JP5752251B2 - クイックリリース機能を備えたラップスプリングクラッチ結合器 - Google Patents

Description

本発明は、回転結合器に関し、特に、クラッチの解放時、ラップスプリングの解放を支援するための機能を有するラップスプリングクラッチに関する。

従来のラップスプリングクラッチは入力ハブおよび出力ハブを含む。ラップスプリングは入力ハブおよび出力ハブの１つに結合されており、ラップスプリングが連結されているハブの第１の回転方向における回転により、スプリングが他方のハブに巻き付き、それによって、２つのハブを回転のため互いに結合し、クラッチを係合している。ラップスプリングが結合されているハブが停止するか、方向を反転したとき、もしくはラップスプリングの回転を防止する外力により、スプリングが解かれ、クラッチが解放される。

ラップスプリングクラッチの動作は入力ハブと出力ハブとの間における回転速度の差に依存している。特に、ラップスプリングは、ハブ間における回転速度に大きな差がある場合、より迅速に係合および解放される。しかしながら、多くの用途においては、クラッチの係合および解放時における回転速度の差は比較的小さい。このため、クラッチの解放時、ラップスプリングが原因で、ラップスプリングが巻かれているハブに望ましくない抵抗が発生するおそれがある。このため、ラップスプリングの摩耗もまた増加しがちである。
したがって、ラップスプリングクラッチは、ハブ間における回転速度の差が比較的小さい用途には不適当であることが多い。従来のラップスプリングクラッチではこれらの問題をラップスプリングのハブへのしまり嵌めを調節することによって克服しようとしている。
しかしながら、しまり嵌めの調節には、クラッチの係合（締め代が不十分な場合、損なわれるおそれがある）および解放（締め代が大きすぎる場合、損なわれるおそれがある）の両方を可能にするために繊細な平衡を必要とする。多くの用途では適切な平衡を得ることができず、従来のラップスプリングクラッチを使用することができない。

本発明者は、上で明らかにした欠点の１つまたは複数を最小にするおよび／または排除する回転結合器の必要性を認識している。

本発明は回転結合器を提供する。

本発明の一実施形態による回転結合器は、回転軸を中心として配置された第１のハブおよび第２のハブを含む。結合器は、第１のハブに係合しており、かつ第２のハブの半径方向外側に配置されたラップスプリングをさらに含む。ラップスプリングは、第１のハブの第１の回転方向における回転時、第１のハブと第２のハブとを回転のため互いに結合するように構成されている。結合器は、第２のハブとラップスプリングとの間に半径方向に配置された、ラップスプリングを第２のハブから離れる方に押圧するための手段をさらに含む。押圧手段は、第２のハブとラップスプリングとの間に半径方向に配置された１つまたは複数のシューと、シューを第２のハブから半径方向外側に付勢するための１つまたは複数のスプリングなどの手段と、を含んでもよい。

本発明による回転結合器は、従来の回転結合器、特に、従来のラップスプリングクラッチに対する改良形態を示すものである。本発明のクラッチは、スプリングが巻き付けられているハブから離れる方にラップスプリングを押圧する機構を設けることによって、ハブ間における回転速度の差が小さい用途においてもラップスプリングのクイックリリースを容易にする。このため、本発明のクラッチは、従来ラップスプリングクラッチには不適当とみなされていたさらなる用途において使用されうる。

当業者には、これらの利点および本発明の他の利点が以下の詳細な説明および本発明の特徴を例として示す添付の図面から明らかとなろう。

本発明の一実施形態による回転結合器の分解斜視図である。 組み立てられた図１の回転結合器の断面図である。

ここで、種々の図における同一の構成要素を示すために同じ参照符号が使用される図面を参照すると、図１〜２は、本発明の一実施形態による回転結合器１０を示す。結合器１０は、シャフト、プーリ、ギア、スプロケットおよびシーブ（図示せず）等の、入力部材と出力部材との間にトルクを選択的に伝達するためのクラッチとして機能する。結合器１０はまた、トルクが出力部材に伝達されていないときは、出力部材のブレーキとして機能してもよい。示される実施形態では、結合器１０はスタート／コースト（またはスタート／ストップ）クラッチとして機能する。しかしながら、本発明は、オーバランニング／一方向クラッチおよび１回転クラッチなどの他のクラッチ、ならびにＳＣおよびＷＳＣ機械式シリーズクラッチおよび／またはＣＰおよびＳＡＣ作動式クラッチシリーズおよび／または「ダイナコープ（ＤＹＮＡＣＯＲＰ）」および／または「ワーナーエレクトリック（ＷＡＲＮＥＲ ＥＬＥＣＴＲＩＣ）」の登録商標でアルトラ・インダストリアル・モーション・インク（Ａｌｔｒａ Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌ Ｍｏｔｉｏｎ，Ｉｎｃ．）から販売されているＤＣＢ、ＣＢおよびスーパー（Ｓｕｐｅｒ）作動式のクラッチブレーキのいずれかを含むクラッチ／ブレーキの組み合わせにおいて使用されうると理解すべきである。結合器１０は、入力ハブ１２と、出力ハブ１４と、ラップスプリング１６と、コントロールカラー１８と、シュー２０およびスプリング２２などの、ラップスプリング１６を出力ハブ１４から離れる方に押圧するための手段と、を含んでもよい。

入力ハブ１２は、シャフト、プーリ、ギア、スプロケットまたはシーブ（図示せず）などの入力デバイスからラップスプリング１６を介して出力ハブ１４にトルクを伝達するための手段を提供する。ハブ１２は当技術分野で慣行であり、従来の金属および金属合金で作製してもよく、かつ、例えば、油を含浸させた焼結鉄製ハブを含んでもよい。ハブ１２は環状であり、かつ回転軸２４を中心として配置されている。示される実施形態においては、ハブ１２は、１つの軸方向端部に配置された部分２６と、部分２６と比較して小さな径を有する部分２８と、筒状部３０と、を含む。しかしながら、ハブ１２の構成は用途によって変更してもよいと理解すべきである。部分２６は、ラップスプリング１６およびカラー１８の軸方向の動きを制限するように構成されている。部分２８はラップスプリング１６の一部を支持するように構成されている。部分３０はシャフトを受容するように構成されている。このシャフトを介してハブ１２にトルクが付与される。部分３０は、シャフトに、従来のキー／キー溝関係を使用して連結しても、別の従来の手法で連結してもよい。

出力ハブ１４は、入力ハブ１２から、シャフト、プーリ、ギア、スプロケットまたはシーブなどの出力部材にトルクを伝達するための手段を提供する。ハブ１４は当技術分野で慣行であり、従来の金属および金属合金で作製してもよく、かつ、例えば、油を含浸させた焼結鉄製ハブを含んでもよい。ハブ１４は環状であり、軸２４を中心として配置されており、かつ入力ハブ１２と同軸上に整列されてもよい。ハブ１４は、その内部に貫通する入力ハブ１２の部分３０を受容するような大きさに作られている。出力ハブ１４は、入力ハブ１２の部分３０の半径方向外側表面にある溝内に配置されたリテーナリング３２を使用して入力ハブ１２の部分３０上に軸方向に保持されてもよい。示される実施形態においては、ハブ１４は、１つの軸方向端部にある部分３４と、入力ハブ１２の部分２８に面している縮径部分３６と、を含む。しかしながら、ハブ１４の構成は用途によって変更してもよいと理解すべきである。

ハブ１４の部分３４は、ラップスプリング１６およびカラー１８の軸方向の動きを制限するように構成されており、かつ出力部材に連結されるように構成されている。示される実施形態は、シャフト入力部材ならびにプーリ、ギア、シーブ、スプロケットまたは類似の出力部材用に構成されているが、この関係を逆にすることもでき、かつ、ハブ１２、１４を種々の入力部材および出力部材への取り付け用に構成することもできると理解すべきである。

ハブ１４の部分３６は、クラッチの係合時、ラップスプリング１６に係合面を提供する。
クラッチが係合していないとき、入力ハブ１２と出力ハブ１４とは相対回転が可能である。本発明の一態様によれば、ハブ１４の部分３６の半径方向外側表面は、対応するシュー２０および１つまたは複数のスプリング２２を受容するように構成された１つまたは複数の凹部３８を画定する。凹部３８は、任意の２つの周方向に近傍する凹部３８の間における周方向距離または角距離が等しくなるように配置してもよい。示される実施形態においては、ハブ１４は、各凹部３８の周方向中心部（ｃｉｒｃｕｍｆｅｒｅｎｔｉａｌ ｃｅｎｔｅｒ）が、近傍する凹部３８の周方向中心部から約１２０度に位置している３つの凹部３８を含む。しかしながら、凹部３８の数およびそれらの互いに対する向きは変更されうると理解すべきである。

入力ハブ１２と出力ハブ１４とを回転のため互いに結合するためにラップスプリング１６が設けられている。ラップスプリング１６は当技術分野で慣行であり、従来の金属および金属合金で作製してもよい。スプリング１６は、入力ハブ１２の部分３０の外径および出力ハブ１４の部分３６の外径よりわずかに小さな内径を有する。したがって、スプリング１６は、しまり嵌めにおいてハブ１２、１４と係合してもよい。しかしながら、スプリング１６は、スプリング１６の一端にあるタングの入力ハブ１２への連結によるものを含む種々の手法で入力ハブ１２に係合しうると解釈すべきである。ハブ１２の１つの回転方向における回転により、スプリング１６がハブ１４にきつく巻き付き、ハブ１２とハブ１４とを回転のため互いに結合し、それによってトルクを入力ハブ１２から出力ハブ１４に伝達する。ハブ１２の回転が終了するかハブ１２が逆の回転方向に回転されると、スプリング１６が解かれてハブ１２とハブ１４とが分離され、クラッチが解放される。示される実施形態においては、スプリング１６は出力ハブ１４に直に係合しているが、スプリング１６は、出力ハブ１４に間接的に係合するために中間部材に巻き付けられうると理解すべきである。さらに、示される実施形態において、スプリング１６は出力ハブ１４に巻き付いているが、別法として、スプリング１６は、クラッチ係合時にスプリング１６が入力ハブ１２に巻き付き、クラッチの解放時にスプリング１６が入力ハブ１２から解かれるように配向されうると当業者には理解される。以下に説明する目的のため、スプリング１６の反対端にある別のタングはカラー１８に結合されてもよい。

カラー１８は、入力ハブ１２、出力ハブ１４の相対回転以外の、クラッチを制御下において係合および解放するための手段を提供する。カラー１８は当技術分野で慣行であり、スチール製インサートまたはアルミニウム製インサートを有して、ガラス強化ナイロンで作製してもよい。カラー１８は環形状であり、ハブ１２、１４と同軸上に整列して軸２４を中心として配置されている。カラー１８は、結合器１０の組み立て時、入力ハブ１２の部分２６と出力ハブ１４の部分３４との間に受容されるような大きさに作られており、部分２６、３４の１つの軸方向端面に接触してもよい。カラー１８は、ラップスプリング１６の半径方向外側に配置されており、スプリング１６に対して既定の間隔を許容するような大きさに作られた内径を有する。カラー１８は、凹部（図示せず）、またはスプリング１６の一端にタングを受容するように構成された類似の構造を含む。カラー１８は、ハブ１２の部分２６の外径およびハブ１４の部分３４の外径それぞれより大きくてもよい外径を有する。
カラー１８の半径方向外側表面は、機械式アクチュエータおよび／またはソレノイド等の電気式アクチュエータに係合してもよい１つまたは複数のランプ４０などの手段を画定する。アクチュエータがランプ４０に係合すると、カラー１８は回転を防止される。
この動作によりスプリング１６が解かれ、入力ハブ１２と出力ハブ１４とが分離される。

シュー２０およびスプリング２２は、ラップスプリング１６を出力ハブ１４から離れる方に押圧するための手段を提供する。示される実施形態においては、シュー２０は長手方向の軸が軸２４に平行して延在しているほぼ楕円形である。しかしながら、シュー２０の大きさおよび形状は、それらがラップスプリング１６との十分な係合を提供する限り変更してもよいと理解すべきである。シュー２０は、熱可塑性樹脂、特に、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー・コーポレーション（Ｅ．Ｉ．ＤｕＰｏｎｔ
Ｄｅ Ｎｅｍｏｕｒｓ ａｎｄ Ｃｏｍｐａｎｙ Ｃｏｒｐ．）により「デルリン（ＤＥＬＲＩＮ）」の登録商標で販売されているポリオキシメチレンで作製しても他の低摩擦材料で作製してもよい。シュー２０はハブ１４の部分３６にある凹部３８内に受容されるように構成されている。シュー２０は、任意の２つの周方向に近傍するシュー２０間における周方向距離が等しくなるようにハブ１４の周のまわりに等距離で離間している。示される実施形態は、任意の１つのシュー２０の周方向中心部が任意の近傍にあるシュー２０の周方向中心部から１２０度離間している３つのシューを含む。しかしながら、シュー２０の数および向きは変更してもよいと理解すべきである。例えば、２つのシュー２０は互いに直径方向に対向して配置されてもよい。スプリング１６が出力ハブ１４に巻き付けられ、入力ハブ１２と出力ハブ１４とが回転のため互いに結合されると、シュー２０は、軸２４から各シューの半径方向外側表面までの距離が、軸２４からハブ１４の部分３６の半径方向外側表面４２までの距離に実質的に等しくなるように構成されている。

スプリング２２は、ハブ１４から離れる方およびスプリング１６に向かう方に、半径方向外側にシュー２０を付勢するための手段を提供する。スプリング２２は、凹部３８内の、ハブ１４の部分３６とスプリング１６との間に半径方向に配置されている。スプリング２２は当技術分野で慣行であり、巻き線型圧縮スプリングまたはスプリングワッシャー（例えば、皿ばね）またはリーフスプリングを含んでもよい。示される実施形態において、各シュー２０は２つのスプリング２２によって外側に押圧されている。しかしながら、シュー２０を外側に押圧するために使用されるスプリング２２の数は変更してもよいと理解すべきである。スプリング２２によってシュー２０に印加される半径方向外側への力は、クラッチ係合時にスプリング１６によって印加される半径方向内側への力よりも小さいが、クラッチの解放時におけるスプリング１６の力を超えている。

本発明による回転結合器は、従来の回転結合器、特に、従来のラップスプリングクラッチの改良形態を示すものである。本発明のクラッチは、ラップスプリング１６を、スプリング１６が巻き付けられているハブ１４から離れる方に押圧する機構を設けることによって、ハブ１２、１４間における回転速度の差が小さい用途であっても、ラップスプリング１６の迅速かつ完全な解放を容易にする。このため、本発明のクラッチは、従来ラップスプリングクラッチに不適当とみなされていたさらなる用途に使用されうる。

本発明をその１つまたは複数の特定の実施形態を参照して示すとともに説明したが、当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく種々の変更および改良を施すことができることは理解されよう。

Claims (21)

1. 回転軸を中心として配置された第１のハブおよび第２のハブと、
   前記第１のハブに係合しており、かつ前記第２のハブの半径方向外側に配置されたラップスプリングであって、第１の回転方向における前記第１のハブの回転の間、前記第１のハブと前記第２のハブとを回転のため互いに結合するように構成されているラップスプリングと、
   前記第２のハブと前記ラップスプリングとの間に半径方向に配置された第１のシューと、
   前記第２のハブと前記第１のシューとの間に半径方向に配置された第１のスプリングと、
   を含む、回転結合器。
2. 前記第２のハブと前記第１のシューとの間に配置された第２のスプリングをさらに含む、請求項１に記載の回転結合器。
3. 前記第１のスプリングは圧縮スプリングを含む、請求項１に記載の回転結合器。
4. 前記第１のスプリングはスプリングワッシャーを含む、請求項１に記載の回転結合器。
5. 前記第２のハブと前記ラップスプリングとの間に半径方向に配置された第２のシューと、
   前記第２のハブと前記第２のシューとの間に半径方向に配置された第２のスプリングと、
   をさらに含む、請求項１に記載の回転結合器。
6. 前記第１のシューと前記第２のシューとが互いに直径方向に対向している、請求項５に記載の回転結合器。
7. 前記第２のハブと前記ラップスプリングとの間に半径方向に配置された第３のシューと、
   前記第２のハブと前記第３のシューとの間に半径方向に配置された第３のスプリングと、
   をさらに含む、請求項５に記載の回転結合器。
8. 前記第１のシュー、前記第２のシューおよび前記第３のシューのうち任意の２つの周方向に近傍するシュー間の周方向距離が等しい、請求項７に記載の回転結合器。
9. 前記ラップスプリングの半径方向外側に配置されたカラーをさらに含み、前記ラップスプリングの第１の端部が前記カラーに結合されている、請求項１に記載の回転結合器。
10. 前記第２のハブは、半径方向外側表面に、前記第１のスプリングおよび前記第１のシューを受容するように構成された凹部を含む、請求項１に記載の回転結合器。
11. 前記第１のハブと前記第２のハブとが回転のため互いに結合されるとき、前記軸から前記第１のシューの半径方向外側表面までの距離が、前記軸から前記第２のハブの半径方向外側表面までの距離と実質的に等しい、請求項１に記載の回転結合器。
12. 回転軸を中心として配置された第１のハブおよび第２のハブと、
    前記第１のハブに係合しており、かつ前記第２のハブの半径方向外側に配置されたラップスプリングであって、第１の回転方向における前記第１のハブの回転の間、前記第１のハブと前記第２のハブとを回転のため互いに結合するように構成されているラップスプリングと、
    前記第２のハブと前記ラップスプリングとの間に半径方向に配置された、前記ラップスプリングを前記第２のハブから離れる方に押圧するための手段と、を含み、
    前記押圧手段は、
    前記第２のハブと前記ラップスプリングとの間に半径方向に配置された第１のシューと、
    前記第１のシューを前記第２のハブから半径方向外側に付勢するための手段と、
    を含む、回転結合器。
13. 前記付勢手段は圧縮スプリングを含む、請求項１２に記載の回転結合器。
14. 前記付勢手段はスプリングワッシャーを含む、請求項１２に記載の回転結合器。
15. 前記押圧手段は、
    前記第２のハブと前記ラップスプリングとの間に半径方向に配置された第２のシューと、
    前記第２のシューを前記第２のハブから半径方向外側に付勢するための手段と、
    をさらに含む、請求項１２に記載の回転結合器。
16. 前記第１のシューと前記第２のシューとが互いに直径方向に対向している、請求項１５に記載の回転結合器。
17. 前記押圧手段は、
    前記第２のハブと前記ラップスプリングとの間に半径方向に配置された第３のシューと、
    前記第３のシューを前記第２のハブから半径方向外側に付勢するための手段と、
    をさらに含む、請求項１５に記載の回転結合器。
18. 前記第１のシュー、前記第２のシューおよび前記第３のシューのうち任意の２つの周方向に近傍するシュー間における周方向距離が等しい、請求項１７に記載の回転結合器。
19. 前記第１のハブと前記第２のハブとが回転のため互いに結合されるとき、前記軸から前記第１のシューの半径方向外側表面までの距離が、前記軸から前記第２のハブの半径方向外側表面までの距離と実質的に等しい、請求項１２に記載の回転結合器。
20. 前記ラップスプリングの半径方向外側に配置されたカラーをさらに含み、前記ラップスプリングの第１の端部が前記カラーと結合されている、請求項１２に記載の回転結合器。
21. 前記第２のハブは、半径方向外側表面に、前記押圧手段を受容するように構成された凹部を含む、請求項１２に記載の回転結合器。

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