本発明に係る操作入力システムの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、車両に搭載された処理装置である車載処理装置(本例では、ナビゲーションシステムにおける車載端末装置であり、以下、「ナビゲーション装置1」と称する)に対する予め規定された(所定の)操作入力を行うための操作入力システム3を例として説明する。この操作入力システム3は、ナビゲーション装置1と情報伝達可能に接続された表示入力装置40と操作入力装置4とを備えている。以下では、ナビゲーション装置1の概略構成、操作入力装置4の概略構成、操作入力システム3の構成、及び操作入力受付処理の手順の順に説明する。
1.ナビゲーション装置の概略構成
ナビゲーション装置1の概略構成について、図1及び図2を参照して説明する。ナビゲーション装置1は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、経路案内、及び目的地検索等の基本機能を実現可能に構成されている。そのためナビゲーション装置1は、図2に示すように制御演算部6を備えている。制御演算部6は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備え、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部として、ハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。制御演算部6は、ナビゲーション用演算部70を備えている。また、制御演算部6は、GPS受信機81、方位センサ82、距離センサ83、地図データベース85、表示入力装置40、タッチパッド10、音声入力装置87、及び音声出力装置88と情報伝達可能に接続されている。
GPS受信機81は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する。方位センサ82は、自車両の進行方位又はその変化を検出する。距離センサ83は、自車両の車速や移動距離を検出する。良く知られているように、ナビゲーション用演算部70は、GPS受信機81、方位センサ82、及び距離センサ83から得られる情報に基づき、更には公知のマップマッチングにも基づいて、推定自車位置を導出可能である。
地図データベース85は、所定の区画毎に分けられた地図データを記憶している。地図データは、交差点に対応する複数のノードと各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとの接続関係により構成される道路ネットワークデータを含んでいる。各ノードは、緯度及び経度で表現された地図上の位置の情報を有している。各リンクは、その属性情報として、道路種別、リンク長、道路幅等の情報を有している。地図データベース85は、地図表示、目的地検索、経路探索、及びマップマッチング等の処理の実行時にナビゲーション用演算部70により参照される。地図データベース85は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROM等の記憶媒体に格納して備えられている。
表示入力装置40は、液晶表示装置等の表示装置とタッチパネル等の入力装置とが一体となったものである。表示入力装置40は、表示画面41を有すると共に当該表示画面41に例えば自車位置周辺の地図や所定機能に関連付けられた操作標章44(図6を参照)等の画像を表示する。本実施形態では、表示入力装置40が本発明における「表示装置」に相当する。ここで、操作標章44は、タッチパネルやタッチパッド10が操作され、その操作入力がナビゲーション装置1に伝達されて特定の機能が実現されるに際して、その機能をユーザー(ここでは車両の乗員)が容易に知覚できるように表示画面41に表示される標章である。このような操作標章44には、例えばイラスト等によって描画された操作アイコンやボタンイメージ、文字キーイメージ等が含まれる。表示入力装置40は、タッチパネルに接触又は近接する被検知物を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。例えばユーザーは、表示画面41に表示された操作標章44に、被検知物としての指先やスタイラスペンのペン先等を接触又は近接させることで、その操作標章44を選択してそれに関連付けられた機能を実現することができる。また、ユーザーは、表示画面41に表示された操作標章44以外の位置に被検知物を接触又は近接させることで、例えば地図上の地点選択等を行うことができる。
図1に示すように、タッチパッド10は表示入力装置40とは別体として設けられている。タッチパッド10は、操作面11aを有し、操作面11aに接触又は近接する被検知物D(図6を参照)を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。ポインティングデバイスとしてのタッチパッド10が検知した検知位置に対応させて、表示画面41に操作カーソル45(図6を参照)が表示される。ユーザーは、操作面11aに被検知物Dとしての指先等を接触又は近接させながらスライドさせることによって、表示画面41上で操作カーソル45を移動させる。そして、その操作カーソル45が操作標章44上に一致している状態で操作面11aを所定操作することで、当該操作標章44を選択してそれに関連付けられた機能を実現することができる。また、ユーザーは、操作カーソル45が表示画面41に表示された操作標章44以外の位置にある状態で操作面11aを所定操作することで、例えば地図上の地点選択等を行うことができる。
音声入力装置87はマイクロフォン等を有して構成され、ユーザーからの音声による入力を受け付ける。ナビゲーション用演算部70は、音声入力装置87で受け付けた音声に基づき、音声認識による目的地検索やハンズフリー通話等の機能を実現することができる。また、ナビゲーション用演算部70は、スピーカ等を有して構成される音声出力装置88を介して、音声案内等の機能を実現することができる。
2.操作入力装置の構成
図3〜図5に示すように、操作入力装置4は、タッチパッド10と、突出部材20と、駆動機構30とを備えている。操作入力装置4は、概略的には、駆動機構30によって駆動される突出部材20が、タッチパッド10の表面から突出可能(出没可能)に構成されている。
図4及び図5に示すように、タッチパッド10は操作板11を有し、操作板11の正面には操作面11aが形成されている。このようなタッチパッド10としては、抵抗膜式や静電容量式等、種々の方式のものを利用することができ、本例では静電容量式を採用している。操作面11aの背面側には基板や電極層が設けられている。タッチパッド10は、操作面11aに接触又は近接する被検知物Dとしての指先等を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。
操作板11には、当該操作板11を貫通する孔部12が設けられている。図4に示すように、本実施形態では、このような孔部12が複数(多数)設けられている。それぞれの孔部12は、操作板11の正面から見て円形状に形成されている。また、それぞれの孔部12には、突出部材20が挿入されている。従って本例では、突出部材20も複数(多数)設けられ、具体的には孔部12と同数の突出部材20が設けられている。これら複数の孔部12及び突出部材20は、操作面11aに沿って所定の規則で配列されている。本例では、操作面11aの全体に亘って縦横にそれぞれ一定間隔で規則的に配列され、全体としてマトリクス状(直交格子状)に配列されている。なお、孔部12及び突出部材20は、ハニカム状(六角格子状)に配列されていても良い。
本実施形態では、操作面11aの背面側に設けられた電極層に接続される導電性の配線部材13が、操作面11aに沿って格子状に配設されているが、それぞれの孔部12は配線部材13を避けて設けられている。すなわち、それぞれの孔部12は、本例では複数の配線部材13によって囲まれた矩形状の領域内に、全ての配線部材13と干渉することなく設けられている。ハニカム構造の場合には、それぞれの孔部12は、複数の配線部材13によって囲まれた六角形状の領域内に、全ての配線部材13と干渉することなく設けられる。これにより、複数の孔部12を操作板11に設けることによってタッチパッド10の機能が損なわれることが防止されている。
図5に示すように、突出部材20は、細長い円柱状(ピン状)のピン部材21と、全体として円筒状の筒状部材22とからなる。ピン部材21の外径は、孔部12の内径よりも僅かに小さい。ピン部材21は、その下端部において筒状部材22に係止されている。本例では、それぞれの孔部12に、ピン部材21の先端部(上端部)が挿入されている。駆動機構30によって突出部材20が駆動されていない基準状態(図5の左側の状態)では、平坦に形成されたピン部材21の先端部(先端面)は、操作面11aのレベルに一致している。
図5に示すように、操作板11に対して背面側に駆動機構30が設けられている。この駆動機構30は、操作面11aに対して交差(本例では直交)する方向(これを「突出方向Z」と称する)に沿って突出部材20を進退動作させるための機構である。駆動機構30は、圧電素子31を備えている。
圧電素子31は圧電効果を利用した受動素子であり、圧電体に印加された電圧を力に変換し、或いは圧電体に加えられた外力を電圧に変換する。圧電素子31は、突出方向Zに振動するように設けられている。圧電素子31には連結部材33が連結されており、この連結部材33は圧電素子31と一体的に振動する。連結部材33は、細長い円柱状(ピン状)に形成されている。圧電素子31に連結された側とは反対側の連結部材33の先端部は、筒状部材22の内側の空間に挿入されている。連結部材33の外径は筒状部材22の内径にほぼ等しく、連結部材33の外周面と筒状部材22の内周面とが接している。
連結部材33と筒状部材22とが接触する接触位置において、筒状部材22を外周側から包囲するようにバネ部材34が設けられている。バネ部材34は、内周側に向かう所定の大きさの予圧を提供し、連結部材33と突出部材20を構成する筒状部材22との間に所定の摩擦力を生じさせる。バネ部材34が付与する予圧は、連結部材33と筒状部材22との間の静止摩擦力が突出部材20に作用する重力の突出方向Zの分力よりも少なくとも大きくなるように設定される。また、上記予圧は、圧電素子31の振動に伴い連結部材33と筒状部材22との間に動摩擦力が生じる状態でこれらが摺動可能となるように設定される。
また本実施形態では、圧電素子31の突出方向Zに沿った一方側への振動速度と他方側への振動速度との大小関係が、後述する操作入力演算部50に含まれる突出制御部52(図3を参照)によって調整可能とされている。突出方向側(操作面11aよりも正面側)への振動速度を、反突出方向側である埋没方向側(操作面11aよりも背面側)への振動速度よりも小さくすることで、連結部材33と筒状部材22との間に生じる静止摩擦と動摩擦との差異に基づいて、突出部材20が突出方向側へと移動する。これにより、突出部材20(ピン部材21)の先端部は、操作面11aよりも正面側に突出する。すなわち、突出部材20は、先端部が操作板11を貫通して操作面11aより正面側に突出した状態(突出状態)となり得る。この突出状態は、突出方向Zに沿った突出部材20の先端部の高さが操作面11aよりも高い状態であり、本発明における「第一状態」に相当する。
一方、これとは逆に埋没方向側への振動速度を突出方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20は埋没方向側へと移動する。すなわち、突出部材20は、先端部が操作面11aより背面側に埋没した状態(埋没状態)ともなり得る。なお、「埋没状態」には、突出部材20のピン部材21の先端部が操作面11aのレベルに一致している状態も含まれるものとする。この埋没状態は、突出方向Zに沿った突出部材20の先端部の高さが操作面11a以下の状態であり、本発明における「第二状態」に相当する。
このように、複数の突出部材20は、駆動機構30により、それぞれ独立に突出状態と埋没状態との間で移動可能となっている。そして、操作面11aの全体に出没自在に設けられる多数の突出部材20により、任意形状の凹凸を表現することが可能となっている。
以下、操作入力システム3の詳細な構成を説明するが、ここでは説明を容易にするため、タッチパッド10に関して図6に例示されたような簡略化された構造例を用いて説明する。つまり、2つの孔部12及び突出部材20が操作面11aのY方向に沿って配列され、そのような2つ一組の孔部12及び突出部材20が5組設けられた構造例を例に挙げて説明する。なお、図6の例では、これら5組がY方向の一方側(手前側)でX方向に沿って等間隔で配列されている。
3.操作入力システムの構成
図3に示すように、操作入力システム3は、上述した操作入力装置4と、表示入力装置40と、これらの間に介在される操作入力演算部50とを備えている。本実施形態では、操作入力演算部50はナビゲーション装置1を構成する制御演算部6に組み込まれて実装されている(図2を参照)。但し、このような構成に限られず、操作入力演算部50が制御演算部6とは独立して設けられていても良い。操作入力装置4と表示入力装置40とは、操作入力演算部50を介して情報伝達可能に接続されている。
操作入力演算部50は、ステータス判定部51、突出制御部52、位置検知部53、描画制御部54、選択操作判定部55、特定操作標章判定部61を備えている。本実施形態では、突出制御部52にステータス判定部51が含まれる形態を例示している。また本実施形態では、操作入力演算部50は、状態検知部56及び入力受付部57を更に備えている。本実施形態では、選択操作判定部55に入力受付部57が含まれる形態を例示している。
特定操作標章判定部61は、複数種類の操作標章44の中から、特定の操作標章44である特定操作標章44Sを判定する。ここで、上述したように、表示画面41には、自車位置周辺の地図画像の他にも、所定機能に関連付けられた操作標章44の画像が表示され得る。例えば図6に示す例では、自車位置周辺の地図画像に重畳して、表示画面41における下部側に設定された操作標章表示領域Rに、5つの操作標章44の画像が等間隔で横一列に並んで表示されている。これらの操作標章44は、ナビゲーション装置1や車両の各種装備類を操作する上での主要な機能に対応している。これらは、一例として、左から順にそれぞれプローブ交通情報表示機能、自車位置表示機能、目的地検索機能、オーディオ設定機能、エアコンディショナー設定機能に関連付けられている。なお、このような操作標章44には、これら以外にも、地図表示の縮尺変更機能に関連付けられた標章、地図表示の表示方向(進行方向向き/北向き)変更機能に関連付けられた標章、オーディオ装置の音量変更機能に関連付けられた標章、エアコンディショナー装置の設定温度変更機能に関連付けられた標章等が含まれる。
本実施形態では、それぞれの操作標章44に関連付けられた各機能は、当該機能が完遂される(目的の機能が完全に実現される)までに必要な選択操作の回数に応じて分類される。本例では、1回の選択操作のみによって完遂される機能である一操作完遂機能と、完遂されるまでに2回以上の選択操作を必要とする機能である複数操作完遂機能とに分類される。例えば上記で例示した各機能に関して、プローブ交通情報表示機能及び自車位置表示機能は、いずれもそれぞれに関連付けられた操作標章44の1回の選択操作のみによって直ちに所望の情報を表示可能であるので、一操作完遂機能に分類される。また、地図表示の縮尺変更機能、地図表示の表示方向変更機能、オーディオ装置の音量変更機能、エアコンディショナー装置の設定温度変更機能は、いずれもそれぞれに関連付けられた操作標章44の1回の選択操作のみによって直ちに所望の設定値又は設定基準を変更可能であるので、一操作完遂機能に分類される。
本実施形態では、一操作完遂機能を受付可能な状態とする(すなわち、一操作完遂機能に関連付けられた操作標章44を表示画面41に表示させる)ための機能も、一操作完遂機能に分類されるものとする。このような機能は、他の一操作完遂機能を受付可能な状態とするためのトリガーとしての機能であるから、それに関連付けられた操作標章44の1回の選択操作のみによってその機能が完遂されるとみなすことができる。例えば上記で例示した各機能に関して、オーディオ設定機能は、それに関連付けられた操作標章44の1回の選択操作のみによって直ちに例えばオーディオ装置の音量変更機能(一操作完遂機能の一種)を受付可能な状態とするので、一操作完遂機能に分類される。また、エアコンディショナー設定機能も、それに関連付けられた操作標章44の1回の選択操作のみによって直ちに例えばエアコンディショナー装置の設定温度変更機能(一操作完遂機能の一種)を受付可能な状態とするので、一操作完遂機能に分類される。
一方、上記で例示した各機能に関して、目的地検索機能は、それに関連付けられた操作標章44の選択操作の後、例えば電話番号検索や住所検索等の検索条件の選択操作が要求され、更に設定された検索条件での検索キーワードの入力操作が要求される。すなわち、このような機能は、複数回の選択操作を経て初めて完遂されるので、複数操作完遂機能に分類される。なお、このような複数操作完遂機能を受付可能な状態とするための機能も、複数操作完遂機能に分類されるものとする。本例では、機能ごとの分類が、テーブル等の形式でメモリ等の記憶手段に予め記憶して備えられている。
特定操作標章判定部61は、1回の選択操作のみによって完遂される一操作完遂機能に関連付けられた操作標章44(単操作標章)を、特定操作標章44Sと判定する。一方、特定操作標章判定部61は、2回以上の選択操作によって初めて完遂される複数操作完遂機能に関連付けられた操作標章44(複操作標章)を、非特定操作標章44Nと判定する。特定操作標章判定部61は、その判定結果の情報を、突出制御部52(ステータス判定部51)及び描画制御部54に出力する。
走行速度情報取得部62は、車両の走行速度を示す情報である走行速度情報を取得する。走行速度情報取得部62は、例えば操作入力演算部50と情報伝達可能に接続された距離センサ83から得られる情報に基づき、車両の走行速度(車速)を示す情報である走行速度情報(車速情報)を取得する。走行速度情報取得部62は、その取得した情報を、突出制御部52(ステータス判定部51)及び描画制御部54に出力する。
ステータス判定部51は、突出部材20のそれぞれについて突出の状態を表す突出ステータスを判定する。本実施形態では、突出ステータスには「突出状態」と「埋没状態」とが含まれる。本実施形態では、簡略化のため、突出ステータスの1つとしての「埋没状態」は、突出方向Zにおける可動範囲内で突出部材20が最小変位位置にある状態(ピン部材21の先端部が操作面11aのレベルに一致している状態)とし、他の1つとしての「突出状態」は、突出方向Zにおける可動範囲内で突出部材20が最大変位位置にある状態とする。本実施形態では、ステータス判定部51は、各突出部材20を突出状態及び埋没状態のうちのいずれの状態とするかを択一的に判定する。
また、ステータス判定部51は、表示画面41に表示される画像が変更される場合には、突出部材20のそれぞれについて、切替前の画像に応じた突出ステータスと切替後の画像に応じた突出ステータスとの差分を判定する。ステータス判定部51は、突出部材20のそれぞれについて、「変化なし」、「突出状態へ移行」、及び「埋没状態へ移行」のいずれに該当するかを択一的に判定する。
突出制御部52は、操作面11aに対する突出部材20の突出方向Z(進退動作方向に一致する)の位置を制御する。突出制御部52は、ステータス判定部51から受け取った情報に基づいて駆動機構30を制御する。本実施形態では、突出制御部52は、パルス状の電圧を印加して圧電素子31を振動させる。その際、突出制御部52は、突出方向Zに沿った一方側への振動速度と他方側への振動速度との大小関係を調整することができるように構成されている。このような構成は、圧電素子31の振動方向に応じてデューティ比を異ならせることによって実現できる。突出制御部52は、突出方向側への振動速度を埋没方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20を突出方向側へと移動させる。一方、突出制御部52は、埋没方向側への振動速度を突出方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20を埋没方向側へと移動させる。
本実施形態では、突出制御部52(ステータス判定部51)は、走行速度情報取得部62による取得情報と特定操作標章判定部61による判定結果とに基づいて、突出部材20の突出方向Zの位置を制御する。言い換えれば、突出制御部52(ステータス判定部51)は、それらの情報に基づいて、突出部材20の先端部の突出方向Zに沿った位置に応じた状態(突出の状態)を制御する。
本実施形態では、車速に関して、予め定められた判定速度Vjを境界として複数の走行速度域が設定されている。本実施形態では、1つの判定速度Vjが定められ、それに応じて2つの走行速度域が設定されている。これら2つの走行速度域は、判定速度Vjよりも高い速度領域である規制対象速度域と、判定速度Vj以下の速度領域である非対象速度域とからなる。このような判定速度Vjは、車両の走行中にユーザー(特に、運転者)による操作入力が行われる場合における安全性を考慮して設定されている。判定速度Vjとしては、例えば0〔km/h〕〜10〔km/h〕の範囲内の任意の値とすることができ、設計者は経験等に基づいて適宜設定することができる。なお、10〔km/h〕よりも高い値とすることも可能である。
突出制御部52(ステータス判定部51)は、操作標章44の表示画面41上での配置に応じた配置で、突出部材20を突出状態とする標章対応突出制御を実行する。本実施形態では、突出制御部52(ステータス判定部51)は、標章対応突出制御において、表示画面41の座標と操作面11aの座標とを対応付け、操作標章44の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する1つ以上の突出部材20を、突出状態とする。より具体的には、1つの操作標章44に対してY方向に配列された2つ一組の突出部材20を突出状態とする。
判定速度Vjよりも高い規制対象速度域で車両が走行している場合、突出制御部52(ステータス判定部51)は、特定操作標章判定部61において特定操作標章44Sと判定された操作標章44の表示画面41上での配置に応じた配置で、突出部材20を突出状態とする。本実施形態では、特定操作標章44Sの表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置するY方向に並んだ2つ一組の突出部材20を突出状態とする。一方、突出制御部52(ステータス判定部51)は、非特定操作標章44Nに対応する突出部材20を埋没状態とする。本実施形態では、非特定操作標章44Nの表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置するY方向に並んだ2つ一組の突出部材20を、埋没状態とする。また、突出制御部52(ステータス判定部51)は、操作標章44が表示されていない領域の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20も、埋没状態とする。
図6には、規制対象速度域で車両が走行している場合における、操作入力システム3を利用した操作入力の一例を示している。この図6の例では、プローブ交通情報表示機能、自車位置表示機能、オーディオ設定機能、及びエアコンディショナー設定機能に関連付けられた4つの特定操作標章44Sに対応する4組8個の突出部材20が、突出状態とされている。また、目的地検索機能に関連付けられた非特定操作標章44Nに対応する2つ一組の突出部材20が、埋没状態とされている。更に、それ以外の突出部材20が、全て埋没状態とされている。
それとは逆に、判定速度Vj以下の非対象速度域で車両が走行している場合、突出制御部52(ステータス判定部51)は、特定操作標章44Sであるか否かに関わらず、全ての操作標章44の表示画面41上での配置に応じた配置で突出部材20を突出状態とする。すなわち、突出制御部52(ステータス判定部51)は、特定操作標章44Sだけでなく非特定操作標章44Nをも含めて、全ての操作標章44の表示画面41上での配置に応じた配置で突出部材20を突出状態とする。本実施形態では、表示画面41の座標と操作面11aの座標とを対応付け、1つの操作標章44(特定操作標章44S及び非特定操作標章44Nの双方)に対してY方向に並んだ2つ一組の突出部材20を突出状態とする。突出制御部52(ステータス判定部51)は、操作標章44が表示されていない領域の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を、埋没状態とする。
図7には、非対象速度域で車両が走行している場合における、操作入力システム3を利用した操作入力の一例を示している。この図7の例では、図6と同様、4つの特定操作標章44Sと1つの非特定操作標章44Nとからなる合計5つの操作標章44が表示画面41に表示されている。そして、非対象速度域での走行中における本例では、図6の例とは異なり、4つの特定操作標章44Sに対応する4組8個の突出部材20だけでなく、非特定操作標章44Nに対応する2つ一組の突出部材20も含め、合わせて5組10個の突出部材20が突出状態とされている。なお、それ以外の突出部材20が全て埋没状態とされている点については、図6の例と同様である。
このようにして、突出制御部52(ステータス判定部51)は、車速に応じて、標章対応突出制御に際して対応する突出部材20の突出ステータスを突出状態と判定する操作標章44を異ならせる。より具体的には、規制対象速度域で車両が走行している場合には、特定操作標章44S(単操作標章)に対応する突出部材20のみを突出状態とする判定を行う。一方、非対象速度域で車両が走行している場合には、特定操作標章44S(単操作標章)だけでなく非特定操作標章44N(複操作標章)に対応する突出部材20をも突出状態とする判定を行う。言い換えれば、突出制御部52(ステータス判定部51)は、特定操作標章44S(単操作標章)に対応する突出部材20については、車速によらずに突出状態とする判定を行う。一方、非特定操作標章44N(複操作標章)に対応する突出部材20については、非対象速度域での走行中に突出状態とし、規制対象速度域での走行中には埋没状態とする判定を行う。本実施形態では、非特定操作標章44N(複操作標章)が本発明における「対象操作標章」に相当する。
なお、ステータス判定部51による判定結果が突出ステータスの差分として得られる場合には、突出制御部52は、その判定結果に基づいて、突出部材20のそれぞれを突出状態若しくは埋没状態に維持し、又は、突出状態と埋没状態との間で切り替える。突出制御部52は、突出部材20を突出状態と埋没状態との間で切り替えるために要する時間よりも長い所定時間だけ圧電素子31を振動させ、その後は振動を停止させる。すなわち、上記所定時間だけ圧電素子31に対して電圧を印加し、その後は電圧の印加を停止する。電圧印加の停止後であっても、突出部材20は、連結部材33と筒状部材22との間の静止摩擦により突出方向Zの位置が維持される。
本実施形態では、突出状態とされる突出部材20の突出高さ(操作面11aを基準とする突出部材20の先端部の高さ)は比較的小さく設定されている。例えば図8に示すように、被検知物Dがユーザーの指先である場合には、操作面11aに沿って指先をスライドさせた際に、生体が元来有する指先腹部の柔軟性によって段差分を十分に吸収可能な程度の突出高さであって良い。例えば指先の厚みの20%以下等とすることができる。なお、それ以上の突出高さとすることも、当然可能である。
位置検知部53は、タッチパッド10の操作面11a上での被検知物Dの検知位置を取得する。位置検知部53は、被検知物Dとしての指先等が操作面11aに接触又は近接することによって生じる電極間の静電容量の変化に基づいて、被検知物Dが最も接近した電極の位置を特定する。そして、位置検知部53は、その特定された電極の位置を操作面11a上での検知位置として取得する。このような位置検知部53の機能により、タッチパッド10は、操作面11a上での検知位置に応じた入力を受け付けることができる。位置検知部53は、取得した検知位置の情報を、描画制御部54及び選択操作判定部55に出力する。
描画制御部54は、表示画面41への表示画像を描画制御する。描画制御部54は、自車位置周辺の背景、道路、及び名称等の画像イメージを含む複数のレイヤ(層)を生成する。また、描画制御部54は、自車位置を表す自車位置マークのイメージを含むレイヤや、目的地が設定されている場合には当該目的地までの案内経路の画像イメージを含むレイヤを生成する。更に描画制御部54は、所定の操作標章44の画像イメージを含むレイヤや、所定の操作カーソル45の画像イメージを含むレイヤを生成する。そして、描画制御部54は、これらの各レイヤを重ね合わせて1つの表示画像イメージを生成し、これを表示画面41に表示させる。
ここで、描画制御部54は、表示画面41に設定された操作標章表示領域Rに、主要な操作標章44を表示させる(図6及び図7を参照)。表示される操作標章44の種別は、ユーザーからの求めや車両の走行状態等に応じて異なり得る。描画制御部54は、状況に応じて各種の操作標章44の表示/非表示を適宜切り替える。
更に本実施形態では、描画制御部54は、走行速度情報取得部62による取得情報(車速の情報)と特定操作標章判定部61による判定結果とに基づいて、操作標章44の画像を描画制御する。ここで、突出部材20の突出方向Zの位置(突出の状態)も、同じく車速と特定操作標章判定部61による判定結果とに基づいて制御されているので、描画制御部54は、突出制御部52による所定の突出部材20に対する駆動制御の結果に基づいて操作標章44の画像の描画制御を行うとも言える。本実施形態では、描画制御部54は、突出状態とされる突出部材20にそれぞれ対応する操作標章44の画像を、特別画像Pcとして表示する。
本実施形態では、規制対象速度域での走行中には、特定操作標章44Sに対応する突出部材20のみが突出状態とされるので、描画制御部54は、特定操作標章44Sの画像のみを、特別画像Pcとして表示する(図6を参照)。また、非対象速度域での走行中には、全ての操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされるので、描画制御部54は、特定操作標章44S及び非特定操作標章44Nの双方の画像を、特別画像Pcとして表示する(図7を参照)。すなわち、非対象速度域で車両が走行している場合には、描画制御部54は、特定操作標章44Sであるか非特定操作標章44Nであるか否かに関わらず、全ての操作標章44の画像を特別画像Pcとして表示する。言い換えれば、描画制御部54は、特定操作標章44S(単操作標章)については、車速によらずに特別画像Pcとして表示する。一方、非特定操作標章44N(複操作標章)については、非対象速度域での走行中は特別画像Pcとして表示し、規制対象速度域での走行中はそのようにはせず、通常画像Paとして表示する。
ここで、特別画像Pcは、対応する突出部材20が突出状態とされていることを表す画像である。本実施形態では、特別画像Pcは、図9に示すように通常画像Paに対して所定の識別記号画像Pbが付加された形態の記号付加画像Pdである。また、通常画像Paは、突出部材20が突出状態とはされていない場合における操作標章44の画像、本実施形態では突出部材20が埋没した状態である場合の画像である。通常画像Paは、それぞれの操作標章44に関連付けられた機能に応じて、ユーザーに対して各機能の内容を直感的に認識させることができるような図柄を有している。一例として、図9の最上段に示す自車位置表示機能に関連付けられた操作標章44の通常画像Paは、自車位置マークに類似する図柄を有している。また一例として、第二段に示すオーディオ設定機能に関連付けられた操作標章44の通常画像Paは、音楽に関連性のある図柄として二連八分音符を表す図柄を有している。その他の機能に関連付けられた操作標章44の通常画像Paに関しても同様に、各機能に何らかの関連性のある図柄を有している。
また、識別記号画像Pbは、突出状態とされた突出部材20を識別可能とするための記号を表す画像である。識別記号画像Pbは、操作標章44の内容によらない共通の画像とされている。本実施形態では、識別記号画像Pbは、ユーザーに対して突出状態とされた突出部材20の配列を直感的に認識させることができるような図柄を有している。図6,図7,図9に示されるように、本実施形態では、識別記号画像Pbの表示画面41上での図柄は、1つの特定操作標章44S(非対象速度域の場合には、非特定操作標章44Nも)に対応して突出状態とされる2つ一組の突出部材20の操作面11a上での配置に対応している。本例では、1つの特定操作標章44S(非対象速度域の場合には、非特定操作標章44Nも)に対応する2つの突出部材20が操作面11aのY方向に沿って配置(配列)されることに対応して、識別記号画像Pbに示される図柄は上下に2つ並ぶ一組の小点とされている。
描画制御部54は、表示画面41に表示される操作標章44の画像を特別画像Pcとする場合には、それぞれについての通常画像Paに識別記号画像Pbを隣接して表示させる。描画制御部54は、規制対象速度域での走行中には表示画面41に表示される特定操作標章44Sの画像を、それぞれについての通常画像Paに識別記号画像Pbを隣接して表示させる。また、描画制御部54は、非対象速度域での走行中には全ての操作標章44の画像を、それぞれについての通常画像Paに識別記号画像Pbを隣接して表示させる。このとき、描画制御部54は、所定の操作標章44についての通常画像Paを表示させた上で、その通常画像Paに対して左側に隣接して識別記号画像Pbを更に表示させて記号付加画像Pd(特別画像Pc)とする。これにより、描画制御部54は、所定の操作標章44の画像を、通常画像Paとは異なる記号付加画像Pd(特別画像Pc)とする。
また、描画制御部54は、規制対象速度域での走行中は、表示画面41に表示される非特定操作標章44Nの画像をそれぞれについての通常画像Paとして表示させる。すなわち、描画制御部54は、それぞれの非特定操作標章44Nについて、通常画像Paのみを表示させ識別記号画像Pbは表示させない。
また、描画制御部54は、ユーザーからの求めに応じて操作カーソル45の表示/非表示を適宜切り替える。本実施形態では、描画制御部54は、位置検知部53により操作面11aへの被検知物Dの接触又は近接を検知していない場合には、操作カーソル45を非表示とする。一方、描画制御部54は、位置検知部53により操作面11aへの被検知物Dの接触又は近接が検知されている場合には、その操作面11a上での検知位置に対応する表示画面41上の位置に、本例において円形状の操作カーソル45を表示させる。本例では、上記検知位置と操作カーソル45の中心位置とが一致するように当該操作カーソル45が表示される。操作面11aに接触又は近接した状態で被検知物Dがスライドし、検知位置もスライドする場合には、表示される操作カーソル45もそれに同調して表示画面41上を移動する。
選択操作判定部55は、表示画面41に表示されている操作標章44に対する選択操作の有無を判定する。選択操作判定部55は、操作面11aに対する所定操作に基づいて、操作標章44に対する選択操作の有無を判定する。また、選択操作判定部55は、各突出部材20の位置にも基づいて、突出状態にある突出部材20の位置を含む所定領域内で上記所定操作を検知した場合に、当該突出部材20に対応する操作標章44の選択操作があったと判定する。
本実施形態では、1つの操作標章44に対して2つの突出部材20が割り当てられ、これら2つ一組の突出部材20の突出ステータスは常に同一である。そこで、2つ一組の突出部材20に対して、それぞれの位置を包含する1つの操作標章割当領域I(図4を参照)が上記「所定領域」として設定される。但し、隣接する操作標章割当領域Iは、互いに重複しないように設定される。また、判定対象となる「所定操作」には、例えば操作面11aに非接触となっている被検知物Dを操作面11aに接触させる操作(タッチ操作)、操作面11aに接触している被検知物Dを一旦操作面11aから浮かせた後で再度接触させる操作(タップ操作)、タップ操作を所定時間内に2度繰り返して行う操作(ダブルタップ操作)等が含まれる。
本実施形態では、車速に応じて、所定の操作標章44に対応する突出部材20のみが突出状態とされる。具体的には、規制対象速度域での走行中は特定操作標章44Sに対応する突出部材20のみが突出状態とされ、非対象速度域での走行中は全ての操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされる。突出部材20の埋没状態では、操作面11aにおけるその周辺部分は概ね平坦であるのに対して、突出状態にある突出部材20の先端部は操作面11aから明確に突出し、ユーザーは指先等によって直接的にその段差部分を触覚認識することができる。また、ユーザーは、操作面11aにおいて触覚認識される突出部材20の位置と、表示画面41に表示される操作標章44の位置とを、意識の中で対比させて容易に関連付けることができる。更にユーザーは、操作面11aの望みの位置において触覚認識される突出部材20を頼りに、その位置において操作面11aへのタッチ操作等を行うことができる。よって、ユーザーは、手元付近に設けられるタッチパッド10はもちろんのこと、運転時の視線方向に近い位置に設けられる表示入力装置40すらほとんど見ることなく、望みの操作標章44を容易に選択することができる。従って、本実施形態に係る操作入力装置4及び操作入力システム3によれば、表示画面41を注視することなく従来に比べてより確実な操作入力を行うことができる。
また、所定の操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされるのに合わせて、当該操作標章44の画像が記号付加画像Pd(特別画像Pc)として表示される。よって、規制対象速度域での走行中であって特定操作標章44Sと非特定操作標章44Nとが異なる態様で制御される場合に、各操作標章44が記号付加画像Pdとして表示されているか否かに基づいて、両者を表示画面41上で区別可能とすることができる。すなわち、表示画面41を注視することなく一見して、それらを直感的に区別可能とすることができる。従って、ユーザーにとっての利便性に優れた操作入力が可能となる。
また、本実施形態では、規制対象速度域での走行中は、1回の選択操作のみによって完遂される一操作完遂機能に関連付けられた特定操作標章44S(単操作標章)に対応する突出部材20のみが突出状態とされ、複数回の選択操作を経て初めて完遂される複数操作完遂機能に関連付けられた非特定操作標章44N(複操作標章)に対応する突出部材20は埋没状態とされる。ユーザー(ここでは、特に車両の運転者)が運転の合間にナビゲーション装置1に対して操作入力を行う場面等では、連続する複雑な操作は困難な場合が多い。そのため、上記のようにすることで、操作面11a上の非特定操作標章44Nに対応する操作標章割当領域Iの位置を分かりにくくし、非特定操作標章44Nに対する選択操作を相対的に行いにくくすることができる。これにより、運転の合間に連続する複雑な操作を行いにくくすることができ、安全運転に寄与することもできる。
なお、ナビゲーション装置1の仕様により、車両走行時の安全性の観点から、規制対象速度域で車両が走行している場合には非特定操作標章44N(複操作標章)の選択が受付不可能とされる場合がある。本実施形態のように非特定操作標章44Nに対応する突出部材20が埋没状態とされる構成は、そのような仕様に対しても親和性高く適用することが可能である。
また、本実施形態では、表示画面41に表示される特定操作標章44Sはそれぞれ、2つ一組の突出部材20により2つ並んだ突起部の形態に変形して表現される。そのため、ユーザーは、同一箇所における2点の触覚認識により、容易に操作面11a上の操作標章割当領域Iの位置を把握することができる。
選択操作判定部55は、操作標章44の選択操作があったと判定した場合には、そのことを表す情報をナビゲーション用演算部70等に出力して、当該選択された操作標章44に関連付けられた機能を実現させる。また選択操作判定部55は、その情報を突出制御部52(ステータス判定部51)及び描画制御部54にも出力する。これにより、次に実現される機能に応じて表示画面41への表示画像が変更される場合には、表示画像イメージが更新されると共に、それに合わせて各突出部材20の突出ステータスの差分が判定されることになる。
状態検知部56は、突出部材20の突出状態と埋没状態とを識別可能に検知する。状態検知部56は、例えば位置センサ(図示せず)からの情報を取得可能に構成されている。状態検知部56は、取得される各突出部材20の突出方向Zにおける位置の情報に基づいて、各突出部材20の実際の突出ステータスが突出状態及び埋没状態のいずれであるかを検知する。状態検知部56は、その検知結果の情報を、選択操作判定部55の入力受付部57に出力する。
入力受付部57は、状態検知部56により突出部材20が突出状態から埋没状態に変化したことを検知した場合に、その突出部材20への入力を受け付ける。ここで、上記のとおり本実施形態では、車速に応じて、所定の操作標章44(本例では、規制対象速度域での走行中は特定操作標章44Sのみ、非対象速度域での走行中は全ての操作標章44)に対応する突出部材20が突出状態とされている。そのため、突出部材20への入力を受け付けることは、その突出部材20に対応する操作標章44への入力を受け付けることと等価である。つまり、入力受付部57は、突出部材20が突出状態から埋没状態に変化したことを検知した場合に、その突出部材20に対応する操作標章44への入力を受け付ける。これに基づいて、選択操作判定部55は、当該突出部材20に対応する操作標章44の選択操作があったと判定する。
本実施形態では、このような入力受付部57を備えることで、タッチパッド10に対するタッチ操作等に基づく通常の選択操作とは別に、突出部材20を介した操作標章44の選択操作を受け付けることができる。このとき、ユーザーは、図8に示すように、被検知物Dとしての指先等の操作面11a上でのスライド操作により突出状態にある目的の突出部材20を触覚により認識した後、そのまま当該突出部材20を押し込んで埋没状態に変化させるだけで、望みの操作標章44を選択することができる。すなわち、ユーザーは、突出状態にある突出部材20をボタンに見立て、その模擬的なボタンを押し込むという直感的な操作によって操作標章44を選択することができる。従って、本実施形態に係る操作入力装置4及び操作入力システム3によれば、このような点からも利便性に優れた操作入力を行うことができる。
4.操作入力受付処理の処理手順
本実施形態に係る操作入力システム3による操作入力受付処理の処理手順について、図10〜図14を参照して説明する。以下に説明する操作入力受付処理の手順は、操作入力演算部50の各機能部を構成するハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実行される。上記の各機能部がプログラムにより構成される場合には、操作入力演算部50を含む制御演算部6が有する演算処理装置が、各機能部を構成するプログラムを実行するコンピュータとして動作する。
図10に示すように、操作入力受付処理では、まず各種の準備処理が実行される(ステップ#01)。この準備処理には、例えば表示画像イメージを作成するためのワークエリアの準備等が含まれる。次に、実際に表示画像イメージが作成される(#02)。次に、特定操作標章判定処理が実行される(#03)。
図11に示すように、特定操作標章判定処理では、ステップ#02で作成された表示画像イメージに含まれる全ての操作標章44の情報が取得される(#11)。複数の操作標章44の中から1つの操作標章44が選択される(#12)。その操作標章44に関連付けられた機能が特定され(#13)、その機能が一操作完遂機能であるか否かが判定される(#14)。一操作完遂機能であると判定された場合には(#14:Yes)、その操作標章44は特定操作標章44Sと判定される(#15)。一方、一操作完遂機能ではない、すなわち複数操作完遂機能と判定された場合には(#14:No)、その操作標章44は非特定操作標章44Nと判定される(#16)。なお、この特定操作標章判定処理による判定結果の情報は、例えば特定操作標章判定フラグのON/OFF等の形態で設定される。全ての操作標章44についてステップ#12〜ステップ#16の処理が完了すると(#17:Yes)、特定操作標章判定処理を終了する。
特定操作標章判定処理が終了すると、図10に戻り、次に画像表示処理が実行される(#04)。
図12に示すように、画像表示処理では、全ての操作標章44について通常画像Paが表示される(#21)。なお、この通常画像Paは、ステップ#02で作成された表示画像イメージに含まれる画像と同一のものである。従って、このステップ#21では、ステップ#02で作成された表示画像イメージに含まれる画像をそのまま表示させる処理が行われる。次に、判定速度Vjに基づいて、現在の車速が規制対象速度域に含まれるか否かが判定される(#22)。規制対象速度域に含まれる場合には(#22:Yes)、表示画像イメージに含まれる全ての操作標章44の中から1つの操作標章44が選択される(#23)。その操作標章44が特定操作標章44Sであるか否かが判定される(#24)。特定操作標章44Sである場合に限り(#24:Yes)、その特定操作標章44Sについての通常画像Paに隣接して識別記号画像Pbが表示される(#25)。これにより、特定操作標章44Sの画像が記号付加画像Pd(特別画像Pc)とされる。なお、非特定操作標章44Nである場合には(#24:No)、何の処理も行われない。すなわち、非特定操作標章44Nの画像は通常画像Paのままとされる。全ての操作標章44についてステップ#23〜#25の処理が完了すると(#26:Yes)、画像表示処理を終了する。ステップ#22において現在の車速が非対象速度域に含まれる場合には(#22:No)、特定操作標章44Sと非特定操作標章44Nとを問わず全ての操作標章44について、通常画像Paに隣接して識別記号画像Pbが表示される(#27)。以上で、画像表示処理を終了する。
画像表示処理が終了すると、図10に戻り、次に突出制御処理が実行される(#05)。
図13に示すように、突出制御処理では、判定速度Vjに基づいて、現在の車速が規制対象速度域に含まれるか否かが判定される(#31)。規制対象速度域に含まれる場合には(#31:Yes)、表示画像イメージに含まれる全ての操作標章44の中から1つの操作標章44が選択される(#32)。その操作標章44が特定操作標章44Sであるか否かが判定される(#33)。特定操作標章44Sである場合には(#33:Yes)、その特定操作標章44Sに対応する2つ一組の突出部材20が突出状態とされる(#34)。一方、非特定操作標章44Nである場合には(#33:No)、その非特定操作標章44Nに対応する2つ一組の突出部材20が埋没状態とされる(#35)。全ての操作標章44についてステップ#32〜#35の処理が完了すると(#36:Yes)、突出制御処理を終了する。ステップ#31において現在の車速が非対象速度域に含まれる場合には(#31:No)、特定操作標章44Sと非特定操作標章44Nとを問わず、全ての操作標章44に対応する2つ一組の突出部材20が突出状態とされる(#37)。以上で、突出制御処理を終了する。
突出制御処理が終了すると、図10に戻り、次に入力判定処理が実行される(#06)。
図14に示すように、入力判定処理では、操作面11a上での被検知物Dの検知位置が取得される(#41)。取得された検知位置に対応する表示画面41上の位置に操作カーソル45が表示される(#42)。なお、操作面11a上での被検知物Dの検知位置が移動する場合には、表示される操作カーソル45もそれに合わせて表示画面41上を移動する。その後、突出状態にある突出部材20を操作面11a側に押し込む操作(押込操作)の有無が判定される(#43)。そのような押込操作がないと判定された場合には(#43:No)、操作面11a上でのタッチ操作(タップ操作やダブルタップ操作を含む)の有無が判定される(#44)。そのようなタッチ操作がないと判定された場合には(#44:No)、そのまま入力判定処理を終了する。
ステップ#44においてタッチ操作が検知された場合には(#44:Yes)、そのタッチ操作の検知位置が操作標章割当領域I内であるか否かが判定される(#45)。検知位置が操作標章割当領域I内であると判定された場合や(#45:Yes)、ステップ#43において突出部材20の押込操作が検知された場合には(#43:Yes)、操作標章割当領域I又は押込操作された突出部材20に対応する操作標章44の種別が判定される(#46)。そして、その操作標章44が選択され、それに関連付けられた各種機能(例えば、目的地検索機能やオーディオ設定機能等)が実現される(#47)。その後、入力判定処理を終了する。ステップ#45において検知位置が操作標章割当領域I外であると判定された場合には(#45:No)、操作標章割当領域I以外の領域(非標章領域)での選択処理が実行される(#48)。例えば、タッチ操作の検知位置を表示画面41の中心として地図画像をスクロールさせる処理等が実行される。以上で、入力判定処理を終了する。
入力判定処理が終了すると、図10に戻り、表示画面41における表示画像の変更の有無が判定される(#07)。入力判定処理において押込操作もタッチ操作も検知されなかった場合には、画面遷移はない可能性が高い。そのような場合には(#07:No)、再度入力判定処理を実行する。一方、入力判定処理の結果として操作標章44が選択された場合や、地図画像のスクロール処理が実行される場合等には、画面遷移が伴い得る。そのような場合には(#07:Yes)、操作入力受付処理を終了する。なお、変更後の表示画像に対して再度ステップ#01以降の処理が実行される。以上の処理が逐次繰り返して実行される。
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係る操作入力システムの、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、操作入力演算部50が状態検知部56及び入力受付部57を備えている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。状態検知部56及び入力受付部57は、位置検知部53と選択操作判定部55との協働による選択操作の有無判定を代替的に補助する(図14を参照)ための機能部であって、これらが操作入力演算部50に備えられていることは必須ではない。すなわち、操作入力演算部50が状態検知部56及び入力受付部57を備えず、押込操作には基づかずにタッチ操作にのみ基づいて入力判定が行われるように構成しても良い。
このような構成において、規制対象速度域で車両が走行している場合に、突出制御部52が、非特定操作標章44Nに対応させて埋没状態とされる突出部材20の位置の周囲に周囲領域S(図15を参照)を設定し、周囲領域Sでタッチパッド10により被検知物Dが検知された場合に、周囲領域Sに含まれる全ての突出部材20を突出状態とする構成とすると好適である。ここで、周囲領域Sは、埋没状態とされる突出部材20に対応する操作標章割当領域Iを包含する領域として設定される。本例では、図15に示すように、埋没状態とされる突出部材20に対して前後左右に隣接する突出部材20を包含する矩形状の領域として設定される。本例では、隣接する周囲領域Sが、周縁部において互いに重複し得るように図示されているが、重複しないように設定されても良い。
このように、周囲領域Sに含まれる全ての突出部材20を一括的に突出状態とすれば、それらに囲まれた位置において埋没状態とされる突出部材20に対応する操作標章割当領域Iに対するタッチ操作が、周囲領域S内の突出部材20によって妨げられる。よって、埋没状態とされる突出部材20に対応する非特定操作標章44Nを選択できなくすることができる。また、周囲領域Sで被検知物Dが検知されたときに初めて対象となる突出部材20を突出状態とすることで、指先等で触覚により感知される、突出部材20の動きに関する動的な情報に基づき、その非特定操作標章44Nが選択できないことをユーザーに知らせることができる。また、操作標章44に対して本来的には非対応の周囲領域S内の突出部材20を駆動制御する機会を、タッチパッド10に対するユーザーの行動との関係に基づいて必要最小限に抑えることができるという利点もある。
なお、この場合において、突出制御部52は、タッチパッド10により操作面11a上で被検知物Dが検知されているか否かに関わらず無条件に、周囲領域Sに含まれる全ての突出部材20を突出状態としても良い。このようにしても、周囲領域Sの複数の突出部材20に囲まれた位置において埋没状態とされる突出部材20に対応する操作標章割当領域Iに対するタッチ操作を、少なくとも妨げることができる。
(2)上記の実施形態において、規制対象速度域で車両が走行している場合であって且つ文字入力受付機能が実行中である場合には、図16に示すように、突出制御部52は、操作面11aの全領域に含まれる全ての突出部材20を一律に突出状態とする構成としても好適である。文字入力受付機能が実行される状況としては、ナビゲーション装置1において目的地検索機能が実行される状況を例示することができる。ここで、「目的地」には、最終的な到達目標地点以外にも、経由地点や現在地の周辺施設等を含めて考えることができる。目的地検索機能の実行中は、目的地を指定するため、アルファベットや仮名文字、数字等を順次入力する場合がある。これらの一連の操作を誤りなく行うためには、ユーザー側にある程度の注意力が要求されるので、車両走行時の安全性の観点から、規制対象速度域で車両が走行している場合には一律に禁止されることが好ましい場合がある。そこで、そのような点を考慮し、操作面11aの全領域に含まれる全ての突出部材20を一律に突出状態とすることで、タッチパッド10を介した操作入力を行えなくして安全性を確保することができる。
この場合において、描画制御部54は、全ての操作標章44(ここでは、文字キーや入力切替キー等)の画像を、それぞれに対応する突出部材20が突出状態とされているか否かに関わらず通常画像Paとして表示すると好適である。描画制御部54は、上記の実施形態の規則に従えば、突出状態とされる突出部材20にそれぞれ対応する操作標章44の画像を特別画像Pcとして表示する。そのため、操作面11aの全領域に含まれる全ての突出部材20を一律に突出状態とする場合には、いくつかの操作標章44が目的外で特別画像Pcとして表示されてしまうという不都合が生じ得る。しかし、上記の構成では、描画制御部54は、全ての操作標章44の画像を一律に通常画像Paとして表示するので、タッチパッド10を介した操作入力を妨げる目的で全ての突出部材20を突出状態とすることに伴う上記の不都合を回避することができる。
(3)上記の実施形態では、操作標章44の種別によらずに統一的な1つの判定速度Vjが定められている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、判定速度Vjが操作標章44の種別毎に異なる値に定められた構成としても良い。この場合、突出制御部52(ステータス判定部51)は、操作標章44の種別毎の判定速度Vjに基づいて、各突出部材20の突出方向Zの位置(突出の状態)を制御する構成とすると好適である。つまり、突出制御部52(ステータス判定部51)は、車速がそれぞれの操作標章44についての判定速度Vj以下である場合には、当該操作標章44に対応する突出部材20を突出状態とする。一方、車速がそれぞれの操作標章44についての判定速度Vjよりも高い場合には、当該操作標章44に対応する突出部材20を埋没状態とする。このようにすれば、ある特定の車速で走行している場合に、統一的に設定される規制対象速度域との関係ではなく、それぞれの操作標章44についての判定速度Vjとの関係に基づいてそれぞれの操作標章44に対応する突出部材20の突出の状態を個別に適切に判定することができる。よって、各操作標章44に関連付けられた機能の特性等に応じて、操作標章44毎の個別の実情も勘案して、車速との関係において最適化された標章対応突出制御を実行可能とすることができる。なお、類似する構成として、各操作標章44に関連付けられた機能を完遂するまでに必要な選択操作の回数に応じて、操作標章44毎に異なる値の判定速度Vjが定められた構成としても良い。
(4)上記の実施形態では、結果として、規制対象速度域での走行中には特定操作標章44Sに対応する突出部材20のみが突出状態とされ、非対象速度域での走行中には全ての操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされる例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、判定速度Vjとは異なる基準速度Vsが予め設定され、車速と基準速度Vsとの関係に応じて、標章対応突出制御の対象とする操作標章44をそもそも異ならせる構成としても良い。この場合、基準速度Vsよりも高い速度域での走行中には、特定操作標章44S(単操作標章)のみを標章対応突出制御の対象とし、基準速度Vs未満の速度域での走行中には、特定操作標章44Sに加えて非特定操作標章44N(複操作標章)をも標章対応突出制御の対象とする構成とすると好適である。このような構成は、操作標章44の種別毎に異なる値の判定速度Vjが設定されることを前提として、非特定操作標章44N(複操作標章)についての判定速度Vjを基準速度Vsに設定すると共に、特定操作標章44S(単操作標章)には基準速度Vsよりも高い判定速度Vj(ここでは、無限大等としても良い)を設定することで実現できる。このようにすれば、上記の実施形態と同様に、所定速度域での走行中には特定操作標章44Sに対応する突出部材20のみが突出状態とされ、それ以外の速度域での走行中には全ての操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされる状態を実現できる。なお、ここで言う「所定速度域」とは、非特定操作標章44Nについての判定速度Vj(本例では基準速度Vs)よりも高い速度域である。
(5)上記の実施形態では、突出制御部52が、所定の操作標章44の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を突出状態とする構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、突出制御部52が、表示画面41における各操作標章44の位置関係に対応させて突出部材20を突出状態とする構成としても良い。つまり、突出制御部52が、表示画面41に表示された複数の操作標章44の座標の相互の位置関係に対応する位置関係となるように、複数の突出部材20を突出状態とする構成としても良い。この場合、上記の実施形態で説明した複数の操作標章44に対して、例えば上記の実施形態とX方向の位置が同じでY方向の位置が異なる座標に位置する複数の突出部材20を突出状態とする。そして、描画制御部54は、突出状態とされる突出部材20にそれぞれ対応する操作標章44の画像を、特別画像Pcとして表示する。
(6)上記の実施形態では、突出制御部52が、非対象速度域での車両の走行中、非特定操作標章44Nに対応する突出部材20を埋没状態とする構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。特定操作標章44Sに対応させて突出状態(ここでは、突出方向Zにおける可動範囲内で最大変位位置にある状態)とされる突出部材20と、非特定操作標章44Nに対応する突出部材20とを少なくとも区別できれば良い。そのため、例えば突出制御部52が、非特定操作標章44Nに対応する突出部材20を、その先端部が操作面11aよりも高い状態であって、かつ、可動範囲内で最大変位位置とは異なる任意の位置にある状態(第三状態)に制御する構成としても良い。
(7)上記の実施形態では、描画制御部54が、所定の操作標章44の画像を、それぞれについての通常画像Paに識別記号画像Pbを隣接して表示させる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、図17にその概念を示すように、描画制御部54が、操作標章44のそれぞれについての通常画像Paを予め記憶して備えられた記号付加画像Pdに置換して表示させる構成としても良い。このようにしても、操作標章44の画像を適切に特別画像Pcとすることができる。この場合、例えば図12のフローチャートにおいて、ステップ#25の処理を「通常画像Paを記号付加画像Pd(特別画像Pc)に置換する」ことに置換した構成とすることができる。或いは、ステップ#21の処理を省略すると共に、規制対象速度域での走行中(#22:Yes)であって且つ特定操作標章44Sである場合に(#24:Yes)記号付加画像Pd(特別画像Pc)を表示し、非特定操作標章44Nである場合に(#24:No)通常画像Paを表示する構成とすることもできる。この場合、非対象速度域での走行中には(#22:No)、全ての操作標章44について記号付加画像Pd(特別画像Pc)を表示する構成とすれば良い。
(8)上記の実施形態では、1つの操作標章44に対応する2つの突出部材20が操作面11aのY方向に沿って配列される構成を例として説明した。また、それに対応して、識別記号画像Pbに示される図柄が上下に2つ並ぶ一組の小点とされる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、1つの操作標章44に対応させて突出状態とする突出部材20の数は任意であるし、1つ以上の突出部材20の操作面11a上での配列も任意である。例えば、3つ以上の突出部材20が操作面11aのX方向又はY方向に沿って配列される構成、複数の突出部材20が矩形や円形等の枠状に配列される構成等としても良い。また、突出状態とする突出部材20の数及び配列を、操作標章44毎に異ならせても良い。これらの場合においても、識別記号画像Pbの図柄は、1つの操作標章44に対応して突出状態とされる1つ以上の突出部材20の操作面11a上での配置(配列パターン)にそれぞれ対応していると好適である。
(9)上記の実施形態では、識別記号画像Pbの図柄が、1つの操作標章44に対応して突出状態とされる1つ以上の突出部材20の操作面11a上での配置(配列パターン)に対応している構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。突出状態とされた突出部材20を表示画面41上で視覚的に識別可能とすることができれば、識別記号画像Pbの図柄はどのようなものでも良く、突出状態とされる突出部材20の配置に対応していなくても良い。
(10)上記の実施形態では、特別画像Pcとしての記号付加画像Pdが、通常画像Paと当該通常画像Paに対して左側に隣接して表示される識別記号画像Pbとにより構成される例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、通常画像Paと識別記号画像Pbとの配置位置関係は任意であり、識別記号画像Pbが通常画像Paに対して右側に隣接して表示された構成としても良い。また、突出状態とされる突出部材20の配置次第では(或いは、それとは無関係に)、識別記号画像Pbが通常画像Paに対して上側又は下側に隣接して表示された構成としても良い。或いは、識別記号画像Pbが通常画像Paの周囲の少なくとも一部を取り囲むように表示された構成としても良い。
(11)上記の実施形態では、通常画像Paに対して所定の識別記号画像Pbが付加された形態の記号付加画像Pdが特別画像Pcとされた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばそのような識別記号画像Pbを付加することなく、図18にその概念を示すように通常画像Paに対して色彩を異ならせた形態の画像が特別画像Pcとされても良い。或いは、画像の形態を規定するパラメタに大きさ、形状、及び輝度を更に加え、通常画像Paに対して大きさ、形状、輝度、及び色彩の1つ以上を異ならせた形態の画像が特別画像Pcとされても良い。
(12)上記の実施形態において、描画制御部54が、埋没状態とされる突出部材20に対応する操作標章44の画像を、突出部材20が埋没状態とされていることを表す第二の特別画像とする構成としても良い。この場合、第二の特別画像は、予め定められた通常画像Paに対して、識別記号画像Pbとは異なる第二の識別記号画像が付加された、記号付加画像Pdとは異なる第二の記号付加画像とすることができる。そして、その埋没時画像を表示させるための具体的手法として、埋没状態とされる突出部材20に対応する操作標章44のそれぞれについての通常画像Paに第二の識別記号画像を隣接して表示させ、又は、それぞれについての通常画像Paを予め記憶して備えられた第二の記号付加画像に置換して表示させる構成が採用できる。なお、通常画像Paに対して大きさ、形状、輝度、及び色彩の1つ以上を異ならせた形態(但し、特別画像Pcとも異なる形態)の画像が第二の特別画像とされても良い。
(13)上記の実施形態では、操作入力演算部50が各機能部51〜62を備えている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、上記の実施形態で説明した機能部の割り当ては単なる一例であり、複数の機能部を組み合わせたり、1つの機能部を更に区分けしたりすることも可能である。
(14)上記の実施形態では、全ての構成が車両に搭載された車載用のナビゲーション装置1(ナビゲーションシステムの一例)に対する操作入力を行うための操作入力システム3を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば上記の実施形態において説明したナビゲーション装置1の各構成がサーバ装置と車載端末装置とに分かれて備えられたクライアント/サーバ型のナビゲーションシステムにおける車載端末装置も、本発明に係る操作入力システムによる操作入力の対象となり得る。また、ナビゲーション装置1以外にも、例えば車両に固定的に搭載された情報処理装置(コンピュータ等)や各種機器類(マルチメディアプレイヤー等)用の制御装置等も、車載処理装置として本発明に係る操作入力システムによる操作入力の対象となり得る。
(15)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。