以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<A:構成>
図1は、本発明の一実施形態のイヤホン1Aの外観および使用態様を示す図である。
イヤホン1Aはカナル型イヤホンであり、図1に示すように、従来のカナル型イヤホン(図9参照)と同様にイヤーピースEPを使用者の外耳道84に押し込むようにして当該使用者の左右の耳に装着される。図1には、使用者の左右の耳のうちの一方に対する装着態様が示されている。図1に示すように、イヤホン1Aは、本体部10と、この本体部10の先端に装着されるイヤーピースEPとが含まれており、本体部10にはケーブルを介して楽音再生装置(図示略)から左右の何れか一方のチャネルのオーディオ信号が供給される。イヤーピースEPは、エラストマやシリコンゴムなどの弾性体で形成されている。イヤーピースEPは、使用者の外耳道84に押し込まれる過程において当該外耳道84の形状に合わせて変形し当該外耳道84の壁面に密着する。
図2(A)および図2(B)は、図1のXX´線におけるイヤホン1Aの断面を示す断面図である。図2(A)および図2(B)に示すように、本体部10内部は、大きく2つの空間に区画されている。これら2つの空間のうちの一方(以下、第1の空間)には、フロントキャビティ110およびバックキャビティ120を前後に設けた状態でスピーカSPが収納される。図2(A)および図2(B)に示すように、本体部10の先端部には、上記第1の空間を使用者の外耳道に連通させる開口部130(第1の開口部)が設けられている。上記第1の空間のうちフロントキャビティ110から開口部130に至る部分と開口部130はスピーカSPの音振動をイヤホン1Aの使用者の外耳道へと案内する音道86の役割を果たす。本体部10において上記第1の空間と他方の空間(以下、第2の空間)とを仕切る部材には両空間を連通させる開口部170(第2の開口部)が開口部130の近傍に設けられている。さらに、本体部10の筐体には、上記第2の空間を外部の空間に連通させる開口部160(第3の開口部)が設けられている。この第2の空間には、開口部160に対して開閉自在に設けられた蓋部20と、この蓋部20の開閉を行うラッチ型ソレノイド310とが収納される。
図2(A)は、蓋部20を閉じて開口部160を塞いだ状態のイヤホン1Aの断面を示す図であり、図2(B)は、蓋部20によって開口部160が塞がれていない状態(以下、「開口部160が開いた状態」と呼ぶ)のイヤホン1Aの断面を示す図である。本実施形態では、ラッチ型ソレノイド310によって蓋部20を図2(A)における矢印MA方向、または図2(B)における矢印MB方向にスライドさせることで開口部160の開閉が行われる。
例えば、図2(A)に示すように、開口部160が蓋部20によって塞がれている状態においては、蓋部20を同図2(A)の矢印MA方向にスライドさせることによって、開口部160が開いた状態へと遷移せることができる。逆に、図2(B)に示すように、開口部160が開いた状態においては、蓋部20を同図2(B)の矢印MB方向にスライドさせることによって、開口部160を蓋部20によって閉じた状態へと遷移せることができる。本実施形態では、開口部160が閉じた状態では、図2(A)に示すように、蓋部20によって開口部170も塞がれ、開口部160が開いた状態では、図2(B)に示すように、開口部170も開放される。このため、図2(B)に示すように、開口部160が開いた状態では、上記第1の空間(すなわち、フロントキャビティ110および開口部130とともに音道86の役割を果たす空間)は開口部170および160を介して外部の空間に連通する。イヤホン1Aが使用者の耳に装着された状態(すなわち、イヤーピースEPが使用者の外耳道84に押し込まれた状態)において開口部160を開いた状態にすると、イヤホン1Aの使用者の鼓膜、同外耳道、イヤーピースEP、音道86およびフロントキャビティ110により区画される空間は、開口部130、開口部170および開口部160を介して外部の空間と連通する。このように、開口部160を開いた状態では使用者の外耳道は開口部130、170および160を介して外部の空間と連通するため、当該使用者は周囲の音を聴き取ることができる。逆に、開口部160が閉じた状態としておけば、イヤホン1Aの使用者の鼓膜、同外耳道、イヤーピースEP、音道86およびフロントキャビティ110により区画される空間は外部の空間から遮断され、当該使用者は周囲の音を聴き取ることはできない。つまり、本実施形態では、蓋部20の開閉によって、周囲の音を聴き取れる状態と、周囲の音から遮断された状態とが切り換えられるのである。
図3は、ラッチ型ソレノイド310の構成および動作を模式的に示した図である。
図3に示すように、ラッチ型ソレノイド310の構成および機能は一般的なラッチ型ソレノイドと何ら変るところはない。具体的には、ラッチ型ソレノイド310は、図3に示すように、プランジャ310a、付勢部材310b、励磁コイル310c、固定鉄芯310d、および永久磁石310eを含んでいる。
励磁コイル310cはコントローラ320による制御の下で通電し、固定鉄芯310dとともに電磁石として機能する。固定鉄芯310dは軸方向の長さが励磁コイル310cよりも短く、励磁コイル310cの一端から永久磁石310eの厚みの分だけ突出するように励磁コイル310cに挿入されている。永久磁石310eは、励磁コイル310cの外径と略同一の外径を有し、かつ励磁コイル310cの内径と略同一の内径を有するドーナッツ型永久磁石である。本実施形態では、永久磁石310eの2つのドーナッツ状の面のうち一方がN極、他方がS極となっている。この永久磁石310eは、図3に示すように、一方のドーナッツ面(本実施形態では、N極側の面)が励磁コイル310cに接するように固定鉄芯310dにはめ込まれている。
このような構成としたため、図3に示すラッチ型ソレノイド310においては、例えば図3(A)に示す向きの電流を励磁コイル310cに通電させることによって永久磁石310eの磁場と同じ方向の磁場を上記電磁石に発生させ、逆向きの電流(図3(B)参照)を励磁コイル310cに通電させることによって、永久磁石310eの磁場を相殺する方向の磁場を上記電磁石に発生させることができる。本実施形態では、永久磁石310eとして一方のドーナッツ面がN極、他方のドーナッツ面がS極となっているドーナッツ型永久磁石を用いたが、例えば外周面が一方の磁極になっており、内周面が他方の磁極となっているドーナッツ型永久磁石を永久磁石310eとして用いても良い。このような構成のドーナッツ型永久磁石であっても、励磁コイル310cに通電させる電流の方向によって、当該永久磁石の磁場と同じ方向、或いは相殺する方向の磁場を励磁コイル310cに発生させることができるからである。
付勢部材310bは、励磁コイル310cの内径よりもやや大きな内径を有する弦巻ばねである。プランジャ310aは、励磁コイル310cの内径よりもやや小さい直径を有する円筒状のプランジャ軸と、励磁コイル310cの内径よりもやや大きい直径を有する扁平な円筒状の頭部と、により構成されている。このプランジャ310aは例えば鉄などの強磁性材料により形成されている。プランジャ310aの頭部は蓋部20に連接されており、同プランジャ軸は付勢部材310bを介して励磁コイル310cに挿入されている。図3に示すように、付勢部材310bはプランジャ310aの頭部と励磁コイル310cに挟まれている。
プランジャ310aは強磁性材料で形成されているため、永久磁石310eにより形成される磁場と同じ方向の磁場を励磁コイル310cに発生させると、プランジャ310aは、永久磁石310eおよび上記電磁石による磁力によって吸引されて付勢部材310bを押し縮め、固定鉄芯310dに吸着する(図3(A)参照)。したがって、蓋部20が閉じた状態から開いた状態に遷移させる際には、永久磁石310eにより形成される磁場と同じ方向の磁場を励磁コイル310cに発生させる電流を励磁コイル310cに通電させれば良い。本実施形態では、永久磁石310eによる磁力のほうが付勢部材310bによる付勢力を上回るように構成されている。このため、プランジャ310aが固定鉄芯310dに吸着した状態で励磁コイル310cに流れる電流をオフにしても、プランジャ310aは固定鉄芯310dに吸着されたままの状態となる。
これに対して、プランジャ310aが固定鉄芯310dに吸着した状態において、永久磁石310eにより形成される磁場を相殺する方向の磁場を励磁コイル310cに発生させると、付勢部材310bが自然長となるまで伸張し、その付勢力によってプランジャ310aを復位させる(図3(B)参照)。したがって、蓋部20が開いた状態から閉じた状態に遷移させる際には、永久磁石310eにより形成される磁場を相殺する方向の磁場を励磁コイル310cに発生させる電流を励磁コイル310cに通電させれば良い。そして、付勢部材310bが自然長まで伸びきった後は、励磁コイル310cに流れる電流をオフにしてもこの状態が維持されるのである。つまり、本実施形態のイヤホン1Aにおいては、蓋部20を開けるとき、または同蓋部20を閉じるときのみ励磁コイル310cを通電させればよく、電力の消費を伴わずに蓋部20を開いた状態、または同蓋部20を閉じた状態を維持することができるのである。
図4は、ラッチ型ソレノイド310の通電制御を行うコントローラ320の構成例を示す図である。このコントローラ320は、例えばボリュームコントローラなどとともに、楽音再生装置と本体部10とを接続するケーブル上に設けられる。図4に示すように、コントローラ320は、CPU(Central Processing Unit)3210、インタフェース部3220、操作部3230、記憶部3240、計測部3250、およびこれら構成要素間のデータ授受を仲介するバス3260を含んでいる。インタフェース部3220にはラッチ型ソレノイド310が接続される。操作部3230は、各種ボタンなどの操作子を備えており、それら操作子に対して為された操作内容を示すデータをCPU3210に与える。これにより、イヤホン1Aの使用者が操作部3230に対して行った操作の内容がCPU3210に伝達される。
計測部3250は、イヤホン1Aの使用者の運動に伴って変化する物理量を計測し、当該物理量を示す信号(すなわち、イヤホン1Aの使用者の運動状態(当該使用者が静止しているのか、それとも何らかの速度で移動しているのか等)を示す信号、以下、運動状態信号)を出力する。本実施形態では、計測部3250として加速度センサが用いられている。つまり、本実施形態では、イヤホン1Aの使用者の運動に伴って変化する物理量として加速度が用いられるのである。例えば、イヤホン1Aの使用者が当該イヤホン1Aを装着して歩行を開始すると、計測部3250の出力信号は当該歩行における一歩に応じた周期で変動する波形を示す。このため、計測部3250が出力する運動状態信号に波形解析を施し、当該運動状態信号にどのような波形が表れているのかを解析することで、イヤホン1Aの使用者の運動状態(歩行しているのか、静止しているのかなど)を判定することができる。この判定結果に基づいて本実施形態では蓋部20の開閉制御が行われるのである。
記憶部3240は、図4に示すように、不揮発性記憶部3242と揮発性記憶部3244とを含んでいる。不揮発性記憶部3242は、ROMなどのデータの書き換えができない不揮発性メモリとEEPROMなどのデータの書き換えが可能な不揮発性メモリとを含んでいる。不揮発性記憶部3242には、開閉制御プログラム3242aと、開閉設定テーブル3242bとが格納されている。より詳細に説明すると、開閉制御プログラム3242aはROMなどのデータの書き換えができない不揮発性メモリに格納されており、開閉設定テーブル3242bはEEPROMなどのデータの書き換えが可能な不揮発性メモリに格納されている。
揮発性記憶部3244は、例えばRAMにより構成されており、開閉制御プログラム3242aを実行する際のワークエリアとしてCPU3210によって利用される。また、この揮発性記憶部3244には、開閉制御プログラム3242aの実行過程で参照されるデータとして状態フラグが格納される。状態フラグは0または1の何れかの値を有するデータである。本実施形態では、状態フラグの値が0であれば蓋部20が閉じた状態であることを示し、同フラグの値が1であれば蓋部20が開いた状態であることを示す。詳細については後述するが本実施形態では、開閉制御プログラム3242aにしたがって蓋部20を開閉する処理がCPU3210によって実行され、蓋部20の開閉に同期させて上記状態フラグの値がCPU3210によって書き換えられる。
不揮発性記憶部3242に格納されている開閉制御プログラム3242aは、図4に示すように、開閉制御処理と開閉設定登録処理とをCPU3210に実行させるためのプログラムである。開閉制御処理とは、計測部3250から出力される運動状態信号を解析し、当該運動状態信号の表す物理量の特性に基づいて当該イヤホン1Aの使用者の運動状態を判定し、その判定結果に応じてラッチ型ソレノイド310の通電制御(すなわち、蓋部20の開閉)を行う処理である。詳細については後述するが、本実施形態の開閉制御処理では、運動状態信号に基づいてイヤホン1Aの使用者が移動している(歩いている場合や走っている場合など)のか否かが判定され、イヤホン1Aの使用者が移動していると判定される場合には蓋部20が開いた状態となるようにラッチ型ソレノイド310の通電制御が行われ、逆に、イヤホン1Aの使用者が移動していないと判定された場合(椅子などに腰掛けている場合や立ち止まっている場合など)には蓋部20が閉じた状態となるようにラッチ型ソレノイド310の通電制御が行われる。なお、イヤホン1Aの使用者が歩いている状態とは、何らかの移動速度で当該使用者が移動しており、かつ何れの瞬間においても左右の脚の少なくとも一方が着地した状態にあることをいう。これに対して、走っている状態とは、何らかの移動速度で当該使用者が移動しており、かつ両方の脚が着地せずに宙に浮いている瞬間がある状態をいう。このように歩いている状態と走っている状態とでは運動中の脚の着地態様が異なるため、この着地態様の相違が運動物理量を示す運動状態信号の波形に現れ、当該波形の特徴を手掛かりに歩いている状態と走っている状態とを区別することができる。また、走っている状態においては、両方の脚が宙に浮く瞬間があり、この瞬間、使用者の身体は自由落下状態になることに着目し、自由落下状態となる瞬間の有無に応じて当該使用者が走っているのか、それとも、歩いているのかを判定する態様も考えられる。
開閉設定登録処理とは、蓋部20を開いた状態とするべき運動状態または蓋20を閉じた状態とするべき運動状態をイヤホン1Aの使用者に登録させる処理である。本実施形態では、イヤホン1Aの使用者の運動状態を示す運動状態識別データに蓋部20の開放または閉鎖を指示する開閉指示子を対応付けて開閉設定テーブル3242bに書き込むことで、運動状態の登録が実現される。本実施形態では、運動状態識別データとして蓋部20を開いた状態(或いは閉じた状態)とするべき運動状態における運動状態信号の波形を示す波形パターンデータが用いられる。また、開閉指示子としては0または1の値を有するデータが用いられ、値が0である開閉指示子は蓋部20を開いた状態とすべきことを、同値が1である開閉指示子は蓋部20を閉じた状態とすべきことを各々意味する。
図5は、開閉設定テーブル3242bのテーブルフォーマットの一例を示す図である。
図5に示すように、開閉設定テーブル3242bには、IDと運動状態識別データと開閉指示子とが互いに対応付けられて格納される。IDとは運動状態の登録順に付与される一連番号である。図5に示すように、本実施形態では、イヤホン1Aの使用者が歩いていることを示す運動状態識別データおよび同使用者が走っていることを示す運動状態識別データには値が0である開閉指示子が対応付けられており、同使用者が静止していることを示す運動状態識別データには値が1である開閉指示子が対応付けられている。つまり、図5に示す例では、蓋部20を開くべき運動状態として、イヤホン1Aの使用者が歩いている状態または走っている状態(すなわち、移動している状態)が登録されており、同蓋部20を閉じるべき運動状態として、イヤホン1Aの使用者が静止している状態(すなわち、移動していない状態)が登録されているのである。
以上がイヤホン1Aの構成である。
<B:動作>
以下、蓋部20を開いた状態とするべき運動状態としてイヤホン1Aの使用者が移動している状態(歩いている状態、または走っている状態)を登録し、かつ同蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態としてイヤホン1Aの使用者が移動していない状態(静止している状態)を登録し、かつその登録内容に従って蓋部20の開閉制御を行う場合を例にとって、開閉制御プログラム3242aにしたがってCPU3210が実行する動作を説明する。
開閉制御プログラム3242aにしたがって作動しているCPU3210は、操作部3230に対する操作により開閉設定登録処理の開始を指示されると当該開閉設定登録処理の実行を開始し、開閉制御処理の開始を指示されると当該開閉制御処理の実行を開始する。
(B−1:開閉設定登録処理における動作)
図6は、開閉設定登録処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように開閉設定登録処理では、CPU3210は、イヤホン1Aの使用者により指示された期間内に計測部3250から出力される運動状態信号にA/D変換を施して得られる波形データ(波形を表すサンプル列)を揮発性記憶部3244に書き込むことで登録対象の運動状態における波形データを記録する(ステップSA100)。次いで、CPU3210は、ステップSA100にて揮発性記憶部3244に書き込んだ波形データからその波形パターンを示す波形パターンデータを生成する(ステップSA110)。
ここで波形パターンデータとしては種々のものを用いることが考えられる。例えば、イヤホン1Aの使用者が歩いている場合や走っている場合には運動状態信号に略同一の波形が略一定の周期で繰り返し現れるため、その一周期分(すなわち、一歩分)の波形を表すサンプル列を波形パターンデータとして用いることが考えられる。また、運動状態信号に略同一の波形が略一定の周期で繰り返し現れる場合には、当該一周期分の波形に含まれる1または複数の変曲点の各々を示すデータ(波形の先頭から当該変曲点までの時間間隔、当該変曲点における運動状態信号の信号値、当該変曲点における運動状態信号の一次微分値或いは高次微分値など)の配列等を用いることが考えられる。なお、上記変曲点の一例としては、ローカルピーク(すなわち、波形が上昇から下降に転じる点)を用いることが考えられる。
ステップSA110に後続するステップSA120では、CPU3210は、操作部3230に対して為された操作に応じて、ステップSA100にて記録した運動状態を蓋部20を開いた状態(或いは閉じた状態)とするべき運動状態として登録する。例えば、蓋部20を開いた状態とするべき運動状態として登録する旨の操作が操作部3230に対して為された場合には、CPU3210は、ステップSA110にて生成した波形パターンデータを運動状態識別データとし、値が0である開閉指示子とその登録順を示すIDを対応付けて開閉設定テーブル3242bに書き込む。逆に、蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態として登録する旨の操作が為された場合には、CPU3210は、同運動状態識別データに値が1である開閉指示子とIDとを対応付けて開閉設定テーブル3242bに書き込む。これにより蓋部20を開いた状態とするべき運動状態(或いは蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態)の登録が完了するのである。
蓋部20を開いた状態とするべき運動状態としてイヤホン1Aの使用者が移動している状態(歩いている状態、或いは走っている状態)を登録する場合には、当該使用者は、実際に移動している状態(歩いている、或いは走っている状態)において開閉設定登録処理の実行指示を操作部3230に対する操作により与え、その後、当該運動状態を蓋部20を開いた状態とするべき運動状態として登録する旨の操作を操作部3230に対して行えば良い。同様に、蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態としてイヤホン1Aの使用者が移動していない状態(静止している状態)を登録する場合には、当該使用者は、実際に移動していない状態(静止している状態)において開閉設定登録処理の実行指示を操作部3230に対する操作により与え、その後、当該運動状態を蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態として登録する旨の操作を操作部3230に対して行えば良い。
以上のようにして蓋部20を開いた状態とするべき運動状態および同蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態の登録が完了すると、イヤホン1Aの使用者は操作部3230に対する操作により開閉制御処理に開始を指示する。これにより、CPU3210は開閉制御処理の実行を開始する。
(B−2:開閉制御処理における動作)
図7は、開閉制御処理の流れを示すフローチャートである。CPU3210は、計測部3250から出力される運動状態信号と開閉設定テーブル3242bの格納内容とを参照し、イヤホン1Aの使用者の運動状態が蓋部20を開くべき運動状態として設定されたものであるのか、同蓋部20を閉じるべき運動状態として設定されたものであるのか、それともそれらの何れでもないのかを判定する(ステップSB100)。
より詳細に説明すると、ステップSB100においてCPU3210は、まず、計測部3250から出力された運動状態信号の波形(略一定の周期で略同一の波形が表れる場合にはその一周期分の波形)と同一のまたは類似する波形を示す運動状態識別データが開閉設定テーブル3242bに格納されているか否かを判定する。なお、波形の同一または類似の判定に関しては既存の周知技術を用いるようにすれば良い。例えば、波形パターンデータとしてサンプル列を用いる場合、当該サンプル列を多次元ベクトル(各サンプルを成分とするベクトル)とみなし、運動状態信号に対応する多次元ベクトルと運動状態識別データに対応する多次元ベクトルとの為す角度の大きさが所定の閾値未満である場合に、両ベクトルの表す波形は類似であると判定し、当該角度が0度である場合に両ベクトルの表す波形は同一であると判定するようにすれば良い。
そして、同一のまたは類似する波形を示す運動状態識別データが開閉設定テーブル3242bに格納されていない場合には、CPU3210は、イヤホン1Aの使用者の運動状態は「蓋部20を開いた状態とするべき運動状態」ではなく、「蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態」でもない状態(以下、「その他の状態」)であると判定する。これに対して、同一のまたは類似する波形を示す運動状態識別データが開閉設定テーブル3242bに格納されていた場合には、CPU3210は当該運動状態識別データに対応付けて開閉設定テーブル3242bに格納されている開閉指示子を取得し、その値が0であれば「蓋部20を開くべき運動状態」であると判定し、その値が1であれば「蓋部20を閉じるべき運動状態」と判定する。
ステップSB100にて蓋部20を開くべき運動状態であると判定された場合には、CPU3210は揮発性記憶部3244に格納されている状態フラグを参照し、蓋部20が閉じているか否かを判定する(ステップSB110)。より詳細に説明すると、CPU3210は状態フラグの値が0であれば蓋部20は閉じていると判定し、逆に、状態フラグの値が1であれば蓋部20は開いていると判定する。そして、CPU3210は、蓋部20が閉じていると判定した場合(すなわち、ステップSB110の判定結果が“Yes”)である場合にのみ、蓋部20が開いた状態となるようにラッチ型ソレノイド310の通電制御を行い(ステップSB120)、状態フラグの値を1(すなわち、蓋部20が開いていることを示す値)に書き換える。つまり、蓋部20を開くべき運動状態であることが検出された時点において蓋部20が閉じていたのであれば、当該運動状態の検出を契機として蓋部20が開かれ、当該運動状態の検出時点において既に蓋部20が開いていたのであれば、特段の処理は実行されない。以降、CPU3210は、ステップSB150の処理を実行する。このステップSB150では、CPU3210は操作部3230に対して開閉制御処理の終了を指示する操作が為されたか否かを判定する。ステップSB150の判定結果が“No”であれば、CPU3210はステップSB100以降の処理を実行し開閉制御処理を継続する一方、ステップSB150の判定結果が“Yes”であれば、開閉制御処理を終了する。
ステップSB100にて蓋部20を閉じるべき運動状態であると判定された場合には、CPU3210は上記状態フラグを参照し、蓋部20が開いているか否か(すなわち、状態フラグの値が1であるか否か)を判定する(ステップSB130)。そして、CPU3210は、蓋部20が開いていると判定した場合(すなわち、ステップSB130の判定結果が“Yes”)である場合にのみ、蓋部20が閉じた状態となるようにラッチ型ソレノイド310の通電制御を行い(ステップSB140)、状態フラグの値を0(すなわち、蓋部20が閉じていることを示す値)に書き換える。つまり、蓋部20を閉じるべき運動状態が検出された時点において蓋部20が開いていたのであれば、当該運動状態の検出を契機として蓋部20が閉じられ、当該運動状態の検出時点において既に蓋部20が閉じた状態であれば、特段の処理は実行されない。以降、CPU3210は、前述したステップSB150の処理を実行する。
そして、ステップSB100にてその他の運動状態であると判定された場合にはCPU3210は、ステップSB150の処理のみを実行する。この場合、蓋部20が閉じた状態であればその状態がそのまま維持され、逆に、蓋部20が開いた状態であればその状態がそのまま維持される。
以上が本実施形態における開閉制御処理の詳細である。
前述したように、本実施形態では、蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態として、イヤホン1Aの使用者が静止している状態(すなわち、イヤホン1Aの使用者が移動していない状態)が登録されている。したがって、イヤホン1Aの使用者が椅子に腰掛けるなどして静止した状態で当該イヤホン1Aを用いて楽音を聴き始めた場合には、ステップSB100において蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態であると判定され、ステップSB130の処理が実行される。このため、イヤホン1Aの使用者が楽音を聴き始めた時点において蓋部20が開いていたのであれば、ステップSB130の判定結果は“Yes”になり、蓋部20は閉じられる。蓋部20が閉じた状態では、イヤホン1Aの使用者の外耳道は外部の空間から遮断されるため、当該イヤホン1Aの使用者は周囲の音に煩わされることなく楽音の聴取を楽しむことができるのである。
また、本実施形態では、蓋部20を開いた状態とするべき運動状態として、イヤホン1Aの使用者が歩いている状態および同使用者が走っている状態(すなわち、イヤホン1Aの使用者が移動している状態)が登録されている。したがって、イヤホン1Aの使用者が当該イヤホン1Aを使用して楽音を聴きながら歩き始めた場合(または走り始めた場合)には、ステップSB100において蓋部20を開いた状態とするべき運動状態であると判定され、ステップSB110の処理が実行される。このため、イヤホン1Aの使用者が歩き始めた(或いは走り始めた)時点において蓋部20が閉じていたのであれば、ステップSB110の判定結果は“Yes”になり、蓋部20が開かれる。蓋部20が開かれた状態では、イヤホン1Aの使用者の外耳道は開口部130、開口部170および開口部160を介して外部の空間と連通するため、当該イヤホン1Aの使用者は周囲の音を聴き取ることができる。このため、イヤホン1Aの使用者は、当該イヤホン1Aを用いて楽音を聴きながら屋外を歩いて(或いは走って)いたとしても、車両の発する走行音や警告音を聴き取ることができ、予期せぬ危険に曝されることはないのである。また、イヤホン1Aの使用者が開口部130および160を介して聴き取る外部の音は、電気的な信号処理を経たものではないため、特段の違和感を感じることもない。
以上説明したように、本実施形態のイヤホン1Aにおいては蓋部20の開閉制御は当該イヤホン1Aの使用者の運動状態に連動して自動的に行われ、当該使用者は蓋部20を開閉するための操作を行う必要はない。つまり、本実施形態によれば、使用者に煩雑な操作を強いることなく、歩行中などの運動状態においては周囲の音を違和感を伴うことなく聴くことが可能なカナル型イヤホンを提供することができるのである。なお、本実施形態では、蓋部20の開閉によって、開口部160が開いている状態では開口部170も開いている状態とし、開口部160が閉じている状態では開口部170も閉じている状態としたが、開口部160と開口部170の何れか一方を蓋部20により開閉し、他方を常時開けておく態様によっても、本実施形態と同一の効果が得られる。
<C:変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、この実施形態に以下に述べる変形を加えても勿論良い。
(1)上述した実施形態では、イヤホン1Aの使用者の運動状態に応じて蓋部20の開閉制御を行った。しかし、蓋部20を開いておくべき運動状態であっても、イヤホン1Aの使用者により蓋部20を閉じる旨の指示が操作部3230を介して与えられた場合には当該指示に応じて蓋部20を閉じる処理をCPU3210に実行させ、その後も蓋部20を閉じた状態を維持するようにしても良い。同様に、蓋部20を閉じておくべき運動状態であっても、イヤホン1Aの使用者により蓋部20を開く旨の指示が操作部3230を介して与えられた場合には当該指示に応じて蓋部20を開く処理をCPU3210に実行させ、その後も蓋部20を開いた状態を維持するようにしても良い。
(2)上述した実施形態では、蓋部20を開いた状態とするべき運動状態(上記実施形態では、イヤホン1Aの使用者が移動している状態)と同蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態(上記実施形態では、イヤホン1Aの使用者が移動していない状態)の両方を開閉設定登録処理にて登録したが、何れか一方の運動状態のみを登録するようにしても良い。例えば、蓋部20を開いた状態とするべき運動状態を示す運動状態識別データのみを開閉設定テーブル3242bに書き込むのである。この場合、開閉制御処理のステップSB100においては、運動状態信号の示す波形と同一のまたは類似する波形を示す運動状態識別データが開閉設定テーブル3242bに格納されていない場合には、イヤホン1Aの使用者の運動状態は「蓋部20を閉じた状態とするべき運動状態」であると判定させるようにすれば良い。
(3)上述した実施形態では、使用者の耳に装着されると当該使用者の外耳道の形状に合わせて変形するように弾性体により形成されたイヤーピースEPがイヤホン1Aの本体部10に予め装着されていた。しかし、イヤホン1AからイヤーピースEPを除いた部分をイヤホンとして流通させても良い。イヤーピース部分は使用に伴って劣化する消耗品であるとともに、使用者の嗜好が強く表れる部分でもあるため、イヤーピースのみ単体で様々な種類のものが市場に流通している。これら一般に流通しているイヤーピースのうちから使用者の嗜好に則したものを選択し、そのイヤーピースを装着することでカナル型イヤホンとして使用することができるようにするためである。このように、イヤホン1AからイヤーピースEPを除いて流通させる態様であっても上記第1実施形態と同一の効果が得られることは言うまでもない。本発明の特徴である開口部160および170は本体110に形成されており、蓋部20および蓋部20を開閉するためのラッチ型ソレノイド310は何れも本体部10に内蔵されており、コントローラ320は例えばボリュームコントローラなどとともにイヤホン1Aと楽音再生装置とを接続するケーブル上に設けられているからである。
(4)上述した実施形態では、イヤホン1Aの使用者の運動に伴って変化する物理量として加速度を用い、当該加速度を計測するための加速度センサを計測部3250として用いた。しかし、上記物理量として移動速度や角速度を上記加速度に換えて用いても良く、また、これら移動速度や角速度を上記加速度とともに用いるようにしても良い。例えば、上記物理量として加速度の他に移動速度を用いる場合には、計測部3250を加速度センサと当該加速度センサの出力信号を所定時間に渡って積分する回路とで構成し、当該回路の出力信号(すなわち、所定時間分の加速度の積分値)を移動速度を表す信号として用いることが考えられる。そして、上記物理量としてイヤホン1Aの使用者の移動速度と加速度とを用いる場合には、当該物理量に基づいて以下のように蓋部20の開閉制御を行うことが考えられる。
ます、加速度の波形からイヤホン1Aの使用者が静止していると判定される場合には、蓋部20を閉じた状態とする処理をCPU3210に実行させる。これに対して、イヤホン1Aの使用者が移動していると判定される場合には、その移動速度が所定の閾値(例えば、人間の平均点な走行速度よりもやや大きい値)以下であれば、蓋部20を開いた状態とする処理をCPU3210に実行させ、その移動速度が当該閾値を超えている場合には、蓋部20を閉じた状態とする処理をCPU3210に実行させるのである。例えば、イヤホン1Aの使用者が車両等に乗って移動している場合にはその移動速度は上記閾値を上回っていることが一般的であり、このような場合には蓋部20は閉じた状態とされる。車両等に乗って移動している場合には背後からの車両の接近等に注意する必要はなく、周囲の音を聴きとる必要がないため、蓋部20を閉じて楽音の聴取に専念できるようにしたものである。なお、本変形例では、加速度センサの出力信号を積分してイヤホン1Aの使用者の移動速度を求め、当該移動速度が所定の閾値を上回っている場合(すなわち、車両などに乗って高速移動している場合)には、蓋部20が閉じた状態となるように蓋部20の開閉制御を行う場合について説明したが、加速度センサの出力信号の波形パターンを解析してイヤホン1Aの使用者が高速移動を行っているか否かを判定しても良い。例えば、イヤホン1Aの使用者が車両に乗って移動している場合には、所定の速度に達するまで急激に加速した後、減速に転じるといった特徴的な波形パターン(すなわち、所定の閾値を超える勾配で波形が立ち上がり、その後下降に転じるといった波形パターン)が加速度センサの出力信号に表れるからである。
(5)上述した実施形態では、蓋部20を開閉するためのアクチュエータとしてラッチ型のもの(ラッチ型ソレノイド)を用いたが、プル型ソレノイド(或いはプッシュ型ソレノイド)などプル型(或いはプッシュ型)のものを用いるようにしても勿論良い。また、ソレノイド以外の電磁式のもの、静電式、圧電式、或いは高分子式など他の方式のアクチュエータを用いても良い。ただし、プル型(或いはプッシュ型)のアクチュエータを用いて蓋部20の開閉制御を行う場合、それらアクチュエータを通電させた状態における蓋部20の位置をその通電前の位置に復位させる機構を別途設ける必要がある。また、プル型(或いはプッシュ型)のアクチュエータを用いて蓋部20の開閉制御からを行う態様では、蓋部20が開いた状態(或いは閉じた状態)を維持するのにそれらアクチュエータを通電させ続ける必要があり、この点においてラッチ型のものを用いた場合に比較して劣る。
(6)上述した実施形態では、開閉制御処理および開閉設定登録処理をソフトウェアにより実現した。しかし、これら各処理を実行する電子回路(開閉制御処理を実行する開閉制御部、および開閉設定登録処理を実行する開閉設定登録部)を組み合わせてイヤホン1Aのコントローラ320を構成しても勿論良い。また、図8に示すように、イヤホン1Aの使用者の運動に伴って変化する物理量を計測する計測部から出力される運動状態信号から運動状態識別データを生成して開閉設定テーブルに書き込む開閉設定登録装置、開閉設定テーブルの格納内容と運動状態信号とからイヤホン1Aの使用者の運動状態が蓋部20の開閉を行うべきものであるか否かを識別する運動状態認識装置、および当該運動状態認識装置による識別結果に応じてラッチ型ソレノイド310を駆動する開閉制御装置の各々を別個の装置で構成し、これら各装置を組み合わせてコントローラ320を構成しても勿論良い。また、上述した実施形態では、CPU3210に開閉制御処理、および開閉設定登録処理を実行させる開閉制御プログラム3242aが不揮発性記憶部3242に予め書き込まれていたが、当該プログラムをCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布しても良く、また、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより配布しても良い。
(7)上述した実施形態では、使用者の指示に応じて運動状態識別データを生成し、当該運動状態識別データを開閉指示子とを対応付けて開閉設定テーブル3242bに書き込む開閉設定登録処理をCPU3210に実行させた。これにより、イヤホン1Aの使用者の歩き方(或いは走り方)の癖を反映した運動状態識別データをコントローラ320に記憶させる(学習させる)ことができる。しかし、例えば、歩行時における人間の平均的な加速度波形を表す運動状態識別データと蓋部20の開放を指示する開閉指示子との組を電気通信回線経由のダウンロードにより(或いは、メモリスティックなどの記録媒体に書き込んで)配布し、このようにして配布される運動状態識別データおよび開閉指示子にしたがって蓋部20の開閉制御をCPU3210に実行させるようにしても良い。このような態様であれば、必ずしも開閉設定登録処理をCPU3210に実行させる必要はなく、開閉設定登録部を設ける必要もない。
(8)上述した実施形態では、イヤホン1Aの使用者の運動に伴って変化する物理量を計測するための計測部をコントローラ320の構成要素としたが、当該計測部をイヤホン1Aの本体部10に配置しても良く、また、計測部のみを本体部10やコントローラ320とは別個に設け当該使用者の腕や腰、脚など上記運動量を計測し易い部分に当該計測部を装着可能なように構成しても良い。
(9)上述した実施形態では、イヤホン1Aの使用者の運動状態に同期させて蓋部20の開閉制御を行ったが、さらに、スピーカSPの再生音量の制御を蓋部20の開閉制御に同期させてコントローラ320に実行させるようにしても良い。具合的には、蓋部20を開いた状態に遷移させるのに同期させてスピーカSPの再生音量を引き下げ、スピーカSPによる再生音によって外部の音の聴き取りが妨げられないようにするのである。また、上述した実施形態のように、蓋部20を開いた状態とするべき運動状態として「イヤホン1Aの使用者が歩いている状態」と「イヤホン1Aの使用者が走っている状態」とを登録する場合には、前者の場合には蓋部20の開放のみを行い、後者の場合には蓋部20の開放とスピーカSPの再生音量の引き下げとを行うようにしても良い。
このようなことは以下のようにして実現される。まず、蓋部20を開くことを指示する開閉指示子として“0”および“2”の2種類を用意し、前者については蓋部20の開放のみを指示する値として用い、後者については蓋部20の開放に加えてスピーカSPの再生音量の引き下げを指示する値として用いる。そして、イヤホン1Aの使用者が歩いていることを示す運動状態識別データには値が“0”の開閉指示子を対応付けて開閉設定テーブル3242bに格納し、イヤホン1Aの使用者が走っていることを示す運動状態識別データには値が“2”の開閉指示子を対応付けて開閉設定テーブル3242bに格納しておくのである。図4のステップSB100にて読み出された開閉指示子の値が0であれば、CPU3210には蓋部20を開いた状態とする処理(図4のステップSB110およびステップSB120の処理)のみを実行させる。これに対して、同開閉指示子が“2”であれば、蓋部20を開いた状態とする処理に加えてスピーカSPの音量制御を行う処理をCPU3210に実行させるのである。