JP5754921B2 - 柔軟剤物品 - Google Patents

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本発明は、袋状容器に液体柔軟剤組成物を充填してなる柔軟剤物品に関する。
近年、環境意識の高まりにより、家庭用品は詰替え品、特に袋状の容器(パウチ容器)に充填された詰め替え品を購入し、それをボトルに詰替えて使用することが一般的となってきている。最たる例として、液体洗浄剤や液体柔軟剤などの液体製品が挙げられ、これらに関しては、既に、詰替え品が広く流通している。
このような詰替え用の液体製品には、内容物の品質が安定に保持されることや、詰替え時の作業性が良好であることなどが求められ、パウチの包装材料に関しては、これまでにも様々な提案がなされている(特許文献1−3)。その結果、初期のパウチ容器において問題となっていた、周囲空気・外部光の透過に起因した内容物の酸化劣化はほぼ解消されるに至っており、最近では、詰替え時の作業性を高める観点からパウチ容器の形状を改善したり(特許文献4及び5)、更なる環境負荷の軽減等の観点から包装材料の薄肉化を進めたりするなど、開発のトレンドは、製品付加価値の付与・向上へと移り変わりつつある。
特開平5−193079号公報 特開平6−171034号公報 特開2000−280394号公報 特開2007−276811号公報 特開2007−39077号公報
環境負荷を軽減させる更なるアプローチとして、液体製品中の有効成分濃度をより一層高め濃縮化することで、これら液体製品の製造・輸送に伴う資源やエネルギーの消費を抑える技術の開発が進められている。
かかる背景下、本出願人は、柔軟基剤濃度を現行の濃縮市販品(柔軟基剤濃度15質量%程度)よりも更に高めた高濃縮型の液体柔軟剤について鋭意検討したところ、既に内容物の品質安定性に関しては確立されているとの認識であった先述のパウチ容器を用いた場合であっても、光曝露下に保存すると、内容物の喫水部分においてゲル状物が形成し、ボトル詰替え時に吐出部を通り難くなり、詰め替えにくくなる課題の存在することを見出した。そしてかかる課題が、高濃縮型の液体柔軟剤の中でも、特定の粘度特性を呈するものにとりわけ顕著に起こるものであると共に、内容物の品質安定性に係る従来の認識とは異なり、パウチ容器の光透過性との間に相関はなく、特定波長の光を反射するパウチ容器の性能、それも内容物の喫水部分にあたる特定位置におけるパウチ容器の光反射特性との間に相関のあることを見出した。
本発明は、高濃縮型の液体柔軟剤を袋状容器(パウチ容器)に充填してなる柔軟剤物品について見出された上記の課題に鑑み、光曝露下で保存する際にも内容物喫水部分におけるゲル状物の生成が抑制される柔軟剤物品を提供する。
本発明は、下記液体柔軟剤組成物を、下記袋状容器に充填してなる柔軟剤物品を提供する。
<液体柔軟剤組成物>
(a)一般式(1)で表される化合物、その4級化物、及びその酸中和物から選ばれる少なくとも1種の化合物〔以下、(a)成分という〕と水を含有する乳濁状の液体柔軟剤組成物であって、水が蒸散する前の30℃での粘度が150mPa・s以下であり、且つ当該組成物中の水が蒸散することで質量が15質量%減少した時の組成物の50℃における粘度が300mPa・s以上である液体柔軟剤組成物
Figure 0005754921
〔式中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、エステル基及び/又はアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜29の炭化水素基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、Ra1、Ra2及びRa3のうち少なくとも1つはエステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数12〜29の炭化水素基である。〕
<袋状容器>
アルミニウム蒸着層が形成されたプラスチックからなる層、アルミニウム層、及びアルミニウム含有塗料の塗布されたプラスチックからなる層から選ばれる厚さ3〜50μmの層を1層以上含む、厚さ100〜250μmの積層材料から形成される袋状容器であって、少なくとも内容物喫水部分の位置(喫水面高さ±2cmの位置)における該袋状容器の、波長900〜1400nmの光に対する最大反射率が60%以上であり、且つ最小反射率が50%以上である、袋状容器
本発明によれば、内容物の品質安定性に富み、詰替え時の作業性が良好である、高濃縮型の袋状容器入り柔軟剤物品を提供することができる。
<液体柔軟剤組成物>
(a)成分は、下記一般式(1)で表される化合物、その4級化物、及びその酸中和物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Figure 0005754921
〔式中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、エステル基及び/又はアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜29の炭化水素基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、Ra1、Ra2及びRa3のうち少なくとも1つはエステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数12〜29の炭化水素基である。〕
本発明の効果をより享受できる観点から、一般式(1)において、Ra1、Ra2及びRa3のうち2つ又は3つがエステル基で分断されている総炭素数12〜29の炭化水素基であることが好ましく、Ra1、Ra2及びRa3の3つ全てがエステル基で分断されている総炭素数12〜29の炭化水素基であることが更に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、例えば下記一般式(2)で表されるアミン化合物(a1)と、炭素数8〜26の脂肪酸又は脂肪酸低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜3)エステル(a2)とのエステル化反応、アミド化反応、又はエステル交換反応により得ることができる。
Figure 0005754921
〔式中、X、Y、Zはそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、1級アミノ基及び2級アミノ基から選ばれる基であり、X、Y、Zの少なくとも一つはヒドロキシ基である。R21、R22、R23はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基、又はプロピレン基である。〕
一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例としては、特に制限されるものではないが、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−アミノプロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(3−アミノプロピル)アミン等が挙げられる。特に本願の効果がより実感できる化合物としてトリエタノールアミンが好ましい。
一般式(1)で表される化合物の製造に用いられる上記(a2)成分に関しては、種々の炭素数範囲及び飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の質量比率を有する脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルを得るために、通常油脂便覧等で知られているような脂肪酸を用いるだけでは達成できない場合は、不飽和結合への水素添加反応、不飽和結合の異性化反応、又は蒸留操作、ボトムカット、トップカットによるアルキル鎖長の調整、あるいは複数の脂肪酸の混合により得ることができる。
(a2)成分の具体例としては、特に制限されるものではないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、又はオレイン酸等の飽和もしくは不飽和脂肪酸又はその低級アルキルエステル;牛脂、豚脂、パーム油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、ヒマワリ油、オリーブ油等の天然油脂を分解・精製して得られる脂肪酸又はその低級アルキルエステル(好ましくはメチルエステル又はエチルエステル);並びにこれらの硬化脂肪酸、部分硬化脂肪酸又はそれらの低級アルキルエステル(好ましくはメチルエステル又はエチルエステル)等を挙げることができる。
(a2)成分としては、特に制限されるものではないが、炭素数8〜26、好ましくは炭素数14〜20の脂肪酸又はその低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)が好適であり、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
エステル化反応、アミド化反応又はエステル交換反応において、前記アミン(a1)のヒドロキシ基、1級アミノ基及び2級アミノ基の合計モル数と、脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステル(a2)とのモル比、(a1)/(a2)は、好ましくは1/0.5〜1/1であり、より好ましくは1/0.5〜1/0.98、更に好ましくは1/0.54〜1/0.95である。
一般式(1)で表される化合物の4級化物は、アルキル化剤を用いて一般式(1)で表される化合物をさらに4級化反応させることにより得ることができる。
一般式(1)で表される化合物の4級化に用いられるアルキル化剤としては、メチルクロリド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等が挙げられる。アルキル化剤としてメチルクロリドを用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合は、エタノールやイソプロパノールなどの溶媒を、エステル化合物に対して10〜50質量%程度混合した溶液をオートクレーブなどの加圧反応器に仕込み、密封下30〜120℃の反応温度でメチルクロリドを圧入させて反応させることが好適である。
アルキル化剤としてジメチル硫酸、ジエチル硫酸を用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合、エタノールやイソプロパノールなどの溶媒を一般式(1)で表される化合物に対して10〜50質量%程度混合した溶液に、ジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸を滴下して行う。ジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸と一般式(1)で表される化合物とのモル比は、一般式(1)で表される化合物のアミノ基1当量に対してジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸を0.9〜1.1倍当量用いることが好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の酸中和物は、無機酸若しくは有機酸を用いて一般式(1)で表される化合物をさらに中和反応させることにより得ることができる。
一般式(1)で表される化合物の中和に用いられる酸としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。好ましい無機酸は、塩酸、硫酸であり、好ましい有機酸は炭素数1〜10の1価又は多価のカルボン酸、又は炭素数1〜20の1価又は多価のスルホン酸である。より好ましくはメチル硫酸、エチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、(o−、m−、p−)キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、グリコール酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸である。
本発明で用いられる液体柔軟剤組成物は、上記の(a)成分と水を含有してなり、水が蒸散する前の30℃での粘度が150mPa・s以下であり、且つ水が蒸散することで質量が15質量%減少した時の該組成物の50℃における粘度が300mPa・s以上となるような特定の粘度特性を有する乳濁状の液体柔軟剤組成物である。
かかる特定の粘度特性を有する液体柔軟剤組成物に関しては、ガスバリア性・遮光性に優れることで知られるアルミニウム蒸着層を備えた袋状容器(パウチ容器)に充填する場合であっても、内容物の喫水部分においてゲル状物が生成する場合のあることを見出しており、上記の粘度変化がよりドラスティックな態様(例えば、水が蒸散することで質量が15質量%減少した時の50℃における粘度が350mPa・s以上となるような態様、更には400mPa・s以上となるような態様、特に500mPa・s以上となるような態様)において、内容物の喫水部分におけるゲル状物の生成はより深刻となる。なお、本発明において、液体柔軟剤組成物の粘度は、B型粘度計(TOKI SANGYO Co.,LTD製、VISCOMETER TVB−10)を用いて下記の方法で測定した値である。
<液体柔軟剤組成物の粘度測定法>
・水が蒸散する前の30℃での粘度
液体柔軟剤組成物を、200mLのガラス製トールビーカーに200g入れ、ウォーターバスで、内容物の温度を30℃に調温し、そのまま30分放置した。30分後、粘度(30℃)をB型粘度計でNo.2のローターを用いて、60r/minで測定し、1分後の粘度を読み取った。
・水が蒸散することで、質量が15質量%減少した時の組成物の50℃における粘度
液体柔軟剤組成物を、200mLのガラス製トールビーカーに200g充填した。50℃のウォーターバスに入れ、長さ3cmテフロン製撹拌子で、400r/minの回転数で、水分量が質量で15%蒸散するまで放置した。粘度(50℃)をB型粘度計でN0.2のローターを用いて、60r/minで測定し、1分後の粘度を読み取った。また、粘度が500mPa・sを超える場合にはローターをNo.3に替えて、60r/minで測定し、1分後の粘度を読み取った。
液体柔軟剤組成物中の(a)成分の含有量が17質量%を超えると上記のような粘度特性が得られ易く、下記(b)成分の添加の有無(あるいはその添加量)の影響も受けるが、(a)成分の含有量が18質量%以上、19質量%以上、更には20質量%以上と高くなると、液体柔軟剤組成物の上記粘度変化はより急激となり、ゲル状物の生成がより深刻となる傾向にある。
本発明で用いられる液体柔軟剤組成物はまた、カチオン性基含有高分子重合体〔以下、(b)成分という〕を含有することができる。液体柔軟剤組成物の上記粘度変化は、かかる(b)成分を含有する場合により急激となる傾向があり、その含有量が0.2質量%以上、更には0.3質量%以上と増すにつれて、喫水部分におけるゲル状物の生成がより深刻となる傾向がある。
(b)成分の好適な例として、以下の(b1)及び(b2)が挙げられる。
カチオン性基含有高分子重合体(b1):
(b1)は、下記一般式(I)若しくは(II)で表されるビニル単量体、その酸塩、及びその4級化物から選ばれる少なくとも1種〔以下、モノマー(A)という〕を必須の構成単位とする高分子重合体である。
Figure 0005754921
〔式中、Rb1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基(好ましくはメチル基、又はエチル基)を示し、Rb2及びRb3は同一又は異なって、水素原子又は水酸基で置換されていても良い炭素数1〜4の炭化水素基を示し、好ましくはメチル基、エチル基、又はヒドロキシエチル基を示す。Yはエステル基(好ましくは−COO−又は−OCO−)若しくはアミド基(好ましくは−CONH−又は−NHCO−)を示し、Zは水酸基を含んでいても良い炭素数1〜8のアルキレン基を示し、好ましくはエチレン基、プロピレン基、又は−CHCH(OH)−を示す。〕
Figure 0005754921
〔式中、Rb4及びRb5は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示し、Rb6は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示す。〕
モノマー(A)としては、特に制限されるものではないが、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、又はジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、若しくはそれらを酸により中和した酸中和物、若しくは4級化剤により4級化した4級アンモニウム塩、又はジメチルジアリルアンモニウムクロライドが挙げられる。
中和に用いる酸としては、特に制限されるものではないが、塩酸、硫酸等の無機酸、クエン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸などの有機酸が挙げられる。
4級化剤としては、特に制限されるものではないが、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
(b1)のカチオン性基含有高分子重合体は、上記モノマー(A)を単独重合させるか、又は他の共重合可能なモノマー〔以下、モノマー(B)という〕と共重合させて調製することができる。
モノマー(B)としては、以下の(i)〜(iv)から選ばれるものが好ましい。
(i)アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、スチレンスルホン酸又はその塩、スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩等のアニオン性基含有ビニル単量体
(ii)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリル(又はメタクリル)アミド、アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(炭素数1〜18)アミド等のアミド基含有非イオン性ビニル単量体
(iii)アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(炭素数1〜14)、アクリル酸(又はメタクリル酸)2−ヒドロキシエチル等のエステル基含有非イオン性ビニル単量体
(iv)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンから選ばれる、酸素原子又は窒素原子を含有しないビニル単量体
中でも、(iii)エステル基含有非イオン性ビニル単量体及び(iv)酸素原子又は窒素原子を含有しないビニル単量体が好ましく、(iii)エステル基含有非イオン性ビニル単量体が特に好ましい。
(b1)のカチオン性基含有高分子重合体がモノマー(A)とモノマー(B)の共重合体である場合、モノマー(A)の共重合量は、繊維製品への(a)成分の吸着性を高める観点から、モノマー全量に対して50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは85モル%以上である。
また、カチオン性基含有高分子重合体(b1)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜90,000である。ここで、カチオン性基含有高分子重合体(b1)のMwは、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)測定による値を使用する。溶離液としては、(1%酢酸/エタノール):水=3:7(質量比)の混合溶媒で調製したLiBrの50mmol/L溶液を溶媒として、極性溶媒用GPCカラム「α−M(東ソー(株)製)」を2本直列して用い、ポリエチレングリコール換算の分子量により算出する。
カチオン性基含有高分子重合体(b2):
(b2)は、カチオン性多糖である。カチオン性多糖の主骨格を形成する多糖としては、特に制限されるものではないが、セルロース、デンプン、デキストラン、ローカストビーンガム、グアーガム、プルラン、キチン、キトサン、アガロース、カラギーナン、又はカードラン等が挙げられ、セルロース、デンプンが好ましい。
本発明において、多糖にカチオン性基を導入する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、多糖と、第三アミノ又は第四アンモニウムアルキル化試薬を、20〜80℃、1〜24時間反応させて、多糖にカチオン性基を導入することができる。第三級アミノ又は第四級アンモニウムアルキル化試薬の例としては、2−ジアルキル(炭素数1〜3)アミノエチルクロライド等の第三級アミノアルキル化試薬、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−エポキシ−プロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウムアルキル化試薬が挙げられる。
カチオン性多糖のカチオン性官能基の導入量は、カチオン性多糖の全質量に対するカチオン性官能基のアミン、その酸塩あるいは4級アンモニウム塩の窒素原子の質量割合を指標として表す。即ち、カチオン性多糖の全質量に対するカチオン性官能基のアミン、その酸塩あるいは4級アンモニウム塩の窒素原子の質量割合[N質量(%)]で表す。ここでN質量(%)は、下記のカチオン性官能基の導入量指標測定法に示す方法を用いることにより測定、算出することができる。N質量(%)は、繊維製品への(a)成分の吸着性を高める観点から、0.01〜3.0が好ましく、0.1〜2.0がより好ましい。尚、(A)成分のカチオン性官能基の導入量指標[N質量(%)]は下記の方法により測定した。
また、本発明に用いられるカチオン性多糖の重量平均分子量(プルラン換算)は、10,000〜15,000,000が好ましく、30,000〜12,000,000がより好ましい。ここでカチオン性多糖の重量平均分子量は下記方法で測定した。
<カチオン性官能基の導入量指標測定法>
カチオン性多糖0.1gを精秤し、0.1質量%水溶液になる様にイオン交換水に溶解させた。このカチオン性多糖水溶液10.0gを精秤し(ag)、5倍に希釈した後にトルイジンブルーを3滴加えて、1/400Nポリビニル硫酸カリウム(PVSK)水溶液で滴定した。滴定の終点は青→紫〜赤である。滴定に要したPVSK量から、次式によりN質量(%)を求める。
Figure 0005754921
〔式中、fは1/400N PVSKの力価を示す。〕
測定により得られたN質量(%)を多糖に導入されたカチオン基量の指標とした。
<重量平均分子量測定法>
ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記の測定条件で測定した。
装置;東ソー(株)製HLC−8120
GPCカラム;東ソー(株)製TSKgelα−M(1本)
溶離液;ジメチルスルホキシド(50mM臭化カリウム)
流速;0.5mL/min
カラム温度;50℃
検出器;RI
試料濃度;5mg/mL
注入量;100μL
分子量換算用検量線;昭和電工製単分散プルランを使用
試料の分子量:標準プルラン基準の相対値
本発明に用いられる液体柔軟剤組成物はまた、(a)成分及び(b)成分を安定に溶解、分散、乳化させる目的から、炭素数8〜20の炭化水素基とポリオキシアルキレン鎖とを有する非イオン性界面活性剤〔以下、(c)成分という〕を含有することができる。
(c)成分としては、下記一般式(3)で表される非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
3a−G−〔(R3bO)−R3c (3)
〔式中、R3aは、炭素数8〜20、好ましくは炭素数8〜18、より好ましくは炭素数10〜16の炭化水素基であり、R3bは、炭素数2又は3のアルキレン基、好ましくはエチレン基であり、R3cは、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子であり、pは2〜100、好ましくは5〜80、より好ましくは5〜60、更に好ましくは10〜60の数であり、付加形態はランダム付加又はブロック付加のいずれでもよい。Gは−O−、−COO−、−CONH−、−NH−、−CON<又は−N<であり、Gが−O−、−COO−、−CONH−又は−NH−の場合qは1であり、Gが−CON<又は−N<の場合qは2である。〕
液体柔軟剤組成物中の(c)成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜8質量%がより好ましい。
本発明に用いられる液体柔軟剤組成物はまた、貯蔵安定性を向上させる目的から、無機塩〔以下、(d)成分という〕を含有することが好適である。(d)成分としては、貯蔵安定性の観点から、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムが好ましい。
液体柔軟剤組成物中の(d)成分の含有量は、0.0005〜5質量%が好ましく、0.001〜4質量%がより好ましい。
本発明に用いられる液体柔軟剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において、液体柔軟剤組成物に通常含有される成分、例えば、香料、染料、酸化防止剤、金属封鎖剤、エタノール又はエチレングリコール等の溶剤又はシリコーン化合物等を更に含有してもよい。
[袋状容器]
本発明に用いられる袋状容器は、アルミニウム蒸着層が形成されたプラスチックからなる層、アルミニウム層、及びアルミニウム含有塗料が塗布されたプラスチックからなる層から選ばれる厚さ3〜50μmの層〔以下、層(I)という〕を1層以上含む、厚さ100〜250μmの積層材料から形成される袋状容器であって、少なくとも内容物喫水部分の位置(喫水面高さ±2cmの位置)における該袋状容器の、波長900〜1400nmの光に対する最大反射率が60%以上であり、且つ最小反射率が50%以上であることを特徴とする。
柔軟基剤(即ち、(a)成分)を高濃度に含有し先述のような特定の粘度特性を呈する液体柔軟剤組成物を充填する場合には、内容物喫水部分におけるゲル状物の生成を抑制するに際し、かかる特定の光反射特性を有する袋状容器(パウチ容器)を用いることが重要であることを本出願人は見出した。このような光反射特性に着目した容器の設計思想は、外部光に起因する内容物の酸化劣化を抑えるべく遮光性層(アルミニウム蒸着層)を採用するに至った従来の容器設計思想とは異なることに留意されたい。この点、本発明に用いられる液体柔軟剤組成物が、遮光性に優れることで知られるアルミニウム蒸着層を備えた在来の袋状容器(パウチ容器)に充填する場合であっても、(上記光反射特性を満たさない容器を用いた場合には)内容物の喫水部分においてゲル状物が生成することは先述の通りである。
内容物喫水部分におけるゲル状物の生成を抑制する観点から、袋状容器の、少なくとも内容物喫水部分における位置(喫水面高さをゼロ基準として±2cmの範囲)は、上記の光反射特性を満たすことが要求され、ゲル状物の生成を効果的に抑制する観点から、喫水面高さをゼロ基準として、好ましくは+1.5cm〜−1.5cmの範囲、更に好ましくは+1cm〜−1cmの範囲において、上記光反射特性を満たす袋状容器を用いることが好適である。
内容物喫水部分におけるゲル状物の生成を抑制する観点から、袋状容器は、上記の少なくとも内容物喫水部分における位置において、波長900〜1400nmの光に対する最大反射率が60%以上であり且つ最小反射率が50%以上であることが要求され、ゲル状物の生成を効果的に抑制する観点から、波長900〜1400nmの光に対する最大反射率は、好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上であることが好適であり、最大反射率の上限値は100%である。内容物喫水部分におけるゲル状物の生成を高いレベルにて抑制する観点から、本発明に用いる袋状容器は、波長900〜1400nmの光に対し、最小反射率は好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが好適であり、最小反射率の上限値は100%である。なお、本発明において、袋状容器の、波長900〜1400nmの光に対する光反射率は、島津製作所製の紫外−可視−近赤外分光光度計(Solid Spec 3700)を用いて、下記の条件で測定した値である。
<測定条件>
波長範囲:280−2600nm
スキャンスピード: 中速
サンプリングピッチ: 1.0
スリット幅: 20nm
検出器ユニット: 積分球
S/R切替: 反転
本発明において、袋状容器が上記の光反射特性を満たすことにより内容物喫水部分におけるゲル状物の生成が抑制されるメカニズムに関しては未だ不明な点はあるが、波長900〜1400nmという近赤外領域の光に対する反射率が高いほど良好な効果が奏されることから、上記近赤外領域の光の光熱変換が抑制され、それが、何らかの形で、内容物である液体柔軟剤組成物の喫水部分におけるゲル化の抑制に寄与しているものと考えられる。なお、袋状容器のうち、内容物喫水部分における位置について上記光反射特性を満たせば本願所望の効果を得られることから、内容物である液体柔軟剤のバルク温度の高低がゲル化の有無に影響しているというよりも、喫水部分近傍の局所的な内容物温度がゲル化の有無に影響しているものと推察される。先述の通り、本出願人は、柔軟基剤(即ち、(a)成分)を高濃度に含有し、特定の粘度特性(即ち、水が蒸散する前の30℃での粘度が150mPa・s以下であり、且つ水が蒸散することで質量が15質量%減少した時の50℃における粘度が300mPa・s以上となる)を有する乳濁状の液体柔軟剤組成物を充填する場合に、内容物喫水部分におけるゲル状物の生成の問題が起こることを見出している。かかる粘度特性は、液体柔軟剤組成物のバルク特性を表すものであるが、かかる粘度変化現象が袋状容器に充填後の喫水部分近傍において局所的に再現されゲル化の要因となるものと推察する。
以下、本発明の袋状容器を構成する積層材料に関し説明する。
層(I)のうち、アルミニウム蒸着層が形成されたプラスチックからなる層は、厚さ30μm未満のプラスチックフィルムにアルミニウム金属を真空蒸着させたものが好ましい。厚さ30μm未満のフィルムは単一のフィルムのみからなる単層であってもよく、各種プラスチックフィルムを積層した多層であってもよい。上記30μm未満のフィルムへのアルミニウム蒸着層の形成は、アルミニウム金属を真空蒸着させる方法により行われ、バッチ式でもよく、連続式でもよい。アルミニウム金属を真空蒸着させる前に、該フィルムを耐熱性樹脂でアンカーコート処理してもよい。真空蒸着の金属層の厚さは数百オングストローム程度でよい。アルミニウム蒸着層を形成するプラスチックは包装材料として公知のものから選択できる。
層(I)のうち、アルミニウム層は、厚さ3〜15μmのものが好ましく、容器の開封性(切り裂き性)といった点から、厚さ3〜10μmのものがより好ましい。
層(I)のうち、アルミニウム含有塗料が塗布されたプラスチックからなる層は、プラスチックからなる層にアルミニウム塗工量1〜20g/mとなるようにアルミニウム含有塗料を塗布してなるものが好ましい。用いられるプラスチックからなる層は、剛性などについて必要最小限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると製袋加工性が低下し、またコストが上昇するという欠点もあり、逆に薄すぎると強度、剛性などが低下して好ましくないので、厚さは10〜50μmの範囲内であることが好ましく、15〜30μmの範囲内がより好ましい。アルミニウム含有塗料を塗布するプラスチックは包装材料として公知のものから選択できる。
上記層(I)は、波長900〜1400nmの光に対し高い反射率を呈し、内容物喫水部分における位置において、かかる層(I)の光学的特性を阻害することなく効果的に発現させることにより、本願所望の効果を奏することができる。
積層材料の構造は、少なくとも内容物喫水部分における位置において上記層(I)の光学的特性を阻害することなく効果的に発現させる限りにおいて、層(I)を含んで構成されるものであれば特に制限されるものではない。積層材料からなる袋状容器の好ましい構成としては、
最外層(光が最初に入射する層)に延伸ナイロン(ONy)、次いでアルミニウム蒸着層が形成されたプラスチックからなる層、アルミニウム層、及びアルミニウム含有塗料が塗布されたプラスチックからなる層から選ばれる厚さ3〜50μmの層〔層(I)〕、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる基材層が配置され、あるいは層(I)と延伸ポリプロピレン(OPP)からなる層、高密度ポリエチレン(HDPE)からなる層より選ばれる1層以上とを含んで構成される層が配置され、
次いで無延伸ポリプロピレン(CPP)、直線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等からなるシーラント層が配置され積層した構成を例示することができる。フィルム各層の積層は、一般的に、ポリウレタン系、エステル系等の接着剤や、カゼインなどの水溶性接着剤などの糊材を用いて行われる。
なお、層(I)として、アルミニウム含有塗料が塗布されたプラスチックからなる層を用いる場合、最外層の延伸ナイロン(ONy)に直にアルミニウム含有塗料を塗布し、最外層と層(I)を兼ねる層とすることもできる。
袋状容器入り液体柔軟剤は、冒頭述べた通り、既に広く流通しているが、最外層を構成する基材層の裏面(周囲環境に接する表面とは反対側の面)に印刷処理が施されるのが一般的である。このような印刷処理に用いられる着色剤の多くは、波長900〜1400nmの光に対し幾らかの吸収性を呈するものであり、少なくとも内容物喫水部分における位置の印刷処理には注意が必要である(かかる印刷処理層は、容器外部から入射する波長900〜1400nmの光に対し吸収性を呈するのに加え、層(I)で反射した波長900〜1400nmの光に対しても吸収性を呈する)。印刷層として波長900nm〜1400nmの光に対し吸収性を呈する層を形成してもよいが、本願所望の効果を奏するに際し、少なくとも内容物喫水部分の位置において、積層材料全体として波長900nm〜1400nmの光に対する最大反射率が60%を下回らないようにすること、及び最小反射率が50%を下回らないようにすることが要求される。このような印刷層としては、少なくとも内容物喫水部分の位置において、波長900nm〜1400nmの光に対する最大光吸収率が35%以下である層が好ましく、喫水部分におけるゲル状物の生成を高いレベルにて抑制する観点から、内容物喫水部分の位置において、波長900nm〜1400nmの光に対する最大光吸収率が、好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下、特に好ましくは10%以下である層が好適である。ここで、上記の最大光吸収率の値は、内容物喫水部分の位置において、印刷層が均一に構成(使用する着色剤の種類や量、並びにそれに起因する色において)されていることを想定した際の値であることに留意されたい。内容物喫水部分の位置において、印刷層が複数色からなる場合、あるいは一部に印刷層を設け残りは層(I)を光学的に露出させた状態とする場合は、内容物喫水部分の位置全体に関し波長900nm〜1400nmの光に対する光吸収率が平均値で30%以下であることが好適であり、更に好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下とすることが好適である。ここで、上記の光吸収率は、島津製作所製の紫外−可視−近赤外分光光度計(Solid Spec 3700)を用いて、印刷層を設けない容器の光反射率を測定し、次いで印刷層を設けた時の光反射率を測定し、その差分を印刷層の光吸収率とした。
<測定条件>
波長範囲 :280−2600nm
スキャンスピード :中速
サンプリングピッチ :1.0
スリット幅 :20nm
検出器ユニット :積分球
S/R切替 :反転
喫水部分におけるゲル状物の生成を抑制する観点からは、最も好ましくは、内容物喫水部分の位置においては、層(I)が光学的に露出するように印刷層を設けないことが好適である。
印刷層を設ける場合、酸化チタンや酸化亜鉛等の無機顔料や有機顔料を使用することが好ましい。とりわけ、480nm以下に最大吸収波長を有する顔料や、560nm以上に最大吸収波長を有する顔料が好ましい。
積層材料は複合フィルム基材であってよく、例えば以下の複合フィルム基材(1)、(2)のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
・複合フィルム基材(1):ONy(15μm)/アルミニウム蒸着PET(12μm)/L−LDPE(130μm)
・複合フィルム基材(2):延伸6Ny(15μm)/OPP(20μm)/アルミニウム箔(7μm)/L−LDPE(130μm)
なお、上記記載において、括弧内はフィルムの厚さを示す。
本発明に用いられる袋状容器は、上述のような複合フィルム基材を、最内層となる層を内側にして重ね合わせ、その周縁部を、ヒートシール等により接着して袋状に成形して得られる。通常、該袋状容器は底部と側部とを有するが、積層材料が層(I)を含むものであれば、底部と側部とで積層材料が異なっていても同一でもよい。
本発明の柔軟剤物品は、袋状容器に収容されている液体柔軟剤組成物をハードボトル等に詰替えを行い使用することができる。
実施例及び比較例において液体柔軟剤組成物を調製するのに用いた各配合成分をまとめて以下に示す。
<(a)成分>
(a−1):下記合成例1で得られた化合物
(a−2):下記合成例2で得られた化合物
<(b)成分>
(b−1):下記合成例3で得られたカチオン性基含有高分子重合体(M:11000)8、N質量(%)=0.36)
<(c)成分>
(c−1):炭素数12の飽和アルコールにエチレンオキシドを平均20モル付加させたポリオキシエチレンアルキルエーテル
<(d)成分>
(d−1):塩化カルシウム
<(e)成分>
(e−1):香料組成物(パールライド:クマリン:ベンジルサリシレート=1:1:1(質量比))
合成例1: 化合物(a−1)の合成
N−(3−アミノプロピル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミンと、混合脂肪酸(ステアリン酸/パルミチン酸質量比=6/4)を、1/1.9のモル比で定法に従って脱水縮合させた(反応温度:180〜190℃、反応圧力:150〜200Torr)。反応の進行は、反応物中の未反応の脂肪酸含量を、JIS K 0070記載の試験法に従い、酸価を測定することで追跡し、酸価が5になった時点で反応を終了させた。反応物を70℃まで自然放冷し、窒素で常圧に戻した。得られた反応生成物中の未反応脂肪酸含量を、前記JISの試験法に従い酸価を測定することで求めた。残分が(a−1)成分であり、含有量は95質量%であった。
合成例2:化合物(a−2)の合成
ステアリン酸(平均分子量284、飽和脂肪酸)、オレイン酸(平均分子量282、不飽和脂肪酸)及びパルミチン酸(平均分子量256、飽和脂肪酸)の混合脂肪酸(ステアリン酸/オレイン酸/パルミチン酸=50/30/20(質量比)、平均分子量278)197.4g(0.71mol)と、トリエタノールアミン54.4g(0.37mol)を混合し、180〜185℃(常圧下)で3時間反応させた後、200mmHgまで減圧し、更に3時間熟成した。その後、窒素で常圧に戻し、100℃まで冷却し脱水縮合物240gを得た。得られた縮合物の酸価(JIS K0070準拠)は0.7mgKOH/gであった。
次に、この脱水縮合物のうち230gを70〜75℃に調温し、前記脱水縮合物のアミン価を基に、脱水縮合物のアミン当量に対して0.98当量に相当するジメチル硫酸を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、50〜55℃で更に3時間熟成し、目的の化合物(a−2)を含有する反応生成物を得た。得られた反応生成物の揮発分をJIS K0067の方法に従って測定し、エタノール含有量とした。エタノール以外の固形分の組成を下記文献記載のHPLCの方法に準拠して分析した。固形分中の化合物(a−2)の含有量は75質量%であった。
文献:Eilkes,A.J.,C.Jacobs,G.Walraven,J.M.Talbot, Characterization of quaternized triethanolamine esters (esterquats) by HPLC, HRCGC, and NMR, World Surfactants Congr.,4th,1996,1,389-412.
合成例3:カチオン性基含有高分子重合体(b−1)の合成
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、エタノール180.0gを入れ、攪拌しながら、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル(DMAEMA)42.37g(0.27mol)、ラウリルメタクリレート(LMA)7.62g(0.03mol)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65;和光純薬工業(株)製)1.41gをエタノール20.0gに溶解した溶液を窒素雰囲気下で6時間かけて滴下した。次いで70〜80℃にて合計8時間保持することで重合・熟成した後、室温まで降温した。この反応溶液をイオン交換水4000.0g中に滴下して再沈殿精製し、沈殿物を乾燥してカチオン性基含有高分子重合体(b−1)を得た。得られた高分子重合体のMwを、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定(水/エタノール=7/3系、ポリエチレンオキシド換算)した結果、それぞれ11000であった。また、H−NMRにより分析したカチオン性基含有高分子重合体(b−1)の組成は、仕込みモノマー組成通り、DMAEMA/LMA(モル比)=9/1であった。
実施例1−8及び比較例1−5
表1に示す液体柔軟剤組成物を下記調製方法に従って調製し、その粘度を下記方法で測定した。得られた液体柔軟剤組成物を、表2に示す積層材料からなる袋状容器に充填して柔軟剤物品を得た。各柔軟剤物品の日光曝露下での保存安定性を下記方法で評価した。結果を表3に示す。
<液体柔軟剤組成物の調製>
1Lのガラスビーカーに、一枚の長さが3.5cmのタービン型羽根が垂直面から45度の角度で、3枚ついた攪拌羽根を設置(攪拌羽根底部がビーカー底面より1cm上部になるように設置)し、液体柔軟剤組成物の出来上がり質量が1000gになるのに必要な量の90%相当量のイオン交換水を入れ、60〜65℃に設定したウォーターバス中で攪拌した(500rpm)。次いで、攪拌を続けながら、溶融状態にした(c)成分を添加した。次に70℃で溶融させた(a)成分を添加した。(b)成分を添加する場合には、(a)成分に次いで添加した。その後、所定のpHにするのに必要な量の35%塩酸水溶液及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液と(d)成分を添加し、15分間攪拌した後、5℃のウォーターバス中で30℃まで冷却し、(e)成分を添加し、更に5分間混合した。攪拌しながら、必要に応じて35%塩酸水溶液及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整した。最後に、出来上がり質量にするのに必要な量のイオン交換水を添加し、更に2分間攪拌した。
なお、表2の組成においては、(a)成分は、ほぼすべて塩酸塩の状態で組成物に存在する。
<液体柔軟剤組成物の粘度測定法>
B型粘度計(TOKI SANGYO Co.,LTD製、VISCOMETER TVB−10)を用いて下記の方法にて測定した。
・水が蒸散する前の30℃での粘度
液体柔軟剤組成物を、200mLのガラス製トールビーカーに200g入れ、ウォーターバスで、内容物の温度を30℃に調温し、そのまま30分放置した。30分後、粘度(30℃)をB型粘度計でNo.2のローターを用いて、60r/minで測定し、1分後の粘度を読み取った。
・水が蒸散することで、質量が15質量%減少した時の組成物の50℃における粘度
液体柔軟剤組成物を、200mLのガラス製トールビーカーに200g充填した。50℃のウォーターバスに入れ、長さ3cmテフロン製撹拌子で、400r/minの回転数で、水分量が質量で15%蒸散するまで放置した。粘度(50℃)をB型粘度計でN0.2のローターを用いて、60r/minで測定し、1分後の粘度を読み取った。また、粘度が500mPa・sを超える場合にはローターをNo.3に替えて、60r/minで測定し、1分後の粘度を読み取った。
<保存安定性評価法>
表2の積層材料からなる袋状容器(パウチ容器;内容積700ml)に、表3の組み合わせで液体柔軟剤組成物を500ml充填し、ヒートシーラーで密封して柔軟剤物品を得た(ヘッドスペース200ml;ヘッドスペース高さ8cm)。得られた柔軟剤物品を、ロングライフフェードメーター FAL−7X−L−B−Ec型(スガ試験機株式会社製)にて光暴露試験を行った(放射照度:42W/m、積算放射照度:10MJ/m、ブラックパネル温度:45℃)。その後屋内に1日保存した後、容器を切り開き喫水部分に生成するゲル状物の生成量を10人のパネラー(柔軟剤、衣料用洗剤の開発に5年以上従事した30代男性研究員10人)により下記基準で判定した。尚、この評価において、評価点2.0以上は効果があると判断した。又、評価点0.2点の差は有意差として認識できる。
評価基準:
0‥光照射面の喫水部の全てにゲル状物が付着し、ゲル状物が喫水部以外の液面の面積の5〜15%を占めるほど浮遊している
1‥光照射面の喫水部の全てにゲル状物が付着し、極僅かのゲル状物が喫水部以外の液面を浮遊している
2‥光照射面の喫水部の僅か一部にゲル状物が付着している
3‥ゲル状物がない
Figure 0005754921
Figure 0005754921
Figure 0005754921

Claims (2)

  1. 下記液体柔軟剤組成物を、下記袋状容器に充填してなる柔軟剤物品。
    <液体柔軟剤組成物>
    (a)一般式(1)で表される化合物、その4級化物、及びその酸中和物から選ばれる少なくとも1種の化合物〔以下(a)成分という〕19質量%以上と水を含有する乳濁状の液体柔軟剤組成物であって、水が蒸散する前の30℃での粘度が150mPa・s以下であり、且つ当該組成物中の水が蒸散することで質量が15質量%減少した時の組成物の50℃における粘度が300mPa・s以上である液体柔軟剤組成物
    Figure 0005754921

    〔式中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、エステル基及び/又はアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜29の炭化水素基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、Ra1、Ra2及びRa3のうち少なくとも1つはエステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数12〜29の炭化水素基である。〕
    <袋状容器>
    アルミニウム蒸着層が形成されたプラスチックからなる層、アルミニウム層、及びアルミニウム含有塗料の塗布されたプラスチックからなる層から選ばれる厚さ3−50μmの層を1層以上含む、厚さ100〜250μmの積層材料から形成される袋状容器であって、少なくとも内容物喫水部分の位置(喫水面高さ±2cmの位置)における該袋状容器の、波長900〜1400nmの光に対する最大反射率が60%以上であり、且つ最小反射率が50%以上であり、少なくとも前記内容物喫水部分の位置において、光入射側(外部環境側)に、波長900nm〜1400nmの光に対する最大光吸収率が35%以下の印刷層を含む、袋状容器
  2. 前記液体柔軟剤組成物が、更に(b)成分としてカチオン性基含有高分子重合体を含有する、請求項1記載の柔軟剤物品。
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