JP5750992B2 - インプリント方法およびそれを実施するためのインプリント装置 - Google Patents

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本発明は、被転写物に所望のパターン(線、模様等の図形)を転写形成するインプリント方法およびそれを実施するためのインプリント装置に関する。
微細加工技術として、インプリント方法に注目が集まっている。このインプリント方法とは、基材の表面に微細な凹凸構造を形成した型部材(モールド)を用い、凹凸構造を被転写物に転写することで微細構造を等倍転写するパターン形成技術である。
上記のインプリント方法として、例えば、光インプリント方法や熱インプリント方法が知られている。光インプリント方法では、例えば、基板表面に被転写物として流動性を有する光硬化性の樹脂層を配設させ、この樹脂層に所望の凹凸構造を有するモールドが押し当てられる。しかる後、この状態でモールド側ないし基板側から樹脂層に光を照射して硬化させ、その後、モールドと樹脂層とを引き離すことにより、モールドが有する凹凸が反転した凹凸構造(凹凸パターン)が被転写物である樹脂層に形成される。
また、熱インプリント方法では、光硬化性樹脂に代えて熱可塑性樹脂または熱硬化樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂を用いる場合には加熱手法を用いて樹脂を軟化し流動可能な状態としてからモールドを押し当て、モールドの凹凸構造に樹脂を充填させた後に冷却し、モールドと樹脂とを引き離す。熱硬化性樹脂の場合にはモールドを押し当て、モールドの凹凸構造に充填した樹脂を硬化させる手段として加熱手法が用いられる。
このようにインプリント方法では、基板表面への被転写物である樹脂材料の供給工程、モールドの凹凸構造への樹脂の充填工程、樹脂層の硬化工程、モールドと樹脂層との剥離工程とが存在する。
これらの工程の中で、モールドと樹脂層との剥離工程においては、転写された樹脂凹凸構造(凹凸パターン)の形態を維持したままモールドと樹脂層をきれいに引き剥がす技術が要求されている。一般的に、引き剥がしの際に、被転写物である樹脂がモールドに付着するという不都合の発生のリスク、およびモールドの破損というリスクは、剥離の際に要する剥離力と相関性を有しており、剥離力が大きくなるほど、付着と破損のリスクは増加するものと考察される。
上述のきれいに引き剥がす技術の要求に対して、モールドの凹凸面にフッ素成分等を含む離型層を形成しておく方法(特許文献1)が提案されている。また、表面積率の急激な変動を抑制するために、ダミーテンプレートパターンを形成し、離型速度の急激な増大を抑えることで、欠陥の発生を抑制する方法(特許文献2)も提案されている。
しかしながら、モールドの凹凸面に離型層を設ける方法は、モールドと樹脂層との接触面積が小さい場合にはきわめて有効であるが、生産性を向上させる等の目的によって接触面積が大きくなった場合には、剥離に要する力が格段と大きくなってしまい、単純に離型層を設けるだけでは、剥離に対する問題解決が十分であるとは言えない。また、当該提案は、被転写物である樹脂の形態に応じて、いかような剥離手法を採択すれば、より小さな剥離力での剥離が可能となって、被転写物である樹脂がモールドに付着するという不都合の発生を回避できる具体的な剥離手法を提示するものでもない。
上記のダミーテンプレートパターンを形成する方法は、本来必要とされないパターンまでが転写されてしまうために、その後の工程で、当該剥離用のパターンが悪影響を及ぼし得ることが有り、好ましい手法とは言い難い。
また、剥離力を、剥離するときに要する応力の最大値と考えると、少なくとも二つの可能性を考えることができる。
まず、第1は、モールドと樹脂層との接触面すべてがほぼ同時に剥離する場合である。このとき剥離の際に加えた応力は、接触面内に対して瞬間的に伝播したと考えることができる。つまり剥離を行なうきっかけとなる応力が、最大の応力と考えることができる。
第2は、全ての接触面がある時間の範囲内、例えば数ミリ秒以上の時間内で徐々に剥離を進行させた結果、剥離を完遂した場合である。このとき剥離は、きっかけを与えることは可能であったものの、最終的に最も付着が強い箇所は、剥離が開始された箇所とは必ずしも一致せず、剥離が完了するまでのいずれかの部分に存在していると考えるのが適切である。よってきっかけを与えることも重要であるが、同時に剥離が完了する箇所を制御することも重要である事を意味している。このような観点から剥離操作を考察するに、従来より、剥離のきっかけを形成するとともに、剥離が完了する箇所を制御することに関する技術の提案はなんらなされていない。
特開2007−326367号公報 特開2010−225683号公報
このような実情の基に本発明は創案されたものであって、その目的は、被転写物である被転写材料層の形態に応じて、より小さな剥離力での剥離が可能となり、被転写物である被転写材料層がモールドに付着するという不都合の発生を回避できる具体的剥離手法を備えるインプリント方法およびそれを実施するためのインプリント装置を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明のインプリント方法は、モールドの凹凸構造領域を有する面とインプリント用の基板との間に、被転写物である被転写材料を介在させて、凹凸構造パターンを有する被転写材料層を形成する被転写材料層形成工程と、前記被転写材料層から前記モールドを引き離す剥離工程と、を有し、前記剥離工程は、引き剥がし操作を有し、当該引き剥がし操作は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に対して引き剥がしの力を加える力点を2つ以上存在させるとともに、少なくとも2つの力点が、当該力点から前記モールドと前記被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なり、かつ、前記接触領域の外側に位置するように設置され、当該少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記剥離工程は、さらに、前記モールドと前記被転写材料層との接触領域を認識して求める接触領域認識操作を有し、当該接触領域認識操作は、前記引き剥がし操作の前に行なわれるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させる引き剥がし操作は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に力点として作用する保持部分を設定することにより行なわれ、当該保持部分は、前記被転写材料層形成工程の前に予め設定されているように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させる引き剥がし操作は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に力点として用する保持部分を設定することにより行なわれ、当該保持部分は前記認識された接触領域に基づいて設定されるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記少なくとも2つの力点から前記モールドと前記被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置する調整手法は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に引き剥がしのための力を作用させる保持部分を調整することにより行なわれる。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記少なくとも2つの力点から前記モールドと前記被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置する調整手法は、前記モールドの凹凸構造領域の位置および前記被転写材料層を、引き剥がしのための力を作用させる保持部分に対して変更させて調整することにより行なわれるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、剥離を完了させるのは接触領域の内側とされる。
本発明のインプリント装置は、モールドを保持するためのモールド保持部と、インプリント用の基板を保持するための基板保持部と、モールドと被転写材料層との接触領域を認識して求める接触領域計測器と、前記接触領域の外側において引き剥がしを作用させる力点である2つ以上の保持部分の位置および保持部分から前記接触領域の最外周までの距離を計測するための保持部計測器と、を有するように構成される。
また、本発明のインプリント装置の好ましい態様として、さらに、被転写材料層からモールドを剥離させる状態を制御するための演算、命令を行なうデータ処理ユニットを備え、前記データ処理ユニットは、前記接触領域の最外周の領域および保持部分の位置を認識する認識部と、前記接触領域の最外周から保持部分までの距離を計算する計算部と、を有するように構成される。
また、本発明のインプリント装置の好ましい態様として、前記モールド保持部または基板保持部は、剥離駆動装置を備え、当該剥離駆動装置は、前記力点に対して引き剥がしの力を加えるように構成される。
また、本発明のインプリント装置の好ましい態様として、前記引き剥がしを作用させる作用点である保持部分の位置を調整するための駆動装置を備えるように構成される。
本発明のインプリント方法は、モールドの凹凸構造領域を有する面とインプリント用の基板との間に、被転写物である被転写材料を介在させて、凹凸構造パターンを有する被転写材料層を形成する被転写材料層形成工程と、被転写材料層からモールドを引き離す剥離工程と、を有し、剥離工程は、引き剥がし操作を有し、引き剥がし操作は、モールドまたはインプリント用の基板に対して引き剥がしの力を加える力点を2つ以上存在させるとともに、少なくとも2つの力点が、力点からモールドと被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置され、少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させるように構成されるので、被転写物である被転写材料層の形態に応じて、より小さな剥離力での剥離が可能となり、被転写物である被転写材料層がモールドに付着するという不都合の発生を回避することができる。
図1(a)〜(c)は、それぞれ、インプリント方法の工程の一実施例を経時的に示した概略断面図である。 図2(d)〜(e)は、それぞれ、図1(c)に続く工程であって、本発明の一実施例であるインプリント方法の工程を経時的に示した概略断面図である。 図3(a)は、引き剥がし操作における引き剥がす力を加える力点P1,P2からモールドと被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置されている状況を示す平面図、図3(b)は、図3(a)におけるα―α断面矢視図であって、力点P1−P2を通る概略断面図である。 図4(a)は、力点となる保持する部分(保持部分)の調整方法の一例を説明するための平面図、図4(b)は、図4(a)に示されるB−B断面矢視図である。 図5(a)は、力点となる保持する部分(保持部分)の調整方法の一例を説明するための平面図、図5(b)は、図5(a)に示されるB−B断面矢視図である。 図4(6)は、力点となる保持する部分(保持部分)の調整方法の一例を説明するための平面図、図6(b)は、図6(a)に示されるB−B断面矢視図である。 図7(a)は、力点となる保持する部分(保持部分)の調整方法の一例を説明するための平面図、図7(b)は、図7(a)に示されるB−B断面矢視図である。 図8は、力点となる保持する部分(保持部分)の調整方法をモールドおよび被転写物側で調整する場合の一例を示す断面図である。 図9は、力点となる保持する部分(保持部分)の調整方法をモールドおよび被転写物側で調整する場合の一例を示す断面図である。 インプリント装置の一例を示す正面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のインプリント方法は、モールドの凹凸構造領域を有する面とインプリント用の基板との間に、被転写物である被転写材料を介在させて、凹凸構造パターンを有する被転写材料層を形成する被転写材料層形成工程と、被転写材料層から前記モールドを引き離す剥離工程と、を有し、構成される。
本発明における被転写材料層を構成する被転写材料としては、例えば上述した光硬化性樹脂のほか、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂があるが、樹脂以外の無機物であっても構わない。例えば石英、ソーダライムガラス、金属イオン含有ガラス等のガラスなどは、加熱することにより流動性を有することが可能な材料である。
さらに無機物と有機物との混合物を用いることも可能である。例えばシルセスキオキサンを主成分とした材料は、含有する材料により熱硬化性材料あるいは光硬化性樹脂とみなすことが出来る。シルセスキオキサンはSi−O−Si骨格を有するため、無機物に分類することができる。また流動性を持たせることが出来、しかも熱により硬化させることが可能であるため、上述した熱硬化性樹脂とほぼ同等の方法で使用することが可能である。一方でオキセタニル基やアクリル基などの光重合性基を有することで、光による硬化性を持つことが可能であり、この場合には光硬化性樹脂として利用することも可能である。
以下、本発明の説明では、被転写材料の好適な一例として樹脂材料を例示して説明するが、これに限定されるものではない。
<インプリント方法>
最初に図1を参照しつつ、インプリント方法について詳細に説明する。
インプリント方法として、例えば、光インプリント方法や熱インプリント方法が知られているが、ここでは光インプリント方法を一例として取り挙げて説明する。
光インプリント方法では、例えば、図1(a)に示されるように、インプリント用の基板7の表面7aに被転写物として光硬化性の樹脂材料5が供給・配設される。樹脂材料5を供給する手段としては、ディスペンサやインクジェット等を挙げることができる。また、図示の例では、樹脂材料5の液滴が複数個示されているが、樹脂材料5の液滴の数、滴下位置は適宜設定することができる。あるいはスピンコート等により、基板7の表面7aに光硬化性の樹脂材料5を一様な膜として形成してもよい。
インプリント用の基板7は、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また基板7は必ずしも平坦である必要はなく、予め所定の構造を有していてもよい。例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。ただし転写の際、それらの構造が転写の阻害とならないよう、モールド1の形状を考慮したり、モールド1が有する凹凸構造とは緩衝しないよう配置するか、または例えばパターン構造体の凹部に材料を充填して平坦化するなど転写方法を考慮することが好ましい。
また、図1(a)に示されるように、インプリント用の基板7に対向するようにモールド1が配置、準備される。モールド1の面1aは、転写すべき構造である凹部2を有する凹凸構造領域A1と、転写すべき凹凸構造が形成されていない非凹凸構造領域A2から構成されている。なお、図面では転写すべき構造が、非凹凸構造領域A2に対して凹状となっているが、転写すべき構造は凸状であってもよいし、凹凸の両方を含んでいてもよい。
モールド1の材質は適宜選択することができるが、樹脂材料5が光硬化性である場合には、樹脂材料5を硬化させるための照射光が透過可能な透明基材を用いて形成され、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラスや、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。ただし、基板7が照射光を透過可能である場合にはモールド1は必ずしも透明基材である必要はなく、例えばニッケル、チタン、アルミニウムなどの金属、シリコンや窒化ガリウム等の半導体などを用いてもよい。モールド1の厚みは凹凸構造の形状、基材の強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。また、モールド1は、凹凸構造領域A1全体が非凹凸構造領域A2に対して凸構造となっている、いわゆるメサ構造としてもよい。メサ構造の段数の数も1段に限らず、複数段としてもよい。
次いで、図1(b)に示されるように、配設された樹脂材料5に所望の凹凸構造を有するモールド1の面1aを接触させ、必要に応じて圧力を加えられる(いわゆるモールドの押し込み工程)。この状態において、樹脂材料5は凹凸構造を有する樹脂層となり、当該樹脂層に対して紫外線照射が行なわれることによって、樹脂材料5が硬化される(いわゆる樹脂硬化工程)。
しかる後、図1(c)に示されるようにモールド側に引き剥がし力F(双方のFは同じ力)が付与される。すなわち、インプリント用の基板7とモールド1との間隙距離を広げるように引き剥がし力を作用させて樹脂層5´からモールド1を引き離す剥離工程が行なわれる。この際、引き剥がしの力を加える力点は2つ以上存在し、図示のごとく少なくとも2つの力点P1,P2は、当該力点P1,P2から被転写材料層である樹脂層5´との接触領域の最外周までの距離L1,L2が互いに異なるように設置される(本実施例ではL2>L1)。そして、これらの2つの力点に引き剥がしのための力が作用させられると、当該力は、モールド1と樹脂層5´とが接触している領域に伝達される。
なお、『力点P1,P2から被転写材料層である樹脂層5´との接触領域の最外周までの距離L1,L2』という文言中の、L1およびL2の正確な定義は以下のとおりである。すなわち、距離L1は力点P1からモールド下面に垂線を引いた点P1´から樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離に相当し、点P1´から半径L1の円弧を描いた場合、樹脂層5´の最外周に接点で接する。同様に、距離L2は力点P2からモールド下面に垂線を引いた点P2´から樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離に相当し、点P2´から半径L2の円弧を描いた場合、樹脂層5´の最外周に接点で接する。
本発明においては、力点P1,P2から被転写材料層である樹脂層5´との接触領域の最外周までの距離L1,L2が互いに異なる(L2>L1)ために、引き剥がしのためのモーメントは、L2側の方が大きくなり、モールド1と樹脂層5´とが接触している領域に伝達される引き剥がし力は、不均一に伝えられる。ここでは、必ずしも垂直方向に大きな引き剥がしの力は求めていない。何故なら垂直方向の力を限り無く大きく与えることは、モールドや基板、樹脂層の破損の原因となるからである。
なお、図2(d)に示されるように、剥離に際して剥離のきっかけをつくるにはモールド1がわずかに傾斜できる構造が要求される。このわずかな傾斜は、モールドあるいは基板の撓み、あるいは、モールドまたは基板を保持する保持部のわずかな遊び(逃がし)部分を形成しておくことにより容易に実現可能となる。例えば、撓みを得るためには、モールドあるいは基板のいずれか、あるいは両方が可撓性を有していれば良い。また樹脂層が応力により撓んでも良い。このときに生じさせる傾斜は、必要に応じて大きくする必要があるが、撓みを持つ材料が大きな弾性を持つ場合、すなわち、加えた撓みによって得られる応力が大きくなる場合には、例えば転写すべき構造の高さを得られる程度であれば良い。
その結果、図2(d)に示されるように、モールド1と樹脂層5´とが接触している領域のうち、まずL2側の最外周から徐々にモールドと樹脂層との剥離が行われる。このようにして剥離に必要な応力を低減させることができ、剥離のきっかけを容易に得ることができる。
L2側からの剥離に次いで、L1側からも剥離が行なわれるため、剥離が完了するのは、モールド1と樹脂層5´との接触領域の中で行なわれ、接触領域の最外周では行なわれないことになり、樹脂層5´の破損を防ぐことができる。この理由は、剥離を完了する際、樹脂層5´のある一点に瞬間的にかかる応力から推察される。周辺に一様に樹脂が存在するような点にて剥離が完了する場合、その点へ垂直方向の応力が加わっても、その点には樹脂層と基板、および周辺の樹脂との結合力という、樹脂の破損を防ぐための応力も加わっている。そのためこれら樹脂の破損を防ぐ応力に勝る力が加わらない限り、樹脂層5´の破損はおきにくい。しかし樹脂が一様に存在しないような点では、周辺の樹脂との結合力は、周辺の樹脂の存在が限られてしまうため、樹脂の破損を防ぐ応力は実質的に低下する。更に樹脂材料5は押し込み工程において、モールド1端部よりはみ出す場合がある。このような状態で硬化した樹脂層5´は、剥離の際にはみ出した部分を介し、樹脂層5´に対して垂直方向の応力を与えてしまうことになる。つまり破損が起き易くなる傾向が生じる。よって剥離は接触領域の外周で完了するよりも、モールド1と樹脂層5´との接触領域の中で完了することが好ましいと考えられる。ただし、剥離が完了する点、あるいは微小面は、転写すべきパターンの構造部分と一致しないように制御することが好ましい。これは応力の集中によるパターンの破損を万一にも防ぐためである。
また、この事から、L1側からかかるモーメント、すなわち力と距離の積F・L1は、少なくとも剥離を行なうのに必要な応力以上の値であることが好ましい。
しかる後、最終的に図2(e)に示されるように、樹脂層5′からモールド1を引き離すことにより、モールド1が有する凹凸構造が反転した凹凸構造が形成された樹脂層5′がインプリント用の基板7に転写される。なお、引き剥がし力Fを同じとするのは、装置構成を簡便にするために、剥離駆動装置を共通化させることを前提として考えているからである。よって必要があれば引き剥がし力を加える駆動装置を別途有していても構わないし、また引き剥がし力は異なっても構わない。このときF1・L1<F2・L2である。F1とF2は、L1側およびL2側にそれぞれかかる力の大きさである。ただし、力を加えられるモールドまたは基板が耐えうる力には限界がある。また、大きな力を作用させることが可能な設備は、一般に微小な力を制御することが困難であるため、剥離開始から終了までの力の制御が困難となるおそれが生じ得る。よって、そのような設備を使用する際には、距離L1およびL2がL1<L2である範囲の中で力を設定する事が好ましい。
なお、必ずしも、機械的な応力を与えた側が撓まなくてもよい。何故ならモールドと被転写物との界面を基準として考えたとき、界面には剥離の作用、反作用の応力が加わっていることがわかるからである。本発明では、剥離の応力をいかにして加えるかを説明しているのだから、この作用、反作用の応力を基準と考えることが重要である。よって作用、反作用の応力がモールドおよび基板に加わり、その結果としてモールドと基板のいずれか、あるいは両方に撓みを生じさせているのだと考える方が適切である。このことから、本発明における力点とは、装置の駆動により直接的に外力が与えられる箇所ではなく、モールドと被転写物との界面を基準としたときに、撓みを生じさせることとなった箇所のことを指すことがわかる。この概念は後に述べる他の実施例においても同様である。
また、図1および図2において力点P1からモールド下面に垂線を下ろした点P1´から樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離至る直線の延長線と、力点P2からモールド下面に垂線を下ろした点P2´から樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離至る直線の延長線とは、同一直線上に設定されている。しかし、そうでない場合、すなわち図3(a),(b)に示されるように、力点P1からモールド下面に垂線を下ろした点P1´から樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離至る直線の延長線を基準としたとき、力点P2からモールド下面に垂線を下ろした点P2´から樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離至る直線の延長線とが成す角を角度θとしたとき、角度θ(θ≠0)で交差する場合、θはできるだけ0°に近づける角度とすることが望ましい。先にも述べたように、剥離が接触領域の内側で完了するように制御することが好ましいからである。
ここで、角度θがとりうる範囲について述べる。剥離は強い応力が与えられるL2側から生じ、次いでL1側に生じる。よって接触領域の形状にも影響されるが、接触領域が最外周において内角が180度以上となる角をもたず、また曲率が負となる曲線をもたないとき、剥離が完了する点は、P1´から樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離至る直線の延長線上の、接触領域内の任意の位置に中心を持つ半径dである円の中に含まれると考えてよい。何故なら、剥離は常に点で完了するわけではなく面で完了する場合もあり、しかも装置の駆動性能やモールド表面の状態変化などの誤差要因により、常に精度よく同一の点や面で完了するとは限らないため、剥離が完了するのはある領域内に収まると考える方が、工業的な実用性を考慮すると有効だからである。
よって、L2側から伝播する応力の方向、つまり点P2´から樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離至る直線の延長線が、この円の中に収まるか、あるいは接することとなるとよい。
このことから、点P1´、点P2´をそれぞれ始点とし、樹脂層5´の外周までの水平方向の最短距離至るふたつの直線の延長線の交点を頂点とし、この頂点から点P1´の方向にある剥離が完了する円の中心までの距離をL1´とし、L1´を斜辺とし角度θを有する直角三角形を考えると、角度θの対辺の長さは剥離が完了する円の半径dであるから、θ≦sin−1(d/L1´)の範囲とされる。
また、力点が3つ以上存在する場合、すなわち、n(nは3以上の整数)個の力点P1〜Pnから被転写材料層との接触領域の最外周までの距離L1〜Ln(Lnのnの数値が大きいほど距離は大きいとする)が互いに異なる場合も同様であって、最後に剥離する箇所が接触領域の内側にあるように設定されることが好ましい。この場合であっても、最も加わる応力が小さい箇所を基準とし、その延長線上に最後に剥離が成される領域である円が存在すると仮定するのが好ましい。ここでは仮にLnの延長上に存在すると仮定する。このときその他の領域、すなわちL1からL(n−1)までの応力を、その延長方向に進むベクトルとして考え、その合力となるベクトルを考える。この合力ベクトルの向きが、先ほど2つの力を考えたときのL2に該当し、LnはL1に該当する。
すなわち、Ln方向の直線およびL1からL(n−1)の合力ベクトル方向の直線がなす角θが、先ほど述べた式θ≦sin−1(d/L1´)というように合力ベクトルとLnからかかる力の交わる点を求め、この点を基準としてn(nは3以上の整数)個のL1からL(n−1)に対応する箇所の力点P1〜Pnを被転写材料層のまわりに配置することが望ましい。
以下、本発明の要部である剥離工程について、さらに詳細に説明する。
<本発明の要部である剥離工程についての説明>
本発明の剥離工程は、モールドまたはインプリント用の基板に対して引き剥がしの力を加える力点を2つ以上存在させるとともに、少なくとも2つの力点が、当該力点からモールドと被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置され、当該少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させる引き剥がし操作を備えている。
(保持する部分(保持部分)の決定方法)
引き剥がす際の保持部分(力点)を決定する手順は、大きく二つに分かれる。
A:予め保持部を決めておく手法
モールドと被転写物とを接触させる前に、保持する箇所を予め決めておく。この方法は、モールドと被転写物との接触する領域が予想できる場合に採用することが可能となる。このような場合、モールドと被転写物との接触領域を計測するための機器を装置の中に組み込まなくてもよい。また、保持部分を適宜変更させる手段も持たなくてもよい。
ただし、予想した接触領域と、実際の接触領域との間に差異があるかどうかを検証し、そのうえで保持する箇所を微調整(変更)する場合には、接触領域を計測するための機器、および保持部分を変更させる手段を設けることが好ましい。このようなケースでは、下記のBで分類される手法が行なわれる。
B:接触領域を確認してから保持部分を決定する手法
モールドと被転写物とを接触させ、接触領域を確認してから保持部分を決定する。適宜、保持部分の変更も行なうことができる。この方法は、モールドと被転写物が接触する領域が予想できない場合に採用することが好ましい。この方法では、接触領域を認識して計測する操作を行なう接触領域計測器、および保持部分を調整する操作を行なう保持部計測器を取り付けることが望ましい。
つまり、引き剥がし操作の前に、モールドと被転写材料層である樹脂層5´との接触領域を認識して求める接触領域認識操作を行なう。モーメントを互いに異ならしめる少なくとも2つの力点を設定するに際し、モールドと被転写材料層との接触領域を認識するためである。なお、力点の設定は、いわゆるモールド等を保持する部分(保持部分)の設定と同義である。
操作の手順としては、モールドと被転写物とを接触させてから、モールドと被転写材料層との接触領域を確認し、力点となる保持部分を決めるようにする。また、保持部分の決定に至るまで、必要に応じて保持部分の設定を変更できるようにする。
このようにして接触領域を認識して保持部分を決定するには、装置として上記したように接触領域計測器、保持部計測器を取り付けることが好ましい。
まず、最初に、モールドと被転写材料層との接触領域を確認する接触領域認識操作について説明する。
〔接触領域認識操作〕
剥離工程において接触領域認識操作を行なうことによって、モールドと被転写材料層である樹脂層との接触領域の形状が認識される。接触領域とは、凹凸構造領域のパターンを含むモールドと樹脂層とが接触している全体の領域である。
接触領域の認識操作の具体例として、例えば、接触している領域を構成している実物をそのまま計測する方法が挙げられる。すなわち、実際にモールドと樹脂層とが接触している領域を、例えば、接触領域計測器にて直接的に確認する。
このとき認識する手段は幾種類か存在するが、好ましい態様として、光学的に計測する方法が挙げられる。この場合、後述する装置の構成の説明とも関連するのであるが、留意点として、光学的に計測する方法による接触領域計測器では、電磁波により認識を行なうために、モールドを電磁波を透過する材料から構成するとともに、そのモールドを保持するモールド保持部(保持部分)や、保持部の駆動装置等が電磁波を遮らないように、測定必要部位に開口を設けるように構成するか、あるいは、これらを電磁波を遮断しない材質で構成するとよい。例えば、電磁波として赤外線を用いる場合には、シリコン等の赤外光に対して透明な材料で構成するとよい。また保持部等を、樹脂層を硬化させるための光が透過可能な材質で作製することで、接触領域認識操作と樹脂層の硬化工程とを同時に実施することで工程数を増やすことなく接触領域を認識することが可能である。仮にモールド、モールドを保持するモールド保持部(保持部分)、駆動装置等が電磁波を遮断する場合には、接触領域計測器は基板側に設けるとよい。
電磁波による、より具体的な接触領域の認識手法としては、下記のA:画像取り込みや、B:光散乱によるエッジ検出が好適な手法として例示される。
A:画像取り込み
例えば、接触領域計測器としてCCDカメラやレンズ等を用いて、実際にモールドと樹脂層とが接触している部分の画像を取り込むようにする。画像分解能はレンズ等の光学部品の性能、およびCCDの画素数に依存するので、目的とする取り込み情報の精度等に応じて適宜選定するようにすればよい。また、コントラストの影響を受けるために、照明手法などにも最適性を得るように設定すればよい。光源およびCCDカメラは、接触領域を認識できるものであれば特に制限はない。光源は、モールドや保持部等の遮蔽物を透過する光を発し、CCDカメラがそれを受光できるものを採用すればよい。
B:スキャン
光散乱を利用して、モールドと樹脂層とが接触している輪郭(外縁)をエッジ検出する方法が挙げられる。
例えば、モールドと樹脂層とが接触している接触領域を含む平面をX−Y座標とした場合に、接触領域計測器としてレーザ光を、例えば、Y軸方向に微細ピッチで徐々にずらしながら複数回、X軸方向にスキャンさせる。勿論、Y軸とX軸を交換してY軸方向にスキャンさせるようにしてもよい。このときの光を検知することで、モールドと樹脂層とが接触している接触部分の輪郭を認識することができる。すなわち、接触部分の輪郭であるエッジに対して、光の散乱や反射状態の変化、透過状態の変化が検出される。光の照射部と受光部はこのような変化が検出できる位置に設置すればよく、特にその設置位置は限定されるものではない。
画像分解能は、スキャンピッチに依存するので、所定の分解能が得られるように、スキャンピッチを適宜選定すればよい。レーザーのスポットサイズも分解能に影響するので、所定の分解能が得られるようにレーザーのスポットサイズを適宜選定すればよい。また、エッジを検出するためには光の散乱、反射状態、あるいは透過状態に明確な差が生じることが好ましく、そのため、屈折率や反射率、透過率の影響を考慮することが望ましい。
上記の各測定方法は、接触領域計測器からモールドと樹脂層に至るまで、計測に用いる電磁波を透過をさせるために、モールド保持部や保持部の駆動装置の必要部位に開口を存在させて、モールドと樹脂層の上部を開口させるようにしたり、あるいは、モールドの保持部、駆動装置等を電磁波を遮断しない材質で構成することを前提とした手法であったが、これらに限定されることなく、以下に例示するような開口等の形成を必要とせずに接触領域の検出を可能とする下記C:音波(衝撃波)による検出手法も採択し得る。
C:音波(衝撃波)による検出
接触領域計測器としての構成要素である衝撃波は物質の不連続面で反射することを利用して、モールドと樹脂層とが接触している接触部分の輪郭を認識することができる。
例えば、図1(b)に示される状態において、モールド1の上面の略全体に亘り、図示していない超音波発生器を密着配置して、モールド1の上面から被転写物である樹脂層の方向(図面の下方)に超音波を発することを想定して頂きたい。この時、超音波が反射されるのは、物質が不連続となる部分である。つまり、モールド1の下面に樹脂層が存在している部位か、あるいは、樹脂層が存在せずに、空気層が存在している部位かによって、反射強度が異なる。この差を検出することで、接触領域の輪郭を求める。なお、音波の損失が無視できるのであれば、必ずしも超音波発生器やそれに付随する検出器は、モールドまたは被転写物と密着させておく必要はない。例えば、水などの流体を介在させて間接的に配置してもよい。また、例えば、モールド保持部に超音波発生器および検出器の機能を備えるようにしてもよい。
D:外部入力による接触領域の認識方法例
接触領域計測器以外による接触領域の認識方法である。例えば、モールドと被転写物が接触する領域が常に一様であると予想できる場合、接触面の形状を予め決めておき当該データを、いわゆる後述する装置構成の一部であるデータ処理ユニットに入力しておく。この場合、必ずしも接触領域計測器は必要とされない。
仮に、接触領域計測器を用いるとするならば、予想通りの状態で正しく接触しているか否かを確認するためのツール、または予め定められた形状とのずれを補正するための形状認識するために用いられる。これらの機能は、後述する装置構成の一部であるデータ処理ユニットの計算部または認識部に設けるとよい。
また、外部入力するデータを、例えばモールド(被転写物)の隅に付与し、これを読み取るユニットを装置に加えるようにしてもよい。より具体的には、例えばモールドの特定位置に次のような情報を設けるようにすることが好ましい。すなわち、(1)パターン領域の位置(パターン領域の中心でも、コーナーの位置でもよい)、(2)パターン領域の縦横寸法または縦横寸法比、および(3)モールド全体の大きさや保持可能な領域の情報を設けるようにすることが好ましい。これら(1)〜(3)の情報は、装置で読み取ることができるようにすることが望ましい。例えば、バーコードをレーザーで読み取るごとくである。
<保持部分の調整方法の説明>
次いで、力点として作用する保持部分の調整方法について述べる。
保持部分の調整方法としては、後述する装置の外部に接続されている外部入力から、保持部分を設定するようにしてもよい。また、装置内で保持部分を設定するようにしてもよい。
装置内で保持部分を調整する場合、少なくとも次の二つが考えられる。
A:モールド(被転写物)の保持位置を任意に変更して保持部分を調整する
例えば、図4(a)に示されるように、保持部分がマトリックス状に吸引穴(四角の升目)として設けられたものである場合、使用したい吸着穴のみを有効として保持部分とする。これによって、接触領域から保持部分(ここでは吸着穴)までの距離を変更することができる。図4(a),(b)に示される例では、P1,P2の2箇所の升目を保持する部分(保持部分)として選定しているが、四角の枠体W全体(斜線で描かれた部分)で吸引保持するようにしてもよい。
なお、連続する吸引穴によって無端状に構成される四角の枠体Wとして保持する場合、枠体Wと樹脂層5′との関係は、樹脂層5′が枠体Wの内部で中心部に配置されているのではなく、偏倚している位置に配置されていることが好ましい。偏倚の度合いが大きければ大きいほど剥離のモーメントの差が大きくなり、剥離のきっかけが作り易くなって好ましいからである。
なお、マトリックス状の吸引穴を準備することが困難である場合には、より簡単な手法として、チャックを複数種類準備しておき、最適なチャックを使用するようにするとよい。また吸引穴と表記したが、これは圧力差、例えば真空吸着を利用する場合である。よって、例えば保持対象とする材料によっては、保持に使用する力は静電引力、磁力なども利用することが可能であり、その際に穴構造である必要は無い。
B:モールド(被転写物)の保持位置を相対的にずらして保持部分を調整する
上記Aのような変更ができない場合、モールドの保持する箇所をずらすようにすればよい。例えば、図5や図6に示されるように、四角の枠体Wの形状からなる保持部分による保持方法であって、保持部には垂直方向の力が一様に加わる場合でも、樹脂層5′との相対位置をずらすことにより接触領域から保持部分までの距離が変更可能となる。すなわち、図5(a),(b)の状態は、樹脂層5′の中心位置と四角の枠体Wの中心位置が一致している場合が示されており、樹脂層5′は、四角の枠体Wに対して偏倚している位置に配置されているものではない。
これに対して、図6(a),(b)の状態は、四角の枠体Wからなる保持部分を図面の右方向にずらしたものであり、樹脂層5′は、四角の枠体Wに対して偏倚している位置に配置される。このようにして、モールドの保持箇所をずらすことでいわゆる偏倚の度合いが大きくなり、剥離操作の際のモーメントの差が大きくなり、剥離のきっかけが容易にできる。
なお図5および図6の状態において、保持部にかかる垂直方向の力が一様ではない場合は、実質的に、モールドの保持位置を任意に変更して保持部分を調整している状態に等しい。なぜならモールド端部にかかる、剥離を促す力であるモーメントは、距離と力の積であり、力が一様ではないということは、モーメントが異なる事を意味するからである。よって、保持位置を変更したことと同様の効果を得た事になる。
また、モールドの保持部分を同じ箇所として、パターン領域の位置をずらすようにしてもよい。結果として、モールドの保持部分を相対的にずらしたことと同じになるからである。より具体的には、装置がモールドを保持する際、その保持する箇所が常に同一であったとしても、接触領域がモールドの保持部分からの距離に対して変更可能であればよい。すなわち、図7(a),(b)に示されるように、モールドの保持部分(四角の枠体W)を同じ箇所として、パターン領域を本来の中心位置(例えば、図5(a)の状態)から図示のごとく図面の左方にずらすようにすればよい。これによって、モールドの保持部分から接触領域に至るまでの距離を適宜変更することができる。
このように接触領域の場所を制御する方法としては、例えば、少なくとも次の二つの態様を例示することができる。その一つとして、図8に示されるようにモールドの形状で制御することが挙げられる。つまり、例えばモールド1の表面に、他の領域に対して突出する領域1´を設け、その領域のみを接触させることで、より確実に接触領域をずらすことが可能である。他の一つの態様として図9に示されるようにモールド1を湾曲させて図示のごとく一部のみを接触させる方法が挙げられる。つまり、例えば、モールドの方が被転写物よりも十分に大きい場合、モールドを押し当てても、被転写物がモールド全体に広がりきらなければ、接する領域は自ずと制御される。この場合は、面積、体積で制御させているとも言える。
さらに、被転写物が、モールドと接触している状態での形状を変化させることで、接触領域の位置を実質的にずらすことも可能である。例えば図5において、転写すべき構造である凹部は、被転写物の中心に存在する。しかし被転写物の全体位置が左側にずれた場合、すなわち転写すべき構造である凹部が被転写物の右端に存在するよう転写された場合には、保持部から被転写物の外周までの距離が異なるため、かかる剥離の応力は異なる。
<保持場所の求め方、保持状態の認識方法についての説明>
次いで、保持する場所の求め方、保持状態の認識方法について説明する。まず、最初に保持する場所の求め方について説明する。
本発明においては、少なくとも2つの力点から、モールドと樹脂層(被転写材料層)との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置される。そのため、本発明では「接触領域からの距離」を把握する操作が行なわれる。保持する場所の求め方としては、次のような手法が挙げられる。
A:座標データを基に保持する場所を求める
例えば、インプリントを実施する際、接触動作がZ軸方向(例えば、上下方向)のみで実施され、それが常にモールド(または被転写物)が存在する水平面であるXY平面の同一座標で再現よく実施される場合、つまり、接触領域の形態が常に同じであると想定できる場合、この座標系に、接触領域のデータを重ね合わせると、接触領域の外周座標が得られる。保持部分をいかように配置するかはこの座標データを基に算出するようにすればよい。つまり、接触領域のデータは常に座標データの同じ場所を占有しており、この占有された接触領域のデータをもとに、同じ座標データを用いて保持部分をいかように設定するかを考えればよい。
B:画像取り込み、スキャン、音波検出、外部入力等を基に保持する場所を求める
基本的な考えは上述した接触領域の認識手法と同じである。異なるのは接触領域の検出部に加え、保持する場所も同様な手法で検出するようにしていることである。保持する場所を求めるに際し、保持する少なくとも2つの場所は、上述したように、接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置される。
次いで、保持状態の認識方法について説明する。保持状態を把握する好ましい方法は、例えば以下のとおりである。
A:真空度によって保持状態を把握する
すなわち、真空吸着を実施する場合、吸着が完全ではない場合、リークが発生し、真空度が上昇しない。これにより保持が確実になされているか否かの確認を行なう。
B:圧力によって保持状態を把握する
例えば圧力センサーを用いて、圧力をモニタリングしながら保持状態を把握する。すなわち、引き剥がしの際に、本来力がかかってしかるべき箇所に圧力が検出されない場合、保持状態が正しくない可能性があると判断される。
なお、圧力センサーは、例えば、モールドや基板に設けるようにしてもよく、または、モールドや基板を保持する保持部に連結されていても良い。また、センサーは突起物であり、突起物がモールドや基板によって押し込まれている状態をもって保持状態であると把握しても良い。
C:抵抗値によって保持状態を把握する
保持対象物の、保持する部分が導電性を有する場合、保持対象に電流を流し、抵抗値を計測することで保持状態を把握することができる。すなわち、抵抗値が想定される値以上である場合、保持状態が正しくない可能性があると判断される。ここでは抵抗値と記載したが、計測する値は電流であっても、電圧であっても構わない。
D:磁気によって保持状態を把握する
保持対象物の保持する部分が磁力により吸着可能である場合、磁気吸着を計測することにより保持状態を把握することができる。例えば、電磁石の場合、交流電流を用いることで、電流の変化を検出することにより、保持の有無を把握することが可能である。また保持対象物が磁性を有する場合、保持部が例えばリードセンサーなど磁気により駆動するセンサーを有していても良い。
〔インプリント装置についての説明〕
次いで、上述してきた本発明のインプリント方法を実施するためのインプリント装置について説明する。
本発明のインプリント装置の好適な一例が図10に示される。
本発明のインプリント装置10は、モールド1を保持する部分である保持部分11、12を介して接続される保持部本体となるモールド保持部15と、モールド保持部15に連接される駆動装置20と、インプリント用の基板7を保持するための基板保持部17と、被転写物である樹脂層5´とモールド1との接触領域を計測するための接触領域計測器30と、モールド1に対して保持部(特に、保持部分11,12)の接触している箇所、または接触領域の外周からモールドを保持している箇所までの距離を計測するための保持部計測器40と、樹脂層5´からモールド1を剥離させる状態を制御するための演算、命令を主として行なうデータ処理ユニット100とを有している。
接触領域計測器30は、前述したごとく、例えば、CCDカメラやレンズ等を備える画像取り込み装置や、光散乱によるエッジ検出方法を可能とする装置や、音波(衝撃波)による検出方法を可能とする装置などから構成される。特に、光学的に計測する方法が簡便で好ましい。しかしながらその場合の留意点として、上述したように光学的に計測する方法による接触領域計測器30では、電磁波により認識を行なうために、モールドを光透過性の材料から構成するとともに、モールド保持部15および駆動装置20の中央部は電磁波を遮らないように、測定必要部位に図10に示されるように開口90を設けるように構成することが望ましい。ただし、例外的に、測定のための電磁波が照射されるエリアを電磁波を遮断しない材質から構成することによって、開口90は必須とはならない。
保持部計測器40は、前述したようにモールドに対して保持部の接触している箇所、または接触領域外周からモールドを保持している箇所までの距離を計測するための機器である。具体的には、例えば、接触領域外周からモールドを保持している箇所までの距離を計測しつつ、前述したように座標データを基に、あるいは画像取り込み、スキャン、音波検出、外部入力等を基に保持する場所が設定され、さらに、必要に応じて保持部分を適宜調整する操作が行なわれる。
データ処理ユニット100は、例えば、以下のような構成部を有して構成される。すなわち、計測器からのデータや、入力装置からの情報を受け取るための入力部101と、接触領域の最外周領域を認識するとともに、モールドに対する保持部(保持部分)の位置を確認するための認識部102と、接触領域の最外周領域から保持部分までの距離を求めるための第1計算部103と、接触領域の最外周領域から保持部の保持部分までの距離が妥当であるかを求めるための第2計算部104と、上記の第1計算部103や第2計算部104における作業等に誤りが無いか検証するための検証部105と、駆動装置20や剥離装置80に対して命令を出したり、外部出力に情報を出すための出力部106と、入力データや得られたデータを蓄積するための内部記憶部107を有している。第1計算部103と第2計算部104は、一つの態様として分けられているだけであって、これらは一緒の計算部として纏めてもよい。
図10に示されるように、モールド1の樹脂層5´が存在する側とは反対側の平面(背面)の周縁に形成されている保持部分11,12、例えば、アクチュエータやバネ等により構成されている。保持部分11,12は、図面では、2つしか記載されていないが、モールド1の背面の周縁の略全体に亘って複数個設けるようにしてもよい。
駆動機構20は、モールドの保持部を移動させるために、接触領域に対して水平方向に駆動するように構成されている。
図10の下方に示されるように、インプリント用の基板7を保持するための基板保持部17は剥離装置80と接合されている。剥離装置80は、剥離動作の力を加えるための装置であって、例えば、アクチュエータやバネ等により構成される。
剥離装置80は、応力制御ユニット60および応力計測器70にそれぞれ連結されている。応力制御ユニット60によって、剥離装置80による剥離力が制御されるようになっており、応力計測器70によって、剥離時に剥離装置80にかかる力が計測されるようになっている。このような応力制御ユニット60および応力計測器70は、データ処理ユニット100に連結され、データ処理、制御、計測等が行なわれる。
また、データ処理ユニット100には、入力装置110、出力装置111、外部記憶装置112等が外部接続されている。入力装置110は、例えば、外部からデータ処理ユニットに対してデータや命令を入力するための装置である。入力装置110を備えることによって、場合によっては、力点は別の装置にて求め、入力装置110からデータ処理ユニット100に与えるようにしてもよい。また、接触領域の情報を入力装置110からデータ処理ユニット100に入力するようにしてもよい。
出力装置111は、例えば、データ処理ユニットからの情報を出力するための装置である。外部記憶装置112は、内部記憶装置と同様に、入力データや得られたデータを蓄積するための外付けの装置である。
なお、図10には好適なインプリント装置の一態様が示されているのであって、これに限定されることなく、種々の変形態様が可能である。例えば、剥離装置80は基板7側(被転写物側)に設けてあるが、モールド1側に設けてもよい。また、両方にあってもよい。
また、保持部15は駆動装置20と一体であっても良い。
また、駆動装置20は、モールド1側に設けてあるが被転写物側に設けてもよいし、両方にあってもよい。また、一般に、保持部分11と保持部分12との関係が不適切であった場合、一度、モールド1の保持を解除し、保持し直せるようにしてあるが、モールドと被転写物との接触領域を予め予測できるのであれば、この目的で駆動装置20を設ける必要はない。
接触領域計測器30は、モールド1側に設けてあるが、基板7側に設けてもよい。ただし、接触領域計測器30は、「モールドと被転写物との接触領域」を計測するための部分であるから、モールド側への設置がより好ましい。
保持部計測器40は、モールド1側に設けてあるが、基板7側に設けてもよい。ただし、保持部計測器40は、「モールド1と被転写物との接触領域」を計測するための部分であるから、モールド1側への設置がより好ましい。本発明のより好ましい実施態様としては、CCDのように実物を認識して位置関係を把握するシステムを想定しているが、保持部に対するモールド、被転写物の位置が特定できるのであれば、機械座標(座標データ)から求めることも可能である。
データ処理ユニット10内の各部は、接触領域の算出と応力算出を兼ねて効率化を図っているが、別個であってもよい。
また、例外的な場合として、例えば、モールドと被転写物が接触する領域が常に一様となることが予測できる場合には、接触面の形状を予め決めておき、データ処理ユニット100に入力しておくようにすることも可能である。この場合には、必ずしも接触領域計測器30は必要とされない。もし、接触領域計測器30を用いるとするならば、正しく接触しているかどうかを確認するためのツール、または予め定められた形状とのずれを補正するために形状を認識するために用いられ得る。これらの機能は、例えば、第1計算部103または認識部102に設けるとよい。
このようにデータ処理ユニット100に対して外部から情報を入力することは、十分に考えうる。つまり図10に示したインプリント装置では、接触領域の計測および保持部分の位置設定ならびに剥離に至るまでの全ての動作を可能なように記載されている。しかしモールドと被転写物が接触する領域が常に一様と予測できる場合に限ると、認識部102、第1計算部103、第2計算部104、検証部105は、必ずしもデータ処理ユニット100の内部に有している必要は無く、装置外部にて保持部分の位置設定の算出等を実施し、入力装置110からデータ処理ユニット100に与えるようにしてもよい。この場合、外部にて保持部分の位置設定を算出した装置も、本発明のインプリント装置の一部とみなすことが出来る。
また、本発明のインプリント装置は、図示していない樹脂材料供給機構を有している。この供給機構は、例えば、図1(a)に示されるようにインプリント用の基板7の上に樹脂材料5を供給するものである。樹脂材料供給機構の一例としてインクジェット装置が挙げられる。また、適宜、樹脂材料を硬化させるための、光硬化手段や熱硬化手段、冷却手段(例えば、熱可塑性樹脂用として設置)が設けられる。
なお上記の装置図面には、モールドと基板を接触させる機構を描いていないが、当該機構は剥離の機構と別個に設けてもよいし、剥離の機構と一体化して設けてもよい。
次に、より具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
図3(a),(b)に示されるような形態に類似する接触領域(樹脂層5´)を作製した。
厚み0.725mmの石英ガラスを用いてモールドを作製した。凹凸構造領域A1の大きさは25mm×35mmの長方形とし、具体的な凹凸構造のパターンは、深さ50nm、ライン幅/スペースが50nm/50nmで100本繰り返し、長さ2mmである。これを凹凸領域構造A1の中心と、中心からXY方向に5mm離して4箇所配置した。またモールド表面には離型剤としてオプツールDSX(ダイキン工業製)を塗布した。
インプリント用の基板として、厚み0.625mmのシリコン基板を準備した。
上記のインプリント用の基板の表面上であって、モールドの凹凸構造のパターンを備える面に略対応し、かつ、図3(a)に示されるような樹脂層の形態ができるように、下記組成の光硬化性の樹脂材料を0.5mmピッチで滴下した。この樹脂材料の滴下はインクジェット装置を用いて行った。
(光硬化性樹脂材料の組成)
・イソボルニルアクリレート … 38重量%
・エチレングリコールジアクリレート … 20重量%
・ブチルアクリレート … 38重量%
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
… 2重量%
・2−ペルフルオロデシルエチルアクリレート … 1重量%
・メチルペルフルオロオクタノレート … 1重量%
上記のように樹脂材料を供給したインプリント用の基板に、凹凸構造のパターンを備えるモールドを接触させた。
この状態で、インプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が365nmの紫外線)をモールド側に100mJ/cm2の条件で照射した。これにより、光硬化性の樹脂材料を硬化させて樹脂層とした(凹凸構造パターンを有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程)。樹脂層は、図3(a)に示されるような、接触領域の形状が長軸およそ18mm、短軸およそ13mmの、楕円状とみなせる形態となった。
次いで、下記の要領で、樹脂層からモールドを引き離す剥離工程を実施した。
CCDカメラを用いて、モールドと樹脂層との接触領域を認識して求める接触領域認識操作を行なった。次いで、CCDカメラを用いてモールドに対して保持部の接触している箇所、または接触領域外周からモールドを保持している箇所までの距離を計測しつつ、2つの力点P1,P2を定めた。
力点P1,P2から被転写材料層との接触領域の最外周までの距離L1,L2は楕円の長軸方向にあり、L2=10mm、L1=2mmとした。点P1から被転写材料層の接触領域に至るまでの直線と、力点P2から被転写材料層の接触領域に至るまでの直線とがなす角度θ=2°とした。このときP1は楕円の長軸方向と一致している。
この力点P1、P2に引き剥がしのための力(上方への同じ力)を付与して引き剥がし操作を行なったところ剥離の開始点における応力を2.2Nと小さくすることができた。ちなみに、L2=L1=10mm、ないし2mmとした場合において(比較例)、引き剥がす力を加えた操作の場合に必要であった応力が、L2=L1=10mmの際には5.1Nであったのに対して、本発明における剥離の開始点における応力は、約1/2までに低減されることが確認された。さらに、L2=L1=10mmでは、剥離完了が接触領域の短軸部分で完了したと思われ、接触領域の外周で、端軸方向に一致する付近に樹脂層の付着が確認された。またL2=L1=2mmとした際には、モールドの破損が確認された。
すなわち、本発明のインプリント方法は、モールドの凹凸構造領域を有する面とインプリント用の基板との間に、被転写物である被転写材料を介在させて、凹凸構造パターンを有する被転写材料層を形成する被転写材料層形成工程と、前記被転写材料層から前記モールドを引き離す剥離工程と、を有し、前記剥離工程は、引き剥がし操作を有し、当該引き剥がし操作は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に対して引き剥がしの力を加える力点を2つ以上存在させるとともに、少なくとも2つの力点が、当該力点から前記モールドと前記被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置され、当該少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させるように構成されているので、被転写物である被転写材料層の形態に応じて、より小さな剥離力での剥離が可能となり、被転写物である樹脂がモールドに付着するという不都合の発生を回避することができる。
特に、本発明においては、引き剥がしの力を加える力点を2つ以上存在させるとともに、少なくとも2つの力点が、当該力点から前記モールドと前記被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置されているので、剥離操作を行うと、モールドと被転写材料層の外周縁の境界部分に局所的な応力を加えることができる。しかも、効率良く応力を加えることが可能となる。接触領域への力の伝播は、主に接触領域の最外周に集中するが、その最外周の一点に力を集中させる事ができ、剥離のきっかけを小さな力で容易かつ確実に得ることができる。剥離が開始された後は、応力がモールドと被転写材料層とが接している接触面を伝播する。
ナノインプリント技術を用いた微細加工に利用可能である。
1…モールド
2…凹部
5…樹脂材料
5´…樹脂層
7…インプリント用の基板
10…インプリント装置
11,12…保持部分
15…モールド保持部
17…基板保持部
20…駆動装置
30…接触領域計測器
40…保持部計測器
100…データ処理ユニット

Claims (11)

  1. モールドの凹凸構造領域を有する面とインプリント用の基板との間に、被転写物である被転写材料を介在させて、凹凸構造パターンを有する被転写材料層を形成する被転写材料層形成工程と、
    前記被転写材料層から前記モールドを引き離す剥離工程と、を有し、
    前記剥離工程は、引き剥がし操作を有し、
    当該引き剥がし操作は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に対して引き剥がしの力を加える力点を2つ以上存在させるとともに、少なくとも2つの力点が、当該力点から前記モールドと前記被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なり、かつ、前記接触領域の外側に位置するように設置され、当該少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させることを特徴とするインプリント方法。
  2. 前記剥離工程は、さらに、前記モールドと前記被転写材料層との接触領域を認識して求める接触領域認識操作を有し、当該接触領域認識操作は、前記引き剥がし操作の前に行なわれる請求項1に記載のインプリント方法。
  3. 前記少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させる引き剥がし操作は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に力点として作用する保持部分を設定することにより行なわれ、当該保持部分は、前記被転写材料層形成工程の前に予め設定されている請求項1に記載のインプリント方法。
  4. 前記少なくとも2つの力点に引き剥がしのための力を作用させる引き剥がし操作は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に力点として用する保持部分を設定することにより行なわれ、当該保持部分は前記認識された接触領域に基づいて設定される請求項2に記載のインプリント方法。
  5. 前記少なくとも2つの力点から前記モールドと前記被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置する調整手法は、前記モールドまたは前記インプリント用の基板に引き剥がしのための力を作用させる保持部分を調整することにより行なわれる請求項4に記載のインプリント方法。
  6. 前記少なくとも2つの力点から前記モールドと前記被転写材料層との接触領域の最外周までの距離が互いに異なるように設置する調整手法は、前記モールドの凹凸構造領域の位置および前記被転写材料層を、引き剥がしのための力を作用させる保持部分に対して変更させて調整することにより行なわれる請求項4に記載のインプリント方法。
  7. 剥離を完了させるのは接触領域の内側とされる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のインプリント方法。
  8. モールドを保持するためのモールド保持部と、
    インプリント用の基板を保持するための基板保持部と、
    モールドと被転写材料層との接触領域を認識して求める接触領域計測器と、
    前記接触領域の外側において引き剥がしを作用させる力点である2つ以上の保持部分の位置および保持部分から前記接触領域の最外周までの距離を計測するための保持部計測器と、を有すること特徴とするインプリント装置。
  9. さらに、被転写材料層からモールドを剥離させる状態を制御するための演算、命令を行なうデータ処理ユニットを備え、
    前記データ処理ユニットは、
    前記接触領域の最外周の領域および保持部分の位置を認識する認識部と、
    前記接触領域の最外周から保持部分までの距離を計算する計算部と、
    を有する請求項8に記載のインプリント装置。
  10. 前記モールド保持部または基板保持部は、剥離駆動装置を備え、
    当該剥離駆動装置は、前記力点に対して引き剥がしの力を加えるように作用する請求項8または請求項9に記載のインプリント装置。
  11. 前記引き剥がしを作用させる作用点である保持部分の位置を調整するための駆動装置を備える請求項8ないし請求項10のいずれかに記載のインプリント装置。
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