以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る粉体収納容器としてのトナー容器を備えたカラープリンタ等の画像形成装置を示す概略構成図である。先ず、画像形成装置(図1ではカラープリンタ)の全体構成およびその動作について説明する。
(画像形成装置の構成、動作)
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置(カラープリンタ)の画像形成装置本体100の上部には、トナー容器収容部31が設けられている。このトナー容器収容部31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器(粉体収納容器)32Y、32M、32C、32Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー容器32Y、32M、32C、32Kの詳細については後述する。
トナー容器収容部31は、各色の現像装置5Y、5M、5C、5K内のトナー消費に応じて、設置された各トナー容器32Y、32M、32C、32Kから適宜トナーを補給する。この構成については、後に詳細に説明する。また、トナー容器収容部31では、各トナー容器32Y、32M、32C、32K内のトナー残量が略ゼロになると、トナー残量が略ゼロになったトナー容器を取外して、トナーが充填されたトナー容器と交換することができる。この構成についても、後に詳細に説明する。
なお、この画像形成装置では、トナー容器を含め、後述する作像部等が各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応して4つずつ設けられているが、それらは基本的に同様な構成とされていることから、以下では、イエローに対応する構成のみについて説明し、他の構成については省略する。
画像形成装置本体100には、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kに収納されているトナーの各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応して後述する4個の作像部3Y、3M、3C、3Kが設けられている。図2にはイエローの色に対応する作像部3Yが示されている。
各作像部3Y、3M、3C、3Kは、画像形成装置本体100に対して着脱可能とされている。この作像部3Y、3M、3C、3Kの上方には、各色のトナーに対応してトナー補給装置がそれぞれ配設されている。図3には、イエローの色に対応するトナー補給装置60Yが図示されている。
この各トナー補給装置は、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収納されている各色のトナーを、各作像部3Y、3M、3C、3Kの現像装置5Y、5M、5C、5K内に適宜供給する。これにより、各現像装置5Y、5M、5C、5K内に適宜各色に対応するトナーが補給される。
画像形成装置本体100には、中間転写ユニット6と露光部7とが設けられている。露光部7は、トナー容器収容部31の下方でかつ作像部3Y、3M、3C、3Kの上方に配設されている。中間転写ユニット6は、作像部3Y、3M、3C、3Kの下方に配設されている。
この中間転写ユニット6は、無端の中間転写ベルト8、4個の1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写バックアップローラ10、複数個のテンションローラ、中間転写クリーニング部を有する。
中間転写ベルト8は、複数個のテンションローラに掛け渡されて張架かつ支持されている。また、中間転写ベルト8は、2次転写バックアップローラ10の回転により矢印CP1で示す移送方向に移送される。作像部3Y、3M、3C、3Kはその中間転写ベルト8に対向して位置し、かつ中間転写ベルト8の移動方向に各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の順番で並設されている。
各作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、基本的に同様の構成であるので、作像部3Yの構成及び作像プロセスについて詳細に説明する。
作像部3Yは、図2に拡大して示すように、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Yと、現像装置5Yと、クリーニング部2Yと、除電部(図示を略す)とを有する。
この作像部3Yにおいては、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われる。この作像プロセスにより、イエロー画像が形成される。
感光体ドラム1Yは、図示を略す駆動モータにより、図2に矢印CP2で示すように、反時計方向に回転駆動される。その感光体ドラム1Yの表面は、帯電部4Yと対向する位置において一様に帯電された帯電面とされる。その後の感光体ドラム1Yの回転によってその帯電面は、図1に示す露光部7から発射されたレーザ光Lの照射位置に達する。その帯電面には、そのレーザ光Lによる露光走査によって静電潜像が形成される。
その後の感光体ドラム1Yの回転によって静電潜像が形成された表面は、現像装置5Yの一部を構成する現像ローラ51Yとの対向位置に達する。
この現像装置5Yにより静電潜像が形成された表面にトナーが付着されて静電潜像が顕像化又は可視像化される。ここでは、イエロー色のトナー像が形成される。
その後の感光体ドラム1Yの回転によって、可視像化された表面が、中間転写ベルト8、1次転写バイアスローラ9Yとの対向位置に達すると、この対向位置において、感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。このとき、感光体ドラム1Yの表面には僅かながら未転写トナーが残存する。
その後の感光体ドラム1Yの回転によって、未転写トナーの残存する表面がクリーニング部2Yとの対向位置に達する。残存する未転写トナーはこのクリーニング部2Yのクリーニングブレード2aによって機械的に回収される。
ついで、感光体ドラム1Yのクリーニングされた表面は、図示を略す除電部との対向位置に達し、残留電位が除去される。これにより、感光体ドラム1Yの表面で行われる一連の作像プロセスが終了し、次の作像プロセスに移行する。
なお、この一連の作像プロセスは、図1に示す他の3個の作像部3M、3C、3Kについても同様に行われる。この各作像部3Y、3M、3C、3Kにおいて作像プロセスを行うために、露光部7は画像情報に基づいて光源(図示を略す)からレーザ光Lを適宜のタイミングで発生させる。
また、レーザ光Lの露光走査は、例えば、ポリゴンミラー(図示を略す)の回転駆動により行われる。そのレーザ光Lは、複数の光学素子(図示を略す)を介して、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上に照射される。これにより、作像部3Mはマゼンタのトナー像を形成し、作像部3Cはシアンのトナー像を形成し、作像部3Kはブラックのトナー像を形成する。
中間転写ベルト8は、4個の1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kとこれにそれぞれ対向する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込まれている。これにより、中間転写ユニット6に1次転写ニップが形成されている。また、中間転写ベルト8は、2次転写バックアップローラ10と2次転写ローラ11との間に挟み込まれている。これにより、中間転写ユニット6に2次転写ニップが形成されている。
その各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kには、トナーの帯電電荷の極性とは逆の極性を有する転写バイアス電圧が印加されている。中間転写ベルト8が矢印CP1方向に走行し、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kと感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間の1次転写ニップを順次通過する。その転写バイアス電圧により、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、互いに重なるように中間転写ベルト8上に1次転写される。その結果、カラー画像が中間転写ベルト8上に形成される。
その後、中間転写ベルト8の各色のトナー像が重ねて転写された箇所、すなわち、カラー画像が形成された箇所が、2次転写バックアップローラ10と2次転写ローラ11との間の2次転写ニップに達する。
ついで、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像、すなわち、カラー画像がこの2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体(被転写材)P上に転写される。なお、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8の未転写トナーが残存する箇所が、中間転写クリーニング部(図示を略す)が設けられた位置に達する。そして、この位置で中間転写ベルト8上の未転写トナーが、この中間転写クリーニング部により回収される。これにより、中間転写ベルト8により行われる一連の転写プロセスが終了する。
画像形成装置本体100の下部には、給紙部12や、給紙部12の記録媒体Pを2次転写ニップに搬送する搬送機構等が設けられている。給紙部12には給紙ローラ13が設けられている。その搬送機構は搬送ローラ対14、レジストローラ対15から概略構成されている。
給紙部12には記録媒体Pが複数枚積層されて収納されている。給紙ローラ13は図1に矢印CP3方向に回転される。これにより、最上層の記録媒体Pから順番に搬送ローラ対14のローラ間に向けて記録媒体Pが給送される。この記録媒体Pは、その搬送ローラ対14を経由してレジストローラ対15の位置に向けて搬送される。
そのレジストローラ対15は、適宜のタイミングで回転停止するように制御され、このレジストローラ対15の位置に達した記録媒体Pは、このレジストローラ対15のローラニップの位置で一旦その移動が停止される。
その後、レジストローラ対15は、中間転写ベルト8上のカラー画像形成箇所が2次転写ニップを通過するタイミングに合わせて回転駆動される。記録媒体Pは、そのレジストローラ対15の回転により2次転写ニップに向けて搬送され、記録媒体P上に所望のカラー画像が転写される。
その後、カラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部19の位置に向けて搬送される。定着部19は定着ローラ17、加圧ローラ18を有する。記録媒体Pの表面に転写されたカラー画像は、その定着ローラ17、加圧ローラ18による熱と圧力とにより、記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対16のローラ間を経て、筐体外へ排出される。この排紙ローラ対16により排出された記録媒体Pは、出力画像としてスタック部20上に順次積み重ねられてスタックされる。これにより、一連の画像形成プロセスが完了する。
(現像装置5Yの構成、動作)
各作像部3Y、3M、3C、3Kの現像装置の構成は、基本的に同様の構成であるので、作像部3Yの現像装置5Yの構成および動作について、図2を参照しつつ説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、現像剤の搬送用の現像剤搬送路53Y、54Y、55Y、それらの現像剤搬送路53Y、54Y、55Yに配設された供給スクリュー56Y、回収スクリュー57Y、攪拌スクリュー58Y、及び現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ(図示を略す)を有する。
現像ローラ51Yは、その内部に固設のマグネット(図示を略す)と、そのマグネットの周囲を回転するスリーブ(図示を略す)とを有する。
現像剤搬送路53Y、54Y、55Y内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
この現像装置5Yは、2成分現像剤を用いてトナー像を形成している。現像装置5Yには現像剤搬送路55Yの上方に開口59Yが形成されている。この攪拌搬送路55Yは、その開口59Yを介してトナー搬送パイプ68に連通されている。
そのトナー搬送パイプ68は、図3に示すトナー補給装置60Yの一部を構成している。そのトナー搬送パイプ68には、現像装置5Y内の現像剤のトナーの割合(トナー濃度)が所定範囲内になるように適宜トナーが供給される。
言い換えると、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置60Yからトナー搬送パイプ68を介して攪拌搬送路55Y内に補給される。
現像剤搬送路53Yは、図2に示すように、現像ローラ51Yに供給される現像剤を収容する。この供給搬送路53Yは、現像ローラ51Yに対向する位置に設けられている。
この供給搬送路53Yには、供給搬送部材としての供給スクリュー56Yが設けられている。この供給スクリュー56Yは、現像ローラ51Yの軸線方向と平行に設けられている。現像剤は、図2において紙面表側を手前側としてかつ紙面裏側を奥側として、その供給スクリュー56Yによって現像装置5Yの手前側から奥側に向かって供給搬送される。
現像剤は、供給搬送路53Yが設けられている側を上流側、現像ローラ51Yが設けられている側を下流側として、現像ローラ51Yの矢印CP4方向の回転に伴って、上流側から下流側に向かって搬送される。
現像装置5Yには、ドクターブレード52Yが設けられている。このドクターブレード52Yの先端部は、供給スクリュー56Yに対向する現像ローラ51Yの対向部よりも回転方向先方側の現像ローラ51Yの表面に臨んでいる。このドクターブレード52Yは、現像ローラ51Yに供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制手段として機能する。
現像剤搬送路54Yは、現像ローラ51Yと感光体ドラム1Yとの対向部を現像領域として、現像ローラ51Yの現像領域よりも回転方向先方側に配置されている。回収搬送路54Yには、螺旋状の回収スクリュー57Yが設けられている。この回収スクリュー57Yは現像ローラ51Yの軸線方向に平行に配置されている。
この回収スクリュー57Yは、回収搬送路54Yに回収された現像剤を現像ローラ51Yの軸線方向に沿って供給スクリュー56Yと同方向に搬送する回収搬送部材として機能する。
その回収搬送路54Yは、現像領域を通過し、現像ローラ51Yの表面から離脱した現像済みの現像剤を回収する。この回収搬送路54Yは、現像ローラ51Yの横方向かつ供給搬送路53Yの下方に設けられている。
なお、現像ローラ51Yは、既述の現像スリーブの内部にあるマグネットを、現像剤を離脱させたい箇所のみ磁極がない状態に設定することにより、現像剤の分離・離脱を可能としている。また、現像ローラ51Yは現像剤を離脱させたい箇所に反発磁界が形成される構成の磁極配置のマグネットを用いる構成であってもよい。
攪拌搬送路55Yは、供給搬送路53Yの下方でかつ回収搬送路54Yに並列にこの供給搬送路53Yに並列に設けられている。その攪拌搬送路55Yには、螺旋状の攪拌スクリュー58Yが設けられている。この攪拌スクリュー58Yは、供給スクリュー56Yの軸線方向に平行に配置されている。
その攪拌スクリュー58Yは、現像ローラ51Yの軸線方向に沿って現像剤を攪拌しながら、供給スクリュー56Yとは逆方向(図2の平面に対して手前側)に搬送する攪拌搬送部材として機能する。
その供給搬送路53Yと攪拌搬送路55Yとは、仕切り部材としての第一仕切り壁501により仕切られている。
供給搬送路53Yと攪拌搬送路55Yとは、手前側と奥側との両端に設けられた開口部によって連通されている。なお、供給搬送路53Yと回収搬送路54Yも第一仕切り壁501によって仕切られている。なお、供給搬送路53Yと回収搬送路54Yとを仕切る第一仕切り壁501の箇所には開口部は設けられていない。従って、供給搬送路53Yと回収搬送路54Yとは連通していない。
また、攪拌搬送路55Yと回収搬送路54Yとは、仕切り部材としての第二仕切り壁502によって仕切られている。この第二仕切り壁502は、図2において奥側に開口部(図示を略す)が設けられている。この攪拌搬送路55Yと回収搬送路54Yとはこの開口部によって連通している。
トナーはキャリアとの摩擦により帯電される。この帯電によりトナーがキャリアに吸着される。このキャリアに吸着されたトナーは現像剤として現像ローラ51Yのマグネットにより形成された磁界により現像ローラ51Y上に担持される。
現像ローラ51Yのスリーブ(図示を略す)が図2に示す矢印CP4方向に回転される。すると、マグネットにより形成された磁界により現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転に伴って現像ローラ51Y上を移動する。
ここで、現像装置5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。すなわち、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、図3に示すトナー補給装置60Yを介して攪拌搬送路55Y内に補給される。
なお、トナー補給装置60Yおよびトナー容器32Yの構成および動作については、後で詳細に説明する。
攪拌搬送路55Y内に補給されたトナーは、攪拌スクリュー58Yによって、現像剤と共に混合・攪拌されながら、攪拌搬送路55Y内を図2において手前側に向かって搬送される。攪拌スクリュー58Yの搬送方向の下流端まで搬送された現像剤は、攪拌スクリュー58Yの搬送方向下流側でありかつ供給スクリュー56Yの搬送方向上流側に形成された第一仕切り壁501の手前側の開口部(図示を略す)を介して供給搬送路53Yに供給される。
供給スクリュー56Yは、攪拌搬送路55Yから供給搬送路53Yに供給された現像剤を現像ローラ51Yに供給しつつ、供給スクリュー56Yの搬送方向下流側に搬送する。
そして、現像ローラ51Yに供給されずに供給搬送路53Yの搬送方向下流端まで搬送された余剰の現像剤は第一仕切り壁501の奥側の開口部(図示を略す)から攪拌搬送路55Yに環流される。
現像ローラ51Yに供給された現像剤は、図2に示す矢印CP4の方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。ついで、現像ローラ51Y上の現像剤は、ドクターブレード52Yにより適量化された後に、感光体ドラム1Yの現像領域まで搬送される。
その後、現像領域に形成された静電電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された静電潜像にトナーが吸着される。ついで、現像ローラ51Y上に残った現像剤は、現像ローラ51Yから分離・離脱して、回収現像剤として回収搬送路54Yに回収される。
その回収現像剤は、回収スクリュー57Yによって、回収搬送路54Yの搬送方向の下流端まで搬送されて、第二仕切り壁502の開口部(図示を略す)から攪拌搬送路55Yに再び戻される。
その攪拌搬送路55Yでは、供給された余剰の現像剤と回収現像剤とが、既述したように適宜補給されたトナーと共に、攪拌スクリュー58Yによって混合・攪拌されながら、図2の手前側に向かって搬送される。この現像剤は、第一仕切り壁501の手前側の開口部(図示を略す)から供給搬送路53Yに供給される。
その攪拌搬送路55Yの下方には、図示を略す透磁率センサからなるトナー濃度検知センサが設けられている。このトナー濃度検知センサは、トナー補給装置60Yによるトナー容器32Yからのトナー補給を行うか否かの判断に用いられる。
(トナー補給装置60Yの構成、動作)
トナー補給装置60Yは、図3に示すように、トナー容器32Y内に収容されたトナーを現像装置5Yに導く機能を有する。なお、他のトナー容器32M、32C、32Kと現像装置5M、5C、5Kとの間にも、同様にトナー補給装置がそれぞれ設けられている。
このトナー補給装置60Yは、トナー容器収容部31(図4参照)を有する。このトナー補給装置60Yは、各色に対応する現像装置内のトナー消費に応じて、トナー容器収容部31に装填されたトナー容器32Yから適宜トナーを補給する。なお、トナー容器収容部31の構成については、後で説明する。
トナー容器32Yがトナー容器収容部31に装着されると、その装着動作に連動して、図3に示すように、トナー容器32Yの穴部32Y1bにトナー容器収容部31のノズル管72が挿入される。このとき、トナー容器32Yの開閉部材としての口栓部材32Y3の円柱形状部32Y3’と当接板部32Y3”とが、ノズル管72の一端と爪部材75との間に挟まれた状態となる。これにより、トナー排出口32Y1aが開放される。
すなわち、トナー排出口32Y1aとノズル管72に設けられたトナー受入口72aとが連通される。その結果、トナー容器32Yの容器本体32Y2内に収容されているトナーは、トナー排出口32Y1aを介してノズル管72内に搬送される。そのノズル管72の他端は、トナー補給経路としてのチューブ69の一端に接続されている。
チューブ69は、耐トナー性に優れたフレキシブルな材料からなる。チューブ69の他端はトナー補給装置のスクリューポンプ61に接続されている。チューブ69の内径は4mm〜10mmである。チューブ69の材料としては、ポリウレタン、ニトリル、EPDM、シリコン等のゴム材料や、ポリエチレン、ナイロン等の樹脂材料を用いることができる。このようなフレキシブルなチューブ69を用いることにより、トナー補給経路のレイアウトの自由度が増して、画像形成装置本体100の小型化を図ることができる。
スクリューポンプ61は、吸引型一軸偏心スクリューポンプである。このスクリューポンプは、ロータ65、ステータ62、吸引口63、ユニバーサルジョイント64及びモータ66を有する。
そのロータ65、ステータ62、ユニバーサルジョイント64は、図示は略すケース内に収納されている。ステータ62は、ゴム等の弾性材料からなる雌ねじ状部材である。ステータ62の内壁面には、ダブルピッチの螺旋溝が形成されている。
ロータ65は、金属等の剛性材料からなり、螺旋状にねじれて形成された雄ねじ状部材である。このロータ65は、ステータ62内に回動可能に挿し通されている。ロータ65の一端は、ユニバーサルジョイント64を介してモータ66に連結されている。
そのモータ66はステータ62内のロータ65を所定方向に回転駆動させる。チューブ69内の空気は、ロータ65の回転により送出口67に送り出され、チューブ69内に負圧が発生し、その結果、吸引口63に吸引力が発生する。
これにより、トナー容器32Y内のトナーが空気と一緒にチューブ69を介して吸引口63に吸引される。吸引口63まで吸引されたトナーは、ステータ62とロータ65との隙間に送入され、ロータ65の回転に沿ってステータ62の他端側(吸引口63とは反対側)から送出口67に送り出される。
すなわち、この吸引口63まで吸引されたトナーは、スクリューポンプ61の送出口67から排出されて、トナー搬送パイプ68を介して現像装置5Y内に補給される。図3において、破線はトナーの流れを示している。なお、現像装置5Yに補給されるトナーを一時的に収容するホッパを、スクリューポンプ61と現像装置5Yとの間に設置してもよい。
(トナー容器32Yの概略構成)
トナー容器32Yの概略構成を、図3を参照しつつ説明する。トナー容器32Yは、筒状の容器本体32Y2と搬送部材33とから構成される。容器本体32Y2は、両側が開口した円筒状の筒状胴体32Y2’と、一端側の蓋部材としての第1キャップ部材40と、他端側の蓋部材としての第2キャップ部材34とを有している。第1キャップ部材40と第2キャップ部材34構成については、後で説明する。
筒状胴体32Y2’は、トナーをその内部に収納し、かつトナー容器収容部31に着脱される容器本体32Y2を構成するための部品である。
搬送部材33は、可撓性を有するフィルム状の搬送羽根33bを有し、かつ筒状胴体32Y2’の内部にその長手方向に延びるようにして設けられており、筒状胴体32Y2’に対して回転することによりトナーを第2キャップ部材34から第1キャップ部材40に向かって攪拌しつつ搬送する。この搬送部材33の詳細な構成については、後で説明する。
第2キャップ部材34に、外面に一対の連結突起部34”が形成された円形蓋体部34aを有している。
この連結突起部34”は、容器本体32Y2のトナー容器収容部31への装着時に該トナー容器収容部31の奥部に存在する回転駆動機構としての駆動カップリング91(図5参照)に連結されて搬送部材33に回転力を伝達する。ここでは、容器本体32Y2の他端側(図3の右側)を底部側又はトナー容器収容部31の奥部側と定義し、容器本体32Y2の一端側(図3の左側)をトナー容器収容部31の手前側と定義する。
この構成により、搬送部材33は、トナー容器収容部31の駆動カップリング91から駆動力を受けることにより、所定方向に回転して容器本体32Y2の内部に収容されたトナーを他端側から一端側に向かって長手方向に搬送する(すなわち、図3において、トナーが底部側又は奥部側(右側)から手前側(左側)に向かって搬送される)。
従って、トナーは、トナー容器32Yのトナー排出口32Y1aからノズル管72に向けて排出されることになる。このトナー容器32Yのさらなる詳細な構成については、後で説明する。
(トナー容器収容部31の構成)
図4は、トナー容器収容部31の全体構成を示す斜視図である。トナー容器収容部31は、トナー容器固定部70、トナー容器ガイド部80、トナー容器駆動部90から構成されている。
トナー容器32Yは、その長手方向を着脱方向として、図4に矢印CP5で示すように、トナー容器固定部70の側からトナー容器収容部31に対する着脱が行われる。以下、このトナー容器収容部31に対してトナー容器固定部70の側からのトナー容器32Yの挿入方向をトナー容器32Yの装着方向ともいう。
トナー容器駆動部90は、各トナー容器の装着方向の奥側に設けられている。そのトナー容器駆動部90は、図5に示すように、駆動カップリング91、駆動モータ92、スプリング93、駆動軸94及びギヤ95を有する。
駆動カップリング91は、容器本体32Y2(第2キャップ部材34)の底部に設けられた一対の連結突起部34”(図3参照)に嵌め合わされるように設けられている。駆動カップリング91と駆動モータ92とは、駆動軸94及びギヤ95を介して連結されている。
駆動モータ92の駆動力はギヤ95、駆動軸94を介して駆動カップリング91に伝達される。この一対の連結突起部34”は、回転方向から駆動カップリング91に当接するように駆動カップリング91に嵌め合わされる。この一対の連結突起部34”と駆動カップリング91との回転方向からの当接を係合ともいう。
搬送部材33(図3参照)は、駆動カップリング91に嵌め合わされた一対の連結突起部34”を介して所定方向に回転駆動される。スプリング93は、駆動軸94に巻き回されるようにして、トナー容器駆動部90の構成壁と駆動カップリング91との間に設けられている。これにより、駆動カップリング91は、トナー容器32Yの装着に抗する方向に、トナー容器32Yを付勢する。すなわち、トナー容器32Yは、スプリング93により手前側に向けて付勢される。
図6は、駆動カップリング91と連結突起部34”との係合直前の状態を示しており、図7は、駆動カップリング91と連結突起部34”との係合後の状態を示している。
駆動カップリング91は、トナー容器32Yの装着(着脱)方向と平行方向に往復可動され、図6においては、スプリング93によって、左側に付勢されている。
トナー容器32Yが図6に示す矢印CP6方向に移動して、トナー容器収容部31に装着されるに伴って、駆動カップリング91は、連結突起部34”と嵌り合いながら、トナー容器32Yに押されて、図7に示すように奥側へと移動する。その結果、スプリング93には、トナー容器32Yを手前側(左方向)に付勢するバネ力が蓄積される。すなわち、スプリング93には、トナー容器32Yを装着方向と反対方向に押し出す力が蓄えられる。
トナー容器32Yをトナー容器収容部31から取り外す際には、トナー容器収容部31によるトナー容器32Yの保持が解除される。すると、スプリング93の付勢力により、トナー容器32Yが離脱する方向(図7において、左方向)へ押動される。
すなわち、トナー容器32Yがトナー容器挿入口71Yから飛び出す動作(ポップアップ動作)をするので、ユーザは第1キャップ部材40に設けた把持部32Y1cを把持することにより、トナー容器32Yをトナー容器収容部31から容易に取り出すことができる。
(トナー容器固定部70の構成)
図8、図9に示すように、トナー容器固定部70は、トナー容器挿入口71、ノズル管72、アンテナ基板74、爪部材75、トナー容器固定解除レバー76、位置決め部材78を有する。
爪部材75は、トナー容器32Yのトナー排出口32Y1aを閉鎖する方向に口栓部材32Y3(図3参照)を付勢する付勢部材である。また、トナー容器固定解除レバー76は、トナー容器32Yをトナー容器収容部31へ固定可能及びその固定を解除可能な構成とされている。
トナー容器固定部70は、トナー容器32Y、32M、32C、32Kが回転しないように保持する。このトナー容器固定部70は、上前ケース701、下前ケース702等により構成されている。図10、図11は、下前ケース702の拡大斜視図である。
図10に示すように、下前ケース702には、位置決め部材78が設けられている。位置決め部材78は、トナー容器32Yの装着動作に連動してこのトナー容器32Yの位置決めを行う機能を有する。
ノズル管72は、水平方向かつトナー容器32Yの着脱方向に延在して配設されている。ノズル管72の上面部には、トナー受入口72aが設けられている。位置決め部材78は、トナー容器32Yの着脱方向に沿って延設された凸部からなる。その位置決め部材78は、ノズル管72の中心軸を境にして左右対称位置に設けられている。
爪部材75は、そのトナー容器固定部70の底部であってかつトナー容器固定部70にトナー容器32Yが固定された場合にそのトナー排出口32Y1aの下方に位置する箇所に一対に設けられている。
口栓部材32Y3は、トナー容器32Yの離脱動作に伴って、爪部材75の押圧作用によりトナー排出口32Y1aを閉鎖する方向に移動される。
爪部材75は、図3に示す回転支軸75aを中心にして、図10、図11に示す矢印CP7方向に回動可能に下前ケース702に保持されている。この爪部材75は、図3に示す板バネ77によって、トナー容器32Yの着脱を妨げないようにしてかつ口栓部材32Y3に当接(係合)する方向に付勢されている。すなわち、爪部材75には、板バネ77のバネ力により回転支軸75aを中心にして下方から上方へ向けて回動する方向の力が与えられている。
トナー容器固定解除レバー76は、図8ないし図11に示すように、トナー容器固定部70のトナー容器挿入口71Yの手前側に設けられている。トナー容器固定解除レバー76は、トナー容器32Yのトナー容器固定部70への固定およびその解除を行う。
図12は、トナー容器固定解除レバー76を拡大して示す斜視図である。トナー容器固定解除レバー76は、トナー容器32Yを固定・保持する爪部76aと、レバー部76bと、リブ76cとを有する。トナー容器固定解除レバー76は、図11に矢印CP8で示すように、水平方向かつトナー容器32Yの着脱方向に対して略直交する方向に往復移動可能に設けられている。
このトナー容器固定解除レバー76は、図13、図14に示すように、スプリング76dによりトナー容器挿入口71Yの側(図11に示す矢印CP8で示す方向とは反対方向)へ付勢されている。トナー容器固定解除レバー76は、ユーザがレバー部76bに指を引っ掛けて、スプリング76dによる付勢方向と反対方向(図11に示す矢印CP8方向)にスライドさせることにより、トナー容器固定解除レバー76をトナー容器挿入口71Yに突出している位置から退避する位置(解除位置)に移動させることができる。
なお、図13及び図14は、トナー容器収容部31Yに収容されたトナー容器32Yとトナー容器固定解除レバー76との位置関係を、トナー容器装着方向手前側から見た図である。
図13は、トナー容器固定解除レバー76によって、トナー容器32Yがトナー容器固定部70に固定・保持されている状態を示している。図14は、トナー容器固定解除レバー76が左側に移動して、トナー容器32Yの固定状態が解除されている状態を示している。トナー容器32Yは、トナー容器収容部31Yに装着されている場合、このトナー容器32Yは駆動カップリング91、スプリング93により装着方向手前側に付勢されている。
しかしながら、トナー容器固定解除レバー76が図13に示す突出位置にある場合、すなわち、トナー容器固定解除レバー76の爪部76aがスプリング76dによる付勢力によりトナー容器挿入口71Yに突出していると、トナー容器32Yがトナー容器収容部31Yから離脱するのをトナー容器固定解除レバー76により妨げられる。従って、トナー容器32Yがトナー容器収容部31Yに固定・保持される。
また、トナー容器32Yは、トナー容器収容部31Yに装着されている状態で、ユーザがレバー部76bに指を掛けて、スプリング76dによる付勢方向とは反対の方向(図13に示す矢印CP8方向)へトナー容器固定解除レバー76をスライド操作すると、爪部76aがトナー容器挿入口71Yから解除位置まで移動する。これにより、図14に示すように、トナー容器32Yの固定・保持状態が解除される。
トナー容器32Yは、図7に示したように、かつ既述したように、トナー容器駆動部90の駆動カップリング91、スプリング93により手前側に向けて付勢されているので、このトナー容器32Yは、トナー容器32Yの固定・保持状態が解除されると、トナー容器挿入口71Yから飛び出す。すなわち、トナー容器32Yはポップアップされる。
ついで、把持部32Y1cを把持して、トナー容器32Yを離脱方向(図7に示す矢印CP6で示す方向とは反対の方向)へ移動させて引き抜くと、爪部76aとトナー排出部32Y1dとの当接状態が解除され、トナー容器固定解除レバー76は、図9、図11、図13に示すように、スプリング76dの付勢力により固定位置へ戻る。
トナー容器収容部31の手前側に設置されたトナー容器挿入口71の図示を略す本体カバーを開くと、図4に示すように、各トナー容器収容部31Y、31M、31C、31Kが露呈される。
より詳しくは、本体カバーを開くと、図9に示すように、4個のトナー容器挿入口71Y、71M、71C、71Kが形成されたトナー容器固定部70が露呈される。
従って、トナー容器収容部31の手前側から各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの着脱操作(トナー容器の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行うことができる。なお、トナー容器挿入口71Y、71M、71C、71Kの形状は、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kごとに異なるものとされている。
すなわち、トナー容器挿入口71Y、71M、71C、71Kには、図9に示すように、互いに異なる形状、配置及び個数の第1案内溝71Y1、71M1、71C1、71K1が形成されている。その第1案内溝71Y1は、図13に示すトナー容器32Yに設けられた突起部32Y1eに嵌合可能とされている。
第1案内溝71M1、71C1、71K1にもトナー容器32M、32C、32Kに形成された突起部が嵌合可能とされている。これにより、そのトナー容器収容部31Y、31M、31C、31Kに対応する色のトナーを収納したトナー容器とは異なる色のトナーを収納したトナー容器が誤って装着されることが防止されている。
また、トナー容器固定部70(トナー補給装置60Y、60M、60C、60K)には、図8に示すように、その上前ケース701の上部に、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kに対応して4個のアンテナ基板(リーダ・ライタ)74が設置されている。各アンテナ基板74は、画像形成装置本体100の制御部(図示を略す)に電気的に接続されている。
このアンテナ基板74は、容器本体32Y2の第1キャップ部材40側の縁部周面付近に取付けた電子情報格納部材としてのRFIDチップ32Y1f(例えば、図20参照)との間で無線通信を行うことができる。RFIDチップ32Y1fには、例えば、装着されたトナー容器の製造番号、リサイクル回数等の情報、ロット番号、色等の情報等が記憶されており、これらの情報は、無線通信によりアンテナ基板74を介して、画像形成装置本体100の制御部(図示を略す)に入力される。
アンテナ基板74とRFIDチップ32Y1fは、トナー容器32Y、32M、32C、32Kがトナー容器固定部70にセットされた状態で上方に位置して、かつアンテナ基板74の受信面が鉛直方向下側に向くように配設されているので、この受信面上にトナーが落下することを防止でき、トナーの介在による通信感度の低下を防止できる。
(筒状胴体32Y2’の詳細構成)
トナー容器32Yは、図3を用いて既述したように容器本体32Y2と搬送部材33を有している。容器本体32Y2は、既述したように、筒状胴体32Y2’と、その両側に接続した第1キャップ部材40と、第2キャップ部材34を有している。
図15(a)は、第1キャップ部材40を取外した筒状胴体32Y2’を示す斜視図である。
筒状胴体32Y2’の開口した一端側の端部32Y2a’には、トナー容器収容部31へ装着時に上部側となる周面に、RFIDチップ32Y1fを取外し自在に保持するための第1チップ保持部80が形成されている。また、第1キャップ部材40の端部周面には、チップ保持部80ともにRFIDチップ32Y1fを取外し自在に保持するための可撓性を有する突起片状の第2チップ保持部81が形成されている。RFIDチップ32Y1fを取外し自在に保持する第1チップ保持部80と第2チップ保持部81の構成については、後で詳細に説明する。
また、筒状胴体32Y2’の一端側の開口部32Y2a’には、トナー容器収容部31へ装着時に下部側となる周面に、第1キャップ部材40のトナー排出部32Y1dが装着される装着用切り欠き40”が形成されている。
図15(b)に示すように、筒状胴体32Y2’の端部32Y2a’側の縁部外周面には、弾性を有する係止用爪部32Y2a”が複数形成されており、第1キャップ部材40をこの端部32Y2a’に装着することで、第1キャップ部材40の周面に形成された突起した各係止部40aが前記係止用爪部32Y2a”にスナップフィットで結合される(図13、図14参照)。
筒状胴体32Y2’は、両側に装着される第1キャップ部材40と第2キャップ部材34との嵌め合い性の点で、射出成形により成形されたものであることが好ましい。また、筒状胴体32Y2’は、耐衝撃性、耐寒衝撃性、剛性、射出成形時の成形性の点で、ポリプロピレンが好ましく、このポリプロピレンの中でも、エラストマーブレンド型ポリプロピレン、ブロックコポリマー型ポリプロピレンが好ましい。このエラストマーブレンド型ポリプロピレンまたはブロックコポリマー型ポリプロピレンは、MFRが5.0〜50.0g/10min(JIS K7210)、密度が0.900〜0.910kg/m3(JIS K7112)であるものが、耐成形性、耐衝撃性、剛性の点で好ましい。
エラストマーブレンド型ポリプロピレンとは、プロピレンの単独重合体である結晶性ポリプロピレンに、α−オレフィン・プロピレン共重合体であるエラストマを配合したものである。
α−オレフィンには、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等がある。
結晶性ポリプロピレン100重量部に対して、α−オレフィン・プロピレン共重合体を10〜60重量部配合することが、耐衝撃性と剛性のバランスを図る観点から好ましい。
結晶性ポリプロピレンは、アイソタクチックペンダッド分立が0.97以上であることが、剛性、耐熱性の観点から好ましい。
ブロックコポリマー型ポリプロピレンとは、プロピレンの単重合体である結晶性ポリプロピレンとエチレンプロピレン共重合体エラストマからなる組成物であり、多段重合性プロセスにおいて製造された組成物である。
この多段重合性プロセスとは、公知のチグラーナッタ触媒や、メタロセン触媒を用い、一段目でプロピレン単独重合体を重合し、二段目でエチレンとプロピレンとを共重合し、リアクター内で分散されるものである。この場合も、結晶性ポリプロピレンは、アイソタクチックペンダッド分立が0.97以上であることが、剛性、耐熱性の観点から好ましい。
また、結晶性ポリプロピレン100重量部に対して、エチレン・プロピレン共重合体を10〜60重量部の組成割合とすることが、耐衝撃性と剛性のバランスを図る観点から好ましい。
エチレン・プロピレン共重合体エラストマは、エチレンに由来する成分が40〜60重量%であることが、耐衝撃性の観点から望ましい。更に、第1キャップ部材40と第2キャップ部材34との嵌め合い性の向上、耐熱性、耐線膨張性、射出成形による成形性の向上の観点から、エラストマーブレンド型ポリプロピレン、ブロックコポリマー型ポリプロピレンにタルクを配合するのが望ましい。
このタルクは、平均粒径が5μm〜2μm以下のものを用いることが、筒状胴体32Y2’の耐衝撃性の向上を図る観点から好ましい。より好ましくは、タルクはその平均粒径が2μm以下でかつその粒子径が4μm以上の含有量が4重量%以下の微粒子タルクであることが望ましい。
このタルクの配合割合は、エラストマーブレンド型ポリプロピレンまたはブロックコポリマー型ポリプロピレン100重量部に対して、3重量部から20重量部であることが、第1キャップ部材40と第2キャップ部材34との嵌め合い性の向上、耐線膨張性、耐衝撃性の観点から好ましい。特に、耐線膨張性が優れた材料は、容器本体32Y2が高温の条件下に置かれたときに、筒状胴体32Y2'の膨張を抑制でき、第1キャップ部材40と第2キャップ部材34との嵌め合い精度が確保される。
(第1キャップ部材40の詳細構成)
第1キャップ部材40は、図16に示すように、トナー排出部32Y1d、円形孔40b’を有する軸受け筒40b、蓋体部40c、図17に示す把持部32Y1cを有する。
蓋体部40cは、環状フランジ部40d、嵌合筒部40eを有する。トナー排出部31Ydには、図18に示すノズル挿入部32Y30が設けられる。軸受け筒40bは、その蓋体部40cの蓋板部40c’に、筒状胴体32Y2’に向かって突出する方向に形成されている。
ノズル挿入部32Y30は、既述のトナー排出口32Y1a(図3参照)を有する。トナー排出部32Y1dの両側面には、図16ないし図18に示すように第一溝部32Y1gが設けられている。その第一溝部32Y1gには、トナー容器収容部31の位置決め部材78(図8参照)が係合可能とされている。
その第一溝部32Y1gには、図19に示すように、対向する2つの水平面32Y1ga、32Y1gbと、この2つの水平面の間に設けられた鉛直面32Y1gcとが設けられている。
これらの水平面32Y1ga、32Y1gb、鉛直面32Y1gcは、トナー容器32Yのトナー容器収容部31への着脱方向に延びている。トナー容器32Yは、第一溝部32Y1gが位置決め部材78に係合しているので、搬送部材33が回転したとしても、トナー容器32Yは、トナー容器収容部31のトナー容器固定部70に対して回転しないように保持される。
把持部32Y1cは、容器本体32Y2から着脱方向に突出して形成されている。把持部32Y1cは、ユーザがトナー容器32Yの交換(着脱)作業等の際に用いられる。これにより、トナー容器32Yの取り扱いの容易化が図られる。
トナー排出部32Y1dには、図17ないし図20に示す被圧接部32Y1h、図16、図19に示すノズル挿入口32Y1jが設けられている。そのノズル挿入口32Y1jの端部には、その開口縁部を囲んでリング状シール材32Y20cが設けられている。
リング状シール材32Y20cは、トナー容器32Yがトナー容器収容部31Yに装着された際、図3に示すノズル管72とノズル挿入口32Y1jとの間からのトナー漏れを防止する。また、リング状シール材32Y20cは、トナー容器32Yがトナー容器収容部31Y内をスライドして完全に装着された際の衝撃を吸収する機能をも有する。
筒状胴体32Y2’の装着用切り欠き40”(図15(a)参照)には、トナー排出部32Y1dが嵌合される。そのトナー排出部32Y1dは、図18に示すノズル挿入部32Y30を有する。ノズル挿入部32Y30は、図21、図22に示すように、穴部32Y1b、トナー排出口32Y1a、トナー排出経路32Y30aを有する。その穴部32Y1bには、口栓部材32Y3の円柱形状部32Y3’が移動可能に設けられている。
トナー排出口32Y1aは、穴部32Y1bの周壁の上方に形成されている。穴部32Y1bとトナー排出経路32Y30aとは、トナー排出口32Y1aを介して連通している。トナー排出経路32Y30aは、トナー排出口32Y1aの上方に形成されている。
トナー排出口32Y1aと筒状胴体32Y2’の内方空間とは、トナー排出経路32Y30aを介して連通している。このノズル挿入部32Y30は、トナー排出部32Y1dに設けられた凹処に嵌合されると、穴部32Y1bがトナー排出部32Y1dのノズル挿入口32Y1jと連通するように構成されている。
口栓部材32Y3は、穴部32Y1bに挿入される円柱形状部32Y3’と、当接板状部32Y3”とを有する。口栓部材32Y3は、その円柱形状部32Y3’が穴部32Y1b内において位置変位することにより、トナー排出口32Y1aを開放又は閉鎖する機能を有する。
また、当接板状部32Y3”には、トナー容器32Yの離脱動作の際、トナー容器収容部31の爪部材75が当接する。これにより、円柱形状部32Y3’はトナー排出口32Y1aの閉鎖位置に向かって変位される。
ノズル挿入部32Y30には、図21ないし図25に示すように、口栓部材32Y3を、トナー排出口32Y1aを閉鎖する方向へ付勢するスプリング32Y30bが設けられている。このスプリング32Y30bは、爪部材75と同様に、トナー容器32Yの離脱動作の際、円柱形状部32Y3’をトナー排出口32Y1aの閉鎖位置へ変位させる機能を有する。
スプリング32Y30bをノズル挿入部32Y30に設けると、口栓部材32Y3のトナー排出口32Y1aへの閉鎖方向への変位の迅速化を図ることができる。従って、スプリング32Y30bをノズル挿入部32Y30に設ける構成とすれば、スプリング32Y30bをノズル挿入部32Y30に設けない構成に較べて、トナー排出口32Y1aからのトナー漏れをより一層確実に抑制できる。なお、必ずしもスプリング32Y30bをノズル挿入部32Y30に設ける必要はない。
穴部32Y1bには、図21に示すように、その貫通方向の両端にOリング32Y30d、Oリング32Y30eが設けられている。このOリング32Y30d、Oリング32Y30eは、口栓部材32Y3と穴部32Y1bとの隙間からのトナー漏れを抑止する。
また、ノズル挿入部32Y30には、トナー排出経路32Y30aの外周壁を取り囲んでOリング32Y30cが設けられている。
トナー排出部32Y1dには、図16ないし図20に示すように、一対の第二溝部32Y1iが設けられている。この第二溝部32Y1iには一対の爪部材75が案内される。
第二溝部32Y1iの延直線上に、図19に示すように第三溝部32Y1qが形成されている。その第二溝部32Y1iと第三溝部32Y1qとの間には、滑動面32Y1rが設けられている。
この滑動面32Y1rは、トナー容器収容部31の爪部材75に滑めらかに当接して、爪部材75を下方側に押し下げる役割を有する。
この滑動面32Y1rは、爪部材75を下方側に押し下げることにより、爪部材75がトナー容器32Yの装着を妨げることを防止する。すなわち、滑動面32Y1rの第三溝部32Y1q側の縁部には、爪部材75をスムーズに押し下げる傾斜面が設けられている。
トナー排出部32Y1dには、図20に示すように、着脱方向と平行な方向に摺接リブ32Y1mが設けられている。この摺接リブ32Y1mは、トナー容器32Yがトナー容器収容部31Yに着脱される際に、トナー容器固定解除レバー76と摺接して、トナー容器固定解除レバー76の解除位置の姿勢を保持する。
また、摺接リブ32Y1mは、平面32Y1nの強度を確保する機能も有している。この摺接リブ32Y1mとしての2つのリブのうちの上側のリブは、トナー容器収容部31Yの位置決め部材78と係合する第一溝部32Y1gを形成する水平面32Y1gbとして構成されている。
(トナー容器収容部31Yへのトナー容器32Yの着脱操作の際のトナー排出口32Y1aの開閉動作)
トナー容器収容部31Yへのトナー容器32Yの着脱操作の際のトナー排出口32Y1aの開閉動作について、図21から図25を主として用いて説明する。
図22ないし図24は、トナー容器32Yがトナー容器収容部31Yに装着される様子を示す説明図である。図25は、トナー容器32Yがトナー容器収容部31Yに装着された状態を示す説明図である。
トナー容器32Yをトナー容器収容部31に装着する場合、まず、画像形成装置本体100の前面に設けられたカバー(図示せず)を開放してトナー容器収容部31を前方に露出させる。その後、ユーザは把持部32Y1cを把持して、トナー容器32Yをトナー容器収容部31内に向けて押し込む(図4参照)。すなわち、装着方向手前側からみて、把持部32Y1cが手前側となるようにして、かつ、トナー容器32Yの長手方向に沿って、トナー容器32Yがトナー容器収容部31に装着される。
このとき、トナー排出部32Y1dの摺接リブ32Y1mの奥側端部が、図12に示すトナー容器固定解除レバー76の爪部傾斜面76a1に当接する。その傾斜面76a1は、トナー容器32Yが装着される方向に対して奥に向かうほどトナー容器32Y側に迫り出して傾斜している。このため、トナー容器固定解除レバー76は、トナー容器32Yが挿入されるに伴って、摺接リブ32Y1mの奥側端部に押し動かされて、トナー容器の装着を妨げない位置(解除位置)へ移動する(図11の矢印CP8参照)。
その後、トナー容器32Yが更に奥側に移動されると、爪部材75がトナー容器32Yの底面に設けられた第三溝部32Y1qに入り込む(図19参照)。このとき、第一溝部32Y1gとトナー容器収容部31Yの位置決め部材78とが係合し、位置決めが開始される。
トナー容器32Yが更に奥側へ移動されて、トナー容器収容部31Yの爪部材75が滑動面32Y1rに突き当たると、爪部材75は、滑動面32Y1rの縁部に傾斜面が設けられていることにより下方へと押し下げられる。これにより、爪部材75は、トナー容器32Yの装着を妨げないように退避位置に移動する。そして、爪部材75が下方に押し下げられた状態で、爪部材75は滑動面32Y1r上を滑動する。これにより、トナー容器32Yの奥側への移動が進行する(図22参照)。
トナー容器32Yが更に奥側へと移動されると、爪部材75が第二溝部32Y1iまで達して、図23に示す退避位置から第二溝部32Y1i内に入り込むように上方へと変位する。爪部材75が回転支軸75aを中心に回転し、口栓部材32Y3に係合する位置に移動する。
すなわち、爪部材75は滑動面32Y1rによる押圧から開放されて、板バネ77によって上方に押し上げられる。このとき、口栓部材32Y3の円柱形状部32Y3’は、その奥側端部がノズル挿入部32Y30の穴部32Y1bのノズル挿入口32Y1jの近傍に位置される。
また、ノズル管72はノズル挿入部32Y30のノズル挿入口32Y1jの近傍に位置するため、口栓部材32Y3の円柱形状部32Y3’の奥側端部に臨む。トナー容器32Yを更に奥側に押し込むと、トナー容器固定部70のノズル管72と当接する(図24参照)。これにより、口栓部材32Y3は、ノズル72と爪部材75とによって挟持されて、トナー容器収容部31Yにおける位置が固定された状態となる。
その後、トナー容器32Yが更に装着方向(矢印CP9で示す方向)に移動されると、第一溝部32Y1gと位置決め部材78とが当接した状態で、ノズル管72がノズル挿入口32Y1jから穴部32Y1bに向かって挿入される。すると、口栓部材32Y3の円柱形状部32Y3’が穴部32Y1bに対して相対的に移動されて、トナー排出口32Y1aの開放が行われる(図25参照)。
その後、口栓部材32Y3の円柱形状部32Y3’が、ノズル管72の押圧によりトナー排出口32Y1aを完全に開放する位置まで穴部32Y1bに対して相対移動される。
すなわち、ノズル管72は、トナー受入口72aとトナー排出口32Y1aとを連通する位置まで穴部32Y1bに挿入される。
トナー容器固定解除レバー76は、ノズル管72が、トナー受入口72aとトナー排出口32Y1aとを連通する位置まで穴部32Y1bに挿入される直前まで、解除位置に移動してリブ32Y1m上を摺動している状態にある。
ノズル管72は、トナー受入口72aとトナー排出口32Y1aとを連通する位置まで穴部32Y1bに挿入されると、トナー容器固定解除レバー76は、リブ32Y1mの装着方向手前側の端部に到達し、リブ32Y1mによる押圧から開放される。これにより、トナー容器固定解除レバー76は、スプリング76dの付勢力により固定位置に移動される(図13参照)。
これにより、トナー容器32Yの装着動作が完了する。なお、上述の装着時の手順とは逆の手順の動作を行うことにより、トナー容器32Yを画像形成装置本体100のトナー容器収容部31Yから取り出すことができる。
(搬送部材33の構成)
搬送部材33は、図26に示すように、円盤部33z、回転軸33a、可撓性の搬送羽根33b、攪拌リブ33cから概略構成されている。回転軸33aは円盤部33zの中心に設けられている。この円盤部33zは、トナー容器32Yの他端側の開口部32Y2b'(図28参照)の近傍に位置している。その回転軸33aは、トナー容器32Yの長手方向に沿って設けられている。
その円盤部33zには、その回転軸33aとは反対側に四角形状の連結軸部33dが形成されている。すなわち、回転軸33aの他端側には連結軸受け部(後述する)に連結される連結軸部33dが形成されている。
この回転軸33aの一端側は、回転軸受け筒40bの円形孔40b'に回転可能に嵌合される円柱軸部33eが形成されている。
搬送羽根33bは、可撓性を有するフィルム板33b’から構成されている。フィルム板33b’には、回転軸33aの一端側から他端側に向かって複数の切り込み33b”が所定の間隔で設けられている。
このフィルム板33b’は、回転軸33aの他端側に近い側が短辺部33fとされ、回転軸33aの一端側に近い側が長辺部33f’とされている。円盤部33zに最も近いフィルム板33b’の短辺部33fはその円盤部33zに設けた半径方向溝(図示を略す)に挟持されている。
長辺部33f'の端縁33f"はトナー容器32Yの内周壁に当接し、回転軸33aの回転により、フィルム板33b'が捩れることにより、搬送羽根33bが螺旋羽根形状を呈し、これにより、トナー容器32Y内のトナーが、トナー容器32Yの第2キャップ部材34側から第1キャップ部材40側に向けて搬送される。
攪拌リブ33cは、回転軸33aを境にして攪拌羽根33bに対して180度反対側に設けられている。この攪拌リブ33cは、回転軸33aの一端側から他端側に向かって間隔を開けて設けられて半径方向に伸びる縦方向桟部材33hと、回転軸33aの一端側から他端側に向かって横方向に伸びてその縦方向桟部材33hを連結する横方向連結桟部材33iと、互いに交差する方向に伸びて回転軸33aと縦方向桟部材33hと横方向連結桟部材33iとを連結する対角線方向桟部材33jとから構成されている。
この攪拌リブ33cは、回転軸33aの回転と一体に回転して、トナー容器32Y内のトナーの攪拌を行う。本実施形態のように、搬送部材33の搬送羽根33bを、可撓性を有する柔軟性のフィルム板33b'で構成することによって、搬送羽根33bが筒状胴体32Y2'の内周面に軽い力で接触しながら回転する。これにより、トナー凝集の発生を抑制しながら、トナーの攪拌・搬送を行うことができる。
(第2キャップ部材34の構成)
図27から図29を参照して、第2キャップ部材34の構成について説明する。
第2キャップ部材34は、図28に示すように、筒状胴体32Y2’の他端側の開口部32Y2b’を封止する円形蓋体部34aを有する。この円形蓋体部34aの一端面側には、図29に示すように、四角形状の連結軸部33dが嵌る角形穴34bを有する連結軸受け部34cが形成されている。この連結軸受け部34cは連結突起部34”と共に従動カップリングを構成している。この連結軸受け部34cは、筒状胴体32Y2’の内部に向かって突出している。
円形蓋体部34aには、連結受け部34cと共にこの連結軸受け部34cを中心にして、90度対称位置に四個の可撓性爪部34dが一体に形成されている。この可撓性爪部34dはアンダーカットにより構成される。連結突起部34”は、円形蓋体部34aの他面側に連結軸受け部34cとは反対方向に突出して形成されている。この連結突起部34”は駆動カップリング91に回転方向から当接されて連結される。
そして、図27に示すように、トナー容器32Yに搬送部材33を挿入し、その回転軸33aの円柱軸部33eを、回転軸受け筒40bの円形孔40b'に嵌め合わせ、かつ連結軸部33dを角形穴34bに嵌め合わせる。そして、第2キャップ部材34の可撓性爪部34dを互いに接近させる方向に撓ませて、筒状胴体32Y2'の他端側の開口部32Y2b'としての粉体充填開口34'に挿入し、筒状胴体32Y2'の開口部32Y2b'の構成壁に、図28に示すように可撓性爪部34dの爪34eを引っ掛ける。
これにより、第2キャップ部材34は、トナー容器32Yの他端側の開口部32Y2b'の構成壁に回転可能に装着される。その結果、搬送部材33の回転軸33aが回転軸受け筒40bと連結軸受け部34cとの間に回転可能に掛け渡される。
(第1チップ保持部80と第2チップ保持部81の構成)
図30に示すように、筒状胴体32Y2’の開口した一端側(第1キャップ部材40の蓋体部40c側)の端部周面には、筒状胴体32Y2’の長手方向に沿って切欠部82が形成されており、この切欠部82の両側に一対の第1チップ保持部80が一体に形成されている。また、前記切欠部82内には、第1キャップ部材40の端部周面にスリット部83(図16参照)を設けて先端側が可撓性を有するように形成された第2チップ保持部81が位置している。
各第1チップ保持部80は、側壁部80aと、各側壁部80aの上部に互いに対向するように突出した突出部80bを有している。各突出部80bは、切欠部82に沿って形成されている。
第2チップ保持部81は、切欠部82内に位置する平板状のチップ収納部81aと、チップ収納部81aの先端から下方側へ直角に折れ曲がり、その先端が前方側へ突出している押下げ部81bを有している。チップ収納部81aの表面には、RFIDチップ32Y1fを収納して保持するための凹状の設置部81c(図16参照)が形成されている。第2チップ保持部81の押下げ部81bは、筒状胴体32Y2’の端部端面よりも内側に位置している。
そして、RFIDチップ32Y1fを第1チップ保持部80と第2チップ保持部81の間に保持するには、図30に示すように、先ず、ユーザが第2チップ保持部81の押下げ部81bを下方に向けて押し下げる。これにより、第2チップ保持部81のチップ収納部81aが弾性変形して下方に撓んだ状態となり、この状態で、この押下げ部81bと各第1チップ保持部80の突出部80bの内面との間に形成された所定の隙間に、RFIDチップ32Y1fを挿入する。
そして、図31に示すように、RFIDチップ32Y1fがチップ収納部81aの設置部81cに保持されるように奥まで挿入した後、押下げ部81bから手を離すとチップ収納部81aが元の位置に弾性力で戻り、これにより、RFIDチップ32Y1fが第1チップ保持部80と第2チップ保持部81の間に保持される。
また、保持されているRFIDチップ32Y1fを取外す場合には、ユーザが第2チップ保持部81の押下げ部81bを下方に向けて押し下げて、チップ収納部81aを弾性変形させ、押下げ部81bと各第1チップ保持部80の突出部80bの内面との間に所定の隙間を設けることで、RFIDチップ32Y1fを手前方向(図31の左側方向)へ向けて取出すことができる。
このように、本実施形態のトナー容器32Y(32M,32C,32K)によれば、第2チップ保持部81の押下げ部81bを押圧して撓ませることで、RFIDチップ32Y1fの装着(保持)と取出しを容易に行うことができる。これにより、トナー容器32Y(32M,32C,32K)のリサイクル処理時等において、RFIDチップ32Y1fを作業効率よく容易に分離することが可能となる。
更に、第2チップ保持部81の押下げ部81bが筒状胴体32Y2’の端部端面よりも内側に位置しているので、不用意に押下げ部81bが他の部材と接触したり、誤って押下げ部81bを押圧操作することを防ぐことができる。
また、第1キャップ部材40の周面が筒状胴体32Y2’の開口した一端側の端部内にスナップフィット接合によって着脱自在に接続される構成により、リサイクル処理時等において、第1キャップ部材40を筒状胴体32Y2’から作業効率よく容易に取り外すことができる。
〈実施形態2〉
図32(a),(b)は、本実施形態におけるRFIDチップ32Y1fの保持構造を示した概略斜視図である。なお、他の構成は前記実施形態1と同様である。
本実施形態では、図32(a)に示すように、筒状胴体32Y2’の一端側(第1キャップ部材40の蓋体部40c側)の端部周面に、筒状胴体32Y2’の長手方向に延びる凹状のチップ挿入ガイド溝部83と、このチップ挿入ガイド溝部83の奥側で該チップ挿入ガイド溝部83を跨ぐように一体に形成されたチップ収納部84が設けられている。このチップ挿入ガイド溝部83とチップ収納部84は、実施形態1の第1チップ保持部80と同じ箇所に設けられている。
チップ挿入ガイド溝部83の底面は平面状に形成されている。チップ収納部84の背面(チップ挿入ガイド溝部83側の内面)は、略隙間なくRFIDチップ32Y1fが収納されるような大きさの凹部84aが形成されている。
そして、図32(a),(b)に示すように、RFIDチップ32Y1fをチップ挿入ガイド溝部83の先端側から挿入して、チップ収納部84内に収納した後、チップ挿入ガイド溝部83とチップ収納部84の表面全体を含む範囲に粘着性を有するテープ85を貼り付ける。なお、テープ85は透明でも非透明でもよい。
また、RFIDチップ32Y1fの背面(チップ挿入ガイド溝部83側の面)に情報を記録したIC(不図示)等が配置されていて、その表面が凹凸状の場合には、RFIDチップ32Y1fの背面にテープを貼り付けて平面性をよくするようにしてもよい。これにより、RFIDチップ32Y1fをチップ収納部84内に滑らかに挿入することができる。
このように、本実施形態では、チップ収納部84内に収納した後、チップ挿入ガイド溝部83とチップ収納部84の表面全体を含む範囲に粘着性を有するテープ85を貼り付けているので、トナー容器32Y(32M,32C,32K)の装着時等にいても、不用意にRFIDチップ32Y1fが外れることを防止することができる。
また、テープ85を剥がすだけで、RFIDチップ32Y1fを容易に取出すことができる。これにより、トナー容器32Y(32M,32C,32K)のリサイクル処理時等において、RFIDチップ32Y1fを作業効率よく容易に分離することが可能となる。
〈実施形態3〉
本実施形態では、図33(a),(b)に示すように、前記実施形態2におけるチップ収納部84の上面に開口した四角形状の窓部84bを形成し、貼り付けるテープ85を透明なものとしている。なお、他の構成は前記実施形態1、2と同様である。
チップ収納部84の窓部84bは、収納されるRFIDチップ32Y1fの上面全体が略露出して視認することができるような大きさに形成されている。
このように、本実施形態では、チップ収納部84内に収納されているRFIDチップ32Y1fを、窓部84bを通して容易に視認することができる。
〈実施形態4〉
図34(a),(b)は、本実施形態におけるRFIDチップ32Y1fの保持構造を示した概略斜視図である。なお、他の構成は前記実施形態1と同様である。
本実施形態では、図34(a)に示すように、筒状胴体32Y2'の一端側(第1キャップ部材40の蓋体部40c側)の端部周面に、筒状胴体32Y2'の長手方向に延びる凹状のチップ挿入ガイド面86を形成し、このチップ挿入ガイド面86の両側にガイド溝部86aを筒状胴体32Y2'の長手方向に沿って形成している。この平面状のチップ挿入ガイド面86は、実施形態1の第1チップ保持部80と同じ箇所に設けられている。
更に、本実施形態では、このチップ挿入ガイド面86に挿入されるチップ収納部材87を別体で有している。チップ収納部材87には、両側の下面に設けた前記各ガイド溝部86aに摺動可能に嵌入される各ガイド突起部87aと、チップ挿入ガイド面86への挿入方向側に開口したチップ挿入口87bを有するチップ保持部87cと、上面に開口した四角形状の窓部87dが形成されている。
チップ収納部材87の窓部87dは、収納されるRFIDチップ32Y1fの上面全体が略露出して視認することができるような大きさに形成されている。
そして、34(a),(b)に示すように、先ず、チップ収納部材87のチップ挿入口87bからチップ保持部87c内にRFIDチップ32Y1fを挿入して収納する。そして、このチップ収納部材87の各ガイド突起部87aをチップ挿入ガイド面86の各ガイド溝部86aに嵌入して、チップ収納部材87のチップ挿入口87bをチップ挿入ガイド面86の奥部に接するまで移動させる。
なお、各ガイド突起部87aは、各ガイド溝部86aにがたつきなく嵌入されることにより、チップ収納部材87の位置が動くことはない。
このように、本実施形態では、RFIDチップ32Y1fは、筒状胴体32Y2’の一端側の端部と反対側からチップ収納部材87内に収納される。これにより、RFIDチップ32Y1fが不用意にチップ収納部材87から外れることが防止される。
また、チップ収納部材87をチップ挿入ガイド面86から取り外すだけで、RFIDチップ32Y1fを容易に取出すことができる。これにより、トナー容器32Y(32M,32C,32K)のリサイクル処理時等において、RFIDチップ32Y1fを作業効率よく容易に分離することが可能となる。
更に、図35に示すように、チップ収納部材87の表面全体を含む範囲に粘着性を有するテープ85を貼り付けることで、より信頼性よくチップ収納部材87を保持することができる。なお、このテープ85を透明なものとすることにより、窓部87dを通してチップ保持部87c内のRFIDチップ32Y1fを視認することができる。