JP5764043B2 - 車両の制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、複数の制御ユニットが車内ネットワークを介して相互通信可能に接続された車両の制御システムに関する。
一般に、車両の制御システムは、エンジン制御ユニットやトランスミッション制御ユニット等の各種制御ユニットがCAN(Controller Area Network)等の車内ネットワークを介して相互通信可能に接続されることにより構成されている。この種の制御システムにおいて、各制御ユニット間では診断通信等が行われ、この通信結果に基づいて通信エラー等の故障が診断される。
また、近年の車両においては、燃費の向上や排気エミッションの低減等を目的として、信号待ち等の車両停止時にエンジンを一時的に自動停止させるアイドルストップ機能が実用化されている。このようなアイドルストップ車両の制御システムはアイドルストップ制御ユニット(ISS制御ユニット)を有して構成され、ISS制御ユニットは、予め設定された条件に基づいてエンジンの自動停止や再始動等の制御を行う。
ところで、エンジン始動用のスタータは消費電力が大きいため、特に、エンジンの停止と再始動が繰り返されるアイドルストップ車両では、バッテリへの負担が大きく、エンジン始動の瞬間にバッテリ出力系統の電圧が一時的に降下する可能性が高くなる。そこで、このような電源電圧の降下を補償するため、バッテリ出力系統の中途にバックアップ電源を介装し、このバックアップ電源を介して制御ユニットに対する給電を行う等の対策がなされている。この場合の電圧補償は、バックアップ電源の容量等の関係上、全ての制御ユニットに対して行われるわけではなく、通常、エンジン再始動時においても動作保証が必要な所定の制御ユニットに限定される。
その一方で、上述のようにバックアップ給電が行われる制御ユニットと行われない制御ユニットとが同一ネットワーク上に混在する場合、エンジン再始動時等にバックアップ給電が行われていない制御ユニットが停止状態等になったとき、バックアップ給電が行われている制御ユニットにおいて通信エラー等の誤診断を行う虞がある。そこで、例えば、特許文献1には、バックアップ給電が行われる制御ユニット(ブレーキ制御ユニット)に対し、バックアップ給電が行われない制御ユニットやセンサ等を予め設定し、この設定に基づき、アイドルストップで停止したエンジンの再始動中にはバックアップ給電がされない他のユニットとは通信途絶(通信エラー)の有無の診断を行わないよう設定した技術が開示されている。
特開2011−1028号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術のように、バックアップ給電が行われるブレーキ制御ユニット等の制御ユニットに対し、バックアップ給電が行われない制御ユニットやセンサ等を予め設定することは、設定作業の煩雑化を招く虞がある。
また、上述の特許文献1に開示された技術のように、エンジンの再始動中を条件として通信エラーの診断を中断した場合、例えば、バッテリの交換直後等のように電圧降下が少ない場合にも通信エラーの診断が中断されてしまい、診断機会を必要以上に制限してしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、煩雑な設定等を必要とせず、診断機会を必要以上に制限することなく、通信エラーの誤診断を的確に防止することができる車両の制御システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様による車両の制御システムは、電圧降下を補償するバックアップ電源を介して主電源からの電力供給を行う第1の給電系統に接続された第1の制御ユニットと、前記バックアップ電源を介さずに前記主電源からの電力供給を行う第2の給電系統に接続された第2の制御ユニットと、前記第1の給電系統及び前記第2の給電系統に接続された第3の制御ユニットと、を少なくともそれぞれ1以上備え、前記各制御ユニットが車内ネットワークを介して相互通信可能に接続されるとともに、前記各制御ユニットにおいて相互間の通信エラー診断を行う車両の制御システムであって、前記第3の制御ユニットの中から予め選択された特定の制御ユニットは、前記第2の給電系統からの電圧が予め設定された設定電圧以下であることを判定したとき、前記第2の給電系統からの電圧が前記設定電圧以上に回復するまでの間、前記各制御ユニットに対して前記通信エラー診断の禁止を指示し、前記第1の制御ユニット及び前記第3の制御ユニットは、前記特定の制御ユニットによって前記通信エラー診断の禁止が指示されている場合であっても、当該禁止の指示が設定時間以上継続している場合には前記通信エラー診断を再開するものである。
本発明の車両の制御システムによれば、煩雑な設定等を必要とせず、診断機会を必要以上に制限することなく、通信エラーの誤診断を的確に防止することができる。
車両の制御システムの概略構成図 アイドルストップ制御ユニットにおいて実行されるメイン電源電圧低下フラグ設定ルーチンを示すフローチャート 電源バックアップがされている制御ユニットにおいて実行される診断許可判定ルーチンを示すフローチャート 電源バックアップがされていない制御ユニットにおいて実行される診断許可判定ルーチンを示すフローチャート 通信エラー判定ルーチンを示すフローチャート イグニッション電圧についての説明図 通信エラー判定についての説明図
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1は車両の制御システムの概略構成図、図2はアイドルストップ制御ユニットにおいて実行されるメイン電源電圧低下フラグ設定ルーチンを示すフローチャート、図3は電源バックアップがされている制御ユニットにおいて実行される診断許可判定ルーチンを示すフローチャート、図4は電源バックアップがされていない制御ユニットにおいて実行される診断許可判定ルーチンを示すフローチャート、図5は通信エラー判定ルーチンを示すフローチャート、図6はイグニッション電圧についての説明図、図7は通信エラー判定についての説明図である。
図1に示す制御システム1は、予め設定された停止条件が成立したときエンジン2を自動停止させると共に、予め設定された始動条件が成立したときエンジン2を再始動させるアイドルストップ制御機能を備えた車両に搭載されるものである。
この制御システム1は、例えば、アイドルストップ制御を行うための制御ユニットとして、アイドルストップ制御ユニット(ISS_ECU)5を有する。このISS_ECU5には、例えば、CAN(Controller Area Network)等からなる第1の車内ネットワーク15を介して、エンジン制御ユニット(E/G_ECU)6、ボディ統合制御ユニット(統合_ECU)7、制動力制御ユニット(BRK_ECU)8、及び、トランスミッション制御ユニット(T/M_ECU)9等の各種制御ユニットが相互通信可能に接続されている。さらに、統合_ECU7には、第1の車内ネットワーク15とは通信速度の異なるCAN等からなる第2の車内ネットワーク16を介して、メータ制御ユニット(メータ_ECU)10、ナビゲーション制御ユニット(ナビ_ECU)11等の各種制御ユニットが相互通信可能に接続されている。
ISS_ECU5には、例えば、第1の車内ネットワーク15を通じて、BRK_ECU8からブレーキペダルスイッチのオン/オフ状態を示す信号が入力されるとともに、E/G_ECU6からアクセルペダルスイッチのオン/オフ状態を示す信号が入力される。さらに、ISS_ECU5には、例えば、T/M_ECU9からシフトレバー位置を示す信号、及び、自車速を示す信号等が入力される。
そして、ISS_ECU5は、例えば、ブレーキペダルが踏み込まれ(ブレーキペダルスイッチがオンされ)、アクセルペダルが解放され(アクセルペダルスイッチがオフされ)、シフトレバー位置が「P」、「N」、「D」、「3速」、「2速」、「1速」の何れかで、且つ、自車速が略0である場合に、エンジン2の自動停止を実行する。すなわち、ISS_ECU5は、E/G_ECU6に対してエンジン2の停止を指示する。
一方、エンジン2の自動停止中において、例えば、ブレーキペダルが解放された場合(ブレーキペダルスイッチがオフされた場合)、或いは、アクセルペダルが踏み込まれた場合(アクセルペダルスイッチがオンされた場合)には、ISS_ECU5は、エンジン2の再始動を実行する。すなわち、ISS_ECU5は、主電源であるバッテリ20からスタータモータ21への通電制御を行うことによってエンジン2のクランキングを行うとともに、E/G_ECU6に対してエンジン制御の開始を指示する。さらに、ISS_ECU5は、例えば、ブレーキペダルが解放された場合にも坂道等での車両の後退等を防止するヒルホールド機能を実現するため、BRK_ECU8に対して電動パーキングブレーキ22の作動を指示する。
ここで、エンジン2の再始動時において、継続的なクランキングに許容される最大時間(最大クランキング時間)は、車載の電装品等に応じて車両に固有に設定されるものである。すなわち、最大クランキング時間は、例えば、クランキング中のスタータモータ21による大電力の消費に伴い、バッテリ20からイグニッションスイッチ23を通じて各種電装品に供給されるメイン電圧(イグニッション電圧)V0が低下した場合にも、所定の電装品の機能を維持することが可能な時間に基づいて設定されている。例えば、ヒルホールド機能を備えた本実施形態の車両では、最大クランキング時間は、クランキング中に電動パーキングブレーキ22の機能を維持可能な時間以下に設定されている。なお、ヒルホールド機能は、BRK_ECU8等がソレノイドを駆動することなどでも実現でき、必ずしも電動パーキングブレーキ搭載車である必要は無い。
また、本実施形態の制御システム1では、クランキング中にメイン電圧V0が低下した場合にも、エンジン始動制御等に係る特定のECUについての動作保証を行うべく、予め設定された所定のECU等に対しては、電圧降下を補償するバックアップ電源を介してバッテリ20からの電力供給が行われる。
本実施形態において、バックアップ電源はDC−DCコンバータ24によって構成されており、DC−DCコンバータ24を介して電力供給が行われる第1の給電系統25には、例えば、ISS_ECU5、E/G_ECU6、統合_ECU7、メータ_ECU10、及び、ナビ_ECU11等が接続され、これら各ECUには電圧補償されたメイン電圧V1が供給される。なお、メータ_ECU10、ナビ_ECU11等は、図示しないコンビネーションメータやナビゲーション装置等の表示がクランキング時に不安定になることへの対策として第1の給電系統25に接続されるものである。
一方、DC−DCコンバータ24を介さずに、メイン電圧V0が供給される第2の給電系統26には、例えば、BRK_ECU8、T/M_ECU9等が接続されるとともに、電動パーキングブレーキ22等の各種電装品が接続される。さらに、メイン電圧V0のモニタリング等を行うため、第2の給電系統26には、ISS_ECU5が接続されている。
このように、本実施形態の制御システム1において、第1の給電系統25からの電力供給が行われるE/G_ECU6、統合_ECU7、メータ_ECU10、及び、ナビ_ECU11等は、第1の制御ユニットに分類される。また、第2の給電系統26からの電力供給が行われるBRK_ECU8、T/M_ECU9等は、第2の制御ユニットに分類される。さらに、第1の給電系統25及び第2の給電系統26からの電力供給が行われるISS_ECU5は、第3の制御ユニットに分類される。
このような制御システム1における故障診断の1つとして、各ECU5〜11は、相互間において、所定の診断用データの通信を所定時間毎に繰り返し行う。そして、各ECU5〜11は、予め設定したフレーム数以上連続して他のECUからの診断用データが途絶等している場合には、当該ECUとの間でデータ未着エラーが発生していることを判定する。そして、このようなデータ未着エラー判定(通信エラー診断)を各ECU5〜11にて行うことにより、制御システム1では、車内ネットワーク15,16の断線等による故障の有無や断線箇所等の特定を行うことが可能となっている。
ここで、例えば、図6に示すように、本実施形態の各ECU5〜11は、例えば、電源電圧が9V以上である場合に動作保証がされている。換言すれば、クランキング等によってメイン電圧V0が低下した場合でも、当該メイン電圧V0が9V以上であれば、第2の給電系統26のみに接続されたBRK_ECU8、及びT/M_ECU9等であっても、リセット等されることなく、その動作が保証されている。一方、本実施形態のDC−DCコンバータ24は、例えば、メイン電圧(イグニッション電圧)V0が6V以上であれば、第1の給電系統25に接続する各ECU5〜7,10,11に対して電圧補償可能となっている。
従って、クランキング等によってメイン電圧V0が9Vを下回った場合には、動作中のECUとリセット等によって通信不能となっているECUとが混在する。そこで、ISS_ECU5は、メイン電圧V0が設定電圧(閾値V0th)以下であることを判定したとき、メイン電圧V0が閾値V0th以上に回復するまでの間、各ECUに対し、通信エラー診断の禁止を指示する。具体的には、ISS_ECU5は、メイン電圧V0が閾値V0th以下であることを判定したとき、メイン電源電圧低下フラグFを「1」にセットし、当該フラグFを、通信エラー診断の禁止を指示するフラグとして、各ECUに対して送信する。
次に、ISS_ECU5において実行されるメイン電源電圧低下フラグ設定制御について、図2に示すメイン電源電圧低下フラグ設定ルーチンのフローチャートに従って説明する。
このルーチンは設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、ISS_ECU5は、ステップS101において、第2の給電系統26を介してバッテリ20から供給されるメイン電源電圧(イグニッション電圧)V0が予め設定された閾値V0thよりも低いか否かを調べる。ここで、本実施形態において、閾値V0thは、例えば、各ECU5〜11に対して動作保証がされている電圧9Vにマージンを考慮して設定されるものであり、例えば、V0th=10Vに設定されている(図6参照)。
そして、ステップS101において、メイン電源電圧V0が閾値V0thよりも低いと判定した場合、ISS_ECU5は、ステップS102に進み、メイン電源電圧低下フラグFを「1」にセットした後、ステップS104に進む。
一方、ステップS101において、メイン電源電圧V0が閾値V0th以上であると判定した場合、ISS_ECU5は、ステップS103に進み、メイン電源電圧低下フラグFを「0」にリセットした後、ステップS104に進む。
そして、ステップS102或いはステップS103からステップS104に進むと、ISS_ECU5は、第1,第2の車内ネットワーク15,16を介して、メイン電源電圧低下フラグFを各ECU等に送信した後、ルーチンを抜ける。
次に、第1,第3の制御ユニットに分類される各ECU5〜7,10,11において実行される診断許可判定について説明する。なお、各ECU5〜7,10,11においては、それぞれ同様の診断許可判定が行われるものであるため、以下の説明では、これらを代表して、例えば、E/G_ECU6において実行される診断許可判定について、図3に示す診断許可判定ルーチンのフローチャートに従って説明する。
このルーチンは設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、E/G_ECU6は、ステップS201において、第1の給電系統25を介してバッテリ20から供給されるメイン電源電圧V1が予め設定された閾値V1thよりも低いか否かを調べる。ここで、本実施形態において、閾値V1thは、例えば、E/G_ECU6に対して動作保証がされている電圧9Vにマージンを考慮して設定されるものであり、例えば、V1th=10Vに設定されている。
そして、ステップS201において、メイン電源電圧V1が閾値V1thよりも低いと判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS207にジャンプする。
一方、ステップS201において、メイン電源電圧V1が閾値V1th以上であると判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS202に進み、メイン電源電圧V1が閾値V1th以上となってからの経過時間T1が予め設定された閾値T1th以上であるか否かを調べる。ここで、閾値T1thは、例えば、イグニッションスイッチ23のオン操作等によって9V以上の電源電圧が印加されてからE/G_ECU6が正常に起動するまでの時間を考慮して設定されるものであり、例えば、T1th=1秒に設定されている。
そして、ステップS202において、メイン電源電圧V1が閾値V1th以上となってからの経過時間T1が閾値T1thよりも短いと判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS207にジャンプする。
一方、ステップS202において、メイン電源電圧V1が閾値V1th以上となってからの経過時間T1が閾値T1th以上であると判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS203に進み、メイン電源電圧低下フラグFが「1」であるか否かを調べる。
そして、ステップS203において、メイン電源電圧低下フラグFが「0」であると判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS204に進み、メイン電源電圧低下フラFが「0」となってからの経過時間T2が予め設定された閾値T2th以上であるか否かを調べる。ここで、閾値T2thは、例えば、メイン電源電圧V0が9V以上となってからBRK_ECU8及びT/M_ECU9等が正常に起動するまでの時間を考慮して設定されるものであり、例えば、T2th=1秒に設定されている。
そして、ステップS204において、メイン電源電圧低下フラグFが「0」となってからの経過時間T2が閾値T2thよりも短いと判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS207にジャンプする。
一方、ステップS204において、メイン電源電圧低下フラグFが「0」となってからの経過時間T2が閾値T2th以上であると判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS206に進む。
また、ステップS203において、メイン電源電圧低下フラグFが「1」であると判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS205に進み、メイン電源電圧低下フラグFが「1」となってからの経過時間T3が予め設定された閾値T3th以上であるか否かを調べる。ここで、閾値T3thは、例えば、車両に設定された最大クランキング時間に基づいて設定されるものである。
そして、ステップS205において、メイン電源電圧低下フラグFが「1」となってからの経過時間T3が閾値T3th以上であると判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS206に進む。すなわち、一般に、メイン電源電圧低下フラグFが最大クランキング時間以上継続して「1」にセットされることは考えにくい。そこで、E/G_ECU6は、経過時間T3がT3th以上である場合には、メイン電源電圧低下フラグFが何らかの要因で「1」に固着していると判断し、F=1であってもステップS206に進む。
一方、ステップS205において、メイン電源電圧低下フラグFが「1」となってからの経過時間T3が閾値T3thよりも短いと判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS207に進む。
そして、ステップS204、或いは、ステップS205からステップS206に進むと、E/G_ECU6は、他の各ECU等との通信エラーの診断を許可する判定を行った後、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS201、ステップS202、ステップS204、或いは、ステップS205からステップS207に進むと、E/G_ECU6は、他の各ECU等との通信エラーの診断を禁止する判定を行った後、ルーチンを抜ける。
次に、第2の制御ユニットに分類される各ECU8,9において実行される診断許可判定について説明する。ここで、各ECU8,9にもISS_ECU5からメイン電源電圧低下フラグFが送信されるが、各ECU8,9は、このメイン電源電圧低下フラグFを参照することなく、自らに印加される電源電圧V0に基づいて診断許可判定を行う。なお、各ECU8,9においては、それぞれ同様の診断許可判定が行われるものであるため、以下の説明では、これらを代表して、例えば、BRK_ECU8において実行される診断許可判定について、図4に示す診断許可判定ルーチンのフローチャートに従って説明する。
このルーチンは設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、BRK_ECU9は、ステップS301において、第2の給電系統26を介してバッテリ20から供給されるメイン電源電圧V0が予め設定された閾値V0thよりも低いか否かを調べる。
そして、ステップS301において、メイン電源電圧V0が閾値V0thよりも低いと判定した場合、E/G_ECU6は、ステップS304に進む。
一方、ステップS301において、メイン電源電圧V0が閾値V0th以上であると判定した場合、BRK_ECU8は、ステップS302に進み、メイン電源電圧V0が閾値V0th以上となってからの経過時間T4が予め設定された閾値T4th以上であるか否かを調べる。ここで、閾値T4thは、例えば、9V以上の電源電圧が印加されてからBRK_ECU8が正常に起動するまでの時間を考慮して設定されるものであり、例えば、T4th=1秒に設定されている。
そして、ステップS302において、メイン電源電圧V0が閾値V0th以上となってからの経過時間T4が閾値T4th以上であると判定した場合、BRK_ECU8は、ステップS303に進み、他の各ECU等との通信エラーの診断を許可する判定を行った後、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS302において、メイン電源電圧V0が閾値V0th以上となってからの経過時間T4が閾値T4thよりも短いと判定した場合、BRK_ECU8は、ステップS304に進む。
そして、ステップS301、或いは、ステップS302からステップS304に進むと、BRK_ECU8は、他の各ECU等との通信エラーの診断を禁止する判定を行った後、ルーチンを抜ける。
次に、各ECU5〜11において実行される通信エラー判定について説明する。なお、各ECU5〜11においては、それぞれ同様の通信エラー判定が行われるものであるため、以下の説明では、これらを代表して、例えば、ISS_ECU5において実行される通信エラー判定について、図5に示す通信エラー判定ルーチンのフローチャートに従って説明する。
このルーチンは設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、ISS_ECU5は、先ず、ステップS401において、現在、通信エラーの診断が許可されているか否かを調べる。
そして、ステップS401において、通信エラーの診断許可がされていないと判定した場合、ISS_ECU5は、そのままルーチンを抜ける。
一方、ステップS401において、通信エラーの診断許可がされていると判定した場合、ISS_ECU5は、ステップS402に進み、前回までの診断結果に基づき、診断対象となるECUとの間の通信状態が正常である否かを調べる。
そして、ステップS402において、前回までの通信状態が正常であると判定されていない場合(すなわち、通信エラー発生中であると判定されている場合)、ISS_ECU5は、ステップS403に進み、現フレームまでの過去100フレーム中に50フレーム以上連続して診断対象となるECUとの異常な通信状態(診断用データの途絶やエラー等)があったか否かを調べる。
そして、ステップS403において、現フレームまでの100フレーム中において連続する異常な通信状態が50フレーム以上であると判定した場合、ISS_ECU5は、ステップS406に進む。
一方、ステップS403において、現フレームまでの100フレーム中において連続する異常な通信状態が50フレーム未満であると判定した場合(図7参照)、ISS_ECU5は、ステップS407に進む。
また、ステップS402において、前回までの通信状態が正常であると判定されている場合、ISS_ECU5は、ステップS404に進み、今回、対象となるECUから正常な信号(診断用データ)を受信したか否かを調べる。
そして、ステップS404において、今回、対象となるECUから正常な信号を受信したと判定した場合、ISS_ECU5は、ステップS407に進む。
一方、ステップS404において、今回、対象となるECUからの通信状態が異常であると判定した場合、ISS_ECU5は、ステップS405に進み、対象となるECUからの異常な通信状態が50フレーム以上連続しているか否かを調べる。
そして、ステップS405において、対象となるECUからの異常な通信状態の連続数が50フレーム以上であると判定した場合(図7参照)、ISS_ECU5は、ステップS407に進む。
一方、ステップS405において、対象となるECUからの以上な通信状態の連続数が50フレーム未満であると判定した場合、ISS_ECU5は、ステップS406に進む。
ステップS403、或いは、ステップS405からステップS406に進むと、ISS_ECU5は、現在、対象となるECUとの間で通信エラーが発生中であると判定した後、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS403、ステップS404、或いは、ステップS405からステップS407に進むと、ISS_ECU5は、現在、対象となるECUとの間の通信状態は正常であると判定した後、ルーチンを抜ける。
このような実施形態によれば、バックアップ電源であるDC−DCコンバータ24を介してバッテリ20からの電力供給を行う第1の給電系統25に接続されるとともに、DC−DCコンバータ24を介さずにバッテリ20からの電力供給を行う第2の給電系統26に接続されたISS_ECU5を備え、このISS_ECU5によって、第2の給電系統26からの電源電圧V0が予め設定された設定電圧V0th以下であることを判定したとき、少なくとも第1の給電系統25に接続された各制御ユニット5〜11に対して通信エラー診断の禁止を指示することにより、煩雑な設定等を必要とせず、診断機会を必要以上に制限することなく、通信エラーの誤診断を的確に防止することができる。
すなわち、ISS_ECU5において電源電圧V0(イグニッション電源電圧)をモニタリングし、当該電源電圧V0が低下した際には、DC−DCコンバータ24によって電圧補償がされている各ECUに対して、通信エラー診断の禁止を指示するメイン電源電圧低下フラグF=1を送信することにより、バックアップ給電が行われる第1,第3の制御ユニット(各ECU5〜7,10,11)等に対し、バックアップ給電が行われない第2の制御ユニット(各ECU8,9)等の情報を予め設定する等の煩雑な作業を必要とすることなく、各ECU8,9がリセット等されることに起因する通信エラーの誤診断を的確に防止することができる。
また、通信エラー診断の禁止の判定は電源電圧V0に基づいて行われるため、例えば、バッテリ20が新品である場合等のように、クランキング中においても電源電圧V0がさほど低下しない状況下では通信エラー診断の禁止が指示されない。従って、クランキング中に一律的に通信エラー診断を中止する構成に比べ、診断機会を十分に確保することができる。
また、通信エラー診断の禁止の指示(すなわち、メイン電源電圧低下フラグF=1となる状態)がクランキング時間として想定し得ない時間以上継続した場合には、各ECU5〜7,10,11における通信エラー診断を再開することにより、何らかの要因によってメイン電源電圧低下フラグFが固着等した場合にも、通信エラー診断を的確に再開させることができる。
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、制御システムを構成する各制御ユニットは、上述のものに限定されるものでないことは勿論である。
また、上述の実施形態においては、ISS_ECU5において通信エラー診断の禁止を指示する構成の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ISS_ECU5の他に第3の制御ユニットとして分類される制御ユニットが存在する場合には、当該制御ユニットによって通信エラー診断の禁止を指示することも可能である。
1 … 制御システム
2 … エンジン
5 … アイドルストップ制御ユニット(第3の制御ユニット)
6 … エンジン制御ユニット(第1の制御ユニット)
7 … ボディ統合制御ユニット(第1の制御ユニット)
8 … 制動力制御ユニット(第2の制御ユニット
9 … トランスミッション制御ユニット(第2の制御ユニット)
10 … メータ制御ユニット(第1の制御ユニット)
11 … ナビゲーション制御ユニット(第1の制御ユニット)
15 … 第1の車内ネットワーク(車内ネットワーク)
16 … 第2の車内ネットワーク(車内ネットワーク)
20 … バッテリ(主電源)
21 … スタータモータ
22 … 電動パーキングブレーキ
23 … イグニッションスイッチ
24 … DC−DCコンバータ(バックアップ電源)
25 … 第1の給電系統
26 … 第2の給電系統

Claims (3)

  1. 電圧降下を補償するバックアップ電源を介して主電源からの電力供給を行う第1の給電系統に接続された第1の制御ユニットと、
    前記バックアップ電源を介さずに前記主電源からの電力供給を行う第2の給電系統に接続された第2の制御ユニットと、
    前記第1の給電系統及び前記第2の給電系統に接続された第3の制御ユニットと、を少なくともそれぞれ1以上備え、前記各制御ユニットが車内ネットワークを介して相互通信可能に接続されるとともに、前記各制御ユニットにおいて相互間の通信エラー診断を行う車両の制御システムであって、
    前記第3の制御ユニットの中から予め選択された特定の制御ユニットは、前記第2の給電系統からの電圧が予め設定された設定電圧以下であることを判定したとき、前記第2の給電系統からの電圧が前記設定電圧以上に回復するまでの間、前記各制御ユニットに対して前記通信エラー診断の禁止を指示し
    前記第1の制御ユニット及び前記第3の制御ユニットは、前記特定の制御ユニットによって前記通信エラー診断の禁止が指示されている場合であっても、当該禁止の指示が設定時間以上継続している場合には前記通信エラー診断を再開することを特徴とする車両の制御システム。
  2. 前記設定時間は、車両に固有に設定されている最大クランキング時間に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1記載の車両の制御システム。
  3. 前記最大クランキング時間は、エンジンのクランキング時にヒルホールド機能を維持可能な時間に基づいて設定されていることを特徴とする請求項2記載の車両の制御システム。
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