JP5772771B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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本発明は、トラックやバスなどの車両に補助ブレーキとして搭載される渦電流式減速装置に関し、特に、制動トルクを発生させるために永久磁石を用いた渦電流式減速装置に関する。
永久磁石(以下、単に「磁石」ともいう)を用いた渦電流式減速装置(以下、単に「減速装置」ともいう)は、プロペラシャフトなどの回転軸に固定した制動部材を有し、制動時に、磁石からの磁界の作用で、磁石と対向する制動部材の表面に渦電流を発生させ、これにより、回転軸と一体で回転する制動部材に回転方向と逆向きの制動力(制動トルク)が生じ、回転軸を減速させるものである。減速装置は、制動力をもたらすために渦電流が発生させられる制動部材、および磁石を保持して制動部材と対をなす磁石保持部材の形状に応じてドラム型とディスク型に大別され、制動と非制動とを切り替える構造も様々ある。
従来慣用されている減速装置では、例えばドラム型の場合、車両の回転軸に制動部材として円筒状の制動ドラムが固定され、この制動ドラムの内側に、磁石保持部材として、制動ドラムの内周面に対向して円周方向にわたり複数の永久磁石を保持した磁石保持ドラムが配設されており、磁石保持ドラムに接続されたアクチュエータの作動により、磁石保持ドラムの位置、すなわち磁石の位置を制動と非制動それぞれの位置に切り替えるようになっている。
また、近年では、装置の小型化への要請に対応するため、磁石を保持する磁石保持部材を回転軸に回転可能に支持し、制動時にその磁石保持部材を摩擦ブレーキによって静止させる減速装置が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。この減速装置は、以下に示すように、非制動時に磁石保持部材と制動部材が同期して一体的に回転することから、同期回転方式の減速装置と称される。
図1は、従来の同期回転方式の減速装置の構成例を示す縦断面図である。同図に示す減速装置はディスク型であり、制動部材としての制動ディスク1と、磁石保持部材としてその制動ディスク1の主面に対向し永久磁石5を保持する磁石保持ディスク4とを備える。
図1では、制動ディスク1は、プロペラシャフトなどの回転軸11と一体で回転するように構成される。具体的には、回転軸11と同軸上に連結軸12がボルトなどによって固定され、フランジ付きのスリーブ13がその連結軸12にスプラインで噛み合いながら挿入されてナット14で固定されている。制動ディスク1は、回転軸11と一体化されたスリーブ13のフランジにボルトなどで固定され、これにより回転軸11と一体で回転するようになる。
制動ディスク1には、例えばその外周に放熱フィン2が設けられる。この放熱フィン2は、制動ディスク1と一体成形され、制動ディスク1そのものを冷却する役割を担う。制動ディスク1の材質は、鉄などの強磁性材料や、フェライト系ステンレス鋼などの弱磁性材料である。
図1では、磁石保持ディスク4は、回転軸11に対し回転可能に構成される。磁石保持ディスク4は、連結軸12と同心状の環状部材3と一体成形されたり、個別に成形されてボルトなどで環状部材3に固定されたりしたものである。環状部材3は回転軸11と一体化されたスリーブ13に軸受15a、15bを介して支持され、これにより磁石保持ディスク4は回転軸11に対し自由に回転が可能になる。軸受15a、15bには潤滑グリスが充填され、この潤滑グリスは、環状部材3の前後両端に装着されたリング状のシール部材16a、16bにより漏出を防止される。
磁石保持ディスク4には、制動ディスク1の主面と対向する面に、円周方向にわたり複数の永久磁石5が固着される。永久磁石5は、磁極(N極、S極)の向きが磁石保持ディスク4の軸方向であり、円周方向に隣接するもの同士で磁極が交互に異なるように配置される。これにより、永久磁石5から制動ディスク1の主面に作用する磁界の向きは、円周方向にわたり交互に異なるようになる。
図1では、磁石保持ディスク4には、永久磁石5の全体を覆うように、薄板からなる磁石カバー20が取り付けられる。この磁石カバー20は、鉄粉や粉塵から永久磁石5を保護するのみならず、永久磁石5の保有する磁力が熱影響で低下するのを防止するために、制動ディスク1からの輻射熱を遮る役割を担う。磁石カバー20の材質は、永久磁石5からの磁界に影響を及ぼさないように、非磁性材料である。
図1に示す減速装置は、制動時に磁石保持ディスク4を静止させる摩擦ブレーキとしてディスクブレーキを備える。このディスクブレーキは、磁石保持ディスク4の後方で環状部材3と一体のブレーキディスク6と、このブレーキディスク6を間に挟む摩擦部材としてブレーキパッド8a、8bを有するブレーキキャリパ7と、このブレーキキャリパ7を駆動させる電動式直動アクチュエータ9とから構成される。ブレーキディスク6は、ボルトなどで環状部材3に取り付けられ、環状部材3と一体化される。
ブレーキキャリパ7は、前後で一対のブレーキパッド8a、8bを有しており、ブレーキパッド8a、8bの間にブレーキディスク6を配置し所定の隙間を設けて挟んだ状態で、バネを搭載したボルトなどによりブラケット17に付勢支持される。このブラケット17は、車両のシャーシやクロスメンバーなどの非回転部に取り付けられる。また、ブラケット17は、ブレーキディスク6の後方で環状部材3を包囲し、環状部材3に軸受18を介して回転可能に支持される。この軸受18にも潤滑グリスが充填され、この潤滑グリスは、ブラケット17の前後両端に装着されたリング状のシール部材19a、19bにより漏出を防止される。
ブレーキキャリパ7には、アクチュエータ9がボルトなどで固定される。アクチュエータ9は、電動モータ10によって駆動し、電動モータ10の回転運動を直線運動に変換して後側のブレーキパッド8bをブレーキディスク6に向け直線移動させる。これにより、後側のブレーキパッド8bがブレーキディスク6を押圧し、これに伴う反力の作用で、前側のブレーキパッド8aがブレーキディスク6に向け移動し、その結果、ブレーキディスク6を前後のブレーキパッド8a、8bで強力に挟み込む。
図1に示す減速装置において、非制動時は、ディスクブレーキ(摩擦ブレーキ)を作動させない状態にある。このとき、回転軸11と一体で制動ディスク1が回転するのに伴い、環状部材3と一体の磁石保持ディスク4が、永久磁石5と制動ディスク1との磁気吸引作用により、制動ディスク1と同期して一体的に回転する。このため、制動ディスク1と永久磁石5との間に相対的な回転速度差が生じないことから、制動力は発生しない。
一方、制動時は、ディスクブレーキ(摩擦ブレーキ)を作動させ、ブレーキディスク6がブレーキパッド8a、8bによって挟み込まれ、これにより環状部材3と一体の磁石保持ディスク4の回転が停止し、磁石保持ディスク4が静止する。制動ディスク1が回転している際に磁石保持ディスク4のみが静止すると、制動ディスク1と永久磁石5との間に相対的な回転速度差が生じるため、永久磁石5からの磁界の作用で、制動ディスク1の主面に渦電流が発生し、制動ディスク1を介して回転軸11に制動力を発生させることができる。
このように図1に示す同期回転方式の減速装置はディスク型であるが、ドラム型であっても成り立つ。
ところで、減速装置を使用する際、走行状況に応じて制動トルクを調整できると好都合である。例えば、空荷で走行しているときや、滑り易い路面を走行しているときは、車輪の不用意なロックを防止するため、運転手の操作により弱い制動トルクを指定し、所望した指定の弱い制動トルクを発生できるとよい。これとは逆に、満載状態で走行しているときには、十分な減速を行うため、強い制動トルクを指定し、所望した指定の強い制動トルクを発生できるとよい。また、車両の主ブレーキを主体とするブレーキ統合システムに減速装置が組み込まれている場合は、運転手の操作によることなく、ブレーキ統合システムの制御装置が最適な制動トルクを演算して指定し、所望した指定の最適な制動トルクを発生できるとよい。
この点、上記の従来慣用されている減速装置では、例えば特許文献6に記載されるように、制動時に磁石の位置をアクチュエータで変化させることにより、制動トルクを調整できるので、所望の制動トルクを適宜指定して発生させることが可能である。
しかし、上記した従来の同期回転方式の減速装置では事情が異なり、制動時に磁石保持部材を静止させ、それを継続して維持するのみであるため、制動トルクを指定することはそもそもできず、所望する制動トルクがあってもこれを意図的に発生させることは不可能である。
特開平4−331456号公報 実開平5−80178号公報 特開2011−97696号公報 特開2011−139574号公報 特開2011−182574号公報 特開2002−233196号公報
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、制動時に所望する指定の制動トルクを発生させることが可能な同期回転方式の渦電流式減速装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、永久磁石を用いた同期回転方式の減速装置において、制動時に、厳密には、摩擦ブレーキのアクチュエータの作動ONに伴って100%の制動トルクが発生するのにタイムラグが生じること、およびアクチュエータの作動OFFに伴って制動トルクが消失するのにタイムラグが生じることに着目し、所望する指定の制動トルクでの制動を可能にするには、そのようなタイムラグの時間よりも短い時間間隔でアクチュエータの作動ON/OFFを繰り返すのが有効であることを知見し、本発明を完成させた。
本発明の渦電流式減速装置は、
車両の回転軸に固定された制動部材と、
この制動部材に円周方向にわたり交互に向きの異なる磁界を作用させる複数の永久磁石を保持し、回転軸に回転可能に支持された磁石保持部材と、
制動時に磁石保持部材に摩擦部材を押し付けるアクチュエータを有する摩擦ブレーキと、を備えた渦電流式減速装置であって、
制動部材の回転速度を検出する回転速度検出器と、
アクチュエータの動作を制御する制御装置と、を備えており、
制御装置は、
(ステップ1)指定の制動トルクによる制動の指令が与えられると、回転速度検出器より制動部材の実回転速度を取得すること、
(ステップ2)制動トルクおよび制動部材の回転速度ごとに予め定められたデータテーブルから、ステップ1で取得した指定の制動トルクおよび制動部材の実回転速度に対応して、アクチュエータの1回目の作動ON時間、2回目以降の作動ON時間および作動OFF時間を選定すること、
(ステップ3)ステップ2で選定したアクチュエータの1回目の作動ON時間、2回目以降の作動ON時間および作動OFF時間でアクチュエータの作動ON/OFFを繰り返すこと、の一連の各ステップを実行すること、
を特徴とする。
本発明の渦電流式減速装置によれば、アクチュエータの作動ON/OFFを繰り返す制御の制動動作を実行して、アクチュエータによる摩擦部材の押付け/解除を繰り返し、これに伴って磁石保持ディスクの回転速度を制御することにより、発生する制動トルクをほぼ一定に調整でき、その結果として、指定の制動トルクTを発生させることができる。
従来の同期回転方式の減速装置の構成例を示す縦断面図である。 本発明の同期回転方式の減速装置の構成例を示す模式図である。 従来の同期回転方式の減速装置における制動トルクの挙動の一例を示すタイムチャートである。 本発明の同期回転方式の減速装置における制動トルクの挙動の一例を示すタイムチャートである。 アクチュエータ作動時間決定用のデータテーブルの一例を示す。 本発明の減速装置による制動動作を示すフローチャートである。
以下に、本発明の同期回転方式の渦電流式減速装置の実施形態について詳述する。
図2は、本発明の同期回転方式の減速装置の構成例を示す模式図である。同図に示す本発明の減速装置はディスク型に相当するものであり、前記図1に示す減速装置の構成を基本とし、重複する説明は適宜省略する。
図2に示すように、本発明の減速装置は、制動部材として制動ディスク1と、磁石保持部材として磁石保持ディスク4とを備える。制動ディスク1は、回転軸11に固定されて回転軸11と一体で回転する。磁石保持ディスク4は、制動ディスク1の主面に円周方向にわたり交互に向きの異なる磁界を作用させる複数の永久磁石5を保持する。磁石保持ディスク4は、環状部材3と一体化されたものであり、この環状部材3を介して回転軸11に回転可能に支持されている。また、環状部材3にはブレーキディスク6が取り付けられており、これらの磁石保持ディスク4、環状部材3およびブレーキディスク6は一体化されている。
制動時、摩擦ブレーキ(ディスクブレーキ)のアクチュエータ9の作動ONにより、摩擦部材としてのブレーキパッド8a、8bがブレーキディスク6に押し付けられ、その押付けによる摩擦抵抗により、ブレーキディスク6および環状部材3と一体の磁石保持ディスク4の回転が抑えられる。磁石保持ディスク4が制動ディスク1と同期して回転している際に磁石保持ディスク4の回転が抑えられると、制動ディスク1と永久磁石5との間に相対的な回転速度差が生じるため、永久磁石5からの磁界の作用で、制動ディスク1の主面に渦電流が発生し、これに伴って回転軸11と一体の制動ディスク1に制動トルクが発生する。
そして、アクチュエータ9の作動OFFにより、ブレーキパッド8a、8b(摩擦部材)の押付けが解除されると、磁石保持ディスク4は何ら拘束されないことから、永久磁石5と制動ディスク1との磁気吸引作用により、制動ディスク1と同期して一体的に回転するようになる。これに伴って、制動トルクが消失し非制動状態となる。
ここで、同期回転方式の減速装置における制動トルクの挙動に関し、厳密には、アクチュエータ9の作動ONに伴って瞬時に100%の制動トルクが発生するわけではなく、アクチュエータ作動のON時点から100%の制動トルクの発生までにタイムラグが生じる。さらに、アクチュエータ9の作動OFFに伴って瞬時に制動トルクが消失するわけではなく、アクチュエータ作動のOFF時点から制動トルクの消失までにタイムラグが生じる。その状況を以下に説明する。
図3は、従来の同期回転方式の減速装置における制動トルクの挙動の一例を示すタイムチャートである。同図に示すように、制動に際し、アクチュエータの作動ONにより、摩擦部材がブレーキディスクに押し付けられ、これに伴って磁石保持ディスクの回転速度が急激に減少するとともに、制動トルクが発生し急激に上昇する。磁石保持ディスクの回転速度が0となり、磁石保持ディスクが静止すると、制動トルクは100%に達する。
こうして、アクチュエータの作動ONの時点から100%の制動トルクの発生までには、タイムラグが生じることになる。このようなアクチュエータの作動ONの時点から100%の制動トルクの発生までのタイムラグは、制動に際しての制動ディスクの回転速度、すなわち磁石保持ディスクの回転速度によって多少異なるが、0.1〜0.3[s(秒)]程度である。
従来の減速装置では、アクチュエータの作動ONの状態がそのまま維持され、制動ディスクに100%の制動トルクが継続して作用する。これにより、制動ディスクの回転速度が次第に減少し、これに伴って制動トルクが徐々に降下する。
このような制動状態から非制動への切り替えに際しては、アクチュエータの作動OFFにより、摩擦部材の押付けが解除され、これに伴って永久磁石と制動ディスクとの磁気吸引作用により、磁石保持ディスクが回転し始める。そして、磁石保持ディスクの回転速度の増加に伴って制動トルクが徐々に降下し、さらにある時点から急激に降下し、終に磁石保持ディスクの回転速度が制動ディスクの回転速度と同じになると、制動トルクが0になり消失する。
こうして、アクチュエータの作動OFFの時点から制動トルクの急激な減少開始まで、さらにここから制動トルクの消失までには、タイムラグが生じることになる。このようなアクチュエータの作動OFFの時点から制動トルクの急激な降下開始までのタイムラグは、約0.2[s]である。また、制動トルクの急激な降下開始から消失までのタイムラグは、非制動への切替えに際しての制動ディスクの回転速度、すなわち磁石保持ディスクの到達予定の回転速度によって多少異なるが、0.2〜0.4[s]程度である。
そこで、本発明の減速装置は、アクチュエータの作動ONに伴って100%の制動トルクが発生するのにタイムラグが生じること、およびアクチュエータの作動OFFに伴って制動トルクが消失するのにタイムラグが生じることに着目し、制動時に、そのようなタイムラグの時間よりも短い時間間隔でアクチュエータの作動ON/OFFを繰り返し、これに伴って磁石保持ディスク(磁石保持部材)の回転速度を制御することにより、制動トルクを調整できるようになっている。
図4は、本発明の同期回転方式の減速装置における制動トルクの挙動の一例を示すタイムチャートである。同図に示すように、本発明の減速装置では、制動に際し、アクチュエータの1回目の作動ONにより、摩擦部材がブレーキディスクに押し付けられ、これに伴って磁石保持ディスクの回転速度が急激に減少するとともに、制動トルクが発生し急激に上昇する。ここで、アクチュエータの1回目の作動ONの時点から100%の制動トルクの発生までのタイムラグの時間よりも短い時間が経過した時点で、アクチュエータの作動をOFFに切り替える。すると、磁石保持ディスクは回転速度が0になる前に摩擦部材の押付けが解除されることから、制動トルクは100%に達する前にその上昇が止まり、上記した約0.2[s]の経過後に、磁石保持ディスクの回転速度の増加に伴って制動トルクは急激に降下し始める。
この瞬間に、アクチュエータの作動を2回目の作動ONに切り替える。すると、摩擦部材の押付けが再開することから、磁石保持ディスクの回転速度が減少に転じ、これに伴い制動トルクが上昇に転じる。ここで、再び、アクチュエータの作動(2回目の作動ON)をOFFに切り替える。すると、1回目の作動OFF時と同様に、制動トルクは100%に達する前にその上昇が止まり、上記した約0.2[s]の経過後に、制動トルクは急激に降下し始める。
以降、このようなアクチュエータの作動ON/OFFの切替えを繰り返し実行する。これにより、100%の制動トルクよりも低い制動トルクを発生させることが可能になる。とりわけ、アクチュエータの1回目の作動ON時間によって制動トルクを先ずは調整し、さらにそれ以降の作動ON時間および作動OFF時間を適切に設定することにより、発生する制動トルクがほぼ一定となり、制動トルクを調整することができる。以下に本発明の減速装置の具体的な構成を説明する。
前記図2に示すように、本発明の減速装置は、制動ディスク1(制動部材)の回転速度を検出する回転速度検出器21と、アクチュエータ9の動作を制御する制御装置30と、を備える。
回転速度検出器21としては、例えば、エンコーダを用いることができ、この場合、制動ディスク1に突起を設け、制動ディスク1が回転している際にその突起の単位時間当たりの周回数をカウントすることにより、制動ディスク1の実回転速度(回転数)を検出できる。もっとも、制動ディスク1は回転軸11と一体で回転するため、回転軸11の回転速度を検出しても構わない。
制御装置30は、信号受信部31、記憶部32、演算部33および出力部34から構成される。信号受信部31は、指定の制動トルクによる制動に関する信号を受信する。指定の制動トルクは、運転手が走行状況に応じて所望し、運転手の操作により発信されたり、減速装置がブレーキ統合システムに組み込まれている場合は、そのブレーキ統合システムの制御装置が主ブレーキなどの動作を踏まえつつ状況に応じて最適なものを演算し、これにより発信されたりする。また、信号受信部31は、回転速度検出器21に接続されており、当該検出器21で検出した制動ディスク1の実回転速度に関する信号も受信する。
記憶部32には、信号受信部31で指定の制動トルクに関する信号を受信したときに、その指定の制動トルク、および回転速度検出器21によって検出した制動ディスク1の実回転速度Vsaに応じ、アクチュエータの1回目の作動ON時間、2回目以降の作動ON時間および作動OFF時間を決定するために、アクチュエータ作動時間決定用のデータテーブルが登録されている。指定の制動トルクを発生させるには、アクチュエータの作動ON/OFFの切替えを繰り返し実行する必要があり、その際に、アクチュエータの作動ON/OFFに伴う制動トルクの発生/消失のタイムラグを踏まえ、そのタイムラグの時間よりも短いアクチュエータの作動ON時間および作動OFF時間を適切に設定するためである。
図5にアクチュエータ作動時間決定用のデータテーブルの一例を示す。同図に示すように、データテーブルは、指定の制動トルクTおよび制動ディスクの実回転速度Vsaをそれぞれ段階的に区分し、指定の制動トルクTおよび制動ディスクの実回転速度Vsaごとに、指定の制動トルクTが発生するように、アクチュエータの1回目の作動ON時間、2回目以降の作動ON時間および作動OFF時間を定めたものである。これらの作動ON/OFF時間は予備試験により導き出したものである。なお、図5では、指定の制動トルクTを40〜160[Nm]まで40[Nm]ピッチで区分し、制動ディスクの実回転速度Vsaを1200〜2100[rpm]まで300[rpm]ピッチで区分した場合を例示している。
演算部33は、アクチュエータ作動時間決定用のデータテーブル(例えば前記図5)に基づき、指定の制動トルクTおよび制動ディスクの実回転速度Vsaに対応するアクチュエータの1回目の作動ON時間、2回目以降の作動ON時間および作動OFF時間を選定する演算処理を行う。その際、データテーブルに、該当する指定の制動トルクTおよび制動ディスクの実回転速度Vsaがいずれも登録されている場合は、その区分の作動ON/OFF時間を選定する。一方、データテーブルに、該当する指定の制動トルクTが登録されていなかったり、該当する制動ディスクの実回転速度Vsaが登録されていない場合は、線形補間により、該当する指定の制動トルクTおよび制動ディスクの実回転速度Vsaに対応する作動ON/OFF時間を算出し、選定する。
出力部34は、演算部33による演算処理結果に従って、アクチュエータ9の電動モータ10に駆動信号(作動ON/OFF信号)を出力する。
このような構成の減速装置による制動動作について以下に説明する。
図6は、本発明の減速装置による制動動作を示すフローチャートである。ステップ#5にて、運転手の操作またはブレーキ統合システムの制御装置により、指定の制動トルクTによる制動の指令信号が発信され、この信号を制御装置30が受信すると、制動モードに移行する。これに伴い、ステップ#10にて、制御装置30は、回転速度検出器21より検出信号を受信し、制動ディスク1の実回転速度Vsaを取得する。
これに続いて、ステップ#15にて、制御装置30は、指定の制動トルクTと、ステップ#10で取得した制動ディスク1の実回転速度Vsaとから、上記アクチュエータ作動時間決定用のデータテーブル(例えば前記図5)に基づき、その指定の制動トルクTおよび制動ディスクの実回転速度Vsaに対応するアクチュエータの作動ON/OFF時間を選定する。具体例を挙げると、指定の制動トルクTが140[Nm]であり、制動ディスク1の実回転速度Vsaが1500[rpm]である場合、データテーブルに140[Nm]の制動トルクTが登録されていないことから、120[Nm]と160[Nm]の区分の作動ON/OFF時間を線形補間し、アクチュエータの1回目の作動ON時間は0.165[s]、2回目以降の作動ON時間は0.050[s]、作動OFF時間は0.270[s]となる。
そして、ステップ#20にて、制御装置30は、ステップ#15で選定した作動ON/OFF時間を設定し、その作動ON/OFF時間の駆動信号(作動ON/OFF信号)を摩擦ブレーキのアクチュエータに出力し、アクチュエータの作動ON/OFFを繰り返させる。これにより、摩擦部材がブレーキディスクに繰り返し押し付けられる。その際、前記図4に示すように、アクチュエータの1回目の作動ONとこれに続く作動OFFにより、制動トルクは100%に達することなく、指定の制動トルクTに留まった後に下降し始め、次いでアクチュエータの2回目の作動ONとこれに続く作動OFFにより、制動トルクは再び上昇して指定の制動トルクTに留まった後に下降し始め、これが繰り返される。こうして、発生する制動トルクがほぼ一定に調整され、制動ディスクに指定の制動トルクTが作用するようになる。
このようなアクチュエータの作動ON/OFFを繰り返す制御の制動動作を実行して、アクチュエータ9による摩擦部材の押付け/解除を繰り返し、これに伴って磁石保持ディスク4の回転速度を制御することにより、発生する制動トルクがほぼ一定になり、その結果として、指定の制動トルクTを発生させることができる。
その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、上記の実施形態ではディスク型の同期回転方式の減速装置を示しているが、ドラム型であっても構わない。ドラム型の場合、車両の回転軸に制動部材として円筒状の制動ドラムが固定され、この制動ドラムの内側に、磁石保持部材として、制動ドラムの内周面に対向して円周方向にわたり複数の永久磁石を保持した磁石保持ドラムが配設され、この磁石保持ドラムが回転軸に回転可能に支持された態様となる。
また、制動時に磁石保持部材の回転を抑える摩擦ブレーキとしては、電動式直動アクチュエータを駆動源とし、磁石保持部材と別体のブレーキディスクを一対のブレーキパッド(摩擦部材)で挟み込むディスクブレーキに限らない。例えば、そのブレーキディスクに一方向のみから摩擦部材を押し付けるものであってもよいし、磁石保持部材に直接摩擦部材を押し付けるものであっても構わない。
本発明の渦電流式減速装置は、あらゆる車両の補助ブレーキとして有用である。
1:制動ディスク、 2:放熱フィン、 3:環状部材、
4:磁石保持ディスク、 5:永久磁石、 6:ブレーキディスク、
7:ブレーキキャリパ、 8a、8b:ブレーキパッド、
9:電動式直動アクチュエータ、 10:電動モータ、 11:回転軸、
12:連結軸、 13:スリーブ、 14:ナット、
15a、15b:軸受、 16a、16b:シール部材、 17:ブラケット、
18:軸受、 19a、19b:シール部材、 20:磁石カバー、
21:回転速度検出器、 30:制御装置、 31:信号受信部、
32:記憶部、 33:演算部、 34:出力部

Claims (1)

  1. 車両の回転軸に固定された制動部材と、
    この制動部材に円周方向にわたり交互に向きの異なる磁界を作用させる複数の永久磁石を保持し、回転軸に回転可能に支持された磁石保持部材と、
    制動時に磁石保持部材に摩擦部材を押し付けるアクチュエータを有する摩擦ブレーキと、を備えた渦電流式減速装置であって、
    制動部材の回転速度を検出する回転速度検出器と、
    アクチュエータの動作を制御する制御装置と、を備えており、
    制御装置は、
    (ステップ1)指定の制動トルクによる制動の指令が与えられると、回転速度検出器より制動部材の実回転速度を取得すること、
    (ステップ2)制動トルクおよび制動部材の回転速度ごとに予め定められたデータテーブルから、ステップ1で取得した指定の制動トルクおよび制動部材の実回転速度に対応して、アクチュエータの1回目の作動ON時間、2回目以降の作動ON時間および作動OFF時間を選定すること、
    (ステップ3)ステップ2で選定したアクチュエータの1回目の作動ON時間、2回目以降の作動ON時間および作動OFF時間でアクチュエータの作動ON/OFFを繰り返すこと、の一連の各ステップを実行すること、
    を特徴とする渦電流式減速装置。
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