以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る撮影機器の回路構成を示すブロック図である。
本実施の形態は、撮影範囲内においてユーザが書物を手に持ち重力を利用して頁をぱらぱらとめくりながら撮影を行うことで、各頁を撮像するものである。なお、本実施の形態においては、書物として、複数毎の紙が一方の端を綴じられた状態になっている通常の本を扱うものとする。
図1において、撮影機器であるカメラ10は、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子によって構成された撮像部2を有している。撮像部2は、後述する制御部1によって、絞り、ピント、ズーム等が制御可能に構成されており、様々なサイズの書物に対応した撮像が可能である。
撮像部2は、制御部1によって駆動制御されて、被写体である書物の静止画像又は動画像を撮像し、画像信号を出力する。制御部1は、撮像部2に撮像素子の駆動信号を出力すると共に、撮像部2からの画像信号を取り込む。
制御部1は、入力された画像信号に対して、所定の信号処理、例えば、色信号生成処理、マトリックス変換処理、その他各種の信号処理を行う。制御部1は、画像信号の記録に際して、符号化処理を施して圧縮した画像情報を出力することもできるようになっている。制御部1は、信号処理した画像データを記録部4に与えて記録させると共に、表示部8に与えて表示させることができるようになっている。
本実施の形態においては、記録部4には仮記録部4aが設けられている。制御部1は、書物の各頁の撮像画像の視認性を向上させるために、撮像した画像のうち視認性に優れた画像のみを採用する。そこで、制御部1は、撮像画像を仮記録部4aに与えて仮記録させると共に、仮記録部4aに仮記録された画像のうち、視認性に優れた画像のみを記録部4に本記録するようになっている。
なお、制御部1は、図示しない作業メモリを用いて各種処理を実行しており、仮記録部4aに仮記録することなく作業メモリ上で撮像画像のチェックを行うことで本記録する画像を決定するようにしてもよい。
カメラ10には、時計部5及び操作部6も設けられている。時計部5は制御部1が用いる時間情報を発生する。操作部6は、カメラ10に設けられた図示しないレリーズスイッチや撮影モード設定等の各種スイッチに対するユーザ操作に基づく操作信号を発生して、制御部1に出力するようになっている。制御部1は、操作信号に基づいて、各部を制御する。
カメラ10には、姿勢判定部7も設けられている。姿勢判定部7は、加速度センサ等によって構成することができ、カメラ10本体の姿勢及び重力方向を検出する。姿勢判定部7は、カメラ10本体が重力方向に対してどのような角度に配置されているかを検出して検出結果を制御部1に与えるようになっている。
本実施の形態においては、制御部1は、水平ライン追尾部1a、画像補正部1b及び並べ替え部1cを有している。
図2及び図3は制御部1を説明するための説明図である。
本実施の形態においては、図2に示す利用シーンを想定している。即ち、ユーザ11は本実施の形態におけるカメラ10と書物15とを相互に対向する位置に配置する。図2の例では、ユーザ11は、右手12で書物15を把持し、左手13で台16上のカメラ10を操作するようになっている。ユーザ11は、書物15を開き、見開いた上下(又は左右)の頁の一方の頁の前小口側端辺(以下、頁端辺という)を上方に、他方の頁の頁端辺が下方になるように書物を右手12で持ち、例えば、一方の頁の頁端辺を押さえている親指14をずらすことで、一方の頁が上方側から下方側に重力によってめくられるようにする。即ち、各頁は順次重力に従ってめくられる。
水平ライン追尾部1aは、撮像画像中の水平ラインを検出して追尾し、順次撮像される画像上において水平ラインが画像上を移動する様子を検出する。即ち、図2の例では、水平ライン追尾部1aは、書物の各頁の頁端辺を検出して追尾することができる。
図3はこの様子を示すものであり、図3(a)は書物15の頁がめくられる途中の状態を示している。頁を親指で押さえている状態では、頁の頁端辺L1は略書物15の上端に位置する。親指をずらすと、頁が重力によってめくられて頁端辺L1は次第に下降し、図3(a)の状態から図3(b)の状態を経て、最終的には図3(c)に示すように、頁端辺L1が略書物15の下端に位置する状態となる。
いま、図3の破線にて囲った領域がカメラ10による撮像範囲であるものとすると、図3(a)の状態では書物15の第n頁が撮像可能である。図3(b)の状態では、頁がめくられて第n頁の一部と第n+2頁の一部とが撮像可能な状態である。
水平ライン追尾部1aは、このような頁端辺L1の位置の変化を検出することで、頁端辺L1がめくられて図3(c)に示すように書物15の最下端の位置まで移動したことを検出することができる。制御部1は水平ライン追尾部1aの検出結果によって、頁が完全にめくられたことを検出すると、この状態における撮像画像を記録部4に本記録する。図3(c)の状態においては、カメラ10は第n+2頁を撮像可能である。
なお、図3のようにカメラ10による撮像範囲が1頁分である場合には、図3の撮像方法では、奇数頁のみ又は偶数頁のみが撮像されることになるので、書物15を180度回転させて偶数頁又は奇数頁を撮像する必要がある。
並べ替え部1cは、記録部4に記録された撮像画像を並べ替えて表示させることができる。図3の例では、奇数頁のみ又は偶数頁のみが先に撮像され、後で偶数頁又は奇数頁のみが撮像されることになる。従って、撮像順に表示を行うと、表示される頁は頁順とならない。並べ替え部1cは、撮像された画像を並べ替えて頁順に撮像画像を表示させることができる。
画像補正部1bは、撮像画像に対する歪み補正や回転補正等の各種画像補正を行う。図3の撮像方法では、頁端辺は頁内の画像の向きに拘わらず水平となる。画像補正部1bは、撮像画像が頁内の画像の向きと一致するように、或いはユーザが指定する画像の向きに一致するように、画像を回転させることができるようになっている。
また、図3の撮像方法では、書物15は重力に対して手のみによって支持されており、撮像範囲内の各頁は、必ずしも平坦になるとは限らない。カメラの撮像範囲に対して頁に傾斜した部分が存在する場合には、撮像画像に歪みが生じる。図4及び図5はこのような状態を示している。なお、図5は図4中の書物15をカメラ10側から見た平面図である。図4及び図5においては書物15の頁P1,P2を見開いた状態において、撮像範囲H1内の頁P1はカメラ10の光軸に対して傾斜して配置されている。図4及び図5の例では、頁P1の頁端辺側がカメラ10側に近接するように頁P1が傾斜している。この場合には、撮像画像は台形歪みを生じる。画像補正部1bは、撮像画像を画像補正してこのような歪みを除去することができるようになっている。
次に、このように構成された実施の形態の動作について図6及び図7のフローチャートを参照して説明する。図6は撮影時の動作フローを示し、図7は再生時の動作フローを示している。
電源が投入されると、制御部1は、図6のステップS1において、撮影モードが指示されたか否かを判定する。撮影モードが指示されていない場合には、制御部1は、再生モードに移行する。撮影モードが指示されると、制御部1は、ステップS2において、書物取込モードが指示されているか否かを判定する。書物取込モードが指示されていない場合には、制御部1は処理をステップS3に移行して、撮像部2からの画像信号に基づいて、表示部8に撮像画像(スルー画)を表示させる。
制御部1は、次のステップS4において、ユーザによる撮影操作が行われたか否かを判定する。撮影操作以外の各種操作が行われると、制御部1はステップS8においてユーザ操作に基づく各種処理を行う(ステップS9)。
ユーザが撮影を行うために図示しないレリーズボタン等を操作すると、制御部1は処理をステップS5に移行して、撮影を行う。即ち、制御部1は撮像部2からの撮像画像に対して所定の信号処理及び符号化処理等を施す。更に、制御部1は時計データと共に、撮像画像をファイル化して、記録部4に記録する。
ここで、ユーザが書物取込モードを指示するものとする。そうすると、制御部1は処理をステップS2からステップS11に移行して、表示部8にスルー画を表示させる。ユーザはスルー画を見ながら、撮影範囲を書物の頁に一致させる位置合わせを行う。次に、制御部1は姿勢判定部7の判定結果から重力方向を検出する(ステップS12)。制御部1は、例えば重力方向の検出結果に基づいて画面上に水平ラインを示す表示を表示させる。ユーザはこの水平ラインの表示が水平となるようにカメラ10を配置すると共に、水平ラインの表示と書物の頁端辺とが平行になるように書物を配置する。
次に、制御部1は、例えばユーザ操作に基づいて、或いはカメラ10と書物との配置が適正となったことを検出すると、連続撮影を開始する(ステップS13)。制御部1は撮像画像を順次取り込んで、記録部4の仮記録部4aに記録する(ステップS14)。制御部1の水平ライン追尾部1aは、次のステップS15において、仮記録部4aに記録された画像に基づいて、水平ライン(頁端辺)が下降して安定したか否かを判定する。水平ラインが安定していない場合には、処理をステップS14に戻して仮記録を繰り返す。
頁端辺が下降して書物の下端に到達したことが水平ライン追尾部1aによって検出されると、制御部1は次のステップS16において、水平ラインの安定後に撮影された画像の頁を判定する。例えば、制御部1は、頁端部の頁番号表示部分の画像認識によって頁判定を行うことができる。制御部1はこの頁判定によって撮像された書物の頁番号や画像の向き等を認識する。制御部1は、ステップS16の頁判定結果が前回の頁判定結果と同一であったか否かを判定し(ステップS17)、同一であった場合には、処理をステップS21に移行する。
同一頁でない場合には、制御部1の画像補正部1bは、ステップS18において、頁判定結果に従って、撮像画像の向きが一致するように、頁の上下を揃える回転処理を行う。なお、画像補正部1bは、撮像画像の台形歪み等の歪みを補正する画像補正処理を行ってもよい。
次に、制御部1は、水平ラインが安定した後の撮像画像に時計データを付与し(ステップS19)、記録部4に本記録する(ステップS20)。制御部1は次のステップS21において、ユーザが撮影を希望する奇数又は偶数の全ての頁の撮像が終了したか否かを判定する。例えば、制御部1は、水平ラインとして検出可能な頁端辺の画像部分が5秒間変化しない場合には、ユーザが希望する頁の撮影が終了したものと判定する。ユーザが希望する頁の撮影が終了していない場合には処理をステップS14に戻して仮記録を続け、撮影が終了した場合には、ステップS22において連続撮影を終了する。
こうして、ユーザが指をずらしながら重力を利用して頁をめくることにより、順次各頁を自動的に撮像することが可能である。なお、ステップS11〜S22において、例えば、奇数頁のみが撮像されたものとすると、ユーザは書物を180°回転させて、ステップS11〜S22により偶数頁の取り込みを行うことにより、書物の必要な全ての頁を取り込むことができる。
次に、図7を参照して再生時の動作について説明する。
制御部1は、ステップS31において、再生モードが指示されたか否かを判定する。再生モードが指示されると、制御部1は、ステップS32において、撮像画像について例えばサムネイルによる一覧表示を行う。サムネイル一覧を参照したユーザによる画像の選択が行われると、ステップS33からステップS34に処理を移行して、選択画像の再生を行う。
即ち、制御部1は、記録部4から撮像画像を読み出して、表示部8のサイズに合わせて表示を行う。次のステップS35においては、制御部1はユーザによる画面送り操作が行われたか否かを判定する。画面送り操作が行われた場合には、制御部1はステップS36において、再生中の画像が書物取込モードの書物取込撮影による画像であるか否かを判定する。再生画像が通常撮影による画像である場合には、制御部1は、記録部4に記録された画像を撮影順に時系列に読み出して再生を行う(ステップS38)。
一方、再生画像が書物取込撮影による画像である場合には、制御部1は、記録部4に記録された画像を頁順に読み出して再生を行う(ステップS37)。例えば、制御部1は、画像の頁端部の頁番号表示部分の画像認識によって頁判定を行うことで、頁順に画像を再生することが可能である。また、記録時に撮像画像に頁番号の情報を付加して記録し、制御部1がこの頁番号を再生することで、頁順での表示が可能である。更に、書物取込モードにおける頁取込順の規則に従って再生することによっても、頁順での表示が可能である。
制御部1は、ステップS39において再生終了と判定するまでステップS35〜S38の処理を繰り返す。
こうして、書物の各頁についての撮像画像を頁順に表示することが可能である。
このように本実施の形態においては、書物をぱらぱらとめくるだけで書物の各頁の撮像画像を記録することができる。この場合において書物をセットする部材は不要であり、手に持った書物を重力に従ってめくるだけで、各頁の撮像が可能であり、極めて簡単である。また、ユーザが頁のめくりを停止することで、頁の画像取込を停止させることができ、旅行案内等の書物の所定の頁のみを簡単に記録することができる。また、記録した書物の頁を頁順に再生することができ、書物の内容を撮像画像から容易に認識することができる。
(第2の実施の形態)
図8乃至図14は本発明の第2の実施の形態に係り、図8乃至図12は第2の実施の形態を説明するための説明図であり、図13及び図14は第2の実施の形態を説明するためのフローチャートである。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態は見開いた2頁分の画像に基づいて撮影タイミングを決定すると共に、見開いた2頁分の画像を記録するようにした点が第1の実施の形態と異なる。
図8はカメラ10と書物15との配置を示している。本実施の形態においても、カメラ10と書物15とを相互に対向する位置に配置する。カメラ10の撮像範囲21に書物15の見開いた頁が配置されるようにする。図9はこの状態においてカメラ10の表示部8の表示画面31上に表示される撮像画像の一例を示している。
表示画面31上には、書物15が見開いた状態で撮像されている。また、表示画面31上には、制御部1によって、撮像枠32が表示されている。撮像枠32はカメラ10の撮像範囲を示すものである。制御部1は、表示画面31上に、「書籍を枠に合わせてください」というメッセージ表示33を表示させることができるようになっている。
制御部1は、撮像画像に対する画像処理によって、書物15の縁辺を検出することができるようになっている。例えば、制御部1はエッジ検出によって、書物15の縁辺を検出可能である。制御部1は、書物15の縁辺が撮像枠32内において十分なサイズで検出されると、書物取込撮影が可能になったものと判断して、「頁をめくってください。」というメッセージ表示34を表示画面31上に表示するようになっている。図10はこの状態における画面表示を示している。書物取込モードにおいては、ユーザが図11に示すように各頁を重力を利用してめくることにより、各頁の撮影が行われる。
次に、このように構成された実施の形態の動作について説明する。
図13のステップS41において、制御部1は書物取込モードが指示されたか否かを判定する。通常の撮影モードの場合には、制御部1は処理をステップS42に移行して表示部8にスルー画を表示させる。制御部1は、ステップS43において、撮影操作が行われたことを検出すると、撮像画像を記録部4に与えて記録させる(ステップS44)。制御部1は、撮影が終了するまでステップS42〜S44の処理を繰り返す。
書物取込モードが指示されるものとする。この場合には、制御部1は、処理をステップS46に移行して表示部8にスルー画を表示させる。次に、制御部1は、姿勢判定部7の判定結果によって重力方向を検出する。次に、制御部1は、ステップS48において、表示部8の表示画面31上に画像枠32を表示する(図9参照)。次に、制御部1は、ステップS49において頁取込処理を行う。
図14は図13中の頁取込処理の一例を示している。図14のステップS61において、制御部1は撮像部2からの撮像画像に対する画像処理によって、書物の輪郭検出を行う。制御部1は次のステップS62において、図9に示すように、書物15が画像枠32内において十分なサイズで撮像されているか否かを検出する。制御部1は、書物15の画像が適正に配置されていない場合には、「書物を枠に合わせてください」というメッセージ表示33を表示する。制御部1は、書物15の画像が適正に配置さたことを検出すると、「頁をめくってください」というメッセージ表示34を表示する(ステップS63)。
ユーザは、書物15の頁を重力を利用してめくる。図12はこの場合における撮像画像の変化を示している。いま、ステップS63のメッセージ表示34が表示された状態において、書物15を見開いた頁が図12の上段最左端に示す頁P1,P2であるものとする。なお、図12の破線は頁端辺を示しており、頁P2の頁端辺L1が上方に配置され、頁P1の頁端辺は下方に配置されているものとする。図12の例では、頁P1はひらがな横書きの頁であり、頁P2は数字横書きの頁である。
制御部1は、現頁の画像、図12の上段最左端に示す頁P1,P2を取込む。撮像部2からの撮像画像は制御部1に取り込まれ、所定の信号処理及び画像補正処理(ステップS64)が施された後、記録部4に記録される(ステップS65)。
更に、制御部1は、取り込んだ撮像画像の上方側頁の頁端辺L1の画像部分を頁めくり判断部に設定する(ステップS66)。また、制御部1は、取り込んだ撮像画像の下方側頁端辺の画像部分を頁めくり完了部に設定する(ステップS67)。制御部1は、撮像部2によって順次取り込まれる撮像画像から頁めくり判断部の位置を追尾する(ステップS68)。
図12に示すように、頁P2が重力に従って下方にめくられると、頁P2の裏側の頁P4の一部が撮像される。なお、図12は頁めくり判断部の移動の様子を図面を簡略化して示すものであり、実際には各頁の画像は頁のめくられ方に応じて変形して撮像される。頁P2の頁めくり判断部が書物15ののどを超えると、撮像画像の上方側には書物15の頁P4の略全体が表示され、下方側には頁P2の裏面の頁P3の一部が撮像され始める。頁P2の頁端辺L1が下方に移動するに従って、頁P3の撮像範囲が広がり、最終的には、撮像画像の上方側には書物15の頁P4の略全体が表示され、下方側には頁P3の略全体が撮像される。こうして、頁めくりが完了する。
制御部1は、ステップS69において、頁めくり判断部が頁めくり完了部に到達したか否かを判定する。制御部1は、頁めくり判断部が頁めくり完了部に到達することにより、1回の頁めくりが完了したものと判定して、処理をステップS70に移行する。
制御部1は、ステップS70において、頁めくり完了時点における撮像画像の上方側頁の頁端辺L2の画像部分を新たな頁めくり判断部に設定する。制御部1は、ステップS71において最終頁に到達したか否かを判断し、到達していない場合にはステップS72から処理をステップS64に戻して、ステップS64〜S71の処理を繰り返す。こうして、最終頁に到達するまで、見開かれた2頁分の撮像画像が取り込まれて順次記録される。最終頁に到達すると、制御部1は表示部8に取込処理が終了したことを示すメッセージ表示を表示する。
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
図15は本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。図15において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態は本記録する画像の決定方法が第1及び第2の実施の形態と異なる。
本実施の形態におけるカメラ41は、水平ライン追尾部1aに代えて文字認識処理部1dを備えた制御部1を採用する点が第1及び第2の実施の形態と異なる。
本実施の形態においても、図8に示すように、カメラ10と書物15とを相互に対向する位置に配置する。カメラ10の撮像範囲21に書物15の見開いた頁が配置されるようにする。図16はこの状態においてカメラ10により撮像された書物15の見開いた頁のうちの一方の頁の撮像画像の一例を示す説明図である。図16(a)乃至(j)は夫々撮像画像を撮影順に時系列に示している。また、図16は文字が表記された書物を撮像した例であり、図16(a)乃至(j)の各画像の左側の辺が頁端辺L1を示している。本実施の形態においても、図11と同様に、頁端辺L1を上方に配置した状態で、各頁を重力に従ってめくりながら、撮影を行う。なお、図16中では図面の簡略化のために、文字の一部を*によって示している。
制御部1は、書物取込モードになると、撮像部2を制御して順次撮像を行い、撮像画像を記録部4の仮記録部4aに記録する。撮像部2の撮像を頁をめくる速度に比べて十分に高速に行うことにより、各頁に対して1枚以上の撮像画像が得られる。
文字認識処理部1dは、仮記録部4aに記録された撮像画像について文字認識を行い、認識文字の一致度から各頁毎に撮像画像を分ける。更に、文字認識処理部1dは、各頁の撮像画像のうち認識された文字数によって本記録する撮像画像を決定する。例えば、文字認識処理部1dは、認識文字数が最も多い撮像画像を採用して本記録する。
次に、このように構成された実施の形態の動作について図16乃至図20を参照して説明する。図16乃至図19は第3の実施の形態を説明するための説明図であり、図20は第3の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。図20において図14と同一の手順については同一符号を付して説明を省略する。
図20のステップS64において、制御部1は撮像部2からの撮像画像に対する補正処理を行った後、撮像画像を仮記録部4aに与えて記録させる。本実施の形態においては、制御部1はこの段階では頁めくりを判定することなく、高速に書物の撮像を行う。ステップS71,S72においてユーザが希望する最終頁まで撮像が行われたか否かを判定しながら、所望の最終頁まで撮像を繰り返す。
こうして、書物の見開いた各頁は夫々複数回撮像され、仮記録部4aには、各頁について夫々複数の撮像画像が記録される。制御部1の文字認識処理部1dは、ステップS82において、仮記録部4aに記録されている撮像画像を順次読み出して文字認識を行う。
いま、仮記録部4aに図16(a)乃至(j)に示す撮像画像が記録されているものとする。文字認識処理部1dは、図16の各画像について文字認識処理を行う。頁端辺が重力に従って移動することによって、撮像されて認識可能な文字が変化する。文字認識処理部1dは、認識された文字の一致する度合いによって、同一頁を撮像して得られた撮像画像であることを判定する(ステップS83)。例えば、文字認識処理部1dは、頁端辺側から所定列の認識文字の一致度合いで、同一頁についての撮像画像であるか否かを判定する。
図17は図16(a)乃至(j)の画像を画像1乃至10として、頁端辺側から所定列(図17では1列)の認識文字列を各画像毎に示したものである。図17の例では、画像1〜3、画像4,5、画像6〜8、画像9,10が夫々同一認識文字を有しており、文字認識処理部1dは、これらの画像の組を夫々同一頁についての撮像画像であるものと判定する。
次に、文字認識処理部1dは、各頁の撮像画像について各撮像画像中の認識文字数を検出して(ステップS84)、各頁の撮像画像から本記録する画像を決定する。頁端辺が鉛直方向の最も上端又は下端に位置する場合において、撮像画像中に文字認識可能な文字が多くなるものと考えられる。従って、各頁の全域を撮像した撮像画像を選択するためには、文字認識処理部1dによる認識文字数が多い画像を選択すればよい。
図18は図16及び図17に対応しており、図18(a)乃至(c)は同一頁の撮像画像と判定された画像1〜3について認識文字数を示すものである。図18に示すように、画像1,2,3の認識文字数は、夫々70,80,90である。なお、撮像部2は、見開きの2つの頁を撮像しており、文字認識処理部1dは、見開きの2つの頁の認識文字数が例えば最も多い撮像画像を採用する画像と判定して、記録部4に本記録する(ステップS85)。
図19は図16乃至図18に対応しており、図19(a)乃至(d)は、各頁毎に選択された撮像画像を示している。即ち、図16の例では、制御部1は、画像3,5,7,10を本記録する画像として選択する。
なお、上記説明では、ステップS83において、見開いて撮影された2頁のうちの一方の頁の撮像画像部分を用いて同一頁の判定を行う例を説明したが、両方の頁の撮像画像部分を用いて同一頁の判定を行ってもよい。
なお、上記説明では、ステップS84において、見開いて撮影された2頁の撮像画像中の認識文字数を用いて本記録する画像を選択する例を説明したが、一方の頁の撮像画像部分に含まれる認識文字数を用いて本記録する画像を選択するようにしてもよい。
このように本実施の形態においても、第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態を、第1の実施の形態と同様に、見開いた一方の頁のみを撮像する例に適用してもよいことは明らかである。
図21は図14及び図20のステップS64における取込画像補正処理の一例を示すフローチャートである。
制御部1の画像補正部1bは、図21のステップS91において、撮像している書物の輪郭を再度検出する。画像補正部1bは、撮像して得た書物の輪郭と所定の矩形とを比較し(ステップS92)、書物の輪郭が矩形となっていない部分を輪郭歪曲部として検出する(ステップS93)。
例えば、図4及び図5の例では、画像補正部1bは、撮像画像の全体が台形に歪んでいることを検出する。画像補正部1bは、輪郭歪曲部と所定の矩形との比較によって、輪郭歪曲部がどの程度歪曲しているかを示す歪曲強度を求め(ステップS95)、求めた歪曲強度に従って輪郭歪曲部を補正する(ステップS96)。こうして、撮像画像の歪みを除去することができる。
図22は図14及び図20のステップS71における最終頁判断処理の一例を示すフローチャートである。
制御部1は、撮像部2からの撮像画像について、図22のステップS101において、状態の遷移が無いことを検出する。例えば、制御部1は、水平ライン追尾部1による水平ラインの追尾処理によって、撮像画像間で水平ライン(頁端辺)が移動しないことを検出する。或いは、制御部1は、撮像部2から順次取り込まれる撮像画像同士の比較によって、撮像画像に状態の遷移がないことを検出してもよい。制御部1は、ステップS102において、所定時間連続して撮像画像の状態遷移が無いことを検出すると、最終頁に到達したものと判断して処理を終了する。
制御部1は、ステップS103において、撮像部2からの撮像画像から書物の輪郭と画像枠(図9参照)とのずれ量を検出する。制御部1は、このずれ量が大きい場合には、最終頁に到達したものと判断して(ステップS104)処理を終了する。
更に、制御部1は、ステップS105において、取込終了操作が行われたか否かを検出する。取込終了操作が行われた場合には、制御部1は、最終頁に到達したものと判断して(ステップS106)処理を終了する。
図23は図13のステップS50における頁取込漏れ検出処理の一例を示すフローチャートである。また、図24乃至図27は頁取込漏れ検出処理を説明するための説明図である。
図23のステップS111においては、制御部1は、頁番号位置検出画像を設定する。例えば、制御部1は、書物取込モードにおいて本記録した撮像画像のうちの先頭の画像を頁番具位置検出画像として設定する。制御部1は、例えば撮像画像についての文字認識処理によって、撮像画像中の画像の向きを検出する(ステップS112)。次に、制御部1は、画像中の頁番号表示位置推定領域から頁番号を検出する(ステップS113)。
図24は頁番号表示位置推定領域を示す説明図である。図24は本記録された撮像画像を示しており、制御部1は、図24中の円又は楕円にて囲った撮像画像中の4辺周辺を頁番号表示位置推定領域に設定し、この領域内から頁番号を検出する。
制御部1は、ステップS114において、頁番号が検出されたか否かを判定する。検出されない場合には、制御部1は、ステップS115において、記録順で次に本記録された画像を新たに頁番号位置検出画像に設定する。制御部1は、ステップS116において、頁番号位置検出画像の設定回数が閾値に到達したか否かを判定し、到達した場合には頁番号が記入されていない書物について書物取込撮影を実施したものと判断して処理を終了する。到達していない場合には、処理をステップS112に戻す。
制御部1は、ステップS114において、頁番号が検出されたものと判定すると、次のステップS117において、頁番号位置検出画像から頁番号を検索する。次いで、制御部1は、記録順で次に本記録された画像について頁番号の検索を行う(ステップS118)。
図25及び図26はステップS117,S118の頁番号の検索処理を説明するための説明図であり、本記録された画像を記録順に時系列に示すものである。図25の例は、書物の地側の辺中央近傍に頁番号表示52がある場合の例である。この場合には、ステップS118においても、制御部1は、頁番号表示52において頁番号の検索を行う。
また、図26の例は、書物の地側の辺の小口近傍に頁番号表示54,55がある場合の例である。この場合には、制御部1は、画像が切換る毎に、頁番号表示54の位置と頁番号表示55の位置とで重点的に頁番号を検索する位置を切換える。
このように頁番号表示の領域を予測することによって、制御部1は、頁番号の検索処理の演算量を低減することができる。制御部1は、ステップS119において全画像について頁番号の検索を行ったものと判定するまで、各画像について頁番号の検索を行う。
次に、制御部1は、ステップS120において、頁の抜けを検出する。例えば、制御部1は、検索した頁番号をデータ化し、昇順で終了頁までの抜けの有無を検出する。図25,図26の例では、3,4頁に抜けが生じている。頁抜けがある場合には、制御部1は、頁抜けがあることを示すメッセージ表示を表示させる。図27はこの場合の表示を説明するための説明図である。図27の例では、制御部1は、カメラ10の表示画面31上に、「頁3〜4・・・が未取り込みです 再度取り込み処理を 行ってください」というメッセージ表示61を表示させている。
このように図23のフローを採用することによって、本記録した画像に頁抜けが生じていることを自動的に検出して、ユーザに告知することが可能である。
なお、上記各実施の形態においては、水平ラインの検出或いは文字認識によって、本記録する画像の決定を行ったが、例えば他の手法により本記録する画像を決定してもよい。例えば、頁をめくる途中においては、画像のコントラストが低下していることが考えられる。そこで、画像のコントラストを検出して、本記録する画像を決定してもよい。
また、上記各実施の形態において文字認識を実施した場合には、文字認識結果を利用して撮影した書物を電子化するようにしてもよい。