JP5760833B2 - 光硬化性樹脂組成物及びそれを用いた光学部材 - Google Patents
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Description
これらの問題を解決するために、暗反応硬化性樹脂組成物を用いることが行われている。なお、ここで「暗反応硬化性」とは、一度光を照射して組成物の反応硬化性を惹起すると、光照射を停止しても重合反応が維持する性質をいう。
また、特許文献2には、不飽和二重結合を有する重合性化合物、スルフィミド化合物、アミン化合物、及びメタロセン錯体を含む暗反応硬化組成物に対して、予め光照射した後、被着体に張り合わせる等して嫌気状態にすることにより、硬化反応を進行させることが記載されている。
また、特許文献2に記載されている暗反応性樹脂組成物は、暗反応硬化性を付与するためにメタロセン錯体等の多くの成分を用いる必要があり、また嫌気状態にしないと硬化反応が十分に進行しないという問題もある。
更に、特許文献1,2の樹脂組成物は、注型や塗布の前工程として、予めガラス製の細管内に収容する等して樹脂組成物に万遍なく光照射する工程を実施する必要があり、煩雑である。
また、本発明者らは、上記光硬化性樹脂組成物の微粒子以外の部分の屈折率が硬化の前後で変化することを利用することにより、光硬化性樹脂組成物の上記陰影部や狭隙部等までの硬化と、光硬化後の硬化物における透明性の確保との両立を実現できることを見出した。すなわち、微粒子として、上記光硬化性樹脂組成物の微粒子以外の部分との屈折率差が大きく、かつ当該部分の硬化物との屈折率差が小さいものを選択する。これにより、光硬化時においては、光硬化性樹脂組成物中の微粒子以外の部分と微粒子との屈折率差が大きいため、光硬化性樹脂組成物内に照射された光が微粒子により十分に散乱されて陰影部や狭隙部等にまで伝播し、陰影部や狭隙部等が良好に硬化される。また、光硬化後の硬化物においては、微粒子とその他の部分との屈折率差が小さいため、微粒子による光の散乱が抑制され、硬化物の透明性が確保される。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
前記(B)微粒子は、前記微粒子非含有組成物の未硬化物との屈折率差が、絶対値として0.01以上であることが好ましい。
これにより、光が散乱して、光が直接照射されない部分にも光が到達して硬化反応が進行し易くなる。
また、前記(B)微粒子は、(メタ)アクリル樹脂系微粒子であることが好ましい。これにより、光硬化性樹脂組成物の(B)微粒子を含まないものの光硬化後の屈折率と、(B)微粒子の屈折率との差を絶対値として0.01未満にすることが容易になる。
また本発明は、前記いずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を光硬化してなる光学部材に関する。
本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、(A)重合性化合物、(B)微粒子、及び(C)光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物であって、前記(B)微粒子は、前記光硬化性樹脂組成物から前記微粒子(B)を除いた組成を有する微粒子非含有組成物との屈折率差の絶対値を|Δn|とし、前記微粒子非含有組成物を光照射してなる硬化物との屈折率差の絶対値を|Δn’|とすると、|Δn|>|Δn’|、及び|Δn’|<0.01との式を満たすものである。
(A)重合性化合物としては、特に制限はなく、好ましくは、不飽和結合を分子内に1個又は2個以上有するものが用いられる。特に、アクリル酸又はメタクリル酸、それらの誘導体(以下、(メタ)アクリル酸系誘導体という場合もある)等が好ましいものとして挙げられる。具体的には、エチレン性不飽和結合を分子内に1個有する光重合性化合物としては、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−オクチルアクリレート等のアルキルアクリレート、ベンジルメタクリレート等のアラルキルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート、ジエチレングリコールエチルエーテルのメタクリル酸エステル、トリエチレングリコールブチルエーテルのメタクリル酸エステル、ジプロピレングリコールメチルエーテルのメタクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル、ジエチレングリコールエチルエーテルのアクリル酸エステル、トリエチレングリコールブチルエーテルのアクリル酸エステル、ジプロピレングリコールメチルエーテルのアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのアクリル酸エステル、ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルのメタクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル、ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルのアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのアクリル酸エステル、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンメタクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンアクリレート等の脂環式基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、ヘプタデカフロロデシルメタクリレート等のフッ素化アルキルメタクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート等のフッ素化アルキルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、グリセロールモノアクリレート等の水酸基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のグリシジル基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を併用することができる。
これらのエチレン性不飽和結合を分子内に1個有する重合性化合物は、1種で又は2種以上併用して用いることができる。
このような重合性化合物としては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、アクリルメタクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する重合性化合物としては、さらに、一般式(a)
1〜20の整数を示し、iが2以上の場合、複数のR5−Oは同一でも異なっていてもよい。)で示されるリン酸のアルキンオキシド付加物のトリアクリレート、一般式(g)
本発明において(A)重合性化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物の総量に対して、30〜99質量%が好ましく、40〜99質量%がより好ましく、50〜95質量%が特に好ましい。含有量が30質量%以上であると樹脂組成物の硬化物が良好な硬さを有し、99質量%以下であると、遮光部分の硬化性が良好となる。
(B)微粒子は、光硬化性樹脂組成物から微粒子(B)を除いた組成を有する微粒子非含有組成物との屈折率差の絶対値を|Δn|とし、当該微粒子非含有組成物を光照射してなる硬化物との屈折率差の絶対値を|Δn’|とした場合、以下の関係式|Δn|>|Δn’|、及び|Δn’|<0.01を満たすことが必要である。
このように、|Δn’|<0.01であると、光硬化性樹脂組成物の硬化物中における微粒子(B)とその他の部分との屈折率差が小さいため、微粒子(B)による光散乱が抑制され、透明性が高くなる。
また、|Δn|>|Δn’|であると、陰影部や狭隙部等までの硬化を実現できる。すなわち、|Δn|が大きく、微粒子とその他の部分との屈折率差が大きいため、光硬化時においては、光硬化性樹脂組成物内に照射された光が微粒子により十分に散乱されて陰影部や狭隙部等にまで伝播し、陰影部や狭隙部等が良好に硬化される。
上記観点からは、|Δn’|は、好ましくは0.009以下であり、より好ましくは0.008以下であり、更に好ましくは0.001以下である。
また、上記観点からは、|Δn|は、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上であり、更に好ましくは0.04以上である。
本発明において、当該微粒子が有機高分子化合物の場合、懸濁重合、乳化重合、パール重合等の公知の方法で、様々な形状、大きさの微粒子を得ることができる。
上記(B)微粒子は、(メタ)アクリル樹脂系微粒子が好ましい。(メタ)アクリル樹脂系微粒子は、公知の懸濁重合等で合成することができる。
一般に(メタ)アクリル樹脂系微粒子を得るための懸濁重合は、分散剤を含む水系分散媒に、重合開始剤として有機過酸化物を溶解した(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸系誘導体を分散させて行われる。
前記(メタ)アクリル酸系誘導体としては、(A)重合性化合物で例示したものが挙げられるが、屈折率の観点からは、メチルメタクリレートに由来する構造単位を有することが好ましい。
本発明において(B)微粒子の含有量は、光硬化性樹脂組成物の総量に対して、1〜75質量%が好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。含有量が1質量%以上であると微粒子を含有させた硬化が発揮され、一方75質量%以下であると、光硬化性樹脂組成物の粘度が上昇することが防止又は抑制され、取り扱い性に優れる。また、硬化物の特性が大きく変わる可能性がある。
(C)光重合開始剤としては、特に制限はなく、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤及びアニオン重合開始剤を用いることができ、例えば、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料を使用することができる。これらは、特に紫外線に感度を有する。
(C)光重合開始剤の中のラジカル重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の芳香族ケトン化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、β−(アクリジン−9−イル)アクリル酸のエステル化合物、9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が挙げられる。
カチオン重合開始剤は、光照射によりルイス酸を発生するため、金属の存在下で使用すると、金属部分が腐食することがある。よって、金属配線を有する被着体を接着する場合のように、金属の存在下で光硬化性樹脂組成物を使用するときには、光重合開始剤としてラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
なお、上記光重合開始剤と共に、熱重合開始剤が用いられてもよい。これにより、陰影部や狭隙部等を好適に硬化することができる。
熱重合開始剤の具体例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドの様な有機過酸化物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニル)。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のようなアゾ系化合物が挙げられる。
重合開始剤として、上記光重合開始剤の他に熱重合開始剤をも用いる場合には、重合開始剤の総含有量は、光硬化性樹脂組成物の総量に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜4質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が特に好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて様々な添加剤を含有しても良く、例えば、シランカップリング剤等の密着性向上剤、ヒンダードアミン系の光安定剤やフェノール系やリン系の酸化防止剤、硬化促進剤、ポリマー、オリゴマー、チオール化合物、染料、充填剤、顔料、チキソトロピー付与剤、可塑剤、難燃剤、離型剤、界面活性剤、滑剤、帯電防止剤、各種フィラー、重金属不活性化剤などの添加剤を加えることができる。これらは、一種または二種以上を併用しても良い。
光硬化性樹脂組成物が実質的に有機溶媒を含有しない場合、光硬化性樹脂組成物の粘度(25℃)は、10〜50000mPa・sであることが好ましく、100〜10000mPa・sであることがより好ましい。粘度は、E型粘度計(東機産業製RE−80L)より、3°cone rotorを用いて0.5rpmで測定した値とする。
本発明の光硬化性樹脂組成物中の(B)微粒子を除く部分(以下、「他の部分」と称することがある)は、硬化前後における屈折率差が大きいことが好ましい。この場合、(B)微粒子として上記他の部分との屈折率差が大きく、かつ当該他の部分の硬化物との屈折率差が小さいものを選択する。これにより、光硬化性樹脂組成物の硬化物の透明性が確保されると共に、当該他の部分(未硬化物)と(B)微粒子との屈折率が大きくなり、光硬化時に光が(B)微粒子により良好に散乱され、陰影部や狭隙部等が良好に硬化される。
本発明の光学部材は、上記の光硬化性樹脂組成物を光硬化してなるものである。
この光学部材としては、例えば、光学フィルム、光学シート、透明基板、レンズ、接着剤、光導波路、太陽電池用部材、発光ダイオード(LED)、フォトトランジスタ、フォトダイオード、固体撮像素子等の光半導体素子、照明装置、画像表示用装置等が挙げられる。特に、画像表示用装置に用いることが好適である。
次に、画像表示用装置の一例である液晶表示装置について説明する。
図1は、液晶表示装置の一実施形態を模式的に示す側面断面図である。図1に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル10及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット1と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた透明樹脂層32と、その表面に設けられた透明保護基板(保護パネル)40とから構成される。透明樹脂層32は、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化体から構成される。
なお、図2の液晶表示装置においては、画像表示ユニット1とタッチパネル30との間、及びタッチパネル30と透明保護基板40との間の両方に透明樹脂層が介在しているが、透明樹脂層はこれらの少なくとも一方に介在していればよい。また、タッチパネルがオンセルとなる場合は、タッチパネルと液晶表示セルが一体化される。その具体例としては、図1の液晶表示装置の液晶表示セル10が、オンセルで置き換えられたものが挙げられる。
偏光板20及び22としては、当技術分野で一般的な偏光板を使用することができる。それら偏光板の表面は、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、偏光板の片面に対して、又はその両面に対して実施されていてよい。
タッチパネル30としては、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができる。
透明樹脂層31又は32は、例えば0.02mm〜3mmの厚さで形成することができる。特に、本実施形態の光硬化性樹脂組成物においては厚膜に対して有効であり、0.1mm以上の透明樹脂層31又は32を形成する場合に好適に用いることができる。
透明保護基板40としては、一般的な光学用透明基板を使用することができる。その具体例としては、ガラス板、石英板等の無機物の板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート板等の樹脂板、厚手のポリエステルシート等の樹脂シートが挙げられる。高い表面硬度が必要とされる場合にはガラス、アクリル樹脂等の板が好ましく、ガラス板がより好ましい。これらの透明保護基板の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、透明保護基板の片面に対して、又は両面に対して実施されていてよい。透明保護基板は、その複数枚を組み合わせて使用することもできる。
バックライトシステム50は、代表的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。
画像表示ユニット1と保護パネル40との間に、光硬化性樹脂組成物を介在させる方法としては、例えばディスペンサーを用いて、画像表示ユニット1又は保護パネル40上に光硬化性樹脂組成物を塗布した後に真空(減圧)又は大気圧で貼合する方法や、一定の間隔を開けて配置された画像表示ユニット1及び保護パネル40の間に光硬化性樹脂組成物を注型する方法が挙げられる。なお、光硬化性樹脂組成物を注型する際には、画像表示ユニット1及び保護パネル40の周囲にダム(光硬化性樹脂組成物の流出を防止するための枠体)を形成してもよい。
なお、光照射の際は、保護パネル40面側からの照射と、側面から照射を併用してもよい。
また、光照射と同時に光硬化性樹脂組成物を含む積層体を加熱する等して、硬化を促進させることもできる。
<原料等>
なお、原料等としては、次のものを用いた。
(1)(A)重合性化合物
FA−240A;ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレングリコールの
繰り返し数が約9)、日立化成工業株式会社製
FA−324A;ビスフェノールAのEO変性付加物ジアクリレート(一般式(a)
において、R1及びR2がエチレン基で、n+mが約4)
BP−4EA;ビスフェノールAのEO変性付加物ジアクリレート(一般式(a)
において、R1及びR2がエチレン基で、n+mが約4)、
共栄社化学株式会社製
FA−121M;エチレングリコールジメタクリレート、日立化成工業株式会社製
微粒子1
組成:メチルメタクリレート(MMA)/エチレングリコールジメタクリレート
[質量比70/30]の重合体粒子
(日立化成工業社製の商品名「FA−121M」)、平均粒径:15μm
微粒子2
組成:メチルメタクリレート(MMA)/ベンジルメタクリレート(BzMA)/
ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレングリコールの繰り返し
数:約4)[質量比55/35/10]の重合体粒子
(日立化成工業社製の商品名「FA−220M」)、平均粒径:19μm
微粒子3
組成:微粒子2と同一、平均粒径:15μm
微粒子4
組成:微粒子2と同一、平均粒径:50nm
微粒子5
組成:微粒子2と同一、平均粒径:500μm
なお微粒子1〜5は公知の懸濁重合法により調整した。
イルガキュア−184(商品名);1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、
BASF社製
(以下、i−184と称することがある)
(4)その他の成分
PE−1;ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)、
昭和電工株式会社製
(A)重合性化合物としてFA−240A(1.86g)及びFA−324A(0.14g)、(C)光重合開始剤としてi−184(0.02g)、並びに(B)微粒子として微粒子1(0.02g)をスクリュー管に加え、ローターで8時間攪拌し、微粒子1が分散した光硬化性樹脂組成物を得た。
(A)重合性化合物としてBP−4EA(0.12g)及びFA−121M(0.88g)、その他の化合物としてPE−1(1g)、(C)光重合開始剤としてi−184(0.02g)、並びに(B)微粒子として微粒子2(0.02g)をスクリュー管に加え、ローターで8時間攪拌し、微粒子2が分散した光硬化性樹脂組成物を得た。
<実施例3〜9>
実施例3〜9では、(B)微粒子の種類と配合量を表1のように変えて調整した以外は、実施例2と同じ方法で光硬化性樹脂組成物を得た。
実施例10〜17では、(A)重合性化合物の配合を表2のように変えて調製した以外は、実施例2と同じ方法で光硬化性樹脂組成物を得た。また比較例1及び2では、(B)微粒子を加えないことと、(A)重合性化合物の配合を表2のように変えて調製したこと以外は、実施例2と同様の方法で光硬化性樹脂組成物を得た。
(陰影部の硬化の評価)
上記実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物の硬化性は、以下の方法で評価した。すなわち、10×10cmのガラス上に、3cm×3cmの穴の開いた厚さ100μmのスペーサを敷き、この穴内に光樹脂組成物を充填したあとに、10cm×10cmのガラスで上からカバーした。次に3cm×3cmの樹脂部分の半分を黒い布で覆い、この樹脂部分の半分を陰影部とし、他の半分を光照射部とした。次に、露光機(キタムラ製縦型露光機、ハイパワーメタルハライドランプ)を用いて、1000mJ/cm2エネルギー量で光硬化した。その後、黒い布及びカバーガラスを外し、硬化したサンプルを取り出した。サンプルのうち、陰影部と光照射部との境界よりも陰影部側に硬化している長さ(mm)を測定した。
全光線透過率は、上記の硬化したサンプルの硬化部分について、日本電色性色度計(300A)で評価した。
各実施例及び比較例の各々について、光硬化性樹脂組成物から(B)微粒子を除いた組成を有する組成物(微粒子非含有組成物)を調製し、この微粒子非含有組成物の屈折率n1と、これを光硬化性樹脂組成物と同様の条件で光硬化してなる硬化物の屈折率n1’とを測定した。
また、各実施例及び比較例の各々について、(B)微粒子の屈折率n2を測定した。
これらの屈折率は、アッベの屈折計(アタゴ社製NAR−2T、測定温度25℃)を用いて測定した。
次いで、微粒子非含有組成物の屈折率n1と(B)微粒子の屈折率n2との差の絶対値|Δn|を算出し、また、微粒子非含有組成物の硬化物の屈折率n1’と(B)微粒子の屈折率n2との差の絶対値|Δn’|を算出した。
これらの結果を表3及び表4に示す。
*表中の|Δn|とは、|n2−n1|のことをいう。
*表中の|Δn’|とは、|n2−n1’|のことをいう。
*表中の|Δn|とは、|n2−n1|のことをいう。
*表中の|Δn’|とは、|n2−n1’|のことをいう。
10 液晶表示セル
20,22 偏光板
30 タッチパネル
31,32 透明樹脂層
40 透明保護基板
50 バックライトシステム
Claims (5)
- (A)重合性化合物、
(B)(メタ)アクリル樹脂系微粒子、及び
(C)光重合開始剤
を含む光硬化性樹脂組成物であって、
前記(B)微粒子は、前記光硬化性樹脂組成物から前記(B)微粒子を除いた組成を有する微粒子非含有組成物との屈折率差の絶対値を|Δn|とし、前記微粒子非含有組成物を光照射してなる硬化物との屈折率差の絶対値を|Δn’|とした場合、下記関係式
|Δn|>|Δn’|、及び
|Δn’|<0.01
を満たすものである光硬化性樹脂組成物を光硬化してなる透明樹脂層を有し、当該透明樹脂層の厚さが0.02mm〜3mmである光学部材。 - 前記(B)微粒子は、前記微粒子非含有組成物の未硬化物との屈折率差が、絶対値として0.01以上である請求項1に記載の光学部材。
- 前記(A)重合性化合物が(メタ)アクリル系化合物である請求項1又は2に記載の光学部材。
- 前記(C)光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材から構成される、画像表示用装置。
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