本発明に係る操作入力システムの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、ナビゲーションシステム(本例では、車載用のナビゲーション装置1)に対する予め規定された(所定の)操作入力を行うための操作入力システム3を例として説明する。この操作入力システム3は、ナビゲーション装置1と情報伝達可能に接続された表示入力装置40と操作入力装置4とを備えている。以下では、ナビゲーション装置1の概略構成、操作入力装置4の概略構成、操作入力システム3の構成、及び操作入力システム3の処理について説明する。
1.ナビゲーション装置の概略構成
ナビゲーション装置1の概略構成について、図1及び図2を参照して説明する。ナビゲーション装置1は、自位置表示、出発地から目的地までの経路探索、経路案内、及び目的地検索等の基本機能を実現可能に構成されている。そのためナビゲーション装置1は、図2に示すように制御演算部6を備えている。制御演算部6は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備え、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部として、ハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。制御演算部6は、ナビゲーション用演算部70を備えている。また、制御演算部6は、GPS受信機81、方位センサ82、距離センサ83、地図データベース85、表示入力装置40、タッチパッド10、音声入力装置87、及び音声出力装置88と情報伝達可能に接続されている。
GPS受信機81は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する。方位センサ82は、自車両の進行方位又はその変化を検出する。距離センサ83は、自車両の車速や移動距離を検出する。良く知られているように、ナビゲーション用演算部70は、GPS受信機81、方位センサ82、及び距離センサ83から得られる情報に基づき、更には公知のマップマッチングにも基づいて、推定自位置を導出可能である。GPS受信機81、方位センサ82、及び距離センサ83は、自車両の現在の位置である自位置を示す自位置情報を取得する自位置情報取得部8を構成する。
地図データベース85は、所定の区画毎に分けられた地図データを記憶している。地図データは、交差点に対応する複数のノードと各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとの接続関係により構成される道路ネットワークデータを含んでいる。各ノードは、緯度及び経度で表現された地図上の位置の情報を有している。各リンクは、その属性情報として、道路種別、リンク長、道路幅等の情報を有している。ここで、本実施形態では一例として、道路種別には「高速自動車道」、「国道」、「主要地方道」、「都道府県道」、「市道」、「町村道」、及び「認定外道路」が含まれている。
地図データベース85は、地図表示、経路探索、及びマップマッチング等の処理の実行時にナビゲーション用演算部70により参照される。地図データベース85は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROM等の記憶媒体に格納して備えられている。
表示入力装置40は、液晶表示装置等の表示装置とタッチパネル等の入力装置とが一体となったものである。表示入力装置40は、表示画面41を有すると共に当該表示画面41に地図画像を含む各種画像を表示可能に構成される。地図画像を含む各種画像とは、例えば自位置周辺の地図や所定機能に関連付けられた操作標章44(図4を参照)等の画像が相当する。本実施形態では、表示入力装置40が本発明における「表示装置」に相当する。ここで、操作標章44は、タッチパネルやタッチパッド10が操作され、その操作入力がナビゲーション装置1に伝達されて特定の機能が実現されるに際して、その機能をユーザー(ここでは車両の乗員)が容易に知覚できるように表示画面41に表示される標章である。このような操作標章44には、例えばイラスト等によって描画された操作アイコンや操作ボタン、文字キー等が含まれる。表示入力装置40は、タッチパネルに接触又は近接する被検知物を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。例えばユーザーは、表示画面41に表示された操作標章44に、被検知物としての指先やスタイラスペンのペン先等を接触又は近接させることで、その操作標章44を選択してそれに関連付けられた機能を実現することができる。また、ユーザーは、表示画面41に表示された操作標章44以外の位置に被検知物を接触又は近接させることで、例えば地図上の地点選択等を行うことができる。
図1に示すように、タッチパッド10は表示入力装置40とは別体として設けられている。タッチパッド10は、操作面11aを有し、操作面11aに接触又は近接する被検知物D(図4を参照)を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。ポインティングデバイスとしてのタッチパッド10が検知した検知位置に対応させて、表示画面41に操作カーソル45(図4を参照)が表示される。ユーザーは、操作面11aに被検知物Dとしての指先等を接触又は近接させながらスライドさせることによって、表示画面41上で操作カーソル45を移動させる。そして、その操作カーソル45が操作標章44上に一致している状態で操作面11aを所定操作することで、当該操作標章44を選択してそれに関連付けられた機能を実現することができる。
なお、表示入力装置40は、ユーザー(ここでは特に、車両の運転者)から見やすいように、運転時の視線方向を大きく変えることなく見ることができるような位置に配置されている。図1に示す例では、表示入力装置40はダッシュボード上面の中央部に配置されているが、計器盤の位置等に配置しても良い。もちろん、ヘッドアップディスプレイとすることも可能である。一方、タッチパッド10は、ユーザーが操作しやすいように、ユーザーの手元に近い位置に配置されている。すなわち、タッチパッド10は、表示入力装置40よりもユーザーの手元に近く、かつ、視線方向から遠い位置に配置されている。図1に示す例では、タッチパッド10はセンターコンソール部に配置されているが、ダッシュボード上面の中央部やステアリングホイールのスポーク部、ドアパネル等に配置しても良い。
音声入力装置87は、ユーザーからの音声による入力を受け付ける。音声入力装置87はマイクロフォン等を有して構成される。ナビゲーション用演算部70は、音声入力装置87で受け付けた音声に基づき、音声認識による目的地検索やハンズフリー通話等の機能を実現することができる。音声出力装置88は、スピーカ等を有して構成される。ナビゲーション用演算部70は、音声出力装置88を介して、音声案内等の機能を実現することができる。
2.操作入力装置の構成
図3〜図5に示すように、操作入力装置4は、タッチパッド10と、突出部材20と、駆動機構30とを備えている。操作入力装置4は、概略的には、駆動機構30によって駆動される突出部材20が、タッチパッド10の表面から突出可能(出没可能)に構成されている。
図4及び図5に示すように、タッチパッド10は操作板11を有し、操作板11の正面には操作面11aが形成されている。このようなタッチパッド10としては、抵抗膜式や静電容量式等、種々の方式のものを利用することができ、本例では静電容量式を採用している。操作面11aの背面側には基板や電極層が設けられている。タッチパッド10は、操作面11aに接触又は近接する被検知物Dとしての指先等を検知して当該検知位置に応じた入力を受け付ける。本実施形態では、操作入力装置4が本発明における「入力装置」に相当し、表示入力装置40に対する各種の入力を行うことが可能となる。
操作板11には、当該操作板11を貫通する孔部12が設けられている。本実施形態では、このような孔部12が複数(多数)設けられている。これら複数の孔部12は、操作面11aに沿って所定の規則で配列されている。本例では、複数の孔部12が、操作面11a全体に亘って縦横にそれぞれ一定間隔で規則的に配列され、全体としてマトリクス状(直交格子状)に配列されている。それぞれの孔部12は、操作板11の正面から見て円形状に形成されている。
それぞれの孔部12には、突出部材20が挿入されている。従って本例では、突出部材20も複数(多数)設けられ、具体的には孔部12と同数の突出部材20が設けられている。また、これら複数の突出部材20は、操作面11aに沿って所定の規則で配列されている。本例では、複数の突出部材20が、操作面11a全体に亘って縦横にそれぞれ一定間隔で規則的に配列され、全体としてマトリクス状に配列されている。
図5に示すように、突出部材20は、細長い円柱状(ピン状)のピン部材21と、全体として円筒状の筒状部材22とからなる。ピン部材21の外径は、孔部12の内径よりも僅かに小さい。ピン部材21は、その下端部において筒状部材22に係止されている。本例では、それぞれの孔部12に、ピン部材21の先端部(上端部)が挿入されている。駆動機構30によって突出部材20が駆動されていない基準状態(図5の左側の状態)では、平坦に形成されたピン部材21の先端部(先端面)は、操作面11aのレベルに一致している。
図5に示すように、操作板11に対して背面側に駆動機構30が設けられている。この駆動機構30は、操作面11aに対して交差(本例では直交)する方向(これを「突出方向Z」と称する)に沿って突出部材20を進退動作させるための機構である。駆動機構30は、圧電素子31を備えている。
圧電素子31は圧電効果を利用した受動素子であり、圧電体に印加された電圧を力に変換し、或いは圧電体に加えられた外力を電圧に変換する。圧電素子31は、突出方向Zに振動するように設けられている。圧電素子31には連結部材33が連結されており、この連結部材33は圧電素子31と一体的に振動する。連結部材33は、細長い円柱状(ピン状)に形成されている。圧電素子31に連結された側とは反対側の連結部材33の先端部は、筒状部材22の内側の空間に挿入されている。連結部材33の外径は筒状部材22の内径にほぼ等しく、連結部材33の外周面と筒状部材22の内周面とが接している。
連結部材33と筒状部材22とが接触する接触位置において、筒状部材22を外周側から包囲するようにバネ部材34が設けられている。バネ部材34は、内周側に向かう所定の大きさの予圧を提供し、連結部材33と突出部材20を構成する筒状部材22との間に所定の摩擦力を生じさせる。バネ部材34が付与する予圧は、連結部材33と筒状部材22との間の静止摩擦力が突出部材20に作用する重力の突出方向Zの分力よりも少なくとも大きくなるように設定される。また、上記予圧は、圧電素子31の振動に伴い連結部材33と筒状部材22との間に動摩擦力が生じる状態でこれらが摺動可能となるように設定される。
また本実施形態では、圧電素子31の突出方向Zに沿った一方側への振動速度と他方側への振動速度との大小関係が、後述する操作入力演算部50に含まれる突出制御部53(図3を参照)によって調整可能とされている。突出方向側(操作面11aよりも正面側)への振動速度を、反突出方向側である埋没方向側(操作面11aよりも背面側)への振動速度よりも小さくすることで、連結部材33と筒状部材22との間に生じる静止摩擦と動摩擦との差異に基づいて、突出部材20が突出方向側へと移動する。これにより、突出部材20(ピン部材21)の先端部は、操作面11aよりも正面側に突出する。すなわち、突出部材20は、先端部が操作板11を貫通して操作面11aより正面側に突出した状態(突出状態)となり得る。この突出状態は、突出方向Zに沿った突出部材20の先端部の高さが操作面11aよりも高い状態(第一状態)である。
一方、これとは逆に埋没方向側への振動速度を突出方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20は埋没方向側へと移動する。すなわち、突出部材20は、先端部が操作面11aより背面側に埋没した状態(埋没状態)ともなり得る。なお、「埋没状態」には、突出部材20のピン部材21の先端部が操作面11aのレベルに一致している状態も含まれるものとする。この埋没状態は、突出方向Zに沿った突出部材20の先端部の高さが操作面11a以下の状態(第二状態又は非突出状態)である。
このように、複数の突出部材20は、駆動機構30により、操作面11aからそれぞれ独立して突出可能に、すなわち突出状態と埋没状態との間で移動可能に設けられている。そして、操作面11aの全体に出没自在に設けられる多数の突出部材20により、任意形状の凹凸を表現することが可能となっている。
3.操作入力システムの構成
図3に示すように、操作入力システム3は、上述した操作入力装置4と、表示入力装置40と、これらの間に介在される操作入力演算部50とを備えている。本実施形態では、操作入力演算部50はナビゲーション装置1を構成する制御演算部6に組み込まれて実装されている(図2を参照)。但し、このような構成に限られず、操作入力演算部50が制御演算部6とは独立して設けられていても良い。操作入力装置4と表示入力装置40とは、操作入力演算部50を介して情報伝達可能に接続されている。
操作入力演算部50は、描画制御部51、ステータス判定部52、突出制御部53、位置検知部54、状態検知部55、操作判定部56、処理実行部57、入力待ち状態判定部58、及び別入力受付部59を備えている。
描画制御部51は、表示画面41への表示画像を描画制御する。描画制御部51は、自位置周辺の背景、道路R、及び名称等の画像イメージを含む複数のレイヤ(層)を生成する。また、描画制御部51は、自車両の現在位置を表す自位置マークPのイメージを含むレイヤや、目的地が設定されている場合には当該目的地までの案内経路の画像イメージを含むレイヤを生成する。更に描画制御部51は、所定の操作標章44の画像イメージを含むレイヤや、所定の操作カーソル45の画像イメージを含むレイヤを生成する。そして、描画制御部51は、これらの各レイヤを重ね合わせて1つの表示画像イメージを生成し、これを表示画面41に表示させる(図4を参照)。
ここで、描画制御部51は、ユーザーからの求めや車両の走行状態等に応じて、表示画面41に操作標章44を表示させる。描画制御部51は、状況に応じて各種の操作標章44の表示/非表示を適宜切り替える。なお、図4にはそのような操作標章44として、道路Rを含む地図画像の縮尺の変更を指定するための操作ボタン(図示の例では、広域ボタン及び詳細ボタン)が表示された例が示されている。描画制御部51は、これらの操作ボタン等によって指定された縮尺に応じて道路Rの画像イメージを含むレイヤを再生成することで、道路Rを含む地図画像を再描画することができる。これにより、表示入力装置40は、指定された縮尺に応じて道路Rを含む地図画像を表示切替可能である。
また、描画制御部51は、ユーザーからの求めに応じて操作カーソル45の表示/非表示を適宜切り替える。本実施形態では、描画制御部51は、操作面11aへの被検知物Dの接触又は近接が検知されていない場合には、操作カーソル45を非表示とする。一方、描画制御部51は、操作面11aへの被検知物Dの接触又は近接が検知されている場合には、その操作面11a上での検知位置に対応する表示画面41上の位置に、本例において円形状の操作カーソル45を表示させる。本例では、上記検知位置と操作カーソル45の中心位置とが一致するように当該操作カーソル45が表示される。操作面11aに接触又は近接した状態で被検知物Dがスライドし、検知位置もスライドする場合には、表示される操作カーソル45もそれに同調して表示画面41上を移動する。
また、描画制御部51は、状況に応じて各種の道路Rの表示形態を適宜切り替える。例えば描画制御部51は、渋滞又は混雑している道路Rを、それ以外の道路Rと視覚的に異なる態様で表示する。また例えば描画制御部51は、後述する突出制御部53等により突出状態とされる突出部材20に対応する道路Rを、それ以外の道路Rと視覚的に異なる態様で表示する。描画制御部51は、例えば特定の道路Rを表す線分に沿って他の画像イメージ(他の線分や点線等)を表示させることで、その道路Rとそれ以外の道路Rとを視覚的に異ならせることができる。また描画制御部51は、例えば特定の道路Rを表す線分の太さ、形状、線種、輝度、及び色彩等を通常の態様から変更することで、その道路Rとそれ以外の道路Rとを視覚的に異ならせることができる。
ステータス判定部52は、表示画面41に表示される画像内容に応じて、突出部材20のそれぞれについて突出の状態を表す突出ステータスを判定する。本実施形態では、突出ステータスには「高突出状態」と「低突出状態」と「埋没状態」とが含まれる。ここで、突出ステータスの1つとしての「埋没状態」は、突出方向Zにおける可動範囲内で突出部材20が最小変位位置にある状態(ピン部材21の先端部が操作面11aのレベルに一致している状態)である。「高突出状態」は、突出方向Zにおける可動範囲内で突出部材20が最大変位位置にある状態であり、「低突出状態」は、突出方向Zにおける可動範囲内で突出部材20が「高突出状態」よりも低く「埋没状態」よりも高い変位位置にある状態、ここでは「高突出状態」と「埋没状態」との中間の状態である。本実施形態では、ステータス判定部52は、各突出部材20を高突出状態、低突出状態、及び埋没状態のうちのいずれの状態とするかを択一的に判定する。
ここで、上述したように、表示画面41には、自位置周辺の地図画像、自位置マークPの画像、所定機能に関連付けられた操作標章44の画像等が表示され得る。ステータス判定部52は、表示画面41に道路Rのうち、案内経路を構成する道路Sを含む画像が表示されている場合、当該道路Sを表す軌跡に含まれる各点の座標の相互の位置関係に対応する位置関係となる複数の突出部材20について、その突出ステータスを「高突出状態」と判定する。また、ステータス判定部52は、表示画面41に道路Rのうち、案内経路を構成する道路S以外の道路Tを含む画像が表示されている場合、当該道路Tを表す軌跡に含まれる各点の座標の相互の位置関係に対応する位置関係となる複数の突出部材20について、その突出ステータスを「低突出状態」と判定する。本実施形態では、ステータス判定部52は、表示画面41の座標と操作面11aの座標とを対応付け、表示された道路S及び道路Tのそれぞれを表す軌跡に含まれる各点の座標に対応する操作面11a上の各点の座標に位置する複数の突出部材20について、その突出ステータスをそれぞれ「高突出状態」及び「低突出状態」と判定する。
また、ステータス判定部52は、表示画面41に自位置マークPを含む画像が表示されている場合、当該自位置マークPに対応する突出部材20についても、その突出ステータスを「高突出状態」と判定する。また、ステータス判定部52は、表示画面41に目印となるべき特徴を有する施設Qを含む画像が表示されている場合、当該施設Qに対応する突出部材20についても、その突出ステータスを「高突出状態」と判定する。更にステータス判定部52は、表示画面41に特定の操作標章44を含む画像が表示されている場合、当該操作標章44の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20についても、その突出ステータスを「低突出状態」と判定する。
なお、ステータス判定部52は、表示画面41に表示された画像において、道路R、自位置マークP、及び操作標章44のいずれも表示されていない領域の各点の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20については、その突出ステータスを「埋没状態」と判定する。
また、ステータス判定部52は、表示画面41に表示される画像が変更される場合には、突出部材20のそれぞれについて、切替前の画像に応じた突出ステータスと切替後の画像に応じた突出ステータスとの差分を判定する。ステータス判定部52は、突出部材20のそれぞれについて、「変化なし」、「高突出状態へ移行」、「低突出状態へ移行」、及び「埋没状態へ移行」のいずれに該当するかを択一的に判定する。ここでは特に、表示画面41に表示される地図画像(道路Rを含む画像)が変更される場合には、ステータス判定部52は、画像に含まれる道路Rの変更態様に応じて突出部材20の突出ステータスの差分をそれぞれ判定する。
ステータス判定部52は、突出部材20のそれぞれについて判定した突出ステータス又はその差分の情報を、突出制御部53に出力する。
突出制御部53は、表示画面41に地図画像が表示されている場合に、当該地図画像に含まれる地図内容情報に対応させて突出部材20を突出させる。本実施形態では、地図画像とは、GPS受信機81、方位センサ82、及び距離センサ83等の自位置情報取得部8により取得した自位置を示す自位置画像を含むナビゲーション用の地図の画像である。表示画面41に地図画像が表示されているか否かは、ステータス判定部52から受け取った情報に基づいて判断することができる。地図画像に含まれる地図内容情報には、本実施形態では道路Rの情報及び施設Qの情報が含まれる。したがって、突出制御部53は、ステータス判定部52から受け取った情報に基づいて駆動機構30を制御し、操作面11aに対する突出部材20の突出方向Zの位置を制御する。本実施形態では、突出制御部53は、道路R及び施設Qに対応させて突出部材20を突出させる。ここで、表示画面41の座標と操作面11aの座標とは対応付けられている。よって、突出制御部53は、表示画面41における道路R及び施設Qの座標に対応付けられた操作面11aの座標の位置に配置されている突出部材20を突出させることが可能となる。
上述のように、本実施形態では案内経路を構成する道路Sに対応する突出部材20及び目印となるべき特徴を有する施設Qに対応する突出部材20は、それ以外の道路、すなわち案内経路を構成する道路S以外の道路Tに対応する突出部材20よりも突出量が大きくなるように突出される。したがって、ユーザーは操作面11aから突出する突出部材20に触れることにより案内経路及び目印となるべき特徴を有する施設Qの位置を把握することができる。
また、本実施形態では、突出制御部53は、パルス状の電圧を印加して圧電素子31を振動させる。その際、突出制御部53は、突出方向Zに沿った一方側への振動速度と他方側への振動速度との大小関係を調整することができるように構成されている。このような構成は、圧電素子31の振動方向に応じてデューティ比を異ならせることによって実現できる。突出制御部53は、突出方向側への振動速度を埋没方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20を突出方向側へと移動させる。一方、突出制御部53は、埋没方向側への振動速度を突出方向側への振動速度よりも小さくすることで、突出部材20を埋没方向側へと移動させる。
また、突出制御部53は、表示画面41に自位置マークPや操作標章44を更に含む画像が表示されている場合、当該自位置マークPや操作標章44の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20をも「高突出状態」又は「低突出状態」とする。
突出制御部53は、道路R、自位置マークP、及び操作標章44のいずれも表示されていない領域(例えば、背景等)の表示画面41上の座標に対応する操作面11a上の座標に位置する突出部材20を「埋没状態」とする(図4参照)。このようにして、突出制御部53は、表示画面41に表示されている特定の道路R、自位置マークP、及び特定の操作標章44に対応する突出部材20を「高突出状態」又は「低突出状態」とする。ステータス判定部52による判定結果が突出ステータスの差分として得られる場合には、突出制御部53は、その判定結果に基づいて、突出部材20のそれぞれを「高突出状態」、「低突出状態」、若しくは「埋没状態」に維持し、又は、「高突出状態」と「低突出状態」と「埋没状態」との間で切り替える。
なお、突出制御部53は、突出部材20を「高突出状態」と「低突出状態」と「埋没状態」との間で切り替えるために要する時間よりも長い所定時間だけ圧電素子31を振動させ、その後は振動を停止させる。すなわち、上記所定時間だけ圧電素子31に対して電圧を印加し、その後は電圧の印加を停止する。電圧印加の停止後であっても、突出部材20は、連結部材33と筒状部材22との間の静止摩擦により突出方向Zの位置を維持する。
また、突出制御部53は、自位置の移動に伴う自位置と地図との位置関係の変化に応じて突出部材20の突出状態を更新する。自位置の移動とは、実空間において走行することによる自位置の移動である。このような移動に伴い表示画面41の地図画像も更新される。したがって、表示画面41内に表示される道路Rの形態は走行に応じて時々刻々と変化する。また、突出状態とは、「高突出状態」、「低突出状態」、及び「埋没状態」からなる突出部材20の突出態様である。突出制御部53は、このような時々刻々と変化する道路Rの形態に伴い、操作面11aの突出部材20の突出状態を更新する。
このような突出状態の更新に係る形態が、図6に示される。図6(a)〜図6(c)は、案内経路に沿って自車が直進している状況を示している。走行に応じて、案内経路において右折すべきコーナーに近づいていることが示される。図6(d)は、図6(c)の状態から案内経路に従ってコーナーを右折した後の表示画面41に表示される画像と、これに伴って突出状態が制御される突出部材20が示される。このように本実施形態に係る突出制御部53は、突出部材20の突出状態が表示画面41に表示される地図に追従するように突出部材20の突出状態を更新する。
入力待ち状態判定部58は、操作入力装置4が入力待ちであるか否かを判定する。本実施形態では、入力待ち状態判定部58は、操作入力装置4に対する入力があったことに基づいて入力待ち状態の開始を判定する。したがって、入力待ち状態判定部58は、ユーザーにより突出部材20が押し込まれたことを検知した場合に、入力待ち状態になったと判定する。このような突出部材20の押し込みは、ユーザーにより行われる。
また、入力待ち状態判定部58は、上述の入力待ち状態が解除されたことも判定する。本実施形態では、入力待ち状態判定部58は、操作入力装置4に対する最後の入力からの経過時間及び操作入力装置4に対する最後の入力からの自位置の移動距離の少なくとも一方に基づいて入力待ち状態の終了を判定する。したがって、入力待ち状態判定部58は、ユーザーによる突出部材20の押し込みがあってから予め設定された時間が経過した場合や、ユーザーによる突出部材20の押し込みがあってから予め設定された距離だけ自位置が移動した場合に、入力待ち状態が解除されたと判定する。
また、操作入力装置4は、突出部材20が押し込まれたことを検知すること以外の入力を受け付ける別入力受付部59も備えている。突出部材20が押し込まれたこととは、ユーザーが突出部材20を押し込んだことをいう。突出部材20が押し込まれたことの検出は、突出部材20の位置を検出するセンサの出力に基づいて行い、或いは「高突出状態」又は「低突出状態」とされている突出部材20が設けられているタッチパッド10上の位置においてタッチパッド10により接触を検出したことに基づいて行う。突出部材20が押し込まれたことを検知すること以外の入力とは、例えば操作面11a上を素早く動かすようなフリック入力、複数の指で操作面11aにタッチするタッチ入力、2本の指の間隔を狭くするピンチイン入力、2本の指の間隔を広くするピンチアウト入力等による入力が相当する。別入力受付部59はこのような入力を受け付ける。
入力待ち状態判定部58は、別入力受付部59に対する入力があったことに基づいて入力待ち状態の開始を判定する。すなわち、ユーザーが操作面11a上を素早く動かすようなフリック入力をした場合や、複数の指で操作面11aにタッチしたことによる入力をした場合に、入力待ち状態判定部58は操作入力装置4が入力待ちであると判定する。
このような入力待ち状態判定部58が入力待ち状態であると判定している間は、突出制御部53は突出部材20の更新を中断する。このため、入力待ち状態の場合には、表示画面41に含まれる地図画像は自位置の移動に伴って更新されるが、突出部材20の突出状態は更新されない、すなわち突出部材20の突出状態が表示画面41に含まれる地図画像に追従しない。そこで、本実施形態では、入力待ち状態であると判定した場合には、処理実行部57が、当該判定時における表示画面41の状態において操作面11a又は突出部材20に対する操作により入力可能な機能項目を取得する。ここで取得する機能項目は、許容される操作入力に対応する操作コマンドのリストであり、具体的には、入力待ち状態であると判定した時の表示画面41に表示された画像(地図画像を含む)に対応した操作面11aの位置と、各位置における操作面11a又は突出部材20が操作されることにより実行される処理との関係を規定したリストである。そして、操作面11a又は突出部材20が操作されて入力が行われた場合には、処理実行部57は、既に取得している機能項目から操作に対応する操作コマンドを選択し、その処理を実行する。したがって、地図画像と突出部材20の突出状態との間で対応関係に差異が生じた場合でも、操作入力があった場合には、入力待ち状態であると判定した時に取得した機能項目を参照し、適切な処理を実行することができる。なお、入力待ち状態であると判定している間とは、入力待ち状態になってから入力待ち状態が終了するまでの間であり、入力待ち状態になるか否かを判定している状態を含むものではない。
位置検知部54は、タッチパッド10の操作面11a上での被検知物Dの検知位置を取得する。位置検知部54は、被検知物Dとしての指先等が操作面11aに接触又は近接することによって生じる電極間の静電容量の変化に基づいて、被検知物Dが最も接近した電極の位置を特定する。そして、位置検知部54は、その特定された電極の位置を操作面11a上での検知位置として取得する。このような位置検知部54の機能により、タッチパッド10は、操作面11a上での検知位置に応じた入力を受け付けることができる。位置検知部54は、取得した検知位置の情報を、描画制御部51及び操作判定部56に出力する。
状態検知部55は、突出部材20の「高突出状態」と「低突出状態」と「埋没状態」とを識別可能に検知する。状態検知部55は、例えば位置センサ(図示せず)からの情報を取得可能に構成されている。状態検知部55は、取得される各突出部材20の突出方向Zにおける位置の情報に基づいて、各突出部材20の実際の突出ステータスが「高突出状態」、「低突出状態」、及び「埋没状態」のいずれであるかを検知する。状態検知部55は、その検知結果の情報を、操作判定部56に出力する。
操作判定部56は、少なくとも操作面11aに対する所定操作に基づいて、ユーザーによるナビゲーション装置1への所定の操作入力を判定する。本実施形態では、判定基準となる「所定操作」には、例えば操作面11aに非接触となっている被検知物Dを操作面11aに接触させる操作(タッチ操作)、操作面11aに接触している被検知物Dを一旦操作面11aから浮かせた後で再度接触させる操作(タップ操作)、タップ操作を所定時間内に2度繰り返して行う操作(ダブルタップ操作)等が含まれる。また本実施形態では、そのような「所定操作」には、突出部材20に対する押込操作も含まれる。押込操作とは、突出状態にある突出部材20を操作面11a側に押し込む操作である。
操作判定部56は、所定操作が行われた操作面11aの位置に基づいて、ユーザーによるナビゲーション装置1への所定の操作入力を判定する。ユーザーによるナビゲーション装置1への操作入力としては、例えば表示画面41に表示された操作標章44に関連付けられた特定の機能の選択や、表示画面41に表示された地図中の特定の地点の選択等が挙げられる。表示画面41上の操作標章44の位置に対応する操作面11aの位置(「操作標章割当領域」と称する)で上記の所定操作が行われた場合、操作判定部56は、その操作標章44に関連付けられた機能が選択されたと判定する。この場合、操作判定部56はそのことを表す情報をナビゲーション用演算部70等に出力して、当該選択された機能を実現させる。
図4において、広域ボタンとしての操作標章44についての操作標章割当領域で所定操作が行われた場合には、表示される地図画像の縮尺が大きくなるように変更され、表示画面41内の地図画像が拡大表示される。拡大表示された場合にも、表示画面41に道路R、自位置マークP、及び操作標章44が表示される。これに応じて操作面11aの、複数の突出部材20の突出状態も更新される。
なお、表示画像の縮尺を変更した場合にはその前後で、地図画像(道路Rを含む画像)は変更されているものの、広域ボタン及び詳細ボタンとしての操作標章44は何ら変更されていない。そこで、突出制御部53は、操作標章44に対応する突出部材20については、これらを突出状態に維持させたまま、変更前後の各道路Rに対応する各突出部材20の突出ステータスを、道路Rの変更態様に応じて変化させている。
操作判定部56は、操作標章44の存在しない位置に対応する操作面11aの位置(「非標章領域」と称する)で上記の所定操作が行われた場合には、例えばその位置に対応する地図中の地点が選択されたと判定する。この場合、操作判定部56はそのことを表す情報を描画制御部51に出力し、描画制御部51は当該選択された地点を中心とする地図画像(当該地点の周辺の地図画像)を表示画面41に表示させる。なお、それに合わせて各突出部材20の突出ステータスの差分が判定され、それに応じてそれぞれ突出状態と埋没状態との間での切り替えが行われる。また、操作判定部56は、後述する処理実行部57にも操作面11aにおいて所定操作が行われたことを示す情報を出力する。
処理実行部57は、突出部材20のそれぞれに対応する地図内容情報に応じて異なる処理を突出部材20のそれぞれに割り当てる。上述のように本実施形態では、地図内容情報には道路の情報が含まれる。特に、本実施形態では、処理実行部57は、道路の属性を規定する属性情報に応じて異なる処理を突出部材20のそれぞれに割り当てる。属性情報には、経路属性及び位置属性の少なくとも一方の情報が含まれる。経路属性とは、出発地から目的地までの案内経路を構成する道路であるか、当該案内経路を構成する道路以外の道路であるかを示す属性である。また、位置属性とは、案内経路を構成する道路に関して、自位置であるか、自位置から目的地までの案内経路上の位置であるか、出発地から自位置までの案内経路上の位置であるかを示す属性である。処理実行部57は、操作面11aに配置された突出部材20のそれぞれに対して、上述のような属性に応じて異なる処理を割り当てる。本実施形態では、処理実行部57は、入力待ち状態判定部58が入力待ち状態であると判定した際には、判定時の表示画面41に表示された画像に含まれる地図内容情報に応じて、各突出部材20の処理を割り当てる。このように割り当てた処理(操作コマンド)のリストが、上述した機能項目に相当する。
これにより、処理実行部57は、経路属性が、案内経路を構成する道路であることを示しているか、案内経路を構成する道路以外の道路であることを示しているかに応じて、並びに、経路属性が案内経路を構成する道路であることを示している場合には、位置属性が、自位置であることを示しているか、自位置から目的地までの案内経路上の位置であることを示しているか、出発地から自位置までの案内経路上の位置であることを示しているかに応じて、異なる処理を突出部材20のそれぞれに割り当てる。すなわち、処理実行部57は、経路属性が、案内経路を構成する道路であることを示しているか、案内経路を構成する道路以外の道路であることを示しているかに応じて異なる処理を突出部材20のそれぞれに割り当てる。また、処理実行部57は、経路属性が案内経路を構成する道路であることを示している場合には、位置属性が、自位置であることを示しているか、自位置から目的地までの案内経路上の位置であることを示しているか、出発地から自位置までの案内経路上の位置であることを示しているかに応じて異なる処理を突出部材20のそれぞれに割り当てる。
本実施形態では、処理実行部57は、案内経路を構成する道路S以外の道路Tに対応する突出部材20に、案内経路が当該突出部材20が対応する道路T上の位置を通るように再設定する経路再設定処理を割り当てる。このように割り当てられた処理が図7に示される。図7(a)に示される例では、案内経路を構成する道路は、符号Sが付されている道路Rである。このような道路Sに対応する突出部材20は、「高突出状態」とされる。一方、操作面11aには案内経路を構成する道路S以外の道路も示される。このような道路には符号Tが付されている。このような道路Tに対応する突出部材20は、「低突出状態」とされる。
処理実行部57は、突出部材20が押し込まれたことを検知した場合に、当該押し込まれた突出部材20に割り当てられた処理を実行する。図7(a)に示されるように例えばユーザーにより案内経路を構成する道路S以外の道路Tに対応する突出部材20が押し込まれると、処理実行部57は、当該ユーザーにより押し込まれた突出部材20に対応する道路T上の位置を通るように、案内経路が再設定される。このように再設定された案内経路を構成する道路Sが表示画面41に表示され(図7(b)参照)、それに合わせて突出部材20の突出状態も更新される。
また、処理実行部57は、自位置に対応する突出部材20に、自位置をマッチングさせる道路の再計算を行う再マッチング処理を割り当てる。ここで、再マッチング処理とは、当該処理を開始する時点の最新の情報に基づいて、自位置を道路にマッチングさせる演算処理を再実行することである。ここで用いる最新の情報には、例えば、その時点の自位置、自位置の進行方向、自位置の移動軌跡、道路位置、道路形状等の情報が含まれる。例えばトンネル等に通過時にGPS受信機81により自位置情報の取得ができなかった場合、トンネルから脱出した際に地図上の自位置に誤差が含まれる可能性がある。再マッチング処理は、このような誤差をいち早く修正したい際などに有効である。
処理実行部57は、自位置に対応する突出部材20が押し込まれたことを検知した場合には、再マッチング処理として、当該再マッチング処理の前に自位置がマッチングされている道路に対して予め定めた距離内に並行する並行道路が存在するか否かを確認し、当該並行道路が存在する場合には、当該並行道路に自位置をマッチングさせる処理を実行する。すなわち、処理実行部57は、自位置に対応する突出部材20が押し込まれたことを検知した場合には、現在、自位置がマッチングされている道路に対して予め設定された距離内に並行する並行道路があるか否かを確認する。並行する道路が予め設定された距離内になければ、処理実行部57は上述のように通常の再マッチング処理を実行する。
一方、現在、自位置がマッチングされている道路に対して予め設定された距離内に並行する並行道路があれば、処理実行部57は、再マッチング処理として、自位置を並行道路にマッチングさせる処理である並行道路マッチング処理を実行する。このような処理が図8に示される。図8(a)に示される例では、案内経路を構成する経路が符号Sが付されている道路Rである。このような道路Sに対応する突出部材20は、「高突出状態」とされる。一方、案内経路を構成する道路Sに並行する道路に符号Uが付されている。このような道路に対応する突出部材20は、「低突出状態」とされる。
例えば、自位置がマッチングされている道路に並行する並行道路がある状態において、ユーザーにより自位置マークPに対応する突出部材20が押し込まれると、処理実行部57は、図8(b)に示されるように、自位置を並行道路Uにマッチングさせる。これにより、当該ユーザーにより押し込まれた突出部材20に対応する並行道路U上に自位置がマッチングされる。更に本例では、当該並行道路Uを通るように案内経路が再設定される。それに合わせて突出部材20の突出状態も更新される。これにより、例えば高速道路やバイパス等の高架で構成された道路と、当該高架下や高架の脇を走行する並行道路Uとがある場合であって、これらの道路のうち自位置が実際に走行していない道路にマッチングされている場合でも、ユーザーの意図に合わせて自位置を補正することが可能となる。
また、処理実行部57は、自位置から目的地までの案内経路上の位置に対応する突出部材20に、自位置から目的地までの案内経路に関する情報を表示する行先経路情報表示処理を割り当て、出発地から自位置までの案内経路上の位置に対応する突出部材20に、出発地から自位置までの案内経路に関する情報を表示する通過経路情報表示処理を割り当てる。自位置から目的地までの案内経路に関する情報とは、例えば自位置から目的地までの距離、到達予想時刻、自位置から目的地に至るまでに通過する場所の天候等が含まれる。また、出発地から自位置までの案内経路に関する情報とは、例えば出発地から自位置までの距離、走行時間等が含まれる。
図9には、自位置から目的地までの案内経路に関する情報を表示する例が示される。図9(a)に示されるように、ユーザーにより自位置から目的地までの案内経路を構成する道路Sに対応する突出部材20が押し込まれると、処理実行部57は、図9(b)に示されるように、表示画面41に自位置から目的地までの距離、到達予想時刻、自位置から目的地に至るまでに通過する場所の天候を表示するよう描画制御部51に処理させる。これにより、ユーザーが、自位置から目的地に至るまでの案内経路に関する情報を容易に取得することが可能となる。もちろん、このような案内経路に関する情報を音声出力装置88から音声として出力させるように構成することも可能である。
図10には、出発地から自位置までの案内経路に関する情報を表示する例が示される。図10(a)に示されるように、ユーザーにより出発地から自位置までの案内経路を構成する道路Sに対応する突出部材20が押し込まれると、処理実行部57は、図10(b)に示されるように、表示画面41に出発地から自位置までの距離、走行時間を表示するよう描画制御部51に処理させる。これにより、ユーザーが、出発地から自位置に至るまでの案内経路に関する情報を容易に取得することが可能となる。もちろん、このような案内経路に関する情報を音声出力装置88から音声として出力させるように構成することも可能である。
更に、処理実行部57は、施設Qに対応する突出部材20に、当該施設Qに関する情報を表示する施設情報表示処理を割り当てる。施設Qに関する情報とは、例えば、当該施設Qの名称、種別や属性、電話番号等の当該施設Qに関する各種情報である。このような施設情報表示処理を割り当てる施設Qとしては、走行中に目印となり得る特徴を有する施設、すなわち周囲の施設に比べて広い面積を有する施設や周囲の施設に比べて高背の施設など、いわゆるランドマークと呼ばれる施設が適している。
図11には、施設Qに関する情報を表示する例が示される。図11(a)に示されるように、ユーザーにより施設Qに対応する突出部材20が押し込まれると、処理実行部57は、図11(b)に示されるように、表示画面41に当該施設Qに関する情報として、その名称や属性(高さなど)を表示するよう描画制御部51に処理させる。これにより、ユーザーが、施設Qに関する情報を容易に取得することが可能となる。もちろん、このような施設Qに関する情報を音声出力装置88から音声として出力させるように構成することも可能である。
4.操作入力システムの処理
本実施形態に係る操作入力システム3による処理について、図12〜図14を参照して説明する。以下に説明する処理は、操作入力演算部50の各機能部を構成するハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実行される。上記の各機能部がプログラムにより構成される場合には、操作入力演算部50を含む制御演算部6が有する演算処理装置が、各機能部を構成するプログラムを実行するコンピュータとして動作する。
図12に示されるように、まず各種の準備処理が実行される(ステップ#01)。この準備処理には、例えば表示画像イメージを作成するためのワークエリアの準備等が含まれる。次に、実際に表示画像イメージが作成される(ステップ#02)。本例では特に、指定された縮尺に応じた地図画像イメージを含む表示画像イメージが作成される。そして、タッチパッド10に操作がされたか否かの判定が行われる(ステップ#03)。タッチパッド10に操作がされていない場合には(ステップ#03:Yes)、突出状態設定処理が実行される(ステップ#04)。
図13に示されるように、突出状態設定処理では、自位置情報取得部8により自位置を示す自位置情報が取得される(ステップ#21)。自位置が取得されると、現在位置周辺の地図画像及び地図内容情報が地図データベース85から取得される(ステップ#22、#23)。
取得された地図画像及び地図内容情報を基に自位置を中心としたターンリストが作成される(ステップ#24)。地図画像からターンリストに接続される分岐点と分岐経路を含む分岐経路リストが作成される(ステップ#25)。地図内容情報からターンリストに載せる施設Qを抽出し、施設リストが作成される(ステップ#26)。
ステップ#24で設定されたターンリストから案内経路に対応する突出部材20の突出状態が設定される(ステップ#27)。また、ステップ#25で設定された分岐経路リストから分岐経路に対応する突出部材20の突出状態が設定される(ステップ#28)。更に、ステップ#26で設定された施設リストから施設Qに対応する突出部材20の突出状態が設定される(ステップ#29)。また、ステップ#21で取得された自位置を表示する自位置マークPを表示する突出部材20の突出状態を設定する(ステップ#30)。ステップ#27〜ステップ#30で設定されたそれぞれの突出部材20の突出状態を合成し、全体的な突出部材20の突出状態が設定される(ステップ#31)。以上で突出状態設定処理を終了する。
突出状態設定処理が終了すると、図12に戻り、ステップ#02で作成された表示画像イメージに基づいて、表示画面41に画像が表示され、またステップ#31で合成された突出状態に基づき突出部材20が進退駆動される(ステップ#05)。これにより、表示画面41に表示されている特定の道路R、自位置マークP、及び特定の操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされる。この状態で、入力判定処理が実行される(ステップ#06)。
図14に示されるように、入力判定処理では、突出部材20への入力が行われたか否かが判定される(ステップ#41)。突出部材20への入力が行われた場合には(ステップ#41:Yes)、当該突出部材20の位置が判定される。当該入力が行われた突出部材20が、ターンリスト上のものでもなく(ステップ#42:Yes)、分岐経路上のものでもなく(ステップ#43:Yes)、施設Q上のものでもない場合には(ステップ#44:Yes)、誤検出の可能性があることから入力判定処理を終了する。
入力が行われた突出部材20が、ターンリスト上のものでもなく(ステップ#42:Yes)、分岐経路上のものでもないが(ステップ#43:Yes)、施設Q上のものであれば(ステップ#44:No)、操作入力演算部50はナビゲーション用演算部70に対して当該施設Qに関する情報を出力するよう指示する(ステップ#45)。これが、ナビゲーション装置1で実行可能な処理であれば(ステップ#46:Yes)、ナビゲーション用演算部70は処理を実行し(ステップ#47)、入力判定処理を終了する。一方、ナビゲーション装置1で実行可能な処理でなければ(ステップ#46:No)、ナビゲーション用演算部70は処理を実行することなく入力判定処理を終了する。
入力が行われた突出部材20が、ターンリスト上のものでないが(ステップ#42:Yes)、分岐経路上のものである場合には(ステップ#43:No)、操作入力演算部50はナビゲーション用演算部70に対して当該入力が行われた突出部材20に対応する地点を通るようにリルート(経路再探索)を行うよう指示する(ステップ#48)。その後、ステップ#46から処理を続行する。
入力が行われた突出部材20が、ターンリスト上のものであれば(ステップ#42:No)、更にその位置の詳細が判定される。当該入力が自位置のものであり(ステップ#49:Yes)、案内経路から予め設定された距離内に並行道路があれば(ステップ#50:Yes)、操作入力演算部50はナビゲーション用演算部70に対して自位置を並行道路にマッチングさせる並行道路マッチング処理を実行させる(ステップ#51)。その後、ステップ#46から処理を続行する。
入力が行われた突出部材20が、当該入力が自位置のものであるが(ステップ#49:Yes)、案内経路から予め設定された距離内に並行道路がなければ(ステップ#50:No)、操作入力演算部50はナビゲーション用演算部70に対して自位置を道路にマッチングさせる演算処理を再実行する通常の再マッチング処理を実行させる(ステップ#52)。その後、ステップ#46から処理を続行する。
入力が行われた突出部材20が、自位置のものでなく(ステップ#49:No)、出発地から現在の位置までの間の案内経路に対応する突出部材20であれば(ステップ#53:Yes)、操作入力演算部50はナビゲーション用演算部70に対して出発地から現在地までの案内経路に関する通過経路情報を表示するよう指示する(ステップ#54)。その後、ステップ#46から処理を続行する。
入力が行われた突出部材20が、自位置のものでなく(ステップ#49:No)、出発地から現在の位置までの間の案内経路に対応する突出部材20でなければ(ステップ#53:No)、操作入力演算部50はナビゲーション用演算部70に対して現在地から目的地までの案内経路に関する行先経路情報を表示するよう指示する(ステップ#55)。その後、ステップ#46から処理を続行する。
また、ステップ#41において、突出部材20への入力がない場合には(ステップ#41:No)、タッチパッド10における突出部材20が突出していない領域への入力があったか否かが判定される(ステップ#56)。タッチパッド10における突出部材20が突出していない領域への入力があった場合には(ステップ#56:Yes)、操作入力演算部50はナビゲーション用演算部70に対してナビゲーション操作があったことを通知する(ステップ#57)。その後、入力判定処理を終了する。一方、タッチパッド10における突出部材20が突出していない領域への入力がない場合には(ステップ#56:No)、そのまま、入力判定処理を終了する。
入力判定処理が終了すると、図12に戻り、表示画面41における表示画像の変更の有無が判定される(ステップ#07)。入力判定処理において押込操作もタッチ操作も検知されなかった場合には、画面遷移はない可能性が高い。そのような場合には(ステップ#07:No)、ステップ#02から処理が継続される。一方、入力判定処理の結果として操作標章44が選択された場合や地図画像のスクロール処理が実行される場合、或いは自車両の現在位置が変更された場合等には、画面遷移が伴い得る。そのような場合には(ステップ#07:Yes)、処理を終了する。なお、変更後の表示画像に対して再度ステップ#01以降の処理が実行される。
また、ステップ#03において、タッチパッド10に対する操作がされた場合には(ステップ#03:No)、タッチパッド10に対する操作が終了してからの時間が計測される(ステップ#08)。また、タッチパッド10に対する操作が終了してからの移動距離も計測される(ステップ#09)。このようなタッチパッド10に対する操作が終了してからの時間及び距離の計測は、タッチパッド10に対する操作がされるまで継続する(ステップ#10:No)。一方、当該計測中にタッチパッド10に対する操作がされた場合には(ステップ#10:Yes)、計測された時間及び距離の一方又は双方が予め設定された値を超えたか否かが判定される。計測された時間及び距離の一方又は双方が予め設定された値を超えない場合には(ステップ#11:No)、ステップ#02と同様に、表示画像イメージが作成される(ステップ#12)。一方、計測された時間及び距離の一方又は双方が予め設定された値を超えた場合には(ステップ#11:Yes)、処理を終了する。なお、変更後の表示画像に対して再度ステップ#01以降の処理が実行される。
以上の処理が逐次繰り返して実行される。
本実施形態では、上述したように表示画面41の座標と操作面11aの座標とが対応付けられ、表示画面41に表示されている特定の道路R、自位置マークP、及び操作標章44に対応する突出部材20が突出状態とされる。突出部材20の埋没状態では、操作面11aにおけるその周辺部分は平坦であるのに対して、突出状態にある突出部材20の先端部は操作面11aから明確に突出し、ユーザーは指先等によって直接的にその段差部分を触覚認識することができる。
特に本実施形態では、特定の操作標章44だけでなく、道路Rや自位置マークPが表示画面41に表示されている場合に、当該道路Rや自位置マークPに対応する突出部材20も突出状態とされる。これにより、ユーザーは、表示画面41に表示される道路R等の形状と、触覚により認識される突出状態にある複数の突出部材20の先端部の集合により形成される集合形状とを、意識の中で対比させて容易に関連付けることができる。このとき、自車両の現在位置との関係も考慮することで、関連付けを容易に行うことができる。更にユーザーは、表示される道路Rの形状に対応する集合形状となるように突出状態とされる複数の突出部材20を頼りに、特定の位置において操作面11aへのタッチ操作等を行うことができる。よって、ユーザーは、手元付近に設けられるタッチパッド10はもちろんのこと、運転時の視線方向に近い位置に設けられる表示入力装置40すらほとんど見ることなく、容易に望みの操作入力を行うことができる。従って、本実施形態に係る操作入力システム3によれば、表示画面41を注視することなく従来に比べてより確実な操作入力を行うことができると共に、利便性に優れた操作入力が可能である。
更に本実施形態では、案内経路を構成する道路Sに対応する突出部材20と、当該道路S以外の道路Tに対応する突出部材20とを、突出方向Zに位置を異なるように制御する。これにより、道路Sと道路Tとを表示画面41上で明確に区別してユーザーに視覚認識させることができる。よって、この点からも、案内経路を構成する道路Sの形状と案内経路を構成する道路S以外の道路Tの形状との関連付けを容易化することができる。
このように本操作入力装置4によれば、表示画面41に表示されている地図画像に含まれる地図内容情報に対応して突出部材20が突出させられるので、ユーザーは地図内容情報がある突出部材20を指先等によって直接的に触覚認識することができる。また、このような触覚認識できる突出部材20を押し込むことにより、ユーザーは表示画面41や操作面11aを注視することなく、当該突出部材20に割り当てられた処理を実行させることができる。このため、ユーザーは視覚のみに頼ることなく、容易に望みの操作入力を行うことができる。したがって、本実施形態に係る操作入力システム3によれば、表示画面41や操作面11aを注視することなく従来に比べてより確実な操作入力を行うことができると共に、利便性に優れた操作入力が可能である。
5.その他の実施形態
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記実施形態では、地図内容情報には道路の情報が含まれ、突出部材20には、道路の属性を規定する属性情報に応じて異なる処理が割り当てられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。地図内容情報に道路の情報が含まれないように構成することも可能であるし、突出部材20に対して道路の属性を規定する属性情報に応じた処理を割り当てないように構成することも当然に可能である。
(2)上記実施形態では、道路の属性を規定する属性情報が、経路属性及び位置属性の少なくとも一方の情報を含むとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。属性情報を、経路属性及び位置属性の双方を含まないように構成することも当然に可能である。
(3)上記実施形態では、案内経路を構成する道路S以外の道路Tに対応する突出部材20に、当該突出部材20が対応する道路T上の位置を通るように案内経路を再設定する経路再設定処理が割り当てられているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。案内経路を構成する道路S以外の道路Tに対応する突出部材20に、経路再設定処理以外の処理を割り当て、或いは何の処理も割り当てないように構成することも当然に可能である。
(4)上記実施形態では、自位置に対応する突出部材20に、自位置をマッチングさせる道路の再計算を行う再マッチング処理が割り当てられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。自位置に対応する突出部材20に、再マッチング処理以外の処理を割り当て、或いは何の処理も割り当てないように構成することも当然に可能である。
(5)上記実施形態では、自位置に対応する突出部材20が押し込まれたことを検知した場合には、再マッチング処理として、当該再マッチング処理の前に自位置がマッチングされている道路に対して予め定めた距離内に並行する並行道路Uが存在するか否かを確認し、当該並行道路Uが存在する場合には、当該並行道路Uに自位置をマッチングさせる処理を実行するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。並行道路Uが存在する場合にも、再マッチング処理として並行道路Uに自位置をマッチングさせる処理を行わないように構成することも当然に可能である。
(6)上記実施形態では、自位置から目的地までの案内経路上の位置に対応する突出部材20に、自位置から目的地までの案内経路に関する情報を表示する行先経路情報表示処理を割り当て、出発地から自位置までの案内経路上の位置に対応する突出部材20に、出発地から自位置までの案内経路に関する情報を表示する通過経路情報表示処理を割り当てるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。行先経路情報表示処理及び通過経路表示処理の一方のみを割り当てるように構成することも可能であるし、双方の処理を割り当てないように構成することも当然に可能である。
(7)上記実施形態では、施設Qに対応する突出部材20に、当該施設Qに関する情報を表示する施設情報表示処理が割り当てられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。施設Qに対応する突出部材20に施設情報表示処理以外の処理を割り当て、或いは何の処理も割り当てないように構成することも当然に可能である。
(8)上記実施形態では、突出部材20はタッチパッド10に備えられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。突出部材20が、タッチパッド10の機能を備えない操作面11aから突出可能に設けられた構成とすることも当然に可能である。この場合、突出部材20が押し込まれたことは、突出部材20の位置を検出するセンサの出力等によって検出する構成とすると好適である。
(9)上記実施形態では、突出制御部53は、入力待ち状態判定部58が入力待ち状態であると判定している間は突出部材20の突出状態の更新を中断するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。入力待ち状態であるか否かにかかわらず、突出制御部53が突出部材20の突出状態の更新を行うように構成することも当然に可能である。
(10)上記実施形態では、入力待ち状態判定部58は、操作入力装置4に対する入力があったことに基づいて入力待ち状態の開始を判定し、操作入力装置4に対する最後の入力からの経過時間及び操作入力装置4に対する最後の入力からの自位置の移動距離の少なくとも一方に基づいて入力待ち状態の終了を判定するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。入力待ち状態判定部58が、別の入力や信号をトリガーとして入力待ち状態の開始や終了を判定するように構成することも当然に可能である。例えば、別途設けられたスイッチや、表示画面上に設けられたタッチパネル等への入力があったことに基づいて入力待ち状態の開始を判定し、それらの最後の入力からの経過時間及び自位置の移動距離の少なくとも一方に基づいて入力待ち状態の終了を判定する構成としても好適である。
(11)上記実施形態では、入力待ち状態判定部58は、別入力受付部59に対する入力があったことに基づいて入力待ち状態の開始を判定するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。入力待ち状態判定部58が、他の方法により入力待ち状態の開始を判定する構成とすることも当然に可能である。
(12)上記の実施形態では、複数の突出部材20が操作面11a全体に亘って縦横にそれぞれ一定間隔で規則的に配列され、全体としてマトリクス状(直交格子状)に配列された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、複数の突出部材20は少なくとも操作面11aに沿って所定の規則で配列されていれば良く、操作面11a全体に亘って例えばハニカム状(六角格子状)に配列されていても良い。これらの場合において、複数の突出部材20は、操作面11aの全体ではなくその一部のみに配列されていても良い。
(13)上記の実施形態では、駆動機構30が圧電素子31を備える構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、突出方向Zに沿って突出部材20を進退動作させて、突出部材20を突出状態と埋没状態との間で移動させることが可能な機構であれば、駆動機構30の具体的構成は任意である。例えば液圧や気圧等の流体圧を利用する駆動機構30や、電磁石等の電磁力を利用する駆動機構30を用いても良い。
(14)上記の実施形態では、操作面11aに対して直交する方向に設定された突出方向Zに沿って突出部材20が進退駆動される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、突出方向Zが操作面11aに対して直交せずに傾斜した方向に設定された構成としても良い。この場合において、例えば上記の実施形態のようにセンターコンソール部にタッチパッド10が略水平に配置されている場合には、突出方向Zを運転席側に傾斜させて設定しても好適である。
(15)上記の実施形態では、操作面11aに接触又は近接する被検知物Dを検知可能な静電容量式のタッチパッド10を用いた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、静電容量式のタッチパッド10に代えて抵抗膜式のタッチパッド10を利用しても良い。また、操作面11aに接触する被検知物Dを検知可能な感圧式のタッチパッド10を利用しても良い。
(16)上記の実施形態では、操作入力装置4が、表示装置とタッチパネル等の入力装置とが一体となった表示入力装置40に情報伝達可能に接続された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、タッチパネルを備えていることは必須ではなく、少なくとも表示画面41を有する表示装置(ディスプレイ装置)に操作入力装置4が接続されれば良い。
(17)上記の実施形態では、操作入力演算部50が各機能部51〜59を備えている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、上記の実施形態で説明した機能部の割り当ては単なる一例であり、複数の機能部を組み合わせたり、1つの機能部を更に区分けしたりすることも可能である。
(18)上記の実施形態では、全ての構成が車両に搭載された車載用のナビゲーション装置1(ナビゲーションシステムの一例)に対する操作入力を行うための操作入力システム3を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば上記の実施形態において説明したナビゲーション装置1の各構成がサーバ装置と車載端末装置とに分かれて備えられたクライアント/サーバ型のナビゲーションシステムや、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機、各種機械の制御装置等の他のシステム又は機器も、本発明に係る操作入力システム3による操作入力の対象となり得る。
(19)上記実施形態では、入力待ち状態の場合には、表示画面41に含まれる地図画像は自位置の移動に伴って更新されるが、突出部材20の突出状態は更新されないとして説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、入力待ち状態であると判定した場合には、自位置の更新を中断することで表示画面41に含まれる地図画像の更新を中断するとともに、突出部材20の突出状態の更新も中断するように構成することも可能である。この場合、地図画像と突出部材20の突出状態との間で対応関係に差異が生じることはないので、許容される操作入力に対応する操作コマンドリスト(機能項目)を取得する必要はない。そして、入力待ち状態ではないと判定した場合には、自位置の位置に伴って地図画像を更新するとともに、更新後の地図画像に対するターンリストや分岐経路リストを作成してこれらのリストから突出部材20の突出状態を設定する。このような構成であっても、上述した本発明を適用することは可能である。