JP5761531B2 - 金属製の直方体状基本体の組立方法 - Google Patents

金属製の直方体状基本体の組立方法 Download PDF

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この発明は、金属製の直方体状基本体の組立方法に関するものである。直方体状基本体とは聞き馴れない語であるかも知れないが、棚、ラック、保管庫などの直方体状製品を製造する場合に、その外郭を構成している直方体状の外郭を作る過程で、通常作られる基本的な中間製品である。
金属、とくに鋼板で棚、ラック、保管庫などを製造する場合は、直方体状の外郭を作り、この外郭に引出し、棚板、扉などを付設してそれぞれの商品とされる。その直方体状の外郭は、支柱と梁材とを溶接又はネジ止めしてまず直方体状の枠を作り、この枠の各面に天板、底板、側板及び背板を付設して作られる。この場合、正面はここに引出しを入れたり、開放したり、扉を付設したりして、商品ごとに付設する部材を異にするから、通常開放した状態にされる。こうして作られた直方体状の箱のようなものが、この発明で云う直方体状基本体である。
直方体状基本体は、古くは専ら製造工場の中で作られてきた。このときの基本体の組立方法は、これを記載した文献が見当らない。最近は、基本体を組み立てた状態にして販売しないで、組み立てを購入者自身が行なうという性質の組立商品が多くなった。そのような商品について、基本体の組み立て方法を解説している説明書によると、組立方法は次のとおりである。
基本体を構成する部材としては、支柱、梁材、天板、底板、側板及び背板と、これらを接続するためのネジ等の付属品である。組み立ては、まず、2本の支柱を平行に並べ、その上部と下部とに梁材を固定して、四辺形の枠を作る。次いで、この四辺形を2箇対向して立てておき、その上部と下部とに梁材を固定して直方体状の枠を作る。この枠は強固に固定できていないために、グラつき、真の直方体状に固定されていない。
その後に、直方体状枠の頂面と底とに形成されている四辺形枠に、天板と底板とを付設し、また直方体状枠の左及び右の側面に形成されている四辺形の枠にそれぞれ左側板と右側板とを固定して、上下及び左右の塞がれた構造物を作る。
この場合、天板と底板の付設は、天板と底板を直方体状枠の頂面と底とに形成されている四辺形の枠に入れれば足りるから、その付設は容易である。また、側板には支柱への当接部分にところどころ切り起こしが作られ、切り起こしが断面L字状に突出する状態にされて係止片が付設され、他方、支柱には多数の係止孔が穿設されているので、係止片を係止孔へ差し込むだけで側板を支柱に固定できるから、側板の付設も容易である。
しかし、背板を直方体状枠に付設することは容易でない。支柱の背板当接面は、支柱の強度など構造上の理由から大部分が平坦面となっていて、係止孔は支柱の長手方向の両端に僅かな箇数穿設されているだけであるため、背板はネジ止めせざるを得ないからである。その上に、背板の当接時には支柱が直立しているかどうかを確かめつつ、ネジ止めをしなければならないからである。しかも、支柱の直立は水準器又は垂錘の吊り下げによって確認するという状態であった。そのため背板の固定は煩瑣であって容易でなかった。従って、背板の付設を容易にする方法の出現が望まれた。
この発明は、上述の要望を適えようとして生まれたものである。すなわち、この発明は背板を固定するにあたり、支柱が直立しているかどうかを確認することを必要としないで、背板を直方体状構造物の背面に当接しただけで、そのまま背板を支柱にネジ止めすれば足りるようにすることを目的とするものである。
この発明者は、直方体状構造物を水平面上に立てた状態におけば、その梁材は自然に水平方向に向く筈であり、構造物の背面に形成されている四辺形の枠は、本来直角四辺形となるように作られているから、背面の梁材と支柱との間に形成される挟角を直角に保持さえすれば、支柱は直立状態になることに気付いた。
そして、上記挟角を直角に保持する手段としては、背板を浅い箱状に成形して、箱の側壁にあたる部分(以下、これを起立片という)を互いに直交させておき、この直交する起立片を背面の支柱と梁材とに内接させるのが適していることを確認した。
また、背板を直方体状構造物に固定するには、上記の直交する起立片の先に外側へ突出する接続片を付設しておき、接続片を支柱にネジ止めするのが有効であることを見出した。この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
この発明は、金属製の支柱と梁材とを溶接又はネジ止めして直方体状の枠を作り、枠の頂面、底及び両側面に形成されている四辺形枠にそれぞれ金属製の天板、底板及び側板を付設してなる構造物において、背面に形成されている四辺形枠に背板を付設するにあたり、直角を持った三角形又は四角形の基板のすべての縁に一様な高さの起立片を付設して、少なくとも一組の直交する起立片を持った浅い箱状体を作り、直交する起立片の先に外側へ突出する接続片を付設したものを背板とし、直交する起立片を四辺形枠のかどに内接させ、接続片を四辺形枠にネジ止めすることを特徴とする、直方体状基本体の組立方法を提供するものである。
また、この発明は、金属製の支柱と梁材とを溶接又はネジ止めして直方体状の枠を作り、枠の頂面、底及び側面に形成されている四辺形枠にそれぞれ天板、底板及び側板を付設してなる構造物において、背面に形成されている四辺形枠に背板を付設するにあたり、一辺が四辺形枠の内法の長さに等しく、且つ隣接する少なくとも2箇の直角を持った四辺形板を基板とし、基板のすべての縁に一様な高さの起立片を付設して浅い箱状体を作り、起立片のうち上記直角を挟む起立片の先に外側へ突出する接続片を付設したものを背板とし、直角を挟む起立片を四辺形枠のかどに内接させ、接続片を四辺形枠にネジ止めすることを特徴とする、直方体状基本体の組立方法を提供するものである。
この発明では、背板を従来のように単なる平たい板としないで、少なくとも一組の直交する起立片を持った三角形又は四角形の箱状体としたので、これを直方体状構造物の背面に形成された四辺形枠に入れて、直交する起立片を四辺形枠のかどに内接させることができ、これにより四辺形枠を簡単に直角四辺形に保持することができ、従って支柱を直立状態に容易に保持することができる。
また、起立片の先には外側へ突出する接続片を付設したので、接続片を四辺形枠の外面に密接させることができ、従って接続片を四辺形枠に容易にネジ止めすることができる。
また、背板を浅い箱状としたので、背板が補強され、従って大きな面積の背板でも撓みが小さくなり、容易に操作することができる。また箱状体では、直交する起立片以外の起立片には接続片がない状態となっているので、複数箇の背板を使用する場合には、接続片のない起立片同士を互いに当接してネジ止めすることにより、容易に背板同士を一体にすることができる。
このように、この発明によれば、直方体状構造物の背面に背板を当接するだけで、支柱を直立した状態に矯正して保持することができるので、背板を直方体状構造物の背面に容易に付設することができる。
図1は、従来法に従って、支柱と梁材とを接続して四辺形の枠を作る過程を示した斜視図である。 図2は、従来法に従って、接続した四辺形枠を接続して直方体状の枠を作る過程を示した斜視図である。 図3は、従来法に従って、支柱と梁材とを接続して作った直方体状枠に天板、底板、右側板、左側板及び背板を付設する態様を示した説明図である。 図4は、従来法に従って、組み立てた直方体状構造物にこの発明方法によって、背板を付設する1つの態様を示した一部切欠斜視図である。 図5は、従来法に従って、組み立てた直方体状構造物にこの発明方法によって、他の背板を付設する他の態様を示した一部切欠斜視図である。 図6は、この発明方法により組み立てたさらに別の直方体状基本体の背面図である。
この発明では、金属製の支柱と梁材とを溶接又はネジ止めして直方体状の枠を形成し、頂面と底とに形成されている四辺形枠にそれぞれ金属製の天板と底板とを付設し、左側面と右側面とに形成されている四辺形枠にそれぞれ金属製左側板と右側板とを掛け止め又はネジ止めして、直方体状の構造物を作ることが必要である。この発明ではこの構造物を作るところまでは、従来法と同じであるが、念のためその詳細を説明すると次のとおりである。
まず、初めに、四辺形枠の形成について説明する。四辺形枠とは、図1に示すように、2本の支柱1を枕木の上に平行に並べる。このとき、支柱は多数の係止孔が穿設された面を上に向けて、その上部に天板受けとなる梁材2を置き、下部に底板受けとなる梁材2を置き、その交点を固定する。固定は、梁材の一部を切り起こして作った係止片を支柱の係止孔に挿入したり又はネジ止めをしたりして行なわれる。
支柱1は、通常、横断面がコの字状に折曲された長尺体で構成される。支柱1では、コの字状に連結された3片のうち、開口を挟む両側片には長手方向に沿って多数の方形の係止孔が形成されているが、中央片には長手方向の両端に僅かな箇数の係止孔が形成されているだけで、大部分は平坦な面となっている。但し、この平坦な面には、場合によって小さなネジ孔が数箇穿設されていることがある。
なお、図1では支柱1の下端にアジャスターカップXとアジャスターYとを付設することを示しているが、これは梁材を水平に保つためのものであって、この発明には直接関係がない。
こうして組み立てた2つの四辺形枠を、図2に示したように、梁材2を内側にして互いに平行に立てておき、2つの枠の上部の間と下部の間にビームと呼ばれる梁材3をさしわたし固定して直方体状の枠4を形成する。ビームの固定は、さきの天板受けと呼ばれる梁材の固定と同様に、ビームに付設された係止片を支柱の係止孔へ挿入するか、又はネジ止めして行なう。
こうして形成された直方体状の枠4では、図3に示したように、頂面に形成されている四辺形枠に天板5を落とし入れ、底面に形成されている四辺形枠に底板6を挿入する。次いで、枠4の左側面に形成されている四辺形枠に左側板7を係止し、同様に右側面に形成されている四辺形枠に右側板8を係止する。係止は、何れも側板7又は8の周縁に切り起こした断面L形の係止片71又は81を支柱1に穿設された係止孔内に挿入して行なう。しかし、側板7と8とは、係止によらないで支柱1にネジ止めされる場合もある。こうして図4に符号10で示した直方体状の構造物を作る。
直方体状の構造物10には、背板9が付設される。従来の背板9は図3に示したように、平らな板で構成され、両側縁に小さなネジ孔91が穿設されているだけの簡単なものであった。そのため、背板9を構造物10に固定するには、前述のように、支柱1が直立しているかどうかを確かめ、支柱1が直立するように補正してネジ止めをしなければならなかった。
図4は、直方体状構造物10の背面に、この発明方法によって2枚の背板20と30とを付設して、背面を塞ぐ態様を示している。2枚の背板20と30とは、何れも従来のように単なる平板ではなくて、特異な形状に形成されている。
図4の背板20についてその形状を説明すると、次のとおりである。まず、四辺形の基板21を用意するが、基板21は横に延びる1片の長さが、直方体状構造物10の背面における四辺形枠の内法幅Lに等しくされ、且つその両端の角αとβとが、何れも直角であるような形状のものである。基板21の各片には基板21から垂直に起立するほぼ一様な高さの起立片22、23、24及び25が付設されて、全体が浅い箱状体とされる。
箱状体では角αとβとが直角とされているから、この角を挟む起立片22と23とは直交し、また起立片23と24とは直交している。この直交する起立片22、23及び24の先には、さらにそれぞれ接続片26、27及び28が付設されている。接続片26、27及び28は何れも外側へ突出し、箱底を形成している四辺形21と平行になっている。直交する関係にない残りの起立片25の先には、接続片が形成されていない。この発明において使用する背板20はこのような形に成形されている。
背板20を直方体状構造物10の背面上部に当接すると、基板21の横の長さがLとされているので、背板20の起立片23の長さはLとなり、構造物10の背面の内法幅Lに等しくなるため、起立片23を梁材3の内側に密接させることができ、また起立片22と24とをそれぞれ支柱1の内側に密接させることができる。これにより、梁材3と支柱1とは直交した状態に安定に保持される。そこで、背板20の接続片26、27及び28に穿設された小孔201からネジを差し込んで支柱1にネジ止めするだけで、支柱1を直立した状態で背板20を付設することができる。
背板30は背板20と対称形で全く同じような形状にされている。すなわち、背板30では四辺形の基板21において長さLの片23が下側に位置し、従って直角の位置がγとδのように下側に位置しているという点で異なっているだけで、そのほかは背板20と全く同じである。
背板30は、背板20が構造物10に付設されたあとで、残っている空所を塞ぐのに使用される。背板30を構造物10の下部に当接すると、起立片23を下方の梁材3に密接させることができ、また起立片22と24とをそれぞれ支柱1に密接させることができる。これによって支柱1を直立状態に保持することができる。従って、背板30は、支柱1の直立状態を確認する必要がなく、そのままネジ止めすれば足りる。
このように、この発明方法によれば、背板20と30のように、少なくとも1組の直交する起立片を備えた三角又は四角形の浅い箱状体に、さらに上記直交する起立片の先に外側へ突出する接続片を備えた背板を用いることにより、直方体状構造物の背面に背板を容易に固定することができる。
上の説明では構造物10に背板20を先に付設し、あとで背板30を付設するように説明したが、付設の順序はそれに限らず、先に背板30を付設し、あとで背板20を付設してもよい。
図4では、背板を2つに分けた場合を例に取って説明したが、背板は1つであってもよく、また3つ以上に分けてもよい。
図5は、背板40を1枚で構成した場合を示している。図5において、四角形の基板21は4つの角α、β、γ及びδが何れも直角とされ、その横及び縦の辺長が構造物10の背面に形成されている四角形枠の内法の長さLとMとにそれぞれ等しくされている。四角形の基板21の各辺には直交する起立辺22、23、24及び25が付設され、これら起立辺は隣接するもの同士が互いに直交している。さらに、起立片22、23、24及び25の先には接続片26、27、28及び29が付設され、これら接続片は何れも四辺形21と平行に外側へ突出している。
背板40を直方体状構造物10の背面に当接片すると、背板40の基板21の各辺長がそれぞれ背面四辺形枠の内法の長さLとMとに等しくされているから、基板21は構造物の背面に丁度嵌まり込む。従って、背板の起立片22、23、24及び25は、それぞれ対応する支柱1と梁材3の内側面に密接し、また、接続片26、27、28及び29は、それぞれ対応する支柱1と梁材3の外側面に密接する。従って、支柱1は直立状態に保持される。そこで、各接続片に穿設されたネジ孔201により支柱にネジ止めすれば、簡単に構造物を直方体状の基本体とすることができる。
図6は、直方体状構造物10の背面に1つの三角形の背板50と1つの四角形の背板Bとを付設したときの基本体の背面を示している。背板50は、基板を直角三角形とするものであり、背板60は基板を直角台形とするものである。
図4では示していないが、背板の起立片同士が重なったところでは図6に示したように、起立片同士をネジ止め202して一体とすることが望ましい。
背板20、30、40、50及び60は、何れも金属板をプレスによって押圧して容易に作ることができるから、この発明方法は実施が容易である。
とりわけ、図2に示した四角枠を予め工場内で溶接により、正確な直角四辺形に作っておき、これを商品として提供すれば、商品の購入者は四角枠以後の組み立てをすれば足りるから、側板係止時には支柱の直立を気にとめる必要がなくなるので、この発明方法は大きな効果をもたらすことになる。
この発明方法は、これまで平らな板で構成されてきた背板をプレスして主として浅い箱状に成形するだけで、背板の付設が容易となるから、実用上の価値が高い。
1 支柱
2、3 梁材
4 直方体状の枠
5 天板
6 底板
7 左側板
8 側板
9 従来の背板
10 直方体状の構造物
71、81 係止片
91、201 ネジ孔
20、30、40、50、60 この発明で用いる背板
21 基板
22、23、24、25 起立片
26、27、28、29 接続片
202 ネジ止め

Claims (4)

  1. 金属製の支柱と梁材とを溶接又はネジ止めして直方体状の枠を作り、枠の頂面、底及び両側面に形成されている四辺形枠にそれぞれ金属製の天板、底板及び側板を付設してなる構造物において、背面に形成されている四辺形枠に背板を付設するにあたり、直角を持った三角形又は四角形の基板のすべての縁に一様な高さの起立片を付設して、少なくとも一組の直交する起立片を持った浅い箱状体を作り、直交する起立片の先に外側へ突出する接続片を付設したものを背板とし、直交する起立片を四辺形枠のかどに内接させ、接続片を四辺形枠にネジ止めすることを特徴とする、直方体状基本体の組立方法。
  2. 金属製の支柱と梁材とを溶接又はネジ止めして直方体状の枠を作り、枠の頂面、底及び側面に形成されている四辺形枠にそれぞれ天板、底板及び側面板を付設してなる構造物において、背面に形成されている四辺形枠に背板を付設するにあたり、一辺が四辺形枠の内法の長さに等しく、且つ隣接する少なくとも2箇の直角を持った四辺形板を基板として、基板のすべての縁に一様な高さの起立片を付設して浅い箱状体を作り、起立片のうち上記直角を挟む起立片の先に外側へ突出する接続片を付設したものを背板とし、直角を挟む起立片を四辺形枠のかどに内接させ、接続片を四辺形枠にネジ止めすることを特徴とする、直方体状基本体の組立方法。
  3. 上記基板を背面四辺形枠に内接する1箇の直角四辺形板とし、背板は四辺形板のすべての辺に起立片と接続片とを付設したものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組立方法。
  4. 上記背板を2箇以上で構成し、背板の起立片同士の密接部をネジ止めすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組立方法。
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