以下に添付図面を参照して、本実施の形態の画像形成装置の一の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成装置100の構成を示す模式図である。
画像形成装置100は、光学装置102、像形成部112、転写部122、入力部130、及び主制御部300を備える。像形成部112は、複数の像形成部104、106、108、110を備えている。各像形成部104、106、108、110は、各々、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、及びK(ブラック)のトナー像を形成する。像形成部104は、感光体104a、帯電装置104b、現像装置104c、及び転写装置104dを備えた公知の電子写真方式の構成である。像形成部106、108、110についても同様に、感光体(106a、108a、110a)、帯電装置(106b、108b、110b)、現像装置(106c、108c、110c)、及び転写装置(106d、108d、110d)を備え、公知の電子写真方式の構成である。
転写部122は、中間転写ベルト114、中間転写ベルト114を内側から支持する複数の支持部材114a、114b、114c、記録媒体124を搬送する搬送部材126、118、及び定着装置120を備える。
光学装置102は、各像形成部104、106、108、110の各々に設けられた感光体104a、106a、108a、110aを、形成対象の画像の画像データに応じて変調した光で走査露光する。この各感光体104a、106a、108a、110aへの走査露光によって、各感光体104a、106a、108a、110aに静電潜像が形成される。静電潜像は、各色(C、M、Y、K)のトナー像によって現像される。この現像によって、各感光体104a、106a、108a、110a上にトナー像が形成されて、中間転写ベルト114を介して記録媒体124に転写される。
入力部130(取得手段)は、画像形成装置100で印刷する対象の画像の画像データや、頻度情報や、操作情報等の各種情報を入力する。入力部130としては、例えば、キーボード、タッチパネル付のディスプレイ、外部装置や記憶装置等からデータを受け付ける入力インターフェース、公知のスキャナ装置等が挙げられる。
頻度情報とは、画像形成対象の画像の副走査方向の画素列に対する画素の挿入頻度または削除頻度を示す。すなわち、頻度情報は、画像形成対象の画像の副走査方向の画素列に対して、何画素毎に1画素を挿入または削除するかを示す。
また、操作情報とは、印刷画像の画像への画素の挿入、または画素の削除の何れかを示す情報である。
これらの頻度情報や操作情報は、ユーザによる入力部130の操作指示によって入力される。
なお、上記頻度情報は、例えば、下記のようにしてユーザに入力される。例えば、画像形成対象の画像の副走査方向の画素列に対して、何画素毎に1画素を挿入、または何画素毎に1画素を削除、するかを入力するための入力画面を、入力部130に表示する。そして、ユーザによる入力部130の操作指示によって、頻度情報が入力されるようにすればよい。なお、頻度情報の入力は、このような方法に限られない。例えば、画像形成対象の画像の副走査方向の変倍率を示す情報を入力するための入力画面を入力部130に表示してもよい。この場合には、ユーザから入力された変倍率を、入力部130で頻度情報に変換すればよい。
光学装置102は、各感光体104a、106a、108a、110aを照射する光を出射する半導体レーザー200を備えている。光学装置102は、この半導体レーザー200として、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)を有することが好ましい。
VCSELとは、同一チップ上に複数の光源(半導体レーザー)を格子状に配置した面発光型半導体レーザーである。なお、以下では、半導体レーザー200として、VCSELを用いる場合を説明する。半導体レーザー200から出射したレーザー光Lは、ポリゴンミラー102a、反射ミラー102b、及び第2シリンドリカルレンズ102cを介して、各感光体104a、106a、108a、110aに到る。
図2には、光学装置102の詳細を示した。
図2に示すように、光学装置102は、半導体レーザー200、第1シリンドリカルレンズ202、反射ミラー204、結像レンズ206、ポリゴンミラー102a、反射ミラー102b、第2シリンドリカルレンズ102c、同期検出装置210、及び反射ミラー208を有する。
半導体レーザー200から射出したレーザー光Lは、第1シリンドリカルレンズ202により集光され、反射ミラー204および結像レンズ206を介して、ポリゴンミラー102aに到る。ポリゴンミラー102aは、回転駆動されている。レーザー光Lは、ポリゴンミラー102aで反射され、反射ミラー102b及び第2シリンドリカルレンズ102cを介して、感光体104a、106a、108a、110aに到る。なお、各感光体104a、106a、108a、110aは、周方向(図2中、矢印Y方向)に回転駆動されている。レーザー光Lは、感光体104a、106a、108a、110aを、主走査方向(図2中、矢印X方向)に走査露光する。
なお、主走査方向とは、上述のように、半導体レーザー200が各感光体104を走査露光する方向を示す。そして、副走査方向とは、この主走査方向に直交する方向を示す。なお、この主走査方向(図2中、矢印X方向)は、本実施の形態では、感光体104a、106a、108a、110aの回転軸方向(周方向に直交する方向)と一致するものとして説明する。
反射ミラー208は、レーザ光Lを同期検出装置210へと反射させる。同期検出装置210は、レーザ光Lを検出すると、副走査を開始させるための同期信号を発生する。
半導体レーザー200は、主制御部300に設けられた後述する光源制御部310から送付されるパルス信号によって駆動する。
図3には、半導体レーザー200としてのVCSELの構成を示した。VCSELは、複数の光源ch1〜ch40が配列された面発光型半導体レーザーアレイである。なお、VCSELの光源の数は、40個に限定されない。
複数の光源ch1〜ch40の各々から出射した40本のレーザー光の光束であるレーザー光Lは、ポリゴンミラー102aを介して各感光体104a、106a、108a、110aを主走査方向(図2中、矢印X方向)に走査露光する。そして、各感光体104a、106a、108a、110aは、副走査方向に回転する。このため、各感光体104a、106a、108a、110aには、静電潜像が形成される。
光学装置102では、光源ch1〜ch40の各々から出射した40本のレーザー光(レーザー光L)は、前回40本のレーザー光で走査露光された走査線間を埋めるように、各感光体104a、106a、108a、110aを主走査方向に走査露光する。
図4には、各感光体104a、106a、108a、110a上における、40本のレーザー光Lによる走査露光位置の一例を示した。具体的には、図4には、各感光体104a、106a、108a、110aが走査露光されたときの走査位置S1と、次の走査露光時の走査位置S2との関係を示した。まず、ポリゴンミラー102aの回転駆動によって、40本のレーザー光Lで各感光体104a、106a、108a、110aを走査位置S1で走査露光する。このとき、光源ch20による露光位置と光源21chによる露光位置との間の距離は、その他の光源に比べて近接している。その他の光源による露光位置間の間隔は、各光源による1走査ライン分の距離となっている。
次に、40本のレーザー光で各感光体104a、106a、108a、110aを走査位置S2で走査露光する。このとき、前回(走査位置S1)の走査露光による光源ch20による露光位置と光源21chによる露光位置との間に、今回(走査位置S2)の光源1chによる露光位置が位置する。このような位置関係を示すように、光学装置102は構成されている。
光学装置102が半導体レーザー200としてVCSELを備えた構成であり、上述のような走査露光を行うことによって、4800dpi(画素間の間隔が約5.2μm)といった高解像度の書き込みを実現することができる。また、半導体レーザー200としてVCSELを備えると、光源配置の自由度が高い。また、副走査ビームピッチのばらつき、ビームスポット径のばらつきを低減できる。また、光学装置102の小型化を図ることもできる。
次に、主制御部300について説明する。
主制御部300は、画像形成装置100を制御する。主制御部300は、CPU(Central Processing Unit)、後述する決定処理を実行する決定処理プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。主制御部300は、画像形成装置100に設けられた装置各部に電気的に接続されている。
図5には、主制御部300を、ハードウェアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロック図を示した。主制御部300は、図5に示すように、第1記憶部302、装置制御部304、光源制御部310、及びLDドライバ312を備えている。
第1記憶部302は、入力部130から入力された、画像形成対象の画像データ、頻度情報、及び操作情報を記憶する。装置制御部304は、記録媒体の搬送等の像形成部112及び転写部122の駆動を制御する。光源制御部310は、装置制御部304による像形成部112及び転写部122の駆動制御に同期させて、半導体レーザー200の駆動制御を行う。光源制御部310では、画像データをスクリーン処理し、処理した画像データをLDドライバ312へ出力する。光源制御部310としては、GAVD(Gate Array for Video Device)が挙げられる。
LDドライバ312は、光源制御部310から受け付けた画像データ(スクリーン処理された画像データ)から、半導体レーザー200を駆動するための駆動制御信号を生成する。そして、LDドライバ312は、駆動制御信号を半導体レーザー200に供給する。駆動制御信号を受け付けた半導体レーザー200は、該駆動制御信号に基づいて、各光源(ch1〜ch40)からレーザー光Lを感光体104a、106a,108a,110aへ照射する。
なお、CMYKは同様の回路で独立して行われるので、以下、1色分について説明する。
図6には、光源制御部310の詳細な構成を示した。
光源制御部310は、第2記憶部340、画像補正部342、及び出力データ制御部344を備えている。第2記憶部340は、第1記憶部302に格納された画像形成対象の画像データを記憶する。第2記憶部340としては、FIFOバッファが挙げられる。なお、第2記憶部340は、入力部130から第1記憶部302を介して第2記憶部340に記憶した画像データを、先入れ/先出し方式で画像補正部342に出力する。
画像補正部342は、画像形成対象の画像データにおいて画像を挿入または削除する画素操作位置を決定し、該画素操作位置への画素の挿入または画素の削除を行う。
画像補正部342は、挿入削除位置決定部350及び挿入削除部357を備える。挿入削除位置決定部350は、第1記憶部302から頻度情報及び操作情報を受け付ける。そして、挿入削除位置決定部350は、受け付けた頻度情報及び操作情報に基づいて、画像形成対象の画像データに対して、画素を挿入または削除する画像操作位置を決定する。なお、詳細は後述するが、挿入削除位置決定部350は、画像データにおいて画素を挿入または削除する画素操作位置を、副走査方向の画素列毎に、該頻度情報の頻度で且つ副走査方向に隣接する画素操作位置間の間隔が不均一となるように決定する。そして、挿入削除位置決定部350は、1頁分の画像データの各画素の画素位置を示す画素位置情報(例えば、座標情報)と、挿入削除信号と、操作情報と、を、挿入削除部357へ出力する。挿入削除信号とは、1頁分の画像データの各画素の画素位置毎に、画素挿入削除有り、または画素挿入削除無し、を示した情報である。
挿入削除部357は、挿入削除位置決定部350から受け付けた挿入削除信号と画素位置情報と操作情報とに基づいて、第2記憶部340から受け付けた画像データに対して、画素の挿入または画素の削除を行う。なお、挿入削除信号が、画素挿入削除有りであることを示す情報であり、且つ操作情報が画素の挿入を示す情報である場合には、挿入削除部357は、該挿入削除信号に対応する画素位置情報の位置に1画素を挿入する。そして、挿入削除部357は、該挿入位置に存在する画素及び該画素に対して主走査方向下流側に連続する画素群を主走査方向の下流側へシフトさせる。また、挿入削除信号が、画素挿入削除有りであることを示す情報であり、且つ操作情報が画素の削除を示す情報である場合には、挿入削除部357は、該挿入削除信号に対応する画素位置情報の位置の画素を削除し、該位置の画素に対して主走査方向下流側に連続する画素群を、主走査方向の上流側へシフトさせる。
上記画素の挿入または削除によって、画像補正部342は、受け付けた画像データを副走査方向に変倍するように補正し、補正後の画像データを出力データ制御部344へ出力する。
出力データ制御部344は、画像補正部342から受け付けた補正後の画像データから、駆動制御信号を生成する。詳細には、出力データ制御部344は、補正後の画像データに対応する書き込み信号となる出力データを、半導体レーザー200の各光源ch1〜ch40に割当てることで駆動制御信号を生成する。そして、出力データ制御部344は、駆動制御信号を、同期信号発生部346から受け付けた同期信号に同期させて、LDドライバ312へ出力する。なお、第2記憶部340から画像補正部342への画像データの出力、画像補正部342における処理、及び出力データ制御部344の処理は、同期信号発生部346から受け付けた同期信号に同期させて行う。
次に、画像補正部342に設けられた挿入削除位置決定部350について、詳細に説明する。図7は、挿入削除位置決定部350を示す機能ブロック図である。
図7に示すように、挿入削除位置決定部350は、画像形成対象の画像データにおいて画素を挿入または削除する画素操作位置を、副走査方向の画素列毎に、指定された頻度情報の頻度で、且つ副走査方向に隣接する画素操作位置間の間隔が不均一となるように、決定する。
挿入削除位置決定部350は、比較部355、閾値記憶部358、閾値変更部359、初期閾値生成部360、加算部354、誤差記憶部352、及び誤差演算部353を備える。
比較部355は、画像形成対象の画像データの各画素の画素位置毎に、加算部354から受け付けた加算値と、閾値記憶部358から受け付けた該画素位置に対応する閾値と、を比較する。詳細には、比較部355は、画像データの主走査方向の一端の画素から他端の画素に向かって順に、該主走査方向の画素列毎に、上記比較を行う。
そして、比較部355では、比較結果を、挿入削除部357、閾値変更部359、及び誤差演算部353へ順次出力する。詳細には、比較部355では、加算値が該閾値以下であるときに、該画素位置を示す画素位置情報と、該画素位置が画素挿入削除有りであることを示す挿入削除信号と、操作情報と、を出力する。また、比較部355では、加算値が該閾値を超えるときに、該画素位置を示す画素位置情報と、該画素位置が画素挿入削除無しであることを示す挿入削除信号と、操作情報と、を出力する。そして、比較部355は、画像形成対象の画像データの全ての画素の全画素位置について、各画素位置に対応する加算値と、各画素位置に対応する閾値と、の比較を行う。そして、比較部355は、比較結果を、順次出力する。
なお、比較部355は、1頁の画像データ毎に、上記比較処理を行う。
なお、比較部355は、画素挿入削除有りであることを示す挿入削除信号として、頻度情報によって示される挿入または削除の単位画素数を出力する。この単位画素数とは、具体的には、頻度情報の分子を1としたときの分母の値である。例えば、頻度情報が、副走査方向の400画素毎に1画素挿入または削除することを示す場合には、分母は400であるので、単位画素数は、400となる。また、比較部355は、画素挿入削除無しであることを示す挿入削除信号として、‘0’を出力する。
閾値記憶部358は、主走査方向の画素位置毎の閾値を記憶する。閾値記憶部358は、画像の主走査方向における各画素位置に対応する複数のレジスタを備えている。なお、該画像は、画像形成装置100で形成可能な最大の大きさの画像を示す。そして、閾値記憶部358では、主走査方向の各画素位置に対応するレジスタに、各画素位置の閾値を記憶する。
初期閾値生成部360は、主走査方向の各画素位置に対応する初期閾値を記憶する。この初期閾値は、第1記憶部302から受け付けた頻度情報に基づいて定める。具体的には、初期閾値生成部360では、主走査方向の各画素位置に対応する初期閾値の平均値が、頻度情報によって示される挿入または削除の単位画素数と一致するように、これらの初期閾値を定める。例えば、頻度情報が、副走査方向の400画素毎に1画素を挿入または削除することを示す情報であったとする。この場合には、初期閾値生成部360は、主走査方向の各画素位置に対応するレジスタに、これらの平均値が400となるように任意の数値を不連続に割り振って格納する。また、例えば、頻度情報が、副走査方向の800画素毎に1画素を挿入または削除することを示す情報であったとする。この場合には、初期閾値生成部360は、主走査方向の各画素位置に対応するレジスタに、これらの平均値が800となるように、任意の数を不連続に割り振って格納する。
なお、初期閾値生成部360は、画像形成対象の画像データの主走査方向の最大画素数に対応する数のレジスタを有する。すなわち、初期閾値生成部360は、画像形成対象の画像データの主走査方向の各画素位置に対応するレジスタを有する。
比較部355が1頁の画像データ毎に比較処理を開始する前に、閾値記憶部358では、初期閾値生成部360から、主走査方向の各画素位置に対応する閾値を読み取り、対応する画素位置のレジスタに記憶する。
閾値変更部359は、比較部355から出力された挿入削除信号に基づいて、各画素位置の閾値を変更する。
具体的には、閾値変更部359では、比較部355から出力された位置情報に対応する挿入削除信号が画素挿入削除無しであることを示す‘0’である場合には、閾値記憶部358に記憶されている該位置情報に対応する閾値から‘1’を減算した値を、該位置情報に対応する新しい閾値として、閾値記憶部358に記憶する。
一方、閾値変更部359では、比較部355から出力された位置情報に対応する挿入削除信号が画素挿入削除有りを示す‘単位画素数’(例えば400)である場合には、閾値記憶部358に記憶されている該位置情報に対応する閾値に該‘単位画素数’を加算した値を、該位置情報に対応する新しい閾値として、閾値記憶部358に記憶する。
誤差演算部353は、誤差拡散処理を行う。詳細には、比較部355から受け付けた比較結果が、画素位置を示す位置情報と、該画素位置が画素挿入削除有りであることを示す挿入削除信号としての‘単位画素数’と、であったとする。この場合には、誤差演算部353は、該‘単位画素数’と、該画素位置に対応する誤差配分値と、の誤差(すなわち差分)を、予め記憶した配分比に基づいて、該画素位置の画素に隣接する周囲の画素に配分する。これによって、誤差演算部353は、誤差拡散処理を行い、誤差記憶部352を更新する。図8には、この配分比の一例を示す模式図を示した。
なお、誤差記憶部352は、主走査方向の画素列の画素位置毎の誤差配分値を記憶する。誤差演算部353は、誤差拡散処理時には、演算対象の画素位置に対応する誤差配分値を、該画素位置に対応する誤差配分値を誤差記憶部352から読み取ることによって得ればよい。
一方、誤差演算部353で、比較部355から受け付けた比較結果が、画素位置を示す位置情報と、該画素位置が画素挿入削除無しであることを示す挿入削除信号としての‘0’と、であったとする。この場合には、誤差演算部353は、誤差拡散処理を行わない。
加算部354は、比較部355の比較対象の画素位置に対応する誤差配分値を誤差演算部353から読み取る。そして、読み取った誤差配分値に、‘1’を加算した加算値を、比較部355へ出力する。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置100の挿入削除位置決定部350における、挿入削除位置決定処理の流れを説明する。図9は、本実施の形態に係る画像形成装置100の挿入削除位置決定部350における、挿入削除位置決定処理の流れを示すフローチャートである。
挿入削除位置決定部350では、挿入削除位置決定処理を行うための決定処理プログラムをROMから読み取り、1頁の画像データ毎に、図9に示す処理を実行する。
まず、比較部355が、副走査方向の位置を示す情報nとして、‘1’を設定する(ステップS100)。次に、比較部355が、主走査方向の位置を示す情報mとして、‘1’を設定する(ステップS101)。
次に、比較部355は、画素位置、すなわち座標が(m,n)の画素を比較対象画素として設定する(ステップS102)。
加算部354は、比較部355で比較対象画素として設定された画素位置(m,n)の画素の誤差配分値Fを、誤差記憶部352から読み取る(ステップS104)。そして、加算部354は、読み取った誤差配分値Fに、‘1’を加算した加算値Qを、比較部355へ出力する(ステップS106)。比較部355は、この加算値Qを受け付ける。
次いで、比較部355は、主走査方向の画素位置mに対応する閾値Rmを、閾値記憶部358から読み取る(ステップS108)。次いで、比較部355は、ステップS106の処理によって受け付けた加算値Qが、ステップS108で読み取った閾値Rm以下であるか否かを判断する(ステップS110)。
そして、比較部355は、該加算値Qが、該閾値Rm以下であると判断した場合には(ステップS110:Yes)、画素挿入削除無しを示す挿入削除信号として‘0’を設定する(ステップS112)。
一方、比較部355は、該加算値Qが、該閾値Rm以下ではないと判断した場合には(ステップS110:No)、画素挿入削除有りを示す挿入削除信号として頻度情報によって示される挿入または削除の‘単位画素数’を設定する(ステップS114)。
次いで、比較部355は、上記ステップS102で設定した画素位置情報(m,n)と、画素挿入削除有りまたは画素挿入削除無しを示す挿入削除信号と、操作情報と、を挿入削除部357、閾値変更部359、及び誤差演算部353へ出力する(ステップS116)。
次に、誤差演算部353は、比較部355から受け付けた画素位置情報及び挿入削除信号に基づいて、該画素位置に対応する新たな閾値Sを算出し、閾値記憶部358に記憶する閾値変更処理を実行する(ステップS118)(詳細後述)。
誤差演算部353は、比較部355から受け付けた画素位置情報及び挿入削除信号に基づいて、誤差拡散を行う(ステップS122)。そして、誤差演算部353は、配分した値を、誤差演算部353に記憶されている対応する画素位置の誤差配分値に加算して記憶する(ステップS124)。
次いで、比較部355では、mが画像形成対象の画像データの画像の主走査方向の最大画素数と一致するか否かを判別する(ステップS126)。そして、比較部355では、mが画像形成対象の画像データの画像の主走査方向の最大画素数と一致しないと判断した場合には(ステップS126:No)、mに1を加算した値を新たなmとして設定し(ステップS128)、上記ステップS102へ戻る。
一方、比較部355では、mが画像形成対象の画像データの画像の主走査方向の最大画素数と一致すると判断した場合には(ステップS126:Yes)、ステップS130へ進む。そして、比較部355では、nが画像形成対象の画像データの画像の副走査方向の最大画素数と一致するか否かを判別する(ステップS130)。そして、比較部355では、nが画像形成対象の画像データの画像の副走査方向の最大画素数と一致すると判断した場合には(ステップS130:Yes)、本ルーチンを終了する。一方、比較部355では、nが画像形成対象の画像データの画像の副走査方向の最大画素数と一致しないと判断した場合には(ステップS130:No)、nに1を加算した値を新たなnとして設定し(ステップS132)、上記ステップS101へ戻る。
次に、上記ステップS118の閾値変更処理について詳細に説明する。
図10に示すように、閾値変更部359は、比較部355から受け付けた画素位置情報及び挿入削除信号から、該画素位置情報の画素位置(m,n)は、挿入削除位置であるか否かを判別する(ステップS200)。閾値変更部359では、挿入削除信号が‘単位画素数’である場合に、挿入削除位置であると判別する(ステップS200:Yes)。一方、閾値変更部359では、挿入削除信号が‘0’である場合に、挿入削除位置ではないと判別する(ステップS200:No)。
閾値変更部359が、ステップS200で肯定判断すると(ステップS200:Yes)、閾値変更部359は、主走査方向の画素位置mに対応する閾値Rmを閾値記憶部358から読み取る(ステップS202)。そして、閾値変更部359は、読み取った閾値Rmに、単位画素数(頻度情報の分子が1であるときの分母の値)Qを加算した結果を、新たな閾値Sとして算出する(ステップS204)。次いで、算出した新たな閾値Sを、対応する画素位置の位置情報に対応づけて閾値記憶部358に記憶する(ステップS206)。
一方、閾値変更部359がステップS200で否定判断すると(ステップS200:No)、閾値変更部359は、主走査方向の画素位置mに対応する閾値Rmを閾値記憶部358から読み取る(ステップS208)。そして、閾値変更部359は、読み取った閾値Rmから値‘1’を減算した結果を、新たな閾値Sとして算出する(ステップS210)。次いで、算出した新たな閾値Sを、対応する画素位置の位置情報に対応づけて閾値記憶部358に記憶する(ステップS206)。
閾値変更部359が、図10に示す閾値変更処理を行うことによって、閾値変更部359は、比較部355によって前回挿入削除位置とされた画素位置を、次回挿入削除位置とする確率が低くなるように調整することができる。反対に、閾値変更部359は、比較部355によって前回挿入削除位置ではないとされた画素位置を、次回挿入削除位置とする確率が高くなるように調整することができる。
例えば、閾値変更部359は、図11に示すように、閾値を変更する。
なお、図11(A)〜図11(C)中、横軸は、主走査方向における画素位置である主走査位置を示している。また、縦軸は、主走査方向の各画素位置における閾値を示す。
初期状態、すなわち、比較部355が各ページの画素位置毎に比較処理を行う前の状態では、閾値記憶部358には、初期閾値生成部360から読み取った閾値が格納されている。例えば、頻度情報が、400画素毎に1画素挿入することを示す場合には、挿入削除位置決定部350の各レジスタには、平均値400となるようなランダムな閾値が設定されている(図11(A)参照)。
そして、比較部355から出力された、主走査方向の画素位置m=X1の挿入削除信号が、画素挿入削除無しを示す‘0’であるとする。この場合には、閾値変更部359は、該画素位置X1に対応する閾値として設定されている閾値Rmから値‘1’を減算した結果を、新たな閾値として算出する(図11(B)参照)。この閾値の変更によって、主走査方向の画素位置m=X1が、次回の比較部355による比較処理によって挿入削除位置とされる確率が増大する。
一方、比較部355から出力された、主走査方向の画素位置m=X2の挿入削除信号が、画素挿入削除有りを示す‘単位画素数’であるとする。この場合には、閾値変更部359は、上述したように、該画素位置X2に対応する閾値として設定されている閾値Rmに、頻度情報の分母を示す値である単位画素数Q(例えば400)を加算した結果を、新たな閾値として算出する(図11(C)参照)。この閾値の変更によって、主走査方向の画素位置m=X2が、次回の比較部355による比較処理によって挿入削除位置とされる確率が減少する。
挿入削除位置決定部350において、上記決定処理プログラムが実行されることによって、画像形成対象の画像データの各ページごとに、入力された頻度情報に応じて、画像形成対象の画像データにおいて画素を挿入または削除する画素操作位置を、副走査方向の画素列毎に、指定された頻度情報の頻度で、且つ副走査方向に隣接する画素操作位置間の間隔が不均一となるように、決定することができる。
そして、挿入削除部357は、挿入削除位置決定部350から受け付けた挿入削除信号と画素位置情報に基づいて、第2記憶部340から受け付けた画像データに対して、画素の挿入または画素の削除を行う。
図12には、本実施の形態の画像形成装置100による、画像データに対して、副走査方向に所定の頻度で画素を挿入した後の画像データの一例を示した。
図12に示すように、本実施の形態によれば、副走査方向(図12中、矢印Y方向)の画素列毎に、指定された頻度情報の頻度で、且つ副走査方向に隣接する画素操作位置間の間隔が、主走査方向及び副走査方向の双方において不均一となるように、画素操作位置を決定する。このため、画質の劣化が生じることを抑制することができる。
ここで、従来の画像形成装置では、画素操作位置を規定した所定のパターン(図13中、領域P参照)を用意しておいて、このパターンを繰り返し用いて画素操作位置を決定していた。このため、従来の画像形成装置では、画素挿入または画素削除された画像データは、図13に示すように、画素挿入または画素削除された領域Pと、該領域P以外の領域と、の間でムラが生じて、模様が生じた状態となっていた。
一方、本実施の形態の画像形成装置100では、画素操作位置が1頁分の画像データの全体に対して行われ、画質の劣化が生じることを抑制することができる。
なお、本実施の形態の画像形成装置100で実行される決定処理プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行される決定処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施の形態の画像形成装置100で実行される決定処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行される決定処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
また、本実施の形態の画像形成装置100で実行される決定処理プログラムは、上述した各部(加算部354、誤差記憶部352、誤差演算部353、比較部355、閾値記憶部358、閾値変更部359、初期閾値生成部360)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから決定処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、加算部354、誤差記憶部352、誤差演算部353、比較部355、閾値記憶部358、閾値変更部359、初期閾値生成部360が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、上記実施の形態では、本実施の形態の画像形成装置100を、プリンタ機能を有する画像形成装置に適用した例を挙げて説明するが、プリンタ機能と、コピー機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも1つの機能と、を有する複合機に適用してもよい。
図14は、本実施の形態の画像形成装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。本図に示すように、画像形成装置100は、コントローラ210とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ210は、画像形成装置100全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
コントローラ210は、CPU211と、ノースブリッジ(NB)213と、システムメモリ(MEM−P)212と、サウスブリッジ(SB)214と、ローカルメモリ(MEM−C)217と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)216と、ハードディスクドライブ(HDD)218とを有し、ノースブリッジ(NB)213とASIC216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス(図14中、AGB215参照)で接続した構成となる。また、MEM−P212は、ROM(Read Only Memory)212aと、RAM(Random Access Memory)212bと、をさらに有する。
CPU211は、画像形成装置100の全体制御をおこなうものであり、NB213、MEM−P212およびSB214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB213は、CPU211とMEM−P212、SB214、AGP215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM212aとRAM212bとからなる。ROM212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB214は、NB213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB214は、PCIバスを介してNB213と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC216は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP215、PCIバス、HDD218およびMEM−C217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC216は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC216には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース250が接続される。操作表示部220はASIC216に直接接続されている。
MEM−C217は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGP215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。