1.第一の実施形態
本発明に係る操作入力システムの第一の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、車載用のナビゲーション装置1(図1を参照)に対する予め規定された(所定の)操作入力を行うための操作入力装置4を含む操作入力システム3を例として説明する。操作入力装置4は、ナビゲーション装置1と情報伝達可能に接続された表示入力装置40と共に、操作入力システム3を構成している。以下では、ナビゲーション装置1の概略構成、操作入力装置4の構成、操作入力システム3の構成、及び操作入力受付処理の手順の順に説明する。
1−1.ナビゲーション装置の概略構成
ナビゲーション装置1の概略構成について、図1及び図2を参照して説明する。ナビゲーション装置1は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、経路案内、及び目的地検索等の基本機能を実現可能に構成されている。そのためナビゲーション装置1は、図2に示すように制御演算部6を備えている。制御演算部6は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備え、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部として、ハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。制御演算部6は、ナビゲーション用演算部70を備えている。また、制御演算部6は、GPS受信機81、方位センサ82、距離センサ83、地図データベース85、表示入力装置40、タッチパッド10、音声入力装置87、及び音声出力装置88と情報伝達可能に接続されている。
GPS受信機81は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を
受信する。方位センサ82は、自車両の進行方位又はその変化を検出する。距離センサ83は、自車両の車速や移動距離を検出する。良く知られているように、ナビゲーション用演算部70は、GPS受信機81、方位センサ82、及び距離センサ83から得られる情報に基づき、更には公知のマップマッチングにも基づいて、推定自車位置を導出可能である。
地図データベース85は、所定の区画毎に分けられた地図データを記憶している。地図データは、交差点に対応する複数のノードと各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとの接続関係により構成される道路ネットワークデータを含んでいる。各ノードは、緯度及び経度で表現された地図上の位置の情報を有している。各リンクは、その属性情報として、道路種別、リンク長、道路幅等の情報を有している。地図データベース85は、地図表示、経路探索、及びマップマッチング等の処理の実行時にナビゲーション用演算部70により参照される。地図データベース85は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROM等の記憶媒体に格納して備えられている。
表示入力装置40は、液晶表示装置等の表示装置とタッチパネル等の入力装置とが一体となったものである。表示入力装置40は、表示画面41を有すると共に当該表示画面41に例えば自車位置周辺の地図や所定機能に関連付けられた操作標章44(図6を参照)等の画像を表示する。本実施形態では、表示入力装置40が本発明における「表示装置」に相当する。ここで、操作標章44は、タッチパネルやタッチパッド10が操作され、その操作入力がナビゲーション装置1に伝達されて特定の機能が実現されるに際して、その機能をユーザー(ここでは車両の乗員)が容易に知覚できるように表示画面41に表示される標章である。このような操作標章44には、例えばイラスト等によって描画された操作アイコンやボタンイメージ、文字キーイメージ等が含まれる。表示入力装置40は、タッチパネルに接触又は近接する被検知物を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。例えばユーザーは、表示画面41に表示された操作標章44に、被検知物としての指先やスタイラスペンのペン先等を接触又は近接させることで、その操作標章44を選択してそれに関連付けられた機能を実現することができる。また、ユーザーは、表示画面41に表示された操作標章44以外の位置に被検知物を接触又は近接させることで、例えば地図上の地点選択等を行うことができる。表示入力装置40は第一の操作入力手段として機能する。
図1に示すように、タッチパッド10は表示入力装置40とは別体として設けられている。タッチパッド10は、表示入力装置40に対して離間して設けられた操作面11aを有し、操作面11aに対する操作を検出する。すなわち、タッチパッド10は、操作面11aに接触又は近接する被検知物D(図6を参照)を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。ポインティングデバイスとしてのタッチパッド10が検知した検知位置に対応させて、表示画面41に操作カーソル45(図6を参照)が表示される。ユーザーは、操作面11aに被検知物Dとしての指先等を接触又は近接させながらスライドさせることによって、表示画面41上で操作カーソル45を移動させる。そして、その操作カーソル45が操作標章44上に一致している状態で操作面11aを所定操作することで、当該操作標章44を選択してそれに関連付けられた機能を実現することができる。また、ユーザーは、表示画面41に表示された操作標章44以外の位置に操作カーソル45が位置する状態で操作面11aを所定操作することで、例えば地図上の地点選択等を行うことができる。タッチパッド10は第二の操作入力手段として機能する。
なお、表示入力装置40は、ユーザー(ここでは特に、車両の運転者)から見やすいように、運転時の視線方向を大きく変えることなく見ることができるような位置に配置されている。図1に示す例では、表示入力装置40はダッシュボード上面の中央部に配置されているが、計器盤の位置等に配置しても良い。一方、タッチパッド10は、ユーザーが操作しやすいように、ユーザーの手元に近い位置に配置されている。すなわち、タッチパッド10は、表示入力装置40よりもユーザーの手元に近く、かつ、視線方向から遠い位置に配置されている。図1に示す例では、タッチパッド10はセンターコンソール部に配置されているが、ダッシュボード上面の中央部やステアリングホイールのスポーク部、ドアパネル等に配置しても良い。
音声入力装置87は、ユーザーからの音声による入力を受け付ける。音声入力装置87はマイクロフォン等を有して構成される。ナビゲーション用演算部70は、音声入力装置87で受け付けた音声に基づき、音声認識による目的地検索やハンズフリー通話等の機能を実現することができる。音声入力装置87は第三の操作入力手段として機能する。音声出力装置88は、スピーカ等を有して構成される。ナビゲーション用演算部70は、音声出力装置88を介して、音声案内等の機能を実現することができる。
本発明では、ナビゲーション装置1と情報伝達可能に接続された各機器のうち、第二の操作入力手段としてのタッチパッド10の具体的構成に関して、従来品との対比において新規な特徴を有している。そこで以下では、タッチパッド10を含んで構成される操作入力装置4の構成、及び当該操作入力装置4を含んで構成される操作入力システム3の構成について、より詳細に説明する。
1−2.操作入力装置の構成
図3〜図5に示すように、操作入力装置4は、タッチパッド10と、突出部材20と、駆動機構30とを備えている。操作入力装置4は、概略的には、駆動機構30によって駆動される突出部材20が、タッチパッド10の表面から突出可能(出没可能)に構成されている。
図4及び図5に示すように、タッチパッド10は操作板11を有し、操作板11の正面には操作面11aが形成されている。このようなタッチパッド10としては、抵抗膜式や静電容量式等、種々の方式のものを利用することができ、本例では静電容量式を採用している。操作面11aの背面側には基板や電極層が設けられている。タッチパッド10は、操作面11aに接触又は近接する被検知物Dとしての指先等を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。
操作板11には、当該操作板11を貫通する孔部12が設けられている。図4に示すように、本実施形態では、このような孔部12が複数(多数)設けられている。それぞれの孔部12は、操作板11の正面から見て円形状に形成されている。また、それぞれの孔部12には、突出部材20が挿入されている。従って本例では、突出部材20も複数(多数)設けられ、具体的には孔部12と同数の突出部材20が設けられている。これら複数の孔部12及び突出部材20は、操作面11aに沿って所定の規則で配列されている。本例では、操作面11aの全体に亘って縦横にそれぞれ一定間隔で規則的に配列され、全体としてマトリクス状(直交格子状)に配列されている。なお、孔部12及び突出部材20は、ハニカム状(六角格子状)に配列されていても良い。
本実施形態では、操作面11aの背面側に設けられた電極層に接続される導電性の配線部材13が、操作面11aに沿って格子状に配設されているが、それぞれの孔部12は配線部材13を避けて設けられている。すなわち、それぞれの孔部12は、本例では複数の配線部材13によって囲まれた矩形状の領域内に、全ての配線部材13と干渉することなく設けられている。ハニカム構造の場合には、それぞれの孔部12は、複数の配線部材13によって囲まれた六角形状の領域内に、全ての配線部材13と干渉することなく設けられる。これにより、複数の孔部12を操作板11に設けることによってタッチパッド10の機能が損なわれることが防止されている。
図5に示すように、突出部材20は、細長い円柱状(ピン状)のピン部材21と、全体として円筒状の筒状部材22とからなる。ピン部材21の外径は、孔部12の内径よりも僅かに小さい。筒状部材22は、当該筒状部材22の軸方向に沿って等分割された2つの半円筒状部材からなる。ピン部材21は、その下端部において2つの半円筒状部材に挟まれた状態で筒状部材22に係止されている。本例では、それぞれの孔部12に、ピン部材21の先端部(上端部)が挿入されている。駆動機構30によって突出部材20が駆動されていない基準状態(図5の左側の状態)では、平坦に形成されたピン部材21の先端部(先端面)は、操作面11aのレベルに一致している。
図5に示すように、操作板11に対して背面側に駆動機構30が設けられている。この駆動機構30は、操作面11aに対して交差(本例では直交)する方向(これを「進退動作方向Z」と称する)に沿って突出部材20を進退動作させるための機構である。駆動機構30は、圧電素子31を備えている。
圧電素子31は圧電効果を利用した受動素子であり、圧電体に印加された電圧を力に変換し、或いは圧電体に加えられた外力を電圧に変換する。圧電素子31は、進退動作方向Zに振動するように設けられている。圧電素子31には連結部材33が連結されており、この連結部材33は圧電素子31と一体的に振動する。連結部材33は、細長い円柱状(ピン状)に形成されている。圧電素子31に連結された側とは反対側の連結部材33の先端部は、筒状部材22の内側の空間に挿入されている。連結部材33の外径は筒状部材22の内径にほぼ等しく、連結部材33の外周面と筒状部材22の内周面とが接している。
連結部材33と筒状部材22とが接触する接触位置において、筒状部材22を外周側から包囲するようにバネ部材34が設けられている。バネ部材34は、内周側に向かう所定の大きさの予圧を提供し、連結部材33と突出部材20を構成する筒状部材22との間に所定の摩擦力を生じさせる。バネ部材34が付与する予圧は、連結部材33と筒状部材22との間の静止摩擦力が突出部材20に作用する重力の進退動作方向Zの分力よりも少なくとも大きくなるように設定される。また、上記予圧は、圧電素子31の振動に伴い連結部材33と筒状部材22との間に動摩擦力が生じる状態でこれらが摺動可能となるように設定される。本実施形態では、筒状部材22と連結部材33との摺動部、及び予圧付与手段としてのバネ部材34により、摺動機構32が構成されている。
また本実施形態では、圧電素子31の進退動作方向Zに沿った一方側への振動速度と他方側への振動速度との大小関係が、後述する操作入力演算部50に含まれる突出制御部52(図3を参照)によって調整可能とされている。突出方向側(操作面11aよりも正面側)への振動速度を、反突出方向側である埋没方向側(操作面11aよりも背面側)への振動速度よりも小さくすることで、連結部材33と筒状部材22との間に生じる静止摩擦と動摩擦との差異に基づいて、突出部材20が突出方向側へと移動する。これにより、突出部材20(ピン部材21)の先端部は、操作面11aよりも正面側に突出する。すなわち、突出部材20は、先端部が操作板11を貫通して操作面11aより正面側に突出した状態(突出状態)となり得る。この突出状態は、進退動作方向Zに沿った突出部材20の先端部の高さが操作面11aよりも高い状態(第一状態)である。
一方、これとは逆に埋没方向側への振動速度を突出方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20は埋没方向側へと移動する。すなわち、突出部材20は、先端部が操作面11aより背面側に埋没した状態(埋没状態)ともなり得る。なお、「埋没状態」には、突出部材20のピン部材21の先端部が操作面11aのレベルに一致している状態も含まれるものとする。この埋没状態は、進退動作方向Zに沿った突出部材20の先端部の高さが操作面11a以下の状態(第二状態)である。なお、突出部材20は、筒状部材22と連結部材33とが摺動可能な状態で、連結部材33及び圧電素子31を介して駆動機構30のハウジングに支持されている。これにより、突出部材20は、圧電素子31の振動とは無関係に、外部からの押込操作によっても埋没状態(第二状態)となる位置まで押し込み可能に支持されている。
本実施形態では、圧電素子31と摺動機構32とにより駆動機構30が構成される。この駆動機構30は、操作入力演算部50に含まれる突出制御部52によって駆動制御される。複数の突出部材20は、駆動機構30により、それぞれ独立に突出状態と埋没状態との間で移動可能となっている。このように、本実施形態に係る操作入力装置4は、タッチパッド10と、このタッチパッド10の操作面11aから出没自在に設けられた複数の突出部材20とを組み合わせて有する。
なお、本実施形態のように、静電容量式のタッチパッド10と圧電素子31を用いる駆動機構30とを組み合わせて備える構成が特に好ましい。静電容量式のタッチパッド10は、操作面11aとユーザーの指先等の被検知物Dとの間での静電容量の変化に基づいて操作面11aにおける被検知物Dの位置を検出している。静電容量式のタッチパッド10を備える場合において、圧電素子31以外のアクチュエータ(例えば、モータ、ソレノイド等)を用いる駆動機構30を更に備える場合には、その駆動に伴ってノイズが生じて静電容量が変化する可能性がある。その結果、タッチパッド10での被検知物Dの位置検出精度が低下する可能性がある。これに対して、本実施形態のように駆動機構30のアクチュエータが圧電素子31であれば、その駆動に伴って生じるノイズが非常に小さく抑えられる。そのため、タッチパッド10が静電容量式であったとしても、タッチパッド10での被検知物Dの位置検出精度を高く維持することができる。
1−3.操作入力システムの構成
図3に示すように、操作入力システム3は、上述した操作入力装置4と、表示入力装置40と、これらの間に介在される操作入力演算部50とを備えている。本実施形態では、操作入力演算部50はナビゲーション装置1を構成する制御演算部6に組み込まれて実装されている(図2を参照)。但し、このような構成に限られず、操作入力演算部50が制御演算部6とは独立して設けられていても良い。操作入力装置4と表示入力装置40とは、操作入力演算部50を介して情報伝達可能に接続されている。
操作入力演算部50は、ステータス判定部51、突出制御部52、位置検知部53、描画制御部54、選択操作判定部55を備えている。また本実施形態では、操作入力演算部50は、状態検知部56及び入力受付部57を更に備えている。
ステータス判定部51は、表示画面41に表示される画像内容に応じて、突出部材20のそれぞれについて突出の状態を表す突出ステータスを判定する。本実施形態では、突出ステータスには「突出状態」と「埋没状態」とが含まれる。ここで、突出ステータスの1つとしての「埋没状態」は、進退動作方向Zにおける可動範囲内で突出部材20が最小変位位置にある状態(ピン部材21の先端部が操作面11aのレベルに一致している状態)であり、他の1つとしての「突出状態」は、進退動作方向Zにおける可動範囲内で突出部材20が最大変位位置にある状態である。本実施形態では、ステータス判定部51は、各突出部材20を突出状態及び埋没状態のうちのいずれの状態とするかを択一的に判定する。
ここで、上述したように、表示画面41には、自車位置周辺の地図画像の他にも、所定機能に関連付けられた操作標章44の画像が表示され得る。例えば図6に示す例では、自車位置周辺の地図画像に重畳して、表示画面41における下部側に設定された操作標章表示領域Rに、5つの操作標章44の画像が等間隔で横一列に並んで表示されている。これらの操作標章44は、ナビゲーション装置1や車両の各種装備類を操作する上での主要な機能に対応している。これらは、一例として、左から順にそれぞれプローブ交通情報表示機能、自車位置表示機能、目的地検索機能、オーディオ設定機能、エアコンディショナー設定機能に関連付けられている。
ステータス判定部51は、表示画面41の座標と操作面11aの座標とを対応付け、表示された操作標章44の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する1つ以上の突出部材20について、その突出ステータスを突出状態と判定する。なお、表示画面41の座標と操作面11aの座標との対応付けは、表示画面41の形状及び大きさと操作面11aの形状及び大きさとに基づいて予め定められた縦横比情報(表示画面41に対する操作面11aの縦横比情報)を用いて行われる。この縦横比情報に基づき、表示画面41の座標に対する操作面11aの座標が取得され、或いは、操作面11aの座標に対する表示画面41の座標が取得される。
本実施形態では、ステータス判定部51は、表示された1つの操作標章44に対してY方向に配列された2つ一組の突出部材20のそれぞれについて、その突出ステータスを突出状態と判定する。一方、ステータス判定部51は、操作標章44が表示されていない領域の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20については、その突出ステータスを埋没状態と判定する。図6の例では、操作標章表示領域Rには5つの操作標章44の画像が表示されているので、これらに対応する5組10個の突出部材20の突出ステータスが突出状態と判定される。
また、ステータス判定部51は、表示画面41に表示される画像が変更される場合には、突出部材20のそれぞれについて、切替前の画像に応じた突出ステータスと切替後の画像に応じた突出ステータスとの差分を判定する。ステータス判定部51は、突出部材20のそれぞれについて、「変化なし」、「突出状態へ移行」、及び「埋没状態へ移行」のいずれに該当するかを択一的に判定する。図6においてオーディオ設定機能に関連付けられた操作標章44が選択された場合には、図7に一例として示すように音量調整のための2つの操作標章44の画像を含む画面に切り替わる。この場合、5つ並んで表示されていた操作標章44のうち、両端の2つと中央の1つが消えると共に、残りの2つに関しては、画像は変更されるものの表示自体はそのまま維持される。そこで、一例としてそのような場合には、ステータス判定部51は、Y方向に配列された2つ一組の突出部材20のそれぞれについて、Y方向に沿って順に「埋没状態へ移行」、「変化なし」、「埋没状態へ移行」、「変化なし」、「埋没状態へ移行」のように判定する。
ステータス判定部51は、突出部材20のそれぞれについて判定した突出ステータス又はその差分の情報を、突出制御部52に出力する。
突出制御部52は、操作面11aに対する突出部材20の突出方向(進退動作方向Zに一致する)の位置を制御する。突出制御部52は、ステータス判定部51から受け取った情報に基づいて駆動機構30を制御する。本実施形態では、突出制御部52は、パルス状の電圧を印加して圧電素子31を振動させる。その際、突出制御部52は、進退動作方向Zに沿った一方側への振動速度と他方側への振動速度との大小関係を調整することができるように構成されている。このような構成は、圧電素子31の振動方向に応じてデューティ比を異ならせることによって実現できる。突出制御部52は、突出方向側への振動速度を埋没方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20を突出方向側へと移動させる。一方、突出制御部52は、埋没方向側への振動速度を突出方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20を埋没方向側へと移動させる。
ところで、上述したように、ステータス判定部51による判定結果は、本例では表示画面41の所定位置に操作標章44が表示されるか否かに基づいている。そのため、その判定結果に基づいて駆動機構30を制御することで、突出制御部52は、表示画面41に特定の操作標章44が表示されている場合に、当該操作標章44の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を突出状態とする(図6及び図7を参照)。本実施形態では、突出制御部52は、このような突出制御処理により、1つの操作標章44に対して2つ一組の突出部材20を突出状態とする。つまり、突出制御部52は、1つの操作標章44を、それぞれ、操作面11aのY方向に並んだ2つの突起部の形態に変形して表現する。
また、突出制御部52は、操作標章44が表示されていない領域の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を埋没状態とする(図7を参照)。このようにして、突出制御部52は、表示画面41に表示されている特定の操作標章44に対応する突出部材20のみを突出状態とする。このようにして、表示画面41における表示画像に応じた操作面11aの特定位置にある突出部材20の先端部が、操作面11aから突出する。そして、操作面11aから突出した個々の先端部が集合して、全体として操作面11a上に隆起形状(「起伏形状」又は「凹凸形状」と表現することも可能)が形成される。ステータス判定部51による判定結果が突出ステータスの差分として得られる場合には、突出制御部52は、その判定結果に基づいて、突出部材20のそれぞれを突出状態若しくは埋没状態に維持し、又は、突出状態と埋没状態との間で切り替える。
なお、突出制御部52は、突出部材20を突出状態と埋没状態との間で切り替えるために要する時間よりも長い所定時間だけ圧電素子31を振動させ、その後は振動を停止させる。すなわち、上記所定時間だけ圧電素子31に対して電圧を印加し、その後は電圧の印加を停止する。電圧印加の停止後であっても、突出部材20は、連結部材33と筒状部材22との間の静止摩擦により進退動作方向Zの位置を維持する。なお、突出状態とされた突出部材20は、電圧印加の停止後は、外部からの押込操作によって、埋没状態となる位置まで進退動作方向Zに沿って押し込まれ得る。
本実施形態では、突出状態とされる突出部材20の突出高さ(操作面11aを基準とする突出部材20の先端部の高さ)は比較的小さく設定されている。例えば図8に示すように、被検知物Dがユーザーの指先である場合には、操作面11aに沿って指先をスライドさせた際に、生体が元来有する指先腹部の柔軟性によって段差分を十分に吸収可能な程度の突出高さであって良い。例えば指先の厚みの20%以下等とすることができる。なお、それ以上の突出高さとすることも、当然可能である。
位置検知部53は、タッチパッド10の操作面11a上での被検知物Dの検知位置を取得する。位置検知部53は、被検知物Dとしての指先等が操作面11aに接触又は近接することによって生じる電極間の静電容量の変化に基づいて、被検知物Dが最も接近した電極の位置を特定する。そして、位置検知部53は、その特定された電極の位置を操作面11a上での検知位置として取得する。このような位置検知部53の機能により、タッチパッド10は、操作面11a上での検知位置に応じた入力を受け付けることができる。位置検知部53は、取得した検知位置の情報を、描画制御部54及び選択操作判定部55に出力する。
描画制御部54は、表示画面41への表示画像を描画制御する。描画制御部54は、自車位置周辺の背景、道路、及び名称等の画像イメージを含む複数のレイヤ(層)を生成する。また、描画制御部54は、自車位置を表す自車位置マークのイメージを含むレイヤや、目的地が設定されている場合には当該目的地までの案内経路の画像イメージを含むレイヤを生成する。更に描画制御部54は、所定の操作標章44の画像イメージを含むレイヤや、所定の操作カーソル45の画像イメージを含むレイヤを生成する。そして、描画制御部54は、これらの各レイヤを重ね合わせて1つの表示画像イメージを生成し、これを表示画面41に表示させる。
ここで、描画制御部54は、表示画面41に設定された操作標章表示領域Rに、主要な操作標章44を表示させる(図6を参照)。表示される操作標章44の種別は、ユーザーからの求めや車両の走行状態等に応じて異なり得る。描画制御部54は、状況に応じて各種の操作標章44の表示/非表示を適宜切り替える。
また、描画制御部54は、ユーザーからの求めに応じて操作カーソル45の表示/非表示を適宜切り替える。本実施形態では、描画制御部54は、位置検知部53により操作面11aへの被検知物Dの接触又は近接を検知していない場合には、操作カーソル45を非表示とする。一方、描画制御部54は、位置検知部53により操作面11aへの被検知物Dの接触又は近接が検知されている場合には、その操作面11a上での検知位置に対応する表示画面41上の位置に、本例において円形状の操作カーソル45を表示させる。本例では、上記検知位置と操作カーソル45の中心位置とが一致するように当該操作カーソル45が表示される。操作面11aに接触又は近接した状態で被検知物Dがスライドし、検知位置もスライドする場合には、表示される操作カーソル45もそれに同調して表示画面41上を移動する。
選択操作判定部55は、表示画面41に表示されている操作標章44に対する選択操作の有無を判定する。選択操作判定部55は、操作面11aに対する所定操作に基づいて、操作標章44に対する選択操作の有無を判定する。また、選択操作判定部55は、各突出部材20の位置にも基づいて、突出状態にある突出部材20の位置を含む所定領域内で上記所定操作を検知した場合に、当該突出部材20に対応する操作標章44の選択操作があったと判定する。
本実施形態では、1つの操作標章44に対して2つの突出部材20が割り当てられ、これら2つ一組の突出部材20の突出ステータスは常に同一である。そこで、2つ一組の突出部材20に対して、それぞれの位置を包含する1つの操作標章割当領域I(図4を参照)が上記「所定領域」として設定される。但し、X方向に互いに隣接する組どうしの間で、それぞれに対応する操作標章割当領域Iが重複することがないように設定される。また、判定対象となる「所定操作」には、例えば操作面11aに非接触となっている被検知物Dを操作面11aに接触させる操作(タッチ操作)、操作面11aに接触している被検知物Dを一旦操作面11aから浮かせた後で再度接触させる操作(タップ操作)、タップ操作を所定時間内に2度繰り返して行う操作(ダブルタップ操作)等が含まれる。
本実施形態では、上述したように表示画面41の座標と操作面11aの座標とが対応付けられ、表示画面41に表示されている特定の操作標章44に対応する突出部材20のみが突出状態とされる。突出部材20の埋没状態では、操作面11aにおけるその周辺部分は平坦であるのに対して、突出状態にある突出部材20の先端部は操作面11aから明確に突出し、ユーザーに対して触覚を利用した操作感を提供することができる。よって、ユーザーは指先等によって直接的にその段差部分を触覚認識することができる。また、ユーザーは、操作面11aにおいて触覚認識される突出部材20の位置と、表示画面41に表示される操作標章44の位置とを、意識の中で対比させて容易に関連付けることができる。更にユーザーは、操作面11aの望みの位置において触覚認識される突出部材20を頼りに、その位置において操作面11aへのタッチ操作等を行なうことができる。よって、ユーザーは、手元付近に設けられるタッチパッド10はもちろんのこと、運転時の視線方向に近い位置に設けられる表示入力装置40すらほとんど見ることなく、望みの操作標章44を容易に選択することができる。従って、本実施形態に係る操作入力装置4及び操作入力システム3によれば、表示画面41を注視することなく従来に比べてより確実な操作入力を行うことができる。
また、本実施形態では、突出部材20の埋没状態では、突出部材20の先端部はタッチパッド10の操作面11aに一致した状態となって操作面11aが平坦となるので、ユーザーによるタッチパッド10に対する操作を阻害することもない。よって、本実施形態のように表示画面41に操作標章44が表示されていない場合に突出部材20を埋没状態とすることで、ユーザーは突出部材20に妨げられることなく操作面11aへの操作入力を円滑に行うことができる。以上のように、突出部材20を突出状態と埋没状態との間で進退制御することで、タッチパッド10の操作感を損ねることなく触覚を利用した操作感を提供することが可能となっている。
また、本実施形態では、表示画面41に表示される操作標章44はそれぞれ、2つ一組の突出部材20により2つ並んだ突起部の形態に変形して表現される。そのため、ユーザーは、同一箇所における2点の触覚認識により、容易に操作面11a上の操作標章割当領域Iの位置を把握することができる。
選択操作判定部55は、操作標章44の選択操作があったと判定した場合には、そのことを表す情報をナビゲーション用演算部70等に出力して、当該選択された操作標章44に関連付けられた機能を実現させる。また選択操作判定部55は、その情報をステータス判定部51及び描画制御部54にも出力する。これにより、次に実現される機能に応じて表示画面41への表示画像が変更される場合には、表示画像イメージが更新されると共に、それに合わせて各突出部材20の突出ステータスの差分が判定されることになる。
状態検知部56は、突出部材20の突出状態と埋没状態とを識別可能に検知する。状態検知部56は、例えば位置センサ(図示せず)からの情報を取得可能に構成されている。状態検知部56は、取得される各突出部材20の進退動作方向Zにおける位置の情報に基づいて、各突出部材20の実際の突出ステータスが突出状態及び埋没状態のいずれであるかを検知する。状態検知部56は、その検知結果の情報を、選択操作判定部55の入力受付部57に出力する。
入力受付部57は、状態検知部56により突出部材20が突出状態から埋没状態に変化したことを検知した場合に、その突出部材20への入力を受け付ける。ここで、上記のとおり本実施形態では、表示画面41に表示されている特定の操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされている。そのため、突出部材20への入力を受け付けることは、その突出部材20に対応する操作標章44への入力を受け付けることと等価である。つまり、入力受付部57は、突出部材20が突出状態から埋没状態に変化したことを検知した場合に、その突出部材20に対応する操作標章44への入力を受け付ける。これに基づいて、選択操作判定部55は、当該突出部材20に対応する操作標章44の選択操作があったと判定する。
本実施形態では、このような入力受付部57を備えることで、タッチパッド10に対するタッチ操作等に基づく通常の選択操作とは別に、突出部材20を介した操作標章44の選択操作を受け付けることができる。このとき、ユーザーは、図8に示すように、被検知物Dとしての指先等の操作面11a上でのスライド操作により突出状態にある目的の突出部材20を触覚により認識した後、そのまま当該突出部材20を押し込んで埋没状態に変化させるだけで、望みの操作標章44を選択することができる。すなわち、ユーザーは、突出状態にある突出部材20をボタンに見立て、その模擬的なボタンを押し込むという直感的な操作によって操作標章44を選択することができる。従って、本実施形態に係る操作入力装置4及び操作入力システム3によれば、利便性に優れた操作入力を行うことができる。
なお、図6及び図7を参照して説明した表示画像の切替処理の一例において、オーディオ設定機能に関連付けられた操作標章44がタッチパッド10の操作面11aでの所定操作(例えば、ダブルタップ操作)で選択された場合には、音量調整のための2つの操作標章44の画像を含む画面に切り替わるだけである(図7を参照)。一方、オーディオ設定機能に関連付けられた操作標章44が突出部材20に対する押込操作で選択された場合には、上記と同様の画面切替が行われると共に、当該押込操作により埋没状態となった突出部材20は、再度、突出状態へと移行する。
1−4.操作入力受付処理の処理手順
本実施形態に係る操作入力システム3による操作入力受付処理の処理手順について、図9及び図10を参照して説明する。以下に説明する操作入力受付処理の手順は、操作入力演算部50の各機能部を構成するハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実行される。上記の各機能部がプログラムにより構成される場合には、操作入力演算部50を含む制御演算部6が有する演算処理装置が、各機能部を構成するプログラムを実行するコンピュータとして動作する。
図9に示すように、操作入力受付処理では、まず各種の準備処理が実行される(ステップ#01)。この準備処理には、例えば表示画像イメージを作成するためのワークエリアの準備等が含まれる。次に、実際に表示画像イメージが作成される(ステップ#02)。また、各突出部材20の突出ステータスが判定される(ステップ#03)。その判定結果は、例えばON/OFF等の形態で設定される。次に、ステップ#02で作成された表示画像イメージとステップ#03で判定された突出ステータスに基づいて、表示画面41に画像が表示され、また駆動機構30により突出部材20が進退駆動される(ステップ#04)。これにより、表示画面41に表示されている特定の操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされる。なお、表示されていない操作標章44に対応する突出部材20は埋没状態とされる。この状態で、入力判定処理が実行される(ステップ#05)。
図10に示すように、入力判定処理では、操作面11a上での被検知物Dの検知位置が取得される(ステップ#11)。取得された検知位置に対応する表示画面41上の位置に操作カーソル45が表示される(ステップ#12)。なお、操作面11a上での被検知物Dの検知位置が移動する場合には、表示される操作カーソル45もそれに合わせて表示画面41上を移動する。その後、突出状態にある突出部材20を強制的に埋没状態へと移行させる操作(押込操作)の有無が判定される(ステップ#13)。そのような押込操作がないと判定された場合には(ステップ#13:No)、操作面11a上でのタッチ操作(タップ操作やダブルタップ操作を含む)の有無が判定される(ステップ#14)。そのようなタッチ操作がないと判定された場合には(ステップ#14:No)、そのまま入力判定処理を終了する。
ステップ#14においてタッチ操作が検知された場合には(ステップ#14:Yes)、そのタッチ操作の検知位置が操作標章割当領域I内であるか否かが判定される(ステップ#15)。検知位置が操作標章割当領域I内であると判定された場合や(ステップ#15:Yes)、ステップ#13において突出部材20の押込操作が検知された場合には(ステップ#13:Yes)、操作標章割当領域I又は押込操作された突出部材20に対応する操作標章44の種別が判定される(ステップ#16)。そして、その操作標章44が選択され、それに関連付けられた各種機能(例えば、目的地検索機能やオーディオ設定機能等)が実現される(ステップ#17)。この場合において、例えば複数の操作標章44が選択された場合であって、どの操作標章44が選択されたかが判定しにくい場合があり得る。このような場合には、押込操作がなされた突出部材20の数及び被検知物Dの検知位置の少なくとも一方に基づいて選択の確からしさ(ユーザーの意思に対する推定合致度)を判定し、選択された操作標章44を決定する構成とすると良い。その後、入力判定処理を終了する。ステップ#15において検知位置が操作標章割当領域I外であると判定された場合には(ステップ#15:No)、操作標章割当領域I以外の領域(非標章領域)での選択処理が実行される(ステップ#18)。例えば、タッチ操作の検知位置を表示画面41の中心として地図画像をスクロールさせる処理等が実行される。以上で、入力判定処理を終了する。
入力判定処理が終了すると、図9に戻り、表示画面41における表示画像の変更の有無が判定される(ステップ#06)。入力判定処理において押込操作もタッチ操作も検知されなかった場合には、画面遷移はない可能性が高い。そのような場合には(ステップ#06:No)、再度入力判定処理を実行する。一方、入力判定処理の結果として操作標章44が選択された場合や、地図画像のスクロール処理が実行される場合等には、画面遷移が伴い得る。そのような場合には(ステップ#06:Yes)、操作入力受付処理を終了する。なお、変更後の表示画像に対して再度ステップ#01以降の処理が実行される。以上の処理が逐次繰り返して実行される。
2.第二の実施形態
本発明に係る操作入力システムの第二の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、操作標章44に加えて表示画面41を区画する区画線47が表示画面41に表示されている場合に、操作標章44及び区画線47の双方が突出制御処理の対象とされる場合への適用について説明する。以下では、その場合における上記第一の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に明記しない点に関しては、上記第一の実施形態と同様である。
2−1.操作入力システムの構成
本例では、表示画面41は、それぞれ独立した画像を表示する複数の画面領域48に分割されている。一例として示す図11の例において、表示画面41は、左右に隣り合う等面積の2つの画面領域48(第一画面領域48aと第二画面領域48b)に分割されている。これらの第一画面領域48aと第二画面領域48bとの間である表示画面41の左右方向の中央に、1つの直線状の区画線47が画定されている。表示画面41における左側の第一画面領域48aには、自車位置マークを含む地図画像が表示されていると共に、図6と同様の5つの操作標章44が表示されている。一方、右側の第二画面領域48bには、自車位置周辺の拡大地図画像が表示されていると共に、1つの操作標章44が表示されている。なお、この第二画面領域48b側の操作標章44は、表示された拡大地図を消す機能(拡大地図消去機能)に関連付けられている。
ステータス判定部51は、表示画面41に表示される画像に基づいて、その表示画像を構成する各要素の表示画面41内における位置を取得する。ステータス判定部51は、表示画面41に区画線47の画像が表示されている場合に、当該区画線47を構成する各点の表示画面41内における座標を取得する。また、ステータス判定部51は、表示画面41に操作標章44の画像が表示されている場合に、各操作標章44の表示画面41内における座標を取得する。ステータス判定部51は、表示画面41の座標と操作面11aの座標とを対応付け、表示された区画線47及び操作標章44の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する1つ以上の突出部材20について、その突出ステータスを突出状態と判定する。
図11の例では、表示画面41の左右方向の中央に区画線47が表示されているので、操作面11aの左右方向の中央の位置において一列に並んだ複数の突出部材20の突出ステータスが突出状態と判定される。また、第一画面領域48aには5つの操作標章44の画像が表示されると共に第二画面領域48bには1つの操作標章44の画像が表示されているので、これらに対応する計6組12個の突出部材20の突出ステータスが突出状態と判定される。
突出制御部52は、ステータス判定部51から受け取った情報に基づいて駆動機構30を制御する。これにより、突出制御部52は、表示画面41に表示される画像を構成する各要素(本例では区画線47及び各操作標章44)の表示画面41内における位置に応じた操作面11aの位置にある突出部材20を突出状態とする。すなわち、突出制御部52は、区画線47の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を突出状態とする。突出制御部52は、本例では直線として表される1本の区画線47を、操作面11aのY方向に直線状に一列に並んだ突起部の形態に変形して表現する。これら一群の突起部(突出部材20の先端部)により、操作面11a上に、表示画面41上の区画線47に対応する境界17が形成される。この境界17により、操作面11aは、左右に隣り合う等面積の2つの操作面領域16(第一操作面領域16aと第二操作面領域16b)に分割される。境界17は、操作面11aの左右方向の中央に形成される。なお、表示画面41における区画線47の位置が変更されれば、それに応じて操作面11aにおいて突出部材20の先端部で形成される境界17の位置も変更される。
また、突出制御部52は、表示画面41に表示されている操作標章44の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を突出状態とする。突出制御部52は、1つの操作標章44を、それぞれ、操作面11aのY方向に並んだ2つの突起部の形態に変形して表現する。本実施形態では、それぞれの位置に突起部が形成された状態では、各画面領域48における各操作標章44の相対位置と、対応する突出部材20の操作面領域16における相対位置とが合致する。なお、各画面領域48における各操作標章44や区画線47等の相対位置は、例えば、表示画面41における左上頂点を基準点として当該基準点から上辺に沿って右に向かう方向にX軸、上記基準点から左辺に沿って下に向かう方向にY軸をそれぞれ仮想的に設定し、各画面領域48における各操作標章44の位置をX−Y平面での座標として求めて取得することができる。
図11に示すように、操作標章44に対応させて突出状態とされる突出部材20の周囲には、操作標章割当領域Iが設定される。この操作標章割当領域Iは、上記第一の実施形態で説明したものと同様とすることができる。つまり、2つ一組の突出部材20に対してそれぞれの位置を包含し、かつ、X方向に互いに隣接する組どうしの間で互いに重複しない操作標章割当領域Iが設定される。また、本実施形態では、境界17に対応させて突出状態とされる複数の突出部材20の周囲には、それらの全体をまとめて包含する1つの区画線割当領域Jが設定される。このようにして、操作面11a上には、操作標章44に対応する操作標章割当領域Iと区画線47に対応する区画線割当領域Jとが設定される。
本実施形態では、選択操作判定部55は、被検知物Dの操作標章割当領域I又は区画線割当領域Jへの接触を検出した場合に、それらの各領域I,Jに設けられた突出部材20の押込操作を検出する。選択操作判定部55は、突出部材20の押込操作が検出されると、その押込操作がなされた突出部材20の操作面11a内での位置(座標)に基づいて、その突出部材20に対応する要素が操作標章44及び区画線47のうちのいずれであるかを判定する。そして、押込操作がなされた突出部材20に対応する要素が操作標章44であると判定された場合に、当該操作標章44に対する操作入力が受け付けられる。すなわち、選択操作判定部55は、特定の操作標章割当領域I内でのタッチパッド10での入力受付によって特定の操作標章44に対応する突出部材20に対する押込操作が検出された場合には、当該突出部材20に対応する操作標章44の選択操作があったと判定する。
一方、押込操作がなされた突出部材20に対応する要素が区画線47であると判定された場合には、選択操作判定部55は、操作標章44の選択操作判定を行わない。区画線47は、表示画面41を複数の画面領域48に分割する際の境界を表し、主に複数の画面領域48の整理のために設けられたものである。そのため、各種の処理の実行機能が設定された操作標章44とは異なり、対応する突出部材20が押込操作されても何らかの処理が実行される訳ではない。しかしながら、このような区画線47に対応する突出部材20の先端部からなる境界17も、各画面領域48と各操作面領域16との対応関係の明確化のためには適正に形成されていることが好ましい。そこで、突出制御部52は、区画線割当領域J内でタッチパッド10での入力受付によって区画線47に対応する突出部材20に対する押込操作が検出された場合には、当該区画線47に対応する全ての突出部材20を、再度、突出状態とする。具体的には、突出制御部52は、駆動機構30を制御することにより、押込操作によって埋没状態とされた突出部材20を突出状態に戻すと共に、区画線割当領域J内のそれ以外の突出部材20を突出状態に維持させる。
2−2.操作入力受付処理の処理手順
本実施形態に係る操作入力システム3による操作入力受付処理の処理手順について、図12及び図13を参照して説明する。本実施形態では、操作標章44及び区画線47の双方が突出制御処理の対象とされることを考慮して、上記第一の実施形態の操作入力受付処理(図9を参照)におけるステップ#03の処理が詳細に設計されている。また、それに応じて、入力判定処理の内容も上記第一の実施形態のものとは一部異なっている。以下、順に説明する。
図12に示すように、突出ステータス判定処理では、表示画面41内の操作標章44及び区画線47が判定され(ステップ#21)、これらうちの少なくとも一方が表示画面41に含まれるか否かが判定される(ステップ#22)。いずれかが含まれる場合には(ステップ#22:Yes)、区画線47及び操作標章44のそれぞれが表示画面41に含まれるか否かが順次判定される(ステップ#23,#24)。両方が含まれる場合には(ステップ#23:Yes,ステップ#24:Yes)、表示画面41内での区画線47の位置(座標)が取得され(ステップ#25)、表示画面41内での操作標章44の位置が取得される(ステップ#26)。そして、表示画面41内での区画線47の位置に対応する操作面11aの位置にある突出部材20の突出ステータスが突出状態とされる(ステップ#27)。また、表示画面41内での操作標章44の位置に対応する操作面11aの位置にある突出部材20の突出ステータスが突出状態とされる(ステップ#28)。
ステップ#23の判定において区画線47が含まれず、操作標章44のみが含まれる場合には(ステップ#23:No)、表示画面41内での操作標章44の位置(座標)が取得される(ステップ#29)。そして、表示画面41内での操作標章44の位置に対応する操作面11aの位置にある突出部材20の突出ステータスが突出状態とされる(ステップ#30)。ステップ#24の判定において操作標章44が含まれず、区画線47のみが含まれる場合には(ステップ#24:No)、表示画面41内での区画線47の位置(座標)が取得される(ステップ#31)。そして、表示画面41内での区画線47の位置に対応する操作面11aの位置にある突出部材20の突出ステータスが突出状態とされる(ステップ#32)。最後に、それ以外の突出部材20の突出ステータスが埋没状態とされる(ステップ#33)。ここで、ステップ#22の判定において操作標章44及び区画線47の双方が含まれない場合には(ステップ#22:No)、ステップ#33では全ての突出部材20の突出ステータスが埋没状態とされる。
本実施形態では、入力判定処理が、操作面11aに対するタッチ操作にのみ基づいて行われる場合の例について説明する。なお、そのようなタッチ操作に基づいて、突出部材20の押込操作が判定される。図13に示すように、入力判定処理では、操作面11a上での被検知物Dの検知位置が取得される(ステップ#41)。取得された検知位置に対応する表示画面41上の位置に操作カーソル45が表示される(ステップ#42)。なお、操作面11a上での被検知物Dの検知位置が移動する場合には、表示される操作カーソル45もそれに合わせて表示画面41上を移動する。その後、操作面11a上でのタッチ操作(タップ操作やダブルタップ操作を含む)の有無が判定される(ステップ#43)。そのようなタッチ操作がないと判定された場合には(ステップ#43:No)、そのまま入力判定処理を終了する。
ステップ#43においてタッチ操作が検知された場合には(ステップ#43:Yes)、そのタッチ操作の検知位置が割当領域(操作標章割当領域I及び区画線割当領域Jの双方を含む概念)内であるか否かが判定される(ステップ#44)。検知位置が操作標章割当領域I内又は区画線割当領域J内であると判定された場合には(ステップ#44:Yes)、その中でも特に操作標章割当領域I内であるか否かが判定される(ステップ#45)。検知位置が操作標章割当領域I内であると判定された場合には(ステップ#45:Yes)、その操作標章割当領域Iに設けられた突出部材20に対応する操作標章44の種別が判定される(ステップ#46)。そして、その操作標章44が選択され、それに関連付けられた各種機能が実現される(ステップ#47)。その後、入力判定処理を終了する。ステップ#45において検知位置が区画線割当領域J内であると判定された場合には(ステップ#45:No)、復帰処理が実行される(ステップ#48)。この復帰処理では、ユーザーにより押し込まれたものを再度突出状態とすることで、区画線47に対応する全ての突出部材20を再度突出状態とする。その後、入力判定処理を終了する。
ステップ#44において、検知位置が操作標章割当領域I及び区画線割当領域Jのいずれでもないと判定された場合には(ステップ#44:No)、それら以外の領域(非割当領域)での選択処理が実行される(ステップ#49)。例えば、タッチ操作の検知位置を表示画面41の中心として地図画像をスクロールさせる処理等が実行される。以上で、入力判定処理を終了する。
3.その他の実施形態
最後に、本発明に係る操作入力システムの、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の各実施形態では、表示される操作標章44に対応する2つ一組の突出部材20が、全て同一の配置形状とされる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば図14に示すように、突出状態とされる複数の突出部材20の配置形状を、表示画面41に表示される操作標章44の内容(種別)に応じて異ならせる構成としても良い。なお、図14においては、埋没状態にある突出部材20を破線で示し、突出状態にある突出部材20を黒塗りで示している。このようにすれば、突出状態にある複数の突出部材20全体での触覚パターンを異ならせることができ、各操作標章44を触覚により明確に識別可能とすることができる。この場合、例えば突出状態とされる複数の突出部材20の配置形状を、表示画面41に表示された操作標章44の内容に応じた形状となるようにすると、望みの操作標章44に対応する突出部材20を直感的に識別しやすくなるので、より好ましい。
(2)上記の各実施形態では、表示される操作標章44が、2つ一組の突出部材20により2つ並んだ突起部の形態に変形して表現される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、操作標章44が1つの突出部材20により単一の突起部の形態に簡素化して表現される構成としても良い。
また、3つ以上の突出部材20により全体として所定形状を呈する突起部群の形態に変形して表現される構成としても良い。この場合において、突出制御部52が、1つの操作標章44に対して複数の突出部材20を枠状に突出した状態とする構成としても良い。すなわち、表示される操作標章44が、図15に示すように枠状に配列された突起部群の形態として表現されても良い。或いは、突出制御部52が、1つの操作標章44に対して複数の突出部材20を枠状に突出した状態とすると共に、枠状に突出された複数の突出部材20によって囲まれた領域内にある全ての突出部材20をも突出状態とする構成としても良い。すなわち、表示される操作標章44が、図16に示すように塊状に配列された突起部群の形態として表現されても良い。これらの場合、枠状に配列された突出状態にある突出部材20によって囲まれた領域が操作標章割当領域Iに設定され、選択操作判定部55は、当該操作標章割当領域I内でタップ操作等の所定操作を検知した場合に、それらの突出部材20に対応する操作標章44の選択操作があったと判定する構成としても良い。
(3)上記第一の実施形態では、突出制御部52が、表示画面41に特定の操作標章44が表示されている場合に、当該操作標章44の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を突出状態とする構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、突出制御部52が、表示画面41に特定の操作標章44が複数表示されている場合に、表示画面41における各操作標章44の位置関係に対応させて、各突出部材20を突出状態とする構成としても良い。つまり、突出制御部52が、表示画面41に表示された複数の操作標章44の座標の相互の位置関係に対応する位置関係となるように、複数の突出部材20を突出状態とする構成としても良い。この場合、例えば複数の突出部材20を、操作面11aのX方向の配列をそのまま維持しつつ上記の実施形態とは異なるY方向位置に出没自在に設ける。このような構成でも、ユーザーは、操作面11aにおいて触覚認識される複数の突出部材20の相互の位置関係と、表示画面41に表示される複数の操作標章44の相互の位置関係とを容易に関連付けることができ、望みの操作標章44を容易に選択することができる。
この場合において、上記第二の実施形態のように操作標章44及び区画線47の双方が突出制御処理の対象とされる場合には、突出制御部52が、表示画面41における各操作標章44及び区画線47の位置関係に対応させて突出部材20を突出状態とする構成としても好適である。すなわち、表示画面41に表示された複数の操作標章44だけでなく区画線47も含めて、それらの位置関係に対応させて各突出部材20を突出状態としても良い。このような構成としても、ユーザーは、表示画面41における区画線47の位置と操作面11aにおいて触覚により認識される突出部材20の位置とを容易に関連付けることができる。よって、表示画面41の各画面領域48と操作面11aの各操作面領域16との対応関係を明確に感知することができる。これにより、ユーザーは、望みの操作標章44を容易に選択することができ、より確実な操作入力を行うことが可能となる。
なお、操作標章44及び区画線47の双方が突出制御処理の対象とされる場合において、突出制御部52が、操作標章44に対応する突出部材20と区画線47に対応する突出部材20とを異なる基準に基づいて制御しても良い。例えば、突出制御部52が、区画線47の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を突出状態とすると共に、表示画面41における各操作標章44の位置関係に対応させて、各突出部材20を突出状態とする構成としても良い。また、突出制御部52が、表示画面41の画面領域48毎に、操作標章44に対応する突出部材20を異なる基準に基づいて制御しても良い。例えば、突出制御部52が、1つの画面領域48に表示された各操作標章44の位置関係に対応させて各突出部材20を突出状態とすると共に、それとは別の画面領域48に表示された操作標章44に対応する突出部材20の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を突出状態とする構成としても良い。
(4)上記の各実施形態では、駆動機構30が、突出部材20を突出状態(ここでは、突出部材20が可動範囲内で最大変位位置にある状態)及び埋没状態(ここでは、突出部材20が可動範囲内で最小変位位置にある状態)のうちのいずれかの状態とする構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、突出部材20を突出状態と埋没状態との間の中間状態とすることができるように駆動機構30を構成しても良い。この場合、突出制御部52が、操作面11aに対する突出部材20の突出方向(進退動作方向Z)の位置を段階的に制御するように構成し、突出部材20を段階的に突出可能としても良い。このような構成を採用する場合において、上記第二の実施形態のように操作標章44及び区画線47の双方が突出制御処理の対象とされる場合には、操作標章44に対応する突出部材20の突出量と区画線47に対応する突出部材20の突出量とを異ならせても好適である。
(5)上記第二の実施形態では、表示画面41を左右に分割する1つの直線状の区画線47が表示された場合の例について説明した。しかし、本発明の適用対象はこれに限定されない。例えば、表示画面41を上下に分割する直線状の区画線47が表示された場合や、表示画面41を枠状(表示画面41の縁部を利用した部分的な枠状のものも含む)に区画する区画線47が表示された場合にも、当然ながら本発明を適用することができる。また、複数の区画線47が同時に表示される場合にも、当然ながら本発明を適用することができる。この場合において、各区画線47どうしが重なるような場合には、その重なりの状態を考慮して、突出状態とされる突出部材20を決定する構成としても好適である。
(6)上記第二の実施形態では、操作面11aにおける境界17が適正に形成された状態を常時維持させるべく、区画線47に対応する突出部材20に対する押込操作が検出された場合には直ちに復帰処理が実行される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。そのような復帰処理が、予め定められた開始条件を満足して初めて実行される構成としても良い。また、そのような復帰処理が一切実行されない構成としても良い。この場合、区画線47に対応する突出部材20に対する押込操作を不可能又は困難とする構成としても好適である。例えば、突出状態とされる突出部材20の進退動作方向Zの位置を必要に応じて固定可能なロック機構を設けたり、突出制御部52が区画線47に対応する突出部材20を突出方向側へと移動させるような電気信号を出力し続ける構成としたりしても良い。
(7)上記の各実施形態では、駆動機構30が圧電素子31と摺動機構32と突出制御部52とを備える構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、進退動作方向Zに沿って突出部材20を進退動作させて、突出部材20を突出状態と埋没状態との間で移動させることが可能な機構であれば、駆動機構30の具体的構成は任意である。例えば液圧や気圧等の流体圧を利用する駆動機構30や、電磁石又はソレノイド等の電磁力を利用する駆動機構30を用いても良い。静電容量式のタッチパッド10を備える場合において、例えばモータやソレノイド等を駆動機構30のアクチュエータとして用いる場合には、その駆動に伴ってノイズが生じて静電容量が変化する可能性がある。そこで、そのような場合には、そのアクチュエータの駆動に伴って生じるノイズを遮蔽する遮蔽部(例えば、電磁シールド等)を備える構成とすることが好ましい。
(8)上記の各実施形態では、タッチパッド10の操作板11に複数(多数)の孔部12が設けられると共に、これと同数の突出部材20が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、そのような孔部12及び突出部材20が、表示画面41に同時に表示可能な数として予め定められた設定数(「1」を含む)ずつ設けられた構成としても良い。この場合、例えば選択頻度の高い操作標章44の表示画面41上での表示位置を定位置に設定しておき、その操作標章44に対応する操作面11aの位置に孔部12及び突出部材20を設けると良い。具体的には、例えば操作標章44の画像が、上記第一の実施形態で説明した操作標章表示領域Rに設定数(例えば5つ)だけ表示される仕様とし、それに対応する操作面11aの位置にのみ孔部12及び突出部材20が設けられる構成としても良い。このような構成では、必要以上に突出部材20の数を増加させることなく、駆動機構30の構成を比較的簡素化できるという利点がある。
(9)上記の各実施形態では、操作面11aに対して直交する方向に設定された進退動作方向Zに沿って突出部材20が進退駆動される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、進退動作方向Zが操作面11aに対して直交せずに傾斜した方向に設定された構成としても良い。この場合において、例えば上記の実施形態のようにセンターコンソール部にタッチパッド10が略水平に配置されている場合には、進退動作方向Zを運転席側に傾斜させて設定しても好適である。
(10)上記の各実施形態では、操作面11aに接触又は近接する被検知物Dを検知可能な静電容量式のタッチパッド10を用いた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、静電容量式のタッチパッド10に代えて抵抗膜式のタッチパッド10を利用しても良い。また、操作面11aに接触する被検知物Dを検知可能な感圧式のタッチパッド10を利用しても良い。
(11)上記の各実施形態では、操作入力装置4が、表示装置とタッチパネル等の入力装置とが一体となった表示入力装置40に情報伝達可能に接続された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、タッチパネル(上記の実施形態における第一の操作入力手段)を備えていることは必須ではなく、少なくとも表示画面を有する表示装置(ディスプレイ装置)に操作入力装置4が接続されれば良い。
(12)上記の実施形態では、状態検知部56が、位置センサから取得される情報に基づいて各突出部材20の実際の突出ステータスを検知する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば状態検知部56を、駆動機構30に備えられる圧電素子31の特性を利用し、圧電素子31をセンサ素子として用いて構成することも可能である。上述したように、突出制御部52が突出部材20を進退駆動する際、所定時間経過後に電圧印加が停止される。そのため、その後、突出部材20及び連結部材33を介して圧電素子31に加えられる外力(ユーザーによる押込力)を電気信号として検知可能に構成することで、ユーザーによる突出部材に対する操作(押込操作)を検知可能な構成を実現し得る。そして、その検知された押込操作と、ステータス判定部51により判定される各突出部材20の突出ステータスとに基づいて、状態検知部56が各突出部材20の実際の突出ステータスを検知する構成を実現し得る。すなわち、突出状態にある突出部材20に対応する圧電素子31からの電気信号が検知された場合に、状態検知部56はその突出部材20が埋没状態となったと判定する。また、埋没状態にある突出部材20に対応する圧電素子31を振動させ、タイマー等で所定時間の経過が判定された場合に、状態検知部56はその突出部材20が突出状態となったと判定する。
(13)上記の実施形態では、操作入力演算部50が状態検知部56及び入力受付部57を備えている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、状態検知部56及び入力受付部57は、位置検知部53と選択操作判定部55との協働による選択操作の有無判定を代替的に補助する(図10を参照)ための機能部であって、これらが操作入力演算部50に備えられていることは必須ではない。例えば上記第二の実施形態のように、入力判定処理が操作面11aに対するタッチ操作にのみ基づいて行われる場合には、状態検知部56や入力受付部57を省略することができる。この場合、突出状態とされる突出部材20の突出高さ(突出量)は、被検知物Dの検知限界距離以上の所定値に設定されていると好適である。このようにすれば、ユーザーは、操作面11a上でのなぞり操作から目的の突出部材20に対する押込操作までの一連の操作の中で自動的にタップ操作を行うことができ、目的の操作標章44を容易に選択することができる。
(14)上記の各実施形態では、操作入力演算部50が各機能部51〜57を備えている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、上記の実施形態で説明した機能部の割り当ては単なる一例であり、複数の機能部を組み合わせたり、1つの機能部を更に区分けしたりすることも可能である。
(15)上記の各実施形態では、車載用のナビゲーション装置1に対する操作入力を行うための操作入力システム3を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば上記の実施形態において説明したナビゲーション装置1の各構成がサーバ装置と車載端末装置とに分かれて備えられたナビゲーションシステムや、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機、各種機械の制御装置等の他のシステム又は機器も、本発明に係る操作入力システムによる操作入力の対象となり得る。
(16)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。