JP5751759B2 - 光学用膜の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、カプセル粒子の粒径を制御することによって、光の干渉効果により、反射率を低減する方法および微小な凹凸を形成し、光の散乱により反射像を散らして輪郭をぼやかす処理方法のどちらにも用いることが可能である。
本発明に係る光学用膜の製造方法は、下記の光学用膜製造用塗工液を用いて製造することができる。
図1は、本発明に係る光学用膜製造用塗工液の製造方法の一実施態様を示す模式図である。図1(a)は、第2族元素を含む化合物、または第17族元素(ハロゲン)を含む化合物のどちらかの水溶液を作製し、有機溶剤と混合した際の模式図である。図1(b)は、更にO/W型のエマルジョンとした際の模式図であり、図1(c)は、更に有機溶剤を用いてO/W/O型のエマルジョンを形成した際の模式図であり、図1(d)は、更に反応させカプセルを形成した際の模式図である。
本発明の中空粒子の製造方法は以下の4つの工程からなる。
(1)第2族元素を含む化合物を含む水溶液、または第17族元素(ハロゲン)を含む化合物を含む水溶液のうちどちらか一方と、第一の油性有機溶媒とを混合する(図1(a)参照)。
(2)上記の(1)の溶液のO/W型のエマルジョンを形成し、第一の溶液を作製する(図1(b)参照)。
(3)さらに第一の溶液に第二の油性有機溶剤を加えてO/W/O型のエマルジョンを形成し、第二の溶液を作製する(図1(c)参照)。
(4)上記の(1)で用いなかった方の化合物を含む水溶液を、前記第二の溶液に添加し反応させ、第2族元素のハロゲン化合物のシェルを有するカプセルを形成し、第三の溶液を作製する(図1(d)参照)。
次に、この水溶液に第一の油性有機溶媒を混合する(図1(a))と、有機溶剤相1と水溶液相2とが分離する。
O/W型のエマルジョンを形成するには、界面活性剤を用いても構わない。好ましい界面活性剤は、HLB値(界面活性剤の水や油への親和性を表す値)が8から16程度の非イオン性のものが好ましい。
エマルジョン作製時の装置、反応条件、界面活性剤の種類などによって粒径を制御することができる。
第一の溶液を作製した際と同様に界面活性剤を用いても構わない。
O/W/O型エマルジョン(第二の溶液)作製後は、第一の溶液作製時に水溶液相2に用いた水溶液が第2族元素を含む化合物であれば、第17族元素(ハロゲン)を含む化合物の水溶液を添加し反応させる。第一の溶液作製時に水溶液相2に用いた水溶液が第17族元素(ハロゲン)を含む化合物であれば、第2族元素を含む化合物の水溶液を添加し反応させる。
カプセルとコアの体積比は、反応条件によって変更することが可能であるが、カプセル中に占めるコアの体積は、20%以上85%以下、好ましくは30以上85%以下が好ましい。20%未満であると中空の効果が屈折率に顕著には現れず、また85%をこえると強度が不足し好ましくない。
この反応後に水あるいは有機溶媒などを添加し、デカンテーションを行ない、副生成物の塩や界面活性剤などの不要物を除去する。不要物の除去後、カプセルが分散されている溶液を取り出し、塗工液の作製に用いる。
第2族元素を含む化合物を含む水溶液、または第17族元素(ハロゲン)を含む化合物を含む水溶液のうちどちらか一方と、第一の油性有機溶媒とを混合する(図1(a))。この時、第一の油性有機溶剤の代わりにシラザンが硬化できる触媒または前記第一の油性有機溶剤にシラザンが硬化できる触媒を溶かしてO/W型エマルジョン(第一の溶液)とする。
その後の第二の溶液の作製、第三の溶液の作製、塗工液の作製は、前述の方法と同様に行なうことができる。
(1)第2族元素を含む化合物を含む水溶液、またはハロゲンを含む化合物を含む水溶液のうちどちらか一方と、第一の油性有機溶剤とを混合してエマルジョンとした第一の溶液を作成する工程、
(2)前記第一の溶液に第二の油性有機溶剤を加えてエマルジョンとした第二の溶液を作成する工程、
(3)前記第二の溶液に前記第2族元素を含む化合物を含む水溶液、または前記ハロゲンを含む化合物を含む水溶液のうち、前記第一の溶液を作成する工程で用いた水溶液とは異なる方の水溶液を加え、第2族元素のハロゲン化合物のシェルと、前記第一の油性有機溶剤を含有するコアとから形成されるカプセルを含有する第三の溶液を作成する工程、
(4)前記第三の溶液にバインダーとなる成分を含む溶液を加えて第四の溶液を作成し、前記第四の溶液を基材上に塗布する工程、
(5)前記基材上に塗布した第四の溶液を加熱し、前記カプセルから前記第一の油性有機溶剤を蒸発させて形成された前記第2族元素のハロゲン化合物のシェルからなる中空粒子を含む光学用膜を形成する工程。
塗工に用いる基材としては、ガラス、樹脂などを用いることができる。ガラスは、FC5、FCD1、FCD10、LAC7(以上 HOYA株式会社製)、N−SK4、N−SK5、N−SK10、N−LAK10(以上 ショット社製)などを一例としてあげることができる。樹脂としてはウレタンアクリレート、メタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースなどからなるプラスチックで、屈折率が1.5以上のものを用いることができる。
塗工の方法も特に限定されることはなく、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法など液状塗工液の一般的な塗工方法を用いることが出来る。塗工回数は通常1回が好ましいが、乾燥と塗工を複数回繰り返してもよい。
また基材と塗工面の間には、高屈折率層および中屈折率層などを単層あるいは複数層有していてもよい。
これらの高屈折率層、中屈折率層は、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法などを用いて形成することが出来る。
実施例1(塗工液1の作製)
フッ化カリウム0.12molを水40mlに溶かし、界面活性剤としてEMALEXHC−30(日本エマルジョン株式会社製、HLB値11)を0.16g添加したn−ヘキサン溶液10mlを加えた。この混合溶液を超音波分散機にて処理することによってO/W型エマルジョンを得た。このエマルジョンに、n−ヘキサン40mlに界面活性剤とするEMALEX SS−5051(日本エマルジョン株式会社製 HLB値6)1.0gを混合した溶液を添加した。この混合液を超音波分散機にて処理することによりO/W/O型エマルジョンを作製した。
硝酸マグネシウム0.6molを水400mlに溶かし、界面活性剤としてEMALEX HC−30(日本エマルジョン株式会社製、HLB値11)を1.6g添加したn−ヘキサン溶液100mlを加えた。この混合溶液を圧力式ホモジナイザーにて処理することによってO/W型エマルジョンを得た。このエマルジョンに、n−ヘキサン400mlに界面活性剤とするEMALEX SS−5051(日本エマルジョン株式会社製 HLB値6)10.0gを混合した溶液を添加した。この混合液を超音波分散機にて処理することによりO/W/O型エマルジョンを作製した。
実施例2において、シラザン溶液としてアクアミカNP−110(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製 シラザン成分20%品)61.5gを添加し塗工液3とした。この時、バインダー成分とカプセル成分の体積比は、バインダー成分(固形分):カプセル成分=1:10であった。
硝酸マグネシウム0.6molを水400mlに溶かした。n−ヘキサン100mlに界面活性剤としてEMALEX HC−30(日本エマルジョン株式会社製、HLB値11)を1.6gおよびシラザンの触媒となるn−オクチルアミン2.0gを添加した溶液を硝酸マグネシウムの水溶液に添加した。この混合溶液を圧力式ホモジナイザーにて処理することによってO/W型エマルジョンを得た。このエマルジョンに、n−ヘキサン400mlに界面活性剤とするEMALEX SS−5051(日本エマルジョン株式会社製 HLB値6)10g混合した溶液を添加する。この混合液を超音波分散機にて処理することによりO/W/O型エマルジョンを作製した。
塗工液1を100um厚みのトリアセチルセルロースフイルムに塗工し、130℃で30分乾燥させた。膜厚は8μmであった。
塗工液2を清浄化されたシリケートガラス板にスピンコーターによって塗工した。さらに300℃で1時間加熱し、シリケートガラス板上に密着した。膜厚は100nmであった。
塗工液3を清浄化されたシリケートガラス板にスピンコーターによって塗工した。さらに300℃で1時間加熱し、シリケートガラス板上に密着した。膜厚は100nmであった。
フッ化カリウム0.12molを水40mlに溶かし、界面活性剤としてEMALEX SP−010V(日本エマルジョン株式会社製、HLB値11)を0.16g添加したn−ヘキサン溶液10mlを加えた。この混合溶液を超音波分散機にて処理することによってO/W型エマルジョンを得た。このエマルジョンに、n−ヘキサン10mlに界面活性剤とするEMALEX SS−5051(日本エマルジョン株式会社製 HLB値6)1.0gを混合した溶液を添加した。この混合液を超音波分散機にて処理することによりO/W/O型エマルジョンを作製した。
メタノール100gに酢酸マグネシウム4水和物7.0gを溶かした。この溶液に50%フッ酸水溶液2.6g(フッ酸成分としてmol)をメタノール100gに溶かした溶液を20分かけて添加しフッ化マグネシウムを生成した。さらにこの溶液をオートクレーブに入れて180℃で24時間処理したところ平均粒径が30nmのフッ化マグネシウムの粒子を得た。さらに濃縮し10%程度のフッ化マグネシウム分散液とした。
比較例1で作製した分散液を、清浄化されたシリケートガラス板にスピンコーターによって塗工した。さらに100℃で1時間加熱した。その後、バインダーとして、シラザン溶液アクアミカNP−110(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製 シラザン成分20%品)を用いて、バインダー成分とフッ化マグネシウム粒子成分の体積比が、バインダー成分:フッ化マグネシウム粒子成分=1:10となるよう塗工した。そして、300℃で1時間加熱しシリケートガラス板上に密着した。
比較例1で作製した分散液を、清浄化されたシリケートガラス板にスピンコーターによって塗工した。100℃で1時間加熱し、シリケート硝子板上に密着した。膜厚は100nmであった。
実施例6、実施例7、比較例1、比較例2および比較例3で作製した光学用膜を、オリンパス株式会社製、レンズ反射率測定機(USPM−RU)を用いて波長400nmから700nmの反射率を測定し、波長550nmの反射率より屈折率を求めた。
光学膜面にスチールウールに200g/cm2の荷重をかけ、20回往復させた後、同様に屈折率の測定を行った。
厚さ1mmのガラス板の裏表の両面に、表面の平滑な偏光板をクロスニコル状態で貼り合せて作製したものの片面に、実施例5で作製したフィルムの塗工液が塗工されていない面を貼り合せて、測定用のサンプル片を作製した。
2 水溶液相
3 有機溶剤相
4 カプセル
5 シェル
6 コア
Claims (5)
- バインダーとなる成分を含有する溶液に、第2族元素のハロゲン化合物のシェルと、前記バインダーとなる成分を硬化させる成分を含むコアとから形成されるカプセルが分散する塗布液を用意する工程と、
前記塗布液を基材上に塗布する工程と、前記基材上に塗布した前記カプセルと、前記バインダーとなる成分とを加熱し、前記カプセルから前記バインダーとなる成分を硬化させる成分を蒸発させて前記バインダーとなる成分を硬化させ、前記第2族元素のハロゲン化合物のシェルからなる中空粒子を含む光学用膜を形成する工程と、を有することを特徴とする光学用膜の製造方法。 - 前記塗布液を用意する工程は、第2族元素を含む化合物を含む水溶液、またはハロゲンを含む化合物を含む水溶液のうちどちらか一方と、前記バインダーとなる成分を硬化させる成分を含む溶液とを混合してエマルジョンとした第一の溶液を作成する工程と、
前記第一の溶液に油性有機溶剤を加えてエマルジョンとした第二の溶液を作成する工程と、
前記第二の溶液に前記第2族元素を含む化合物を含む水溶液、または前記ハロゲンを含む化合物を含む水溶液のうち、前記第一の溶液を作成する工程で用いた水溶液とは異なる方の水溶液を加え、前記第2族元素のハロゲン化合物のシェルと前記バインダーとなる成分を硬化させる成分を含むコアとから形成されるカプセルを含有する第三の溶液を作成する工程と、
前記第三の溶液にバインダーとなる成分を含む溶液を加える工程とを有することを特徴とする請求項1記載の光学用膜の製造方法。 - 前記第2族元素のハロゲン化合物は、フッ化マグネシウムであることを特徴とする請求項1または2記載の光学用膜の製造方法。
- 前記バインダーとなる成分はシラザンを含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の光学用膜の製造方法。
- 前記光学用膜は、屈折率の値が1.10以上1.28以下であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項記載の光学用膜の製造方法。
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