JP5771736B1 - 光ファイバ素線の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この製造装置は、光ファイバ母材2から光ファイバ裸線3を形成する紡糸部10と、光ファイバ裸線3を冷却する冷却部120と、光ファイバ裸線3に被覆層を設けて光ファイバ素線中間体4を形成するコーティング部30と、光ファイバ素線中間体4の被覆層を硬化して光ファイバ素線5とする硬化部40と、を備えている。
光ファイバ素線の製造においては、紡糸部10で光ファイバ母材2を溶融紡糸して光ファイバ裸線3を得る。光ファイバ裸線3を冷却部120で冷却した後、コーティング部30で光ファイバ裸線3の外周に樹脂からなる被覆層を設ける。硬化部40で被覆層を硬化させた光ファイバ裸線3を、プーリー50、引取り部60を経て巻取り手段70で巻き取る。
光ファイバ母材2の溶融紡糸により得られた光ファイバ裸線3は、直線的な経路に沿って鉛直下方へ線引きされる。
建屋を含む新たな設備を新設すればこの制限は緩和できるが、そのために莫大な費用が必要となる上、将来にさらに生産性向上が求められれば、さらに莫大な費用をかけて新たな設備を新設する必要が生じる。
この制限を緩和する方法として、非接触保持機構を有する方向変換器を用いる方法がある。
非接触保持機構は、空気などの流体の圧力によって対象を非接触で保持する機構であって、この機構を有する方向変換器では、光ファイバ裸線(ベアファイバ、裸ファイバ)に接触することなく、これを方向変換させることができる。
この方向変換器を用いれば、光ファイバ母材から第一の経路に沿って線引きした光ファイバ裸線の方向を、第二の経路に沿うように変換することができる(例えば、特許文献1、2を参照)。
特許文献2に記載の方向転換器は、光ファイバ裸線を案内するガイド溝を有し、ガイド溝の底面および両側面にガスの吹出口が形成されている(実施例および図3および図4を参照)。この方向転換器を用いた製造方法では、4つの吹出口から吹出されるガスの圧力により光ファイバを浮揚させた状態でこの光ファイバを方向変換させる。
本発明の一態様は、前記光ファイバ裸線の浮揚量を測定し、前記浮揚量の測定値に基づいて、前記方向変換器への前記流体の導入流量を調整することで前記レイノルズ数を制御することができる。
本発明の一態様は、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口の幅を、前記その他の部分における前記吹出し口の幅より狭くすることによって、前記レイノルズ数を調整することができる。
本発明の一態様は、前記方向変換器の内部に、前記流体を前記吹出し口に送る内部空間が確保され、前記内部空間は、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口に連通する第1空間と、前記その他の部分における前記吹出し口に連通する第2空間とを有し、前記第1空間および前記第2空間に対する前記流体の供給量を調整することによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数を、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くすることができる。
本発明の一態様は、前記方向変換器の内部に、前記流体を前記吹出し口に送る内部空間が確保され、前記内部空間は、前記入線部における前記吹出し口に連通する第1空間と、前記その他の部分における前記吹出し口に連通する第2空間と、前記出線部における前記吹出し口に連通する第3空間と、を有し、前記第1〜第3空間における前記流体の供給量を調整することによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数を、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くすることができる。
本発明の一態様は、前記方向変換器内に、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口に連通する狭隘部が形成されることによって、前記入線部および前記出線部において前記流体が前記吹出し口から吹出す際の圧力損失が、前記その他の部分における前記圧力損失に比べて大きくされ、これによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数を、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くすることができる。
前記入線部および前記出線部における前記吹出し口の幅が、前記その他の部分における前記吹出し口の幅より小さくされることによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数が、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くされることが好ましい。
前記方向変換器の内部に、前記流体を前記吹出し口に送る内部空間が確保され、前記内部空間は、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口に連通する第1空間と、前記その他の部分における前記吹出し口に連通する第2空間とを有することが好ましい。
前記方向変換器の内部に、前記流体を前記吹出し口に送る内部空間が確保され、前記内部空間は、前記入線部における前記吹出し口に連通する第1空間と、前記その他の部分における前記吹出し口に連通する第2空間と、前記出線部における前記吹出し口に連通する第3空間と、を有することが好ましい。
前記方向変換器内に、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口に連通する狭隘部が形成されることによって、前記入線部および前記出線部において前記流体が前記吹出し口から吹出す際の圧力損失が、前記その他の部分における前記圧力損失に比べて大きくされ、これによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数が、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くされることが好ましい。
製造装置1Aは、紡糸部10と、方向変換器20(20A,20B)と、位置センサ80と、コーティング部30と、硬化部40と、制御部90と、を備えている。
2aは、光ファイバ母材2の加熱溶融されている縮径部(ネックダウン)先端部である。
2つの方向変換器20のうち第1方向変換器20Aは、光ファイバ母材2から鉛直下向きに引き出された光ファイバ裸線3の方向を水平方向に変換する。第2方向変換器20Bは、光ファイバ裸線3の方向を水平から鉛直下向きに変換する。
樹脂コーティングは、例えば2層コーティングであり、内側にヤング率の低い一次被覆層用の材料を塗布し、外側にヤング率の高い二次被覆層用の材料が塗布される。使用される材料は、例えば紫外線硬化樹脂である。
コーティング部30は、一次被覆層と二次被覆層を別々に塗布する構成であってもよいし、一次被覆層と二次被覆層を同時に塗布する構成であってもよい。
位置センサ80は、検出した光ファイバ裸線3の位置に関する情報に基づいて検出信号を制御部90に出力する。
なお、図示しないが、第1方向変換器20A用の位置センサを第1方向変換器20Aと第2方向変換器20Bとの間の位置に設けることもできる。
この位置センサは、光ファイバ裸線3の位置情報に基づいて、第1方向変換器20Aにおける光ファイバ裸線3の浮揚量を測定できる。
この位置センサも、検出した光ファイバ裸線3の位置に関する情報に基づいて検出信号を制御部90に出力する。
引取り部60は、例えば引取りキャプスタンであり、ここで線引き速度が決定される。線引き速度は例えば1500m/min以上である。
巻取り手段70は、光ファイバ素線5を巻き取る巻取りボビンである。
光ファイバ母材2の外径は例えば100mm以上であり、1つの光ファイバ母材2から作製される光ファイバ素線5の長さは例えば数千kmである。
Y方向の位置決め精度が重要なのは、図2に示すように、光ファイバ裸線3は方向変換器20のガイド溝21の内側面21cと接触すると強度が低下するおそれがあるため、内側面21cから確実に離間させる必要があるからである。
樹脂コーティングは鉛直下向きの光ファイバ裸線に対して行われるのが一般的であるため、コーティング部30に導入される経路L3と、方向変換前の経路L2とを含む面に垂直な方向であるY方向の設置精度は重要である。
なお、樹脂コーティングが施される光ファイバ裸線の方向は鉛直下向きに限らない。当該方向が第二の経路に沿う方向であっても、コーティング自体が可能であれば問題ない。
図3(a)に示す方向変換器201は、方向変換器20の第1の例であって、光ファイバ裸線3の向きを90°変換することができる。このため、方向変換器201は、図1に示す方向変換器20A,20Bとして使用できる。
方向変換器201は、平面視4分円形とされ、外周面20aに全周長にわたってガイド溝21が形成されている。方向変換器201は、中心軸方向をY方向に一致させるとともに、径方向D1(図2参照)を面P1(図1参照)に沿う方向に向けた姿勢で設置される。ここでは、平面視円弧形の外周面20aに沿う方向を周方向という。
方向変換器201は、例えば、流体を外部から流体溜部25に導入し、吹出し口22を通してガイド溝21内に放出させるように構成することができる。
光ファイバ裸線3は、ガイド溝21の内側面21cと接触すると、強度が低下するおそれがあるため、内側面21cから確実に離間させる必要がある。
このため、カルマン渦はなくすか、光ファイバ裸線3の振動を抑えられるほど小さくする必要がある。
Re数は、流れの層流、乱流を示す指標であり、Re数を小さくするほど層流となり、カルマン渦が生じにくくなる。逆に、Re数を大きくするほど、乱流になりカルマン渦が発生しやすくなる。
Re数は、方向変換器201の周方向に一定である必要はなく、必要に応じて、周方向の位置が異なる部分領域ごとに最適化してもよい。これにより、光ファイバ裸線3の振動を小さくできる。
光ファイバ裸線3が入線する入線部23はガイド溝21の一端21aを含む部分であり、光ファイバ裸線3が出線する出線部24はガイド溝21の他端21bを含む部分である。
一端部分27は、中間部分26の一端からガイド溝21の一端21aに向けて幅が狭くなりつつガイド溝21に沿って延在する。他端部分28は、中間部分26の他端からガイド溝21の他端21bに向けて幅が狭くなりつつガイド溝21に沿って延在する。
吹出し口22の一端22aはガイド溝21の一端21aに達し、他端22bは他端21bに達している。
図3(a)に示す方向変換器201では、一端部分27は、90°の範囲のうち、0°の位置を始端とし、10〜30°の位置を終端とする範囲としてよい。また、他端部分28は、90°の範囲のうち、60〜80°の位置を始端とし、90°を終端とする範囲としてよい。この例では、一端および他端部分27,28は、それぞれ全体の11.1〜33.3%に相当する周方向範囲の部分である。
図5(a)に示す方向変換器203は、一端部分37は、180°の範囲のうち、0°の位置を始端とし、20〜30°の位置を終端とする範囲としてよい。また、他端部分38は、180°の範囲のうち、150〜160°の位置を始端とし、180°を終端とする範囲としてよい。この例では、一端および他端部分37,38は、それぞれ全体の11.1〜16.7%に相当する周方向範囲の部分である。
図8に示す例では、一端部分27は、一端21aを含む範囲(図8において例えば0°以上5°未満の範囲)を除いた部分としてよい。また、他端部分28は、他端21bを含む範囲(図8において例えば85°を越え90°以下の範囲)を除いた部分としてよい。
すなわち、一端部分27は、90°の範囲のうち、5°の位置を始端とし、10〜30°の位置を終端とする範囲としてよい。また、他端部分28は、90°の範囲のうち、60〜80°の位置を始端とし、85°を終端とする範囲としてよい。
この例では、一端および他端部分27,28は、それぞれ全体の5.5〜27.8%に相当する周方向範囲である。
すなわち、一端部分37は、180°の範囲のうち、10°の位置を始端とし、20〜30°の位置を終端とする範囲としてよい。また、他端部分38は、180°の範囲のうち、150〜160°の位置を始端とし、170°を終端とする範囲としてよい。
この例では、一端および他端部分37,38は、それぞれ全体の5.5〜11.1%に相当する周方向範囲である。
一端および他端部分27,28の最小幅と中間部分26の幅との差は、例えば2μm〜10μmとすることができる。前記差を前記範囲とすることによって、一端および他端部分27,28での流体の吹出し流速を確保し、かつ、中間部分26での吹出し流速に対する一端および他端部分27,28の吹出し流速の比率を高くすることができる。
一端および他端部分27,28の最大幅と、中間部分26の幅とは互いに等しいことが好ましい。
中間部分26の幅に対する一端および他端部分27,28の最小幅の比率を前記範囲とすることによって、一端および他端部分27,28での流体の吹出し流速を確保し、かつ、中間部分26での吹出し流速に対する一端および他端部分27,28の吹出し流速の比率を高くすることができる。
なお、図3(b)に示す一端および他端部分27,28および中間部分26は、両側縁が直線状とされているが、一端21aおよび他端21bに向けて幅が狭くなる形状であれば、両側縁が曲線状であってもよい。
このため、入線部23および出線部24では、その他の部分(この例では入線部23と出線部24との間の部分。すなわち中間部分26に相当する長さ範囲の部分)に比べて、流体が吹出し口22から吹出す際の圧力損失が大きくなることから、入線部23および出線部24における吹出し流速は、前記その他の部分における流体の最低流速より速くなる。
なお、入線部23および出線部24における流体の吹出し流速は、中間部分26における流体の平均流速(または最高流速)より速くてもよい。
中間部分26における流体の流速と比較するべき、入線部23および出線部24における流体の流速は、平均値または最高値とすることができる。
入線部23および出線部24においては、流体の吹出し流速が速くなるため、他の部分(この例では中間部分26に相当する長さ範囲の部分)に比べてRe数が大きくなる。
方向変換器202は、図3(a)に示す方向変換器201と同じ構造の本体部29aの入線側および出線側に、それぞれ本体部29aと同じ構造の補助部29b,29cが連設された構造とされている。
方向変換器202は、光ファイバ裸線3が入線部23から本体部29aのガイド溝21に入り、本体部29aで方向が90°変換された後、出線部24を通って出線するため、基本的な機能は方向変換器201と同じである。
方向変換器201,202は、光ファイバ裸線3の向きを90°変換することができるため、図1に示す方向変換器20A,20Bとして使用できる。
ガイド溝31の底部には、光ファイバ裸線3を浮揚させる流体(空気など)の吹出し口32がガイド溝31に沿って形成されている。吹出し口32は、ガイド溝31の全長にわたって形成されている。
方向変換器203は、流体溜部35から吹出し口32を通してガイド溝31内に流体を放出できるように構成されている。
方向変換器203では、光ファイバ裸線3は半円形のガイド溝31の一端31aから入り、他端31bから出ることによって180°方向変換される。入線部33はガイド溝31の一端31aを含む部分であり、出線部34はガイド溝31の他端31bを含む部分である。
ガイド溝31の断面形状はガイド溝21の断面形状(図2参照)と同じである。
一端部分37は、中間部分36の一端からガイド溝31の一端31aに向けて幅が狭くなりつつガイド溝31に沿って延在する。他端部分38は、中間部分36の他端からガイド溝31の一端31aに向けて幅が狭くなりつつガイド溝31に沿って延在する。
吹出し口32の一端32aはガイド溝31の一端31aに達し、他端32bは他端31bに達している。
このため、これら入線部33および出線部34では、吹出し口32からの流体の吹出し流速は、その他の部分(中間部分36)における流体の最低流速より速くなる。
入線部33および出線部34における流体の吹出し流速は、中間部分36における流体の平均流速(または最高流速)より速くてもよい。
入線部33および出線部34においては、流体の吹出し流速が速くなるため、他の部分(この例では中間部分36に相当する長さ範囲の部分)に比べてRe数が大きくなる。
方向変換器204は、図5(a)に示す方向変換器203と同じ構造の本体部39aの入線側および出線側に、それぞれ本体部39aと同じ断面構造を有する平面視8分の1円形の補助部39b,39cが連設された構造とされている。
方向変換器204は、光ファイバ裸線3が入線部33から本体部39aのガイド溝31に入り、本体部39aで方向が180°変換された後、出線部34を通って出線するため、基本的な機能は方向変換器203と同じである。
(紡糸工程)
紡糸部10において、光ファイバ母材2を加熱して溶融紡糸して光ファイバ裸線3を形成する。
光ファイバ母材2から鉛直下向き(第一の経路L1)に引き出された光ファイバ裸線3は、第1方向変換器20Aにおける90°の方向変換により、水平(第二の経路L2)に向けられる。
光ファイバ裸線3は、第2方向変換器20Bにおける90°の方向変換により、鉛直下向き(第三の経路L3)となる。
制御部90は、検出信号に基づいて、方向変換器20A,20Bへの流体の導入流量を制御する。制御部90は、例えば、方向変換器20A,20Bへの流体の導入路に設けられた開閉弁の開度を調節することによって流体の導入流量を制御することができる。
詳しくは、制御部90は、光ファイバ裸線3の浮揚量が大きくなると、流体の導入流量を低くする。これによって、方向変換器20A,20BにおけるRe数が低くなる。制御部90は、光ファイバ裸線3の浮揚量が小さくなると、流体の導入流量を高くする。これによって、方向変換器20A,20BにおけるRe数が高くなる。
制御方法としては、PID制御などのフィードバック制御が好ましい。これにより、流体の導入流量の制御を応答性よく行うことができる。
この場合には、第2方向変換器20BにおけるRe数の制御は、位置センサ80で得られた光ファイバ裸線3の位置情報に基づいて行う。すなわち、位置センサ80で得られた情報に基づいて第2方向変換器20Bにおける光ファイバ裸線3の浮揚量を測定し、測定値に基づいて、制御部90が第2方向変換器20BのRe数を制御する。
コーティング部30において、光ファイバ裸線3の外周に、ウレタンアクリレート系の樹脂などの被覆材を塗布(コーティング)して被覆層とすることによって光ファイバ素線中間体4を得る。
硬化部40において、UVランプ40aの照射などにより、光ファイバ素線中間体4の被覆層を硬化して光ファイバ素線5を形成する。
ガイド溝21の内側面21c,21cは、径方向外方に行くほど幅が拡大するように傾斜している。そのため、光ファイバ裸線3の浮揚量が増加すると、光ファイバ裸線3と内側面21cとの隙間が大きくなり、光ファイバ裸線3と内側面21cとの接触は起こりにくくなるとも考えられる。
本願発明者は、この現象の原因および解決策を求めて検討を重ねた結果、次のことを新たに見出した。
Re数が3500より大きくなると、流体流の光ファイバ裸線3後方にできるカルマン渦の影響と考えられる圧力変動から光ファイバ裸線3の浮揚量の変動(光ファイバ裸線3の時間的な振動や浮揚量のゆらぎ)が生じる。
その浮揚量の変動によって、ある頻度で光ファイバ裸線3が内側面21c,21cに接触するため、光ファイバ素線5に接触による強度低下が生じるおそれがある。
浮揚量は、図1に示す光ファイバ素線の製造装置1Aを用い、方向変換器20Bとコーティング部30との間の位置(第三の経路L3)に設置した位置センサ80によって、光ファイバ裸線3の位置データを取得した。
図7より、X方向成分の浮揚位置が、Y方向成分と比較して時間経過により大きく変動していることがわかる。Y方向位置は安定しているように見えるが、浮揚位置変動が±10μm程度である。通常、光ファイバ裸線3とガイド溝21の内側面21cとの隙間は数十μmであるから、Y方向の浮揚位置変動も小さい変動ではない。
これに対し、流体流のRe数を1200〜3500の範囲にすると、光ファイバ裸線3の一定量の浮揚量を確保でき、さらに、時間的な浮揚量の安定性が得られ、製品に重大な欠陥を生じさせることなく線引きすることができる。
[Re数]=[使用気体密度、kg/m3]×[流体流速、m/sec]×[代表長さ、m]/[使用気体粘度、Pa・s]
ここで、代表長さについては、内側面21c,21cの傾斜は非常に小さいことから、内側面21c,21cを互いに平行とみなして、2つの平板間の代表長さを用いる。
なお、Re数は、浮揚量の安定化のための指標として導入したものであるため、厳密性は問わず、上位指標を使用した。つまり、2つの平板間の距離をd[m]とした場合、代表長さは2d[m]とする。
また、流体流速[m/sec]は、光ファイバ裸線3の旋回位置のガイド溝21の底側の位置を測定位置とした。例えば、[流体流位置]=[旋回半径(光ファイバ裸線3の中心位置)]−[光ファイバ裸線3の半径]とした。なお、ファイバ裸線3の外径は例えば125μmである。
この位置でのガイド溝21の断面積[m2]を算出し、方向変換器20への流体の導入流量[m3/sec]に基づいて、[流体流速、m/sec]=[導入流量、m3/sec]/[流体断面積、m2]に基づいて、流体流速を算出する。
なお、使用気体密度と、使用気体粘度は、使用する気体の使用する温度(一般には常温であり、約20℃とする)での数値を使用する。
例えば、特許5571958号公報に示される非接触保持機構を使用する場合、光ファイバ裸線3を、方向変換器において旋回半径62.5mmで90°方向変換させる。ガイド溝21の幅(浮揚状態の光ファイバ裸線3の最内周位置におけるガイド溝21の幅)は145μmである。光ファイバ裸線3の直径は125μmである。方向変換器に対する流体(空気)の導入量は100L/minである。
なお、旋回半径は、流体流速と線引張力との関係で決まる。ここでは、特定の方向変換器の構造、製造条件のもとでの、ある一定の線引張力の場合の旋回半径である。
[流体断面積]=2×π×[流体流位置]×90/360×溝幅=1.42211×10−5m
[流体流速]=[導入流量]/[流体断面積]=100×10−3/60/[流体断面積]≒117.2m/sec
[空気密度(20℃)]=1.205kg/m3
[空気粘度(20℃)]=1.822×10−5Pa・s
[代表長さ]=[溝幅]×2=145×10−6×2=0.00029m
[Re数]≒2248
このRe数は1200〜3500の範囲に入っているため、安定している条件と判断できる。
例えば方向変換器20への光ファイバ裸線3の入線および出線位置は、光ファイバ裸線3と流体流との接触界面である。なお、接触界面とは、光ファイバ裸線3が流体流と接触している部分と接触していない部分の界面である。
例えば、図1において、光ファイバ母材2の加熱溶融されている縮径部(ネックダウン)先端部2a、コーティング部30、引取り部60、プーリー50、および巻取り手段70は、光ファイバが径方向に移動できないため、光ファイバが横揺れする際に固定端となり得る。
そのため、図8に示すように、Re数は、カルマン渦の影響のない範囲で、大きい数値に調整する。つまり、Re数は、少なくとも2500〜3500の範囲とすることが好ましい。
これにより、光ファイバ裸線3の振動を小さくできるだけでなく、方向変換器20の入線部23および出線部24における浮揚安定性を得ることができる。また、入線部23および出線部24における位置補正許容範囲を大きく確保することができる。よって、光ファイバ裸線3が内側面21c,21cに接触することによる光ファイバ裸線3の強度低下を抑制できる。
図3(a)および図3(b)に示す方向変換器201は、一端および他端部分27,28の幅(例えば平均幅または最小幅)が狭いため、吹出し口22は、ガイド溝21の両端部である入線部23および出線部24において幅が狭くなる。
このため、入線部23および出線部24では、その他の部分(この例では入線部23と出線部24との間の部分。すなわち中間部分26に相当する長さ範囲の部分)に比べて、流体が吹出し口22から吹出す際の圧力損失が大きくなることから、入線部23および出線部24における吹出し流速は、前記その他の部分における流体の最低流速より速くなる。
入線部23および出線部24における流体の吹出し流速は、中間部分26における流体の平均流速(または最高流速)より速くてもよい。
これによって、入線部23および出線部24におけるRe数を、他の部分(この例では中間部分26に相当する長さ範囲の部分)に比べて大きくすることができる。
また、入線部23および出線部24で光ファイバ裸線3の浮揚量が大きくなるため、ガイド溝21の内側面21cと光ファイバ裸線3との隙間が広がり、パスライン位置のずれに対する許容量が増加する。
このため、方向変換器20の設置位置精度に関する要求を緩和できる。例えば、設置位置要求精度をμmオーダーから0.5mmオーダー(数百μmオーダー)とすることができ、少なくとも数百倍の精度要求の緩和が可能となる。
従って、方向変換器20の設置作業を容易にするとともに、光ファイバ裸線3がガイド溝21の内側面21cに接触することによる傷つきを防止し、良好な歩留で光ファイバ素線5を製造することができる。
よって、X方向については、少なくとも流体吹出し流速の調整により光ファイバ裸線3の安定浮揚量を確保できる範囲内であれば、設置精度はY方向と比較して低くても構わない。すなわち、X方向位置の調整のため流体吹出し流速を低くしてRe数を小さくした結果、光ファイバ裸線3が浮揚しない状態になるのを回避できればよい。
この図に示すように、入線および出線位置に近い位置(10°および80°の位置)でRe数が最大となっており、入線および出線位置から離れた位置(35°および55°の位置)でRe数が極小になっている。
10°の位置におけるRe数は、方向変換器201(図3参照)における入線部23の流体吹出しRe数の最高値である。80°の位置における風速は、方向変換器201における出線部24の流体吹出しRe数の最高値である。
35°および55°の位置におけるRe数は、方向変換器201における中間部分26の流体吹出しRe数の最低値である。
入線部23および出線部24における吹出しRe数(最高値)は、中間部分26における吹出しRe数の最低値の約1.8倍である。
この図に示すように、入線および出線位置に近い位置(20°および160°の位置)でRe数が最大となっており、入線および出線位置から離れた位置(70°の位置)でRe数が極小になっている。
20°の位置におけるRe数は、方向変換器203(図5参照)における入線部33の流体吹出しRe数の最高値である。160°の位置におけるRe数は、方向変換器203における出線部34の流体吹出しRe数の最高値である。
70°の位置におけるRe数は、方向変換器203における中間部分36の流体吹出しRe数の最低値である。
入線部33および出線部34における吹出しRe数(最高値)は、中間部分36における吹出しRe数の最低値の約1.8倍である。
(1)吹出し口22の幅の調整によるRe数の調整
図3(a)および図3(b)に示す方向変換器201は、一端および他端部分27,28の幅(例えば平均幅または最小幅)が狭いため、吹出し口22は、ガイド溝21の両端部である入線部23および出線部24において幅が狭くなる。
このため、入線部23および出線部24では、その他の部分(この例では入線部23と出線部24との間の部分。すなわち中間部分26に相当する長さ範囲の部分)に比べて、流体が吹出し口22から吹出す際の圧力損失が大きくなることから、入線部23および出線部24における吹出し流速は、前記その他の部分における流体の最低流速より速くなる。
図8に示すように、入線部23および出線部24においては、流体の吹出し流速が速くなるため、他の部分(この例では中間部分26に相当する長さ範囲の部分)に比べてRe数が大きくなる。
図10に示す方向変換器205は、方向変換器20の第3の例であって、光ファイバ裸線3の向きを180°変換することができる。方向変換器205は、平面視半円形とされ、流体溜部45から吹出し口42を通してガイド溝31内に流体を放出できるように構成されている。
吹出し口42の形状は特に限定されないが、例えばガイド溝31の長さ方向にわたって一定の幅であってよい。
流体溜部45は、隔壁41によって第1流体溜部45A(第1空間)と、第2流体溜部45B(第2空間)とに区画されている。
第1流体溜部45Aは、吹出し口42の一端および他端部分47,48に連通し、第2流体溜部45Bは吹出し口42の中間部分46に連通している。
方向変換器205の側面には、第1流体溜部45Aに流体を供給する第1供給口43Aと、第2流体溜部45Bに流体を供給する第2供給口43Bとが形成されている。
このため、入線部33および出線部34における流体の吹出し流速を、その他の周方向部分(中間部分46)における流体の最低吹出し流速より速くなるように設定することができる。
入線部33および出線部34においては、流体の吹出し流速が速くなるため、その他の周方向部分(中間部分46)に比べてRe数が大きくなる。
流体溜部55は、隔壁51A,51Bによって第1〜第3流体溜部55A〜55Cに区画されている。
第1流体溜部55A(第1空間)は、吹出し口52の一端部分57に連通し、第2流体溜部55B(第2空間)は吹出し口52の中間部分56に連通し、第3流体溜部55C(第3空間)は、吹出し口52の他端部分58に連通している。
方向変換器206の側面には、第1流体溜部55Aに流体を供給する第1供給口53Aと、第2流体溜部55Bに流体を供給する第2供給口53Bと、第3流体溜部55Cに流体を供給する第3供給口53Cと、が形成されている。
このため、入線部33および出線部34における流体の吹出し流速を、その他の周方向部分(中間部分56)における流体の最低吹出し流速より速くなるように設定することができる。
入線部33および出線部34においては、流体の吹出し流速が速くなるため、その他の周方向部分(中間部分56)に比べてRe数が大きくなる。
図12に示す方向変換器207は、方向変換器20の第5の例であって、光ファイバ裸線3の向きを90°変換することができる。
方向変換器207は、平面視4分円形とされ、流体溜部65から吹出し口62を通してガイド溝61内に流体を放出できるように構成されている。
図13(a)に示すように、吹出し口62の一端および他端部分67,68に連通する周方向範囲には、流体溜部65とガイド溝61との間に、流体溜部65より幅が狭い狭隘部69,69が形成されている。
図13(b)に示すように、吹出し口62の中間部分66に連通する周方向範囲には、狭隘部69は形成されていない。
このため、一端および他端部分67,68に相当する周方向範囲では、中間部分66に相当する周方向範囲に比べて流体が吹出す際の圧力損失が大きくなる。
入線部23および出線部24においては、流体の吹出し流速が速くなるため、その他の周方向部分(中間部分26)に比べてRe数が大きくなる。
3つの方向変換器20(20A,20C,20D)を有する点で、図1に示す製造装置1Aと異なる。以下、本発明の光ファイバ素線の製造方法の第2実施形態を説明する。
製造装置1Bでは、光ファイバ母材2から鉛直下向き(第一の経路L1)に引き出された光ファイバ裸線3は、第1方向変換器20Aにおける90°の方向変換により、水平(第二の経路L2)に向けられる。
光ファイバ裸線3は、第2方向変換器20Cにおける180°の方向変換により、第二の経路L2とは反対の方向(第三の経路L4)に向けられ、第3方向変換器20Dにおける90°の方向変換により、鉛直下向き(第四の経路L5)となる。
光ファイバ裸線3は、コーティング部30において樹脂コーティングが施され、被覆層が硬化部40において硬化されることによって光ファイバ素線5となる。
光ファイバ素線5は、プーリー50、引取り部60を経て、巻取り手段70により巻き取られる。
図1に示す製造装置1Aを用意した。
方向変換器20A,20Bとしては、図3に示す方向変換器201を用いた。ガイド溝21の幅は深さ方向に均一とした。
旋回半径は約62.5mmとした。ガイド溝21の幅(浮揚状態の光ファイバ裸線3の最内周位置におけるガイド溝21の幅)は145μmである。
方向変換器20A,20BのRe数(計算値)は約2248であった。
方向変換器20A,20Bに導入される流体は空気であり、その温度は室温(約24℃)とした。
空気の導入流量は、方向変換器20A,20Bについてそれぞれ100リットル/分とした。
第1方向変換器20Aは、光ファイバ裸線3の温度が約1000℃となる位置に設けた。
方向変換器20A,20Bの設置の際には、レーザー芯出し器によりμmオーダーの精度で芯出し(パスラインの位置調整)を行った。
光ファイバ母材2から鉛直下向き(第一の経路L1)に引き出された光ファイバ裸線3は、第1方向変換器20Aによって水平(第二の経路L2)に方向変換し、次いで、第2方向変換器20Bによって鉛直下向き(第三の経路L3)に方向変換した。第二の経路L2の長さは約1mとした。
コーティング部30において、光ファイバ裸線3に紫外線硬化樹脂のコーティングを施し、硬化部40においてUVランプ40aにより紫外線を照射して被覆層を硬化させて光ファイバ素線5を得た。
光ファイバ素線5は、プーリー50、引取り部60を経て、巻取り手段70により巻き取った。
同じ光ファイバ母材2からの光ファイバ素線5の製造中に、方向変換器20A,20Bへの空気の供給量を減らし、Re数(計算値)が1200になるように調整した。
同じ光ファイバ母材2からの光ファイバ素線5の製造中に、方向変換器20A,20Bへの空気の供給量を増やし、Re数(計算値)が3500になるように調整した。
図1の製造装置1Aにおいて、位置センサ80および制御部90を用いて方向変換器20A、20Bへの流体の導入流量を制御した。
すなわち、位置センサ80によって、光ファイバ裸線3の位置情報(第2方向変換器20Bにおける浮揚量)を得て、検出信号を制御部90に出力し、制御部90によって方向変換器20A、20Bへの流体の導入流量を制御した。
制御方法としては、PID制御を採用した。その他の条件は実施例1に準じて光ファイバ素線5を製造した。
光ファイバ素線5の製造中、線速変動が最大で±50m/min発生し、また、線引張力変動も最大で±25gf発生した。
しかし、方向変換器20A,20Bにおいて、Re数が1200〜3500の範囲内で空気の流量制御を行ったため、光ファイバ裸線3の浮揚量は±0.05mmであり、安定していた。
図1に示す製造装置1Aにおいて、方向変換器20A,20Bに、図8のRe数プロファイルを有する方向変換器201を用いた。吹出し口22の中間部分26の幅は50μmであり、一端および他端部分27,28の最小幅は45μmである。
図2に示すように、ガイド溝21の内側面21cの、径方向D1に対する傾斜角度θ1は0.5°とした。旋回半径は約62.5mmとした。
入線部23および出線部24を除く部分(中間部分26に相当する部分)でのRe数は2200であり、入線部23および出線部24でのRe数は2500であった。入線部23および出線部24は端部から30°に相当する周方向範囲の部分である。
方向変換器20A,20Bの設置の際には、光ファイバ裸線3に代えて外径0.5mmの糸を使用し、目視により芯出し(パスラインの位置調整)を行った。
図14に示す製造装置1Bを用いて、以下のようにして光ファイバ素線5を製造した。
第1および第3方向変換器20A,20Dとしては、実施例1で用いたものと同じ仕様の方向変換器201を用いた。
第2方向変換器20Cとしては、図10に示す方向変換器205を用いた。
入線部33および出線部34の設定Re数は3000とした。中間部分46に相当する範囲の設定Re数は1800とした。
方向変換器20A,20Bの設置の際には、光ファイバ裸線3に代えて外径0.5mmの糸を使用し、目視により芯出し(パスラインの位置調整)を行った。
図1に示す製造装置1Aにおいて、方向変換器20A,20Bに、方向変換器201に代えて、図12および図13に示す方向変換器207を用いること以外は実施例1と同様にして光ファイバ素線5を製造した。
入線部23および出線部24の設定Re数は3500とした。中間部分26に相当する範囲の設定Re数は3000とした。
方向変換器20A,20Bの設置の際には、光ファイバ裸線3に代えて外径0.5mmの糸を使用し、目視により芯出し(パスラインの位置調整)を行った。
図1に示す製造装置1Aを用いて、Re数を4000にすること以外は実施例1と同様にして光ファイバ素線5を製造した。
光ファイバ素線5の製造において、図7に示すような光ファイバ裸線3の浮揚位置の変動が見られた。
図1に示す製造装置1Aを用いて、Re数を1000にすること以外は実施例1と同様にして光ファイバ素線5を製造した。
光ファイバ素線5の製造において、図7に示すような光ファイバ裸線3の浮揚位置の変動が見られた。
Claims (11)
- 光ファイバ母材を溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸工程と、
前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング工程と、
前記被覆層を硬化させて光ファイバ素線を得る硬化工程と、を有し、
前記紡糸工程から前記コーティング工程までのいずれかの位置で、前記光ファイバ裸線の方向を方向変換器によって変換し、
前記方向変換器は、前記光ファイバ裸線を案内するガイド溝を有し、
前記ガイド溝内には、前記ガイド溝に沿って配線された前記光ファイバ裸線を浮揚させる流体の吹出し口が前記ガイド溝に沿って形成され、
前記光ファイバ裸線の方向を方向変換器によって変換するにあたって、前記流体を前記吹出し口から前記ガイド溝内に導入して前記光ファイバ裸線を浮揚させ、その際、前記流体のレイノルズ数を1200〜3500の範囲とし、
前記光ファイバ裸線の前記ガイド溝への入線部、および前記ガイド溝からの出線部における前記レイノルズ数は、その他の部分における前記レイノルズ数より高いことを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。 - 前記光ファイバ裸線の浮揚量を測定し、前記浮揚量の測定値に基づいて、前記方向変換器への前記流体の導入流量を調整することで前記レイノルズ数を制御することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法。
- 前記入線部および前記出線部における前記吹出し口の幅を、前記その他の部分における前記吹出し口の幅より狭くすることによって、前記レイノルズ数を調整する請求項1または2に記載の光ファイバ素線の製造方法。
- 前記方向変換器の内部に、前記流体を前記吹出し口に送る内部空間が確保され、
前記内部空間は、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口に連通する第1空間と、前記その他の部分における前記吹出し口に連通する第2空間とを有し、
前記第1空間および前記第2空間に対する前記流体の供給量を調整することによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数を、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くすることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ素線の製造方法。 - 前記方向変換器の内部に、前記流体を前記吹出し口に送る内部空間が確保され、
前記内部空間は、前記入線部における前記吹出し口に連通する第1空間と、前記その他の部分における前記吹出し口に連通する第2空間と、前記出線部における前記吹出し口に連通する第3空間と、を有し、
前記第1〜第3空間における前記流体の供給量を調整することによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数を、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くすることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ素線の製造方法。 - 前記方向変換器内に、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口に連通する狭隘部が形成されることによって、前記入線部および前記出線部において前記流体が前記吹出し口から吹出す際の圧力損失が、前記その他の部分における前記圧力損失に比べて大きくされ、これによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数を、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くすることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ素線の製造方法。
- 光ファイバ母材を溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸部と、
前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング部と、
前記被覆層を硬化させる硬化部と、を備え、
前記紡糸部から前記コーティング部までのいずれかの位置に、前記光ファイバ裸線の方向を変換する方向変換器が設けられ、
前記方向変換器は、前記光ファイバ裸線を案内するガイド溝を有し、
前記ガイド溝内には、前記ガイド溝に沿って配線された前記光ファイバ裸線を浮揚させる流体の吹出し口が前記ガイド溝に沿って形成され、
前記吹出し口は、前記流体のレイノルズ数が、前記光ファイバ裸線の前記ガイド溝への入線部、および前記ガイド溝からの出線部において、その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くなるように形成されていることを特徴とする光ファイバ素線の製造装置。 - 前記入線部および前記出線部における前記吹出し口の幅が、前記その他の部分における前記吹出し口の幅より小さくされることによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数が、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くされることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバ素線の製造装置。
- 前記方向変換器の内部に、前記流体を前記吹出し口に送る内部空間が確保され、
前記内部空間は、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口に連通する第1空間と、前記その他の部分における前記吹出し口に連通する第2空間とを有することを特徴とする請求項7に記載の光ファイバ素線の製造装置。 - 前記方向変換器の内部に、前記流体を前記吹出し口に送る内部空間が確保され、
前記内部空間は、前記入線部における前記吹出し口に連通する第1空間と、前記その他の部分における前記吹出し口に連通する第2空間と、前記出線部における前記吹出し口に連通する第3空間と、を有することを特徴とする請求項7に記載の光ファイバ素線の製造装置。 - 前記方向変換器内に、前記入線部および前記出線部における前記吹出し口に連通する狭隘部が形成されることによって、前記入線部および前記出線部において前記流体が前記吹出し口から吹出す際の圧力損失が、前記その他の部分における前記圧力損失に比べて大きくされ、これによって、前記入線部および前記出線部における前記流体のレイノルズ数が、前記その他の部分における前記流体のレイノルズ数より高くされることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバ素線の製造装置。
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