以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)につき適宜図面を参照して説明するが、本発明の実施の態様は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の変形が可能である。
図1は、本発明に係るプラント監視制御システムの構成例を示す図である。図1に示すように、プラント監視制御システム10は、プラント装置5と、プラント装置5との間で各種プロセス信号の入出力を行うプロセスI/O(Input/Output)装置4と、所定の制御演算処理を実行してプラント装置5を制御するコントローラ3と、ネットワーク2を介してコントローラ3と通信可能に接続されるプラント監視制御装置100と、を備えて構成されている。
プラント装置5は、例えばバルブやポンプなどの制御対象と、配管やタンクなどの状態を検知するための各種センサとを備えて構成され、コントローラ3によりプロセスI/O装置4を介して制御される。また、コントローラ3は、プロセスI/O装置4から入力した各種のプロセス信号に基づいて検知した特定の状態変化や異常の発生などを、ネットワーク2を介して所定のアラーム信号を送信することによって、プラント監視制御装置100に通知する。
図1に示すように、プラント監視制御装置100は、入力装置101、入力処理部102、パターン管理部103、パターン管理データベース104、処理実行マネージャ105、処理実行判定部106、表示装置107、表示出力管理部108、アラーム蓄積データベース109、および、アラーム収集部110を備えている。プラント監視制御装置100は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、主メモリ、補助記憶装置などを備えるコンピュータによって構成され、CPUが所定の制御プログラムを補助記憶装置などから主メモリにロードして実行することによって、入力処理部102などの各機能部を具現化する。
入力処理部102は、キーボードやマウスなどの入力装置101から、後記するアラームパターンの定義データを編集するための入力などを受け付ける。パターン管理部103は、入力処理部102によって受け付けられた入力に基づいて、オペレータによる対処が必要なアラームパターンの定義データを、補助記憶装置などの記憶部に装備されるパターン管理データベース104に登録し、管理する。アラーム収集部110は、所定のアラーム条件が発生したときにコントローラ3から送信されるアラーム信号を収集して、補助記憶装置などの記憶部に装備されるアラーム蓄積データベース109に登録する。
処理実行判定部106は、コントローラ3から逐次送信されアラーム蓄積データベース109に登録されていくアラーム信号の発生順序および発生間隔が、パターン管理データベース104に登録されているそれぞれのアラームパターンによって規定されるアクションの実行条件(適合条件)に合致するか否かを判定し、合致する場合は当該アクションの実行条件が成立した旨を処理実行マネージャ105に通知する。
処理実行マネージャ105は、処理実行判定部106からの通知に基づき、当該アクションの実行条件が成立した旨を、表示出力管理部108を介して液晶ディスプレイなどの表示装置107に表示させたのち、入力処理部102が受け付けたオペレータからの入力に応じて当該アクションを実行する。したがって、かかるアクションとして、当該アラームパターンによって規定されるアラーム発生条件に適合するアラーム信号のシーケンスを受信したときの対処方法を示す画面を表示装置107に表示させるようにすれば、予め想定される特定のアラーム発生シーケンスに限定して、その対処方法をオペレータに通知することが可能となる。
図2は、表示装置107に表示される、登録済みのアラームパターンの一覧を示すパターン定義画面200の表示例である。図2に示すように、パターン定義画面200は、パターン管理データベース104に登録済みのアラームパターン(以下、定義パターンともいう。)のデータを表示する画面であり、定義パターンの名称を一覧表示する定義パターン一覧210と、各定義パターンを構成しているアラーム発生条件(適合条件)などを一覧表示するアラーム構成情報220と、アラーム構成編集ボタン230とを備えている。なお、アラームパターンが未登録の場合は、定義パターン一覧210およびアラーム構成情報220の全ての行がブランク表示となる。
定義パターン一覧210には、登録済みのアラームパターン(定義パターン)に付される一連番号であるNo.と、オペレータによって各定義パターンに付されたパターン名称との組が表示される。また、アラーム構成情報220には、定義パターン一覧210のなかから選択され網かけ表示となっている定義パターンに対応するアラーム発生条件が一覧表示されている。このアラーム構成情報220は、発生するアラームの種別を特定する識別番号であるアラームNo.221と、当該アラームNo.に予め付されているアラーム名称222と、アラームの発生時間間隔に係る条件を規定する付加条件223と、当該アラーム発生条件が成立した場合に実行すべきアクション224と、から成る。
アラーム構成情報220の各行は、それぞれが1つのアラーム発生条件を表しており、上の行から順に各アラーム発生条件に適合すべきこと、つまり、アラーム信号の発生順序についての適合条件を規定している。また、付加条件223は、該当するアラームNo.221によって識別されるアラームが、1つ上の行のアラーム発生条件が成立した時刻からこの付加条件223によって規定される時間の範囲内に発生しなければならないという、アラーム信号の発生時間間隔についての適合条件を規定している。付加条件223がブランクの場合は、このような時間的な制限はなく、該当するアラームNo.221によって識別されるアラームが、1つ上の行のアラーム発生条件が成立したのちに発生すればよいという条件を表す。また、アクション224には、アラーム発生条件が成立した場合に実行すべきアクション(指定アクション)を選択的に指定することができ、アクションの実行が不要である場合はブランクとする。
登録済みのアラームパターンを編集したり、新たなアラームパターンを作成する場合には、画面下部のアラーム構成編集ボタン230を押下する(マウスなどで選択してクリックする)と、図3に示すようなパターン定義編集画面300が表示装置107に表示される。
図3は、編集するアラームパターンを選択するためのパターン定義編集画面300の表示例である。パターン定義編集画面300は、定義パターン一覧301、アラーム構成情報302、書込ボタン303、新規ボタン304、編集ボタン305、削除ボタン306、および編集終了ボタン307を備えている。定義パターン一覧301には、図2の定義パターン一覧210と同じく登録済みのアラームパターン(定義パターン)の名称が一覧表示され、アラーム構成情報302には、図2のアラーム構成情報220と同じく、定義パターン一覧301のなかから選択されている定義パターンに該当するアラーム発生条件などが一覧表示される。
書込ボタン303を押下すると、パターン定義編集画面300に表示されている全ての定義パターンの編集内容がパターン管理データベース104に登録される。新規ボタン304を押下すると、新規にアラームパターンを作成するためのアラーム構成ダイアログ(図4のアラーム構成ダイアログ400においてデータ部分が全てブランク表示となっている画面)が表示され、新たなアラームパターンを定義することができる。編集ボタン305を押下すると、定義パターン一覧301のなかから選択されている登録済みのアラームパターンのデータを編集するためのアラーム構成ダイアログ(例えば、図4のアラーム構成ダイアログ400)が表示され、登録済みのアラームパターンのデータを編集することができる。削除ボタン306を押下すると、定義パターン一覧301のなかから選択されている登録済みのアラームパターンが削除され、アラーム構成情報220はブランク表示となる。また、編集終了ボタン307を押下すると、アラームパターンの編集作業を終了し、図2のパターン定義画面200に表示が切り換わる。このとき、編集されたデータがまだパターン管理データベース104に登録されていなければ、登録を実行するか否かをオペレータに確認するためのダイアログを表示するようにしてもよい。
図4は、アラームパターンを新規に作成するときの画面の表示例である。図4には、アラーム構成ダイアログ400、アラームNo.選択ダイアログ410、付加条件一覧ダイアログ420、およびアクション一覧ダイアログ430の4つのダイアログを示しているが、最初はアラーム構成ダイアログ400だけが表示され、データ部分は全てブランクとなっている。
アラーム構成ダイアログ400は、パターン名称入力欄401、アラームNo.入力欄403、付加条件入力欄404、およびアクション入力欄405の4つの入力欄と、アラーム名称表示欄402と、アラームNo.選択ボタン406、条件指定ボタン407、アクション指定ボタン408、および書込ボタン409などのボタンと、を備える。
パターン名称入力欄401には、オペレータがキーボードなどを用いて当該アラームパターンに付与する任意の名称を入力する。アラームNo.入力欄403への入力は、入力したい行を選択したのちにアラームNo.選択ボタン406を押下することによって表示されるアラームNo.選択ダイアログ410のなかから、入力したいアラームNo.を選択して選択ボタン411を押下することによって行う。このとき、選択ダイアログ410において入力したアラームNo.に対応付けられているアラーム名称が、アラーム名称表示欄402に表示される。
付加条件入力欄404への入力は、入力したい行を選択したのちに条件指定ボタン407を押下することによって表示される付加条件一覧ダイアログ420のなかから、入力したい付加条件の種類と時間とを指定して選択ボタン423を押下することによって行う。図4では、付加条件の種類として、1つ前のアラーム発生条件が成立した時点から今回のアラームが発生するまでの許容最長時間を指定する選択肢421と、許容最短時間と許容最長時間とを指定する選択肢422と、を例示しているが、それ以外の選択肢を適宜追加してもよい。
また、アクション入力欄405への入力は、入力したい行を選択したのちにアクション指定ボタン408を押下することによって表示されるアクション一覧ダイアログ430のなかから、入力したいアクションの種類とパラメータとを指定して選択ボタン434を押下することによって行う。図4では、アクションの種類として、指定した画面No.を展開して表示する選択肢431と、予め作成しておいたファイルを指定してガイダンスを表示する選択肢432と、予め作成しておいたメールと宛先とを指定してメールを送信する選択肢433と、を例示しているが、それ以外の選択肢を適宜追加してもよい。
各入力欄への入力を行ったのちに、書込ボタン409を押下すると、アラームパターンのデータの編集を終了し、図3のパターン定義編集画面300に表示が切り換わる。このとき、アラーム構成情報302には、今回編集された結果のデータが表示される。また、新規にアラームパターンが作成された場合には、定義パターン一覧301に今回作成されたアラームパターンの名称が追加表示される。
以上に説明した各画面の動作は、パターン管理部103により、入力処理部102および表示出力管理部108と連携して制御される。なお、パターン管理部103は、後記するように、プラント監視制御動作中においても、パターン管理データベース104に登録済みのデータをパターン定義画面200に表示し、さらに、パターン定義編集画面300およびアラーム構成ダイアログ400を用いてデータの編集を行うこともできるように構成することが可能である。
次に、処理実行判定部106の動作の詳細を、図5および図6のフローチャートを用いて詳しく説明する。図5は、処理実行判定部106が実行するメイン処理のフローチャートであり、図6は、メイン処理から呼び出されて実行されるサブ処理のフローチャートである。
図5に示すメイン処理は、プラント監視制御装置100がプラント装置5の監視制御を開始した時点で起動される。ステップS501では、新たなアラームが発生するのを待っており(ステップS501で「No」)、アラームが発生すると(ステップS501で「Yes」)ステップS502に処理を進める。ここで、アラームが発生するとは、コントローラ3がプラント装置5にてアラームを通知すべき状態が発生したことを検知し、当該状態を示すアラームNo.を通知するアラーム信号をプラント監視制御装置100に送信し、アラーム収集部110がこのアラーム信号を受信して通知されたアラームNo.とアラームの発生日時とをアラーム情報としてアラーム蓄積データベース109に登録することをいう。
次に、ステップS502では、パターン管理データベース104にアラームパターンが定義されているか否かを判定し、定義されていない場合は(ステップS502で「No」)、判定すべきアラーム発生条件が存在しないので処理を終了する。一方、アラームパターンが定義されている場合は(ステップS502で「Yes」)、ステップS503に処理を進めて、通知されたアラームNo.を含むアラーム情報をアラーム蓄積データベース109から取得し、ステップS504にて、定義されている(登録済みの)アラームパターンの数をパターン管理データベース104から取得したのち、ステップS505にて、取得したアラーム情報から始まるアラーム発生シーケンスと、各アラームパターンにて規定されるアクション実行条件との合致を検索するためのサブ処理を、アラームパターンの数だけ起動したのち、ステップS501に処理を戻して次のアラームが発生するのを待つ。
このように、メイン処理は、新たなアラームが発生する毎に、当該アラームを起点とするアラーム発生シーケンスが、定義されたそれぞれのアラームパターンのアクション実行条件に合致するか否かを検索するためのサブ処理の起動を繰り返す。
図6に示すサブ処理が起動されると、まずステップS601にて、自身が判定の対象とすべきアラームパターンのアラーム構成情報をパターン管理データベース104から取得する。次に、ステップS602にて、取得したアラーム構成情報の先頭の行のアラーム発生条件にて規定されるアラーム信号の種別に対応するアラーム名称と、起点となるアラーム情報のアラーム名称とが一致するか否かを判定し、一致していなければ(ステップS602で「No」)、その時点で自身のサブ処理を終了し、一致していれば(ステップS602で「Yes」)、ステップS603に処理を進める。したがって、ステップS603以下は、起点となるアラーム情報と先頭のアラーム発生条件との両者のアラーム名称が一致している場合のみに実行される。
次に、ステップS603にて、アラーム蓄積データベース109に登録される次のアラーム情報を取得する。取得できなかった場合は(ステップS603で「No」)、次のアラーム情報が取得できるまで待機する。次のアラーム情報が取得できた場合は(ステップS603で「Yes」)、ステップS604に処理を進めて、当該アラーム情報が次のアラーム発生条件に合致するか否かを判定し、合致していない場合は(ステップS604で「No」)、ステップS607に処理を進めて付加条件が成立可か否かを判定する。このとき、付加条件が指定されていない場合、または付加条件にて指定された許容最長時間に至っていない場合には、付加条件が成立可と判定し(ステップS607で「Yes」)、ステップS603に処理を戻して次のアラーム情報が取得できるまで待機する。一方、付加条件にて指定された許容最長時間が経過している場合には、付加条件が成立不可と判定し(ステップS607で「No」)、自身のサブ処理を終了する。
また、ステップS604において次のアラーム発生条件に合致している場合は(ステップS604で「Yes」)、ステップS605に処理を進めて指定アクションが存在しているか否かを判定し、存在していない場合は(ステップS605で「No」)、ステップS608に処理を進める。一方、指定アクションが存在している場合は(ステップS605で「Yes」)、ステップS606に処理を進めて、指定アクションの実行条件が成立した旨を処理実行マネージャ105に通知する。これにより、処理実行マネージャ105は、指定アクションの実行条件が成立したアラームパターンの名称と指定アクションの内容とを表示装置107に表示したのち、オペレータからの指示にしたがって当該アクションを実行する。
また、ステップS608では、判定対象となる次のアラーム発生条件が存在しているか否かを判定し、存在していない場合は(ステップS608で「No」)、自身が判定対象とするアラームパターンとの合致検索処理が完了したので、自身のサブ処理を終了する。一方、次のアラーム発生条件が存在している場合は(ステップS608で「Yes」)、判定対象のアラーム発生条件を1つ先に進めてステップS602に処理を戻して、前記の処理を繰り返す。
図7は、アクション実行条件が成立したときに、処理実行マネージャ105によって表示装置107に表示される、実行待機ダイアログ710および表示装置画面700の表示例である。
表示装置画面700内に表示される実行待機ダイアログ710には、処理実行判定部106によってアクション実行条件が成立したものと判定された全ての指定アクションについて、当該アクション実行条件が規定されているアラームパターンの名称と、当該アクションの内容とが一覧表示される。図7の例では、アクション情報711は、アラームパターン「SSS異常対応構成」にて実行条件が規定されている「画面No.211を展開」アクションが、アクション情報713は、アラームパターン「SSS異常対応構成」にて実行条件が規定されている「画面No.311を展開」アクションが、それぞれ実行可能であることを表している。
ここで、実行待機ダイアログ710に表示されている各アクションを実行するか否かはオペレータの判断に委ねるものとし、例えば、オペレータがアクション情報711に表示されているアクション実行ボタン712を押下することにより、処理実行マネージャ105が、当該アクションを実行する。その結果、例えば表示装置画面700の表示内容は、画面No.211を表示する画面720に書き換えられ、これにより、オペレータはこのアラームパターンへの対処を的確に行うことができる。なお、実行が不要であると判断したアクションの情報は、当該アクションの情報が表示されている行を選択して削除ボタン714を押下することによって、実行待機ダイアログ710から削除することができる。
また、「画面No.211を展開」アクションが実行されたときに画面720によって隠されている実行待機ダイアログを表示させた場合、実行待機ダイアログ730のように、実行が完了した「画面No.211を展開」アクションの情報は、処理実行マネージャ105によって自動的に消去される。
以下、具体的なデータ例を用いて、本発明に係るプラント監視制御装置の動作を詳しく説明する。図8は、パターン管理データベース104に登録されるアラーム構成情報のデータ例であり、図2から図4を用いて前記したパターン定義時の各画面のデータ例とも一致している。また、図9は、アラーム蓄積データベース109に登録されるアラームリストのデータ例である。以下では、図8に示したアラーム構成情報800,810,820がパターン管理データベース104に登録されている状態で、図9に示したアラームリスト900のNo.1からNo.6の順に各アラーム情報が逐次登録されていくものと仮定して、プラント監視制御装置100の動作を説明する。
プラント監視制御装置100が起動されると、処理実行判定部106は、図5のメイン処理を開始し、アラームが発生するのを待つ(ステップS501)。ここで、図9のアラームリスト900の1行目に示すように、発生日時「15:00:00」(日付は省略。以下同様。)にアラームNo.「No.004」でアラーム名称「アラームD」のアラーム(以下、アラーム名称を用いて各アラームを区別する。)が検知され、アラーム情報901がアラームリスト900に登録される。それに伴い、処理実行判定部106は、図5のステップS502に処理を進め、パターン管理データベース104にパターンが定義されているか否かを判定する。
このとき、パターン管理データベース104には、少なくとも1つ以上のアラームパターンが定義されているため、ステップS503に処理を進め、アラームDのアラーム情報を取得する。次に、ステップS504では、パターン管理データベース104に定義されているパターン数として「3」を取得する。最後に、ステップS505にて、定義されている全パターン(今回は3パターン)において、今回取得したアラームDを起点とする以後のアラーム発生シーケンスが、定義された各アラームパターンのアラーム発生条件に合致するか否かを検索するための3つのサブ処理が開始される。すなわち、各アラームパターンに対してそれぞれ1つずつのサブ処理が並列に実行されることになる。このとき、それぞれのサブ処理について合致を検索すべきアラーム発生条件をパラメータとして保持しておくことにより、あるサブ処理が合致を検索しているアラーム発生条件が途中で変更された場合であっても、実行中のサブ処理が変更前のアラーム発生条件の合致の検索を継続する一方で、新たなサブ処理によって変更後のアラーム発生条件の合致を検索することが可能となる。そののち、メイン処理をステップS501に戻して次のアラームが発生するのを待つ。
続いて、開始された3つのサブ処理の動作を説明する。
まず、1つ目のアラームパターンであるSSS異常対応構成についてのサブ処理においては、ステップS601にてアラーム構成情報800を取得し、続くステップS602にて、起点となるアラームDと、アラーム構成情報800の1番目のアラーム発生条件801にて規定されるアラーム名称とが一致するか否かを判定する。ここでは、アラーム発生条件801のアラーム名称はアラームGであり、両者のアラーム名称が一致しないので、直ちに自身のサブ処理を終了する。同様に、2つ目および3つ目のアラームパターンについてのサブ処理においても、アラーム名称が一致しないので、直ちに自身のサブ処理を終了する。その結果、開始された3つのサブ処理はいずれも終了し、メイン処理だけが次のアラームの発生を待っている状態となる。
次に、図9のアラームリスト900の2行目に示すように、発生日時「15:01:30」にアラームNo.「No.007」のアラームGが検知され、アラーム情報902がアラームリスト900に登録される。それに伴い、ステップS501にて待機しているメイン処理の実行が再開され、今回は、このアラームGを起点とするアラーム発生シーケンスが、定義された各アラームパターンのアラーム発生条件に合致するか否かを検索するための3つのサブ処理が開始される。以降、アラーム発生に伴うメイン処理の説明は省略する。
今回開始されるサブ処理のうち、SSS異常対応構成についてのサブ処理においては、今回の起点となるアラームGと、ステップS601にて取得したアラーム構成情報800のアラーム発生条件801によって規定されるアラーム名称とが一致する(ステップS602で「Yes」)ので、ステップS603に処理を進めて次のアラーム情報が取得できるまで待機する。それ以外の2つのサブ処理においては、今回の起点となるアラームGとアラーム名称が一致しないので、直ちに自身のサブ処理を終了する。その結果、メイン処理とSSS異常対応構成についてのサブ処理とが、次のアラームの発生を待っている状態となる。
次に、図9のアラームリスト900の3行目に示すように、発生日時「15:01:40」にアラームNo.「No.001」のアラームAが検知され、アラーム情報903がアラームリスト900に登録される。それに伴い、ステップS603にて待機しているSSS異常対応構成についてのサブ処理の実行が再開され、続くステップS604にて、今回取得したアラームAが、2番目のアラーム発生条件802に合致するか否かを判定する。今回は、両者のアラーム名称が一致せず合致しないので、ステップS607に処理を進めて、次に付加条件が成立可か否かを判定する。このときの時刻は、1つ前のアラームGの発生時刻である「15:01:30」から付加条件にて指定されている「60秒以内」の範囲内にあり、このアラーム発生条件が成立する可能性が残されているので、付加条件が成立可と判定し、ステップS603に処理を戻して再び次のアラーム情報が取得できるまで待機する。
これと並行して新たに起動される3つのサブ処理のうち、今回はXXX異常対応構成およびYYY異常対応構成についての2つのサブ処理において、今回の起点となるアラームAと、アラーム発生条件811およびアラーム発生条件821によって既定されているアラーム名称とが一致するので、これら2つのサブ処理はステップS602からステップS603に処理を進めて次のアラーム情報が取得できるまで待機することになる。
次に、図9のアラームリスト900の4行目に示すように、発生日時「15:02:20」にアラームNo.「No.003」のアラームCが検知され、アラーム情報904がアラームリスト900に登録される。それに伴い、ステップS603にて待機している前記3つのサブ処理の実行が再開される。
このうち、SSS異常対応構成についてのサブ処理においては、ステップS604にて、今回取得したアラームCの発生時刻「15:02:20」が1つ前のアラームGの発生時刻である「15:01:30」から「60秒以内」の範囲内にあり、2番目のアラーム発生条件802に合致する(アラーム名称が一致し付加条件も成立している)と判定し、ステップS605に処理を進める。しかし、アラーム発生条件802には指定アクションが存在しない(「−」マーク)ため、ステップS608に処理を進め、次のアラーム発生条件803が存在するので、ステップS603に処理を戻して次のアラーム情報が取得できるまで待機する。
一方、XXX異常対応構成についてのサブ処理においては、2番目のアラーム発生条件812に対し、今回取得したアラームCはアラーム名称は一致するが、その発生時刻「15:02:20」が1つ前のアラームAの発生時刻である「15:01:40」から「30秒以内」の範囲を超えているので、ステップS604にてアラーム発生条件に合致しない(アラーム名称は一致するが付加条件が成立しない)と判定し、ステップS607に処理を進める。この場合、すでに付加条件にて指定された範囲の時間を過ぎており、このアラーム発生条件812が成立する可能性はなくなっているので、ステップS607では付加条件が成立不可と判定し、自身のサブ処理を終了する。すなわち、「15:01:40」に発生したアラームAを起点として開始されたXXX異常対応構成についてのサブ処理は、付加条件が成立不可と判定された「15:02:20」の時刻に終了することになる。
他方、YYY異常対応構成についてのサブ処理においては、2番目のアラーム発生条件822に対し、今回取得したアラームCはアラーム名称が一致せず、付加条件にて指定された時間の範囲内にあるので、ステップ604からステップS607に処理を進めたのちステップS603に処理を戻して再び次のアラーム情報が取得できるまで待機する。その結果、メイン処理と、SSS異常対応構成およびYYY異常対応構成についての2つのサブ処理とが、次のアラームの発生を待っている状態となる。
次に、図9のアラームリスト900の5行目に示すように、発生日時「15:02:30」にアラームNo.「No.010」のアラームJが検知され、アラーム情報905がアラームリスト900に登録される。それに伴い、ステップS603にて待機しているSSS異常対応構成およびYYY異常対応構成ついての2つのサブ処理の実行が再開される。
このうち、SSS異常対応構成についてのサブ処理においては、ステップS604にて、今回取得したアラームJの発生時刻「15:02:30」が1つ前のアラームCの発生時刻である「15:02:20」から「30秒以内」の範囲内にあり、3番目のアラーム発生条件803に合致する(アラーム名称が一致し付加条件も成立している)と判定し、ステップS605に処理を進める。ここで、アラーム発生条件803には指定アクションが存在しているので、ステップS606に処理を進めて、当該アクションの実行条件が成立した旨を処理実行マネージャ105に通知する。これにより、処理実行マネージャ105が表示装置107に実行待機ダイアログ710(図7)を表示し、アクション実行条件が成立したアラームパターンの名称と当該アクションの内容とを表示する(アクション情報711)。
これに対して、オペレータがアクション実行ボタン712を押下すれば、該当する「画面No.211を展開」アクションが実行され、表示装置画面700が画面No.211を表示する画面720に書き換えられる。なお、オペレータがアクション実行ボタン712を押下しなければ、表示装置画面700はそのまま維持されて処理が継続される。ここでは、オペレータがアクション実行ボタン712を押下しなかったものとする。
次に、SSS異常対応構成についてのサブ処理においては、ステップS608にて次のアラーム発生条件804が存在するので、ステップS603に処理を戻して次のアラーム情報が取得できるまで待機する。
一方、YYY異常対応構成についてのサブ処理においては、ステップS604にて、今回取得したアラームJは2番目のアラーム発生条件822に合致しないので、ステップS607に処理を進め、アラームJの発生時刻「15:02:30」が、1つ前のアラームAの発生時刻である「15:01:40」から「45秒以内」の範囲を超えているため、付加条件は成立付加と判定し、この時点で自身のサブ処理を終了する。すなわち、「15:01:40」に発生したアラームAを起点として開始されたYYY異常対応構成についてのサブ処理は、付加条件が成立不可と判定された「15:02:30」の時刻に終了し、以降サブ処理としては、SSS異常対応構成についてのサブ処理だけが処理を継続することになる。
次に、図9のアラームリスト900の6行目に示すように、発生日時「15:02:55」にアラームNo.「No.008」のアラームHが検知され、アラーム情報906がアラームリスト900に登録される。それに伴い、ステップS603にて待機しているSSS異常対応構成についてのサブ処理の実行が再開される。
SSS異常対応構成についてのサブ処理においては、ステップS604にて、今回取得したアラームHの発生時刻「15:02:55」が1つ前のアラームJの発生時刻である「15:02:30」から「20〜40秒以内」の範囲内にあり、4番目のアラーム発生条件804に合致する(アラーム名称が一致し付加条件も成立している)と判定し、ステップS605に処理を進める。ここで、アラーム発生条件804には指定アクションが存在しているので、ステップS606に処理を進めて、当該アクションの実行条件が成立した旨を処理実行マネージャ105に通知する。これにより、処理実行マネージャ105は表示装置107に表示されている実行待機ダイアログ710(図7)に、当該アクション実行条件が成立したアラームパターンの名称と当該アクションの内容とを追加して表示する(アクション情報713)。
次に、SSS異常対応構成についてのサブ処理においては、ステップS608にて次のアラーム発生条件805が存在しない(「−」マーク)ので、自身のサブ処理を終了し、この時点で全てのサブ処理が終了することになる。
ここで、オペレータが実行待機ダイアログ710に表示されているアクション実行ボタン712を押下したものとする。それにより、該当する「画面No.211を展開」アクションが実行され、表示装置画面700が画面No.211を表示する画面720に書き換えられる。また、画面720の裏側に隠れて見えなくなっている実行待機ダイアログ730を表示させた場合、実行が完了した「画面No.211を展開」アクションのアクション情報711は消去されている。
以上説明したように、本実施形態のプラント監視制御装置によれば、プラント装置にて検知された全てのアラームを抑止することなしに、オペレータによる対処が必要な特定のアラーム発生シーケンスが発生したときだけに、指定したアクションを実行させてオペレータに通知することが可能となる。よって、オペレータが対応すべきアラームの数を低減するとともに、経験による知識を活用したガイダンスを行うことができ、オペレータの作業量を軽減することが可能である。
また、プラント監視制御の実行中においても、検出対象のアラームパターンの追加や変更が可能なので、監視制御対象のプラント装置の状態に適合するように、定義済みのアラームパターンを適宜修正していくことも可能である。