JP5757331B2 - リチウムイオン二次電池用負極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極製造方法関するものである。
リチウムイオン二次電池は、小型で大容量であるため、携帯電話やノートパソコン等の二次電池として広く用いられている。近年では、電気自動車やハイブリッド自動車等のバッテリとしての用途も提案されている。
リチウムイオン二次電池は、リチウム(Li)を挿入および脱離できる活物質を正極と負極とに持つ。リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンの両極間の移動によって動作する。
リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、主として、多層構造を有する炭素材料が用いられている。この種の炭素材料を負極活物質として用いることで、充放電を繰り返した後の充放電容量の低下を抑制でき、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上し得る。しかし負極活物質をこれらの炭素材料のみで構成したリチウムイオン二次電池は、初期容量(エネルギー密度)に劣る問題がある。
リチウムイオン二次電池の初期容量を高めるために、Liと合金化反応可能であり、かつ炭素材料よりも理論容量の大きな元素を負極活物質として用いることが提案されている。Liと合金化反応可能な元素であるケイ素(Si)は、炭素材料および他の元素(例えばスズやゲルマニウム)に比べて理論容量が大きいため、リチウムイオン二次電池用の負極活物質として有用であると考えられている。すなわち、Siを負極活物質として用いることにより、炭素材料を用いるよりも高容量のリチウムイオン二次電池を得ることができると考えられる。
その一方で、Siは、充放電時のLiの吸蔵・放出に伴って大きく体積変化する。この体積変化により、Siが微粉化して集電体から脱落または剥離し、電池の充放電サイクル寿命が短いという問題点がある。そこで酸化ケイ素を負極活物質として用いることにより、Siを負極活物質として用いる場合よりも、充放電時のLiの吸蔵・放出に伴う体積変化を抑制することができると考えられる。
例えば、負極活物質として、ケイ素酸化物(SiO:xは0.5≦x≦1.5程度)の使用が検討されている。SiOは熱処理されると、ケイ素(Si)と二酸化ケイ素(SiO)とに分解することが知られている。これは不均化反応といい、SiとOとの比が概ね1:1の均質な固体の一酸化ケイ素(SiO)であれば、固体の内部反応によりケイ素(Si)相と二酸化ケイ素(SiO)相の二相に分離する。分離して得られるSi相は非常に微細である。また、Si相を覆うSiO相は電解液の分解を抑制する働きを持つ。したがって、SiとSiOとに分解したSiOからなる負極活物質を用いた二次電池は、サイクル特性に優れる。
ところでSiOは比較的導電性に劣る。このため、負極活物質としてSiOを用いる場合には、優れた放電レート特性(所謂Cレート)をリチウムイオン二次電池に付与し難い問題があった。
例えば、特許文献1に紹介されているように、負極の材料(負極合材)にナノ粒子状の金属(例えばCu等)からなる導電体を配合すれば、負極活物質たるSiO粒子の導電性を補い、負極の導電性を向上させることができ、リチウムイオン二次電池の放電レート特性を向上させ得ると考えられる。しかしこの方法では、負極活物質と集電体(または導電助剤)とを導電体を介して金属結合させるため、負極合材を焼結する工程が必要となる。このため、リチウムイオン二次電池の製造工程が煩雑になる問題があった。
また、Cu等の金属は比較的重いため負極合材中で沈降し、負極の奥側(集電体側)部分に集まり易い。このため、導電体を負極の表側(集電体とは逆側の部分)にまで分散させるためには、多量の導電体を負極合材に配合する必要がある。この場合には、多量の導電体を配合することで、負極のエネルギー密度が低くなったり、原料コストが高くなったりする問題がある。
特開2010−218848号公報
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、負極活物質としてSiOを用い、多量の金属を必要とせず、導電性に優れるリチウムイオン二次電池用負極製造する方法提供することにある。
本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、導電性向上のためには、導電体粒子は負極活物質層全体に均一に分散している必要がなく、負極活物質粒子の外部に存在していれば良いことを見出した。すなわち、本発明の製造方法で製造されるリチウムイオン二次電池用負極は、集電体と、該集電体上に積層されている負極活物質層と、を含むリチウムイオン二次電池用負極であって、
該負極活物質層は、SiO(0.3≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物からなる負極活物質粒子と、銅(Cu)を含む導電体粒子と、バインダー樹脂とを含み、
該バインダー樹脂は、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドイミドシリカハイブリッド樹脂から選ばれる少なくとも一種であり、
該集電体は銅(Cu)を含み、
該導電体粒子は、互いに隣接する該負極活物質粒子同士の間隙に存在している。
また、本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、銅(Cu)を含む集電体とポリアミドイミド(PAI)等からなるバインダー樹脂とを併用することで、Cuが負極活物質層中に分散したリチウムイオン二次電池用負極が得られることを見出した。さらに、負極中間体(すなわち、Cuを含む集電体上に、SiOとPAIとを含む負極合材層を積層したもの)を加熱することで、負極活物質層へのCuの分散を促進できることを見出した。すなわち、上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極を製造する方法であって、
集電体と、SiO(0.3≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物とバインダー樹脂とを含み該集電体上に積層されている負極合材層と、銅(Cu)を含み該負極合材層上に積層されている金属層と、を含む負極中間体を準備する準備工程と、
該負極中間体を150℃以上に加熱する加熱工程と、
該加熱工程後に、該金属層を除去する除去工程と、を備え、
該集電体は、銅(Cu)を含み、
該バインダー樹脂は、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドイミドシリカハイブリッド樹脂から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
以下、便宜的に、本発明の製造方法で製造されたリチウムイオン二次電池用負極を本発明のリチウムイオン二次電池用負極、または、本発明の負極と呼ぶ。また、当該本発明の負極を含むリチウムイオン二次電池を、本発明のリチウムイオン二次電池と呼ぶ。また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を、単に本発明の製造方法と略する。
本発明の負極は、負極活物質としてSiOを用いているにもかかわらず、多量の金属を必要とせず、かつ、導電性に優れる。
本発明の製造方法によると、本発明の負極を容易かつ安価に製造できる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の負極を備えるため、多量の金属を必要とせず、かつ、導電性に優れる。
実施例1のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を模式的に表す説明図である。 図1の要部拡大図である。 実施例2のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を模式的に表す説明図である。 実施例1のリチウムイオン二次電池用負極のSEM像である。 実施例2のリチウムイオン二次電池用負極のSEM像である。
本発明の負極は、集電体と負極活物質層とを含む。このうち負極活物質層は、負極活物質粒子と導電体粒子とバインダー樹脂とを含む。
負極活物質粒子は、微細なSiと、Siを覆うSiOと、に分解したSiO(0.3≦x≦1.6)からなる。SiOは不均化反応によって得ることができる。xが下限値未満であると、Si比率が高くなるため充放電時の体積変化が大きくなりすぎて、サイクル特性が低下する。またxが上限値を超えると、Si比率が低下して、エネルギー密度が低下するようになる。xは、0.5≦x≦1.5の範囲内にあるのが好ましく、0.7≦x≦1.2の範囲内にあるのがさらに望ましい。
一般に、酸素を断った状態であれば、800℃以上でほぼすべてのSiOが不均化して二相に分離すると言われている。具体的には、非結晶性のSiO粉末を含む原料酸化ケイ素粉末に対して、真空中または不活性ガス中などの不活性雰囲気中で800〜1200℃、1〜5時間の熱処理を行うことで、非結晶性のSiO相および結晶性のSi相の二相を含むSiO粉末が得られる。
負極活物質粒子は粒子状であればよく、その粒径は特に問わない。また、負極活物質粒子は一次粒子であっても良いし二次粒子であっても良い。また、負極活物質粒子は平均粒径1μm〜10μmの範囲にあることが望ましい。負極活物質粒子の平均粒径が10μmより大きいと、リチウムイオン二次電池の充放電特性が低下する場合がある。また、負極活物質粒子の平均粒径が1μmより小さいと、後述する加熱工程において負極活物質粒子が凝集して粗大な粒子となる場合があるため、同様にリチウムイオン二次電池の充放電特性が低下する場合がある。なお、ここでいう平均粒径とは、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均粒子径を指す。
導電体粒子は銅元素(Cu)を含む。負極活物質層において、Cuは例えば酸化物等として存在していても良い。
負極活物質層中の導電体粒子の量は特に限定しないが、導電体の量が過大であれば、負極の内部抵抗が高まり、リチウムイオン二次電池の容量低下を招くおそれがある。一方、導電体粒子の量が過小であれば、導電体粒子による導電性向上効果が充分に発揮されず、負極の導電性を向上させ難く、ひいてはリチウムイオン二次電池のレート特性を向上させ難くなる。このため、負極活物質層中の導電体粒子の量には、好ましい範囲が存在する。導電体粒子の量は、具体的には、負極活物質層の所定の位置に存在する炭素(C)、酸素(O)、ケイ素(Si)および銅(Cu)の原子数の和を100%としたときの、Cuの量(原子数%)で表すことができる。
より具体的には、負極活物質層の表面(負極活物質層の厚さ方向に集電体と逆側の位置)におけるCu量は、1原子数%以上50原子数%以下であるのが好ましく、5原子数%以上25原子数%以下であるのが特に好ましい。また、例えば、なお、負極活物質層におけるCuの量は、位置によって偏りがあるよりも、満遍なく分散している方が望ましい。ここでいうCuの量(原子数%)は、後述するエネルギー分散型X線分光分析により測定可能である。
負極活物質層中の導電体粒子の粒径もまた特に限定しないが、粒径が過大であると、導電体粒子による導電パスを形成するのに必要な導電体粒子の量が過大になり、負極の内部抵抗が過大になり、かつ、原料コストが高くなる可能性がある。このため、導電体粒子の粒径にもまた好ましい範囲が存在する。具体的には、100nm以下であるのが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極においては、導電体粒子を、負極活物質粒子の内部ではなく隣接する負極活物質粒子同士の間隙にのみ存在させている。このことによって、少量の導電体粒子で負極全体の導電性を向上させ得る。このように配置する導電体粒子は、負極活物質粒子の表面に導電パスを形成し、負極の導電性を向上させる。導電体粒子は、隣接する負極活物質粒子同士の間隙に存在すれば良く、バインダー樹脂の内部に存在しても良いし、バインダー樹脂の外部に存在しても良い。負極の導電性向上のためには、導電体粒子が表面に沿って配置され導電パスを形成しているのが好ましい。
バインダー樹脂は、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドイミドシリカハイブリッド樹脂から選択される少なくとも一種であれば良い。バインダー樹脂の量に関しては後述する製造方法で詳説する。なお、本発明のリチウムイオン二次電池用負極においては、これらのバインダー樹脂の少なくとも一部は熱分解等により変性した状態で含まれていても良い。なお、ポリアミドイミドシリカハイブリッド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂の分子末端にアルコキシシランに由来する側鎖が形成されているものを指し、例えば、アルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(荒川化学工業株式会社製、商品名コンポセラン、品番H900−2)等の市販品を用いる事ができる。
集電体は、Cuを含むものであれば良く、箔、板、メッシュ等の形状を採用することが出来るが、目的に応じた形状であれば特に限定されない。集電体は、例えば銅箔、銅メッシュ等、銅を主成分として含むものであっても良いし、Cu以外の導電材料からなる集電体基材の表面をメッキ等の既知の方法でCuコートしたものを用いても良い。この場合、Cuコート層は集電体のなかで負極活物質層側に配置するのが良い。さらにこの場合、集電体基材とCuコート層とが固着していなくても良い。さらに、Cuコート層は、集電体基材の表面を隈無く被覆する必要はなく、集電体基材の表面に島状に分散配置されていても良い。
本発明の負極に用いられる他の構成要素は、特に限定されず、公知のものを使用できる。
本発明の負極は、負極活物質層に、負極活物質粒子、導電体粒子およびバインダー樹脂以外の材料を含み得る、例えば第2のバインダー樹脂を含んでも良い。また、本発明の負極における負極活物質層は導電体粒子を含むが、さらに、導電助剤を含んでも良い。
第2のバインダー樹脂は、負極活物質粒子、導電体粒子および導電助剤等を集電体に結着するための結着剤として用いられる。第2のバインダー樹脂はなるべく少ない量で負極活物質等を結着させることが求められる。バインダー樹脂および第2のバインダー樹脂の配合量の和は、負極活物質、導電助剤、バインダー樹脂及び第2のバインダー樹脂の合計量を100質量%としたときに、0.5〜50質量%であるのが好ましい。バインダー樹脂および第2のバインダー樹脂の配合量の和が0.5質量%未満では電極の成形性が低下し、50質量%を超えると電極のエネルギー密度が低くなる。第2のバインダー樹脂の種類は限定的ではないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系ポリマー、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム、ポリイミド等のイミド系ポリマー、アルコキシルシリル基含有樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸などが例示される。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤として、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)等を単独でまたは二種以上組み合わせて添加することが出来る。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、負極活物質100質量部に対して、1〜5質量部程度とすることができる。なお、本発明の負極は導電体を含有するために、比較的導電性に優れる。このため、場合によっては導電助剤を添加しなくても良い。また、上述したように、充放電に伴うSiの体積変化を考慮すると、黒鉛(MAG)やSMG(所謂均質黒鉛、SCMG(登録商標))等に代表される、Siの体積変化を緩衝し得る材料を緩衝材かつ導電助剤として配合しても良い。
本発明の負極は、これらの材料に有機溶媒を加えて混合しスラリーにしたものを、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの方法で集電体に塗布(積層)し、バインダー樹脂を加熱・硬化させることによって作製することができる。この活物質層中には、負極活物質粒子としてのSiO粒子および導電体粒子が含まれている。
上記した負極を用いる本発明のリチウムイオン二次電池は、特に限定されない公知の正極、電解液、セパレータを用いることが出来る。正極は、リチウムイオン二次電池で使用可能なものであれば良い。正極は、集電体と、集電体上に結着された正極活物質層とを有する。正極活物質層は、正極活物質と、バインダーとを含み、さらには導電助剤を含んでも良い。正極活物質、導電助材およびバインダーは、特に限定はなく、リチウムイオン二次電池で使用可能なものであれば良い。
正極活物質としては、金属リチウム、LiCoO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMnO、などが挙げられる。正極活物質は反応時に使用されるリチウム(Li)を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。正極活物質が反応時に使用されるリチウム(Li)を含んでいない場合、公知のプレドープ法等で、負極活物質にLiを供給すれば良い。なお、Liを含まない正極活物質は、特に限定されないが、例えば、Liを含まない非金属およびその化合物、Liを含まない金属化合物または高分子材料等が挙げられる。Liを含まない非金属およびその化合物としては、非金属である硫黄(S)単体や、硫黄(S)とカーボン(C)との複合体が挙げられる。このうちCとしては、アセチレンブラックやメソポーラスカーボンを好ましく用いることができる。Liを含まない金属化合物としては、TiO、V、およびMnO等の酸化物、またはMoS等の二硫化物が挙げられる。高分子材料としては、例えばポリアニリンおよびポリチオフェン等の導電性高分子が挙げられる。Liを含まない正極活物質は、S単体、SとCとの複合体、MnOおよびVから選ばれる少なくとも一種を含むのが好ましい。これらの正極活物質を正極に用いることで、電池容量の大きいリチウムイオン二次電池を得ることができる。
本発明の負極活物質(負極活物質粒子)はケイ素酸化物からなりLiを含まない。このため、上述したように正極活物質としてLiを含まないものを用いる場合には、負極活物質にLiを予めドープする必要がある。負極活物質にLiをドープする方法としては、Liを予め負極活物質に挿入する方法(所謂プレドープ)を用いても良いし、電池として使用するときにLiが負極活物質にドープされるようにする方法を用いても良い。
例えば負極活物質にLiをプレドープする方法として、対極に金属リチウムを用いて半電池(仮の電池)を組み、Liを負極活物質に電気化学的にドープする電解ドープ法を用いても良い。この場合、プレドープ後に半電池を分解して、正極を金属リチウム箔からLiを含まない正極活物質を有する正極に交換すれば良い。或いは、金属リチウム箔を負極に貼り付けた後に電解液に浸漬し、金属リチウム箔のLiを負極に拡散させることでLiを負極活物質にドープする方法を用いても良い。この場合には拡散によりLiがプレドープされた負極を、そのまま、Liを含まない正極活物質を有する正極に組み合わせてリチウムイオン二次電池を構成すれば良い。
なお、後述するように、本発明の負極の製造方法によると、加熱工程により集電体および/または金属層のCuを負極活物質層に分散させる。したがって、上述したようにLi源を負極に一体化して初回充放電時にドープを行う場合や、拡散によるプレドープを行う場合には、このCuの分散を妨げないようにするのが好ましい。具体的には、加熱工程後(つまりCuが分散した後)の負極の表面に金属Li箔を貼り付けて、上記のLiドープ工程またはプレドープ工程を行うのが好ましい。
負極活物質にプレドープするLiの量および負極に一体化するLiの量は、正極活物質、電解液等の種類やその組み合わせ、電圧等の電池の使用条件に応じて種々に異なる。このため、これらのLiの量は製造する電池の構成に応じて適宜実測または計算して求めれば良い。
集電体は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼など、リチウムイオン二次電池の正極に一般的に使用されるものであれば良い。導電助剤は上記の負極で記載したものと同様のものを使用できる。
電解液は、有機溶媒に電解質であるLi金属塩を溶解させたものである。電解液は、特に限定されない。有機溶媒として、非プロトン性有機溶媒、たとえばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等から選ばれる一種以上を用いることができる。また、有機溶媒に溶解させる電解質としては有機溶媒に可溶なLi金属塩を用いることができる。有機溶媒に可溶なLi金属塩としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiI、LiClO、LiCFSO等が挙げられる。
例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの有機溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO等のLi金属塩を0.5mol/L〜1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
セパレータは、リチウムイオン二次電池に使用可能なものであれば特に限定されない。セパレータは、正極と負極とを分離して電解液を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、形状に特に限定はなく、円筒型、積層型、コイン型等、種々の形状を採用することができる。何れの形状を採る場合であっても、正極および負極にセパレータを挟装させて電極体とし、正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リード等を用いて接続した後、この電極体を電解液とともに電池ケースに密閉することで電池を得ることができる。
本発明の製造方法は、本発明の負極を製造する方法である。本発明の製造方法においては、Cuを含む集電体とバインダー樹脂とを含む負極中間体を加熱することで、集電体に含まれるCuをバインダー樹脂に溶出させ、負極活物質粒子同士の間隙にCuを含む微粒子状の導電体粒子を分散させる。
以下、本発明の製造方法を具体的に説明する。
〔準備工程〕
準備工程は、集電体および負極合材層を持つ負極中間体を準備する工程である。負極中間体は、集電体上に負極合材層が積層された積層構造をなす。集電体の材料や形状は上述したとおりである。
負極合材層は、バインダー樹脂と負極活物質粒子とを含み、さらに、第2のバインダー樹脂や導電助剤等のその他の材料を含んでも良い。バインダー樹脂の量によっては、第2のバインダー樹脂が不要になる場合もある。また後述する導電体粒子により負極の導電性が充分に向上する場合には、導電助剤が不要になる場合もある。負極活物質粒子、バインダー樹脂、第2のバインダー樹脂および導電助剤として使用可能な材料は、上述したとおりである。なお本明細書において、負極合材層とは、後述する加熱工程前の負極合材の層を指す。つまり負極合材層において、集電体に含まれるCuは、まだバインダー樹脂に溶出していない。換言すると、負極合材層を加熱工程に供することで負極活物質層が得られる。
バインダー樹脂の配合量は特に限定しないが、負極合材層全体を100質量%としたときに、10質量%以上配合するのが好ましく、10質量%〜20質量%配合するのがより好ましく、15質量%程度配合するのがさらに好ましい。バインダー樹脂は、負極合材層の全体に分散していても良いし、負極合材層の一部にだけ存在していても良いが、少なくとも集電体に接触する位置に存在するのが好ましい。
集電体上に負極合材層を積層することで得た積層体(負極中間体)は、以下の加熱工程に供される。
〔加熱工程〕
加熱工程は、準備工程で得た負極中間体を150℃以上に加熱する工程である。加熱工程を模式的に表す説明図を図1に示し、図1の要部拡大図を図2に示す。
図1に示すように、負極中間体1は、集電体2、負極合材層3を備える。集電体2はCuを含み、負極合材層3は負極活物質粒子35およびバインダー樹脂30を含む。集電体2に含まれるCuは、負極合材層3に含まれるバインダー樹脂30に溶出する。この反応は常温でも生じるが、加熱することでさらに促進される。図2に示すように、集電体2からバインダー樹脂30に溶出したCuは、バインダー樹脂30中を移動し、負極合材層中に分散する。このときCuはCu単体であるかまたはCu化合物の状態で存在していると考えられる。負極活物質粒子35はバインダー樹脂30のマトリックス中に分散している。このため、バインダー樹脂30中に分散するCuは、隣接する負極活物質粒子35同士の間隙に存在する。したがって、加熱工程後に得られた負極において、このCuに由来する導電体粒子5もまた隣接する負極活物質粒子35同士の間隙に存在する。負極活物質粒子35の表面に配置されている導電体粒子5が、他の負極活物質粒子35の表面に配置されている他の導電体粒子5と接触することで導電パスが形成される。このため、導電体粒子5は負極活物質粒子35の表面に数多く配置されているのが好ましい。また、導電体粒子5の配合量を少量にしかつ負極活物質粒子35の表面に数多くの導電体粒子5を配置するためには、導電体粒子5の粒径が小さい事が好ましく、ナノ粒子状であることが望ましい。
加熱工程における加熱温度は、バインダー樹脂の種類に応じて適宜設定すれば良く、150℃以上であれば良い。負極合材に含まれるバインダー樹脂およびその他の材料の劣化を抑制するためには、加熱温度は250℃以下の温度であるのが好ましい。これらを勘案すると、加熱温度は、150℃以上250℃以下であるのが好ましく、200℃程度であるのがより好ましい。加熱工程における加熱時間は特に問わないが、上述したCuの溶出・分散を信頼性高く生じさせるためには、60分間以上であるのが好ましく、120分程度であるのがさらに好ましい。
加熱工程は大気圧以下の減圧下で行うのが好ましく、真空下で行うのがより好ましい。電極の酸化防止のためである。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法においては、準備工程後、加熱工程の前に、予備加熱工程を行っても良い。予備加熱工程は、負極中間体を70℃以上に加熱し負極中間体を乾燥させる工程である。この工程によりバインダー用の溶媒(例えばN−メチルピロリドン(NMP)等)を蒸発させることができる。なお、このとき加熱することで、Cuが溶媒中を拡散する。このためバインダー樹脂中におけるCuの拡散速度が速くなり、結果的に導電性が向上すると考えられる。Cuの移動性を考慮すると、この工程は高温で行うのが好ましく、例えば80℃程度で行うのが望ましい。
さらに、準備工程において、負極合材層の表面側にCuを含む金属層を積層して3層構造の負極中間体を作製し、この負極中間体を加熱工程に供しても良い。この場合には、金属層に含まれるCuがバインダー樹脂に溶出し、負極活物質層の表面側に導電体粒子を多く含む負極を得る事ができる。このように得られた負極は、より一層導電性に優れる。負極活物質層のなかで集電体に近い部分は、集電体の優れた導電性により、導電性が高められている。一方、負極活物質層のなかで集電体から最も離間した部分すなわち負極活物質層の表面側は、集電体の影響が少なく、導電性に劣る。この部分に導電体粒子を多く配置することで、大量の導電体粒子を必要とせず、かつ、負極全体の導電性を向上させ得る。
金属層は、上述した集電体と同様にCuを含めば良く、例えば銅箔等を用いても良いし、銅粉をバインダー樹脂で結着したフィルム等を用いても良い。金属層は、負極合材層上に単に載置するだけでも良いし、接着材等で仮止めしても良いが、負極合材層に固着しない方が良い。後述する除去工程が煩雑になるためである。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
<リチウムイオン二次電池用負極の作製>
〔準備工程〕
先ずSiO粉末(シグマ・アルドリッチ・ジャパン社製、平均粒径5μm)を900℃で2時間熱処理し、平均粒径5μmのSiO粉末を調製した。SiとOとの比が概ね1:1の均質な固体のSiOであれば、この熱処理によって、固体の内部反応によりSi相とSiO相の二相に分離する。分離して得られるSi相は非常に微細である。すなわち得られたSiO粉末は、SiO粒子の集合体であり、このSiO粒子は、SiOのマトリックス中に微細なSi粒子が分散した構造となっている。
このSiO粉末と、導電助剤としてのケッチェンブラック(KB)と、緩衝材および導電助剤としての黒鉛(MAG)と、バインダー樹脂としてのポリアミドイミド(PAI)を有機溶媒であるN−メチルピロリドン(NMP)に溶解させたものと、とを混合し、スラリー状の負極合材を調製した。PAIとしては、荒川化学工業株式会社製、商品名コンポセランAIシリーズ、品番AI−301)を用いた。スラリー中の各成分(固形分)の組成比は、SiO:MAG:KB:PAI=42:40:3:15(質量比)であった。このスラリーを集電体に塗布し、集電体上に負極合材層を積層形成した。具体的には、ドクターブレードを用いてこのスラリーを厚さ20μmの電解銅箔(集電体)の表面に塗布した。この工程で負極中間体を得た。
〔予備加熱工程〕
負極中間体を80℃で15分間乾燥し、負極合材中から有機溶媒を揮発させて除去した。乾燥後、ロールプレス機により、電極密度を調整した。
〔加熱工程〕
予備加熱工程後の負極中間体を、真空乾燥炉にて200℃で2時間加熱硬化させて集電体の上層に厚さ15μm程度の負極活物質層を形成した。その後、自然冷却する事で実施例1の負極を得た。なお、この加熱工程において、集電体2に含まれるCuが負極合材層3に含まれるバインダー樹脂30に溶出する現象(図1、2)が生じると考えられる。
(実施例2)
実施例2の製造方法は、負極合材層上に金属層を積層したものを加熱工程に供したこと、加熱工程後に金属層を除去する除去工程を行ったこと以外は実施例1の製造方法と同じである。具体的には、実施例1で用いたものと同じ負極中間体1を準備し、この負極中間体1を実施例1と同様の予備加熱工程に供した。予備加熱工程後、加熱工程前に、負極中間体1の負極合材層3上に金属層4を積層した。金属層としては厚さ20μmの電解銅箔を用いた。実施例2の製造方法では、この加熱工程において、集電体2に含まれるCuおよび金属層4に含まれるCuが負極合材層3に含まれるバインダー樹脂30に溶出する現象(図3)が生じると考えられる。実施例2の製造方法により実施例2の負極を得た。
(実施例3)
実施例3の製造方法は、予備加熱工程を行わなかった事以外は実施例1の製造方法と同じである。実施例3の製造方法により実施例3の負極を得た。
<EDSによる負極の表面および内部分析>
実施例1および実施例2の負極の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により表面観察した。このときの加速電圧は10kVであり倍率は3000倍であった。実施例1の負極のSEM像を図4に示し、実施例2の負極のSEM像を図5に示す。
各SEM像に図示した各位置において、EDS(エネルギー分散型X線分光分析;Energy Dispersive x−ray Spectroscopy、EDXともいう)装置を用いて元素分析を行った。EDSに関しては、ZAF法による簡易定量分析を行った。測定条件は、装置名:6390(LA)、加速電圧:20.0kV、照射電流:1.00000nA、PHAモード:T2、経過時間:491.52sec、有効時間:409.32sec、デッドタイム:16%、計数率:2875cps、エネルギー範囲:0〜20keVであった。なお、実施例1の負極についてはスペクトル1〜19の計19箇所をEDS分析した。実施例2の負極については1〜5の計5箇所をEDS分析した。EDSによる分析結果を表1および表2に示す。なお、表1は実施例1の負極の分析結果であり、表2は実施例2の負極の分析結果である。
Figure 0005757331
Figure 0005757331
図4および表1に示すように、実施例1の負極における負極活物質層には、負極合材中にもともと含まれていなかったCuが存在していた。また、このCuは、図4に示すスペクトル17、18および19の各位置でのみ検出された。スペクトル17、18および19は、負極活物質層における奥部(集電体側)でありかつ負極活物質粒子同士の間隙に位置する。また、負極中間体の中でCuを含むのは集電体のみである。このことから、集電体に含まれていたCuが加熱工程で負極活物質層に分散したことがわかる。また、負極活物質粒子、MAGおよびKBにはCuを溶出する作用はないため、Cu溶出にはバインダー樹脂であるポリアミドイミド樹脂が関与したと推測される。負極活物質層に含まれるCuは粒子状(より詳しくはナノ粒子状)であると推測される。つまり、実施例1の製造方法は、集電体としてCuを含むものを用い、バインダー樹脂としてポリアミドイミド樹脂を用い、かつ集電体と負極合材層との積層体である負極中間体を加熱することで、バインダー樹脂によって集電体のCuを溶出させ、Cuを含む導電体粒子が負極活物質層中に分散した負極を製造できる。
また、図5および表2に示すように、実施例2の負極における負極活物質層にもCuが含まれていた。このCuは負極活物質層における奥部だけでなく表部(集電体とは逆側に位置する部分)にも含まれていた。これは、実施例2の負極が、負極合材層上に金属層を積層し、その後加熱して製造されたためと考えられる。つまり、実施例2の製造方法によると、Cuを含む導電体粒子が負極活物質層全体に分散した負極を容易に製造できる。なお、図5に示す電子顕微鏡像には、「スペクトル1」等の微少な日本文が表示されている。これは写真の一部であり、図1および表1に示すスペクトル1〜19、および表2に示す1〜5との関係はない。
本発明の負極活物質層は、Cu、O、CおよびSi以外の元素を含む可能性もある。しかし一般的な負極活物質層は、負極活物質、導電助剤およびバインダー樹脂を主成分とし、これら主成分は、一般的に、主としてO、CおよびSiで構成される。このため、その他の元素の含有量はさほど多くない。よって、負極活物質層中にCuがどの程度含まれるかを分析するためには、所定の測定位置におけるCu、O、CおよびSiの量を測定し、これらの量の和を100原子数%としたときのCuの量(原子数%)を測定すれば足ると考えられる。
〔導電性評価試験〕
実施例1〜3の負極について、導電性を評価した。具体的には、実施例1〜3の負極を20mm×50mmに切断したものを測定試料として準備した。三菱化学株式会社製の測定装置(MCP−T610)を用い、この測定試料の負極活物質層側から針をあて、四探針法により導電率(S/cm)を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 0005757331
表3に示すように、バインダー樹脂としてポリアミドイミド樹脂(PAI)を含む実施例1〜3の負極は、何れも導電率(S/cm)が高く、導電性に優れていた。このことから、PAIによりCuの溶出が生じていると推測される。
また、予備加熱工程を行った実施例1の負極は、予備加熱工程を行っていない実施例3の負極に比べて導電性に優れていた。これは、NMPが蒸発する前に加熱(予備加熱)することによって、Cuが液体状のNMP中を拡散することができ、Cuの拡散速度が早まるためと考えられる。
また、負極活物質層上に金属層を積層した負極中間体を熱処理した実施例2の負極は、金属層を積層していない負極中間体を熱処理した実施例1の負極に比べて導電性に優れていた。これは、実施例2の負極は負極活物質層における表部(集電体とは逆側に位置する部分)にも導電体粒子が多く存在することで、負極全体の導電性が向上したためと考えられる。なお、予備加熱工程を行わなかった実施例3の負極に関しても、導電率は充分に高い。このことから、予備加熱工程を行わなくても本発明の負極を製造できるといえる。
(その他)
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載することができる。本発明のリチウムイオン二次電池を搭載した車両は、優れたサイクル特性を有する本発明のリチウムイオン二次電池を搭載するため高性能である。なお、本発明のリチウムイオン二次電池を搭載する車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の一部または全部に使用するものが挙げられる。具体的には、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車等が例示される。
以上、本発明のリチウムイオン二次電池用負極およびその製造方法ならびにリチウムイオン二次電池について説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明のリチウムイオン二次電池用負極およびその製造方法ならびにリチウムイオン二次電池は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態により実施することができる。
1:負極中間体 2:集電体 3:負極合材層
4:金属層 5:導電体粒子 30:バインダー樹脂
35:負極活物質粒子

Claims (1)

  1. 集電体と、SiO(0.3≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物とバインダー樹脂とを含み該集電体上に積層されている負極合材層と、銅(Cu)を含み前記負極合材層上に積層されている金属層と、を含む負極中間体を準備する準備工程と、
    該負極中間体を150℃以上に加熱する加熱工程と、
    該加熱工程後に、該金属層を除去する除去工程と、を備え、
    該集電体は、銅(Cu)を含み、
    該バインダー樹脂は、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドイミドシリカハイブリッド樹脂から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法
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