JP5770604B2 - テトラカルボン酸二無水物 - Google Patents

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本発明は、テトラカルボン酸二無水物に関し、例えば、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、半導体パッケージ基板、フレキシブルプリント基板用保護絶縁膜の製造に有用なポリイミド前駆体の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物に関する。
近年、フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」ともいう。)と呼ばれるフィルム状のプリント基板が活況を得ている。このフレキシブルプリント基板は、配線加工されたFCCL(Flexible Copper Clad Laminate)上にポリイミドフィルムなどから構成されるカバーレイを具備した構造を有しており、主に携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラなどの機器に用いられている。FPCは折り曲げても機能を維持することから、機器の小型化、軽量化に向けて無くてはならない材料となっている。特に近年、携帯電話に代表される電子機器の高機能化、軽量化に伴い、FPCも薄膜化や部品実装などの高機能化が進められている。
このようなフレキシブルプリント基板用保護絶縁膜の材料においては、柔軟性、難燃性、現像性(アルカリ溶解性及び解像性)、高解像性、絶縁信頼性、半田耐熱性といった特性が求められている。柔軟性、絶縁信頼性などの要求特性を満たすため、カーボネート骨格を含む材料が用いられている。カーボネート骨格を含む材料としては、ポリカーボネートジオール由来のポリカーボネート基をウレタン結合やウレア結合を介してポリマー主鎖に導入した変性ポリイミドなどが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。また、ポリカーボネートジオール由来のポリカーボネート基を、ウレタン結合やウレア結合を介してポリマー主鎖に導入した変性ポリイミド樹脂(例えば、特許文献2参照)や、アルカリ溶解性を向上させるために側鎖にカルボキシル基を導入した変性ポリイミド樹脂(例えば、特許文献3参照)なども提案されている。
特開2009−51949号公報 特開2008−120954号公報 特開2009−69664号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたポリイミド樹脂は、工業プロセスが煩雑であり、十分な解像度を得ることが難しい。また、仮にカルボキシル基を有するポリイミド前駆体構造として用いたとしてもアルカリ溶解性が低く、かつウレタン結合に由来する現像残渣が発生しやすくなるので、感光性材料としては適さない。また、特許文献2に記載された変性ポリイミド樹脂においても、ウレタン結合に由来する現像残渣が発生しやすくなるので、感光性材料として十分な性能が得られない問題がある。さらに、特許文献3に記載れた変性ポリイミド樹脂においても、特許文献2に記載された変性ポリイミド樹脂と同様に、ウレタン結合に由来する現像残渣が発生しやすくなると共に、焼成後においても側鎖に導入されたカルボキシル基が残存するため、絶縁信頼性が十分に得られない問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、柔軟性及び絶縁信頼性に優れ、アルカリ溶解性を有するポリイミド前駆体を合成できるテトラカルボン酸二無水物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定構造を有する新規テトラカルボン酸二無水物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示すものである。
本発明テトラカルボン酸二無水物は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
Figure 0005770604
(式(1)中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜炭素数18のアルキレン基を示し、nは1以上の整数である。)
本発明によれば、柔軟性及び絶縁信頼性に優れ、アルカリ溶解性を有するポリイミド前駆体を合成できるテトラカルボン酸二無水物を提供できる。
本実施の形態に係るテトラカルボン酸二無水物の核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。 本実施の形態に係るテトラカルボン酸二無水物の赤外吸収(IR)スペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係るテトラカルボン酸二無水物は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
Figure 0005770604
(式(1)中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜炭素数18のアルキレン基を表し、nは1以上の整数である。)
このテトラカルボン酸二無水物においては、ポリカーボネート骨格を有することから、ジアミンと反応させることにより、ポリイミド前駆体の主鎖にポリカーボネート骨格を導入できる。これにより、ポリイミド前駆体の分子鎖に適度な柔軟性が付与されるので、このポリイミド前駆体を含む樹脂組成物においては、硬化時の反りを低減することができる。ここで、一般的にポリイミド前駆体中に柔軟性を付与する構造(例えば、アルキルエーテルジアミンなど)を導入すると絶縁信頼性が低下するが、ポリカーボネート骨格は相対的に疎水性が高い。このため、このテトラカルボン酸二無水物を用いて得られたポリイミド前駆体及びポリイミドにおいては、高い柔軟性を維持しながら、高い絶縁信頼性を達成することができる。
上記一般式(1)において、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜炭素数18のアルキレン基であり、好ましくは炭素数4〜炭素数10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数4〜6のアルキレン基である。Rとしては、具体的には、−(CH−(m=3〜10)、−(CH)C(CH)−、−(CH)C(CH)(CH)−、−(CHC(CH)(CHなどが挙げられるが、この中でも好ましくは、−(CH−(m=4〜6)、−(CH)C(CH)(CH)−、−(CHC(CH)(CHであり、特に好ましくは−(CH−(m=5,6)である。
また、上記一般式(1)において、nは1以上の整数であり、好ましくは1以上30以下であり、より好ましくは2以上25以下であり、特に好ましくは5以上10以下である。得られるポリイミド樹脂の柔軟性の点から、nは2以上が好ましく、アルカリ溶解性の点から25以下が好ましい。
次に、本発明に係るテトラカルボン酸二無水物の製造方法について説明する。上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、下記一般式(2)で表されるポリカーボネートジオール化合物を出発原料とし、このポリカーボネートジオール化合物とトリメリット酸クロリドとをアルカリ触媒存在下でエステル化反応を行うことにより得られる。反応条件、精製及び脱水環化の条件については、公知のテトラカルボン酸二無水物の製造方法の条件を適用することが可能である。
Figure 0005770604
(式(2)中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜炭素数18のアルキレン基を表し、nは1以上の整数である。)
ここで、上記一般式(2)において、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜炭素数18のアルキレン基であるが、好ましくは炭素数4〜炭素数10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数4〜炭素数6のアルキレン基である。具体的には、−(CH−(m=3〜10)、−(CH)C(CH)−、−(CH)C(CH)(CH)−、−(CHC(CH)(CHなどが挙げられるが、この中でも好ましくは、−(CH−(m=4〜6)、−(CH)C(CH)(CH)−、−(CHC(CH)(CHであり、特に好ましくは−(CH−(m=5,6)である。
なお、上記一般式(2)のポリカーボネートジオールに関しては、市販のものを使用することができる。市販のポリカーボネートジオールとしては、例えば、旭化成ケミカルズ社製の商品名デュラノール T−4671(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CH−、n=約7、数平均分子量1000)、T−4672(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CH−、n=約14、数平均分子量1000)、T−4691(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CH−、n=約7、数平均分子量1000)、T−4692(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CH−、n=約14、数平均分子量2000)、T−5650J(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CH−、n=約5、数平均分子量800)、T−5651(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CH−、n=約7、数平均分子量1000)、T−5652(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CH−、n=約14、数平均分子量2000)、T−6001(一般式(2)中のR=−(CH−、n=約6、数平均分子量1000)、T−6002(一般式(2)中のR=−(CH−、n=約13、数平均分子量2000)、ダイセル化学工業社製の商品名プラクセルCD CD−205(数平均分子量500)、CD−205PL(数平均分子量500)、CD−205HL(数平均分子量500)、CD−210(数平均分子量1000)、CD−210PL(数平均分子量1000)、CD−210HL(数平均分子量1000)、CD−220(数平均分子量2000)、CD−220PL(数平均分子量2000)、CD−220HL(数平均分子量2000)、クラレ社製の商品名クラレポリオールC−590(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CHC(CH)(CH−、n=約3、数平均分子量500)、C−1050(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CHC(CH)(CH−、n=約6、数平均分子量1000)、C−1090(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CHC(CH)(CH−、n=約6、数平均分子量1000)、C−2050(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CHC(CH)(CH−、n=約13、数平均分子量2000)、C−2090(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CHC(CH)(CH−、n=約13、数平均分子量2000)、C−3090(一般式(2)中のR=−(CH−及び、−(CHC(CH)(CH−、n=約20、数平均分子量3000)などが挙げられる。
また、ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、ポリスチレン換算で好ましくは、500〜5000、より好ましくは500超え〜3000未満の範囲内であることが好ましい。これにより、得られるポリイミド前駆体のアルカリ溶解性、柔軟性を向上させることができる点で好ましい。得られるポリイミド樹脂の柔軟性の点から500以上が好ましく、アルカリ溶解性の点から3000以下が好ましい。
<ポリイミド前駆体>
本発明に係るテトラカルボン酸二無水物は、ジアミンと反応させることにより上記一般式(1)で表される構造に由来する構成単位を有するポリイミド前駆体を合成できる。このポリイミド前駆体においては、ポリカーボネート骨格を有することから、ポリイミド前駆体の分子鎖に適度な柔軟性が付与されるので、このポリイミド前駆体を含む樹脂組成物においては、硬化時の反りを低減することができる。また、ポリカーボネート骨格は、アルキルエーテルジアミンなどの柔軟性を発現する一般的な構造に対して相対的に疎水性が高いため、高い柔軟性を維持しながら高い絶縁信頼性を達成することができる。
ここで、ポリイミド前駆体を合成する際には、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物とその他のテトラカルボン酸二無水物とを併用して反応させたものを用いてもよい。上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と併用されるテトラカルボン酸二無水物としては、公知のテトラカルボン酸二無水物を単独で又は複数用いることができる。具体的には、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下、「ODPA」とも略称する)、ペンタンジオールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、デカンジオールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下「10BTA」とも略称する)などが例示される。
ジアミンとしては、公知のジアミンを単独で又は複数用いることができる。具体的には1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APBとも略称する)、などが例示される。
ポリイミド前駆体の製造方法の製造方法としては、酸二無水物とジアミンとを用いた公知の各種ポリイミド前駆体の製造方法の条件を適用することができる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<試薬>
実施例及び比較例において、用いた試薬は以下のとおりである。
ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、デュラノールT5650J(一般式(2)中のR=−(CH−及び−(CH−、n=約5、数平均分子量800)、T5650E(一般式(2)中のR=−(CH−及び−(CH−、n=約3、数平均分子量500)T5651(一般式(2)中のR=−(CH−及び−(CH−、n=約7、数平均分子量1000)、T5652(一般式(2)中のR=−(CH−及び−(CH−、n=約14、数平均分子量2000)、クラレ社製ポリオール(クラレポリオール、C−2090(一般式(2)中のR=−(CH−及び−(CHC(CH)(CH−、n=約13、数平均分子量2000、C−3090(一般式(2)中のR=−(CH−及び−(CHC(CH)(CH−、n=約20、数平均分子量3000)、無水トリメリット酸クロリド(アルドリッチ社製)、ODPA(商標名:ODPA−M(マナック社製))、10BTA(黒金化成社製)、APB(商標名:APB−N(三菱化学社製))、ピリジン(和光純薬工業社製)、テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製)、γ―ブチロラクトン(和光純薬工業社製)、炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製)。なお、以上の試薬は全て特別な精製を実施せずに用いた。
<ポリイミド前駆体の合成>
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコにポリカーボネート骨格を有する酸二無水物とODPA−Mを入れ、γ−ブチロラクトンを加えて攪拌した。窒素気流下、室温で攪拌しながらAPB−Nを加え、40℃のオイルバスで5時間加熱攪拌し、ポリイミド前駆体溶液を得た。
<重量平均分子量測定>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件により測定した。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
また、重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
<ポリイミド前駆体塗膜品の製造方法>
ポリイミド前駆体のコートは、FILMCOATER(TESTER SANGYO社製、PI1210)を用いるドクターブレード法により実施した。銅張積層板、ポリイミドフィルム(商品名:カプトン(登録商標))又はPETフィルムにポリイミド前駆体溶液を滴下し、クリアランス150μmでコートを行った。ポリイミド前駆体溶液をコートした上記銅張積層板を、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)を用いて95℃で12分間乾燥することにより、ポリイミド前駆体塗膜品を得た。
<アルカリ溶解性評価>
現像性評価は、以下のようにして実施した。上記ポリイミド前駆体塗膜品に30℃の1質量%炭酸ナトリウムのアルカリ水溶液で180秒間のスプレー処理を行い、イオン交換水によるリンス及び乾燥後にスプレー処理前後の膜厚差を測定した。スプレー処理前後の膜厚差が20μm以上のものを◎とし、10〜20μmのものを○とし、2〜10μmのものを△とし、2μm以下のものを×とした。
<柔軟性評価(焼成後の反り測定)>
ポリイミドフィルム(商品名:カプトン(登録商標))にポリイミド前駆体溶液を上記塗膜条件にて塗布したフィルムを、180℃で2時間の焼成処理を実施した。該フィルムを5cm角に切り出し、端部の浮き高さが10mm以内のものを◎とし、15mm以内のものを○とし、それ以上に浮き高さがあるものを×とした。
<絶縁信頼性評価(HAST試験)>
絶縁信頼性評価は、以下のように実施した。ラインアンドスペースが20μm/20μmのくし型基板上に、ポリイミド前駆体溶液を上記塗膜条件で塗布した後、180℃で2時間焼成を行った。この塗膜品にマイグレーションテスタのケーブルを半田付けし、下記条件にて絶縁信頼性試験を行った。
絶縁劣化評価システム:SIR−12(楠本化成社製)
HASTチャンバー:EHS−211M(エスペック社製)
温度:110℃
湿度:85%
印加電圧:20V
印加時間:500時間
絶縁抵抗値:1.0×10Ω未満を×とし、1.0×10Ω以上〜1.0×10Ω未満を△とし、1.0×10Ω以上〜1.0×10Ω未満を○とし、1.0×10Ω以上を◎とした。
<耐熱性評価>
ポリイミド前駆体溶液を表面処理したPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、N152Q)に上記条件で塗布した後、180℃で2時間焼成を行った。焼成によって得られた膜を剥離し、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、TG/DTA6200)を用いて、260℃で10分間保持したときの熱重量減少を測定した。重量減少が5%未満の場合を○とし、5%以上の場合を×とした。
<テトラカルボン酸二無水物の合成>
[実施例1]
反応容器を窒素ガスで置換、通気しながら、無水トリメリット酸クロリド53.0g(0.25mol)及びテトラヒドロフラン150.0gを仕込み、攪拌溶解後に氷水浴にて10℃まで冷却した。温度を維持したまま、ポリカーボネートジオール(デュラノール:T5650J)80.0g(0.1mol)及びピリジン15.8g(0.2mol)をテトラヒドロフラン200gに溶解した溶液を3時間かけて滴下した。この温度を保ってさらに5時間反応を継続した。反応中に析出したピリジン塩酸塩は、反応終了後に濾過し、得られた濾液をロータリーエバポレーターにより濃縮した後、トルエン(和光純薬工業社製)で希釈した。0.3%水酸化ナトリウム水溶液で水洗後、静置分液した。分液後のトルエン層をロータリーエバポレーターにより濃縮し、106.0gの酸二無水物(1)を得た。酸二無水物(1)を以下TCA−D800と略称する。
得られたTCA−D800の1H−NMRデータを以下に示す。また、図1にTCA−D800の1H−NMRスペクトルを示し、図2にIRスペクトルを示す。
1H−NMR測定条件
測定装置(日本電子社製、JEOL RESONANCE ECS400)
溶媒(重水素化DMSO:0.03%TMS含有)
試料濃度(5wt/vol%)
測定温度:室温
1H−NMR(DMSO−d6);1.311(brs,16H),1.447(brs,4H),1.601(brs,16H),1.766(brs,4H),4.042(brs,22H),4.363(brs,4H),8.211(d,2H),8.408(s,2H),8.480(d,2H)
[実施例2]
デュラノール:T5650Jの代わりにデュラノール:T5651 100.0g(0.1mol)を用い、実施例1に準じて酸二無水物(2)を得た。酸二無水物(2)を以下TCA−D1000と略称する。
[実施例3]
デュラノール:T5650Jの代わりにデュラノール:T5652 200.0g(0.1mol)を用い、実施例1に準じて酸二無水物(3)を得た。酸二無水物(3)を以下TCA−D2000と略称する。
[実施例4]
デュラノール:T5650Jの代わりにデュラノール:T5650E 50.0g(0.1mol)を用い、実施例1に準じて酸二無水物(4)を得た。酸二無水物(4)を以下TCA−D500と略称する。
[実施例5]
デュラノール:T5650Jの代わりにクラレポリオール:C−2090 200.0g(0.1mol)を用い、実施例1に準じて酸二無水物(5)を得た。酸二無水物(5)を以下TCA−C2000と略称する。
[実施例6]
デュラノール:T5650Jの代わりにクラレポリオール:C−3090 300.0g(0.1mol)を用い、実施例1に準じて酸二無水物(6)を得た。酸二無水物(6)を以下TCA−C3000と略称する。実施例1から実施例6で使用したポリカーボネートジオールを下記表1に示す。
Figure 0005770604
<ポリイミド前駆体の合成>
[実施例7]
TCA−D800、ODPA−M、APB−Nを用いて上述した公知のポリイミド前駆体の製造方法に従ってポリイミド前駆体(1)を合成した。得られたポリイミド前駆体(1)の重量平均分子量を下記表2に示す。更にポリイミド前駆体(1)の溶液を上述の塗布条件にて、銅張積層板上、くし型基板上、及びポリイミドフィルム上に塗布し、得られた塗膜品のアルカリ溶解性、焼成後の反り及び絶縁信頼性について評価した。評価結果を下記表2に示す。実施例7において、アルカリ溶解性は◎であり、柔軟性は◎であり、絶縁信頼性は◎であり、耐熱性は○であった。
[実施例8]
TCA−D1000、ODPA−M、APB−Nを用いて上述した公知のポリイミド前駆体の製造方法に従ってポリイミド前駆体(2)を合成した。得られたポリイミド前駆体(2)の重量平均分子量を下記表2に示す。更にポリイミド前駆体(2)の溶液を上述の塗布条件にて、銅張積層板上、くし型基板上、及びポリイミドフィルム上に塗布し、得られた塗膜品のアルカリ溶解性、焼成後の反り及び絶縁信頼性について評価した。評価結果を下記表2に示す。実施例8において、アルカリ溶解性は◎であり、柔軟性は◎であり、絶縁信頼性は◎であり、耐熱性は○であった。
[実施例9]
TCA−D2000、ODPA−M、APB−Nを用いて上述した公知のポリイミド前駆体の製造方法に従ってポリイミド前駆体(3)を合成した。得られたポリイミド前駆体(3)の重量平均分子量を下記表2に示す。ポリイミド前駆体(3)の溶液を上述の塗布条件にて、銅張積層板上、くし型基板上、及びポリイミドフィルム上に塗布し、得られた塗膜品のアルカリ溶解性、焼成後の反り及び絶縁信頼性について評価した。評価結果を下記表2に示す。実施例9において、アルカリ溶解性は◎であり、柔軟性は◎であり、絶縁信頼性は◎であり、耐熱性は○であった。
[実施例10]
TCA−D500、ODPA−M、APB−Nを用いて上述した公知のポリイミド前駆体の製造方法に従ってポリイミド前駆体(4)を合成した。得られたポリイミド前駆体(4)の重量平均分子量を下記表2に示す。ポリイミド前駆体(4)の溶液を上述の塗布条件にて、銅張積層板上、くし型基板上、及びポリイミドフィルム上に塗布し、得られた塗膜品のアルカリ溶解性、焼成後の反り及び絶縁信頼性について評価した。評価結果を下記表2に示す。実施例10において、アルカリ溶解性は◎でり、柔軟性は○であり、絶縁信頼性は◎であり、耐熱性は○であった。
[比較例1]
比較の為、ポリカーボネートジオール骨格の代わりに、柔軟性を有するメチレン鎖を含む10BTAを用いて、上述した公知のポリイミド前駆体の製造方法に従ってポリイミド前駆体(5)を合成した。得られたポリイミド前駆体(5)の重量平均分子量を下記表2に示す。ポリイミド前駆体(5)の溶液を上述の塗布条件にて、銅張積層板上、くし型基板上、及びポリイミドフィルム上に塗布した。得られた塗膜品のアルカリ溶解性、焼成後の反り及び絶縁信頼性について評価した。評価結果を下記表2に示す。比較例1において、アルカリ溶解性は×であり、柔軟性は×であり、絶縁信頼性は×であり、耐熱性は○であった。
Figure 0005770604
表2に示す結果から、本発明に係るテトラカルボン酸二無水物を用いたポリイミド前駆体(1)〜(4)においては、アルカリ溶解性が良好で、フィルムの焼成後の反りが少なく柔軟性が良好であり、しかも、優れた絶縁信頼性及び耐熱性を有することが分かる。(実施例7〜実施例10参照)。
これに対して、ポリカーボネート骨格を含まずにメチレン鎖を含むポリイミド前駆体(5)を用いた比較例1においては、アルカリ溶解性、柔軟性及び絶縁信頼性が×であった。この結果は、ポリカーボネート骨格を有していないポリイミド前駆体(5)を用いたことから、分子鎖に柔軟性が付与されず、また、疎水性が非常に高いメチレン基を有することから、アルカリ溶解性が低下したためと考えられる
本発明は、柔軟性及び絶縁信頼性に優れ、アルカリ溶解性を有するポリイミド前駆体を合成できるテトラカルボン酸二無水物を提供できるという効果を有し、特に、半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、及び再配線用絶縁膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、並びに液晶配向膜などに用いられるポリイミド前駆体の製造に好適に利用できる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とするテトラカルボン酸二無水物。
    Figure 0005770604
    (式(1)中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜炭素数18のアルキレン基を示し、nは1以上の整数である。)
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