JP5767056B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
エステル交換率(%)=100×(共反応物由来のピークより算出した積分比)/(共反応物由来のピークより算出した積分比+ポリカーボネート樹脂由来のピークより算出した積分比)
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネート樹脂(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
(1)該ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート樹脂。
(2)該ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート樹脂。
(3)該ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート樹脂。
これらの特殊なポリカーボネート樹脂の製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート樹脂、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート樹脂。
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
粘度平均分子量が1×104未満のポリカーボネート樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×104を超えるポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明に用いられるB成分の液晶ポリエステル樹脂とは、サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂であり、溶融状態でポリマー分子鎖が一定方向に配列する性質を有している。かかる配列状態の形態はネマチック型、スメチック型、コレステリック型、およびディスコチック型のいずれの形態であってもよく、また2種以上の形態を呈するものであってもよい。更に液晶ポリエステル樹脂の構造としては主鎖型、側鎖型、および剛直主鎖屈曲側鎖型などのいずれの構造であってもよいが、好ましいのは主鎖型液晶ポリエステル樹脂である。
1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物から合成される液晶ポリエステル樹脂、
2)主としてa)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、並びにc)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、から合成される液晶ポリエステル樹脂、
3)主としてa)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、並びにc)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、から合成される液晶ポリエステルアミド樹脂、
4)主としてa)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、並びにd) 芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、から合成される液晶ポリエステルアミド樹脂
が挙げられるが、1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上から合成される液晶ポリエステル樹脂が好ましい。
更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用しても良い。
本発明のリン系化合物としては、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、ホスフィナイト化合物、ホスフィン化合物、ホスフェート化合物、ホスホネート化合物、ホスフィネート化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスファゼン化合物などが挙げられ、その中でもホスファイト化合物が好ましい。
本発明のD成分として使用される難燃剤はハロゲン元素を含まないホスファゼン化合物を除く難燃剤である。かかる化合物の配合は難燃性の向上をもたらすが、それ以外にも各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。かかる難燃剤としては、(i)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、有機ホウ酸金属塩系難燃剤、および有機錫酸金属塩系難燃剤など)、(ii)ハロゲン元素を含まないホスファゼン化合物を除く有機リン系難燃剤(例えば、有機基含有のモノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤、が挙げられる。
有機金属塩化合物は炭素原子数1〜50、好ましくは1〜40の有機酸のアルカリ(土類)金属塩、好ましくは有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることが好ましい。この有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩には、炭素原子数1〜10、好ましくは2〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩の如きフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに炭素原子数7〜50、好ましくは7〜40の芳香族スルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩が含まれる。
有機リン系難燃剤としては、アリールホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は概して色相に優れるためである。またホスフェート化合物は可塑化効果があるため、成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できるが、より好適には特に下記一般式(5)で表される1種または2種以上のホスフェート化合物を挙げることができる。
本発明のシリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、燃焼時の化学反応によって難燃性を向上させるものである。該化合物としては従来芳香族ポリカーボート樹脂の難燃剤として提案された各種の化合物を使用することができる。シリコーン化合物はその燃焼時にそれ自体が結合してまたは樹脂に由来する成分と結合してストラクチャーを形成することにより、または該ストラクチャー形成時の還元反応により、ポリカーボネート樹脂に難燃効果を付与するものと考えられている。したがってかかる反応における活性の高い基を含んでいることが好ましく、より具体的にはアルコキシ基およびハイドロジェン(即ちSi−H基)から選択された少なくとも1種の基を所定量含んでいることが好ましい。かかる基(アルコキシ基、Si−H基)の含有割合としては、0.1〜1.2mol/100gの範囲が好ましく、0.12〜1mol/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6mol/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シリコーン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。尚、アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。
またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、その係数の付いたシロキサン単位は、結合する水素原子や有機残基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。
Si−H基を有するシリコーン化合物としては、下記一般式(7)および(8)で示される構成単位の少なくとも一種以上を含むシリコーン化合物が好適に例示される。
ハロゲン元素を含まないホスファゼン化合物(以下「ハロゲンフリーホスファゼン化合物」という)は、特許公報、文献等に記載の公知化合物である。具体的には、例えば、James E.Mark,Harry R.Allcock、Robert West著、"Inorganic Polymers" Prentice-Hall International,Inc.,1992,p.61〜p.140に記載されているハロゲンフリーホスファゼン化合物等を挙げることができる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲で通常ポリカーボネート樹脂に配合される各種の強化材、添加剤を配合することができる。
かかる添加剤としては、C成分以外のリン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、紫外線吸収剤、洗顔料、熱安定剤、帯電防止剤などが挙げられる。
本発明の強化材は、板状強化材、繊維状強化材、および粒状強化材から選択される少なくとも1種の強化材を指し、そのなかでも板状強化材が好ましい。
板状強化材としてはタルク、マイカ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、炭素フレーク、金属フレーク、金属コートガラスフレーク、グラファイト等が挙げられる。板状強化材は強化材自体の異方性が少なく、高度な寸法安定性が求められる精密部材に適している。かかる板状強化材の平均粒径は0.1〜300μmの範囲が好ましく、特に0.1〜200μmの範囲が好ましい。かかる平均粒径は、レーザー回折・散乱法で測定される平均粒径(D50(粒子径分布のメジアン径))をいう。かかる測定は、例えば(株)堀場製作所製レーザー回析・散乱方式粒子径分布測定装置を利用できる。板状強化材の平均粒径が300μmを越えると、ゲート部やホットランナーのノズル部に詰まりを生ずる場合があり、高度に自動化された近年の成形現場において、生産効率の低下を招く。特に近年は成形サイクルの向上や成形品の外観向上のためゲート径やノズル径を小径化する傾向にあり、詰まりの問題を、更に高いレベルで解決することが重要となっている。板状強化材の平均粒径が0.1μmを下回ると、板状強化材の剛性や寸法安定性の改良効果が小さくなる。
粒状強化材としては、ガラスビーズ、ガラスバルーン、カーボンビーズ、セラミック粒子、セラミックバルーン、アラミド粒子、シリカ、が挙げられる。
本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法に特に制限はなく、周知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は200〜360℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは250〜340℃である。
液晶ポリエステルと芳香族ポリカーボネートをあらかじめ溶融混練して混合物を得て、ついでこれとリン系化合物を溶融混練して芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得ることもできる。
なお、実施例中の各種特性の測定は、以下の方法によった。
《エステル交換率》
下記の方法により得られたペレットをメチレンクロライドに溶解させ、得られた溶液をろ紙(保留粒子径;7μm)を用いてろ過することにより得られたろ過物を120℃で6時間乾燥させた。該ろ過物を重クロロホルムに溶解させ、磁気共鳴装置を用いて1H−NMRを測定し、ポリカーボネート樹脂と液晶ポリエステル樹脂との共反応物由来の7.8〜8.1ppmのピークと、ポリカーボネート樹脂由来の7.1〜7.3ppmのピークから算出した積分比から、下記式にてエステル交換率を算出した。
エステル交換率(%)=100×(共反応物由来のピークより算出した積分比)/(共反応物由来のピークより算出した積分比+ポリカーボネート樹脂由来のピークより算出した積分比)
下記の方法により得られたペレットを80℃で6時間熱風乾燥機により乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)SG−150U)を用いてシリンダー温度300℃、金型温度80℃で曲げ試験片(肉厚1.6mm)を作成し、ISO178に準じて曲げ弾性率・曲げ強さを測定した。
下記の方法により得られたペレットを120℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[東芝機械(株)IS150EN−5Y]によりシリンダー温度290℃、金型温度80℃で難燃性評価用の試験片を成形した。UL規格94の垂直燃焼試験を、厚み3.0mm、2.0mm、1.6mm、1.2mmで行いその等級を評価した。なお、判定がV−0、V−1、V−2のいずれの基準も満たすことが出来なかった場合「notV」と示すこととする。
ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造されたポリカーボネート樹脂パウダー、液晶ポリエステル樹脂、およびリン系化合物を表1記載の各配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー))を用いて溶融混練しペレット(E−1〜E−4)を得た。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。得られたペレットのエステル交換率を表1に示す。
(A成分)
ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX(商品名))
(B成分)
ベクトラ A−950RX(商品名)(ポリプラスチックス(株)製 液晶ポリエステル樹脂)
(C成分)
アデカスタブ PEP−8(商品名)(旭電化工業(株)製 ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)
ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造されたポリカーボネート樹脂パウダー、液晶ポリエステル樹脂、リン系化合物、難燃剤および上記方法で得られたペレットを表2および表3記載の各配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー))を用いて溶融混練しペレットを得た。使用するリン系化合物は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。
得られたペレットを80℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表2および表3に示した。
ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX(商品名))
ベクトラ A−950RX(商品名)(ポリプラスチックス(株)製 液晶ポリエステル樹脂)
C−1;アデカスタブ PEP−8(商品名)(旭電化工業(株)製 ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)
C−2;TMP(商品名)(大八化学工業(株)製 トリメチルホスフェート)
D−1−1;メガファックF−114P(商品名)(大日本インキ化学(株)製 パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩)
D−1−2;メガファックF−114S(商品名)(大日本インキ化学(株)製 パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム塩)
D−1−3;ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(商品名)(ユーシービージャパン製KSS)
D−2;パラトルエンスルホン酸ナトリウム(商品名)(和光純薬工業株式会社製 パラトルエンスルホン酸ナトリウム)
(D−3−1の製造)
攪拌機、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコに水301.9gとトルエン150gを仕込み、内温5℃まで冷却した。滴下ロートにトリメチルクロロシラン21.7g、メチルジクロロシラン23.0g、ジメチルジクロロシラン12.9およびジフェニルジクロロシラン76.0の混合物を仕込み、フラスコ内へ攪拌しながら2時間かけて滴下した。この間、内温を20℃以下に維持するよう、冷却を続けた。滴下終了後、さらに内温20℃で攪拌を4時間続けて熟成した後、静置して分離した塩酸水層を除去し、10%炭酸ナトリウム水溶液を添加して5分間攪拌後、静置して分離した水層を除去した。その後、さらにイオン交換水で3回洗浄し、トルエン層が中性になったことを確認した。このトルエン溶液を減圧下内温120℃まで加熱してトルエンと低沸点物を除去した後、濾過により不溶物を取り除いてシリコーン化合物B−2−1を得た。このシリコーン化合物B−2−1はSi−H基量が0.21mol/100g、芳香族基量が49重量%、平均重合度が8.0であった。
(D−3−2の製造)
撹拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコに1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン100.7g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン60.1g、オクタメチルシクロテトラシロキサン129.8g、オクタフェニルシクロテトラシロキサン143.8gおよびフェニルトリメトキシシラン99.1gを仕込み、さらに撹拌しながら濃硫酸25.0gを添加した。内温10℃まで冷却した後、水13.8gをフラスコ内へ撹拌しながら30分間かけて滴下した。この間、内温を20℃以下に維持するよう、冷却を続けた。滴下終了後、さらに内温10〜20℃で撹拌を5時間続けて熟成した後、水8.5gとトルエン300gを添加して30分間撹拌後、静置して分離した水層を除去した。その後、さらに5%硫酸ナトリウム水溶液で4回洗浄し、トルエン層が中性になったことを確認した。このトルエン溶液を減圧下内温120℃まで加熱してトルエンと低沸分を除去した後、濾過により不溶物を取り除いてシリコーン化合物B−2−2を得た。このシリコーン化合物B−2−2はSi−H基量が0.50mol/100g、芳香族基量が30重量%、平均重合度が10.95のシリコーン化合物であった。
(D−3−3の製造)
撹拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコにヘキサメチルジシロキサン16.2g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン61.0g、オクタメチルシクロテトラシロキサン103.8g、およびジフェニルジメトキシシラン391.0gを仕込み、さらに撹拌しながら濃硫酸25.0gを添加した。内温10℃まで冷却した後、水29.4gをフラスコ内へ撹拌しながら30分間かけて滴下した。この間、内温を20℃以下に維持するよう、冷却を続けた。滴下終了後、さらに内温10〜20℃で撹拌を5時間続けて熟成した後、水8.5gとトルエン300gを添加して30分間撹拌後、静置して分離した水層を除去した。その後、さらに5%硫酸ナトリウム水溶液で4回洗浄し、トルエン層が中性になったことを確認した。このトルエン溶液を減圧下内温120℃まで加熱してトルエンと低沸分を除去した後、濾過により不溶物を取り除いてシリコーン化合物B−2−3を得た。このシリコーン化合物B−2−3は、Si−H基量が0.20mol/100g、芳香族基量が50重量%、平均重合度が42.0のシリコーン化合物であった。
(D−3−4の製造)
撹拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコにヘキサメチルジシロキサン15.9g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン147.3g、オクタメチルシクロテトラシロキサン14.5gおよびジフェニルジメトキシシラン395.1gを仕込み、さらに撹拌しながら濃硫酸25.0gを添加した。内温10℃まで冷却した後、水29.7gをフラスコ内へ撹拌しながら30分間かけて滴下した。この間、内温を20℃以下に維持するよう、冷却を続けた。滴下終了後、さらに内温10〜20℃で撹拌を5時間続けて熟成した後、水8.5gとトルエン300gを添加して30分間撹拌後、静置して分離した水層を除去した。その後、さらに5%硫酸ナトリウム水溶液で4回洗浄し、トルエン層が中性になったことを確認した。このトルエン溶液を減圧下内温120℃まで加熱してトルエンと低沸分を除去した後、濾過により不溶物を取り除いてシリコーン化合物B−2−4を得た。このシリコーン化合物B−2−4はSi−H基量が0.49mol/100g、芳香族基量が50重量%、平均重合度が45.5であった。
D−3−1: M2DH 2D1Dφ2 3
D−3−2: MH 3DH 2D3.5Dφ2 1.45Tφ 1
D−3−3: M2DH 10D14Dφ2 16
D−3−4: M2DH 25D2Dφ2 16.5
なお、上記示性式における各記号は以下のシロキサン単位を表し、各記号の係数(下付文字)は1分子中における各シロキサン単位の数(重合度)を示す。
M :(CH3)3SiO1/2
MH : H(CH3)2SiO1/2
D :(CH3)2SiO
DH : H(CH3)SiO
Dφ2 :(C6H5)2SiO
Tφ :(C6H5)SiO3/2
D−4−1;PX−200(商品名)(大八化学工業(株)製 レゾルノール[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]を主成分とするリン酸エステル)
D−4−2;CR−741(商品名)(大八化学工業(株)製 ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル)
D−5;SP−100(商品名)(大塚化学(株)製 ハロゲンフリーホスファゼン化合物)
ポリカーボネート樹脂パウダー、液晶ポリエステル樹脂、およびリン系化合物を表3記載の各配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:L/D100(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー))を用いて溶融混練しペレットを得た。使用するリン系化合物は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。表3記載のように、それぞれの原料を第一フィーダーおよび、第二フィーダーを用い押出機に供給した。第二フィーダーの位置は、全L/D長を10とした時、L/D長が6に相当する部分に設置した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。
得られたペレットを80℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表4に示した。
なお、表4中記号表記の各成分の内容は表1、表2および表3と同じである。
Claims (8)
- (A)ポリカーボネート樹脂(A成分)、(B)液晶ポリエステル樹脂(B成分)、(C)下記一般式(1)で表されるペンタエリスリトールジホスファイト系化合物(C成分)、および(D)ハロゲン元素を含まないホスファゼン化合物を除く難燃剤(D成分)からなる樹脂組成物であり、かつ得られた樹脂組成物中のA成分とB成分の一部がエステル交換をしており、そのエステル交換率が0.01〜0.15%であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- D成分が、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、および芳香族系イミドのアルカリ(土類)金属塩からなる群より選択される1種以上の有機アルカリ(土類)金属塩、分子中にSi−H基を含有するシリコーン化合物、並びにハロゲン元素を含まないホスファゼン化合物を除く有機リン系難燃剤からなる群より選択される1種以上の難燃剤であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- A成分およびB成分の合計100重量部中、B成分が5〜50重量部であり、かつA成分およびB成分の合計100重量部に対して、C成分の含有量が0.001〜2重量部であり、D成分の含有量が0.01〜30重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- (E)ポリカーボネート樹脂(A成分)および液晶ポリエステル樹脂(B成分)を予め溶融混錬させて調製した、A成分とB成分の重量比(A成分/B成分)が1/99〜99/1であるA成分とB成分との混合物(E成分)を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- A成分、B成分およびE成分の合計100重量部中、A成分が0〜90重量部、B成分が1〜45重量部(ただし、E成分中のA成分、B成分は除く)、E成分が5〜85重量部であり、かつA成分、B成分およびE成分の合計100重量部に対して、C成分の含有量が0.001〜2重量部であり、D成分の含有量が0.01〜30重量部であることを特徴とする請求項4に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- B成分が少なくとも、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を原料として重合された液晶ポリエステル樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる射出成形品。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる押出成形品。
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