JP5752762B2 - 乗客コンベア - Google Patents

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本発明の実施形態は、乗客コンベアに関する。
乗客コンベヤでは、踏段が傾斜部を移動するときに前後の踏段の間で段差が生じ、乗客を乗せて搬送するクリート体と段差面を塞ぐライザ体とで形成される角部が露出しているため、乗客コンベアの傾斜部で乗客が転倒すると、クリート体とライザ体とで形成される角部に身体を打ち付けて怪我をするおそれがある。
そこで、従来より、踏段に作動機構を介して緩衝片を装備し、乗客コンベアの乗降口近傍の踏段の水平移動箇所においては緩衝片を降下位置に保持し、前後の踏段の間で段差を生じて傾斜移動する箇所では、緩衝片をライザー体よりも上昇した位置に変位させ、これにより、傾斜部移動時において踏段の角部を緩衝片により覆い、乗降する乗客が転倒した際に緩衝片によって衝撃を緩和する乗客コンベアが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
しかしながら、乗客コンベアの安全性に対する要求は近年ますます高まっており、乗客が転倒した時の怪我を軽減することがより一層求められている。
特開2002−348082号
そこで、乗客が転倒しても怪我を軽減することができる乗客コンベアを提供することを目的とする。
実施形態に係る乗客コンベアは、無端状の踏段チェーンに取り付けられて循環移動する複数の踏段と、前記踏段チェーンに軸支され前記踏段の前部に設けられた前輪と、前記踏段の後部に設けられた後輪と、前記踏段の前輪及び後輪を案内するガイドレールとを備えた乗客コンベアにおいて、前記後輪が前記踏段に対して弾性支持され、前記踏段は、前記クリート体及び前記ライザ体を支持するフレームを備え、前記後輪が後輪支持体を介して前記フレームに取り付けられ、前記後輪支持体は、前記後輪を軸支する軸受部と、前記軸受部から上下に分岐して前記フレームに連結される上下一対の支持腕とを備え、一方の前記支持腕に弾性支持部が設けられ、他方の前記支持腕にヒンジが設けられている。
一実施形態に係る乗客コンベアの側面図である。 踏段と踏段チェーンの平面図である。 踏段とローラ軸の連結部分を拡大して示す図である。 踏段と後輪との連結部分を拡大して示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の乗客コンベア10は、図1に示すような建物の上下階に跨って傾斜して設置され複数の踏段15が上下階にわたって移動するものであり、建物などの上下階に跨って床下に設置されたトラスと呼ばれる主枠11を備える。
主枠11の内部には、上階側と下階側とにそれぞれ左右一対のスプロケット12が配置されており、上階側のスプロケット12と下階側のスプロケット12との間に、左右一対の無端状の踏段チェーン30がそれぞれ巻き掛けられている。上階側あるいは下階側のスプロケット12の少なくとも一方は、電動機や減速機などを有する駆動装置14の駆動により回転する構造となっている。
主枠11上には、踏段15の幅に相当する所定の間隔をあけて左右一対の欄干16が互いに平行に立設されている。各欄干16の周囲には手摺ベルト17が装着されている。手摺ベルト17は、駆動装置14の駆動により、踏段15の循環移動と同期して欄干16の周囲を周回する。
踏段15は、乗客が乗るクリート体52と、クリート体52の一端部52aから一体に延設され下方の踏段15との段差を塞ぐライザ体54と、クリート体52及びライザ体54を支持するフレーム56とを備える。
クリート体52の他端部52bの下方には、踏段チェーン30に軸受を介して軸支された左右一対の前輪58が踏段15の幅方向に対向するように設けられ、クリート体52の一端部52aの下方(つまり、ライザ体54の下方)には、左右一対の後輪60が踏段15の幅方向に対向するように設けられている。
詳細には、図2及び図3に示すように、踏段チェーン30は、踏段15の左右両側部に設けられており、長手方向に所定間隔で並ぶように配置された複数のローラ軸18によって左右の踏段チェーン30が連結されている。このローラ軸18には、両端部に前輪58が回転自在に取り付けられるとともに、ローラ軸18の外周部に円筒状のカラー40が設けられている。カラー40の外周面に設けられた凹部41には、踏段15のフレーム56に設けられたピン42が嵌り込む。これにより、踏段15がローラ軸18に連結されている。
左右一対の後輪60は、フレーム56の下端部に後輪支持体62を介して弾性支持された状態で取り付けられ、不図示のローラ軸により連結されている。
後輪支持体62は、左右の後輪60に対応して左右に1つずつ設けられており、図4に示すように、後輪60を軸支する軸受部64と、軸受部64からV字状に上下に分岐してフレーム56の下端部に連結される上下一対の支持腕66,68と、上側の支持腕66と係合するストッパ70とを備える。
上側の支持腕66は、軸受部64側に設けられた付け根部72の先端側(踏段15のフレーム56側)に付け根部72より細い摺動軸74が設けられ、付け根部72と摺動軸74との間に段部76が形成されている。
摺動軸74は、巻バネなどの弾性支持部80に挿通され、先端部がフレーム56に設けられた貫通孔57に挿通されている。これにより、弾性支持部80は、軸方向に摺動軸74が挿通された状態で上側の支持腕66の段部76とフレーム56との間に挟持されている。
なお、本実施形態では、弾性支持部80として巻バネの場合について説明するが、これ以外に、例えば、板バネ、ゴム状弾性体、油圧式ダンパで弾性支持部80を構成してもよい。
摺動軸74の先端部(フレーム56から突出する部分)には、ストッパ70と係合する係止凹部78が設けられている。係止凹部78のフレーム56側の壁面78aは、底面78bから開口端に向かうほど開口部が広がるように傾斜する傾斜面をなしている。
ストッパ70は、摺動軸74の先端部に設けられた係止凹部78に向かってコイルばね82により付勢された係止棒84を備える。この係止棒84は、一端部がフレーム56に固定された支持枠86に支持され、他端部がコイルばね82の伸張力により摺動軸74の係止凹部78の底面78bに向けて付勢された状態で係止凹部78に挿入されている。
また、下側の支持腕68は、軸受部64において上側の支持腕66と鋭角に交わっており、軸受部64と踏段15のフレーム56との間に、踏段15の幅方向に平行な回動軸を有するヒンジ88が設けられている。
踏段15の両側には、ガイドレール13が踏段15の進行方向に沿って配設されておりボルト等によって主枠11に固定されている。ガイドレール13は、踏段15に設けられた前輪58及び後輪60が転動する転動面を備え、踏段15の進行方向に沿って前輪58及び後輪60を案内する。
このような構成の乗客コンベア10では、駆動装置14の出力がスプロケット12に伝達されスプロケット12が回転すると、スプロケット12に噛み合う踏段チェーン30に駆動力が伝達されて、下階側のスプロケット12との間に掛け渡された踏段チェーン30がガイドレール13に沿って循環移動し、踏段15上に乗っている利用者は下階から上階へ、又は、上階から下階へと運ばれる。
このようにガイドレール13に沿って循環移動する踏段15に乗客が搭乗すると、乗客による荷重は、踏段15に設けられた前輪58及び後輪60によって支持される。乗客コンベア10が定格荷重より小さい荷重を受けて正常に乗客を搬送している時、例えば、乗客が乗り込む時や、あるいは、踏段15に乗った乗客を乗り口から降り口へ向けて搬送する時には、踏段15のフレーム56に対して後輪60を支持する後輪支持体62は、上側の支持腕66に設けられた係止凹部78にストッパ70の係止棒84が挿入され、上側の支持腕66をストッパ70が支持し、弾性支持部80に乗客による荷重が作用しない。つまり、乗客を正常に搬送している状態(上側の支持腕66に作用する荷重が基準値より小さい状態)では、乗客が踏段15から乗り降りする際に、弾性支持部80が不用意に弾性変形することがなく、違和感を与えることなく踏段15から乗り降りすることができる。
一方、乗客が踏段15上で転倒して定格荷重以上の荷重を踏段15が受けると(つまり、上側の支持腕66に作用する荷重が基準値以上であると)、上側の支持腕66は、踏段15のフレーム56側に押し込まれ、係止凹部78に挿入された係止棒84がコイルばね82の付勢力に抗して係止凹部78の壁面78aを摺動することで、係止凹部78から抜け出て上側の支持腕66とストッパ70との係合が解除される。上側の支持腕66とストッパ70との係合が解除されると、踏段15に作用する荷重によって、上側の支持腕66の段部76とフレーム56との間で弾性支持部80を圧縮しながら上側の支持腕66がフレーム56に設けられた貫通孔57を摺動する。これにより、後輪60が、後輪支持体62の弾性支持部80によって踏段15のフレーム56に対して弾性的に支持され、乗客が転倒した際の衝撃を緩和して乗客の怪我を軽減することができる。
なお、本実施形態では、後輪60を支持する後輪支持体62は、上側の支持腕66に弾性支持部80を設け、下側の支持腕68にヒンジ88を設ける場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、下側の支持腕68に弾性支持部80を設け、上側の支持腕66にヒンジ88を設けてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…乗客コンベア、11…主枠、12…スプロケット、13…ガイドレール、14…駆動装置、15…踏段、18…ローラ軸、30…踏段チェーン、52…クリート体、54…ライザ体、56…フレーム、58…前輪、60…後輪、62…後輪支持体、64…軸受部、66…上側の支持腕、68…下側の支持腕、70…ストッパ、72…付け根部、74…摺動軸、76…段部、78…係止凹部、80…弾性支持部、84…係止棒、86…支持枠、88…ヒンジ

Claims (6)

  1. 乗客が乗るクリート体と、前記クリート体の一端部から下方に延設されたライザ体と備え、無端状の踏段チェーンに取り付けられて循環移動する複数の踏段と、
    前記踏段チェーンに軸支され前記クリート体の他端部の下方に設けられた前輪と、
    前記クリート体の一端部の下方に設けられた後輪と、
    前記踏段の前輪及び後輪を案内するガイドレールとを備えた乗客コンベアにおいて、
    前記後輪が、前記踏段に対して弾性支持され
    前記踏段は、前記クリート体及び前記ライザ体を支持するフレームを備え、前記後輪が後輪支持体を介して前記フレームに取り付けられ、
    前記後輪支持体は、前記後輪を軸支する軸受部と、前記軸受部から上下に分岐して前記フレームに連結される上下一対の支持腕とを備え、一方の前記支持腕に弾性支持部が設けられ、他方の前記支持腕にヒンジが設けられていることを特徴とする乗客コンベア。
  2. 前記後輪支持体は、上側の前記支持腕に前記弾性支持部が設けられ、下側の前記支持体に前記ヒンジが設けられていることを特徴とする請求項に記載の乗客コンベア。
  3. 前記弾性支持部が設けられた前記一方の支持腕と係合し、基準値以上の荷重が前記一方の支持腕に作用すると前記支持腕との係合が解除されるストッパを備え、
    前記基準値より小さい荷重が前記一方の支持腕に作用すると前記ストッパが前記支持腕の変位を制限して前記弾性支持部の変形を制限し、前記基準値以上の荷重が前記一方の支持腕に作用すると前記支持腕の変位して前記弾性支持部が変形することを特徴とする請求項又はに記載の乗客コンベア。
  4. 前記弾性支持部が、巻バネを備えることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
  5. 前記弾性支持部が、板バネを備えることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
  6. 前記弾性支持部が、ゴム状弾性体を備えることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
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