JP4518438B1 - ピン入出力装置の電気的接続機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ピン入出力装置の、ピン入出力装置本体と各昇降ピンを電気的に接続する電気的接続機構について、ピン入出力装置本体に設けられた電極と、各昇降ピンに設けられた電極が、昇降ピンが軸方向移動されている最中においても常時、接触が維持されうるものとすること。また、耐久性が高く、接触不良を予防しうるものとすること。
【解決手段】
各昇降ピンに設けられた電極を、昇降ピンの軸方向に長い形状のものとし、各昇降ピンに設けられた電極は、磁力吸着力によって、ピン入出力装置本体に設けられた電極と接触されるよう構成する。該接触は、昇降ピンの軸方向移動時においても、前記磁力吸着力にて維持されうるものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に視覚障害者へ触覚情報を呈示する情報機器に関するものであり、詳しくはピン入出力装置(ピン出力機能又はピン入力機能、あるいはその両方の機能を有する装置)において、各昇降ピンに設けられた電極と、それに対応してピン入出力装置本体に設けられた電極を、電気的に接続する機構に関するものである。
実開昭61−53773の第3図において、昇降ピンにLEDを内蔵し、該LEDに接続された導線が、昇降ピンの没入端から引き出されている構造が開示されている。
特開平8−030189はピン入出力装置である。同先行技術において、図4は昇降ピンの先端に圧電素子からなる振動板を設けた様子が示されており、段落「0012」において、「圧電素子への電源の供給のためピン本体は中空構造になっている」と記述されている。同先行技術において、該中空構造をどのように用いて電気的接続がなされるのか記述されていない。
特開平7−78238はピン入力装置である。同先行技術において、図3の18は昇降ピンの底面及び、それと対面するピン入力装置本体側に配置されたセンサーであり、使用者が任意の昇降ピンを没入方向に押下すると、該センサーがそれを検知することが示されている。同先行技術において昇降ピンとピン入力装置本体をつなぐ電気的接続機構の有無は不明である。
特開平7−244558において、昇降ピンの先端に圧力センサが設けられている構造が開示されているが、同先行技術において該圧力センサを有する昇降ピンとピン出力装置本体をつなぐ電気的接続機構については言及されていない。
特開平9−146449はピン出力装置である。同先行技術において、図3は各昇降ピンにおいて軸方向に発光素子と遮光部材を交互に組み込んだ様子が示されているが、同先行技術において該発光素子とピン出力装置本体をつなぐ電気的接続機構については言及されていない。
特開2007−310345はピン出力装置である。同先行技術は、複数の触知ピンを一括して重力に抗して支持した状態の触知ピン支持台を、昇降ピンの没入方向へ移動させることにより、それら触知ピンを重力に従って没入方向へ追従移動させ、該追従移動過程において、各触知ピンの没入方向移動を個別に制動しうる制動機構にて、各触知ピンを任意の軸方向位置にて制動するものである。同先行技術文献において、触知ピン(本発明でいう「昇降ピン」)とピン出力装置本体をつなぐ電気的接続機構の記述は無い。
特開2007−310864はピン出力装置である。同先行技術は、複数の触知ピン(本発明でいう「昇降ピン」)と一括して磁力にて相互に吸着された状態の触知ピン吸着台(本発明でいう「昇降ピン吸着板」)を移動させることにより、それら触知ピンを軸方向移動させ、該軸方向移動過程において、各触知ピンの軸方向移動を個別に制動しうる制動機構にて、各触知ピンを任意の軸方向位置にて制動するものである。同先行技術文献において、触知ピン(本発明でいう「昇降ピン」)とピン出力装置本体をつなぐ電気的接続機構の記述は無い。
特開2008−152763はピン出力装置である。同先行技術は、複数の触知ピン(本発明でいう「昇降ピン」)と一括して磁力にて相互に吸着された状態の触知ピン吸着板(本発明でいう「昇降ピン吸着板」)を突出方向移動させることにより、それら触知ピンを突出方向移動させ、該突出方向移動過程において、各触知ピンの突出方向移動を個別に制動しうる制動機構にて、各触知ピンを任意の軸方向位置にて制動するものである。また、出力完了後の触知ピンが触知圧力に抗しうるように、出力完了後にそれら触知ピンの軸方向位置を一括して固定する耐圧ストッパー(本発明でいう「昇降ピン保持機構」に含まれる)も記述されている。同先行技術文献において、触知ピン(本発明でいう「昇降ピン」)とピン出力装置本体をつなぐ電気的接続機構の記述は無い。
特願2008−196030はピン出力装置である。同先行技術は、昇降ピン(本発明でいう「昇降ピン」と同義)はその側面を貫通している貫通長穴を有するものであり、柵状に設けられた制動機構の柵棒部が該貫通長穴を通した状態で配置されており、各柵棒部は昇降ピンと一対一対応に複数設けられている制動アクチュエータを有している。ここで一つの方法として、複数の昇降ピンを一括して重力に抗して支持した状態の昇降ピン支持板を、昇降ピンの没入方向へ移動させることにより、それら昇降ピンを重力に従って没入方向へ追従移動させ、該追従移動過程において、前記制動アクチュエータを個別に制御することにより、各昇降ピンを任意の軸方向位置にて制動するものである。あるいはここで別の方法として、柵状に設けられた昇降ピン吸着板(本発明でいう「昇降ピン吸着板」と同義)の各柵棒部が貫通長穴の内側を通した状態で配置されており、各柵棒部が貫通長穴の内側から複数の昇降ピンと一括して磁力にて相互に吸着された状態で昇降ピン吸着板が軸方向移動されることにより、それら昇降ピンを軸方向移動させ、該軸方向移動過程において、前記制動アクチュエータを個別に制御することにより、各昇降ピンを任意の軸方向位置にて制動するものである。また、出力完了後の触知ピンが触知圧力に抗しうるように、出力完了後にそれら触知ピンの軸方向位置を一括して固定する耐圧固定機構(本発明でいう「昇降ピン保持機構」に含まれる)も記述されている。同先行技術文献において、昇降ピンとピン出力装置本体をつなぐ電気的接続機構の記述は無い。
実開昭61−53773 特開平8−030189 特開平7−78238 特開平7−244558 特開平9−146449 特開2007−310345 特開2007−310864 特開2008−152763 特願2008−196030
ピン入出力装置において、ピン入出力装置本体と各昇降ピンを電気的に接続する電気的接続機構について、以下に示す幾つかの目標を達成しうる電気的接続機構を実現することを本発明の課題とする。
電気的接続機構の第1の目標は、ピン入出力装置において、昇降ピンの軸方向移動中においても常時、ピン入出力装置本体と各昇降ピンの電気的接続が維持されうる電気的接続機構を実現することである。
電気的接続機構の第2の目標は、ピン入出力装置において、耐久性が高く、接触不良を予防しうる電気的接続機構を実現することである。例えば、実開昭61−53773の第3図において、昇降ピンにLEDを内蔵し、該LEDに接続された導線が、昇降ピンの没入端から引き出されている構造が開示されている。ピン入出力装置において昇降ピンは頻繁に軸方向移動を繰り返すので、同先行技術第3図に示される電気的接続機構を用いた場合、導線及びその接続部の耐久性に難がある。また、使用者が指で昇降ピンを突出方向へ引っ張ると断線する恐れがある。ここで、耐久性を高めるために導線を太い集合線にするなどすれば、昇降ピンの軸方向移動に対する物理的抵抗が増大するため、昇降ピンを軸方向移動させるための消費電力が増大してしまうので非合理である。
電気的接続機構の第3の目標は、昇降ピンの実装過程において電気的接続を形成する手間を簡単にすることにより、ピン入出力装置の製造コストを低く抑えることである。例えば、実開昭61−53773の第3図に示されるように昇降ピンの没入端から導線が引き出されている構造を用いると、昇降ピンの数が多いとそれら全ての導線を空中配線にて基板に接続しなければならないため、電気的接続を形成する手間が煩雑であり、そのためにピン入出力装置の製造コストが高くなる。
電気的接続機構の第4の目標は、各昇降ピンの(突出方向への)着脱を容易な構造とすることにより、ピン入出力装置の製造過程において昇降ピンの実装を容易として(突出面から没入方向へと昇降ピンを押し込むことによって容易に実装される)ピン入出力装置の製造コストを低く抑え、また、各昇降ピンのメンテナンスを容易とする(昇降ピンを突出方向へ引き抜いて清掃したり、傷んだ昇降ピンを交換するなどのメンテナンスが容易に行える)ことである。例えば、実開昭61−53773の第3図に示されるように昇降ピンの没入端から導線が引き出されている構造を用いると、各昇降ピンは導線にて基板に接続されているので、突出方向へ引き抜くことが出来ない。
本発明の課題は、ピン入出力装置において、前述した目標をクリアしうる電気的接続機構を実現することである。また、本発明の応用的な課題は、ピン入出力装置において本発明である電気的接続機構を用いることにより、ピン入出力装置において、昇降ピンの軸方向移動中においても出力可能な光学ディスプレイ機能を、実現しうるものとすることである。ピン入出力装置は、光学ディスプレイ機能を有するものとすることにより、(視覚障害者と晴眼者について)バリアフリー化される。これら目標は、それら全てが達成されている必要は無く、それらのうち一つでも達成されていれば、本発明の課題は解決されたものとみなされる。
上記の目標を達成するため、具体的には次のような構成とした。すなわち、コンピュータに接続されうるピン入出力装置であり、昇降ピンを有し、該昇降ピンは、軸方向電極を有するもの、あるいは軸方向電極自体からなるものであり、ピン入出力装置本体は、前記軸方向電極に対応して本体側電極を有し、前記軸方向電極と前記本体側電極が、磁力吸着力によって接触されることにより、前記コンピュータが、前記本体側電極を通じて前記軸方向電極と、電気信号の入出力が可能である、ことを特徴とするピン入出力装置とした。
また、前記の特徴を有するピン入出力装置であり、昇降ピンと磁力にて相互に吸着された状態の昇降ピン吸着板を、該昇降ピンの軸方向に移動させることによって、該昇降ピンを軸方向に移動させうるピン入出力装置であり、前記本体側電極は、前記昇降ピン吸着板に設けられており、前記軸方向電極は、前記昇降ピン吸着板による磁力吸着力によって、前記本体側電極と接触される、ことを特徴とするピン入出力装置とした。
以下、より具体的に説明する。本発明は、ピン入出力装置において、昇降ピンに設けられた電極と、それに対応(必ずしも1対1で対応している必要は無い)してピン入出力装置本体に設けられた電極(以下、「本体側電極」と呼ぶ)を接触させうる、電気的接続機構に関するものである。
本発明の特徴は、昇降ピンに設けられた電極を、昇降ピンの軸方向に長い形状のもの(以下、「軸方向電極」と呼ぶ)とし、磁力吸着力によって、軸方向電極が本体側電極と接触され、また該接触が、昇降ピンの軸方向移動時においても、磁力吸着力にて維持されうるものとしたことにある。ここで、軸方向電極を、昇降ピンの軸方向に長い形状のものとする意義は、昇降ピンの軸方向移動時においても、本体側電極との接触が維持されたまま相互に滑動されることにより、本体側電極との接触が維持されうる形状とすることにある。
本発明でいう「昇降ピン」は、いかなるものでも良いのであり、昇降ピンがどのようなものであるかによって本発明が制約されるものでは無い。
昇降ピンの大きさ(軸に垂直な断面積・軸方向の長さなど)はどのようなものでも良いのであり、本発明がそれによって制約されるものでは無い。例えば、視覚障害者に対する点字情報の呈示を想定している場合、昇降ピンの、軸に垂直な断面積は、点字触知に適した大きさのものとしても良い。
昇降ピンの形状はどのようなものでも良いのであり、本発明がそれによって制約されるものでは無い。例えば、昇降ピンの軸に垂直な断面の形状はどのようなものでも良いのであり、昇降ピンの、軸に垂直な断面形状は、必ずしも円形(すなわち昇降ピンが円柱)である必要は無く、四角形・六角形・あるいはその他の多角形であっても良いし、あるいは中空構造であっても良い。例えば、先行技術である特願2008−196030には、側面を貫通している貫通長穴を有する昇降ピンを用い、柵状に設けられた昇降ピン駆動機構構成要素が、前記貫通長穴の内側(昇降ピンの内側面)から該昇降ピンを駆動しうる構成が示されているが、該先行技術のように、昇降ピンは貫通長穴を有する形状であっても良い。
各昇降ピンの没入端などに、側方へ張り出した突起部を設けておくと、ピン出力完了後に昇降ピン吸着板にて該突起部を(没入方向へ)押下げることにより、全昇降ピンが同時に没入方向の初期位置へと復帰されうる。図は、薄板状の軸方向電極自体によって昇降ピンが構成されている様子を示している。同図において、該昇降ピンの没入端付近に、プレス加工等にて「かえり」を施した様子を示している。ピン出力が完了した後、昇降ピン吸着板にて該「かえり」を押下げることにより、全ての昇降ピンが同時に、没入方向の初期位置へと強制的に復帰される。同図のように「かえり」を用いることにより、例えばピンセット等で該「かえり」を挟みこみながら突出方向へ引き抜き、メンテナンス(傷んだ昇降ピンを交換するなど)することもできる。但し、本発明における昇降ピンは、必ずしもこのような初期位置への復帰動作に用いられうる突起部を有している必要は無く、本発明はこれによって制約されるものでは無い。
昇降ピンはどのような材料(色・透明性・発泡材料・磁性体・非磁性体・磁石など)にて構成されていても良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。例えば、磁石又は磁性体を用いることにより、昇降ピン吸着板と昇降ピンが相互に磁力吸着された状態で軸方向移動される(先行技術にある如き)方法を用いても良い。例えば、特願2008−196030において、柵状に設けられた昇降ピン吸着板にて昇降ピン内側面を磁力吸着し、該昇降ピン吸着板を軸方向移動させることによって昇降ピンを軸方向移動させる方法が示されている。ちなみに、昇降ピンを磁力にて吸着する「昇降ピン吸着板」は、特開2007−310864では「触知ピン吸着台」と呼ばれており、特開2008−152763では「触知ピン吸着板」と呼ばれているが、これらは各発明において名称が異なるが同様のものであると解釈される。本発明において「昇降ピン吸着板」とは、これら先行技術を含みうるものであるが、これら先行技術に制約されるものではない。また、昇降ピンは複数の異質な材料を組み合わせて構成しても良いのであり、例えば、昇降ピンの材料として磁石あるいは磁性体を用いる場合、必ずしも昇降ピン全体が磁石あるいは磁性体である必要は無いのであり、その一部が磁石あるいは磁性体(磁石によって吸着されうるもの)であっても良い。具体例として、金属片(磁性体)を埋め込むことによって磁力吸着されうるよう構成しても良い。例えば、LEDを有する昇降ピンとする場合、該LEDの電極ピン自体を磁性体として用いる設計などが考えられる。また例えば、昇降ピンの材料として柔軟性や弾力性を有するものを用いても良いのであり、その場合、磁力吸着力によって軸方向電極が本体側電極へ接触された状態で昇降ピンが軸方向移動される過程においても、昇降ピンが磁力吸着力によって柔軟に変形(「曲げ」や「ねじれ」あるいはその他の変形)されることにより、両電極は相互に滑動しながら接触が維持されうるものとしても良い。
昇降ピンは、どのような「入出力器」を有していても良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。本発明でいう「入出力器」とは、LEDなどの発光素子、感圧センサー、圧電素子など、軸方向電極に接続された状態で昇降ピンに設けられ、電気的接続機構を通じて本体側電極と入出力がなされうるものを指す。昇降ピンが入出力器を有する場合、該入出力器は、昇降ピンのどの位置に配置されていても良いのであり、例えば、昇降ピンの突出端あるいは没入端に配置されて良い。軸方向電極自体が入出力器として用いられても良いのであり、例えば、表面に断続的導電パターンが施された軸方向電極を用いることにより、該軸方向電極に接触された本体側電極(ここでは入力電極として用いた場合)からの入力信号により、該昇降ピンの軸方向位置や軸方向移動などを(コンピュータが)判別することができるのであり、その場合は、断続的導電パターンが施されていることによって、軸方向電極自体に入出力器(ここでは入力機能)としての機能が付与されていることになる。
本発明でいう「電気信号の入出力」について説明する。「電気信号の入力」と「電気信号の出力」について、少なくともそのどちらかが含まれていれば、あるいはその両方が含まれていれば、本発明でいう「電気信号の入出力」に含まれる。本発明でいう「電気信号の入出力」には、昇降ピンに設けられうる「入出力器」を駆動するための軽微な電力供給が含まれる。昇降ピンに設けられた入出力器がコンピュータによって駆動される場合、その駆動電力は一般に軽微なものであり、コンピュータによる「電気信号」と看做すことができる。例えば、昇降ピンに設けられた、LEDなどの発光素子や、圧電素子などがコンピュータからの出力によって駆動される場合、それら「入出力器」の駆動電力は、本発明でいう「電気信号の入出力」に含まれる。
本発明でいう「ピン入出力装置」について説明する。コンピュータに接続して用いられる装置であり、「ピン出力機能」と「ピン入力機能」について、少なくともそのどちらかを有しているものであれば、あるいはその両方を有しているものであれば、本発明でいう「ピン入出力装置」に含まれる。
本発明でいう「ピン出力機能」とは、コンピュータからの出力によって昇降ピンの突出量(各昇降ピンの軸方向位置)が制御されうるものである。「ピン出力機能」は、3次元形状の呈示だけでなく、点字や点図など2値表現を呈示(凸凹など)する機能も含まれる。本発明でいう「ピン入出力装置」は、2値表現専用に設計された突出量の小さい昇降ピンを用いることによって点字や点図など2値表現の呈示(凸凹など)のみを行いうるものとしたものも、含まれる。図11は、昇降ピンの突出端に突起を設けることにより、3次元形状の呈示と2値表現の呈示を簡単な構成の違いにて使い分けることができるようにした場合の例を示している。図11bのように表面板(図11の20)を有する構成とした場合、点字等の2値表現の呈示が可能となる。図11aのように表面板を有しない構成とした場合、3次元形状の呈示が可能となる。ピン出力機能については、複数の先行技術(「3次元触覚ディスプレイ」や「ピンディスプレイ」や「ピン出力装置」や「点字ディスプレイ」などと呼ばれてきたもの)にて様々なものが開示されている。但し、それら先行技術及び本明細書の例示にかかわらず、「ピン出力機能」はどのようなものでも良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。また、本明細書の例示にかかわらず、「ピン出力機能」は、どのような機構や制御方法によって実現されているものでも良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。
本発明でいう「ピン入力機能」とは、コンピュータにて昇降ピンの突出量(各昇降ピンの軸方向位置、又はその変化)が検知されうるものである。コンピュータによる昇降ピン突出量の検知は、受動的に行われうるものでも良いし、あるいは能動的に行われうるものでも良い。ここで、昇降ピン突出量の「受動的」な検知とは、昇降ピンが受動的に軸方向移動された際に、それを検知することであり、具体的な例として、昇降ピンを、その軸方向位置が滑動可能な状態で保持し、人の指などで該昇降ピンが押下げられたり(あるいは引っ張り上げられても良い)、人の手によって3次元形状物が昇降ピン群に押し付けられることによって該3次元形状が転写して入力されることなどを指す。「受動的」な検知機能の実現例として、後述する「受動的3次元形状入力機能」などが考えられる。また、昇降ピン突出量の「能動的」な検知とは、コンピュータ(又はピン入出力装置)によって昇降ピン群が能動的に駆動されることによって3次元形状を読み取ろうとすることであり、具体的な例として、ピン入出力装置の昇降ピン群に対向して配置された3次元形状物に対して、昇降ピン群を突出方向移動させることによって該3次元形状を転写して入力することなどを指す。「能動的」な検知機能の実現例として、後述する「能動的3次元形状入力機能」などが考えられる。「ピン入力機能」には、2値入力も含まれるのであり、2値入力の実現例として、点字や点図など2値表現の呈示(凸凹など)において、後述する「押下検知機能」を用いることなどが考えられる。また、受動的・能動的のみならず、後述する「ピン移動検知機能」、「ピン移動阻害検知機能」、「ピン制動不能検知機能」などの、ピンの軸方向移動(に異常が無いかどうか)を(コンピュータにて)モニターする機能も、「ピン入力機能」に含まれる。また、コンピュータによる検知は、昇降ピンの(受動的あるいは能動的な)軸方向移動中においてリアルタイムに行われうるものでも良いし、あるいは昇降ピンの軸方向移動がなされた後で行われうるものでも良い。但し、これら本明細書の例示にかかわらず、「ピン入力機能」はどのようなものでも良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。「ピン入力機能」は、どのような機構によって実現されているものでも良い。例えば、後述する、軸方向電極の表面に断続的導電パターンを施すことによって実現しても良いし、あるいはまた、軸方向電極とは別に、昇降ピンの突出量を検知しうる機構を設けることによって実現しても良いのであり、例えば、昇降ピンにおいて軸方向に可変抵抗を設けることによって実現しても良いし、また例えば、光学センサー(例えば、反射式フォトインタラプタや透過式フォトインタラプタなどで、昇降ピンにおいて軸方向に設けられた光学的パターンを検知するなど)を用いて実現しても良い。但し、これら本明細書の例示にかかわらず、「ピン入力機能」はどのような機構によって実現されているものでも良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。
ピン入出力装置が有する昇降ピンの数はいくつでも良のであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。
ピン入出力装置における、昇降ピンの配列はどのようなものでも良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。例えば、視覚障害者に対する点字情報の呈示を想定している場合、点字情報の呈示を考慮した配列としても良い。
本発明でいう「ピン入出力装置」は、様々な昇降ピンを混在して有していても良いのであり、例えば、様々な断面形状の昇降ピンを混在して有していても良い。また例えば、2値出力のみ可能な昇降ピンと3次元出力が可能な昇降ピンが混在していても良い。
本発明でいう「ピン入出力装置」について、その制御方法や制御回路はどのようなものを用いても良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。
本発明からなるピン入出力装置は、その属する主要分野は視覚障害者向けの情報機器であり、広くは福祉機器に属しているものである。すなわち、本発明からなるピン入出力装置は、主として視覚障害者による使用を想定しており、あるいは、視覚障害者と晴眼者のバリアフリー用途を想定している。しかしながら、本発明からなるピン入出力装置は、必ずしもこれら用途に限定される必要は無い。例えば、晴眼者の用途に用いられても良いし、また例えば、エンターテイメントの用途に用いられても良いし、また例えば、ディスプレイの用途のみならずアクチュエータの用途に用いられても良い。
請求範囲でいう「昇降ピンと磁力にて相互に吸着された状態の昇降ピン吸着板を、該昇降ピンの軸方向に移動させることによって、該昇降ピンを軸方向に移動させうるピン入出力装置」とは、例えば、特開2008−152763に開示されている如きものを想定している。但し、該先行技術はあくまで例であり、本発明は、必ずしも該先行技術によって制約されるものでは無い。
本発明でいう、コンピュータからの出力によって「昇降ピンの突出量が制御される」とは、例えば、昇降ピンが軸方向移動(突出方向移動又は没入方向移動)されることや、該軸方向移動過程において、昇降ピンの軸方向移動が個別に制動されることなどが含まれうる。但し、昇降ピンの突出量を制御するための機構や制御方法は、どのようなものを用いても良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。昇降ピンの突出量を制御するための機構は、例えば、以下に示す如き複数の先行技術にて様々なものが開示されている。すなわち、特開2007−310345にて、重力を利用して昇降ピンの突出量が制御されるものが開示されている。また、特開2007−310864及び特開2008−152763にて、磁力を利用して昇降ピンの突出量が制御されるものが開示されている。また、特開昭59−113477にて、バイモルフ圧電アクチュエータの先端に、昇降ピンを固定し、該バイモルフ圧電アクチュエータの屈曲動作によって昇降ピンの突出量が制御されるものが開示されている。また、特開2004−219558にて、ソレノイドへの通電によって昇降ピンの突出量が制御されるものが開示されている。また、特開昭和63−168678にて、送りねじを用いて昇降ピンの突出量が制御されるものが開示されている。また、特開平09−311622にて、摩擦力などによって昇降ピンを保持し、該昇降ピンの没入端からソレノイドなどにて押し上げることによって昇降ピンの突出量が制御されるものが開示されている。また、特開平09−319298にて、昇降ピンの没入端からカムで押し上げることによって昇降ピンの突出量が制御されるものが開示されている。また、特開2005−338382にて、形状記憶合金を通電加熱により変形させることによって昇降ピンの突出量が制御されるものが開示されている。昇降ピンの突出量を制御するための機構や制御方法は、これら先行技術を含め、その他どのようなものを用いても良いのであり、本発明はこれによって制約されるものでは無い。また例えば、特願2008−285015の段落「0038」にて、コンピュータによる制御を用いずに手動スイッチにて昇降ピンの突出量を制御しうる構成や、電動ではなく人力にて昇降ピンの突出量を制御しうる構成が示されている。該先行技術から明らかであるように、本発明でいうピン入出力装置において、「昇降ピンの突出量が制御される」とは、必ずしもその全ての機構がコンピュータによって制御されうるものだけでなく、その一部が手動によって電動の駆動機構が操作されうるもの、又はその一部が電動ではなく人力にて駆動されうるものであっても良い。
本発明でいう「ピン入出力装置本体」について説明する。本発明でいう「ピン入出力装置」は、「ピン入出力装置本体」と「昇降ピン」とから構成されている。本発明でいう「ピン入出力装置本体」には、ピン入出力装置を構成する部位のうち、「昇降ピン」を除く全ての部位が含まれうるのであり、例えば、特願2008−196030において示されている「昇降ピン吸着板(特開2007−310864では「触知ピン吸着台」、特開2008−152763では「触知ピン吸着板」と呼ばれているもの)」などの可動部位や、その他非可動部位や、本発明でいう「本体側電極」なども、「ピン入出力装置本体」に含まれる。
本発明でいう「軸方向電極」とは、各昇降ピンにおいて、該昇降ピンの軸方向に設けられている電極であり、磁力吸着力にて、本体側電極に接触されうるものであれば、どのようなものでも良い。軸方向電極は、昇降ピンのどの位置に設けられても良い。例えば、昇降ピンの外側面(後述する「内側面(貫通長穴を有する昇降ピンなど)」に対比して説明の便宜上用いる概念であり、特に限定的なものではない)に設けられても良いし、また例えば、特願2008−196030に示された如き貫通長穴を有する昇降ピンを用い、該昇降ピンの内側面に設けられても良い。また、図12は、昇降ピンと軸方向電極の関係について、他の例を示している。図12は、昇降ピンの没入端に軸方向電極が設けられたものであると解釈しても良い。またあるいは、図12は、軸方向電極自体が昇降ピンの役目を担っているものであると解釈しても良いのであり、何故なら、昇降ピンとは、ピン入出力装置本体によって駆動される(すなわち、昇降ピンの突出量が制御される)ものであるが、図12に示す如き昇降ピンの例は、軸方向電極だけで「(昇降ピン吸着板による)磁力吸着」及び「(昇降ピン制動機構による)被制動」といった昇降ピンとして駆動されうる機能を有しうるのであり、該軸方向電極の突出端側がどうなっていようとも、軸方向電極だけで昇降ピンとしての機能を有しうるからである。これは、該軸方向電極の突出端に何らかの触知部位を設けるだけで昇降ピンとして成立しうることからも明らかである。該軸方向電極の突出端に何らかの触知部位を設けた構成とする場合、該触知部位はどのようなものでも良い。例えば、触知部位は、導電性金属薄板からなる軸方向電極の突出端を円筒状に丸め加工してなるものでも良い。また例えば、触知部位は、図12に示す如き円柱状の部品を軸方向電極の突出端に固定してなるものでも良い。また、必ずしも該軸方向電極の突出端に触知部位を設けなくても良い。何故なら、本発明でいうピン入出力装置は、視覚障害者への触覚情報の呈示を主な用途として想定しているが、晴眼者も利用しうるものだからである。光学ディスプレイ機能のみならず、軸方向電極の突出端に色を塗る(例えば、軸方向にグラデーションの色を塗るなど)だけでも晴眼者へ視覚情報の呈示に用いることができる。必要に応じて、軸方向電極の突出端に触知部を設けたものとすればよい。以上述べたように、図12の如き例は、昇降ピンの没入端に軸方向電極を設けた構成と解釈しても良いし、あるいは、軸方向電極自体が昇降ピンの役目を担う構成と解釈しても良い。本発明においては、このように、概念や解釈が重複することを妨げない。請求範囲でいう「軸方向電極を有する」昇降ピンとは、昇降ピンのどの位置に軸方向電極を有するものであっても良い。また、請求範囲でいう「軸方向電極自体からなる」昇降ピンとは、前述した、軸方向電極自体が昇降ピンの役目を担う場合を指している。本発明でいう昇降ピンの「軸方向」とは、昇降ピンの突出方向及び没入方向を含む。「軸方向」は、必ずしも厳密に、昇降ピンの軸に対して平行である必要は無いのであり、おおまかにその方向であれば良い。
前述した、軸方向電極からなる昇降ピンを用いる場合、該昇降ピンは薄板状とすることができるため、軸方向(昇降ピンの突出方向又は没入方向)から見た、昇降ピンの実装密度を高くすることができる。何故なら、昇降ピン自体を(軸方向から見て)薄い形状のものとすることができるし、特に、その薄さによって生じた、隣接する昇降ピン同士の空間に、昇降ピン駆動機構(昇降ピンの突出量を制御する機構)を配置することにより、昇降ピンの実装密度を極めて高くすることができる。
軸方向電極の形状について、軸方向電極の形状は、どのようなものでも良い。軸方向電極の(軸方向の)長さ、幅、厚みなどはどのようなものでも良いのであり、例えば、軸方向電極の長さは必ずしも昇降ピンの全長にわたるものである必要は無い。また例えば、軸方向電極の形状は、必ずしも板状(すなわち、軸方向に垂直な断面形状が長方形)である必要は無く、どのような形状でも良いのであり、例えば、軸方向に垂直な断面形状は円形であっても良い。
軸方向電極の形状について、理想的には、磁力吸着力によって本体側電極の側へ湾曲されうるものとするのが望ましい。軸方向電極は、磁力吸着力によって本体側電極の側へ湾曲されやすいものとすることにより、昇降ピンの軸方向移動過程においても、両電極は磁力吸着力による接触が維持されやすいものとすることができる。磁力吸着力によって本体側電極の側へ湾曲されやすい軸方向電極の形状は、どのような形状でも良いが、典型的には薄板状であろう。しかしながら、軸方向電極の形状がどのようなものであっても、設計次第で、磁力吸着力にて軸方向電極の側へ湾曲されうるものとすることができる。例えば、細い昇降ピンを高密度に実装する場合や、昇降ピンに多くの機能(フルカラーLEDやセンサー入力機能など)を搭載することによって昇降ピン1本が有する軸方向電極の数が多い場合など、製造プロセスが微細化してくると、軸方向電極は極めて細いものを用いることが考えられる。その場合、軸方向電極は必ずしも薄板状でなくても、(例えば断面形状が円形や正方形の場合など)磁力吸着力にて本体側電極の側へ湾曲されうるものとすることができる。また、軸方向電極が柔軟性の高い材料にて構成されている場合においても、磁力吸着力にて本体側電極の側へ湾曲されうるものとすることができる。
軸方向電極は、必ずしも磁力吸着力によって本体側電極の側へ湾曲されうるものである必要は無い。1本の昇降ピンが有する軸方向電極の数が少ない場合など、例えば、3個の軸方向電極、及びそれに対応する3個の本体側電極が設けられている場合においては、3点支持により、軸方向電極が磁力吸着力にて本体側電極の側へ湾曲されなくても、磁力吸着力にて確実に接触されうるものとすることができる。
軸方向電極、及び対応する本体側電極の数が多い場合、軸方向電極が磁力吸着力にて本体側電極の側へ湾曲されうるものとすることにより、両電極の接触を確実性の高いものとすることができる。但し、これは設計や加工精度にも依存するものであり、軸方向電極及び本体側電極の数が多い場合においても、設計や加工精度次第で、軸方向電極が湾曲せずともそれら全ての電極を接触させることが可能である。したがって、軸方向電極が磁力吸着力にて本体側電極の側へ湾曲されうるものとする場合、それは、電極の数が多い場合や昇降ピンが軸方向の(能動的又は受動的な)様々な動きをする場合においても、両電極の確実な接触を担保する意味合いがあるのであり、その意味で、軸方向電極は磁力吸着力によって必ずしも本体側電極の側へ湾曲されうるものである必要は無い。
また、昇降ピン1本が有する軸方向電極の数は、何個でも良い。また、軸方向電極を構成する材料は、電極として用いることができるものであるならば、どのようなものでも良いのであり、例えば、導電性高分子を用いても良いし、また例えば、ある程度の抵抗値を有する材料を用いることによって、軸方向電極が可変抵抗としての性質を有するものとしても良い。このように、可変抵抗の性質を有する軸方向電極を用いた場合、本体側電極からの入力電圧をA/Dコンバータにてデジタル情報に変換することにより、昇降ピンの軸方向位置(すなわち、昇降ピンの突出量)を判別することなどが考えられる。昇降ピンの外側面や内側面に軸方向電極を設ける場合、必ずしも1つの「外側面」や「内側面」に限定されるものではないのであり、複数の「外側面」や複数の「内側面」に軸方向電極が設けられていても良い。昇降ピンの複数の面に軸方向電極を配置した構成とすることにより、昇降ピン1本に設ける軸方向電極の数を多くすることができる。昇降ピンの1つの面に複数の軸方向電極を設ける場合、隣接する軸方向電極同士の間にリブを設けた形状とすることにより、隣接する軸方向電極同士が接触してしまう危険性を減らすことができる。前記リブは、昇降ピンにおいて軸方向に複数の溝を設け、それぞれの溝に軸方向電極を配置しても同様である。
軸方向電極は、昇降ピンにおいて、どのように設けられていても良い。例えば、軸方向電極の没入端側が昇降ピンに固定されていても良いし、軸方向電極の突出端側が昇降ピンに固定されていても良いし、軸方向電極の突出端側及び没入端側の両方が昇降ピンに固定されていても良い。また例えば、軸方向電極は昇降ピンの表面に貼り付けられていても良いし、昇降ピンの表面に印刷・塗装・めっき・エッチングなどによって施されてなるものでも良いのであり、その場合であっても、昇降ピンを構成する材料として柔軟性や弾力性を有するものを用いることにより、磁力吸着力によって昇降ピンが柔軟に変形(「曲げ」や「ねじれ」あるいはその他の変形)されることにより、昇降ピンの軸方向移動過程においても、磁力吸着力による軸方向電極と本体側電極の接触が(両電極が相互に滑動しながら)確実に維持されうるものとすることができる。本発明でいう「固定」とは、「固着(動かないよう固定すること)」のみならず、「可動域制限」としての固定や、「弾性体を介した」柔軟性を有する固定や、圧力などが加えられることによって滑動しうる固定などが含まれる広義の概念である。図1の1は、突出端が固定され、没入端が拘束帯(図1の5、可動域制限の一種であるベルト状の押さえ)にて緩やかに固定された例において、磁力吸着力にて軸方向電極が湾曲された様子を示している。図5の1は、軸方向電極の没入端が固定された状態を示している。図1の5に示した拘束帯のように、軸方向電極が磁力吸着力にて湾曲された時にその自由端が、外側へ広がらないよう工夫されたものとすることにより、湾曲された際に自由端が吸着板などピン入出力装置の他の部位や、隣接する昇降ピンに干渉するのを防ぐことができる。図3の1に示す軸方向電極は、自由端に拘束帯を有しない構成とした場合、自由端が外側へ広がってしまう可能性を示している。
軸方向電極自体からなる昇降ピンを用いる場合(すなわち、軸方向電極自体が昇降ピンとしての機能を担う構成とする場合)、例えば後述するように、該軸方向電極自体に様々な加工を施すことによって、昇降ピンとして十分な機能を果たしうるものとしても良い。
ピン出力が完了した後、昇降ピン保持機構(ピン出力が完了した後、触知圧力に抗して昇降ピンの軸方向位置を保持する機構であり、例えば、特願2008−196030でいう「耐圧固定機構」などや、本発明でいう「弾力性保持機構」や「滑動性保持機構」などがこれに含まれる)にて昇降ピンを保持する際、昇降ピンのどの部位を保持しても良いのであるが、軸方向電極自体が昇降ピンとしての役割を担う場合、昇降ピン保持機構にて軸方向電極を保持しても良い。その場合、没入方向への触知圧力を受けた際に、軸方向電極が該触知圧力にて坐屈してしまう可能性がある。そこで、図13は、軸方向電極の突出端に触知部を設け、昇降ピン保持機構にて該触知部を保持することによって、没入方向への触知圧力を触知部にて受けるよう構成した例を示している。しかしながら、耐圧固定機構にて軸方向電極を保持する場合においても、軸方向電極の形状を工夫することにより、触知圧力による坐屈に抗しうるものとすることができる。例えば、軸方向電極において、軸方向に平行な曲げ加工を施すことにより、軸方向電極が没入方向への触知圧力を受けた際に、坐屈することを防ぐことができる。図15は、軸方向電極について、軸方向に平行な曲げ加工を施した例を示している。図17は、図15で示す曲げ加工を施した軸方向電極と、昇降ピン吸着板について、両者の関係の例を示している。図17において、柵状に設けられた昇降ピン制動機構の柵棒部(図17の18)には、前記曲げ加工部に対応して、(昇降ピンの)軸方向に溝が設けられており、軸方向電極の曲げ加工部(図17の31)は、該溝の内側にはまり込んだ状態となっている。該溝は、昇降ピン保持機構にて軸方向電極を保持する構成とする場合、触知圧力によって(軸方向電極の)曲げ加工部が変形されることを防ぐことにより、触知圧力による軸方向電極の坐屈に抗する目的があり、また、軸方向電極に対するガイドの目的もある。該溝は、図15の21に示す摩擦係数の高い塗装との接触を避けうる傾斜を有している。ここで、該溝は、軸方向のリブを設けること、ピンなどの突起物を設けること、あるいはレールを設けることなどによって代替しても同じである。このような軸方向の溝やリブやピンやレールなどは、昇降ピン吸着板に限定されるものではなく、柵状に設けられた昇降ピン駆動機構(例えば、昇降ピン吸着板、昇降ピン制動機構、昇降ピン保持機構など)全般に設けられても良いのであり、このように、昇降ピン本体の可動部あるいは非可動部において、軸方向電極に対応する形状を設けたものとしても良い。図16は、図15で示す曲げ加工を施した軸方向電極と、昇降ピン制動機構について、両者の関係の例を示している。図18は、図15で示す曲げ加工を施した軸方向電極と、昇降ピン保持機構について、両者の関係の例を示している。図18において、軸方向電極の曲げ加工部(図18の31)には、図15の21に示す摩擦係数の高い塗装が施されている。図15において、軸方向に平行な曲げ加工は、軸方向に垂直な断面形状がL字型となっているが、これは一例であり、昇降ピン保持機構にて軸方向電極を保持する構成を用いる場合、軸方向電極を触知圧力による坐屈に抗しうるよう、どのような曲げ加工を施しても良いのであり、例えば、(軸方向に垂直な断面形状が)コの字型、Z字型、折り畳んで2重にした部位を設ける、軸方向に円柱状(円筒状)・三角柱状・四角柱状などの柱状になるよう曲げ加工を施す、あるいはその他どのような曲げ加工を施しても良い。もちろん、軸方向電極に何らかの補強材を貼り付けることによって、触知圧力による坐屈に抗しうるものとしても良い。
軸方向電極自体からなる昇降ピンにおいて、昇降ピン制動機構にて軸方向電極を制動しうる構成とする場合、軸方向電極について、昇降ピン制動機構にて制動される面に、摩擦係数の高い塗装を施すことにより、被制動性を高めることができる。その場合、摩擦力を利用した昇降ピン制動機構を用いる場合において、高い被制動効果が発揮される。図15は、軸方向電極自体からなる昇降ピンにおいて、該軸方向電極の表面(昇降ピン制動機構にて制動される面)に、摩擦係数の高い塗装(図15の21)が施されている様子を示している。
以上述べたように、軸方向電極からなる昇降ピンについて、軸方向電極に様々な加工を施すことにより、軸方向電極自体を昇降ピンとして十分な機能を果たしうるものとすることができる。但し、前述した、軸方向電極における様々な加工は、あくまで一例であり、軸方向電極は、その他どのような加工が施されているものであっても良いのであり、例えば、前記複数の加工が組み合わされて施されているものであっても良い。また、軸方向電極からなる昇降ピンについて、必ずしも軸方向電極にこのような何らかの加工を施さなければならないわけではないのであり、本発明は軸方向電極に施されうるどのような加工によっても制約されるものではない。また、「軸方向電極からなる昇降ピン」とは、必ずしも、昇降ピンとして必要な機能を全て有している必要は無い。
軸方向電極の表面に施されうる「導電パターン」について説明する。軸方向電極は、その表面(本体側電極と接触される面)に何らかの導電パターンが施されているものであっても良いし、あるいは、特に導電パターンが施されていないものであっても良い。
軸方向電極がその表面(本体側電極と接触される面)に何らかの導電パターンが施されたものである場合、その導電パターンはどのようなものでも良いのであり、導電パターンの例として、軸方向電極が、本体側電極と接触された状態のまま相互に軸方向に滑動された場合に、断続的な信号入力がなされうるもの(以下、「断続的導電パターン」と呼ぶ)であっても良い。本発明において、軸方向電極の表面に「断続的導電パターン」が施されている場合における「断続的」とは、必ずしも規則的なパターンである必要は無いのであり、例えば、一定間隔からなるものであっても良いし、また例えば、ある種の規則性からなるものでも良いし、また例えば、どのような意味を持たせたものでも良いし、また例えば、他の導電パターンとの組み合わせによって何らかの入力信号を構成しうるものであっても良い。図4は、表面に断続的導電パターンが施された軸方向電極の例を示している。
軸方向電極がその表面に何らかの導電パターンが施されたものである場合、1本の軸方向電極において、複数の導電パターンが施されていても良いのであり、1本の軸方向電極において、何個の導電パターンが施されていても良い。例えば、1本の軸方向電極が、その表面に複数の導電パターンを有するものとし、それぞれの導電パターンに対応して本体側電極が設けられた構成とすることにより、1本の軸方向電極において実質的に複数の軸方向電極を兼ねるよう構成しても良い。この構成(導電パターンの工夫によって1本の軸方向電極が実質的に複数の軸方向電極を兼ねる構成)から明らかなように、本発明において、本体側電極と軸方向電極は、必ずしも1対1対応で設けられている必要は無い。
軸方向電極がその表面に何らかの導電パターンが施されたものである場合、導電パターンはどのような方法にて形成されても良いが、その形成方法の例として、軸方向電極の表面において導電性あるいは非導電性の皮膜パターンを形成する(例えば、エッチング・塗装・めっき・印刷などの手段が考えられる)ことによって、導電パターンを形成する方法などが考えられる。その場合、該皮膜パターンは、耐磨耗性に優れたものであることが望ましい。
本発明でいう軸方向電極と本体側電極の「接触」は、軸方向電極の表面に施されうる導電パターンの有無によって制約されることは無い。例えば、軸方向電極の表面において、非導電膜の形成によって、断続的な導電パターンが施されている場合、該軸方向電極と接触される本体側電極が、該非導電膜上において通電しえない時点にあっても、軸方向電極と本体側電極は「接触」していると言える。
本発明でいう「磁力吸着力」とは、(昇降ピンに設けられた)軸方向電極と、(ピン入出力装置本体に設けられた)本体側電極が接触されうるものであれば、どのような構成でも良い。
磁力吸着力は、相互に磁力吸着されうるものであれば、どのような構成であっても良い。ここで、「相互に」というのは、例えば、AとBの間で磁力吸着力が作用する場合、Aが磁石でBが磁性体(磁石に吸着されうるもの)であっても良いし、あるいはAが磁性体でBが磁石であっても良いし、あるいはAとBが極性の異なる磁石であっても良い。
ピン入出力装置本体のどの部位が、軸方向電極に対して相互に磁力吸着力を及ぼしうる構成であっても良いのであり、例えば、特願2008−196030に示されている「昇降ピン吸着板(本発明において、ピン入出力装置本体に属する)」のようなピン入出力装置本体の「可動部位」が軸方向電極に対して相互に磁力吸着力を及ぼしうる構成としても良いし、あるいはピン入出力装置本体の「非可動部位」が軸方向電極に対して相互に磁力吸着力を及ぼしうる構成としても良いし、あるいは本体側電極自体(本発明において、本体側電極は、ピン入出力装置本体に属するものである)が軸方向電極に対して相互に磁力吸着力を及ぼしうる構成としても良い(電極自体が磁石又は磁性体の性質を有する場合)。図8は、特願2008−196030に示されている柵状に設けられた「昇降ピン吸着板」の例を示している。図10は、図8に示す柵状に設けられた「昇降ピン吸着板」の柵棒部(図8の18)を拡大図示したものである。図10において、柵棒部には本体側電極(図10の2)が設けられている。図9aは、図8に示す柵状に設けられた「昇降ピン吸着板」にて、図2に示す昇降ピンの外側面から、軸方向電極に磁力吸着力を及ぼす構成とした例を示している。図9bは、図9aの各昇降ピンにおける断面図であり、軸方向電極(図9bの1)が、昇降ピン吸着板に設けられた本体側電極(図9bの2)に、該昇降ピン吸着板の磁力吸着力にて(軸方向電極の湾曲を伴って)接触されている様子を示している。図11は、図8に示す柵状に設けられた「昇降ピン吸着板」にて、図7に示す昇降ピンの内側面から、軸方向電極に磁力吸着力を及ぼす構成とした例を示している。図11cは、図11a及び図11bの各昇降ピンにおける断面図であり、軸方向電極(図11cの1)が、昇降ピン吸着板に設けられた本体側電極(図11cの2)に、該昇降ピン吸着板の磁力吸着力にて(軸方向電極の湾曲を伴って)接触されている様子を示している。
昇降ピン吸着板が軸方向電極に対して磁力吸着力を及ぼす構成とする場合、必ずしも、昇降ピン吸着板の全体が磁石あるいは磁性体である必要は無いのであり、昇降ピン吸着板の一部が磁石あるいは磁性体であっても良い。図13は、柵状に設けられた昇降ピン吸着板の柵棒部(図13の18)に設けられた磁石(図13の23)が、軸方向電極(図13の1)へ磁力吸着力を及ぼすよう構成された例を示している。
昇降ピン吸着板が軸方向電極に対して磁力吸着力を及ぼす構成とする場合、昇降ピン吸着板から昇降ピンに対して及ぼされる磁力吸着力と、昇降ピン吸着板から軸方向電極に対して及ぼされる磁力吸着力は、必ずしも、昇降ピン吸着板に設けられた「同一の磁石(又は磁性体)で兼用」される必要は無いのであり、それぞれの磁力吸着力は別の磁石(又は磁性体)によって担われるものであっても良い。
昇降ピン吸着板が軸方向電極に対して磁力吸着力を及ぼす構成とする場合、昇降ピン吸着板から昇降ピンに対して及ぼされる磁力吸着力と、昇降ピン吸着板から軸方向電極に対して及ぼされる磁力吸着力は、必ずしも昇降ピン吸着板の同じ側から及ぼされている必要は無いのであり、例えば、ここで昇降ピンの2つの側面を仮に「A面」及び「B面」と呼ぶならば、昇降ピンのA面側から軸方向電極に対して磁力吸着力を及ぼし、昇降ピンのB面側から昇降ピンに対して磁力吸着力を及ぼす構成としても良い。
本発明でいう「本体側電極」とは、ピン入出力装置本体において、軸方向電極と対応して設けられた電極であればどのようなものでも良い。
本体側電極は、どのような形状・構造でも良いのであり、例えば、耐摩耗性に優れ、外力(触知圧力など)によって変形しにくい形状・構造であっても良い。本発明の特徴の1つとして、耐久性に優れた本体側電極を用いることができるということが挙げられる。
昇降ピン1本に対応して設けられる本体側電極の数は、何個でも良い。
本体側電極を構成する材料は、どのようなものでも良いのであり、例えば、磁性体(磁石に吸着されうるもの)のみならず、本体側電極自体が磁石としての性質を有するものであっても良い。
本発明において、本体側電極は、ピン入出力装置本体に属している。本体側電極は、軸方向電極と接触されることにより、昇降ピンへ電力を供給したり、昇降ピン(に設けられた入出力器)へ電気信号を出力したり、昇降ピン(に設けられた入出力器)から電気信号が入力されたりするものである。昇降ピンに設けられうる「入出力器」の例として、LEDや圧電素子などが挙げられる。一般に、これら入出力器を駆動するための電力供給は軽微なもので足るのであり、コンピュータから出力される「電気信号」に含まれうる。本発明でいう「電気信号の入出力」とは、昇降ピンに設けられうるこれら入出力器を駆動するための軽微な電力供給が含まれる。本体側電極から、ピン入出力装置本体の基板や、コンピュータへの導線の配線はどのようなものでも良いのであり、例えば、特願2008−196030に示された「昇降ピン吸着板」において本体側電極を設けた構成とする場合、該本体側電極からの導線配線の具体例として、「昇降ピン吸着板」の表面において本体側電極からの導線をプリント配線し、更に、フレキシブル基板によってピン入出力装置の基板へ接続される構造とすることなどが考えられる。
本体側電極は、軸方向電極と対応する部位であれば、ピン入出力装置本体のどの部位に設けられていても良いのであり、例えば、特願2008−196030に示された「昇降ピン吸着板」のように、ピン入出力装置本体の可動部位に設けられていても良いし、あるいはその他ピン入出力装置本体の非可動部位に設けられていても良い。
実開昭61−53773の第3図に示される如き電気的接続形態は、空中配線された導線をハンダ付け等にて固定的に接続されてなるものであり、このように固定的な接続形態が、接続部の耐久性の低さや、昇降ピン実装過程の高コスト(昇降ピンの導線を空中配線にてハンダ付け等にて基板に接続する手間が煩雑)や、昇降ピンメンテナンスの非容易性(昇降ピンを抜き取って清掃したり交換することが困難)といった問題を生じせしめている原因であった。本発明である電気的接続機構は、非固定的な電気的接続機構を実現することによって、導線の空中配線を排除することにより、それらの問題を解決した。すなわち、本発明である非固定的な電気的接続機構を用いることにより、(ハンダ付けなどの)接続部の耐久性が問われなくなり、昇降ピンを突出方向から挿し込むなどして簡単に実装することが可能となり、昇降ピンを突出方向へ引き抜いて清掃したり、傷んだ昇降ピンを交換するなどのメンテナンスが容易に行えるものとすることができる。
非固定的な電気的接続機構を実現する際には、その接続の確実性が問題となる。例えば、昇降ピン側の電極とピン入出力装置本体側の電極が摩擦を起こす場合、それら電極が磨耗して接触不良の原因となる可能性が考えられる。また、非固定的な電気的接続機構の代表的なものとして、ばね電極による接続が挙げられるが、ピン入出力装置の昇降ピンとピン入出力装置本体を電気的に接続する機構において、ばね電極による接触を用いた場合、触知圧力によってばね電極が歪み、接触不良を起こす可能性が考えられる。本発明である電気的接続機構は、軸方向電極が磁力吸着力によって本体側電極と接触されるものとすることにより、それら問題を解決した。すなわち、本発明である電気的接続機構は、(電極同士の摩擦を伴う)長年の酷使によって電極が磨耗しても接触不良を起こしにくく(すなわち、耐久性が高い)、触知圧力を受けても歪みにくい電極を用いることができ(すなわち、ばね電極のような触知圧力によって歪みやすい電極を用いる必要がない)、また、触知圧力にて電極が歪んだ場合でも接触不良を起こしにくいものとすることができる。特に、軸方向電極について、磁力吸着力による軸方向電極の湾曲を伴って本体側電極と接触されうるものとすることにより、昇降ピンの軸方向移動過程において、両電極の接触が確実に維持されうるものとすることができるし、また、1本の昇降ピンにおいて設けられた、軸方向電極や本体側電極の数が多い場合においても、それら複数の軸方向電極とそれに対応する本体側電極の接触を確実なものとすることができる。
また、本発明である電気的接続機構は、昇降ピンの軸方向移動時において、軸方向電極と本体側電極の接触が常に維持されうるのであり、これは、能動的に昇降ピンが軸方向移動される場合においてだけでなく、受動的(人の指によって昇降ピンが押し込まれるなど)に昇降ピンが軸方向移動される場合においても言えることである。特に、ピン出力過程において、昇降ピンの軸方向移動が個別に制動された状態のまま、その他の制動されていない昇降ピン(以下、「非制動昇降ピン」と呼ぶ)が軸方向移動され続ける場合、非制動昇降ピンにおいて、軸方向電極と本体側電極が、磁力吸着力にて接触が維持された状態のまま、相互に(軸方向に)滑動することにより、電気的接続が常に維持されうる。これは、磁力吸着において、軸方向電極が該磁力吸着力による湾曲を伴いうるものとすることにより、より確実に該接触が維持されるものとすることができる。
本発明において、軸方向電極は、その表面(本体側電極と接触される面)において、何らかの導電パターンが施されたものであっても良いのであり、その場合、導電パターンはどのようなものでも良い。特に、該導電パターンについて、本体側電極と磁力吸着力による接触が維持された状態のままで、該本体側電極と(昇降ピンの)軸方向に相互に滑動された時に、本体側電極から(コンピュータへ)断続的な信号が入力される導電パターン(以下、「断続的導電パターン」と呼ぶ)が施された軸方向電極を用いることは、例として以下に示す如き様々な機能(「ピン移動検知機能」、「ピン移動阻害検知機能」、「ピン制動不能検知機能」、「能動的3次元形状入力機能」、「押下検知機能」、「下線状スイッチ」、「受動的3次元形状入力機能」)を(コンピュータの演算等によって)実現しうるものであるという点で、意義がある。但し、これらの機能は、必ずしも軸方向電極に「断続的導電パターン」を施すことによって実現される必要は無く、軸方向電極とは別に、昇降ピンの突出量を検知しうる機構を設けることによって実現しても良いのであり、例えば、昇降ピンにおいて軸方向に可変抵抗を設けることによって実現しても良いし、また例えば、光学センサー(例えば、反射式フォトインタラプタや透過式フォトインタラプタなどで、昇降ピンにおいて軸方向に設けられた光学的パターンを検知するなど)を用いて実現しても良い。
断続的導電パターンが施された軸方向電極を用いることにより、「ピン移動検知機能」が実現されうる。ここで、「ピン移動検知機能」とは、昇降ピンの軸方向移動について、その移動量や移動方向をコンピュータが検知する機能である。以下に、ピン移動検知機能の実現例を示す。ピン移動検知機能の1つの実現例として、一定間隔の断続的導電パターンを含む軸方向電極を用い、本体側電極が該断続的導電パターンと滑動される際に、該本体側電極からの断続的な入力信号パルスをカウントすることによって、昇降ピンの軸方向移動距離を、コンピュータにてリアルタイムに把握することができる。また、他の実現例として、昇降ピンの軸に平行な断続的導電パターンを複数設け、それぞれの導電パターンに1対1対応して本体側電極を設ける。ここで仮に、それら導電パターンが4本である場合、該4本の断続的導電パターンの組み合わせによって、4ビット情報として絶対位置(昇降ピンの軸方向位置)を表現することによって、昇降ピンの軸方向の絶対位置を、コンピュータにて把握することができる。また、他の実現例として、昇降ピンの軸に平行な一定間隔の断続的導電パターンを2本設け、それぞれの導電パターンに1対1対応して本体側電極を設ける。該2本の断続的導電パターンによって表現される2ビット情報が、軸方向に規則的な変化を繰り返すよう配列することによって、昇降ピンの移動方向(突出方向移動しているのか没入方向移動しているのか)を、コンピュータにて判別することができる。
断続的導電パターンが施された軸方向電極を用いることにより、「ピン移動阻害検知機能」が実現されうる。ここで、「ピン移動阻害検知機能」とは、昇降ピンの軸方向移動が何らかの原因で妨げられた場合(例えば、昇降ピンの軸方向移動中に視覚障害者の指が誤って触れたり昇降ピンが何かに引っかかったりして昇降ピンの動きを妨げてしまった場合や、昇降ピン間に埃などが入り込んで昇降ピンの軸方向移動が妨げられた場合など)にコンピュータがそれを検知する機能である。以下に、ピン移動阻害検知機能の実現例を示す。ここで、ピン出力は、移動機構にて複数の昇降ピンを一括して軸方向移動させ、該移動過程において、昇降ピン制動機構にて昇降ピンの軸方向移動を個別に制動するものとする。ピン出力過程において、昇降ピンの軸方向移動が制動されると、その軸方向電極に対応する本体側電極からの信号入力が変化する。移動機構の駆動中において、本体側電極からの信号入力をコンピュータにて監視する。該監視中において、該信号入力に変化が無い間は、該昇降ピンと移動機構の駆動について、相対位置に変化は無い(すなわち、該昇降ピンは阻害されること無く軸方向移動している)ものとコンピュータにて判定することが出来る。該監視中において、該昇降ピンの軸方向移動が昇降ピン制動機構にて制動される以前に該信号入力が変化した場合、該昇降ピンの軸方向移動が、意図せざる何らかの原因で阻害されたものとコンピュータにて判定することができる。
断続的導電パターンが施された軸方向電極を用いることにより、「ピン制動不能検知機能」が実現されうる。ここで、「ピン制動不能検知機能」とは、昇降ピンの軸方向移動を制動する昇降ピン制動機構(あるいはその制御回路)が破損するなどして正しい軸方向位置にて制動出来なくなった場合にコンピュータがそれを検知する機能である。以下に、ピン制動不能検知機能の実現例を示す。ここで、ピン出力は、移動機構にて複数の昇降ピンを一括して軸方向移動させ、該移動過程において、昇降ピン制動機構にて昇降ピンの軸方向移動を個別に制動するものとする。ピン出力過程において、昇降ピンの軸方向移動が制動されると、その軸方向電極に対応する本体側電極からの信号入力が変化する。移動機構の駆動中において、本体側電極からの信号入力をコンピュータにて監視する。該監視中において、該信号入力に変化が無い間は、該昇降ピンと移動機構の駆動について、相対位置に変化は無い(すなわち、該昇降ピンは移動機構の駆動に従って軸方向移動している)ものとコンピュータにて判定することが出来る。該監視中において、昇降ピン制動機構を駆動して昇降ピンの軸方向移動を制動したはずにもかかわらず、該信号入力に変化が生じない場合、該昇降ピン制動機構(あるいはその制御回路)が破損するなどして該昇降ピン制動機構が正しく機能しなかったものとコンピュータにて判定することができる。
断続的導電パターンが施された軸方向電極を用いることにより、「能動的3次元形状入力機能」が実現されうる。ここで、「能動的3次元形状入力機能」とは、立体形状物に対向してピン入出力装置が昇降ピン群を突出方向移動させることにより、該3次元形状を写し取って入力する機能である。以下に、能動的3次元形状入力機能の実現例を示す。3次元形状を読み取ろうとする対象の物体を昇降ピンの突出方向に配置し、該物体に対して昇降ピン群を移動機構にて突出方向移動させ、該移動機構の駆動中において、本体側電極からの信号入力をコンピュータにて監視する。該監視中において、前記移動機構を構成するモータの回転数をコンピュータにてカウントする。該監視中において、本体側電極からの信号入力に変化が無い間は、該昇降ピンは移動機構の駆動に従って突出方向移動している(すなわち、該昇降ピン突出端が該物体の表面に未だ到達していない)ものとコンピュータにて判定することができる。該信号入力が変化した時、該昇降ピン突出端は該物体の表面に到達したものとコンピュータにて判定される。その時、前記カウント値を参照することにより、該昇降ピンの突出量がコンピュータにて判断される。該物体の3次元形状は、複数の昇降ピンの突出量の分布としてコンピュータにて把握される。
断続的導電パターンが施された軸方向電極を用いることにより、「押下検知機能」を実現することができる。ここで、「押下検知機能」とは、指先にて任意の昇降ピンが押下された時に、どの昇降ピンが押下されたのかをコンピュータが検知するものである。本機能は、例えば、「弾力性保持機構」を有する構成とすることによって実現されうる。すなわち、昇降ピンは出力された後、「弾力性保持機構」にて保持される。ここで、「弾力性保持機構」とは、昇降ピンが指先にて押下された時に、該昇降ピンは没入方向へ押し込まれ、指を離すと弾性力にて元の軸方向位置へと復帰されるものであり、具体的には、ゴム等の弾性体を介して昇降ピンを保持するものが想定される。弾力性保持機構を設ける場合、その機構はどのようなものでも良い。図18は、ピン出力が完了した後、昇降ピンの軸方向位置を保持する昇降ピン保持機構の例を示している。図18に示す例において、昇降ピン保持機構は、柵状に設けられた上部(図18の35)と下部(図18の34)とから構成されており、両者が相互にスライドすることによって昇降ピンを挟み込んで保持する。ここで例えば、図18の36に示す昇降ピン保持機構の柵棒部の爪(昇降ピンと接触する部位)を弾性体とすることにより、弾力性保持機構が実現されうる。この際、昇降ピン保持機構の柵棒部は、触知圧力によって変形し得ない程度の剛性を有するものであることが望ましいのであり、また、スライドされて昇降ピン保持動作を行う時の引っ張り力によって変形し得ない程度の剛性を有するものであることが望ましい。また例えば、「押下検知機能」は、「弾力性保持機構」を有する構成のみならず、後述する「滑動性保持機構」を有する構成とすることによっても実現されうる。昇降ピンが指先にて押下された時に、その対応する本体側電極からの信号入力が変化する。また、押下力や押込み深さに比例した回数の断続的信号変化が、本体側電極から入力され、該信号変化の回数をカウントすることによって、押下力や押込み深さがコンピュータにて判断されうる。押下検知機能を付加することにより、ピン入出力装置はタッチパネルのように使用することが出来るため、該機能を用いたピン入出力装置においては、その呈示される点字列に対してソフトウェアスイッチを対応付け、視覚障害者が該点字列を構成する昇降ピンを押下することにより、該ソフトウェアスイッチがクリックされるようにすることができる。
断続的導電パターンが施された軸方向電極を用いることにより、「下線状スイッチ」を実現することができる。ここで、「下線状スイッチ」とは、点字を表示しうるピン入出力装置において、各点字の表示部位ごとに、そのアンダーラインに相当する位置に設けられた、該アンダーラインを模した形状の「昇降ピン」であり、前述した「押下検知機能」が付与されたものである。ピン入出力装置によって表示される点字列に、ソフトウェアスイッチが対応付けられている場合、該点字列が表示される時、該点字列に対応する下線状スイッチも同時に表示される。視覚障害者は該下線状スイッチの存在を指先にて認識することにより、該点字列にソフトウェアスイッチが対応付けられていることを知る。視覚障害者が該ソフトウェアスイッチをクリックする場合は、対応する下線状スイッチを押下すれば良い。点字表示において下線状スイッチを有する場合、その点字表示用昇降ピンが押下検知機能を有する必要は無い。昇降ピン自体が押下検知機能を有する場合、視覚障害者は点字列を読み取るだけのつもりが、読み取りに伴う自然な触知圧力によって誤ってソフトウェアスイッチをクリックしてしまう危険性があるが、下線状スイッチを設けることによって点字列と押下検知機能を分離することができるので、このように点字読み取り中に誤ってソフトウェアスイッチをクリックしてしまう危険性を無くすことができる。下線状スイッチは特に、視覚障害者が、ピン入出力装置を用いてインターネットを利用する際に、点字列に貼られたリンク(「ソフトウェアスイッチ」の用途に含まれる)が下線状スイッチに対応付けて表示されるといった利用形態を想定している。
断続的導電パターンが施された軸方向電極を用いることにより、「受動的3次元形状入力機能」を実現することができる。ここで、「受動的3次元形状入力機能」とは、人の指にて任意の昇降ピンが任意の軸方向距離だけ押下げられたり(あるいは引上げられたりしても良い)、あるいは人が昇降ピン群に対して3次元形状物を押し付けることにより、該3次元形状を、該昇降ピン群の突出量の分布として転写してコンピュータへ入力する機能である。本機能は、「滑動性保持機構」を有する構成とすることによって実現されうる。すなわち、昇降ピンは出力された後、「滑動性保持機構」にて保持されることにより、「当初ピン出力」が呈示される。ここで、「滑動性保持機構」とは、昇降ピンが指先にて押下された時に、該昇降ピンが没入方向へ押下げられうるよう、昇降ピンが軸方向に滑動可能に保持されるものであり、具体的には、摩擦係数の小さい樹脂等(自己潤滑性を有する樹脂等)を介して昇降ピンを保持するものが想定される。昇降ピンが指先にて押下げられた時に、その対応する本体側電極からの信号入力が断続的に変化する。ここで、前記「当初ピン出力」に対して、人の指にて任意の昇降ピンを任意の距離だけ押下げたり(あるいは引上げても良い)、あるいは人が立体形状物を押し付けることにより、3次元形状を入力することができる。具体的には、昇降ピンが人の指にて押下げられると、その押下距離に比例した回数の断続的信号変化が、本体側電極から入力され、該信号変化の回数をカウントすることによって、該昇降ピンの押下距離がコンピュータにて判断されうる。なおここで、昇降ピンを押下げる(あるいは引上げる)際、何らかの器具を用いると容易であると思われる。例えば、ペンのような先端の尖った器具にて押下げる方法が考えられる。また例えば、突出端において戻り止めを有する凹部が設けられている昇降ピンを用い、先端に鉤部が設けられているピンセット状の器具を前記凹部に挿し込んで、昇降ピンを引上げる方法などが考えられる。
図13aは、図12に示す昇降ピンを昇降ピン吸着板(図13の18)にて(磁力にて)吸着した状態で軸方向移動させうるピン入出力装置の構成例であり、弾力性保持機構と滑動性保持機構を有する例を示している。図13aにおいて、柵状に設けられた弾力性保持機構と、柵状に設けられた滑動性保持機構が設けられている。滑動性保持機構はその柵棒部(図13の29)が、弾力性保持機構の柵棒部(図13の28)と直行する向きに配置されている。図13bは、図13aにおける昇降ピン吸着板(図13の18)の斜視図である。ピン出力完了後、弾力性保持機構又は滑動性保持機構にて昇降ピンの軸方向位置を保持する。図14は、図13に示す柵状に設けられた弾力性保持機構を水平方向へスライドさせて昇降ピンを保持した様子を示している。
本明細書に添付されている図面は全て、本発明の概念を説明するために描かれたものであり、必ずしも実際の製品における形状や構造を反映しているわけではない。また、本発明を説明するために不要な部分は省略されている場合がある。本明細書に添付されている図面は全て例であり、それら図面によって本発明が制約されるものではない。
軸方向電極が磁力吸着力による湾曲を伴って本体側電極と接触される様子 外側面に軸方向電極を有する昇降ピンの例 軸方向電極の自由端が拘束されない場合の湾曲の様子 表面に導電パターンが施された軸方向電極の例 軸方向電極の没入端が昇降ピンに固定されている例 LEDの電極が軸方向電極を兼ねている例 内側面に軸方向電極を有する昇降ピンの例 昇降ピン吸着板などの昇降ピン駆動機構の例 図2に示す昇降ピンを、図8に示す昇降ピン吸着板にて駆動する構成 図8に示す昇降ピン吸着板の柵棒部 図7に示す昇降ピンを、図8に示す昇降ピン吸着板にて駆動する構成 昇降ピンの没入端に軸方向電極を有する、あるいは軸方向電極自体が昇降ピンを兼ねている構成の例 図12に示す昇降ピンを用いたピン入出力装置の構成例 図13に示すピン入出力装置の、弾力性保持機構にて昇降ピンを保持した様子 昇降ピン保持機構にて保持されうるよう構成した昇降ピンの例 柵状に設けられた昇降ピン制動機構と軸方向電極の位置関係の例 柵状に設けられた昇降ピン吸着板と軸方向電極の位置関係の例 柵状に設けられた昇降ピン保持機構と軸方向電極の位置関係の例
本発明を実施するための最良の形態は、以下のようなものであると考えられる。すなわち、先行技術にて開示されている、昇降ピンと相互に磁力吸着された状態の昇降ピン吸着板を軸方向移動させることによって昇降ピンを軸方向移動させうるピン入出力装置を用いる。昇降ピン吸着板において、軸方向電極に対応して本体側電極が設けられているものとする。軸方向電極は、磁力吸着力によって湾曲されうるものとすることにより、磁力吸着力による電極同士(軸方向電極と本体側電極)の接触が確実になされうるものとする。昇降ピン吸着板による磁力吸着力にて、軸方向電極が本体側電極へ接触されうるよう構成する。
昇降ピン吸着板にて昇降ピンを磁力吸着したまま軸方向移動させるピン入出力装置において、本発明である磁力吸着力による電気的接続機構を用いた場合について、昇降ピン吸着板などの昇降ピンとともに軸方向移動される「可動部位」から軸方向電極へ磁力吸着力を及ぼす構成とした場合と、「非可動部位」から軸方向電極へ磁力吸着力を及ぼす構成とした場合が考えられる。非可動部位から軸方向電極に対して磁力吸着力を及ぼす構成とした場合、該磁力吸着力は昇降ピン自体にも及ぼされる可能性があり、その場合、昇降ピンの軸方向移動に対する「抵抗」となりうる(すなわち、軸方向移動についてのエネルギー効率が良くない)。また、非可動部位に本体側電極を設け、非可動部位から軸方向電極に対して磁力吸着力を及ぼして該本体側電極に接触させる構成とした場合、該電極同士の接触摩擦が、昇降ピンの軸方向移動に対する「抵抗」となりうる(すなわち、軸方向電極についてのエネルギー効率が良くない)。但しここで、これらの「抵抗」は、設計にも依存する。これに対して、昇降ピン吸着板に本体側電極を設け、昇降ピン吸着板から軸方向電極に対して磁力吸着力を及ぼして該本体側電極に接触させる構成とした場合、昇降ピン吸着板は昇降ピンとともに軸方向移動されるので、前述したような昇降ピンの軸方向移動に対する「抵抗」は発生しない(すなわち、軸方向移動についてのエネルギー効率が良い)。
昇降ピンは複数の外側面を有するものとし、それら複数の外側面に軸方向電極を振り分けて配置することにより、径の小さい(軸に垂直な断面積が小さい)昇降ピン1本において多くの軸方向電極を設けることができる。図2は、フルカラーLEDを有する昇降ピンであり、2つの外側面に軸方向電極を振り分けて配置した例を示している。図9は、図2に示す昇降ピンを用いた構成例を示している。図2において、隣接する軸方向電極同士が接触するのを防ぐため、それぞれの側面において、隣接する軸方向電極の間にリブを設けた形状としている。あるいは、それぞれの側面において軸方向の溝を設け、該溝に軸方向電極が設けられても良い(ここで、側面の形状として、リブを有する場合と溝を有する場合は、実質的に同じものである)。また、図7は、2つの内側面に軸方向電極を振り分けて配置した例を示している。図11は、図7に示す昇降ピンを用いた構成例を示している。
本実施例の特徴は、昇降ピンが、該昇降ピンの軸方向電極に接続された発光体(LEDなど)を有するものとし、該発光体の発光が、ピン入出力装置に接続されたコンピュータにて制御されうるものとすることにより、ピン入出力装置に「光学ディスプレイ機能」を付加したことにある。
本実施例で示す光学ディスプレイ機能を有するピン入出力装置は、本発明である電気的接続機構を用いた構成としたことにより、昇降ピンがどのような状態であるかにかかわらず、光学的出力が可能となる。すなわち、昇降ピンの軸方向位置が停止している状態においてのみならず、昇降ピンの軸方向移動中(突出方向移動時又は没入方向移動時)においても光学的出力が可能となるのであり、能動的な軸方向移動中においてのみならず、受動的(人の指で押し込まれるなど)な軸方向移動中においても光学的出力が可能となる。このような、本実施例に示す光学ディスプレイ機能の有利な効果は、ピン入出力装置における昇降ピンの様々な状況(軸方向位置が停止している状態・能動的な軸方向移動中・受動的な軸方向移動中・軸方向移動が制動された時など)において、軸方向電極とそれに対応する本体側電極の確実な接触を維持し続けることができるという、本発明である電気的接続機構の特徴によって実現されるものである。
昇降ピンの有する発光体はどのようなものでも良いのであり、例えばLEDなどが考えられる。発光体は単色の光を発するものでも良いし、あるいはフルカラーの光を発するものでも良い。
昇降ピンにおいて、発光体を設ける部位はいかなる部位でも良いのであり、例えば、昇降ピンの突出端に配置されても良いし、あるいは昇降ピンの没入端に配置されても良い。昇降ピンの没入端に配置された場合は、光を透過しうる材質からなる昇降ピンを用いたり、隣接する昇降ピンへ光が漏れるのを防ぎうる工夫(昇降ピンの外側面にめっきや遮光塗装を施すなど)を施すなどしても良い。
1本の昇降ピンが有する発光体の数はいくつでも良いのであり、例えば、1本の昇降ピンについて、複数の発光体を有するものとしても良い。特開平9−146449において、昇降ピンの軸方向に複数の発光素子を設け、それら発光素子の間に遮光層を設ける技術が開示されている。1本の昇降ピンが複数の発光体を有するものとする場合、該先行技術を用いて構成しても良い。
軸方向電極は、発光体とどのように接続されていても良いのであり、例えば、LEDの電極自体を軸方向電極とする設計でも良い。
コンピュータによる発光体の制御は、どのようなものでも良い。本発明は制御方法・制御回路などはどのようなものを用いても良いのであり、これによって本発明が制約されるものではない。
複数の発光体を有する昇降ピンの場合、それら複数の発光体の発光を制御する回路を同時に有するインテリジェント化された昇降ピンとしても良い。軸方向電極から入力されたシリアル信号を受けて前記回路にて前記複数の発光体の発光制御がなされる構成などを考えることができる。
光学ディスプレイ機能について、文字や映像(静止画や動画)など、いかなる情報を表示しうるものであっても良い。
光学ディスプレイ機能を有するピン入出力装置において、ピン入出力(点字や3次元形状など、昇降ピンの突出制御)と光学ディスプレイ出力を同時に行う場合、それら光学ディスプレイ機能にて表示される情報と、ピン入出力機能にて表示される情報は、一致していても良いし、あるいは一致していなくても良い。ピン出力による情報表示と光学ディスプレイ出力による情報表示ができるだけ一致しているものとすることにより、視覚障害者と晴眼者においてバリアフリーが実現される。但し、使用者が晴眼者のみであることを想定している場合は、ピン出力による情報表示と光学ディスプレイ出力による情報表示を異なるものとすることにより、同時に2種類の次元が異なる情報を呈示することができる。例えば、市街地のビル群を3次元形状(ピン出力)にて表示し、同時に、各ビルを機能や性質ごとに色分け(光学ディスプレイ機能)して表示する、などの用途が考えられる。
本実施例について、以下に、理想的な実施形態を具体的に示す。すなわち、昇降ピンは、その突出端にフルカラーLEDを設けたものとする。該フルカラーLEDの電極ピンは、昇降ピンのほぼ全長にわたる長さのものであり、薄板状とすることにより、磁力吸着力にて湾曲されやすいものとする。該電極ピンは、昇降ピンの側面(内側面又は外側面)において、そのほぼ全長が露出した状態で配置されており、該電極の没入端は、拘束帯にて可動域制限が施されているものとする。この構成は、LEDの電極ピン自体を本発明でいう「軸方向電極」とするものであり、昇降ピンにLEDを設けた場合に、LEDと軸方向電極を接続する手間が省けるため、製造工程が簡略化され、製造コストが低減できる。図6は、フルカラーLEDの電極ピンを薄板状とすることにより、該電極ピン自体を軸方向電極として用いることができるようにしたフルカラーLEDの例を示している。昇降ピンの突出端にフルカラーLEDを設けた構成とし、その昇降ピンはLED発光部の直下(没入側)を黒色のものとすることにより、LEDが発光しない時は背景画面が黒色になるようにする。表面板は、黒色のものとする。LEDの先端に平面部を設け、昇降ピンの没入時には該平面部が表面板と同じ高さとなるようにすることにより、視覚障害者が指で触れた時にフラット感が得られるようにする。
下線状スイッチを設けた構成とし、該下線状スイッチにリンクを対応付けることにより、視覚障害者に対して点字によるインターネット環境を提供することができる。
視覚障害者のみならず晴眼者においても、インターネットで3次元形状のやり取りが簡単に行えるようになることにより、3次元イメージを伝達しやすくなる。例えば、インターネットの地図情報サイトは街並みを2次元図面にて表現しているが、該2次元図面に3次元データを埋め込んでおき、パソコンにピン入出力装置が接続されている場合には該ピン入出力装置にて該街並みを3次元形状にて表現するようにすることができる。ビルの高さ・川・堤防・山・坂道などが3次元形状にて表現されることにより、視覚障害者のみならず晴眼者にとっても、リアルに街並みを把握することができる。
光学ディスプレイ機能や押下検知機能を有するピン入出力装置を実現することにより、視覚障害者と晴眼者が情報を共有しうるバリアフリー入出力環境を提供することができる。これを、公共の場に設置する案内情報装置に用いた場合、例えば図書館に設置するならば、フロア案内(3次元形状にて表示)から蔵書検索(点字にて表示)までをこなし、なおかつバリアフリーとすることができる。
昇降ピン制動機構は、昇降ピンの軸方向移動を個別に制動しうるものであるが、視覚障害者の指先へ情報を伝達するために用いることもできる。すなわち、昇降ピン制動機構にて任意の昇降ピンの側面を叩打することによって、視覚障害者の指先へ情報を伝達することができる。例えば、ピン出力を完了した後、弾力性保持機構にて昇降ピンを保持し、昇降ピン制動機構にて任意の昇降ピンを側面から叩打して該昇降ピンを振動させることにより、任意の位置を視覚障害者の指先へ伝達することができる。これは例えば、道案内において地図情報が表示された状態で、視覚障害者の現在位置や目的地の位置を示すために用いることができる。地図情報が表示された時、視覚障害者は指先にて、前記方法にて振動されている昇降ピンを探し当てることによって現在位置や目的地の位置を知ることができる。また、連続して隣接している複数の昇降ピンを、それぞれの昇降ピンに対応する昇降ピン制動機構にて、連続して叩打することにより、「方向」や、「進むべき経路(道案内の場合)」を動的触覚情報として視覚障害者へ呈示することができる。これは例えば、カーナビ等にて用いられている、誘導経路を表示する技術と組み合わせることにより、目的地をコンピュータに入力すると、3次元地図情報を表示するとともに、「現在地」、「目的地」、「進むべき経路」を前記動的触覚情報として視覚障害者に呈示することができる。また、弾力性保持機構にて保持された昇降ピンにおいて、ソフトウェアスイッチが対応付けられている昇降ピンが指先で押下された時、昇降ピン制動機構にて該昇降ピンを側面から叩打して該昇降ピンを振動させることにより、該ソフトウェアスイッチへの入力が(コンピュータにて)認識されたことを視覚障害者へ応答することができる。
1 軸方向電極
2 本体側電極
3 ピン入出力装置本体
4 昇降ピン
5 拘束帯
6 LED
7 軸方向電極(LEDのGND電極)
8 軸方向電極(表面に断続的導電パターンが施された、LEDのGND電極)
9 軸方向電極(フルカラーLEDの入力電極)
10 隣接する軸方向電極同士の間に設けられたリブ
11 昇降ピンの突出方向
12 昇降ピンの没入方向
13 軸方向電極の表面に施された断続的導電パターン
14 昇降ピンの貫通長穴
15 柵状に設けられた昇降ピン吸着板
17 昇降ピン吸着板を軸方向に移動させるための送りねじ
18 柵状に設けられた昇降ピン吸着板の柵棒部
19 昇降ピンの軸方向
20 表面板
21 摩擦係数の大きい塗装
22 かえり(戻り止め)
23 磁石
24 軸方向電極の接触面を安定させるための突起
25 配線パターン面
26 柵状に設けられた(昇降ピンの軸方向移動を個別に制動しうる)昇降ピン制動機構の柵棒部
27 弾力性保持機構の弾性体
28 弾力性保持機構のスライド板
29 柵状に設けられた滑動性保持機構の柵棒部
30 昇降ピンの触知部
31 軸方向電極の(軸方向に平行な)曲げ加工部位
32 昇降ピン制動機構の制動アクチュエータ
33 昇降ピン制動機構の柵棒部に設けられた軸方向の溝
34 柵状に設けられた昇降ピン保持機構の下側の柵棒部
35 柵状に設けられた昇降ピン保持機構の上側の柵棒部
36 昇降ピン保持機構の柵棒部の爪(昇降ピンと接触する部位)

Claims (2)

  1. コンピュータに接続されうるピン入出力装置であり、
    軸方向移動する昇降ピンを有し、該昇降ピンは、その軸方向に長い形状の電極を有するもの、あるいは該電極自体からなるものであり、
    ピン入出力装置本体は、前記昇降ピンにおける電極に対応して本体側電極を有し、
    前記昇降ピンにおける電極と前記ピン入出力装置本体は、相互に磁力吸着力を及ぼしうるものであり、
    前記昇降ピンにおける電極と前記電極に対応する本体側電極は、前記磁力吸着力にて接触されうるものである
    ことを特徴とするピン入出力装置
  2. 昇降ピンと相互に磁力吸着された状態で軸方向移動されることによって該昇降ピンを軸方向移動させうる昇降ピン吸着板、を有するピン入出力装置であり、
    昇降ピンを有し、該昇降ピンは、その軸方向に長い形状の電極を有するもの、あるいは該電極自体からなるものであり、
    前記昇降ピン吸着板は、前記昇降ピンにおける電極に対応して本体側電極を有し、
    前記昇降ピンにおける電極と前記昇降ピン吸着板は、相互に磁力吸着力を及ぼしうるものであり、該磁力吸着力にて、前記昇降ピンにおける電極と前記電極に対応する本体側電極が接触されうるものである
    ことを特徴とするピン入出力装置
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