種類及び設置位置は、乗り込む乗客を検出できれば、これに限られない。例えば乗客検出手段40を乗り口の床に設置したスイッチとしても良い。
図5は第2の実施形態におけるマイクロプロセッサ12a、12bによる処理のフローチャート図である。マイクロプロセッサ12a、12bは、入力回路11a、11bより入力される信号により故障を検出した場合(ST1のYes)、故障箇所の特定を行う(ST2)。故障箇所が乗客コンベアの場合(ST3)、運転停止指令を出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST4)。運転停止指令を受けた制御手段1が駆動停止することにより乗客コンベアが停止する。故障箇所が監視手段10である場合(ST5)、低速運転指令を出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST6)。低速運転指令を受けた制御手段1が運転指令時より低速で駆動し、乗客コンベアは通常の運転速度より遅い低速で運転を開始する。低速運転指令出力後、乗客検出手段40が乗り込む乗客の有無を検出している間(ST8のYes)、乗客コンベアは低速で運転を継続する。乗客を検出しなくなった場合(ST8のNo)、運転停止指令を出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST4)。運転停止指令を受けた制御手段1が駆動停止することにより乗客コンベアが停止する。
第2の実施形態によれば、監視手段10が故障した場合において、乗客がいる間は故障していないもう一方の故障検出部で乗客コンベアを監視しながら低速で運転を継続するため、乗客の安全を確保した上で乗客コンベアの利用も継続でき、サービス低下を最小限に抑えることができる。また乗客がいない時に乗客コンベアを停止するため、停止時のショックによる乗客の転倒等を防ぐことができる。
(イ)乗客コンベア及び監視手段10の構成
第3の実施形態において、乗客コンベアの構成は図4に示す第2の実施形態のものと同一である。監視手段10の構成は図2に示す第1及び第2の実施形態のものと同一である。
図6は第3の実施形態におけるマイクロプロセッサ12a、12bによる処理のフローチャート図である。マイクロプロセッサ12a、12bは、入力回路11a、11bより入力される信号により故障を検出した場合(ST1のYes)、故障箇所の特定を行う(ST2)。故障箇所が乗客コンベアの場合(ST3)、運転停止指令を出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST4)。運転停止指令を受けた制御手段1が駆動停止することにより乗客コンベアが停止する。故障箇所が監視手段10である場合(ST5)、低速運転指令を出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST6)。低速運転指令を受けた制御手段1が運転指令時より低速で駆動し、乗客コンベアは通常の運転速度より遅い低速で運転を開始する。低速運転指令出力後、乗客検出手段40が乗り込む乗客の有無を検出する。乗客を検出している間(ST8のYes)、乗客コンベアは低速で運転を継続するが、低速運転時間が経過した場合(ST7のYes)、運転停止指令を出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST4)。乗客を検出しなくなった場合(ST8のNo)も、運転停止指令を出力回路14a、14bを介して制御手段1へ出力する(ST4)。運転停止指令を受けた制御手段1が駆動停止することにより乗客コンベアが停止する。
第3の実施形態によれば、監視手段10が故障した場合において、低速運転時間の間は乗客がいる限り故障していないもう一方の故障検出部で乗客コンベアを監視しながら低速で運転を継続するため、乗客の安全を確保した上で乗客コンベアの利用も継続でき、サービス低下を最小限に抑えることができる。また乗客が途切れない場合でも低速運転時間経過時に運転を停止することにより、想定される次の故障リスクを回避し安全を確保することができる。
(イ)乗客コンベア及び監視手段10の構成
第4の実施形態の乗客コンベアの構成は、図1に示す第1の実施形態又は図4に示す第2の実施形態のいずれの実施形態のものと同一でも良い。
マイクロプロセッサ12a、12bによる処理は、図3に示す第1の実施形態、図5に示す第2の実施形態、図6に示す第3の実施形態のいずれと同一でも良い。
監視手段10に故障が発生した場合、通信手段15は監視手段10が検出した故障情報を外部監視装置50へ送信する。外部監視装置50は故障情報を受信すると保守員の有する情報受信機に故障の情報を送信する。保守員は故障した乗客コンベアへ到着するまでの予想時間(保守員到着予想時間)を外部監視装置50へ伝える。外部監視装置50は保守員到着予想時間を通信手段15を介して監視手段10へ送信する。
第4の実施形態によれば、遠隔地にいる保守員に迅速に故障情報を伝達することができるため、保守員が早急に現場へ赴き故障の対応をすることが可能となり、故障によるサービス低下を最小限に抑えることができる。また、現場にて保守員到着予想時間を知ることができる。
(イ)乗客コンベア及び監視手段10の構成
第5の実施形態の乗客コンベアの構成は、図1に示す第1の実施形態又は図4に示す第2の実施形態のいずれの実施形態のものと同一でも良い。
マイクロプロセッサ12a、12bによる処理は図3に示す第1の実施形態又は図6に示す3の実施形態のいずれかと同一である。
監視手段10に故障が発生した場合、通信手段15は監視手段10が検出した故障情報を外部監視装置50へ送信する。外部監視装置50は故障情報を受信すると保守員の有する情報受送信機に故障の情報を送信する。情報受送信機が保守員の保守員到着予想時間の情報を外部監視装置50へ送信する。外部監視装置50は保守員到着予想時間を通信手段15を介して監視手段10へ送信する。
第5の実施形態によれば、保守員到着予想時間まで運転を継続させることができ、故障によるサービス低下を最小限に抑えることができる。
以上の実施形態では乗客コンベアについて説明したが、本発明は動く歩道等の乗客コンベアにも利用できる。
Claims (3)
- 乗客コンベアの運転を制御する制御手段と、前記制御手段に運転指令を出力する監視手段と、前記乗客コンベアに乗り込む乗客を検出する乗客検出手段とを備え、
前記監視手段は、
前記乗客コンベアの故障を検出する故障検出部と、前記監視手段自身の故障を検出する自己診断部とを備え、
前記乗客コンベアの故障を検出すると前記制御手段に前記乗客コンベアを停止させる運転停止指令を出力し、
前記監視手段自身の故障を検出すると運転を継続し、前記乗客検出手段が乗客を検出しなくなった時に前記制御手段に前記運転停止指令を出力することを特徴とする乗客コンベアの安全装置。 - 乗客コンベアの運転を制御する制御手段と、前記制御手段に運転指令を出力する監視手段とを備え、
前記監視手段は、
前記乗客コンベアの故障を検出する故障検出部と、前記監視手段自身の故障を検出する自己診断部とを備え、
前記乗客コンベアの故障を検出すると前記制御手段に前記乗客コンベアを停止させる運転停止指令を出力し、
前記監視手段自身の故障を検出すると予め設定した時間が経過後に前記制御手段に前記運転停止指令を出力することを特徴とする乗客コンベアの安全装置を使用し、
前記監視手段は遠隔地に設けられた外部監視装置との間で情報を受送信するための通信手段を備え、前記外部監視装置は、故障の情報を前記通信手段を介して前記監視手段から受信すると、保守員の有する情報受送信機へ前記故障の情報を送信するとともに、前記通信手段を介して前記監視手段へ保守員到着予想時間を送信し、前記監視手段は前記予め設定した時間を前記保守員到着予想時間に変更することを特徴とする乗客コンベアの安全システム。 - 前記到着予想時間が前記予め設定した時間より長い場合は前記予め設定した時間を変更しないことを特徴とする請求項2に記載の乗客コンベアの安全システム。
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