実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る照明器具100の斜視図である。図2は、本実施の形態に係る照明器具100の分解斜視図である。図1及び図2を用いて、本実施の形態に係る照明器具100の全体構成について説明する。
図1に示す照明器具100は、例えば、天井などの取付面に埋め込まれた状態で使用される天井埋め込み型の照明器具(ダウンライト)である。
図2に示すように、照明器具100は、放熱部110、絶縁シート120、LED基板130、押さえ枠150、カバー160、反射部170を備える。
放熱部110は、LED基板130が取り付けられる基板取付面111を備える。放熱部110は、基板取付面111に取り付けられたLED基板130に実装されたLED140から発せられる熱を放熱するヒートシンクである。基板取付面111の裏側には、LED140から発せられる熱を効率よく放熱するための放熱フィン119が設けられる。放熱部110は、熱を伝達する金属、例えば、アルミニウムにより形成される。
絶縁シート120は、LED基板130と基板取付面111との間に配置される。絶縁シート120は、LED基板130の周縁の断面から露出する金属部分と基板取付面111との間を電気的に絶縁する。絶縁シート120は、LED基板130の周縁の断面から露出する金属部分と基板取付面111との絶縁距離を確保するため、LED基板130よりも大きく形成される。
LED基板130は、光源であるLED140が実装される実装面134と、実装面134の裏側の面である非実装面135(図8参照)とを有する。LED基板130は、例えば、アルミニウム基板である。
基板取付ねじ131(固定ねじ)は、LED基板130の所定の箇所を基板取付面111に固定するためのねじである。基板取付ねじ131は、経年劣化が少なく信頼性の高い金属性のねじである。ブッシュ132は、絶縁材により形成されており、基板取付ねじ131の一部を覆って、基板取付ねじ131の絶縁(絶縁距離)を確保するための部材である。
LED基板130は、ブッシュ132と基板取付ねじ131のねじ軸部131b(ねじ棒)とを貫通させる基板貫通孔133を中央部に有する。本実施の形態では、LED基板130の中央部分を基板取付面111に固定する場合について説明するが、LED基板130の中央部分以外の箇所を基板取付面111に固定してもよい。基板取付面111に固定するLED基板130上の位置に関わらず、本実施の形態を適用することができる。
また、LED基板130上の複数の箇所で基板取付面111に固定してもよい。一カ所の固定箇所につき1つのブッシュ及び1つの基板取付ねじが必要であるため、複数の箇所で固定するためには、複数のブッシュ132と複数の基板取付ねじ131とが必要になる。
LED基板130は、実装面134にLED140(光源)を実装する。LED基板130の非実装面135は、基板取付面111と面接触するように取り付けられる。本実施の形態では、非実装面135は、絶縁シート120を介して放熱部110の基板取付面111に当接(面接触)する。
上述したように、絶縁シート120は、LED基板130の周縁の断面から露出する金属部分と基板取付面111との絶縁距離を確保するために用いられる。しかし、例えば、LED基板130の周縁の断面から金属部分が露出しないようにコーティングする等の加工を施すことにより、絶縁シート120を省くことができる場合がある。以下の説明において、「非実装面135と基板取付面111とが面接触する」、「非実装面135と基板取付面111とが当接する」、「非実装面135と基板取付面111とが密着する」等と記載した場合には、非実装面135と基板取付面111との間に絶縁シート120が配置されている場合もある。非実装面135と基板取付面111との間は、絶縁シート120あるいはコーティング加工等により絶縁されていることが前提である。
LED基板130の非実装面135と放熱部110の基板取付面111とは、面接触するとともに熱接続している。基板取付面111は、LED基板130に実装されているLED140から発生する熱を受け取る。そして、基板取付面111で受け取られた熱は、放熱部110の放熱フィン119から放熱される。このとき、基板取付面111がLED140から発生する熱を効率よく受け取ることができるように、基板取付面111とLED基板130の非実装面135とはできるだけ密着させることが好ましい。絶縁シート120を介して非実装面135と基板取付面111とが取り付けられている場合には、非実装面135と絶縁シート120とを密着させるとともに絶縁シート120と基板取付面と111とを密着させ、非実装面135から基板実装面111への熱伝導の伝導効率を向上させることが好ましい。
押さえ枠150は、LED基板130のLED140が配置される開口部を有するリング状(環状)の枠である。押さえ枠150は、LED基板130の実装面134の周縁近傍を基板取付面111方向に押し付けながら基板取付面111に固定される。これにより、LED基板130の周縁近傍を基板取付面111に固定させる。押さえ枠150は、開口部にLED140が位置するようにLED140の周囲に配置される。
カバー160は、押さえ枠150の開口部に位置するLED140を覆うように基板取付面111に固定される。
反射部170は、光の照射方向に広がって形成される反射板175と、光の照射方向の反対側に形成された開口(底部開口174)と、反射板175の光の照射方向側の端部に設けられた化粧枠176とを備える。また、反射部170は、放熱部110を固定する放熱部固定部173と、照明器具100を天井面等に設けられた取り付け孔に固定するための板バネ171及び止め具172とを備える。
次に、図3〜図8を用いて、LED基板130を放熱部110の基板取付面111に取り付ける取付構造について説明する。
図3は、本実施の形態に係る照明器具100において、絶縁シート120を基板取付面111に取り付ける取付構造を示す図である。図4は、本実施の形態に係る照明器具100において、基板取付面111にLED基板130を取り付ける取付構造を示す図である。図5は、本実施の形態に係る照明器具100において、基板取付面111に絶縁シート120及びLED基板130が取り付けられた状態を示す図である。
図3に示すように、絶縁シート120の中央部には、ブッシュ132(図2参照)及び基板取付ねじ131(図2参照)を通過させるためのシートねじ孔122が形成される。絶縁シート120の周縁近傍には、絶縁シート120を基板取付面に取り付ける際の位置決めに用いるシート位置決め孔121が設けられる。
基板取付面111は、絶縁シート120のシートねじ孔122に対応する位置に、凹部112を備える。また、基板取付面111は、絶縁シート120のシート位置決め孔121に対応する位置に、シート位置決め孔121に挿入されるシート位置決め突起113を備える。
図4に示すように、絶縁シート120は、シート位置決め孔121に基板取付面111のシート位置決め突起113が挿入されることにより、基板取付面111上で位置決めされる。そして、位置決めされた絶縁シート120の上面(表面)にLED基板130が配置される。
LED基板130の実装面134には、複数のLED140が略正方形をなすように配置される(図12参照)。また、LED基板130の実装面134には、電源装置などと接続するためのコネクタ136が配置される。
LED基板130の中央部には、ブッシュ132及び基板取付ねじ131を通過させるための基板貫通孔133が形成される。LED基板130は、ブッシュ132に挿入された基板取付ねじ131により基板取付面111に固定される。
図5に示すように、絶縁シート120とLED基板130との形状は概ね相似関係をなす。上述したように、LED基板130の周縁の断面139には金属部分が露出しており、LED基板130の周縁の断面139と基板取付面111とは絶縁距離を確保する必要がある。そこで、図5に示すように、絶縁シート120は、LED基板130の周縁から所定の長さ以上はみ出すように形成される。所定の長さとは、LED基板130の周縁と基板取付面111との絶縁距離が確保できる最短の長さであり、想定される動作電圧や必要な絶縁強度等により規定される長さである。
図5に示すように、LED基板130の全周囲に、絶縁シート120が所定の長さ以上はみ出している部分(シートはみ出し部123)が存在する。シートはみ出し部123が存在することにより、LED基板130の周縁の断面139と基板取付面111(放熱部110)との絶縁距離が確保されている。
図6は、本実施の形態に係る照明器具100におけるブッシュ132及び基板取付ねじ131の斜視図である。図7は、(a)がブッシュ132をQ1方向(図6参照)から見た平面図、(b)がブッシュ132をQ2方向(図6参照)から見た底面図である。図8は、図5のA−A断面の部分拡大図である。図9は、(a)が基板取付面111に形成された凹部112を光の照射方向側から見た図、(b)がLED基板130に設けられた基板貫通孔133を光の照射方向側から見た図である。
まず、図6及び図7を用いて、ブッシュ132及び基板取付ねじ131の構成について説明する。
図6に示すように、ブッシュ132は、突出部132cを有する円板形状の当接部132a(当接部品)と、孔が形成された柱形状(筒状)のスペーサー部132b(スペーサー)とを備える。また、基板取付ねじ131は、ねじ頭部131aと、ねじ軸部131bと、おねじ部131cとを備える。おねじ部131cは、ねじ軸部131bの先端部に形成されているが、ねじ軸部131bの外面全体に形成されていてもよい。
当接部132a(当接部品)は、絶縁材により形成され、当接部表面132i(表面)と当接部裏面132f(裏面)とを有する円板状である。当接部132aは、ねじ軸部131bを貫通させるとともにねじ頭部131aを係止する円板貫通孔132j(ねじ穴)を有する。円板貫通孔132jの径は、ねじ頭部131aの外径よりも小さく、ねじ軸部131bの外径よりも大きい。
スペーサー部132b(スペーサー)は、筒状であり、絶縁材により形成され、内部にねじ軸部131bを挿入するとともにねじ軸部131bを貫通させる挿入孔132kを有する。挿入孔132kの径は、円板貫通孔132jの径と略同一である。
スペーサー部132bは、基板取付ねじ131のねじ軸部131bの外周面を覆って、基板取付ねじ131のねじ軸部131bの絶縁距離を確保する。LED基板130の基板貫通孔133の縁部は、断面となっており金属(例えば、アルミニウム等)が露出する。この基板貫通孔133の縁部断面を孔断面133aとする(図8参照)。スペーサー部132bは、基板貫通孔133を貫通するねじ軸部131bの外周面を覆って、基板取付ねじ131のねじ軸部131bとLED基板130の基板貫通孔133の縁部断面(孔断面133a)との絶縁を確保する。
スペーサー部132bは、円板貫通孔132jと挿入孔132kとが連通するように、一端部が当接部裏面132fに連結されている。スペーサー部132bの他端部(端部132d)の端面は、挿入孔132kに連通する孔を有する。当接部132aとスペーサー部132bとは別部品でもよいし、一体成形されていてもよい。一体成形されていることにより、部品の点数を減らすことができるとともに、作業者が扱いやすく作業性が向上する。
本実施の形態では、ブッシュ132は、当接部132aとスペーサー部132bとが一体成形されているものとする。当接部132aの円板貫通孔132jとスペーサー部132bの挿入孔132kとが連通してできた孔をブッシュねじ挿入孔132eとする。
図6及び図7(a)に示すように、当接部132aは、ブッシュねじ挿入孔132eの周囲の当接部表面132iが環状に突き出て形成された突出部132cを備える。本実施の形態では、突出部132cは、当接部表面132iの周縁近傍に形成されているが、周縁よりも内側に形成されていてもよい。例えば、図7(a)に2点鎖線で記載した位置に突出部132c’を設けても構わない。
また、図7(b)に示すように、スペーサー部132bは、外周面の一部が縦に切りかかれている。スペーサー部132bの断面は、円形ではなく、円周のうちの対向する円弧部分132l’,132m’が切り欠かれた形状となっている。スペーサー部132bの外周面の切り欠かれた部分を、切り欠き部132l,132mとする。切り欠き部132lと切り欠き部132mとは中心線lに対して線対称に設けられる。
次に、図8を用いて、LED基板130の取付構造の詳細について説明する。
上述したように、LED基板130は、LED140が実装される実装面134と実装面134の裏側の面である非実装面135とを有し、略中央部に基板貫通孔133を有する。
図8に示すように、放熱部110の基板取付面111には、絶縁シート120が載置され、その上にLED基板130が載置される。基板取付面111は、LED基板130の非実装面135と絶縁シート120を介して面接触する。なお、上述したように、絶縁シート120は省略可能である。
基板取付面111には、LED140で発生する熱が伝熱される。基板取付面111に伝熱された熱は、上述した放熱フィン119(図5参照)から放熱される。LED140で発生する熱を効率よく放熱するためには、LED基板130と基板取付面111との密着性を高め、LED基板130から放熱部110に効率よく伝熱することが必要となる。
図8に示すように、凹部112は、LED基板130の基板貫通孔133に対応する位置に設けられる。凹部112は、基板取付面111上に形成された円形の凹部開口112cから略半球状に凹んで形成される。凹部112の内面(凹部内面112d)は略半球形状(椀形状)をなす。凹部開口112cは、基板貫通孔133より大きく当接部132aよりも小さい。
凹部112の底部には、ブッシュ132のスペーサー部132bの端部132dを嵌め込む凹みであるブッシュ位置決め部112bが形成される。また、ブッシュ位置決め部112bの底面には、スペーサー部132bの端部132dから露出する基板取付ねじ131のおねじ部131cと螺合するめねじ部112aが設けられる。めねじ部112aは、ブッシュ位置決め部112bの底面の略中央部に形成された円柱形の凹みの内面に、ねじ切りを設けることにより形成される。
LED基板130は、基板貫通孔133が凹部開口112cに対応するように、絶縁シート120の表面(上面)に載置される。そして、ブッシュ132は、スペーサー部132bの端部132dが基板貫通孔133と絶縁シート120のシートねじ孔122とを貫通し、凹部112の底部に形成されたブッシュ位置決め部112bに嵌め込まれる。
ここで、ブッシュ132の位置決め構造、及びLED基板130の位置決め構造について説明する。
図9(a)は、凹部112を光の照射方向側から見た図である。基板取付面111には円形の凹部開口112cが形成され、凹部開口112cから底部に向かって凹部内面112dが半球状を形成するように凹んでいる。
凹部112は、底部に、ブッシュ132のスペーサー部132bの断面形状と略同一形状に凹んだブッシュ位置決め部112bを備える。ブッシュ位置決め部112bは、スペーサー部132bの断面形状と略同一形状の凹みであるが、スペーサー部132bの端部132dを嵌め込むことができる程度にスペーサー部132bの断面形状よりやや大きく形成される。
スペーサー部132bの断面形状は、図7(b)に示したように、円形の一部がカットされた切り欠き部132l,132mを備える形状なので、同一形状のブッシュ位置決め部112bに嵌め込まれるとブッシュ132の先端(スペーサー部132bの端部132d)がブッシュ位置決め部112bの内部で回転することがなく、固定される。これにより、ブッシュ132が回転することなく位置決めされる。
スペーサー部132bの断面形状は、回転しないような形状であれば、その他の形状でもよい。例えば、キー溝つき、楕円、長円、その他の形状でもよい。スペーサー部132bの断面形状は、ブッシュ位置決め部112b内で回転しないような形状であることで、ブッシュ132を取り付ける方向が定まり(ブッシュの取付の方向性が発生し)、組み立て性の向上及び誤取付の防止が可能となる。
図9(b)は、LED基板130に設けられた基板貫通孔133を光の照射方向側から見た図である。基板貫通孔133の形状は、スペーサー部132bの断面形状と略同一である。基板貫通孔133は、スペーサー部132bの断面形状と略同一の孔であるが、スペーサー部132bを貫通させることができる程度にスペーサー部132bの断面形状よりやや大きく形成される。
図4に示すように、作業者がLED基板130を基板取付面111に配置する場合には、位置決めされた絶縁シート120のシートねじ孔122の位置や、コネクタ136の位置などを目安に、絶縁シート120にLED基板130を載置する。そして、作業者は、ブッシュ132のスペーサー部132bをLED基板130の基板貫通孔133に貫通させ、ブッシュ132の端部132dをブッシュ位置決め部112bに嵌め込む。
ブッシュ132の端部132dをブッシュ位置決め部112bに嵌め込むためには、作業者がブッシュ132を押し込む押力を与える動作をしなければならない。作業者がこの動作を行うことにより、ブッシュ132の端部132dがブッシュ位置決め部112bに嵌め込まれたかどうかを目視することができないが、作業者の手の感触等によりブッシュ132の端部132dがブッシュ位置決め部112bに嵌め込まれたかどうかを知ることができる。
図9(b)に示すように、基板貫通孔133の形状は、スペーサー部132bの断面形状と略同一形状である。基板貫通孔133を貫通したスペーサー部132bは、基板貫通孔133内で回転することができない形状であるので、スペーサー部132bが固定されれば、スペーサー部132bが貫通するLED基板130も固定される。
以上のように、ブッシュ132の端部132dがブッシュ位置決め部112bに嵌め込まれて位置決めされることにより、LED基板130も位置決めされる。
図8に戻り、LED基板130の取付構造の説明を続ける。ブッシュ132が基板貫通孔133を貫通し、絶縁シート120のシートねじ孔122を貫通し、スペーサー部132bの端部132dは凹部112の底部に形成された凹みであるブッシュ位置決め部112bに嵌め込まれると、当接部裏面132fがLED基板130の実装面134の基板貫通孔133の周囲の面に当接する。
その後、基板取付ねじ131がブッシュねじ挿入孔132eに挿入される。基板取付ねじ131は、おねじ部131cがブッシュねじ挿入孔132eを貫通しめねじ部112aと螺合することにより、当接部裏面132fがLED基板130の実装面134の基板貫通孔133の周囲の面を押し付けながら、LED基板130を基板取付面111に固定する。
図8に示すように、基板取付ねじ131のねじ軸部131bが、ブッシュねじ挿入孔132eを貫通した場合、ねじ軸部131bの先端のおねじ部131cの最大露出長はL5の長さであるとする。おねじ部131cとめねじ部112aとが螺合することにより、ねじ頭部131aがブッシュ132の当接部132aを光源基板側に押し付けるためには、めねじ部112aの深さL6は、おねじ部131cの最大露出長L5よりも深く形成する必要がある。
また、ねじ頭部131aがブッシュ132の当接部132aを押し付け過ぎると、LED基板130の基板貫通孔133近傍が変形するおそれがある。LED基板130が変形すると、変形した部分周辺のLED基板130と基板取付面111との密着性が低下してしまう。
そこで、ねじ頭部131aがブッシュ132の当接部132aを押し付けすぎてしまわないように、スペーサー部132bの高さL7を調整する。スペーサー部132bの高さL7は、LED基板130の実装面134からブッシュ位置決め部112bの底面までの長さL8と略同一であることが好ましい。ここで、スペーサー部132bの高さL7と実装面134からブッシュ位置決め部112bの底面までのL8とが略同一長であるとすると、スペーサー部132bがつっかえ棒となってしまい、基板取付ねじ131を押し込むことができなくなるとも考えられる。しかし、ブッシュ132は、例えば、ナイロンやポリカーボネード等の樹脂であるため、弾力性を有しており、基板取付ねじ131を多少押し込むことができるとともに、押し込みすぎを防止することができる。
なお、スペーサー部132bの高さL7を、実装面134からブッシュ位置決め部112bの底面までの長さL8よりやや短くしてもよい。この場合、図8に示すように、基板取付ねじ131を締め込んでいない状態では、ブッシュ位置決め部112bの底面に微小な隙間190が生じる。この隙間190が埋まるくらいに基板取付ねじ131を締め込むことにより、必要以上に基板取付ねじ131で当接部132aを押し付けることなく、LED基板130と基板取付面111との密着性を高めることができる。
次に、ブッシュ132の当接部132aを用いて、ねじ頭部131aとLED基板130の実装面134との絶縁距離を確保する構造について説明する。なお、器具の高出力化に伴いLED140の数が増加し、実装面134における導体パターンの配設密度が高いことから、ねじ頭部131aと実装面134との絶縁距離を確保するものとする。
ねじ頭部131aと実装面134との絶縁距離を確保するためには、ねじ頭部131aと実装面134との空間距離を、絶縁(絶縁距離)を確保することができる最短の距離以上とする必要がある。ここで、2点間の絶縁距離を確保するための空間距離とは、沿面距離を含むものとする。
図8に示すように、ねじ頭部131aのP1点と実装面134のP4点とが、ねじ頭部131aと実装面134とを結ぶ最短の点であるとする。ここで、ねじ頭部131aのP1点と実装面134のP4点との絶縁距離を確保するための空間距離とは、沿面距離を含むものとする。ねじ頭部131aのP1点と実装面134のP4点との間の空間距離(沿面距離を含む)は、(P1−P2間の距離)+(P2−P3間の距離(沿面距離))+(P3−P4間の距離(沿面距離))=L2(P1−P4間の空間距離(沿面距離を含む))である。絶縁(絶縁距離)を確保することができる最短の空間距離(沿面距離を含む)(所定の距離)は、想定される動作電圧や必要な絶縁強度等により様々な規格値が規定されている。
図8に示すように、本実施の形態に係るブッシュ132の当接部132aは、突出部132cを備えているため、突出部132cのない平板状の当接部の場合よりも、(P1−P2間の距離)−(L4の距離)分の空間距離を増加させることができる。
また、本実施の形態に係るブッシュ132の当接部132aは、突出部132cを備えているため、突出部132cのない平板状の当接部の場合よりも、L3の距離分の空間距離(沿面距離)を増加させることができる。
なお、当接部132aの面積を大きくするなどして空間距離を増加させることもできるが、当接部132aの面積を大きくすると、実装面134上において、LED140を実装できない領域が増加し、LED140の配置に偏りが生じてしまい、配光にムラが生じる等の虞がある。本実施の形態に係るブッシュ132によれば、当接部132aの面積を小さくして空間距離を増加させることができるので、LED140の配置に与える影響が少ない。
図10は、ブッシュ132の形状のバリエーション(a)(b)を示す図である。
図10(a)は、当接部132aの当接部表面132iが、中央から周縁に向かって、徐々に高くなっていく(徐々に当接部132aの厚さが厚くなっていく)ように形成されている。このように形成することにより、厚さが一定の平板状の当接部の場合よりも、P1−P5間の空間距離を長くすることができる。また、突出部などを形成していないので、製造が容易である。
図10(b)では、当接部132aの当接部表面132iのブッシュねじ挿入孔132eの部分が高く、中央から周縁に向かって、徐々に低くなる(徐々に当接部の厚さが薄くなる)ように、山型、円錐形に形成される。このように形成することにより、厚さが一定の平板状の当接部の場合よりも、P1−P5間の空間距離を長くすることができる。また、図10(b)に示すように、LED140からの光を当接部表面132iが反射するので、反射板としても機能し、発光効率の向上や配光のムラの減少に貢献する。
また、図7(a)に示すように、当接部表面132iに、突出部132cと突出部132c’との2つの突出部を形成してもよい。これにより、当接部132aの面積を大きくすることなく、空間距離(沿面距離を含む)を増加させることができる。
次に、基板貫通孔133を形成する縁部である孔断面133a(図8参照)と、放熱部110との絶縁距離の確保について説明する。LED基板130の基板貫通孔133を形成する孔断面133aのP6点と凹部内面112dのP7点とを結ぶ距離が、孔断面133aと凹部内面112dとの最短の空間距離であるものとする。
孔断面133aのP6点と凹部内面112dのP7点との空間距離L1は、孔断面133aと凹部内面112dとの絶縁距離を確保することができる最短の距離以上とする必要がある。この空間距離L1が絶縁距離を確保することができる最短の距離は、器具の出力等により異なる規格値が規定されている。
凹部112は、孔断面133aのP6点と凹部内面112dのP7点との空間距離L1が、孔断面133aと凹部内面112dとの絶縁を確保することができる最短の距離以上となるように形成される。
本実施の形態では、凹部112の形状は半球状であるが、孔断面133aと凹部内面112dとの最短の空間距離が、絶縁を確保することができる最短の距離以上となることが確保できるような形状であれば、他の形状でもよい。例えば、直方体形状、立方体形状、角錐形状、円錐形状等でもよい。
凹部開口112cの大きさは、当接部132aの大きさよりも小さいことが好ましいが、器具の出力量によっては、孔断面133aと凹部内面112dとの空間距離L1を長く確保する大きい凹部112を設けなければならない場合がある。すると、凹部開口112cが当接部132aよりも大きくなってしまう場合がある。このような場合であっても、スペーサー部132bにより、基板取付ねじ131の過剰な押し込みを防止することができるので、充分に空間距離を確保した凹部112を形成することができる。
図11は、LED基板130の周辺部を押さえる押さえ枠150の取付構造を示す図である。図12は、本実施の形態に係る照明器具100を光の照射方向から見た図である。図13は、LED140を覆うカバ−160の取付構造を示す図である。
図11に示すように、押さえ枠150は、枠開口154と、基板押さえ部155と、ねじ挿入孔152とを備える。押さえ枠150は、ブッシュ132及び基板取付ねじ131により基板取付面111にLED基板130が取り付けられ、LED基板130のコネクタ136に必要なリード線137等が接続された後に、基板取付面111に取り付けられる。押さえ枠150は、LED基板130に実装されているLED140の周囲を押さえて固定するための部材である。
押さえ枠150により、LED基板130の周辺部が基板取付面111に押し付けられ、上述したブッシュ132及び基板取付ねじ131により、LED基板130の中央部が基板取付面111に押し付けられるので、LED基板130と基板取付面111との密着性が向上する。
押さえ枠150は、枠取付ねじ151により、基板取付面111に取り付けられる。押さえ枠150は、枠取付ねじ151の軸部を貫通させるとともに枠取付ねじ151の頭部を係止する貫通孔であるねじ挿入孔152を備える。
また、基板取付面111は、押さえ枠150のねじ挿入孔152に対応する位置に、枠取付ねじ151の軸部と螺合する枠取付孔114を備える。本実施の形態では、押さえ枠150は、4本の枠取付ねじ151により取り付けられる。4本の枠取付ねじ151の各々に対応する4つの枠取付孔114は、絶縁シート120の周縁近傍の基板取付面111に設けられる。
基板押さえ部155は、枠開口154の周縁から中央に張り出して、LED基板130のLED140近傍を基板取付面111側に押さえ付ける部材である。
図11に示すように、LED基板130に実装されたLED140は、略正方形をなすように配置されている。
図12は、本実施の形態に係る照明器具100を光の照射方向から見た図であるが、説明のため、カバー160は省略している。図12に示すように、基板押さえ部155は、枠開口154の円周の4カ所から中央に張り出しており、枠開口154の形状を略正方形としている。押さえ枠150は、略正方形に配置されたLED140の周囲を、略正方形の枠開口154の周縁で押さえることができる。これにより、LED基板130のLED140が配置されている領域をより確実に放熱部110に密着させることができる。
図13は、LED140を覆うカバ−160の取付構造を示す図である。図13に示すように、カバー160は、押さえ枠150の枠開口154の奥に配置されているLED140を覆うように取り付けられる。カバー160は、カバー取付ねじ161とカバー取付ワッシャー162とにより、基板取付面111に取り付けられる。カバー160は、カバー取付ねじ161の軸部を貫通させるとともにカバー取付ねじ161の頭部を係止する貫通孔であるねじ挿入孔163を備える。
図11に示すように、基板取付面111は、カバー160のねじ挿入孔163に対応する位置に、カバー取付ねじ161と螺合するねじ受け部117を備える。押さえ枠150は、ねじ受け部117を貫通させる貫通孔153を備える。
図13に示すように、押さえ枠150にカバー160を被せ、カバー取付ねじ161の軸部をカバー取付ワッシャー162、ねじ挿入孔163に挿入し、押さえ枠150の貫通孔153を貫通したねじ受け部117と螺合させるとにより、カバー160を基板取付面111に取り付ける。
以上のように、本実施の形態に係る照明器具100によれば、器具が高出力化し、LED基板130が大きくなったとしても、LED基板130と金属のねじ(基板取付ねじ131)との絶縁距離、及びLED基板130と放熱部110との絶縁距離を確保しながらLED基板130のさまざまな箇所を基板取付ねじ131で固定することができる。そのため、LED基板130と放熱部110との密着性が向上し、放熱効率が向上し、LED140の長寿命化が実現できる。
また、本実施の形態に係る照明器具100によれば、当接部132a(当接部品)は、円板貫通孔132j(ねじ穴)の周囲の当接部表面132iが突き出した突出部132cを備えるので、当接部132aの面積を大きくすることなく、ねじ頭部131aと実装面134との空間距離(沿面距離)を増加させることができる。したがって、LED140の配置に影響を及ぼすことなく、LED基板130のさまざまな箇所を基板取付ねじ131で固定することができる。
本実施の形態に係る照明器具100によれば、LED基板130の中央部をブッシュ132及び基板取付ねじ131により放熱部110に固定してから押さえ枠150を取り付けることができるので、作業性が向上する。また、LED140の実装面134側から、LED基板130の中央部をブッシュ132及び基板取付ねじ131により放熱部110に固定する構造であるので、組み立てが容易である。