JP5766167B2 - 現像装置及びこれを搭載した画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、キャリア及びトナーを有する2成分現像剤を用いた現像装置及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
この種の現像装置では、静電潜像が形成された像担持体、例えば感光体ドラムの表面にトナー画像を現像し、このトナー画像を用紙に転写及び定着させる。
ここで、この現像装置には、いわゆるハイブリッド現像による方式がある。詳しくは、当該方式は、2成分現像方式と1成分現像方式とを組み合わせたものであり、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させ、現像ローラ上にトナー薄層を形成し、そのトナー薄層からトナーをドラムに供給し、その表面にトナー画像を現像している。
より具体的には、当該現像装置は、ドラムに対峙する現像ローラと、このローラに対峙する磁気ブラシローラとを備え、このブラシローラでは、キャリア及びトナーによる磁気ブラシを形成する。そして、現像ローラにはトナーのみの薄層が形成され、現像後には現像ローラのトナー層が掻き取られる。
また、この現像ローラは、その表面にアルマイトのコーティング層を有する構成が知られているが、この被覆の他の例としては、ウレタン樹脂等のコーティング層を表面に有した現像ローラの技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−249414号公報
ところで、上記の如く、現像ローラからドラムへのトナーの供給と、磁気ブラシによる現像ローラのトナー層の掻き取りとを単に繰り返した場合には、画像乱れが生ずるとの問題がある。
詳しくは、2成分現像剤を用いた現像装置においては、ドラムへのトナーの供給(トナーの現像性)とトナー層の掻き取り(トナーの引き剥がし性)との調整が難しく、現像装置の小型化や高速化を達成するにあたり、仮に、トナーの現像性をトナーの引き剥がし性よりも優先すると、現像ローラの表面にトナーが残留し易くなり、現像ローラのトナー層の厚みが減って画像濃度の不良が生じてしまうし、次回の現像時に現像ゴーストが生じ得るからである。
また、特に、現像ローラ表面のトナー層のうち、その粒径が例えば約2.0×10−6m以下のトナーは現像ローラの表面にトナーが残留し易い。小粒径のトナーのうち、帯電量の大きな残留トナーは現像ローラとの鏡像力が強く作用し、電気的な付着力が強く作用するため、現像バイアスによる電界がこの付着力に打ち勝たなければ、当該小粒径のトナーはドラムに供給されないからである。
このように、小粒径のトナーによる現像ローラへの付着を解消する措置が必要になるが、上記従来の技術では当該措置については格別な配慮がなされていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、現像ローラの表面にトナーが残留し難くなるとともに、装置の小型化や高速化が実現可能な現像装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するための第1の発明は、キャリアを用いてトナーを帯電させ、該トナーを像担持体に供給してトナー画像を現像させる現像装置であって、トナー及びキャリアを含み、トナー及びキャリアが相互に摩擦接触することにより、トナーが第1の極性に帯電されるとともに、キャリアが第1の極性とは異なる第2の極性に帯電される現像剤と、像担持体に対峙した開口を有するハウジングと、該ハウジング内に配設されており、キャリア及びトナーによる磁気ブラシを形成する磁気ローラと、樹脂のコーティング層を表面に有しており、開口にて磁気ブラシから移送されたトナーの薄層を形成する現像ローラと、磁気ローラと現像ローラとの間に第1の電界を形成して、磁気ローラから現像ローラにトナーを移送させる第1の電界形成手段と、現像ローラと像担持体との間に第2の電界を形成して、現像ローラから像担持体の静電潜像にトナーを移送させて静電潜像を現像する第2の電界形成手段とを具備し、第1の電界には、少なくとも交流電界が含まれており、コーティング層は、キャリアとの摩擦接触によりトナーに帯電された第1の極性と同極性に帯電されるとともに、体積抵抗値が1×10Ωcm〜1×10Ωcmであることを特徴とするものである。
第1の発明によれば、キャリア及びトナーからなる2成分現像剤が用いられており、磁気ローラでは、この現像剤による磁気ブラシが形成され、このブラシは現像ローラにトナーの薄層を形成させる。そして、このトナーが像担持体に供給されることにより、トナー画像が現像される。一方、このブラシは、現像後には現像ローラのトナー層を掻き取って回収する。
ここで、上述の如く現像装置の小型化や高速化を図るにあたり、仮に、像担持体へのトナーの供給(トナーの現像性)をトナー層の掻き取り(トナーの引き剥がし性)よりも優先すると、現像ローラの表面にトナーが残留し易くなり、画像乱れが生じてしまう。
しかしながら、本発明の現像装置では、現像ローラの表面には樹脂のコーティング層が形成されており、トナーに対する離形性が良好になるため、現像ローラとトナーとの電気的な付着力が小さくなる。
また、コーティング層を樹脂で形成すると、このコーティング層が帯電され、トナーの現像性やトナーの引き剥がし性が低下するとの懸念もある。しかし、このコーティング層の体積抵抗値の範囲が1×10Ωcm〜1×10Ωcmとされている。これにより、現像ローラのトナーが像担持体に飛翔し易くなって、トナーの現像性が向上するし、また、当該トナーを現像ローラから引き剥し易くなるので、トナーの引き剥がし性も向上する。
さらに、この表面の算術表面粗さの範囲が0.4×10−6m〜1.5×10−6mであることが好ましい。これにより現像ローラとトナーとの適切な付着力が得られ、従来に比して画像濃度の不良や現像ゴーストの如くの画像乱れが回避可能になる。
また、現像バイアスのうち、その交流成分のデューティ比の範囲が40%〜60%に設定されていることが好ましい。この現像バイアスによる電界の現像時間が増え、トナーの現像性がさらに向上可能になる。
そして、小粒径トナーの現像性及び引き剥がし性の双方を満たしつつ、現像装置の小型化や高速化も達成可能になる。
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、キャリアの重量平均粒径Dcと、トナーの体積平均粒径Dtとしたとき、4<Dc/Dt<10を満たすことを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、上述の如く、現像バイアスの交流成分のデューティ比の範囲が40%〜60%に設定し、キャリアの重量平均粒径Dcと、トナーの体積平均粒径Dtとの比Dc/Dtが4〜10となるキャリア及びトナーを用いることで、磁気ブラシを密に形成することができ、より均一なトナー薄層を形成することができる。なお、デューティ比が40%とは、現像ローラに印加される交流成分である1周期の矩形波のうち、現像ローラから像担持体側に向かう成分の印加される時間が1周期の時間に対して40%であることを表しており、磁気ローラの場合は磁気ローラから現像ローラ側に向かう成分の割合を表している。
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、トナーの体積平均粒径が4.0×10−6m〜6.7×10−6mであって、個数分布におけるCV値が22%以下を満たすことを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、上述のように、現像バイアスの交流成分のデューティ比の範囲が40%〜60%に設定されるので、トナーの体積平均粒径の範囲が4.0×10−6m〜6.7×10−6mとなるトナーを用いることが可能になる。この結果、さらなる高画質化に寄与する。
また、この体積平均粒径に対するCV値が22%以下となるトナーも使用できる結果、粒子径の分布の広がりが大きくならず、現像装置におけるトナーの帯電量の分布も均一になり、カブリ等を生じない高品質の画像が得られる。
第5の発明は、第1から第4の発明の構成において、キャリアの重量平均粒径が25×10−6m〜45×10−6mであることを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、上述の如く、現像バイアスの交流成分のデューティ比の範囲が40%〜60%に設定されることから、キャリアの重量平均粒径の範囲が25×10−6m〜45×10−6mとなるキャリアを用いることができ、この結果、磁気ブラシが密に形成されるためトナーの薄層を密に形成できて高品質の画像が得られるし、トナーの引き剥がし性も向上する。
第6の発明は、第1から第5の発明の構成において、像担持体の周速は、180mm/sec以上に設定されていることを特徴とする。
第6の発明によれば、第1から第5の発明の作用に加えてさらに、像担持体の周速が180mm/sec以上に設定され、画像形成プロセススピードが速い場合には、現像時間や未現像トナーの回収時間が短くなるが、本発明は、このような高速化にも特に好適に対応できる。
第7の発明は、第1から第6の発明の現像装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第7の発明によれば、第1から第6の発明の作用に加えてさらに、上記現像性や引き剥がし性の両立化が達成され、安定した画像品質を長期に亘って維持できるので、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
本発明によれば、現像ローラの表面にトナーが残留し難くなり、しかも、装置の小型化や高速化を実現させる現像装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
本実施例の画像形成装置の概略構成図である。 図1の現像装置の断面図である。 図1の現像装置による電源構成図である。 図3の電源構成図による合成電位差の説明図である。 図1の現像装置(実施例1)と比較例1とによる現像効率の説明図である。 図1の現像装置と比較例とによる実験結果を示した図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施例であるタンデム方式のカラープリンタの概略構成図であり、同図の右方向がプリンタ1の正面に対応し、左方向が背面に対応している。
同図に示されるように、この装置本体2の下部には用紙のカセット3が配置されており、カセット3には画像形成前の用紙Pが積層状態で収容され、この用紙Pはローラ21を介して1枚ずつ分離され、カセット3から左方向に向けて送出される。
カセット3から送出された用紙Pは本体2の左側面に沿って上方に向けて搬送される。この本体2の内部には、用紙搬送方向でみて下流側にフィードローラ22、レジストローラ24、画像形成部4及び転写部71が順番に配置されている。この画像形成部4の下方には露光ユニット20が備えられており、このユニット20からは画像形成部4の感光体ドラム(像担持体)5に向けてレーザ光が照射される。
また、用紙搬送方向でみて転写部71の下流側には、定着部72及び排出分岐部74が順番に配置され、片面印刷の場合には、定着部72から排出された用紙Pは排出分岐部74を経て排紙トレイ76に排出される。
一方、この排出分岐部74とカセット3との間には両面印刷用ユニット78が配置されており、このユニット78では定着部72から排出された用紙Pをレジストローラ24に戻し、画像形成部4に向けて再び送出する。
ここで、本実施例の画像形成部4は、4つの画像形成ユニット4a,4b,4c,4dで構成されている。これら各ユニット4a〜4dは、プリンタ1の正面側から背面側に向けて順に配列され、異なる4色(イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程を通じてイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの画像を順次形成している。
具体的には、各ユニット4a〜4dには、各対応色の可視像(トナー画像)を担持するドラム5a,5b,5c,5dが設けられている。各ドラム5a〜5dは本体2に対して回転自在に設置され、図示しない駆動モータによって同図の反時計回りに駆動する。
また、各ドラム5a〜5dの周囲の適宜位置には、それぞれ対応する帯電器6a,6b,6c,6d、現像装置7a,7b,7c,7d、クリーニング部8a,8b,8c,8dや、中間転写ローラ9a,9b,9c,9dが設けられている。
この帯電器6a〜6dでは、対応するドラム5a〜5dの表面を一様に帯電させる。また、現像装置7a〜7dでは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色のトナーを用いてドラム5a〜5dの表面に静電的に付着させる。これにより、ドラム5a〜5dの表面には、露光ユニット20による静電潜像に応じたトナー画像が現像される。そして、これらドラム5a〜5d上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト10上に順次転写され、1ページ分のトナー画像として合成される。
詳しくは、上記ベルト10は、誘電体樹脂製のシート材の両端部分を重ね合わせて接合したエンドレス形状のベルトや、継ぎ目を有しないシームレスのベルトが用いられており、駆動ローラ12と搬送ローラ11との間に掛け回され、図示しない駆動モータによって同図の時計回りに走行する。
このベルト10は、ドラム5a〜5dと中間転写ローラ9a〜9dとの間を走行しており、これにより、ドラム5a〜5d上に形成されたトナー画像はベルト10上に1次転写される。なお、クリーニング部8a〜8dでは、ドラム5a〜5d上に残留したトナーが除去される。
上述した転写部71は駆動ローラ12に隣接して設けられ、この転写部71のローラとベルト10との間を用紙Pが通過すると、ベルト10上に転写されたトナー画像は用紙Pに2次転写され、この用紙Pは定着部72に向けて搬送される。
ここで、本実施例の各現像装置7には、いわゆるハイブリッド現像による方式が採用されている。
すなわち、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させ、この帯電されたトナーのみを各ドラム5に向けて飛翔させており、非接触の現像方式によってトナー画像をドラム5に現像している。より具体的には、現像装置7は図2に示されたハウジング30を有しており、本実施例のハウジング30は、ドラム5に対峙する開口32と、この開口32から下方に向けて延設する周壁34と、この周壁34の下端部分に形成される底壁36とを有している。
この底壁36には上述のキャリア及びトナーが収納され、撹拌ミキサー40及びパドルミキサー44がそれぞれ配置されている。各ミキサー40,44の軸42,46はハウジング30に対して回転自在に支持されており、これらミキサー40,44が図示しない駆動モータによって回転すると、キャリア及びトナーが撹拌されてトナーを帯電させる。そして、これらキャリア及びトナーはミキサー44を介して磁気ブラシローラ(磁気ローラ)50に搬送される。
磁気ブラシローラ50は、ミキサー44の上方に配設されており、その軸52はハウジング30に対して回転自在に支持されている。本実施例の軸52の外周には管状のブラシ側スリーブ54がフランジを介して嵌合されている。これにより、軸52が図示しない駆動モータによって回転すると、このスリーブ54は図2の時計回りに回転する。
一方、ブラシ側スリーブ54内において、軸52の同一線上には保持軸が配設されている。この保持軸の外周側にはブラシ側磁石56が所定の主極磁力や主極角度を有して保持されており、ミキサー44からのキャリア及びトナーを吸引して磁気ブラシを形成させる。詳しくは、当該磁気ブラシは、スリーブ54の外周面において、ブラシ側磁石56を有する領域に形成される。
また、この磁気ブラシの厚さは穂切りブレード38で規制されており、所定の直流(DC)バイアスが印加されると、磁気ブラシはトナーを現像ローラ60に向けて搬送させる。一方、この磁気ブラシは現像後のトナー層を現像ローラ60から掻き取っている。
このように、当該磁気ブラシでは、強固に付着したトナー層を現像ローラ60から機械的な力で引き剥がす一方、現像に必要な新たなトナーを現像ローラ60に供給している。
そして、上述した磁気ブラシによれば、現像後のトナーは掻き取りブレードなどの特別な装置を設けなくて済み、この磁気ブラシは、現像ローラ60のトナー層に接触し、各ローラ50,60の回転速度差によるブラシ効果と、ミキサー40,44での攪拌による磁気ブラシの現像剤の入れ替えとによってトナーの回収と搬送とが容易にされている。
この現像ローラ60は、ブラシローラ50の上方にて開口32の近傍に配設されている。
ローラ60の軸62は、ブラシローラ50の回転軸線に対して略平行に並設されており、ハウジング30に回転自在に支持されている。また、本実施例の軸62の外周にも管状の現像側スリーブ64がフランジを介して嵌合されている。これにより、軸62が図示しない駆動モータによって回転すると、スリーブ64は図2の時計回りに回転する。
なお、このスリーブ64内においても、軸62の同一線上には保持軸が配設されており、現像側磁石66が所定の主極磁力や主極角度を有して保持されている。これにより、各ローラ50,60に対峙した部分の磁気ブラシの密度が高められる。そして、これらブラシローラ50と現像ローラ60との電位差によって、ブラシローラ50から移送されたトナーのみの薄層が形成される。
また、上述した各軸52,62は図示しない軸受に支持され、この軸受は、軸52を回転中心として回動可能に構成されている。そして、現像バイアス、すなわち、所定のDCバイアスを重畳した交流(AC)バイアスが印加されると、現像ローラ60のトナーがドラム5に向けて飛翔する。これにより、各ドラム5の表面にはトナー画像が現像されることになる。
なお、本実施例では、現像側磁石66の主極角度の位置(磁力ピーク位置)を、各ローラ50,60の中心を結んだ基準線に対し、現像ローラ60の回転方向で見て上流側に約14°移動した位置に設定している。一方、ブラシ側磁石56の主極角度の位置(磁力ピーク位置)は、上記基準線に対し、ブラシローラ50の回転方向で見て下流側に約5°移動した位置に設定されている。
ところで、本実施例の現像ローラ60では、そのスリーブ64の表面に樹脂のコーティング層が形成されている。
具体的には、本実施例のスリーブ64はアルミニウム製の素管であり、その表面にはアルマイトのコーティング層(15μm、1μm=1×10−6m)が形成され、さらに、その上側に樹脂のコーティング層が形成されている。本実施例の樹脂はシリコン変性ウレタン樹脂であり、アルマイトのコーティング層の上側に約10μmの厚さで塗布されている。
なお、本実施例の使用トナーは正帯電性のトナーであるが、仮に、負帯電性のトナーを使用する場合には、シリコン変性ウレタン樹脂に替えて、フッ素樹脂やフェノール樹脂を用いても良い。これらトナーと樹脂とは同極だからである。一方、仮に、このフッ素樹脂を用いる場合において、正帯電性のトナーを使用するときには、当該樹脂中にキャリアに対する摩擦帯電極性がトナーと同極性の材料を含有させるなどしてトナーと同極性の帯電特性を付与して用いれば良い。この場合にも、トナーと樹脂との結着性が低くなるからである。
また、この樹脂にはカーボン等の導電材が含有されており、その体積抵抗値pvの範囲が約1×10Ωcm〜約1×10Ωcmに増やされている。なお、この体積抵抗値pvは、HIRESTA UP(三菱油化社製:型式MCP−HT450)、若しくはスリーブ64の表面と素管との間に電圧(100V)を印加し、ULTRA HIGH RESISTANCE METER(ADVANTEST社製)を用いて測定する。
一方、このスリーブ64の表面はバフ研磨等が施され、その算術表面粗さRaの範囲は約0.4μm〜約1.5μmである。この算術表面粗さRaは、SURFCOM 1500DX(東京精密社製:JIS B0601−1994対応)を用い、測定条件(算出規格:JIS−´94規格、測定種別:粗さ測定、測定長さ:4.0mm、カットオフ波長:0.8mm、測定速度:0.3mm/s)で測定している。
そして、本実施例においては、現像ローラ60に印加する上述の現像バイアスは、図3に示される如く、第1電源68から供給され、この現像バイアスのうち、そのAC成分Vpp1のデューティ比D1の範囲が約40%〜約60%に設定される。
一方、ブラシローラ50に印加することにより、その磁気ブラシで現像ローラ60にトナーの薄層を形成するバイアス、つまり、薄層形成バイアスは、上記第1電源68の他、この第1電源68に直列接続された第2電源58から供給されている
また、上述した薄層形成バイアスのAC成分Vpp2は、現像バイアスのAC成分Vpp1と同周期であって逆位相である。よって、図4(a)に示されるように、ブラシローラ50に印加した電圧Vmag(図中、実線で示す)と、現像ローラ60に印加した電圧Vslv(図中、破線で示す)との合成電位差(Vmag−Vslv)は階段状ではなく、明確な矩形状をなすことが可能になる(同図(b))。
そして、この現像装置7を搭載したプリンタ1では、カセット3から用紙Pが1枚ずつ分離して送出され、この用紙Pはレジストローラ24に到達する。このローラ24は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、画像形成部4で形成されるトナー画像とのタイミングを計りながら、用紙Pを転写部71へと送出する。
また、図示しないコントローラからの画像データに基づき、プリンタ1では露光ユニット20によるレーザ光の照射が制御される。これにより、画像形成部4において各ドラム5a〜5d上に原稿画像の静電潜像が作られ、続いてこの潜像から各ドラム5a〜5d上にトナー画像が形成され、中間転写ベルト10に転写合成される。続いて、このベルト10に転写合成されたトナー画像は転写部71にて用紙Pに転写される。
その後、用紙Pは未定着トナー画像を担持した状態で定着部72に向けて送られる。次いで、定着部72から排出された用紙Pは排出分岐部74を通ってトレイ76に排出される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部72から排出された用紙Pは排出分岐部74にてユニット78側に引き戻され、この用紙Pはレジストローラ24を経て、再び転写部71に向けて送られる。そして、この場合には、用紙Pの未だ印刷がされていない方の面にトナー画像が転写される。
以上のように、本実施例によれば、キャリア及びトナーからなる2成分現像剤が用いられており、ブラシローラ50では、この現像剤による磁気ブラシが形成され、このブラシは現像ローラ60のスリーブ64の表面にトナーの薄層を形成させる。そして、このトナーがドラム5に供給されることにより、トナー画像が現像される。一方、このブラシは、現像後にはスリーブ64のトナー層を掻き取って回収する。
ここで、上述の如く現像装置7の小型化や高速化を図るにあたり、仮に、ドラム5へのトナーの供給(トナーの現像性)をトナー層の掻き取り(トナーの引き剥がし性)よりも優先すると、スリーブ64にトナーが残留し易くなり、画像乱れが生じてしまう。
なぜならば、スリーブ64にトナーが残留し易くなって、磁気ブラシとの摩擦によって残留トナーの帯電量が大きくなると、スリーブ64のトナー層の厚みが減るので、画像濃度の不良が生じてしまうし、次回の現像時に現像ゴーストが生じ得るからである。一方、仮に、トナーの引き剥がし性をトナーの現像性よりも優先すると、スリーブ64からドラム5へのトナーの供給期間が短くなり、やはり画像濃度の不良が生じてしまう。
しかしながら、本実施例では、スリーブ64の表面にはシリコン変性ウレタン樹脂のコーティング層が形成されており、トナーに対する離形性が良好になるため、スリーブ64とトナーとの電気的な付着力が小さくなる。
一方、コーティング層をシリコン変性ウレタン樹脂で形成すると、キャリアとの摩擦によりコーティング層がトナーと同極性に帯電し、電荷が蓄積されることにより、トナー薄層が形成されにくくなる懸念もある。
しかし、このコーティング層の体積抵抗値pvの範囲が約1×10Ωcm〜約1×10Ωcmとすることで、電荷が蓄積されてトナー薄層が形成されにくくなることを抑制し、且つドラム5へのリーク現象を抑制することができる。
具体的には、体積抵抗値pvが1×10Ωcm未満の場合には、体積抵抗が低すぎるため、リークが発生してしまう。一方、この体積抵抗値pvが1×10Ωcmを超えた場合には、導電性が低いため、電荷が蓄積してしまいスリーブ64とブラシローラ50間の電位差が減少することとなりトナー薄層が十分に形成されずに画像濃度が低下してしまうからである。
さらに、スリーブ64の表面の算術表面粗さRaの範囲が約0.4μm〜約1.5μmであることから、スリーブ64とトナーとの適切な付着力が得られ、従来に比して画像濃度の不良や現像ゴーストの如くの画像乱れが回避可能になる。詳しくは、この算術表面粗さRaが0.4μm未満の場合には、仮に環境変動(例えば、35℃で80%の如くの高温高湿環境)や、現像剤の劣化によってトナーの帯電量が低下したときには、上述したトナー薄層を形成する際の電界による作用が低減し、トナー薄層形成が不安定になると共に、スリーブ64とトナーとの接点が少なくファンデルワールス力などの付着力も低下しているためトナーの飛散が生じ易くなるし、算術表面粗さRaが1.5μmを超えた場合には、スリーブ64とトナーとの接点が増えるため付着力が大きくなり、トナーの現像性及び引き剥がし性が低下するからである。
そして、本実施例の如くシリコン変性ウレタン樹脂のコーティング層の構成と、スリーブ64の算術表面粗さRaとの構成とが相俟って、スリーブ64とトナーとの付着力は約30mN以下に抑えられるのである。
しかも、現像バイアスのうち、そのAC成分Vpp1のデューティ比D1の範囲が約40%〜約60%(好ましくは約45%〜約55%)に設定されており、この現像バイアスによる電界の現像時間が増え、すなわちスリーブ64からドラム5へ向かうバイアス成分の印加時間が増えるため、トナーの現像性がさらに向上可能になる。
これらの点につき詳述する。図5,6は、スリーブ64に形成されたコーティング層の種類、体積抵抗値pv、算術表面粗さRa、デューティ比D1と画像乱れとの関係を調べた実験結果である。
当該実験条件は、画像形成条件として、ドラム5の周速は180mm/sec、ドラム5の表面電位は300Vであり、また、使用トナーは正帯電性のトナーであって、その帯電量は25μC/g、トナーの粒径(体積平均粒径Dt)は6.7μmであり、トナーの個数粒度分布におけるCV値が20%である。なお、DtやCV値は、マルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)アパチャー径100μm、測定範囲2〜60μmで測定した。
一方、使用されるキャリアの粒径(重量平均粒径Dc)は40μmであり、Dc/Dtは約6である。また、そのキャリアの飽和磁化60emu/g、キャリアの体積抵抗値1×1010Ωcmである。そして、この現像ローラ60に対する現像バイアスのAC成分Vpp1は1.6kV、周波数fは2.7kHzであって、デューティ比D1は45%である
なお、現像側磁石66の磁力は400Gであり、その主極角度の位置は現像ローラ60の回転方向で見て上流側に約14°移動した位置に設定され、一方、ブラシ側磁石56の磁力は800Gであり、その主極角度の位置はブラシローラ50の回転方向で見て下流側に約5°移動した位置に設定される。さらに、このドラム5の径はφ30mm、現像ローラ60の径はφ20mm、ブラシローラ50の径はφ25mm、現像ローラ60とブラシローラ50との距離は0.35mmである。
ここで、上述したシリコン変性ウレタン樹脂のコーティング層が形成されたスリーブ64を用い、A4サイズで1000枚の連続出力を実施し、ドラム5からベルト10に転写された画像パッチの画像濃度(ID)をベルト10に対向配置したIDセンサで検知した。
より詳しくは、図6に示された実施例1〜3は、シリコン変性ウレタン樹脂のコーティング層を有し、体積抵抗値pv、算術表面粗さRa、及びデューティ比D1がいずれも上述した本実施例の範囲に該当する例である。
一方、図6に示された比較例1〜7は、コーティング層の種類、或いは、体積抵抗値pv、算術表面粗さRa、又はデューティ比D1のいずれかが上述した本実施例の範囲から外れている例である。
そして、まず、アルマイトのコーティング層のみを有した比較例1は、1000枚目に達した時点の画像濃度は最も減少し、品質の総合判定が不合格であった。なお、現像効率の点で見ると、この比較例1では、実施例1よりも大きな印加電圧を要するし、また、その効率も100%に達していない(図5)。
次に、上述の体積抵抗値pvのみが本実施例の範囲から外れた比較例3,4、また、上述した算術表面粗さRaのみが本実施例の範囲から外れた比較例5,6、さらに、上記デューティ比D1のみが本実施例の範囲から外れた比較例2,7もまた、1000枚目に達した時点の画像濃度は大きく減少し、品質の総合判定が不合格になった。
これに対し、上記実施例1〜3では、1000枚目に達した時点の画像濃度は高い値を示しており、画像濃度の不良や現像ゴーストが生ずることなく、品質の総合判定も合格になることが分かる。
よって、本実施例によれば、小粒径トナーの現像性及び引き剥がし性の双方を満たしつつ、現像装置の小型化や高速化も達成可能になるのである。
また、正帯電性のトナーを用いれば、これらシリコン変性ウレタン樹脂と正帯電性トナーとは同極ゆえに反発し、仮に、残留トナーが存在していても、その帯電量が小さくなり、画像乱れをより一層回避できる。しかも、低い電圧でドラム5へのトナーの供給が可能になって、現像ローラ60の耐久性も向上する。
さらにまた、上述の如く、このAC成分Vpp1のデューティ比D1の範囲が約40%〜約60%に設定し、キャリアの重量平均粒径Dcと、トナーの体積平均粒径Dtとの比(Dc/Dt)が4〜10となるキャリア及びトナーを用いることで、磁気ブラシを密に形成することができ、より均一なトナー薄層を形成することができる。
しかも、トナーの体積平均粒径Dtの範囲が約4.0μm〜約6.7μmとなるトナーを用いることが可能になり、この結果、さらなる高画質化に寄与する。
より具体的には、体積平均粒径Dtが4μm未満では、電気的な付着力以外の付着力(例えばファンデルワールス力など)の影響が大きくなり、上記現像性及び引き剥がし性のいずれも良好ではないからである。一方、この体積平均粒径Dtが6.7μmを超えると、1ドットの再現性が低下するからである。
また、この個数分布におけるCV値が22%以下となるトナーも使用できる結果、粒子径の分布の広がりが大きくならず、現像装置7におけるトナーの帯電量の分布も均一になり、カブリ等を生じない高品質の画像が得られる。
さらに、キャリアについても、その重量平均粒径Dcの範囲が約25μm〜約45μmとなるキャリアを用いることができ、この結果、トナーの薄層を密に形成できて高品質の画像が得られるし、キャリアの飛散も抑制できる。
より詳しくは、重量平均粒径Dcが25μm未満ではキャリアの飛散が生じ易くなるし、一方、この重量平均粒径Dcが45μmを超えると、トナーの薄層を密に形成し難くなるからである。
さらにまた、ドラム5の周速が約180mm/sec以上に設定され、画像形成プロセススピードが速い場合には、現像時間や未現像トナーの回収時間が短くなるが、本実施例は、このような高速化にも特に好適に対応できる。
また、上記現像性や引き剥がし性の両立化が達成され、安定した画像品質を長期に亘って維持できるので、プリンタ1の信頼性向上に寄与する。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施例の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
また、上記実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示しているが、本発明の画像形成装置は複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
1 プリンタ(画像形成装置)
5 感光体ドラム(像担持体)
7 現像装置
30 ハウジング
32 開口
50 磁気ブラシローラ(磁気ローラ)
58 第2電源
60 現像ローラ
64 スリーブ
68 第1電源

Claims (6)

  1. キャリアを用いてトナーを帯電させ、該トナーを像担持体に供給してトナー画像を現像させる現像装置であって、
    前記トナー及び前記キャリアを含み、前記トナー及び前記キャリアが相互に摩擦接触することにより、前記トナーが第1の極性に帯電されるとともに、前記キャリアが前記第1の極性とは異なる第2の極性に帯電される現像剤と、
    前記像担持体に対峙した開口を有するハウジングと、
    該ハウジング内に配設されており、前記キャリア及び前記トナーによる磁気ブラシを形成する磁気ローラと、
    樹脂のコーティング層を表面に有しており、前記開口にて前記磁気ブラシから移送されたトナーの薄層を形成する現像ローラと、
    前記磁気ローラと前記現像ローラとの間に第1の電界を形成して、前記磁気ローラから前記現像ローラに前記トナーを移送させる第1の電界形成手段と、
    前記現像ローラと前記像担持体との間に第2の電界を形成して、前記現像ローラから前記像担持体の静電潜像に前記トナーを移送させて前記静電潜像を現像する第2の電界形成手段とを具備し、
    前記第1の電界には、少なくとも交流電界が含まれており、
    前記磁気ブラシは、前記現像ローラに前記トナーを供給するトナー供給部及び前記現像ローラから前記トナーを回収するトナー回収部として機能し、
    前記コーティング層は、前記トナー供給部及び前記トナー回収部において前記現像剤に含まれる前記キャリアとの摩擦接触により前記トナーに帯電された前記第1の極性と同極性に帯電されるとともに、体積抵抗値が1×10Ωcm〜1×10Ωcmであり、
    前記現像ローラの前記表面の算術表面粗さが0.4×10 −6 m〜1.5×10 −6 mであり、且つ、前記現像ローラのトナーで前記像担持体の潜像を現像するための現像バイアスのうち、その交流成分のデューティ比が40%〜60%を満たすことを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1に記載の現像装置であって、
    前記キャリアの重量平均粒径Dcと、前記トナーの体積平均粒径Dtとしたとき、
    4<Dc/Dt<10
    を満たすことを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1又は2に記載の現像装置であって、
    前記トナーの体積平均粒径が4.0×10−6m〜6.7×10−6mであって、個数分布におけるCV値=(標準偏差/個数平均粒径)×100が22%以下を満たすことを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載の現像装置であって、
    前記キャリアの重量平均粒径が25×10−6m〜45×10−6mであることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載の現像装置であって、
    前記像担持体の周速は、180mm/sec以上に設定されていることを特徴とする現像装置。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載の現像装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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