JP5752818B1 - 透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体 - Google Patents

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【課題】栽培植物の根鉢を外部土壌から物理的に隔離することにより、土壌中に潜む有害生物による農業被害を抑えることのできる根鉢隔離用成形体を提供することを課題とする。【解決手段】JIS−Z0221に記載の方法で測定した透水度が25〜130秒である透水性樹脂からなり、貫通孔を有さない根鉢隔離用成形体。

Description

本発明は、透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体に関する。
土壌は植物体を支持し、水分・養分の供給源となるなど、植物の生育に不可欠であるが、植物体に寄生・感染して様々な病気を引き起こす植物寄生性線虫、細菌、糸状菌、ネキリムシ、ヨトウムシ等の有害生物も多く生息している。
植物寄生性線虫は植物体の根に寄生し、植物が吸収した栄養を横取りして成長、増殖して、植物の生育を阻害する。植物寄生性線虫には多くの種類が存在するが、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウの被害が大きい。特に、ネコブセンチュウは700種類以上の植物に寄生することができ、寄生した根にこぶを形成して栄養の吸収を阻害することで広汎な作物に著しい減収や枯死を引き起こす最も有害な害虫の一つである。
細菌は通常一個の細胞からなる微生物であり、植物体に侵入して、青枯病、軟腐病、黒腐病等を引き起こす。
糸状菌はいわゆるカビのことであり、土壌中に10万種以上存在すると言われており、農業被害を引き起こす種も多い。フザリウム(Fusarium)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、バーティシリウム(Verticillum)属、ピチウム(Phytium)属、アルタナリア(Alternaria)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、コロテシリウム(Corticilium)属、ロセリニア(Rosellinia)属、ヘリコバシディウム(Helicobasidium)属、ペロノスポーラ(Peronospora)属等が存在する。特に、萎凋性病害を引き起こすフザリウム属は世界的に大きな農業被害をもたらしている。
ネキリムシ、ヨトウムシは、昼間は土中に隠れており夜間に地上に出てきて茎や葉を食害する。ネキリムシは、カブラヤガ、タマナヤガ等の茎を食害する蛾の幼虫の総称であり、ヨトウムシは、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、シロイチモジヨトウ、シロシタヨトウ等の夜間に葉を食害する蛾の幼虫の総称である。これらは、土壌中に潜み、日中は姿を確認できないため、栽培植物の生長の遅れや食跡といった農業被害が見えるまでその存在に気付きにくい。老齢幼虫となるとその食欲は旺盛であり、1匹の幼虫が一晩で数株を加害することもあるため、生息数が少なくとも被害は大きくなる。
土壌に生息するこれら植物寄生性線虫、細菌、糸状菌等の微小な有害生物の防除方法としては、くん蒸剤を用いた土壌消毒(特許文献1参照)が最も一般的である。しかし、くん蒸剤は、有害生物だけでなく、有用生物をも駆除してしまうため土壌生態系への影響が大きい。また、地表面から薬剤が漏出して作業者および周辺住民が曝露してしまうという問題がある。
他にも、土壌に温水を灌水して加温する方法(特許文献2参照)が直接的な防除方法として知られている。
これら従来の防除方法を施しても有害生物の土壌中からの完全な駆除は難しい。また、ほとんどの植物寄生性線虫は全長1mm程度、細菌、糸状菌は数マイクロメートル程度と非常に小さいため、微小な有害生物は農作業者の靴や農業機械のタイヤ等に付着した汚染土や、雨水、さらには風により運ばれて、新たな有害生物が圃場に侵入してしまう。そのため、有害生物による農業被害を防ぐには、有害生物の生息密度を低く抑えるために、定期的に農薬を使用する必要がある。
特開2002−275009号公報 特開2003−265050号公報
本発明は、栽培植物の根鉢を外部土壌から物理的に隔離することにより、土壌中に潜む有害生物による農業被害を抑えることのできる根鉢隔離用成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決する手段は以下のとおりである。
(1) JIS−Z0221に記載の方法で測定した透水度が25〜130秒である透水性樹脂からなり、貫通孔を有さないことを特徴とする根鉢隔離用成形体。
(2) 前記透水性樹脂が、ポリビニルアルコール、キトサン、アルギン酸、寒天、ゼラチンのいずれか1種単独、または2種以上からなることを特徴とする(1)に記載の根鉢隔離用成形体。
(3) 前記透水性樹脂が、けん化度が70.0モル%以上99.0モル%以下のポリビニルアルコールであることを特徴とする(2)に記載の根鉢隔離用成形体。
(4) 前記透水性樹脂が、脱アセチル化度70%以上のキトサンであることを特徴とする(2)に記載の根鉢隔離用成形体。
(5) 前記根鉢隔離用成形体が、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、植物生長調整剤、または肥料の少なくとも1種を含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の土壌栽培用フィルム。
(6) 育苗ポット、連結ポット、チェーンポット、筒状フィルム、袋状フィルム、長尺状フィルムのいずれかであることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の根鉢隔離用成形体。
(7) (6)に記載の根鉢隔離用成形体内に充填された土壌で植栽されていることを特徴とする植物苗。
(8) (1)〜(6)のいずれかに記載の根鉢隔離用成形体を用いた植物の病害防除方法。
本発明の根鉢隔離用成形体を用いて栽培植物の根鉢を有害生物が生息する外部土壌から物理的に隔離することにより、農業被害を抑えることができる。本発明の根鉢隔離用成形体は、従来の生分解性の育苗ポット等と異なり貫通孔を有していないため、外部土壌から完全に隔離することができる。本発明の根鉢隔離用成形体は透水性樹脂から成形されているため、貫通孔がなくとも透水性を有しており、成形体内部で囲まれた領域内で植物を栽培しても、植物が枯死、または根腐れを起こすことはない。透水性樹脂は、水に接触すると膨潤して柔らかくなるため、伸長した根は成形体を突き破ることができ、根の伸長が成形体で囲まれた領域内に制限されないので、本発明の根鉢隔離用成形体は植物の生育に悪影響を及ぼさない。さらに、本発明の根鉢隔離用成形体を殺線虫剤、殺虫剤等の土壌害虫駆除剤と複合化することで、物理的遮断作用と化学的防除作用との複合効果により、栽培植物の農業被害を更に抑制することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明は、透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体に関する。
本発明の根鉢隔離用成形体は、JIS−Z0221に記載された方法で測定した透水度が25〜130秒である透水性樹脂からなり、貫通孔を有さないことを特徴とする。
本発明の根鉢隔離用成形体は、土壌栽培用であり、露地栽培、ハウス栽培等の土壌栽培時に、栽培植物の根圏を外部土壌から隔離するために用いられる。具体的には、本発明の根鉢隔離用成形体で植物苗の根鉢を包み、苗と共に定植する用に使用する。
ここで、本発明の透水度は、JIS−Z0221に記載された方法で測定した5枚の成形体の測定値の相加平均値を意味する。透水度は、透水性樹脂の種類、分子量や側鎖の修飾、架橋構造等により調整することができるが、成形体の厚さで調整することが最も容易である。
・透水性樹脂
本発明において、透水性樹脂とは、上記範囲の透水度を有する固体を成形、製膜することのできる物質の総称のことを意味し、合成樹脂、植物性の天然樹脂、動物性の天然樹脂が含まれる。
本発明において使用する透水性樹脂としては、上記範囲の透水度を有する成形体が得られるものであれば特に限定することなく使用することができる。
合成樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セロハン等のセルロース系樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
天然樹脂としては、キトサン、アルギン酸、寒天、プルラン、グルコマンナン、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、ペクチン、キサンタンガムなどの多糖類、ゼラチン、にかわ、カゼイン等のタンパク質を挙げることができる。
また、上記透水性樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上の樹脂は共重合体としてもよく、混合して用いてもよく、または積層体として用いてもよい。また、分子量や官能基等が異なるが、主鎖構造は同一である透水性樹脂を混合、または積層して用いてもよい。これらの中で、耐水性、透水性、柔軟性のバランスに優れ、生分解性であることから、ポリビニルアルコール、キトサン、アルギン酸、寒天、ゼラチンを好ましく使用することができる。
また、本発明の透水性樹脂には、成形体が透水性を失わない範囲で、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の非透水性樹脂を混合させることができる。混合させる非透水性樹脂の種類は、特に制限されないが、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリ乳酸等の生分解性を有する樹脂を混合することが好ましい。非透水性樹脂を混合することで、成形性、強度、耐熱性等を向上させることができる。
・ポリビニルアルコール
本発明の透水性樹脂として好ましく使用されるポリビニルアルコールは、上記範囲の透水度を有する成形体が得られるものであれば、特に制限することなく使用することができる。ポリビニルアルコールは、けん化度、分子量、官能基等の分子構造を調整することにより、本発明の根鉢隔離用成形体として適した透水性と耐水性とを発揮させることができる。また、ポリビニルアルコールは生分解性であり、最終的に水と二酸化炭素とに分解されて、土壌汚染、水質汚染を引き起こさないという、農業用資材の材料として好ましい特性を有している。栽培終了後に残存している成形体は、土壌中に鋤き込めば生分解されて消失し、回収する必要がないため、作業負担が軽減される。
本発明においては、得られる成形体の透水度が25〜130秒の範囲内であれば、けん化度、重合度、官能基等の分子構造の異なる2種以上のポリビニルアルコールを混合、または積層して用いてもよい。
ポリビニルアルコールのけん化度は70〜99モル%が好ましく、80〜95モル%がより好ましく、85〜89モル%が最も好ましい。この範囲から外れると透水性が低下し、根鉢隔離用成形体の材料として適さない。ポリビニルアルコールはけん化度88モル%のときに最も水に溶解しやすいことが知られている。溶解しやすいといっても、塩化ナトリウム等の無機塩のように容易に溶解するわけではない。ポリビニルアルコールは実験室中では、熱水中で撹拌することにより溶解される。本発明において、ポリビニルアルコールからなる根鉢隔離用成形体は、雨水や灌水といった常温の水と接するのみであるため、極めて溶解しにくく、耐水性を有している。本発明のポリビニルアルコールからなる根鉢隔離用成形体は、膨潤、透水、乾燥を繰り返しながら分子鎖がほつれることにより徐々に溶解する。また、溶解しても、ポリビニルアルコール水溶液は粘調なため、容易に流出せずに土壌中に残留して物理的遮断作用を長期に亘って持続することができる。
ポリビニルアルコールの重合度は300〜3000の範囲が好ましく、1000〜2500の範囲がより好ましく、1500〜2000の範囲が最も好ましい。重合度が300未満であると水に溶解しやすいため、消失するのが早くなってしまい、3000より大きくなると、粘度が高くなりすぎ、成形時の取り扱い性に劣る。
ポリビニルアルコール分子鎖中に、カルボキシル基、マレイン酸基、スルホン酸基、ホスホノ基等の親水性基、または、長鎖アルキル基等の疎水性基を導入してもよい。親水性基、疎水性基の種類、及び導入量により透水性を調整することができる。これら官能基を導入する方法は特に限定されるものではないが、例えば、PVA分子中の水酸基、アセチル基を化学修飾する方法、マレイン酸、エチレンスルホン酸、エチレン、1−ブテン等の官能基を有する他のモノマーと共重合する方法が挙げられる。
ポリビニルアルコール分子鎖間に、結晶構造、及び/または架橋剤による物理的架橋構造を形成することで、透水性を低下させることができる。結晶構造を形成するには、熱処理、及び/または延伸処理を施せばよい。ポリビニルアルコールの結晶化度としては5%以上、好ましくは30%以上95%以下であることが好ましい。結晶化度が5%未満であると水への溶解性が高すぎて、物理的遮断作用の持続期間が短くなる。一方、結晶化度が95%を越えると水の通る空間が減少し透水性が低下する。かかる結晶化度の測定法としては特に限定されないが、X線測定法や密度測定法等が用いられる。
架橋剤を用いて物理的架橋構造を形成するならば、栽培植物に対して毒性がないことが必要である。また、栽培植物が食用であるならば、植物に吸収された架橋剤を人間が摂取しても健康被害を起こさない架橋剤を用いる必要がある。さらに、ポリビニルアルコールが生分解した後に、架橋剤が残留して土壌汚染、水質汚染を引き起こさないものが好ましい。このような架橋剤としては、生分解の早い尿素やグルタルアルデヒドが挙げられる。また、植物にとっては必須元素であるホウ素を含む、硼砂も好ましい。
・キトサン
キトサンは、2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコースがβ−1,4−グルコシド結合した直鎖状の塩基性多糖であり、自然界では糸状菌の細胞壁等に存在する。工業的には、カニやエビなどの甲殻類の外骨格から得られるキチンを脱アセチル化処理して製造されている。キチンは、カニやエビなどの甲殻類の外骨格から得られるため、再生産可能で資源量が豊富である。キトサンは、資源量が豊富であること、安全性が高いこと、分子量、アセチル化度、側鎖の修飾等の分子構造により透水性、耐水性が調節できること、生分解性であること、成形が可能であること、といった根鉢隔離用成形体の材料として好ましい特性を有している。
本発明で根鉢隔離用成形体の材料として使用するキトサンは、上記範囲の透水度を有する成形体が得られるものであれば、特に制限することなく使用することができる。例えば、成形性の点から、脱アセチル化度が70モル%以上のものが好ましく、80〜88モル%のものがより好ましい。同様に、成形性の点から、重量平均分子量が3000〜100000のものが好ましい。上記キトサンは、単独で、または分子量や脱アセチル化度の異なる2種以上を混合して用いてもよい。
キトサンは酸性の水溶液に可溶であるため、酸性のキトサン水溶液から溶液流延法により成形される。キトサンの水溶化を補助する酸としては、揮発性を有する有機酸が好ましく用いられる。塩酸等の無機酸の水溶液にもキトサンは可溶であるが、無機酸はキトサンとの相互作用が強いため好ましくない。揮発性を有する有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸等が挙げられる。これらの中で、安全性、取り扱い性の点から、酢酸が最も好ましく用いられる。
乾燥工程後の成形体中に有機酸が残存すると、耐水性が低下してしまう。残存する有機酸を除去するためには、エタノール:水=8:2の混合溶液中で洗浄する、グリセリン脂肪酸エステルや、トリエチレングリコール、ジグリセリン等を含有させて加熱処理を施すといった方法がある。また、乾燥工程中、または乾燥工程終了後の成形体に、短時間水蒸気処理を施すことで、残存する有機酸の揮発を促進することも好ましい。
なお、キトサンは、上記のように酸性条件下で水に可溶であるので、キトサンから形成された根鉢隔離用成形体は、アルカリ性土壌に用いることが好ましい。酸性土壌に用いることも可能であるが、アルカリ性土壌と比べると溶解して消失するのが早いため、物理的遮断作用の持続期間が短くなってしまう。
・アルギン酸
アルギン酸は、コンブ、ワカメ等の褐藻類等に含まれる多糖類であり、グルクロン酸とマンヌロン酸よりなるブロック共重合体である。本発明において使用するアルギン酸としては、上記範囲の透水度を有する成形体が得られるものであれば、特に制限することなく使用することができる。上記アルギン酸は、単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
アルギン酸は、アルギン酸が有するカルボキシル基と対をなす陽イオンの種類によって物性が著しく変化することが知られており、アルギン酸ナトリウムは水に可溶であるが、アルギン酸カルシウムは水に不溶でゲルを形成する。アルギン酸のゲル化を引き起こすことのできる陽イオンとしては、カルシウム、バリウム、鉛、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄等の金属イオンを例示することができる。これらの金属イオンの中で、植物にとっての三大栄養素である窒素、リン、カリウムに次ぐ重要な必須元素であるカルシウムを、好ましく使用することができる。
アルギン酸ナトリウム水溶液に、カルシウム塩を滴下し、イオン交換を行うことでアルギン酸カルシウムからなるゲルが得られる。このゲルを乾燥させることで成形体を得ることができる。
アルギン酸から得られる成形体は、常温の水に透水性、耐水性を有し、生分解性であるため、根鉢隔離用成形体として好ましく使用することができる。
・寒天
寒天は、オゴノリ、天草、オバクサ等の紅藻類に含まれる多糖類であり、アガロースとアガロペクチンを主成分とする。本発明において使用する寒天は、上記範囲の透水度を有する成形体が得られるものであれば、特に制限することなく使用することができる。また、寒天は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
寒天は熱水に可溶であり、熱水の水溶液を冷却するとゲル化する。このゲルを乾燥することで成形体とすることができる。
寒天から得られる成形体は、常温の水に透水性、耐水性を有し、生分解性であるため、根鉢隔離用成形体として好ましく使用することができる。
・ゼラチン
ゼラチンは、コラーゲンの加水分解タンパク質である。本発明において使用するゼラチンは、上記範囲の透水度を有する成形体が得られるものであれば、特に制限することなく使用することができ、ゼラチン誘導体であってもよい。ゼラチンの製造方法についての限定はなく、牛骨、牛皮、豚皮、さらには魚燐等を原料として、酸処理法、アルカリ処理法、又は酵素法によって製造することができる。
魚由来のゼラチンは、哺乳類由来のゼラチンと比較して、冷却固化温度が低い。例えば、タラ、コダラ、もしくはポラックなどの深海魚に由来するゼラチンの冷却固化温度は、牛ゼラチンのものよりも著しく低く、10℃で液状である。本発明では、植物栽培に使用される温度域で成形体の形状を維持させるため、哺乳類由来のゼラチンが好ましく用いられる。なお、魚由来ゼラチンであっても、誘導体としたり、硬化剤を用いたりすれば、常温で形状を維持することができる。
ゼラチンは、タンパク質であるため、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を多数有している。そのため、これらの官能基と架橋剤とを反応させて架橋構造を形成することで、透水性を維持したまま、耐水性を向上させることができる。架橋剤としては、上記官能基と化学結合を形成することのできるものであれば特に制限することなく使用することができる。例えば、エポキシ、アルデヒド、イソシアネート、シラノール、酸無水物等の官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。これらの中で、栽培植物に対して毒性がなく、植物に吸収された架橋剤を人間が摂取しても健康被害を起こさない架橋剤を選択すればよい。また、ゼラチンが生分解した後に、架橋剤が残留して土壌汚染、水質汚染を引き起こさないものが好ましい。このような架橋剤としては、生分解の早い尿素、グルタルアルデヒド、1,4−ブタンジイソシアナート等が挙げられる。
上記ゼラチンまたはその誘導体は、単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。あるいはゼラチンとゼラチンの誘導体とを混合して用いてもよい。
ゼラチンは、熱水に溶解させた後、冷却することでゲル状物が得られる。このゲル状物を乾燥させることで成形することができる。
ゼラチンから得られる成形体は、常温の水に透水性、耐水性を有し、生分解性であるため、根鉢隔離用成形体として好ましく使用することができる。
・根鉢隔離用成形体
本発明の根鉢隔離用成形体は、上記したように、栽培植物の根圏を外部土壌から隔離するために用いられる。具体的には、育苗ポット、連結ポット、チェーンポット、筒状フィルム、袋状フィルム、長尺状フィルム等に成形され、定植時に植物苗の根鉢を成形体で包むことにより、根鉢を外部土壌から隔離するために用いられる。
育苗ポット、連結ポット、チェーンポットである成形体は、成形体内に土壌を充填し、植物苗を育苗した後に、成形体ごと幼苗を圃場に定植するために使用する。筒状フィルム、袋状フィルムとしたものは、従来の育苗ポット等で育苗した幼苗の根鉢を包んで定植するために使用する。
定植時には、これら成形体の上端部を地表面から1cm以上、より好ましくは3cm以上出して定植することが好ましい。成形体の上端部を地表面から出すことで、有害生物が成形体で囲まれた領域内に、雨水や灌水とともに侵入することを防ぐことができる。また、定植時に地表面から成形体上端部までの高さを3cm程度とすることにより、ネキリムシ等が成形体を乗り越えて植物の根本に接近することを防ぐことができる。
長尺状フィルムである成形体は、定植時に根鉢に巻きつけて用いられる。根鉢の側面だけでなく、上部、底部、及び植物体の根本部分を含む根鉢全体を包むことで、土壌中に生息する有害生物の接近だけでなく、ネキリムシ等の成虫である蛾が飛来して栽培植物の根本付近に産卵することを防ぐことができる。
本発明の根鉢隔離用成形体は、ネキリムシ等の大きな有害生物だけでなく、植物寄生性線虫、細菌、糸状菌といった微小な有害生物が通り抜けられる貫通孔が形成されていない。すなわち、成形体自身が、有害生物の栽培植物の根圏への侵入を妨げる物理的な障壁として働き、物理的遮断作用を発揮する。
農業被害を抑えるためには、病害、食害に対する抵抗力の弱い幼苗期に、栽培植物と有害生物との接触を防ぐことが有効である。本発明の根鉢隔離用成形体を用いることにより、幼苗期に根と有害生物との接触を妨げることができるため、農業被害を抑えることができる。
これに対し、従来の根鉢とともに定植される生分解性の育苗ポットは、透水性、通気性を確保するために、側面及び/または底面に孔が設けられている。従来の生分解性の育苗ポットは、この孔を通じて有害生物が栽培植物の根圏に侵入してしまうため、物理的遮断作用を有していない。さらに、根の生長を妨げないように定植後は素早く分解することが好ましいとされており、抵抗力の弱い幼苗期に生分解により貫通した孔や、水はけ用の孔から根が外部土壌へと伸長してしまうため、農業被害を抑制することはできない。
本発明の根鉢隔離用成形体は、水と接触すると膨潤して柔らかくなる透水性樹脂から形成されているため、定植後に生長した栽培植物の根は成形体を突き破って伸長することができる。フィルム外部に伸長した根は、成形体外部の土壌に生息する有害生物と接触してしまうが、根が成形体を突き破れるほど大きく生長した栽培植物は、有害生物によって引き起こされる病害等に対する十分な抵抗力を備えているため、農業被害は起こりにくい。さらに、本発明の根鉢隔離用成形体は、根の生長を妨げないので根詰まりが起こらず、植物の生育に対して悪影響を及ぼさない。
本発明の根鉢隔離用成形体は、溶解、または生分解により貫通孔が生じるまで物理的遮断作用を維持する。透水性樹脂を分解する微生物の生息密度、雨量、温度等により、成形体に貫通孔が生じるまでの期間は変化する。栽培植物の種類にもよるが、土壌に定植してから20日間程度は孔が貫通せずに物理的遮断作用が持続することが好ましい。
本発明において、透水度の値が小さいほど水を通しやすく、大きいほど水を通しにくい。本発明の根鉢隔離用成形体は、JIS−Z0221に記載の方法で測定した透水度が25〜130秒であり、好ましくは30〜120秒であり、更に好ましくは40〜105秒である。透水度が25秒未満であると、成形体が溶解して消失するのが早く、物理的遮断作用の持続期間が短くなってしまう。透水度が130秒より大きいと、十分な量の水が成形体を透過しないため、水が不足して植物が枯死する、または水が排出されず根腐れが起きてしまう。
本発明の根鉢隔離用成形体の厚さは上記範囲の透水度の有するものであれば、特に制限されないが、通常20〜400μmの範囲内である。なお、透水度は、成形体の厚みで容易に調整することができる。20μm未満では、根が容易に成形体を突き破ってしまい、幼苗期に根と外部土壌とが接触してしまうため、農業被害が起こりやすくなってしまう。400μmより厚いと、成形体が重く、嵩高くなりすぎ、大量に使用する農業資材としては作業性、保管性の点から不適である。
本発明の根鉢隔離用成形体を製造する方法は、溶液流延法、溶融押出法のどちらでもよい。なお、キトサンには熱可塑性がないため、キトサンを用いた根鉢隔離用成形体は溶液流延法により製造される。また、キトサンは熱融着することができないため、キトサン水溶液に金型を浸漬し、金型を引き上げた後に乾燥させるディッピング成形法を用いてもよい。
本発明の根鉢隔離用成形体には、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調整剤、肥料等の薬剤を含有させて複合化することができる。特に、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤等の有害生物に対する防除作用を有する土壌害虫駆除剤と複合化することで、成形体自身による物理的遮断作用と、土壌害虫駆除剤による化学的防除作用との複合作用により、有害生物による農業被害をさらに少なくすることができる。これらの薬剤は1種単独、または2種以上を含有させることができる。
含有させる薬剤としては親水性のものが好ましい。本発明の根鉢隔離用成形体は透水性樹脂からなり、水素結合を形成可能な官能基を多く有している。親水性の薬剤は、成形体内で水素結合を形成することができるため、薬剤が成形体を透過する水に一度に溶出することなく、徐々に溶出して薬効が長期に亘って持続する。そのため、従来の薬剤を散布して使用する方法と比較して、薬剤の使用量、散布回数を大幅に減らすことができる。また、親水性の薬剤は、成形体中で安定して存在することができるため、長期間保管しても薬効が低下しにくい。
根鉢隔離用成形体と薬剤とを複合化させる方法としては、透水性樹脂と薬剤とを混練して溶融押出する方法、透水性樹脂と薬剤とを溶媒に溶解させて溶液流延する方法、根鉢隔離用成形体上に薬剤の溶液を塗工する方法等がある。溶融押出する方法では混練時に高温となるため、含有させる薬剤が熱に弱い場合は溶液流延法、または塗工法を選択すると良い。また、塗工法における被塗工物である根鉢隔離用成形体としては、薬剤を含有したもの、薬剤を含有していないもののどちらも利用することができる。成形体表面に塗工された薬剤は、成形体内部に分散した薬剤と比べて、土壌中に拡散しやすいため、薬効が早く発揮される。また、有害生物と接触して薬効を発揮する薬剤の場合、成形体表面に塗工された薬剤の方が、成形体内部に混合された薬剤と比べて、効率良く薬効が発揮される。薬剤と複合化する方法は、適宜最適な方法を選べばよい。
本発明の根鉢隔離用成形体には、上記可塑剤、薬剤以外にも、安定剤、着色剤、増量剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を加える事ができる。
次に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
[透水性樹脂からなるフィルムの作製]
(実施例1)
けん化度88.0モル%、重合度1800のポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社製、商品名:JP−18)を、ポリビニルアルコール濃度が18.0wt%になるように水に溶解させた。この溶液をガラス板上に広げ、70度設定の恒温乾燥機内にて加熱乾燥して、40μm厚のフィルム1を作製した。
フィルム1をJIS−Z0221に記載の方法により、透水度を測定したところ、40.2秒であった。
(実施例2)
けん化度88.0モル%、重合度2000のポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名:GH−20)を用いた以外は、実施例1と同様にして、30μm厚のフィルム2を作製した。
フィルム2の透水度は43.8秒であった。
(実施例3)
けん化度99.0モル%、重合度1800のポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社製、商品名:JF−17)を用いた以外は、実施例1と同様にして、60μm厚のフィルム3を作製した。
フィルム3の透水度は118.4秒であった。
(実施例4)
けん化度88モル%のマレイン酸変性PVA(日本酢ビ・ポバール株式会社製、商品名:AP−17)を用いた以外は、実施例1と同様にして、60μm厚のフィルム4を作製した。
フィルム4の透水度は30.6秒であった。
(実施例5)
厚さを30μmとした以外は実施例1と同様にして、30μm厚のフィルムを作製した。
このフィルム上に、けん化度99.0モル%、重合度1800のポリビニルアルコール(商品名:JF−17)の18.0wt%の水溶液を塗布し、加熱乾燥して、5μm厚のポリビニルアルコール層を形成し、総厚35μmのフィルム5を作製した。
フィルム5の透水度は103.2秒であった。
(実施例6)
キトサン(共和テクノス社製、商品名フローナックC、分子量70000、脱アセチル化度85%)10部、ミクロフィブリル化セルロース(ダイセル化学工業社製、商品名セリッシュ FD−100F、固形分20%)2.5部、コメでんぷん(上越スターチ株式会社島田化学工業社製、商品名:ファインスノウ)10部を、2.9wt%の酢酸水溶液に溶解させてキトサン水溶液を得た。この水溶液をガラス板上に広げ、70度設定の恒温乾燥機内にて加熱乾燥して、45μm厚のフィルム6を作製した。
フィルム6の透水度は55.6秒であった。
(実施例7)
ゼラチン(和光純薬工業株式会社製、和光一級)100部と、グリセリン5部とを、水に混合し、加熱、溶解させて15.0wt%の水溶液を得た。この水溶液をガラス板上に広げ、70度設定の恒温乾燥機内にて加熱乾燥して、20m厚のフィルム7を作製した。
フィルム7の透水度は25.6秒であった。
(実施例8)
上記フィルム7の製造方法と同様にして、80μ厚のフィルム8を作製した。
フィルム8の透水度は83.8秒であった。
(実施例9)
ゼラチン(株式会社ニッピ製、商品名:ニッピスーパーゼラチンSSB)25部と、架橋剤(三井化学株式会社製、商品名:タケラックWS−6021、固形分30%)75部とを、溶解させて、固形分濃度30%の水溶液を得た。この水溶液をガラス板上に広げ、70度設定の恒温乾燥機内にて20分加熱乾燥して水分を除去した後、さらに120℃で2時間加熱して架橋させ、40μm厚のフィルム9を作製した。
フィルム9の透水度は104.6秒であった。
(実施例10)
上記フィルム9の製造方法と同様にして、70μ厚のフィルム10を作製した。
フィルム10の透水度は128.8秒であった。
(比較例1)
けん化度99.0%、重合度1800のポリビニルアルコール(商品名:JF−17)を用いた以外は、実施例1と同様にして、120μm厚のフィルム11を作製した。
フィルム11の透水度は336.0秒であった。
(比較例2)
けん化度99.0%、重合度1800のポリビニルアルコール(商品名:JF−17)を用いた以外は、実施例1と同様にして、60μm厚のフィルム12を作製した。
フィルム12を、120℃に設定した恒温槽内に15分静置して、熱処理による結晶化を促進した。熱処理後の結晶化度は、X線測定法で測定したところ、96.7%であった。
フィルム12の透水度は408.4秒であった。
(比較例3)
市販のキトサンフィルム(株式会社アイセロ製、商品名:ドロンCC、90μm厚)をフィルム13とした。
フィルム13の透水度は187.4秒であった。
上記実施例1〜10、および比較例1〜3の透水度を表1に示す。
[根鉢隔離用成形体の作製]
・透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体1
上記フィルム1を長さ24cm、幅12cmに切り出し、二つ折りにして両側をヒートシールして溶着させて、幅12cm、深さ12cm、厚さ40μmの袋状フィルムである根鉢隔離用成形体1を得た。この根鉢隔離用成形体1の透水度は、上記フィルム1と同じく40.2秒である。
・透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体2
上記フィルム3を用いた以外は、上記根鉢隔離用成形体1と同様にして、幅12cm、深さ12cm、厚さ60μmの袋状フィルムである根鉢隔離用成形体2を得た。この根鉢隔離用成形体2の透水度は、上記フィルム3と同じく118.4秒である。
・透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体3
上記フィルム6の作製で用いたキトサン水溶液から、ディッピング成形法により、口径8cm、深さ12cm、厚さ45μmで円筒形の筒状フィルムである根鉢隔離用成形体3を得た。この根鉢隔離用成形体3の透水度は、上記フィルム6と同じく55.6秒である。
・透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体4
上記フィルム7を長さ24cm、幅12cmに切り出し、二つ折りにして両側に熱水を塗布した後、二つ折りにして溶着させて、幅12cm、深さ12cm、厚さ20μmの袋状フィルムである根鉢隔離用成形体4を得た。この根鉢隔離用成形体4の透水度は、上記フィルム7と同じく25.6秒である。
・透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体5
上記フィルム10を用いた以外は、上記根鉢隔離用成形体4と同様にして、幅12cm、深さ12cm、厚さ70μmの袋状フィルムである根鉢隔離用成形体5を得た。この根鉢隔離用成形体2の透水度は、上記フィルム10と同じく128.8秒である。
・非透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体6
上記フィルム13を、幅12cm、長さ30cmの帯状に切り取り、帯状フィルムである根鉢隔離用成形体6を得た。この根鉢隔離用成形体6の透水度は、上記フィルム13と同じく187.4秒である。
試験例1:ミニトマト苗の栽培
(実施例11)
赤玉土(株式会社刀川平和農園製、商品名:平和赤玉土)6.5部、腐葉土(光伸製瓦有限会社製、商品名:天然腐葉土)2.5部、バーミキュライト(株式会社刀川平和農園製、商品名:バーミキュライト)1部を混合して用土とし、用土10Lに対して、石灰(タカニ製品本舗株式会社製、商品名:苦土石灰)10gを混和した。これに、有機肥料(自然応用科学株式会社製、商品名:野菜と花のまくだけ有機肥料)を、用土10Lに対して20g混和して、栽培用土壌とした。この栽培用土壌を1/10,000aワグネルポットに充填し、十分に灌水して一週間静置した。
ポリポットNo.6(商品名:TOポリポット 丸型タイプ、容量360cc、株式会社東海化成製)を用いてミニトマト苗(「ちびっこ」(Lycopersicum esculentum Mill.)を2週間栽培した。ポリポットでの栽培後、根鉢を根鉢隔離用成形体1に入れ、成形体上端部を約3cm地表面から出して、上記栽培用土壌が充填されているワグネルポットに定植した。
ミニトマト苗「ちびっこ」は、草丈が25cm程度までしか生長しない矮性種であるため、省スペースで栽培可能であり、また、栽培が容易な品種であることから選択した。
定植したミニトマト苗の栽培は2013年5月13日から、愛知県豊橋市の株式会社アイセロの敷地内の屋内の日当たりのいい場所で60日間行った。
毎朝、土壌表面を観察し、土壌表面が乾燥していたら灌水を行った。灌水は、フィルムで囲まれた領域外である、根鉢隔離用成形体1とポリポットとの間に行い、根鉢隔離用成形体内には行わなかった。栽培期間中にミニトマト苗は枯死することなく順調に生長した。これは、根鉢隔離用成形体1が透水性樹脂からなるため、外部土壌から成形体内に浸透した水をミニトマト苗が吸収できたためである。栽培終了後に、成形体ごと根を掘り出したところ、ミニトマトの根は成形体を突き破ってフィルム外部へ伸長していた。
(実施例12)
根鉢隔離用成形体2を用いた以外は、上記実施例11と同様にして、ミニトマト苗の栽培を行ったところ、ミニトマトは枯死することなく生長した。
栽培終了後に、成形体ごと根を掘り出したところ、ミニトマトの根は成形体を突き破ってフィルム外部へ伸長していた。また、実施例11と比べて地上部の生長が劣り、根部の生長が優れていた。これは、根鉢隔離用成形体2が根鉢隔離用成形体1よりも透水性に劣るため、少ない水分を吸収しようとミニトマトが根を発達させたものと考えられる。
(実施例13)
根鉢隔離用成形体3を用いた以外は、上記実施例11と同様にして、ミニトマト苗の栽培を行ったところ、ミニトマトは枯死することなく生長した。
栽培終了後に、根を掘り出したところ、成形体は消失していた。これは、キトサンがポリビニルアルコールと比べて生分解されるのが早い材料であり、また、キトサンよりもさらに生分解されやすい澱粉を含んでいたため、60日間の栽培期間中に生分解されて消失してしまったものと考えられる。
(実施例14)
根鉢隔離用成形体4を用いた以外は、上記実施例11と同様にして、ミニトマト苗の栽培を行ったところ、ミニトマトは枯死することなく生長した。
栽培終了後に、根を掘り出したところ、成形体は消失していた。これは、ゼラチンがポリビニルアルコールと比べて生分解されるのが早い材料であるためである。
(実施例15)
根鉢隔離用成形体5を用いた、上記実施例11と同様にして、ミニトマト苗の栽培を行ったところ、ミニトマトは枯死することなく生長した。
栽培終了後に、根を掘り出したところ、成形体は消失していた。根鉢隔離用成形体5は、上記実施例12で用いた根鉢隔離用成形体2よりも透水性が劣るが、トマトの生育は実施例12よりも順調であった。これは、ゼラチンの生分解がPVAよりも早いため、早期にトマト苗が水を十分に吸収できるようになったためであると考えられる。
(比較例4)
根鉢隔離用成形体6を用い、根鉢の側面を1周巻いて定植した以外は、上記実施例11と同様にして、ミニトマト苗の栽培を行ったところ、ミニトマトはすぐに萎れはじめ、6日後に枯死した。
ミニトマトが枯死した後に、成形体ごと根を掘り出したところ、ミニトマトの根は成形体を突き破ることなく、成形体で囲まれた範囲内に限られていた。これは、根鉢隔離用成形体6は透水性に劣るため、水が成形体を透過する量が少なく、ミニトマトは水分を吸収できず、ほとんど生長することなく枯死したためである。
試験例2:物理的遮断作用の持続性
(実施例16)
上記実施例11と同様にして、根鉢隔離用成形体1を用いてミニトマト苗を5つ定植し、定植してから20日後、40日後、60日後、120日後、180日後に、1つずつミニトマト苗の根部を成形体とともに掘り出し、根の伸長と成形体の消失とを確認した。
定植したミニトマトの栽培は2013年5月27日から、愛知県豊橋市の株式会社アイセロの敷地内の屋外の日当たりのいい場所で60日間行った。成形体の内外に雨水が降り注ぐ屋外で栽培したため、灌水も成形体の内部、外部を区別せずに行った。毎朝、土壌表面を観察し、土壌表面が乾燥していたら灌水を行った。根鉢隔離用成形体1は、透水性に優れており、成形体に囲まれた領域内に注がれた水が成形体内部に溜まらないため、ミニトマト苗は根腐れを起こすことなく順調に生育した。
120日後、180日後のミニトマト苗は、60日後に茎を根本で切断して地上部を取り除き、そのまま屋外に放置したものの根部を掘り出した。
20日後は、根はまだ成形体外部に伸長しておらず、また、成形体にも孔が貫通していなかった。40日後は、根が成形体外部へ伸長していたが、根と成形体との間に隙間はなかった。
60日後には、根と成形体との間の隙間が広がり、物理的遮断作用が消失していると判断された。120日後には、部分的にポリビニルアルコールが残存していることが認められ、180日後には、大部分のポリビニルアルコールは消失し、小さな断片が確認できるのみであった。
(実施例17)
キトサンから形成された根鉢隔離用成形体3を利用し、定植したミニトマト苗の栽培を2013年6月4日から行った以外は上記実施例16と同様にして、ミニトマトの栽培を行った。
根鉢隔離用成形体6は、キトサンと澱粉を含んでおり、生分解されるのが早いため、定植してから10日後、20日後、30日後、40日後、50日後に、1つずつミニトマト苗の根部を掘り出し、根の伸長と成形体の消失とを確認した。
10日後は、根はまだ成形体外部に伸長しておらず、また、成形体にも孔が貫通していなかった。20日後は、根の先端がわずかに成形体外部に伸長していたが、根と成形体との間に隙間はなかった。30日後は、根と成形体との間に大きな隙間が生じていた。40日後には、成形体はほぼ消失し、断片が見られるのみであった。50日後は、成形体は完全に消失していた。
試験例3:化学的防除作用との複合化
・サツマイモネコブセンチュウ
サツマイモ栽培圃場で、根こぶが形成された根を入手し、根こぶ内からサツマイモネコブセンチュウの卵のうを取り出した。滅菌水を入れたシャーレにキムワイプを入れ、採取した卵のうを置き、25℃のインキュベーターで孵化させた。孵化した2期幼虫をパスツールピペットで回収し、ミニトマト苗「ちびっこ」の根本に接種し、寄生、増殖させたサツマイモネコブセンチュウの2期幼虫を用いた。
・殺線虫剤と複合化した透水性樹脂からなる根鉢隔離用成形体7
殺線虫剤であるネコブレス液剤(パネフリ工業株式会社製、固形分7%)を、PVA100重量部に対して40部添加した以外は、上記根鉢隔離用成形体1と同様にして根鉢隔離用成形体7を得た。ネコブレス液剤に含まれる有効成分は水に可溶であり親水性である。得られた成形体は、殺線虫剤による着色が見られたが、透水度は根鉢隔離用成形体1とほとんど変わらず、40.0秒であった。
(実施例18)
上記根鉢隔離用成形体1を用い、上記実施例11と同様にして、ミニトマト苗を作製し、成形体外の3箇所の土壌に、サツマイモネコブセンチュウを含む懸濁液(1,000頭/10ml)を、計10ml接種した。
上記実施例11と同様にして、2013年5月27日から60日間、愛知県豊橋市の株式会社アイセロの敷地内の屋内の日当たりのいい場所で栽培を行った。灌水は、成形体内外の区別なく行った。
(実施例19)
根鉢隔離用成形体7を用いた以外は、上記実施例18と同様にして、センチュウを接種したミニトマト苗を作製し、栽培を行った。
(実施例20)
サツマイモネコブセンチュウを含む懸濁液(1,000頭/10ml)を、成形体内部の3箇所の土壌に計10ml、成形体外部の3箇所の土壌に計10ml接種した以外は、上記実施例19と同様にして、センチュウを接種したミニトマト苗を作製し、栽培を行った。
(比較例5)
根鉢隔離用成形体を用いない以外は、上記実施例18と同様にして、センチュウを接種したミニトマト苗を作製した。センチュウは、成形体外部に相当する、ポリポットの外縁部に接種した。
栽培期間中の水やりは、成形体外部の土壌に相当するポットの周縁部に行った。
・根こぶ形成
栽培期間終了後に根を掘り出し、下記の基準にしたがって根こぶ形成の程度を評価した。評価結果を下記表2に示す。
1:根こぶ無し。
2:根こぶが僅かに認められるが、大きな根こぶや連続した根こぶはない。
3:一見して根こぶが認められる。大きな根こぶや連続した根こぶは少ない。
4:大きな根こぶが多数認められる。根こぶに覆われて太くなった根も見られるが、根域全体の50%以下である。
5:多くの根が根こぶだらけで太くなっている。
実施例18のミニトマト苗は、根こぶが僅かに認められるのみで、生育は順調であった。これは、本発明の根鉢隔離用成形体による物理的遮断作用により、抵抗力の弱い幼苗期にセンチュウとの接触が妨げられたためである。根が成形体を突き破った後にセンチュウが寄生して形成された根こぶが僅かに認められたが、苗の抵抗力が増しているため農業被害が生じるほどのものではなかった。
実施例19のトマト苗は、根こぶの形成が全く見られなかった。これは、根鉢隔離用成形体自身による物理的遮断作用が維持されているうちに、成形体内に配合された殺線虫剤が灌水により土壌中に広がって、殺線虫剤の化学的防除作用により土壌中のセンチュウが減少、または死滅したためである。物理的遮断作用と化学的防除作用との複合作用により、農業被害が顕著に抑制できることが確認できた。
実施例20のトマト苗は、成形体で囲まれた領域内にセンチュウを接種しており、幼苗期に根とセンチュウとが接触したにもかかわらず、比較例5と比較して根こぶの形成が少なかった。成形体外部の土壌に接種されたセンチュウは、実施例19と同じく、物理的遮断作用が持続しているうちに、殺線虫剤により減少、または死滅したと考えられる。そのため、形成された根こぶは、成形体内部に接種されたセンチュウによるものと推測される。そして、成形体内部の土壌に接種されたセンチュウも、殺線虫剤による化学的防除作用により減少したため、栽培初期の寄生が抑制され、比較例5と比較して、根こぶの形成が抑えられたものと考えられる。
比較例5は、幼苗期に根とセンチュウとが接触してしまったため、多くの根が根こぶだらけで太くなっていた。根こぶの形成された根は養分を吸収しにくいため、実施例18〜20のトマト苗と比較して生育が劣り、一見して草丈が低かった。
・まとめ
試験例1から、本発明の根鉢隔離用成形体は十分な透水性を有し、成形体を透過した水を植物が吸収することができるため、植物が枯死しないことが確かめられた。本発明の根鉢隔離用成形体を利用しても、成形体内部への潅水量を制御するような特別な栽培方法や栽培装置は必要なく、従来通りの栽培方法が利用できる。また、成形体内部に水が溜まらないため、栽培植物が根腐れを起こすことはない。それに対し、透水度が187.4と大きく、透水性に劣る成形体を用いた比較例4では、成形体を透過する水の量が少ないため、栽培植物はわずか6日で枯死した。
試験例2から、栽培植物の根が成形体を突き破って伸長でき、根鉢隔離用成形体が根の伸長を妨げないこと、生分解性樹脂から形成された根鉢隔離用成形体は消失して回収する必要がないことが確かめられた。
試験例3から、本発明の根鉢隔離用成形体の物理的遮断作用によって、土壌中の有害生物による農業被害が抑えられることが確認できた。さらに、物理的遮断作用と、殺線虫剤による化学的防除作用との複合効果により、農業被害を更に抑制できることが確かめられた。

Claims (7)

  1. JIS−Z0221に記載の方法で測定した透水度が25〜130秒であるフィルム状の透水性樹脂からなり、貫通孔を有さず、前記透水性樹脂が、ポリビニルアルコール、キトサン、アルギン酸、寒天、ゼラチンのいずれか1種単独、または2種以上からなることを特徴とする根鉢隔離用成形体。
  2. 前記透水性樹脂が、けん化度が70.0モル%以上99.0モル%以下のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項に記載の根鉢隔離用成形体。
  3. 前記透水性樹脂が、脱アセチル化度70%以上のキトサンであることを特徴とする請求項に記載の根鉢隔離用成形体。
  4. 前記根鉢隔離用成形体が、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、植物生長調整剤、または肥料の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の根鉢隔離用成形体。
  5. 育苗ポット、連結ポット、チェーンポット、筒状フィルム、袋状フィルム、長尺状フィルムのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の根鉢隔離用成形体。
  6. 請求項に記載の根鉢隔離用成形体内に充填された土壌で植栽されていることを特徴とする植物苗。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の根鉢隔離用成形体を用いた植物の病害防除方法。
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