JP5767916B2 - 電気絶縁性樹脂組成物および金属基板 - Google Patents
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Description
しかしながら、セラミック基板は、生産における歩留まりが悪く、コストが高いだけでなく、生産量も限られてしまうという問題がある。金属基板においては絶縁層に樹脂を用いるため、この絶縁樹脂にも高い熱伝導性および高い耐熱性が求められてきているが、十分な熱伝導性及び耐熱性と接着性を併せ持つ絶縁樹脂が未だ存在しないのが実情である。
特許文献3には、ポリシロキサン構造を有する物質と無機粒子を金属基材に被覆してなる配線板の製造方法が開示されている。ポリシロキサン構造を有する物質を使用することにより、耐熱性や電気絶縁性が向上しているが、耐熱性がなお不十分である。
1.エポキシ樹脂(A)、ポリカルボジイミド樹脂(B)、硬化剤(C)、無機フィラー(D)、及びオルガノポリシロキサン(E)を含有することを特徴とする電気絶縁性樹脂組成物、
2.(A)成分100質量部に対して、(B)成分が1〜50質量部、(D)成分が100〜1100質量部、(E)成分が1〜60質量部であり、且つ(C)成分が(A)成分に対し0.5〜1.3当量である、上記1に記載の電気絶縁性樹脂組成物、
3.金属板と、金属板の表面上に設けられた上記1に記載の電気絶縁性樹脂組成物から得られた電気絶縁樹脂層と、電気絶縁樹脂層の表面上に設けられた金属箔層とを備えることを特徴とする金属基板、
4.LED用金属基板である上記3に記載の金属基板、
を提供するものである。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
エポキシ樹脂(A)は、本発明の樹脂組成物中、成形性確保のためのベースの樹脂成分であり、ポリカルボジイミド樹脂(B)と共存することで、絶縁樹脂層に高い接着性と電気絶縁性を与える。
本発明に使用するエポキシ樹脂(A)は、一分子中にエポキシ基が複数個ある公知のものを使用することができる。
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独使用または2種以上を併用してもよい。
特に好ましいエポキシ樹脂(A)として、室温で液状である水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびこれらの混合物を挙げることができる。
また、基板用樹脂として使用する場合、エポキシ樹脂中の含塩素量はできるだけ少ないものが好ましい。
ポリカルボジイミド樹脂(B)は、接着性と耐熱性に優れた樹脂であり、エポキシ樹脂(A)、オルガノポリシロキサン(E)と併用することにより、絶縁樹脂層に、より優れた耐熱性、接着性を与えることができる。
ポリカルボジイミド樹脂は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するものであり、下記一般式(1)で表わされる。
(−R−N=C=N−R−)n (1)
式(1)中、Rは炭素原子を1個以上有する基であり、重合度nは好ましくは3〜20、より好ましくは4〜10の範囲である。
ポリカルボジイミド樹脂の重合度nが3未満の低分子量であると、樹脂組成物の接着性が乏しくなるおそれがあり、逆に重合度nが20を越える高分子量であると、流動性が低くなり、均一な樹脂組成物を得られにくいおそれがある。
有機ジイソシアネートとしては、接着性の観点からは、脂肪族ジイソシアネートを使用することが好ましく、テトラメチルキシリレンジイソシアネートが特に好ましい。
本発明に使用するポリカルボジイミド樹脂は、上記有機ジイソシアネートを溶媒または無溶媒中で、リン系またはチタン系触媒の存在下、加熱攪拌することにより得られる。こうして得られたポリカルボジイミド樹脂の形態は、原料として使用するイソシアネートの種類により異なり、主に粉体状、塊状、液状または水飴状、および溶媒に溶解させたワニス状である。本発明においては、どの形態のポリカルボジイミド樹脂を使用してもよいが、作業性や混合性等の観点から室温で液状または水飴状であるポリカルボジイミド樹脂の使用が好ましい。
1〜50質量部であり、好ましくは2〜30質量部、さらに好ましくは
3〜10質量部である。1質量部未満では、ポリカルボジイミド樹脂の効果が十分に発現されにくい場合があり、逆に50質量部を超えると硬化した樹脂組成物が着色を帯びる傾向があり、LED光の反射に悪影響を及ぼすことがある。
本発明で使用する硬化剤(C)とは、エポキシ樹脂の硬化剤のことを指し、その種類としては公知のものを使用することができる。例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、シアネート系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などである。
具体的には、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミドなどのアミン系化合物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物系化合物、1分子中に2個以上のシアネート基を有するシアネート樹脂、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノールアラルキル樹脂等のビスアラルキルを結節基として水酸基含有芳香族構造が連結された構造を含有するヒドロキシ芳香族化合物、フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核およびアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物等を始めとする多価フェノール化合物、およびこれらの変性物、BF3−アミン錯体、並びにグアニジン誘導体などが挙げられる。またこれらの硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、硬化剤(C)の使用量は、エポキシ樹脂に対し0.5〜1.3当量、好ましくは0.6〜1.1当量である。
本発明で使用する無機フィラー(D)は、絶縁性、放熱性のための成分であり、また、本発明の樹脂組成物の特性をさらに引き出すために配合される。例えば、熱伝導性を向上させるためには、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、酸化亜鉛、炭化タングステン、アルミナ、酸化マグネシウムを配合し、白色度や光反射率を向上させるためには、酸化チタン、ガラスビーズを配合する。誘電率を上げるためには、チタン酸バリウムを配合し、樹脂組成物の粘度調整のために二酸化珪素を配合する。これらは単独使用または2種以上を併用してもよい。
LED基板用絶縁樹脂用途としては、窒化アルミニウムまたは酸化チタンの使用が好ましい。窒化アルミニウムの配合により本発明の樹脂組成物の熱伝導率は向上し、さらに酸化チタンの配合により本発明の樹脂組成物の白色度は向上して、LED光を効率よく反射することができる。
なお、無機フィラーは樹脂組成物中への分散性を向上させるため、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等の各種表面処理剤で表面処理してもよい。
本発明における無機フィラー(D)の好ましい配合量(複数の無機フィラーを使用の場合はそれらの総量)は、エポキシ樹脂100質量部に対して、100〜1100質量部であり、好ましくは300〜1050質量部、さらに好ましくは500〜1000質量部である。1100質量部を超えると、得られた樹脂組成物の成形性が劣ると共に、接着強度も低下する。
オルガノポリシロキサン(E)は、ポリカルボジイミド樹脂と併用することで非常に高い耐熱性と電気絶縁性を与え、また、それ自体が低い透湿・吸水性である。
オルガノポリシロキサンは、アルコキシシランを加水分解縮合反応させることで得られる。
アルコキシシランは一般的には次式で示される。
(R’O)n SiR4-n
R:CH3、C2H5、C3H7、C4H9、C6H5
R’:CH3、C2H5、C3H7、C4H9
n: 1〜4
これらアルコキシシランのうち、nが3または4であるアルコキシシランは、加水分解縮合速度が速く、容易に入手できるため好ましい。特に、加水分解縮合速度が速く、生成したR’OHを系外に容易に除去できる点で、R’がメチル基またはエチル基であるものが好ましい。
例えば、アルコキシ基が3つあるトリメトキシメチルシランは加水分解してシラノール基を生じ、ついで縮合を繰り返すことにより網目構造を有するオリゴマー、ポリマーへと変化する。この時、アルコキシシランのn数の違うものを併用することにより、鎖状に近いものから網目構造までポリシロキサンの構造を変化させることができる。
本発明におけるオルガノポリシロキサンの具体的な製造方法は、例えば次のようである。
テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)を20質量部と、メチルトリメトキシシラン(CH3Si(OCH3)3)を80質量部とをエチルアルコール100質量部に混合し、塩酸を触媒として反応させ、酸性の溶液を得る。次に、その酸性溶液をジエチルアミン(CH3CH2NHCH2CH3)によって中和し、中和溶液を得る。そして、中和溶液をジエチレングリコールブチルエーテルで溶剤置換し、樹脂不揮発分濃度60%、粘度400cpの樹脂溶液を得る。
本発明において、オルガノポリシロキサンの樹脂溶液は、本発明の樹脂組成物中に配合されて、金属板の表面上に塗布され、その上に金属箔を配して加熱圧着される。その加熱処理の際に、オルガノポリシロキサンは脱水、脱アルコール等で縮合して硬化する。
このオルガノポリシロキサンを硬化した物質は高い耐熱性を有する。
1〜60質量部であり、好ましくは5〜20質量部である。1質量部未満では、オルガノポリシロキサンの添加効果が十分に発現されず、逆に20質量部を超えると樹脂組成物の接着性が低下することがある。
本発明では、物性を損なわない範囲において、適宜上記以外のものを配合することができる。たとえばエポキシ樹脂と相溶する熱硬化または熱可塑性樹脂や、イミダゾールなどのエポキシ樹脂の硬化促進剤、シランカップリング剤などの分散剤等を配合してもよい。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、公知の方法を採ることができる。本発明の樹脂組成物を得るための混合の方式として、超音波分散混合方式、高圧衝突式混合方式、高速回転混合方式、ビーズミル方式、高速せん断混合方式、および自転公転式混合方式などの混合方式を採用することができ、具体的には、3本ロールミル、2軸ミキサー、回転式混合機、ニーダ−、ポットミル、プラネタリーミキサー等を挙げることができる。また、反応が進行しない程度の範囲において、加温しながら混合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性と接着性に優れていることから、基板の絶縁層として使用に適しており、特に金属基板の絶縁樹脂層として好ましい。金属板に本発明の樹脂組成物を薄く塗布した後、該樹脂組成物の上に金属箔を配して加熱圧着する、又は金属箔の表面に本発明の樹脂組成物を薄く塗布した後、必要に応じこれをBステージ化し、金属板と貼り合せ加熱硬化する等の方法を採用することができるが、これらの製造方法に限定されるものではない。
金属板は公知のものが使用できるが、軽量であることや熱放散性がよいことから、アルミニウムが好ましい。また、金属箔についても公知のものを使用できるが、特に銅箔が好ましい。さらに金属板および/又は金属箔は、表面に微小孔を有していても良く、この方法を採用することによって、微小孔のアンカー効果が発揮され、金属板/箔と硬化した配合物との密着性が良好になると共に、金属板/箔の表面積が増加して、放熱性がより良好になる。
硬化温度は、100〜230℃が好ましく、さらに好ましくは130〜200℃である。また、段階的に昇温して硬化反応を進めてもよい。硬化時間は5分〜5時間であり、好ましくは10分〜1時間であるが、生産性の観点から短時間で硬化反応を終了させることが望ましい。
本発明における金属基板の樹脂層の厚さは、5〜200μmが好ましく、10〜150μmがさらに好ましい。5μm未満では接着力が低下して剥離の原因になり、逆に200μmを超えると基板自体の熱伝導性低下の原因になる。
なお、金属板の厚さは0.1〜5mmであり、金属箔の厚さは5〜500μmである。
エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製 jER828(エポキシ当量=185)
ポリカルボジイミド樹脂:日清紡ケミカル社製 カルボジライトV−05
硬化剤1:ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン社製 Dicy7)
硬化剤2:クレゾールノボラック樹脂(DIC社製 フェノライトKA−1160)
無機フィラー
酸化チタン:石原産業社製 CR−EL(平均粒径=0.25μm)
窒化アルミニウム:古河電子社製 FAN―f05(平均粒径=3〜10μm)
シリカ粒子:信越化学工業社製 XMP−594(平均粒径=5μm)
ポリシロキサン構造化合物:フューチャープロダクト社製
硬化促進剤:イミダゾール(四国化成工業社製 2E4MZ−CNS)
シランカップリング剤:信越化学社製 KBE403
表1に示す組成物をロールミルおよび自転公転式混合機を用いて作製した。この樹脂組成物を70℃で30分熱処理後、160℃、30分間プレス成形し、厚さ約200μmのシート状試験サンプルを作製した。
ピール強度用およびハンダ耐熱用の試験サンプルに関しては、厚さ0.2mmの銅板に実施例および比較例の樹脂組成物を塗布し、ここへ厚さ75μmの片面粗化処理された銅箔を、粗化面が樹脂と接着するようセットした後、160℃で30分プレス成形して試験サンプル(ピール強度用:5cm×5cm、ハンダ耐熱用:3cm×3cm)を作製した。
(1)体積抵抗率および表面抵抗
上記にて作製したシート状試験サンプルの体積抵抗率および表面抵抗を、ヒューレットパッカード社製絶縁抵抗測定器4339Bを用い、印加電圧100V、印加時間60秒で測定した。
(2)誘電率および誘電正接
上記にて作製したシート状試験サンプルの誘電率および誘電正接を、アジレントテクノロジー社製インピーダンスアナライザー4291Bを用いて測定した。
(3)熱伝導率
上記にて作製したシート状試験サンプルの熱伝導率を、京都電子工業社製熱伝導率測定器QTM−500を用いて測定した。
(4)耐電圧(絶縁破壊電圧)
上記にて作製したシート状試験サンプルの耐電圧を、菊水電子工業社製耐電圧測定器TOS−9201を用いて測定した。
(5)ハンダ耐熱性
上記にて作製したハンダ耐熱用試験サンプルを、288℃のハンダ浴に30秒浸漬し、剥れ・膨れの有無を目視観察した。
(評価基準)
A:剥れ・膨れなし
B:剥れ・膨れが一部にあり
C:剥れ・膨れが全面にあり
(6)ピール強度
上記にて作製したピール強度用試験サンプルについて、JIS C6481に準拠してピール強度の測定を行った(n=5)。
Claims (3)
- 金属板と、金属板の表面上に設けられた電気絶縁性樹脂組成物から得られた電気絶縁樹脂層と、電気絶縁樹脂層の表面上に設けられた金属箔層とを備えた金属基板であって、前記電気絶縁性樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、ポリカルボジイミド樹脂(B)、硬化剤(C)、無機フィラー(D)、オルガノポリシロキサン(E)を含有するものである金属基板。
- 前記電気絶縁性樹脂組成物が、(A)成分100質量部に対して、(B)成分が1〜50質量部、(D)成分が100〜1100質量部、(E)成分が1〜60質量部であり、且つ(C)成分が(A)成分に対し0.5〜1.3当量である請求項1に記載の金属基板。
- LED用プリント配線基板である請求項1又は2に記載の金属基板。
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