以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置を適用した電子写真方式の画像形成装置を示すものである。この画像形成装置は、図示しないパーソナルコンピュータ(PC)から送られてくる画像データをプリントするプリンターとしての機能以外に、画像読取装置によって読み取られた図示しない原稿の画像を複写する複写機、並びに画像情報を送受信するファクシミリとしても機能するように構成されている。
この画像形成装置1は、図2に示すように、画像形成装置本体2の内部に、例えば、本実施の形態に係る画像処理装置3を備えているとともに、当該画像処理装置3によって画像処理が施された画像データに基づいて画像を出力する画像出力部106が配置されている。また、画像形成装置本体2の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した画像形成部としての画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kを備えている。これらの4つの画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kは、基本的に形成する画像の色以外は同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って所定の速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム5と、この感光体ドラム5の表面を一様に帯電する帯電手段としての一次帯電用のスコロトロン6と、当該感光体ドラム5の表面に各色に対応した画像データに基づいて画像露光を施して静電潜像を形成する画像露光装置7と、感光体ドラム5上に形成された静電潜像を対応する色のトナーによって現像する現像手段としての現像装置8と、感光体ドラム5の表面に残留したトナー等を清掃するクリーニング装置9とを備えている。
上記画像処理装置3からは、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kに対して対応する色の画像データが順次出力され、これらの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kから画像データに応じて出射されるレーザー光LBが、対応する感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に形成された静電潜像は、現像装置8Y、8M、8C、8Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に多重に一次転写された後、中間転写ベルト10から記録媒体としての記録用紙11上に一括して二次転写され、定着装置12によって定着処理が施されて、フルカラーやモノクロ等の画像が形成された記録用紙11が出力される。記録用紙11は、画像形成装置本体2の下部に配置された給紙トレイから所望のサイズ及び材質のものが給紙される。
ところで、この実施の形態に係る画像処理装置3は、画像形成装置1の内部に装着されるもの以外に、独立した装置として構成しても勿論良いが、例えば、電子写真方式の画像形成装置1にハードウエアとして予め内蔵されるか、画像形成装置1にプログラム(ソフトウエア)としてインストールされることによって構成されている。
図3はこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置を示すブロック図である。
この画像処理装置3は、図3に示すように、例えば、解像度が600〜1200dpi程度、階調数が256階調(8bit)程度の処理すべき画像データDが入力される画像データ入力部101と、当該画像データ入力部101に入力された画像データからエッジ部か否かの判定を行うエッジ判定手段としてのエッジ判定部102と、当該エッジ判定部102の判定結果に基づいて画像データのエッジ領域を広げてエッジ部と再判定するエッジ再判定手段としてのエッジ再判定部103と、前記エッジ判定部102及び前記エッジ再判定部103によってエッジ部であると判定された画像データと、前記エッジ判定部102及び前記エッジ再判定部103によって非エッジ部であると判定された画像データとで異なる処理を施す処理手段としてのスクリーン処理部105と、前記画像データの画像データの入力解像度に基づいて前記エッジ再判定手段103における再判定処理の内容を変更する変更手段としての変更部104とを備えるように構成されている。なお、入力される画像データとしては、解像度が600〜1200dpi程度に限らず、これよりも解像度が高い画像データあるいは解像度が低い画像データであっても良く、階調数も256階調(8bit)に限定されるものではないことは勿論である。
画像データ入力部101は、例えば、図示しないパーソナルコンピュータなどから、描画コマンドとしてPDL(ページ記述言語)で記述された画像データDを受け取って解釈し、描画処理を行って画像出力部106で画像を出力するためのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のビットマップ画像データを生成する。また、上記画像データ入力部101は、必要に応じて、PDLを解釈するとともに、解釈されたPDLに従って、それぞれの描画オブジェクト毎に描画処理を行い、中間コードを生成する。生成した中間コードには、描画オブジェクトの属性として、図4に示すように、イメージ/テキスト/グラフィックスなどの描画オブジェクトの種類を示すタグ情報が付加される。なお、上記画像データ入力部101としては、ビットマップデータからなる画像データを直接入力するものであっても良い。
さらに、上記画像データ入力部101では、生成した中間コードをもとに、画像出力部106に適合したイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したビットマップデータが作成される。その際、上記画像データ入力部101では、ビートマップデータの各画素毎あるいは数画素毎、更には画像領域毎に図4に示すようなタグ情報が付加される。
上記画像データ入力部101で必要に応じて予め定められた画像処理が施された画像データは、図3に示すように、エッジ判定部102及び変更部104にそれぞれ入力される。
エッジ判定部102では、画像データ入力部101で生成されたビットマップデータから、判定対象となる画素がエッジ部か否かの判定処理が行われる。このエッジ判定部101では、例えば、図5に示すようなエッジ検出フィルタを用いて、入力されたビットマップデータからなる画像データがエッジ部かエッジ部以外の非エッジ部かが判定される。上記エッジ判定部102によってエッジ部であると判定された画素には、図4に示すように、例えば、エッジ部であることを示すタグ情報「11」が付加される。
エッジ再判定部103では、エッジ判定部102の処理結果を受け取り、エッジ領域を広げてエッジ部の再判定を行う処理が行われる。このエッジ再判定部103では、図6に示すように、ビットマップデータのそれぞれの画素を順に注目画素とし、例えば、図6中の中央の画素を注目画素200とした場合、その注目画素200の周辺の予め定められた複数(例えば、3×3=9)個の画素からなる判定領域201内のエッジ画素数(エッジ部である旨のタグ情報が付加された画素の数)が計数される。判定領域201は、3×3=9個の画素からなる領域に限らず、これよりも広くても狭くても良く、又、縦方向及び横方向の画素の数は、必ずしも等しくなくても良い。なお、図6では、エッジ判定部102によってエッジ部と判定された画素が「1」で、非エッジ部と判定された画素が「0」で表わされている。そして、計数値が予め定められた閾値param_rejudge以上である場合には、その注目画素200をエッジ部と再判定し、タグ情報にエッジ部である旨が付加される。また、計数値が予め定められた閾値param_rejudge未満である場合には、その注目画素200を非エッジ部のままと再判定し、タグ情報にエッジ部である旨が付加されない。
いま、図6(a)に示すように、エッジ部と判定された画素を「1」とし、非エッジ部と判定された画素を「0」として表わした場合には、中央の画素を判定画素200とすると、3×3=9個の画素からなる判定領域201内のエッジ部と判定された画素の数が「3」であるから、閾値param_rejudgeを「2」とした場合、エッジ画素数「3」は、閾値param_rejudge=2以上であるため、判定画素200は、図6(b)に示すように、非エッジ部を示す「0」から「1」に変更され、閾値param_rejudgeが「4」であるとすると、エッジ画素数「3」は、閾値param_rejudge=4未満であるため、非エッジ部を示す「0」のままとなる。
エッジ再判定部103は、エッジ判定部102の処理結果を受け取り、エッジ領域を広げてエッジ部と再判定する処理を行うものであり、閾値param_rejudgeの値が小さいほど、エッジ部を膨張させる傾向が大きく、閾値param_rejudgeの値が大きいほど、エッジ部を膨張させる傾向が小さくなる。
ここで、上記エッジ再判定部103におけるエッジ再判定の閾値param_rejudgeは、例えば、「2」に設定されるが、これ以外の値(例えば、3以上の値)であっても勿論良い。
さらに、上記エッジ再判定部103では、後述するように、変更部104からの信号によって画像データの入力解像度及び注目画素の画像濃度に基づいて再判定処理の回数が変更される。
スクリーン処理部105は、エッジ再判定部103からビットマップデータ及びタグ情報を受け取り、タグ情報に従ってビットマップデータに対してスクリーン処理を施し、擬似中間調画像を形成する。上記スクリーン処理部105では、基本的に、エッジ部であると判定(再判定を含む)された画素に対して、例えば、図4に示すように、600線のスクリーンを用いてスクリーン処理を施し、エッジ部を滑らかに形成してジャギー感を低減するように構成されている。また、上記スクリーン処理部105では、非エッジ部であると判定(再判定を含む)された画素に対して、ユーザが選択したスクリーン処理(例えば、200線スクリーン)を施すか、又は、例えば、図4に示すように、イメージ/テキスト/グラフィックスなどの描画オブジェクトの種類に応じて予め設定されたスクリーン処理を施すように構成されている。なお、非エッジ部であると判定(再判定を含む)された画素に対するスクリーン処理の内容は、例えば、図示しないユーザインターフェースを介してユーザが任意に設定可能となっている。また、ユーザが設定しない場合は、イメージ/テキスト/グラフィックスなどの描画オブジェクトの種類に応じて予め設定されたスクリーン処理が施される。
図4は、タグ情報と用いるスクリーンとの関係の一例を示す説明図である。
上記スクリーン処理部105では、それぞれの描画オブジェクト毎にスクリーンを切り替えて、それぞれの描画オブジェクトに最適なスクリーン処理が行われる。例えばテキストについては高精細であることが必要であるので300線のスクリーンを用い、イメージやグラフィックスではそれほど高精細である必要はなく、逆に階調性や粒状性を重視するため、それぞれ200線、150線のスクリーンが用いられる。さらに、エッジ部では、ジャギーを低減してすっきりしたエッジを再現するため、画像出力部106における解像度である高線数スクリーンである例えば600線のスクリーンを用いている。このように、エッジ部と非エッジ部により、また非エッジ部についてはそれぞれの描画オブジェクト毎に、スクリーンを切り替えるように構成されている。こうすることによって、それぞれの部分において最適なスクリーン処理を施すことが可能となる。
また、上記スクリーン処理部105では、スクリーン処理が施された画像データに基づいて、画像出力部106の画像露光装置7Y、7M、7C、7Kによってドットを形成するためのパルス信号が発生され、画像出力部106に出力される。
画像出力部106では、図2に基づいて説明したように、画像処理装置3のスクリーン処理部105から出力されるパルス信号からなる画像データに基づいて、記録用紙11上にフルカラーやモノクロなどの画像が形成されて出力される。
上記変更部104では、画像データDの入力解像度及び注目画素の濃度情報に基づいてエッジ再判定部103による再判定処理の内容が変更される。具体的には、この実施の形態1に係る変更部104では、画像データDの入力解像度及び注目画素の濃度情報に基づいてエッジ再判定部103による再判定処理の回数を変更するように構成されている。
なお、この実施の形態では、画像データDの入力解像度が600dpiと1200dpiの2種類の場合について説明するが、画像データDの入力解像度としては、600dpiと1200dpiに限定されないことは勿論であり、入力解像度の数も3種類以上であっても勿論良い。
上記変更部104では、図7(a)(b)に示すように、画像データDの入力解像度が判別され、画像データDの入力解像度が600dpiの場合には、注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上であるか否かが判定され、注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、図7(a)の左側に示すように、エッジ再判定回数が「0」に設定される。また、画像データDの入力解像度が600dpiの場合であって、注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、図7(b)の左側に示すように、エッジ再判定回数が「1」に設定される。
一方、画像データDの入力解像度が1200dpiの場合には、図7(a)(b)に示すように、注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上であるか否かが判定され、注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、図7(a)の右側に示すように、例えば、エッジ再判定回数が「1」に設定される。また、画像データの入力解像度が1200dpiの場合であって、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、図7(b)の右側に示すように、例えば、エッジ再判定回数が「3」に設定される。
上記注目画素200の画像濃度閾値param_judge−rejudgeとしては、例えば、最高濃度である255(Cin=100%)に設定されるが、これに限定されず、最高濃度である255(Cin=100%)に近い値である250程度に設定しても良い。即ち、画像濃度で画像データを分類すると、図8に示すように、低濃度側から概ね画像濃度90%近傍までは、ジャギー感を解消することが重視される画像濃度領域であり、画像濃度90%を越えて画像濃度が100%に達する濃度領域が文字や線のつぶれ解消が重視される画像濃度領域となる。ただし、画像濃度90%を越えて画像濃度が100%に達する濃度領域のすべてが、文字や線のつぶれ解消が重視される画像濃度領域となる訳ではなく、画像濃度が100%から90%程度に近くなるに従って、例えば96〜97%程度以下、90%以上の領域では、文字や線のつぶれ解消よりも、画像出力部106の特性に応じて最適化することが望ましい領域が存在することが、本発明者等の研究によって判っている。そのため、画像濃度閾値param_judge−rejudge(Cin)は、例えば、96〜97%程度に設定しても良い。
また、画像出力部106としては、電子写真方式を採用した画像形成装置に限らず、インクジェット方式などを採用したものであっても良いことは勿論である。
以上の構成において、この実施の形態に係る画像処理装置を適用した画像形成装置では、次のようにして、入力解像度が異なる場合でも、100%近傍の高濃度領域での文字や細線画像のつぶれ抑制効果や、中間調の文字や細線画像のジャギー感の低減効果に違いが現れるのを抑制することが可能となっている。
すなわち、上記画像処理装置3では、図3に示すように、画像データ入力部101によって入力された画像データDに対して予め定められた処理が施された後、当該画像データは、エッジ判定部102に入力される。
そして、このエッジ判定部102では、図9に示すように、エッジ検出フィルタ等を用いてエッジ判定処理(背景判定)が行われ(ステップ101)、エッジ部であると判定された画素には、図4に示すように、タグ情報としてエッジ判定処理の結果を示す値「11」が付加される。
また、上記エッジ判定部102によって非エッジ部であると判定された場合には、エッジ再判定部103によってエッジ判定部102の判定結果に基づいて画像データのエッジ領域を広げてエッジ部と再判定する処理が行われる(ステップ102)。このエッジ再判定部103では、図6(a)に示すように、複数の画素からなる判定領域201(例えば、3×3=9)内のエッジ部と判定された画素の数が閾値param_rejudge以上か否かが判定され、判定領域201内のエッジ部と判定された画素の数が閾値param_rejudge以上である場合には、判定領域201の中央に位置する注目画素200の非エッジ部であるとの判定結果が、図6(b)に示すように、エッジ部(「1」)であると再判定される。一方、上記判定領域201内のエッジ部と判定された画素の数が閾値param_rejudge未満である場合には、判定領域201の中央に位置する注目画素200の非エッジ部であるとの判定結果が、非エッジ部(「0」)のままであると再判定され、非エッジ判定結果がONとなる。
また、上記エッジ判定部102によってエッジ部であると判定された画素と、エッジ再判定部103によってエッジ部であると再判定された画素は、図9に示すように、データセレクト処理が行われ(ステップ103)、エッジ部の画像データと非エッジ部の画像データとに分けられる。
図1はこの実施の形態1に係る画像処理装置3の図9のステップ102における処理を更に詳しく示すフローチャートである。
この実施の形態では、図1に示すように、変更部104によって入力された画像データDの入力解像度が判定され(ステップ201)、画像データDの入力解像度が600dpiの場合には、エッジ再判定部103によって注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge(例えば、255)以上であるか否かが判定される(ステップ202)。
上記注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、図7(a)の左側に示すように、変更部104からの信号によって、エッジ再判定部103におけるエッジ部の再判定回数は、「0」回つまり再判定は実行しないように設定され、図9のステップ102において、非エッジ部はそのまま非エッジ部として判定される。
いま、図10(a)に示すように、画像データDが例えば画像濃度=255、Cin=100%程度で幅が4ビットの最高濃度付近の縦方向に沿った直線状画像である場合には、エッジ再判定部103におけるエッジ部の再判定処理は実行されず、非エッジ部はそのまま非エッジ部として判定される。
なお、図10及び以下に示す例では、便宜上、直線状画像などの画像の内側に対してエッジ膨張処理を施す場合について説明しているが、通常通り、画像の外側に対してエッジ膨張処理を施す場合でも同様である。
また、上記注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、図7(b)の左側に示すように、エッジ再判定部103におけるエッジ部の再判定回数が、「1」回に設定され、図1に示すように、注目画素200の周辺の予め定められた複数(例えば、3×3=9)個の画素からなる判定領域201を作成し、当該判定領域201内のエッジ画素数(エッジ部である旨のタグ情報が付加された画素の数)が計数される(ステップ203)。
次に、上記エッジ判定部102では、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge(例えば、「2」)以上か否かが判定され(ステップ204)、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上である場合には、エッジ部であると再判定されるとともに、閾値param_rejudge未満である場合には、非エッジ部のままであると再判定される。
いま、図10(b)に示すように、画像データDが例えば画像濃度=128程度、Cin=約50%で幅が4ビットの中間調の縦方向に沿った直線状画像である場合には、エッジ再判定部103における再判定の結果、エッジ部に隣接する画素がエッジ部と再判定され、エッジ部に対して膨張処理が1回だけ実行される。その結果、上記直線状画像の場合には、エッジ部に隣接する画素もエッジ部であると再判定され、エッジ部に対して膨張処理が実行される。
一方、この実施の形態では、図1に示すように、変更部104によって入力された画像データの入力解像度が判定され(ステップ201)、画像データDの入力解像度が1200dpiであると判定された場合には、注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上であるか否かが判定される(ステップ205)。
上記注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、図7(a)の右側に示すように、エッジ再判定部103におけるエッジ部の再判定回数は、「1」回に設定されており、エッジ再判定部103におけるエッジ部の再判定処理が1回のみ実行される。
つまり、上記エッジ再判定部103では、図1に示すように、注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、注目画素200の周辺の3×3=9個の画素からなる判定領域201を作成し、当該判定領域201内のエッジ画素数が計数され(ステップ206)、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上か否かが判定される(ステップ207)。
そして、上記エッジ再判定部103では、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上である場合には、エッジ部であると再判定されるとともに、閾値param_rejudge未満である場合には、非エッジ部のままであると再判定される。
いま、図11(b)に示すように、画像データDが例えば画像濃度=255、Cin=100%で幅が4ビットの最高濃度の縦方向に沿った直線状画像である場合には、エッジ再判定部103における再判定の結果、エッジ部に隣接する画素がエッジ部と再判定され、エッジ部に対して膨張処理が実行される。
一方、上記注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、図7(b)の右側に示すように、エッジ再判定部103におけるエッジ部の再判定回数は、「3」回に設定されており、エッジ再判定部103におけるエッジ部の再判定処理が3回実行される。
つまり、上記エッジ再判定部103では、図1に示すように、注目画素200の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、注目画素200の周辺の3×3=9個の画素からなる判定領域201を作成し、当該判定領域201内のエッジ画素数が計数され(ステップ208)、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上か否かが判定される(ステップ209)。
そして、上記エッジ再判定部103では、図1に示すように、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上である場合には、エッジ部であると再判定されるとともに、閾値param_rejudge未満である場合には、非エッジ部のままであると再判定される。
次に、上記エッジ再判定部103では、図1に示すように、上述した1回目の再判定結果を加味して、注目画素200の周辺の3×3=9個の画素からなる判定領域201を作成し、当該判定領域201内のエッジ画素数が計数され(ステップ210)、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上か否かが判定される(ステップ211)。
そして、上記エッジ再判定部103では、図1に示すように、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上である場合には、エッジ部であると再判定されるとともに、閾値param_rejudge未満である場合には、非エッジ部のままであると再判定される。
更に、上記エッジ再判定部103では、図1に示すように、上述した2回目の再判定結果を加味して、注目画素200の周辺の3×3=9個の画素からなる判定領域201を作成し、当該判定領域201内のエッジ画素数が計数され(ステップ212)、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上か否かが判定される(ステップ213)。
そして、上記エッジ再判定部103では、図1に示すように、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上である場合には、エッジ部であると再判定されるとともに、閾値param_rejudge未満である場合には、非エッジ部のままであると再判定される。
いま、図11(b)及び図12に示すように、画像データDが例えば画像濃度=128程度、Cin=約50%で幅が4ビットの中間調の縦方向に沿った直線状画像である場合には、エッジ再判定部103における再判定の結果、エッジ部に隣接する画素がエッジ部と再判定され、エッジ部に対して膨張処理が3回にわたって実行される。
上記エッジ判定部102及びエッジ再判定部103によってエッジ部であると判定された画素の画像データと、エッジ判定部102及びエッジ再判定部103によって非エッジ部であると判定された画素の画像データは、図9に示すように、データセレクト(選択)処理が施され(ステップ103)、エッジ部と非エッジ部の画像データとに選択される。
そして、エッジ部と判定された画素の画像データは、当該画素の画像濃度が予め定められた第2の画像濃度値Cin2以上か否かが判別され(ステップ104)、当該画素の画像濃度が予め定められた第2の画像濃度値Cin2以上である場合には、文字鮮鋭補正濃度値に変更された後(ステップ105)、エッジ部に対応したスクリーン処理が施される。ここで、エッジ部に対応したスクリーン処理としては、ジャギー感の低減を重視して600線のスクリーンを用いた処理が行われる。
上記文字鮮鋭補正濃度値は、画像濃度が100%あるいは100%近傍の文字や線の画像につぶれが生じないように入力された画像データの画像濃度値を適正な画像濃度値Cin’に変換するための値である。上記文字鮮鋭補正濃度値としては、例えば、画像濃度100%(255)の画像濃度値が「204」程度の画像濃度値に変換される。このように、エッジ部と判定された画素の画像濃度が100%である場合に、当該エッジ部の画素濃度を100%(255)よりも低い画像濃度値である「204」程度の文字鮮鋭補正濃度値に変換することにより、文字や線のつぶれを解消することができ画質が向上する。一方、エッジ部には、高い線数である600線のスクリーンを用いた処理を施すので、ジャギー感が悪化することはない。
また、上記画素の画像濃度Cinが予め定められた第2の画像濃度値Cin2未満である場合には、EELUT(ルックアップテーブル)を用いて、エッジ部スクリーンとユーザ(又は画像出力部106が自動的に)選択したスクリーン(例えば、200線)の濃度特性を合わせる画像濃度の変換が行われた後(ステップ106)、エッジ部のスクリーン処理が施される。
このように、上記実施の形態によれば、画像データの入力解像度が600dpiの場合と1200dpiの場合とで、画像データが100%近傍の高濃度領域での文字や細線画像であっても、中間調の文字や細線画像であっても、図10及び図12に示すように、エッジ領域を一定にすることができ、入力解像度が異なる場合でも、100%近傍の高濃度領域での文字や細線画像のつぶれ抑制効果や、中間調の文字や細線画像のジャギー感の低減効果に違いが現れるのを抑制することができる。
比較例
比較例として、画像データの注目画素の濃度情報に基づいて、注目画素の画像濃度が濃度閾値(例えば、255)以上である場合には、エッジ再判定部における再判定処理を行わず、注目画素の画像濃度が濃度閾値(例えば、255)未満である場合にのみ、エッジ再判定部における再判定処理を行うように構成した場合、100%付近の線状画像に対して、図13に示すように、画像データの入力解像度が600dpiのときに比べて、画像データの入力解像度が1200dpiの方が、入力解像度の違いによってエッジ部と判定されて、高濃度領域での文字や細線画像のつぶれを抑制する処理が施される領域が、1/2となってしまい、画像のつぶれ抑制効果が十分に得難くなる。
また、中間調の線状画像に対しても、図13に示すように、画像データの入力解像度が600dpiのときに比べて、画像データの入力解像度が1200dpiの方が、入力解像度の違いによってエッジ部と判定されて、中間調の文字や細線画像のジャギー感の低減を図る処理が施される領域が、やはり1/2となってしま、ジャギー感の低減効果が十分に得難くなる。
その結果、上記比較例では、ユーザーが同じ画像を入力解像度600dpiで出力した場合と、入力解像度1200dpiで出力した場合とで、100%近傍の高濃度領域での文字や細線画像のつぶれ抑制効果や、中間調の文字や細線画像のジャギー感の低減効果に違いが現れてしまうことになる。
実施の形態2
図14はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前記変更手段は、前記画像データの入力解像度に基づいて前記エッジ再判定手段によりエッジ領域を広げてエッジ部と再判定する際の閾値を変更するように構成されている。
すなわち、この実施の形態2では、図14に示すように、エッジ再判定手段103によってエッジ部の再判定処理を一定の回数だけ、図示例では3回行うように設定されているとともに、変更部104が画像データの入力解像度及び注目画素の画像濃度に基づいてエッジ再判定手段103によって画像データのエッジ領域を広げてエッジ部と再判定処理する際のエッジ再判定閾値param_rejudgeの値を変更するように構成されている。
更に説明すると、上記変更部104は、図14に示すように、画像データの入力解像度及び注目画素の濃度情報に基づいてエッジ再判定部103による再判定処理のエッジ再判定閾値param_rejudgeの値が変更される。具体的には、この実施の形態2に係る変更部104では、エッジ再判定手段103によってエッジ部の再判定処理を3回実行する際に、画像データの入力解像度及び注目画素の濃度情報に基づいてエッジ再判定部103によって画像データのエッジ領域を広げてエッジ部と再判定する閾値param_rejudgeを、図14に示すように、再判定回数に応じてparam_rejudge1〜param_rejudge12までにわたって変更する処理が行われる。
上記変更部104では、図15(a)(b)に示すように、画像データの入力解像度が判別され、画像データの入力解像度が600dpiの場合には、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上であるか否かが判定され、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、図15(a)の右側に示すように、エッジ再判定部103によりエッジ領域を広げてエッジ部と再判定する際の閾値を、1回目〜3回目の再判定処理の閾値param_judge−rejudge1〜param_judge−rejudge3がすべて「9」となるように設定されている。
その結果、上記エッジ再判定部103では、画像データの入力解像度が600dpiで、しかも、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、有効な再判定処理の回数は「0」回となり、実質的に再判定処理が実行されない。
また、上記変更部104では、図15(b)の左側に示すように、画像データの入力解像度が600dpiであって、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、エッジ再判定部103によりエッジ領域を広げてエッジ部と再判定する際の閾値を、1回目の再判定処理の閾値param_judge−rejudge1が「9」以外の値、例えば、「2」等に設定されるとともに、2回目及び3回目の再判定処理の閾値param_judge−rejudge1がいずれも「9」となるように設定されている。
その結果、上記エッジ再判定部103では、画像データの入力解像度が600dpiで、しかも、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、有効な再判定処理の回数は「1」回となり、再判定処理が1回のみ実行される。
一方、上記変更部104では、図15(a)(b)に示すように、画像データの入力解像度が1200dpiの場合には、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上であるか否かが判定され、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、図15(a)の右側に示すように、エッジ再判定部103によりエッジ領域を広げてエッジ部と再判定する際の閾値を、1回目の再判定処理の閾値param_judge−rejudge1が「9」以外の値、例えば、「2」等に設定されるとともに、2回目及び3回目の再判定処理の閾値param_judge−rejudge1がいずれも「9」となるように設定されている。
その結果、上記エッジ再判定部103では、画像データの入力解像度が1200dpiで、しかも、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge以上である場合には、有効な再判定処理の回数は「1」回となり、再判定処理が1回のみ実行される。
また、上記変更部104では、図15(b)の右側に示すように、画像データの入力解像度が1200dpiの場合であって、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、エッジ再判定部103によりエッジ領域を広げてエッジ部と再判定する際の閾値を、1回目〜3回目の再判定処理の閾値param_judge−rejudge1がすべて「9」以外の値、例えば、「2」等に設定されている。
その結果、上記エッジ再判定部103では、画像データの入力解像度が1200dpiで、しかも、注目画素の濃度が注目画素濃度閾値param_judge−rejudge未満である場合には、有効な再判定処理の回数は「3」回となり、再判定処理が3回にわたって実行される。
上記エッジ再判定部103では、図16に示すように、注目画素200の周辺の3×3=9個の画素からなる判定領域201を作成し、当該判定領域201内のエッジ画素数が計数され(ステップ301)、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が1回目の閾値param_rejudge以上か否かが判定される(ステップ302)。ここで、1回目の閾値param_rejudgeは、図14に基づいて決定される。
そして、上記エッジ再判定部103では、図16に示すように、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上である場合には、エッジ部であると再判定されるとともに、閾値param_rejudge未満である場合には、非エッジ部のままであると再判定される。
次に、上記エッジ再判定部103では、図16に示すように、上述した1回目の再判定結果を加味して、注目画素200の周辺の3×3=9個の画素からなる判定領域201を作成し、当該判定領域201内のエッジ画素数が計数され(ステップ303)、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が2回目の閾値param_rejudge以上か否かが判定される(ステップ304)。
そして、上記エッジ再判定部103では、図16に示すように、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上である場合には、エッジ部であると再判定されるとともに、閾値param_rejudge未満である場合には、非エッジ部のままであると再判定される。
更に、上記エッジ再判定部103では、図16に示すように、上述した2回目の再判定結果を加味して、注目画素200の周辺の3×3=9個の画素からなる判定領域201を作成し、当該判定領域201内のエッジ画素数が計数され(ステップ306)、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が3回目の閾値param_rejudge以上か否かが判定される(ステップ307)。
そして、上記エッジ再判定部103では、図16に示すように、判定領域201内のエッジ画素数のカウント数が閾値param_rejudge以上である場合には、エッジ部であると再判定されるとともに、閾値param_rejudge未満である場合には、非エッジ部のままであると再判定される。
この実施の形態2では、動作のフローチャートが図16に示すように簡単なものとなり、エッジ再判定部103の処理を簡略化することができる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
なお、前記実施の形態では、説明を判り易くするため、直線状の画像について説明したが、斜線からなる画像や曲線から成る画像などにおいても同様に適用することができるものである。