JP5747790B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
シート構成部材は、基本構成(フレーム部材,クッション材,表皮材)と、エアバッグと、その関連構成(開裂部,一対の力布,一対のブラケット)を有する。
エアバッグは、エアの流入により膨張する部材(袋状)であり、シート内(クッション材の裏面側)に配設できる。また開裂部は、着座側に形成された表皮材の脆弱部位であり、膨張状態のエアバッグをシート外に膨出できる。
そして一対の力布は、それぞれ帯状(幅狭)の布材であり、エアバッグの上部と下部に配置する。また一対のブラケットは、それぞれ力布を取付け可能な平板部材(略矩形)であり、フレーム部材に個別に固定できる。
そして車両衝突時の衝撃により、エアバッグが開裂部から膨出して乗員を保護する。このときエアバッグの膨出方向を力布で規制して(他の表皮材部分を力布で補強して)開裂部に応力を集中させることにより、エアバッグを開裂部から膨出させることができる。
このとき力布の一側をブラケットに取付けるとともに、他の表皮材部分に力布の他側を取付ける。つぎに袋状の表皮材を一旦裏返したのち、徐々に表側に返しつつシートバックに被覆する。この被覆作業の途中で、力布に取付けたブラケットを、フレーム部材(被取付け部)に固定する。
もっとも一対のブラケットを、金属製の棒部材等にて連結する(一体化する)などしてシートの部品点数を削減することもできる。しかしそうするとクッション材の被覆時に、ブラケット(比較的大型)が邪魔になるなどして、力布の取付け作業が面倒となる(作業性が悪化する)。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートの部品点数を極力削減しつつ、力布を作業性良く取付け可能とすることにある。
本発明では、クッション材の裏面側にエアバッグを配設したのち、力布を、開裂部を除くエアバッグ周りに配置する。そして力布に設けた一対の取付け部を、ブラケットを介してフレーム部材の一対の被取付け部にそれぞれ固定することにより(力布にて膨出方向を規制することにより)、車両衝突時等の衝撃により、エアバッグを開裂部から膨出させる。この種のシート構成では、シートの部品点数を極力削減しつつ、作業性良く力布を取付けられることが望ましい。
本発明では、連結部位により第一部位と第二部位を連結して、ブラケットを一体構造とする(シートの部品点数を削減する)。そして連結部位が、第一部位と第二部位が近接又は離間する方向に変形する(例えばブラケット寸法を延長又は短縮可能である)ため、力布の取付け作業を比較的スムーズに行うことができる。
本発明では、フレーム部材の構成(一対の被取付け部の離間寸法等)に応じて、連結部位を適宜伸縮させつつ、一対の取付け部をフレーム部材に固定することができる(ブラケットの取付け作業性に優れる構成である)。
そこで本発明では、連結部位が、第一部位と第二部位の少なくとも一方に縫製にて取付け可能であることから、上述の力布の縫製作業とともに、連結部位の取付け作業を行うことができる(作業性に優れる構成である)。
図1の車両用シート2は、シートクッション4と、シートバック6を有する。これらシート構成部材は、各々、シート骨格をなすフレーム部材(4F,6F)と、シート外形をなすクッション材(4P,6P)と、クッション材に被覆の表皮材(4S,6S)を有する。
そしてシートバック6は、基本構成(6F,6P,6S)と、エアバッグ10と、関連構成(開裂部CP、力布21,22、ブラケット30)を有する(図1及び図4を参照、各部材の詳細は後述)。
本実施例では、車両衝突時の衝撃により、エアバッグ10を、シートバック6側部(開裂部CP)からシート外に膨出させて乗員M側部を保護する。
このとき一対の力布21,22を、エアバッグ10周りに配置しつつ、ブラケット30を介してフレーム部材6Fに取付ける。そして一対の力布21,22で、開裂部CP以外の表皮材部分を補強する(エアバッグ10の膨出方向を規制する)ことにより、エアバッグ10を開裂部CPからシート外に確実に膨出させることができる。この種の構成では、シートの部品点数を極力削減しつつ、一対の力布21,22を作業性良く取付けられることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成によって、シートの部品点数を極力削減しつつ、力布21,22を作業性良く取付けることとした。以下、各構成について詳述する。
本実施例のシートバック6では、クッション材6Pを、フレーム部材6F上に配置しつつ表皮材6Sで被覆する。
ここでフレーム部材6Fは、アーチ状の枠部材(図示省略)であり、平板状の側部フレーム16を有する(図1及び図2を参照)。
側部フレーム16は、第一被取付け部6aと、第二被取付け部6bを有する。第一被取付け部6aは、ボルト部材Bを挿設可能な取付け孔であり、側部フレーム16の途中に形成できる。また第二被取付け部6bは、ボルト部材Bを挿設可能な取付け孔であり、側部フレーム16の下部(第一被取付け部6aの下方)に形成できる。
またクッション材6Pは、シート外形をなす略長方形状の部材であり、ポリウレタンフォームなどの弾性力を有する樹脂にて形成できる。なおエアバッグ10の前方は、クッション材6Pに非被覆状態であるか又は比較的薄手のクッション材6Pにて被覆されることが好ましい。例えば本実施例では、開裂部CPに対面配置するクッション材6P(裏面側)に、切れ目6X(薄手部分)を形成しつつエアバッグ10に対面配置させる。
開裂部CPは、シート側部に設けた表皮材6Sの脆弱部位であり、エアバッグ10の膨張によって開裂(開口)できる(図4を参照)。
本実施例では、(シート起立状態で)上下に伸びる溝状の開裂部CPを形成する。例えば着座面の隣り合う表皮ピース(S1、S2)同士を、内返し状(中表状)に縫合することで、開裂部CP(脆弱な縫合部)を形成できる。開裂部CPは、エアバッグ10の膨出方向に対応して、シートバック6の側部着座側に形成できる。
エアバッグ10は、略立方体状の部材(未膨張状態)であり、未膨張状態の全長が10mm〜100mm程度(比較的長尺)である(図1及び図4を参照)。
エアバッグ10は、車両衝突時の衝撃を受けてシート外に膨出(膨張して突出)することにより、乗員M胸部から乗員M腰部にかけての身体範囲(広範な身体範囲)を保護できる。なおエアバッグ10は、エア供給装置(図示省略)に連通する構成でもよく、ガス発生剤を封入する構成でもよい。
本実施例では、未膨張状態のエアバッグ10を、シートバック6の側部内部に配置しつつ、ボルト部材(符号省略)を介して側部フレーム16に取付ける。
一対の力布(第一力布21,第二力布22)はそれぞれ帯状の部材であり、布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)にて形成できる(図1、図2、図4を参照)。
第一力布21の一端(第一取付け部21a)と、第二力布22の一端(第二取付け部22a)は、後述のブラケット30に個別に取付け可能である。
本実施例では、一対の力布21,22を、開裂部CPを除くエアバッグ10周りに配置する。このとき一対の力布21,22を、シートバック6のかまち部(表皮材の裏面)に配置して、同部位の表皮ピースS2(開裂部CP以外の表皮材部分)を補強することにより、エアバッグ10の膨出方向を規制する。なお本実施例では、第一力布21と第二力布22により、天板サイド部の表皮ピースS1を補強することもできる。
そして後述の通り、起立状態のシートバック6を基準として、エアバッグ10上部側に第一力布21を配置するとともに、エアバッグ10下部側に第二力布22を配置する。またに表皮材6Sを裏返すことで(表皮材6Sの被覆作業時において)、第一力布21がシート下部側に配置し、第二力布22がシート上部側に配置する(図5を参照)。
ブラケット30は、一対の力布21,22をフレーム部材6Fに取付ける部材であり、第一部位31と、第二部位32と、連結部位34を有する(図1〜図4を参照)。
第一部位31は、略矩形の部位(典型的に金属製又は樹脂製)であり、第一取付け孔部41aと、第一固定孔部41bと、第一連結孔部41cを有する。
第一取付け孔部41aは、第一力布21の断面形状に倣った長孔(貫通孔)であり、第一部位31の一側に形成できる。また第一固定孔部41bは、ボルト部材Bを挿設可能な貫通孔であり、第一部位31の他側に形成できる。そして第一連結孔部41cは、連結部位34(後述)を取付け可能な貫通孔であり、典型的に第二部位32を臨む位置に形成できる。
また第二部位32は、第一部位31と略同一構成の部材であり、第二取付け孔部42aと、第二固定孔部42bと、第二連結孔部42cを有する。第二取付け孔部42aと第二固定孔部42bは、第一部位31の対応する部位と同一構成である。そして第二連結孔部42cは、連結部位34(後述)を取付け可能な貫通孔であり、典型的に第一部位31を臨む位置に形成できる。
連結部位34は、第一部位31と第二部位32を連結する部位であり、両部位が近接又は離間する方向に変形可能である(図1〜図4を参照)。
ここで連結部位34として、伸縮性を有する紐材や帯材(布帛,皮革,ゴム又はエラストマ製)、コイルバネ等のバネ部材、機械的な構成(ヒンジ構造,レール構造等)を例示できる。そして伸縮性を有する紐材や帯材(布帛,皮革,ゴム製)は典型的に縫製にて、第一部位31と第二部位32に取付け可能である(詳細後述)。
そして本実施例では、連結部位34により、第一部位31と第二部位32を連結することで、ブラケット30を一体構造とする(シートの部品点数を削減する)。そして連結部位34が、第一部位31と第二部位32が近接又は離間する方向に変形する(例えばブラケット30寸法が延長又は短縮する)ことで、各力布21,22の取付け作業を比較的スムーズに行うことができる。
図1及び図4を参照して、各力布21,22の一端をブラケット30に縫製にて取付けるとともに、各力布21,22の他端を表皮材6S(開裂部CPの近傍)に縫製にて取付ける。
本実施例では、開裂部CPの開裂を邪魔しないように、表皮ピースS1,S2の縫合箇所(開裂部CPの端部)に第一力布21と第二力布22を縫合する。
このとき第一力布21の他端(第二力布22の他端)を表皮ピースS2に重ねつつ、ともに内返し状(中表状)に共縫することで、第一力布21(第二力布22)の他端を開裂部CP近傍に縫合できる。
また同様に第二力布22の一端(第二取付け部22a)を第二部位32に取付ける。このとき第二取付け部22aを第二取付け孔部42aに挿設したのち折返し状とする。そして第二取付け部22aの折返し端部を、第二力布22の途中に縫着(固定)する。
このとき本実施例では、連結部位34として、伸縮性を有する帯状部材(縫製可能な部材)を使用する。そして連結部位34一側を第一連結孔部41cに挿設したのち折返し状とする。つぎに連結部位34一側の折返し端部を、連結部位34の途中に縫着(固定)することで、第一部位31に連結部位34を連結できる。
また同様に連結部位34他側を第二連結孔部42cに挿設したのち折返し状とする。そして連結部位34他側の折返し端部を、連結部位34の途中に縫着(固定)することで、第二部位32に連結部位34を連結できる。
このように本実施例では、上述の力布21,22の縫製作業と同時に、連結部位34の取付け作業を行うことができる(作業性に優れる構成である)。
図2及び図5を参照して、クッション材6Pを表皮材6Sで被覆しつつ、一対の力布21,22を、ブラケット30を介してフレーム部材6Fに取付ける。
本実施例では、表皮材6Sの被覆途中(半裏返し状態)で、第一部位31を、ボルト部材Bを介してフレーム部材6F(第一被取付け部6a)に取付ける。
このときブラケット30(シート上部側の第二力布22)が邪魔になるなどして、表皮材6Sをスムーズに表に返しにくい場合がある。
そこで本実施例では、第一部位31と第二部位32を、連結部位34にて近接又は離間する方向に変形可能(ブラケット寸法を延長又は短縮可能)とする。こうすることでブラケット30の寸法を適宜変更しつつ表皮材6Sをスムーズに表に返したのち、第二部位32を、第二被取付け部6bに取付けることができる。
このとき本実施例では、第一部位31と第二部位32が連結部位34にて連結される。このため一対の力布21,22にねじれが生じたとしても(クロス状にねじれるなどしても)、ブラケット30とフレーム部材6Fの間にクリアランスCRが生じて(フレーム部材6Fに届かず)取付け不能となる。このため本実施例の構成は、一対の力布21,22がねじれた状態で取付けられる等の不具合が極力生じない構成(ヒューマンエラーの生じにくい構成)である。
そして車両衝突時の衝撃により、エアバッグ10を開裂部CPから膨出させて、乗員M側部を保護する。
本実施例では、比較的大型のエアバッグ10を用いることで、乗員胸部MBから乗員腰部MLにかけての身体範囲(比較的広範な身体範囲)を保護する。そして一対の力布21,22により、エアバッグ10の膨出方向を規制することにより、エアバッグ10を開裂部CPからより確実に膨出させることができる。
このとき本実施例では、連結部位34が、第一部位31と第二部位32が近接又は離間する方向に変形することで、力布21,22の取付け作業を比較的スムーズに行うことができる。
また本実施例では、連結部位34が、第一部位31と第二部位32に縫製にて取付け可能であることから、上述の力布21,22の縫製作業とともに、連結部位34の取付け作業を行うことができる(力布の取付け作業性に優れる構成である)。
このため本実施例によれば、シートの部品点数を極力削減しつつ、一対の力布21,22を作業性良く取付け可能とすることができる。
実施例2の基本構成は、実施例1の基本構成と同一であるため、同一の構成については同一の符号又は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例では、上述の連結部位34が、第一部位31と第二部位32が近接又は離間する方向に伸縮可能である(図2を参照)。この種の連結部位34(材質)として、ゴム(天然ゴム,合成ゴム)やエラストマを例示できる。
ところで上述の構成では、車種(車両寸法の大小)に応じて、車両用シートの構成が異なる場合がある。例えば車種により、一対の被取付け部(6a,6b)の離間寸法が広狭することがある。
このとき本実施例では、一対の被取付け部(6a,6b)の離間寸法等に応じて、連結部位34を適宜伸縮させつつ、ブラケット30をフレーム部材6Fに固定できる(ブラケット30の取付け作業性に優れる構成である)。このため車種の違いなどにより、車両用シートの構成(一対の被取付け部の離間寸法)が異なったとしても、同一構成のブラケット30をそのまま使用することができる(部品の共用化が可能な構成である)。
(1)本実施例では、一対の力布21,22を使用する例を説明したが、力布の構成を限定する趣旨ではない。例えば一枚物の力布を用いるとともに、力布の一側を二又とする(一対の帯状の取付け部を形成する)ことができる。
(2)また本実施例では、一対の取付け部21a,22aを形成する例を説明したが、エアバッグの構成(寸法や形状など)に応じて、3以上の取付け部を形成することもできる。この場合には、3以上の部位をブラケットに形成するとともに、各部位を連結部位で連結することができる。
(4)また本実施形態では、連結部位34を、第一部位31と第二部位32の双方に縫製する例を説明した。連結部位は、第一部位と第二部位の少なくとも一方に縫製することができる。例えば、連結部位を、第一部位に予め一体化(接着や融着等)するとともに、第二部位に縫合する構成でもよい。このとき連結部位を、第一部位又は第二部位内(リール部材等)に巻取り及び引出し可能に取付ける(一体化する)こともできる。
(5)また本実施形態では、ブラケット30を、ボルト部材Bにてフレーム部材6Fに取付ける例を説明したが、ブラケットの取付け方法を限定する趣旨ではない。
(6)また本実施形態では、シートバック6を一例に説明したが、本実施例の構成は、シートクッションなどの各種シート構成部材に適用できる。
4 シートクッション
6 シートバック
10 エアバッグ
6F フレーム部材
6P クッション材
6S 表皮材
6X 切れ目
6a 第一被取付け部
6b 第二被取付け部
16 側部フレーム
21 第一力布
21a 第一取付け部
22 第二力布
22a 第二取付け部
30 ブラケット
31 第一部位
32 第二部位
34 連結部位
41a 第一取付け孔部
41b 第一固定孔部
41c 第一連結孔部
42a 第二取付け孔部
42b 第二固定孔部
42c 第二連結孔部
CP 開裂部
Claims (3)
- シートクッションやシートバックなどのシート構成部材が、シート骨格をなすフレーム部材と、シート外形をなすクッション材と、クッション材を被覆する表皮材と、前記表皮材に設けた開裂部と、エアの流入によりシート外に膨出可能なエアバッグと、前記エアバッグの膨出方向を規制する力布とを有し、
前記クッション材の裏面側に前記エアバッグを配設したのち、前記力布を、前記開裂部を除く前記エアバッグ周りに配置し、前記力布に設けた一対の取付け部を、ブラケットを介して前記フレーム部材の一対の被取付け部にそれぞれ固定することで、車両衝突時等の衝撃により、前記エアバッグを前記開裂部から膨出させる構成の車両用シートにおいて、
前記ブラケットが、前記一対の取付け部の一方を固定可能な第一部位と、前記一方とは異なる前記一対の取付け部の他方を固定可能な第二部位と、前記第一部位と前記第二部位を連結する連結部位とを有し、
前記連結部位が、前記第一部位と前記第二部位が近接又は離間する方向に変形可能である車両用シート。 - 前記連結部位が、前記第一部位と前記第二部位が近接又は離間する方向に伸縮可能である請求項1に記載の車両用シート。
- 前記一対の取付け部とは異なる前記力布の一部が、前記表皮材に縫製にて取付けられるとともに、
前記連結部位が、前記第一部位と前記第二部位の少なくとも一方に縫製にて取付け可能である請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
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