JP5771030B2 - 雪崩防止構造 - Google Patents

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Description

本発明は、法面の途中に形成された小段において雪崩の発生を防止する雪崩防止構造に関する。
従来より、積雪地方の法面における雪崩を防止するために、法面の途中に小段を設けることが行われる。小段を設けることによって、小段よりも上の法面に積もる雪が法面に沿って落ちようとしても、小段に積もった雪が小段上に留まって法面上の雪を受けることにより、雪崩を防止することができる。したがって、小段の幅は、小段に積もった雪と小段表面との間の摩擦抵抗が法面上の雪が小段上の雪を押す力の水平分力と同じかそれ以上になるように設定される必要がある。
しかし、法面に存在する樹木や岩石などの障害物などが原因で、小段の幅、すなわち、山側端部と谷側端部との間の幅を十分に確保できない場合には、小段に積もった雪と小段表面との間の摩擦抵抗を大きくすることができず、小段における雪崩をくい止める効果が十分に発揮されないおそれがある。
そこで、従来では、小段幅を拡張するために、小段の前方へ向けて小段の高さと同じ高さになるように張り出して雪崩防止柵を設置することが行われている(特許文献1参照)。このような雪崩防止柵を小段の前方に設置する場合、まず、小段上にアンカーを埋設し、ついで、複数の梁材を小段の前方に張り出すように小段と同じ高さに設置するとともに当該梁材を支柱体で下方から支持し、さらに梁材をアンカーから延びるワイヤで吊り支持した後、梁材の間に雪留め材を設けている。
特許第4122027号公報
小段の幅を十分に広くしておけば、それに伴って小段に積もった雪と小段表面との間の摩擦抵抗も大きくなり、雪崩をくい止める効果が高くなる。しかし、実際は障害物などの原因で小段の幅を過度に広くすることができないという制約がある。
また、上記のような雪崩防止柵を小段の前方へ張り出して設置する作業は、法面上で支柱体および梁材を組み立てる必要があり、非常に手間がかかるとともに、広い設置場所を必要とするという問題がある。
そこで、本発明者らは、小段の幅を広く取らなくても雪崩を防止できる構造として、小段に積もった雪と小段表面との間の摩擦抵抗を利用しながらさらに小段の上の雪の滑りを防止する手段について鋭意検討を重ね、後述する発明を創作するに至ったものである。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、法面の下側にある水平部の幅を広く取らなくても安全性を十分に確保して雪崩を確実に防止することができ、しかも、施工が容易な雪崩防止構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明の雪崩防止構造は、法面の途中に形成された小段において雪崩の発生を防止する雪崩防止構造であって、前記小段の幅方向において幅を有する平板状であり、当該小段の表面に固定された台座部と、前記小段上に積もった雪が当該小段の上面に対して滑るのを阻止するように、前記台座部における前記小段の谷側に位置する端部から上向きに立ち上がる突出部とを一体に有する滑り防止部材を備え、前記台座部および前記突出部は、前記小段の長手方向に沿って連続に延び、前記台座部のうち前記突出部よりも前記小段の山側の部分は、雪を載せることが可能なように、前記小段の長手方向に沿って当該台座部の全長にわたって形成されている、ことを特徴とする。
かかる構成によれば、法面の途中に形成された小段上に積もった雪が当該小段の上面に対して滑るのを阻止するように、突出部が小段から立ち上がる状態で配置されているので、小段上に積もった雪が滑り始めるための抵抗荷重が増大し、小段に積もった雪と小段表面との間の摩擦抵抗を増大させることが可能である。それによって、小段の幅を広く取らなくても安全性を十分に確保して雪崩を確実に防止することができる。
また、小段の長手方向に沿って連続して延びる突出部によって、小段における雪の滑りを広い範囲で防ぐことができ、広範囲で雪崩をくい止めることができる。
さらに、小段の長手方向に沿って当該小段に設置される平板状の台座部では、突出部よりも山側の部分に台座部の全長にわたって小段上の雪が積もることによって、当該台座部が小段表面に押し付けられるので、台座部と小段表面との間の摩擦抵抗が増大し、台座部および突出部が谷側へずれたり、または突出部が転倒するなどの不具合を防止できる。
記突出部は、前記小段上に積もった雪が当該小段の上面に対して谷側に滑るのを阻止するように、当該小段の谷側端部から立ち上がる状態で配置されているのが好ましい。
かかる構成によれば、小段上に積もった雪が当該小段の上面に対して谷側に滑るのを阻止するように、突出部が小段の谷側端部から立ち上がる状態で配置されているので、小段の幅全体における小段に積もった雪と小段表面との間の摩擦抵抗を増大させることが可能である。それによって、小段の幅を広く取らなくても安全性を十分に確保して雪崩を確実に防止することができる。
しかも、本願発明では、突出部を小段の谷側端部に設けるだけで施工が完了するので、施工が非常に容易である。
以上説明したように、本発明の雪崩防止構造によれば、水平部に積もった雪と水平部表面との間の摩擦抵抗を増大させることが可能であり、それによって、水平部の幅を広く取らなくても安全性を十分に確保して雪崩を確実に防止することができる。
しかも、突出部を水平部に設けるだけで施工が完了するので、施工が非常に容易である。
本発明の雪崩防止構造の実施形態に係わる断面図である。 図1の滑り防止部材の拡大斜視図である。 本発明の雪崩防止構造の変形例に係わる断面図である。 本発明の雪崩防止構造の他の変形例に係わる断面図である。 本発明の雪崩防止構造のさらに他の変形例に係わる断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の係る雪崩防止構造について説明する。
図1に示される雪崩防止構造1は、法面S1の途中に形成された小段S2において雪崩の発生を防止する雪崩防止構造である。
図1に示されるように、法面S1に積もる雪A1の層は、地熱による融雪、圧密沈下、及び重力の影響などにより常時谷側に移動し(いわゆる、法面S1上の雪A1の層にクリープ現象が生じ)、当該雪A1の層の表面の等厚線31が変形して図1に示される積雪層表面32へ変化し、その結果、法面S1上の雪A1が小段S2上の雪A2を押す力(いわゆる、斜面雪圧)P0が発生する。このような要因により、平坦な小段S2の幅Lの区間が狭いと、小段S2上の雪A2が谷側へ押し出され、雪庇が発生して崩落したり、または法面S1および小段S2全体の積雪層が崩落して雪崩が発生するおそれがある。
そこで、本発明では、このようなメカニズムで生じる雪崩を小段S2の幅Lを広く取らなくても効果的に防止することができる雪崩防止構造1を提供するものである。
具体的には、図1に示される雪崩防止構造1は、小段S2上に積もった雪A2が当該小段S2の上面に対して谷側に滑るのを阻止するように、小段S2の谷側端部E1の長手方向(図1の紙面垂直方向)に沿って、突出部3を有する滑り防止部材2が設けられている。
滑り防止部材2は、本実施形態では、図1〜2に示されるような断面L字状をなすコンクリートまたは鋼材などからなり、突出部3と、台座部4とを一体に有している。
台座部4は、小段S2の谷側端部E1の長手方向に沿って設置される形状を有しており、本実施形態では、長尺の矩形形状の平板からなる。
また、台座部4には、その上面4aにおける長手方向に沿って等間隔に貫通孔4bが形成されている。貫通孔4bには、後述のアンカーボルトBのおねじ部B2が挿入される。
台座部4は、その上面4aが小段S2表面と同一表面になるように、台座部4の厚さ分だけ小段S2に埋めて設置するのが好ましい。
突出部3は、長尺の矩形形状の平板からなり、台座部4の谷側端部4cに沿って連続的に延び、当該谷側端部4cから上向きに立ち上がっている。
突出部3は、小段S2上に積もった雪A2が当該小段S2の上面に対して谷側(谷側端部E1へ向かう方向)に滑るのを阻止するように、小段S2の谷側端部E1から立ち上がる状態で配置される。
本実施形態の突出部3は、小段S2の長手方向に沿って連続して延びているので、小段S2における雪A2の滑りを広い範囲で防ぐことが可能である。
上記の滑り防止部材2は、台座部4と突出部3とをコンクリートなどで一体に形成することによって製造される。なお、滑り防止部材2の材質は、コンクリートに限定されるものではなく、法面S1の積雪荷重及びアンカーボルトBに締結されるナットNの締付力等の外力に耐え得るものであれば種々の材質が採用可能であり、例えば、鋼材、合成樹脂、または繊維強化樹脂(FRP)などが採用され得る。
図1に示されるように、滑り防止部材2は、その高さD1が50cm前後で、突出部3の上端幅D2が滑り防止部材2の材質に応じて適宜設定されるものとし、小段S2の表面と平行な台座部4の幅D3とともに、全体的にL字形状の断面構造を構成する。滑り防止部材2は、L型鋼やL型コンクリート等で製造され、景観やそれぞれの材質の強度を考慮してそれぞれのD1〜D3の寸法が設定される。また、滑り防止部材2は、法面S1を流れる雨水の排水のためにも用いることができ、このように法面S1における排水処理施設に兼用する場合には、そのことも考慮してD1〜D3の寸法を設定されるのが好ましい。
上記のように構成された滑り防止部材2を小段S2の地面Gに固定する場合、図1〜2に示されるように、まず、複数本のアンカーボルトBを、台座部4の貫通孔4bの間隔に合わせて、小段S2の谷側端部E1の長手方向(図1の紙面垂直方向)に沿って並べて地面Gに埋め込む。埋込み方法は、従来公知の方法として、まず、地面Gに縦孔を開け、ついで、アンカーボルトBのおねじ部B2を地表に突出させるようにアンカーボルトBの埋め込み部分B1をその縦孔に挿入し、その後、グラウトなど充填剤を縦孔に注入して固化させる。
ついで、滑り防止部材2の突出部3を小段S2の谷側端部E1の長手方向に合わせながら、アンカーボルトBの地表に突出したおねじ部B2を、滑り防止部材2の台座部4の貫通孔4bにそれぞれ挿入させながら、滑り防止部材2を地面Gに設置する。最後に、おねじ部B2にナットNを締め付けることにより、滑り防止部材2を地面Gに固定することができる。
このように、図1に示される雪崩防止構造1では、当該小段S2の谷側端部E1から立ち上がる突出部3を有する滑り防止部材2を設けることにより、小段S2上に積もった雪A2が当該小段S2の上面に対して谷側に滑ることを阻止することが可能になる。
(小段における摩擦係数の増大による雪崩対策についての説明)
図1に示されるような切土法面S1の途中に設けられた小段S2は、法面S1の安定の他に、法面S1の排水処理や管理用通路に活用されており、その小段S2の幅Lは、一般的に土木仕様などによって所定の幅(例えば、1.5m)に設定されている。このような状況の中で積雪地方においては、小段S2に積もった雪A2が締め固まって雪塊となり、小段S2上の雪A2の滑りを防止する効果が発生する。この効果を利用して、法面1の雪A1の斜面雪圧P0(その水平分力である水平雪圧P1)に対して、小段S2に積もった雪A2の摩擦抵抗によって発生する抵抗雪圧P2が抵抗することにより、谷側への押出しによる小段S2上の雪A2の崩落を防止し、法面S1における雪崩を防止することが可能である。
しかし、小段S2の幅Lが上記の所定の幅(例えば、1.5m)に制限されている場合、小段S2の抵抗雪圧P2よりも法面S1上の雪A1から受ける水平雪圧P1が上回るおそれがある。その場合、小段S2の雪A2を谷側に押し出して崩落し、雪崩発生の要因になる。そこで、本発明では、小段S2の幅を拡大できない場合でも、小段S上に積もった雪A2が滑り始めるための抵抗荷重を増大させ、小段S2に積もった雪A2と小段S2表面との間の摩擦抵抗を見かけ上増大させることによって、小段S2上の雪A2を滑りにくくして雪崩を防止する。
小段S2に積もった雪A2と小段S2表面との間の摩擦抵抗の増大する方法としては、
小段S2の表面に図1〜2に示される高さ50cm程度の突出部3を備えた滑り防止部材2を設置することにより、小段S2の抵抗雪圧P2の増大を図り、雪崩を防止している。ここで、通常の小段S2の表面における摩擦係数(μ2)は0.35程度、一方、突出部3を突出させた小段s2の表面における摩擦係数(μ3)は0.5程度に設定される。なお、上記の摩擦係数μ2およびμ3の数値は、小段では法面と比較して雨水や融雪水などが停滞しやすい点、およびそれによって小段上の積雪層の密度が大きくなる点などを考慮して、過去の調査などから発明者が推定した値である。
(現場条件を用いた雪崩防止条件の算定方法)
つぎに、具体的な事例として、現場条件を用いて雪崩防止条件を算定する。
まず、現場条件に関するパラメータを以下のように設定する。
・設計積雪深さH=2.00m、
・法面S1の傾斜角θ=40度、
・小段S2の幅L=1.50m、
・法面S1上の雪A1の密度ρ1=0.35、
・小段S2上の雪A2の密度ρ2=0.40、
・法面S1上の雪A1と法面S1表面との間の摩擦係数μ1=0.25、
・小段S2上の雪A2と小段S2表面との間の摩擦係数μ2=0.35、
・荷重圏L0=1.5・H
ここで、荷重圏とは、法面S1上の雪A1において水平分力P1が発生していると推定される領域をいう。
(1)斜面雪圧P0および水平雪圧P1の算出
法面S1に沿った方向の雪圧である斜面雪圧P0と、その斜面雪圧P0の水平成分である水平雪圧P1を、以下のように算出する。
・法面S1の積雪重量W1=H・(L0・cosθ)・ρ1=2.00×(1.5×2.00×cos40°)×0.35=1.608(トン/m)
・斜面雪圧P0=W1・(sinθ−μ1・cosθ)=1.608×(sin40°−0.25×cos40°)=0.725(トン/m)
・水平雪圧P1=P0・cosθ=0.725×cos40°=0.555(トン/m)
(2)小段S2の幅L=1.5mのときの抵抗雪圧P2の算出(なお、小段S2の傾斜角θ’=0°とする)
・小段S2の幅Lの積雪重量W2=H・L・ρ2=2.00×1.5×0.40=1.200(トン/m)
・抵抗雪圧P2=W2・(sinθ’−μ2・cosθ’)=1.200×(sin0°−0.35×cos0°)=0.420(トン/m)
(3)小段上の雪の安定性の確認
上記の項目(1)、(2)で求めた水平雪圧P1と抵抗雪圧P2を比較すれば、
(水平雪圧P1=0.555(トン/m))>(抵抗雪圧P2=0.420(トン/m))のように、水平雪圧P1の方が抵抗雪圧P2よりも大きくなっている。
この場合、1.5mの幅の小段S2上の雪A2は、水平雪圧P1―抵抗雪圧P2の差圧により、谷側へ押し出されるおそれがあり、雪崩発生の要因となる。
(4)小段S2上の摩擦抵抗の増大による雪崩対策
図1に示される本実施形態の滑り防止部材2を小段S2に設置することによって、小段S2上の雪A2と小段S2表面との間の摩擦抵抗を増大させる。その場合、設置前の摩擦係数μ2=0.35は、設置後の摩擦係数μ3=0.5まで向上する。その結果、
設置後の抵抗雪圧P2’=W2・(sinθ’−μ3・cosθ’)=1.200×(sin0°−0.50×cos0°)=0.600(トン/m)
まで向上する。
(5)安定性の再確認
上記の項目(4)で求めた滑り防止部材2設置後の抵抗雪圧P2’を用いて、水平雪圧P1と設置後の抵抗雪圧P2’を比較すれば、
(水平雪圧P1=0.555(トン/m))<(設置後の抵抗雪圧P2’=0.600(トン/m))のように、滑り防止部材2を設置後の抵抗雪圧P2’の方が水平雪圧P1よりも大きくなっている。
この場合、小段S2の幅L=1.5mであっても、小段S2の雪A2が谷側へ押し出されるおそれがなくなり、雪崩を確実に防止できる。
なお、本実施形態の滑り防止部材2は、突出部3の高さD1を適宜設定することにより、小段S2上の雪A2の滑りを防止する機能だけでなく、法面S1の排水や土砂流出のための排水用ブロックとしての機能も発揮することが可能である。
なお、基本的な斜面雪圧Pの算出方法、P=W(sinθ−μ・cosθ)は、クーロンの摩擦法則を基本としており、「昭和37年8月・鉄道技術研究報告No.322(著者名:国鉄鉄道技術研究所)」などで紹介されているが、滑り防止部材2を小段S2に設置して摩擦抵抗を増大させることによって雪崩対策を達成する手法は、本発明者が独自に考案した手法である。
以上のように本実施形態に係わる雪崩防止構造1は、小段S2上に積もった雪A2が当該小段S2の上面に対して谷側に滑るのを阻止するように、当該小段S2の谷側端部E1から立ち上がる突出部3が設けられている。この構成では、小段S2上に積もった雪A2が当該小段S2の上面に対して谷側に滑るのを阻止するように、突出部3が小段S2の谷側端部E1から立ち上がる状態で配置されているので、小段S2の幅全体における小段S2に積もった雪A2と小段S2表面との間の摩擦抵抗を増大させることが可能である。それによって、小段S2の幅を広く取らなくても安全性を十分に確保して雪崩を確実に防止することができる。なお、突出部3の高さD1は、雪質にもよるが、積雪深さHの0.2〜0.3倍程度が望ましい。
しかも、本願発明では、突出部3を有する滑り防止部材2を小段S2の谷側端部E1に設置するだけで施工が完了するので、施工が非常に容易である。
また、本実施形態では、突出部3が小段S2の長手方向に沿って連続して延びているので、小段S2における雪A2の滑りを広い範囲で防ぐことができ、広範囲で雪崩をくい止めることができる。
さらに本実施形態に係わる雪崩防止構造1は、小段S2の表面に固定された台座部4と、突出部3とを一体に有する滑り防止部材2を備え、台座部4は、小段S2の長手方向に沿って当該小段S2の谷側端部E1に設置される形状を有し、突出部3は、台座部4の谷側端部E1から上向きに立ち上がっている。そのため、小段S2の長手方向に沿って当該小段S2の谷側端部E1に設置される台座部4の上に小段S2上の雪A2が積もることによって、当該台座部4が小段S2表面に押し付けられるので、台座部4と小段S2表面との間の摩擦抵抗P2が増大し、これにより、台座部4および突出部3が谷側へずれたり、または突出部3が転倒するなどの不具合を防止できる。
(変形例)
(A)
上記実施形態では、図1〜2に示されるように、滑り防止部材2をアンカーボルトBによって小段S2に固定しているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の雪崩防止構造の変形例として、図3に示されるように、滑り防止部材12がその自重を利用してアンカーボルトを用いることなく小段S2に設置された構造を採用してもよい。
図3に示される雪崩防止構造11では、滑り防止部材12は、断面L字状をなすコンクリートからなり、突出部13と台座部14とを一体形成することにより製造されている。
台座部14は、長尺の矩形形状の大型の平板からなり、小段S2の幅(通常、1.5m程度)の全体を覆う大きさを有している。台座部14は、小段S2に若干埋めて設置されている。
突出部13は、長尺の矩形形状の平板からなり、台座部14の谷側端部14aに沿って連続的に延び、当該谷側端部4aから上向きに立ち上がっている。
突出部13は、小段S2上に積もった雪が当該小段S2の上面に対して谷側に滑るのを阻止するように、小段S2の谷側端部E1から立ち上がる状態で配置される。これにより、小段S2の幅全体における小段S2に積もった雪と小段S2表面との間の摩擦抵抗を増大させる。
このようなコンクリート製の大型の滑り防止部材12は、アンカーボルトを用いることなく小段S2に設置したとき、その滑り防止部材12の自重によって滑り防止部材12と小段S2との間に大きな摩擦抵抗が生じる。そのため、法面S1上の雪によって生じる谷側へ向かう水平雪圧を受けても、滑り防止部材12が谷側へずれるおそれが低い。さらに、台座部14の上に雪が積もった状態では、その雪の重みによって、滑り防止部材12と小段S2との間の摩擦抵抗はさらに大きくなる。また、図3に示される例では、台座部14が小段S2に埋め込まれているので、滑り防止部材12が谷側へずれるおそれがさらに低くなる。
したがって、図3に示される雪崩防止構造11においても、滑り防止部材12によって、小段S2の幅全体における小段S2に積もった雪A2と小段S2表面との間の摩擦抵抗を増大させて、小段S2よりも上の法面S1に積もる雪A1を小段S2上の雪A2で安定して受けることが可能である。
(B)
また、上記実施形態では、図1〜2に示されるように、滑り防止部材2が台座部4を有しているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の雪崩防止構造の他の変形例として、図4に示されるように、台座部4を有しない滑り防止部材22を採用してもよい。
図4に示される雪崩防止構造21では、滑り防止部材22は、複数本の支柱23と、梁材24と、基礎材25とを備えている。支柱23は、小段S2の谷側端部E1に沿ってそれぞれ立設されている。梁材24は、支柱23の上端部の間を横断して設けられている。梁材24は、小段の谷側端部E1に沿って延びている。また、基礎材25は、小段S2の谷側端部E1に沿って延びる梁材であり、小段S2に若干埋め込まれて設けられている。基礎材25は、支柱23の間を互いに連結している。
このすべり防止部材22では、支柱23および梁材24によって本発明の突出部を構成している。この突出部は、小段S2の谷側端部E1に沿って連続的に延び、当該谷側端部E1から上向きに立ち上がっている。これにより、小段S2の幅全体における小段S2に積もった雪と小段S2表面との間の摩擦抵抗を増大させる。
このような図4に示される雪崩防止構造21においても、滑り防止部材22によって、小段S2の幅全体における小段S2に積もった雪と小段S2表面との間の摩擦抵抗を増大させて、小段S2よりも上の法面S1に積もる雪を小段S2上の雪で安定して受けることが可能である。
(C)
また、上記実施形態では、法面S1の途中に形成された小段S2に突出部を設けた例をあげて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、法面S1の少なくとも一部の下側の水平部において雪崩の発生を防止する雪崩防止構造であって、前記水平部上に積もった雪が当該水平部の上面に対して滑るのを阻止するように、当該水平部から立ち上がる突出部が設けられているものであればよく、小段S2以外の他の水平部として、例えば、法面S1の最下端から延びる平面に突出部を設けてもよい。具体例として、以下、図5に示される雪崩防止構造31について説明する。
図5に示されるように、雪の多い地域などでは、道路Rの車道幅Wを示すために、道路標識柱Qが道路Rの車道部分R0の側端に沿って設置されているが、道路脇の法面S1に堆積する雪A3が多い場合(とくに、ロータリー車によって道路脇に雪を堆積させた場合など)には、道路Rの路側部分R1に堆積する雪A4によって受けきれずに雪A3およびA4が道路側に滑り出して、道路標識柱Qが倒されるおそれがある。そこで、図5に示される雪崩防止構造41では、法面S1の最下端から延びる道路Rにおいて、道路標識柱Qよりも山側の路側部分R1に沿って、路側部分R1に堆積する雪A4の滑りを防止する滑り防止部材42が設置されている。これにより、道路Rの路側部分R1の狭い場所に堆積する雪A4によっても、道路脇の法面S1に堆積する雪A3による水平分力を受けることが可能になり、道路標識柱Qが雪崩によって倒れることを防止している。
図5に示される滑り防止部材42は、図4に示される滑り防止部材22と同じ構成を有しており、複数本の支柱33と、梁材34と、基礎材35とを備えている。支柱33は、
道路標識柱Qよりも山側の位置、具体的には、路側部分R1における車道側端部に沿ってそれぞれ立設されている。梁材34は、支柱33の上端部の間を横断して設けられている。梁材34は、路側部分R1の車道側端部に沿って延びている。また、基礎材35は、路側部分R1に沿って延びる梁材であり、路側部分R1に若干埋め込まれて設けられている。基礎材35は、支柱33の間を互いに連結している。このすべり防止部材42では、支柱33および梁材34によって本発明の突出部を構成している。この突出部は、路側部分R1の車道側端部に沿って連続的に延び、路側部分R1の車道側端部から上向きに立ち上がっている。これにより、路側部分R1の幅全体における路側部分R1に積もった雪A4と路側部分R1表面との間の摩擦抵抗を増大させる。
このような図5に示される雪崩防止構造41においても、滑り防止部材42によって、路側部分R1の幅全体における路側部分R1に積もった雪A4と側部分R1表面との間の摩擦抵抗を増大させて、路側部分R1よりも上の法面S1に積もる雪A3を路側部分R1上の雪A4で受け止めることが可能である。これにより、路側部分R1の幅が狭くても、道路Rの路側部分R1の狭い場所に堆積する雪A4によって、道路脇の法面S1に堆積する雪A3を受けることが可能になり、道路標識柱Qが堆積する雪A3およびA4の滑りによって倒れることを防止することができる。
また、図5に示される雪崩防止構造41では、道路Rよりも上側に位置する小段S2において、上記の図3に示される滑り防止部材12が設置されているので、滑り防止部材12によって、小段S2の幅全体における小段S2に積もった雪と小段S2表面との間の摩擦抵抗を増大させて、小段S2よりも上の法面S1に積もる雪A1を小段S2上の雪A2で安定して受けることが可能である。
1、11、21、41、 雪崩防止構造
2、12、22、42 滑り防止部材
3、12 突出部
4、14 台座部
S1 法面
S2 小段
A1、A3 法面上の雪
A2 小段上の雪
A4 路側部分の雪
P0 法面上の雪が小段上の雪を押す力
P1 水平分力
P2 摩擦抵抗

Claims (2)

  1. 法面の途中に形成された小段において雪崩の発生を防止する雪崩防止構造であって、
    前記小段の幅方向において幅を有する平板状であり、当該小段の表面に固定された台座部と、前記小段上に積もった雪が当該小段の上面に対して滑るのを阻止するように、前記台座部における前記小段の谷側に位置する端部から上向きに立ち上がる突出部とを一体に有する滑り防止部材を備え、
    前記台座部および前記突出部は、前記小段の長手方向に沿って連続に延び、
    前記台座部のうち前記突出部よりも前記小段の山側の部分は、雪を載せることが可能なように、前記小段の長手方向に沿って当該台座部の全長にわたって形成されている、
    ことを特徴とする雪崩防止構造。
  2. 記突出部は、前記小段上に積もった雪が当該小段の上面に対して谷側に滑るのを阻止するように、当該小段の谷側端部から立ち上がる状態で配置されている
    請求項1に記載の雪崩防止構造。
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