JP5746936B2 - 平版印刷版原版及びその製版方法 - Google Patents

平版印刷版原版及びその製版方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンピューター等のデジタル信号から各種レーザーを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷版原版、特に、得られる平版印刷版の高耐刷性を維持したまま経時後の現像性の改良された平版印刷版原版及びその製版方法に関する。
波長300nm〜1200nmの紫外光、可視光、赤外光を放射する固体レーザー、半導体レーザー、ガスレーザーは高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっており、これらのレーザーはコンピューター等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、非常に有用である。これら各種レーザー光に感応する記録材料については種々研究されている。特に感光波長760nm以上の赤外線レーザーで記録可能な材料を用いた場合、明室での取り扱い性が容易になる長所があり、代表的なものとして、例えば、特許文献1に記載されているラジカル重合型のネガ型記録材料等がある。
また、従来の平版印刷版原版(以下、PS版ともいう)では、露光の後、非画像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠であり、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来のPS版の大きな検討課題となっている。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。
特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。環境への配慮からも、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。更に湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更することが望ましい。
このような観点から、処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で現像処理が完了する方式である。
機上現像の要求を満足するために、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を分散させた画像記録層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献2参照)。その製版に際しては、赤外線レーザーで露光して、光熱変換により生じた熱で熱可塑性疎水性重合体微粒子を合体(融着)させて画像形成した後、印刷機のシリンダー上に版を取り付け、湿し水及びインキの少なくともいずれかを供給することにより機上現像できる。この平版印刷版原版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取り扱い性も有している。
しかし、熱可塑性疎水性重合体微粒子を合体(融着)させて形成する画像は、良好な機上現像性を示すものの強度が不充分で、印刷版としての耐刷性に問題がある。
また、熱可塑性微粒子に代えて、重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献3〜7参照)。このような提案にかかる原版では、重合性化合物の反応により形成されるポリマー画像が微粒子の融着により形成される画像よりも強度に優れているという利点がある。
また、重合性化合物は反応性が高いため、マイクロカプセルを用いて隔離しておく方法が多く提案されている。そして、マイクロカプセルのシェルには、熱分解性のポリマーを使用することが提案されている。
また、機上現像性を向上させるために親水性ポリマーをマイクロカプセルに導入する平版印刷版が提案されている(特許文献8)。このような提案にかかる原版では機上現像性と耐刷性が両立できない問題がある。
しかしながら、上記特許文献1〜7に記載の従来の平版印刷版原版では、レーザー露光により形成される画像の耐刷性は向上するものの、経時後の現像性が十分ではなく、更なる改良が求められている。また、上記特許文献8に記載の従来の平版印刷版原版では、機上現像性が向上するが、耐刷性の更なる改良が求められている。すなわち、感光波長760nm以上の赤外線レーザーで記録可能な材料で硬化した画像では、得られる平版印刷版の耐刷性を維持したまま、平版印刷版原版の経時後の現像性を向上させるのは難しい。経時後の現像性を向上させるために、親水性の低分子成分を画像記録層に直接添加すると経時後の現像性は向上するが、耐刷性が低下してしまう。このように、感光波長760nm以上の赤外線レーザーで記録可能な材料の場合、得られる平版印刷版の良好な耐刷性を維持したまま、平版印刷版原版の経時後の現像性を向上させることが課題となる。特に、湿し水及び印刷インキの少なくとも一方を用いた機上現像においては、アルカリ現像液で現像するシステムよりも現像性が劣るため、より難しい課題となる。
特開2004−212558号公報 特許2938397号公報 特開2000−211262号公報 特開2002−29162号公報 特開2002−46361号公報 特許4253432号公報 特許4343462号公報 特開2006−103309号公報
本発明の目的は、赤外光を放射する固体レーザー又は半導体レーザー光を用いて記録することによりコンピューター等のデジタルデータから直接製版可能な平版印刷版原版において、得られる平版印刷版の良好な耐刷性を維持したまま、経時後の現像性を向上させた平版印刷版原版を提供することにあり、特に機上現像可能な平版印刷版原版とその製版方法を提供することにある。
<1> 親水性支持体上に、(A)ラジカル重合性化合物、(B)赤外吸収染料、(C)ラジカル重合開始剤、及び(D)ミクロゲルを含有する重合性組成物を含有する画像記録層を有する平版印刷版原版であって、前記(D)ミクロゲルが、(1)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらにホスホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩、ベタイン構造から選ばれるイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物、(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物、及び(3)多官能イソシアネート化合物との反応により得られることを特徴とする平版印刷版原版。
<2> 前記イオン性親水性基が、ホスホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩から選ばれることを特徴とする<1>に記載の平版印刷版原版。
<3> 前記イオン性親水性基が、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩から選ばれることを特徴とする<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版。
<4> 前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物が、水、多官能アミン、多官能アルコール、多官能フェノール及び多官能チオールから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<5> 前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物がエチレン性不飽和結合を有していることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<6> 前記ミクロゲルが芯物質としてラジカル重合性化合物を有していることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<7> 前記ミクロゲルがポリアルキレンオキシド鎖を有していること特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<8> 前記画像記録層上に無機質の層状化合物を含有する保護層を有することを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<9> 前記画像記録層の未露光部が湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去可能であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<10> <9>に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光した後、印刷機シリンダーに取り付け、画像記録層の未露光部を湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去することを特徴とする製版方法。
本発明は、上記<1>〜<10>に記載の平版印刷版原版及び製版方法に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載する。
1.親水性支持体上に、(A)ラジカル重合性化合物、(B)赤外吸収染料、(C)ラジ
カル重合開始剤、及び(D)ミクロゲルを含有する重合性組成物を含有する画像記録層を
有する平版印刷版原版であって、前記(D)ミクロゲルが、(1)活性水素原子を有する
基を少なくとも1つ有し、さらにイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物、(2)
活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物、及
び(3)多官能イソシアネート化合物との反応により得られることを特徴とする平版印刷
版原版。
2.前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化
合物が、水、多官能アミン、多官能アルコール、多官能フェノール及び多官能チオールか
ら選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記1に記載の平版印刷版原
版。
3.前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化
合物がエチレン性不飽和結合を有していることを特徴とする前記1又は2に記載の平版印
刷版原版。
4.前記ミクロゲルが芯物質としてラジカル重合性化合物を有していることを特徴とする
前記1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
5.前記ミクロゲルがポリアルキレンオキシド鎖を有していること特徴とする前記1〜4
のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
6.画像記録層上に無機質の層状化合物を含有する保護層を有することを特徴とする前記
1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
7.画像記録層の未露光部が湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去可能であ
ることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
8.前記7に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光した後
、印刷機シリンダーに取り付け、画像記録層の未露光部を湿し水及び印刷インキの少なく
とも一方により除去することを特徴とする製版方法。
本発明の作用機構は明確ではないが、高強度なミクロゲルの表面にイオン性親水性基を導入することで高い強度を維持したまま水の浸透性を向上させるため、得られる平版印刷版の高い耐刷性を維持したまま、平版印刷版原版の経時後の現像性を維持できると推定している。
本発明の目的によって、赤外光を放射する固体レーザー又は半導体レーザー光を用いて記録することによりコンピューター等のデジタルデータから直接製版可能な平版印刷版原版において、得られる平版印刷版の良好な耐刷性を維持したまま、経時後の現像性を向上させた平版印刷版原版を得ることができる。
本発明の平版印刷版原版は、親水性支持体上に画像記録層を有する。必要に応じて、支持体と画像記録層の間に下塗り層を、画像記録層の上に保護層を有することができる。保護層は多層構成であってもよい。支持体裏面にバックコート層を有してもよい。
本発明は、露光後、従来の現像液を用いて現像する製版方式、及び現像液を用いない機上現像での製版方式のいずれの平版印刷版原版にも利用できる。
以下、本発明の平版印刷版原版について順次説明する。
[画像記録層]
本発明の画像記録層は、(A)ラジカル重合性化合物、(B)赤外吸収染料、(C)光重合開始剤、(D)ミクロゲルを含有する重合性組成物を含有する画像記録層であって、ミクロゲルがその壁中にイオン性親水性基を有することを特徴とする。
〔本発明の(D)ミクロゲル〕
本発明の(D)ミクロゲルは、(1)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらにイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物(以下では、特定親水性化合物ともいう。)、(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物、及び(3)多官能イソシアネート化合物との反応により得られることを特徴とする。
ここで、活性水素原子を有する基とは、窒素原子上に水素原子を有するアミノ基、ヒドロキシル基、チオール基である。またイオン性親水性基とは、ホスホン酸(塩)基、リン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、硫酸モノエステル(塩)基、ベタイン構造を有する基である。
なお、本発明のミクロゲルはカプセル構造となっているマイクロカプセルを含む。すなわち、カプセル構造となっていない場合もカプセル構造となっている場合を併せて、ミクロゲルと定義する。
本発明のミクロゲルは、従来既知の形成方法と同様に作製でき、「マイクロカプセル」(近藤朝士、日刊工業新聞社(1970))及び「マイクロカプセル」(近藤保ら、三共出版(1977))に詳しく記載されている。
本発明のポリウレタン/ポリウレア又はポリウレタン壁を有するミクロゲルは、界面重合反応により合成する。すなわち有機溶媒中に多官能イソシアネート化合物を添加し、この有機相溶液を水溶性高分子水溶液中で乳化させる。その後、水相に重合反応促進の触媒を添加するか又は乳化液の温度を上げて多価多官能イソシアネート化合物を水等の活性水素原子を有する化合物と重合させてミクロゲルを形成させる方法が従来から知られている。この有機相溶液中に画像記録層の構成成分を添加することで、画像記録層の構成成分を内包するマイクロカプセルとすることもできる。内包する画像記録層の構成成分としては、特にラジカル重合性化合物が好ましい。
〔イオン性親水性基〕
イオン性親水性基としては、ホスホン酸(塩)基、リン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、硫酸モノエステル(塩)基、ベタイン構造を有する基が挙げられる。
Figure 0005746936
(式中、M1及びM2はそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属に含まれる金属原子、又はアンモニウム基、Lは連結基を表す。Xはアンモニウム基、ホスホニウム基を表す。)
イオン性親水性基としては、ホスホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩、ベタイン構造が好ましく、ホスホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩がより好ましく、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩が特に好ましい。
〔活性水素原子を有する基〕
本発明の活性水素原子を有する基としては、窒素原子上に水素原子を有するアミノ基、ヒドロキシル基、及びチオール基が挙げられる。このうち特に窒素原子上に水素原子を有するアミノ基、及びヒドロキシル基が好ましい。
〔イオン性親水性基の導入〕
ミクロゲルにイオン性親水性基を導入する方法は、(i)多官能イソシアネート化合物に(1)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらにイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物(特定親水性化合物)を反応させた後、(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物と多官能イソシアネートと反応させることによりミクロゲルを製造する方法でもよいし、(ii) (1)特定親水性化合物と(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物と多官能イソシアネートを同時に反応させることによりミクロゲルを製造する方法でもよい。
〔(1)特定親水性化合物〕
上記の活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらに上記のイオン性親水性基を1つ又は2つ有する特定親水性化合物の中でも、特にイオン性親水性基を1つ有する化合物が耐刷性の観点で望ましい。
以下に本発明に用いられる特定親水性化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また、これらの化合物はアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、又はアンモニウム塩であってもよい。
Figure 0005746936
ミクロゲルにおける特定親水性化合物の添加量は、ミクロゲル全固形分に対して0.01〜30質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
〔(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物〕
本発明においてミクロゲル化の際、ミクロゲルを形成するための多価イソシアネート化合物と反応する活性水素原子を有する化合物としては、一般に水が使用される。また、多官能アルコール、多官能フェノール、窒素原子上に水素原子を有する多官能アミン、多官能チオールも活性水素原子を有する化合物として用いることができる。多官能アルコール、多官能フェノール、窒素原子上に水素原子を有する多官能アミンが好ましい。
具体的には多官能アルコールとしてはプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、4,4',4''-トリヒドロキシトリフェニルメタンなどが挙げられる。また多官能アミンとしてはジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどがあげられる。多官能チオールとしては1,3-プロパンジチオール、1,2-エタンジチオールのような化合物を使用することができる。また、多官能フェノールとしてはビスフェノールAのような化合物をあげることができる。これらの化合物は併用して使用されてもよい。これらの化合物は「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
〔(3)多官能イソシアネート化合物〕
次に、2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートについて説明する。
この様な化合物の具体例として、例えば分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能化合物としてはm−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
本発明ではさらに3官能以上のイソシアネート化合物も利用できる。この様な化合物の例としては前述の2官能イソシアネート化合物を主原料としこれらの3量体(ビューレット又はイソシアヌレート)、トリメチロールプロパンなどのポリオールと2官能イソシアネート化合物の付加体として多官能としたもの、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネートなども用いることができる。特に、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物を主原料としこれらの3量体(ビューレット又はイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンとのアダクト体として多官能としたものが好ましい。これらの化合物については、先の「ポリウレタン樹脂ハンドブック」に記載されている。
これらの中で、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンとキシリレン−1,4−ジイソシアネート又はキシリレン−1,3−ジイソシアネートとの付加物が好ましく、特にキシリレン−1,4−ジイソシアネート及びキシリレン−1,3−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンとキシリレン−1,4−ジイソシアネート又はキシリレン−1,3−ジイソシアネートとの付加物が好ましい。
多官能イソシアネートの含有量はミクロゲル全固形分に対して5〜80質量%が望ましく、10〜70質量%がさらに望ましく、20〜50質量%が最も望ましい。
多官能イソシアネートと特定親水性化合物の割合は、質量比で59:1〜5:1であることが好ましい。
〔多官能イソシアネートの合成〕
たとえばトリメチロールエタンと4倍のモル数のイソホロンジイソシアネートを有機溶剤中で、攪拌しながら加熱(50〜100℃)することにより、あるいはオクチル酸第1錫等の触媒を添加しながら比較的低温(40〜70℃)で加熱して、得ることができる。
上記反応で得られたイソシアネート化合物をジブチルアミンでジブチルウレイド化して分子量(ポリスチレン換算値)を測定でき、数平均モル質量(Mn)は1000〜40000が好ましく、2000〜30000が特に好ましい。
有機溶媒の例としては例えば酢酸エチル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、トルエン等が挙げられる。
〔活性水素原子を有する基とエチレン性不飽和結合を有している化合物〕
本発明では、活性水素原子を有する基を有し、イオン性親水性基を有さない化合物が、エチレン性不飽和結合を有していることが耐刷性の点で好ましい。エチレン性不飽和結合を有している活性水素化合物は下記構造式(b)で表すことができる。
1 Lcm n (b)
式(b)において、L1 は、m+n価の連結基であり、m及びnは、それぞれ独立に、1乃至100の整数であり、Lcは1価のエチレン性不飽和基であり、そして、Zは活性水素原子を有する基である。
1 は、二価以上の脂肪族基、二価以上の芳香族基、二価以上の複素環基、−O−、−S−、−NH−、−N<、−CO−、−SO−、−SO2 −又はそれらの組合せであることが好ましい。
m及びnは、それぞれ独立に、1乃至50の整数であることが好ましく、2乃至20の整数であることがより好ましく、3乃至10の整数であることが更に好ましく、3乃至5の整数であることが最も好ましい。
Lcで表される1価のエチレン性不飽和基としては、アリル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基を挙げることができる。
Zは、OH、SH又はNH2 であることが好ましく、OH又はNH2 であることが更に好ましく、OHであることが最も好ましい。
これらの活性水素原子を有する基とエチレン性不飽和結合を有している化合物は、多官能イソシアネートと反応し、ゲル構造に取り込まれるが、一部の化合物は多官能イソシアネートと反応せず芯物質として残存してもよい。
これらの活性水素原子を有する基とエチレン性不飽和結合を有している化合物は、単独のものでもよいが、2種以上のものを混合したものであってもよい。
エチレン性不飽和結合を有している活性水素化合物の含有量はミクロゲル全固形分に対して5〜80質量%が望ましく、10〜70質量%がさらに望ましく、20〜50質量%が最も望ましいが最も望ましい。
以下にエチレン性不飽和結合を含む化合物の例を示すが、この構造に限定されるものではない。
Figure 0005746936

〔芯物質としてのラジカル重合性化合物〕
ミクロゲルの芯物質はミクロゲルのイソシアネートから構成される壁部分とは直接結合を有さず、内部に内包されている物質を示す。
ミクロゲルの芯物質に用いるラジカル重合性化合物は、エチレン系不飽和基を有し、活性水素原子を有する基を持たない化合物である。
エチレン性不飽和基としては、アリル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基を挙げることができる。
芯物質としてのラジカル重合性化合物の含有量はミクロゲル全固形分に対して5〜80質量%が望ましく、10〜70質量%がさらに望ましく、20〜50質量%が最も望ましいが最も望ましい。
以下にラジカル重合性基を含む化合物の例を示すが、この構造に限定されるものではない。
Figure 0005746936
これらの重合性化合物は、単独でもよいが、2種以上を混合したものであってもよい。
〔ポリアルキレンオキシド鎖を有するミクロゲル〕
前記ミクロゲルは、壁中にポリアルキレンオキシド差を有していることが分散安定性の観点から望ましい。
ポリアルキレンオキシド鎖を有するミクロゲルは、2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物を水と非混和性の溶剤に溶解させ、この溶液を、イソシアネート基と反応しうる活性水素原子を有する基を片末端に1つ以上有するポリアルキレンオキシド鎖を含む化合物を含む水溶液に乳化分散させた後、乳化分散液の油滴から溶剤を除去することにより製造してもよいし、多官能イソシアネート化合物と活性水素原子を有する基を片末端に1つ以上有するポリアルキレンオキシド鎖を含む化合物を反応させた後に、水と非混和性の溶剤に溶解させ、この溶液を、水溶液に乳化分散させた後、乳化分散液の油滴から溶剤を除去することにより製造してもよい。
ポリアルキレンオキシド鎖を有する化合物としては、例えばポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体等が挙げられる。これらのポリマーは、例えばアルコール、アルコキシド、カルボン酸、カルボン酸塩等を重合開始末端としてエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状化合物を開環重合し、重合開始末端を従来公知の反応(例えば、加水分解反応、還元反応など)により活性水素原子を有する基であるヒドロキシ基やアミノ基等に変換することで合成できる。また、片末端に活性水素原子を有する基を有するポリエーテルも利用できる。これらの中でもポリエチレンオキシドのモノエーテル体(該モノエーテルとしてはモノメチルエーテル、モノエチルエーテル等が挙げられる)、ポリエチレンオキシドのモノエステル体(該モノエステルとしてはモノ酢酸エステル、モノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる)がより好ましい。
なかでも、下記一般式(c)で表される末端アミノ基又は末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル誘導体が好ましい。
Figure 0005746936
一般式(c)において、Xは連結基を表す。好ましい連結基としては、−C(=O)−又は−SO2−が挙げられる。中でも−C(=O)−が好ましい。
一般式(c)において、mは0又は1を表し、Yはアミノ基又はヒドロキシ基を表し、Aはアリーレン基又はアルキレン基を表す。
Aで表されるアリレン基としては、置換基を有していてもよく、総炭素数が6〜30のアリレン基が好ましく、特に総炭素数が6〜20のアリレン基が好ましい。置換されている場合の上記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基が好ましく、特にアルキル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、トリレン基、(メトキシ)フェニレン基等が挙げられる。
Aで表されるアルキレン基としては、総炭素数が1〜30のアルキレン基が好ましく、特に総炭素数が1〜20のアルキレン基が好ましい。この様なアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
一般式(c)において、上記−(X)m−A−Yで表される基の具体例としては、アミノエチル基、アミノプロピル基、4−アミノベンゾイル基、3−アミノベンゾイル基、4−アミノベンゼンスルホニル基、アミノアセチル基、アミノエチルスルホニル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシベンゾイル基、3−ヒドロキシベンゾイル基、4−ヒドロキシベンゼンスルホニル基、ヒドロキシアセチル基、ヒドロキシエチルスルホニル基、等が挙げられる。
一般式(c)において、Lはアルキレン基を表す。Lで表されるアルキレン基としては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が2〜20のアルキレン基が好ましく、特に総炭素数が2〜10のアルキレン基が好ましい。置換されている場合の上記置換基としては、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アシル基が好ましく、中でも特にアリール基が好ましい。この様なアルキレン基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、シクロヘキシレン基、ビニルエチレン基、フェノキシメチルエチレン基等が挙げられ、特にエチレン基、プロピレン基が好ましく、最も好ましくは、エチレン基である。
一般式(c)において、繰り返し単位−(L−O)n−は、n個の繰り返しにおいてそれぞれLが独立していてもよいが、Lが同一であることが特に好ましい。この様な繰り返し単位を有するポリエーテルの具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリシクロヘキシレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドランダム共重合体等が挙げられる。なかでもポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体が好ましく、ポリエチレンオキシドが最も好ましい。
一般式(c)において、Rは活性水素原子をもたない有機基を表す。Rとしてはイソシアネート基と反応する活性水素原子をもたない有機基であれば特に限定されないが、好ましい有機基としては、アルキル基、アリール基、アシル基が挙げられる。より好ましいものとしてはアルキル基、アリール基、アシル基が挙げられる。
Rで表されるアルキル基としては、総炭素数が1〜30のものが好ましく、特に総炭素数が1〜20のものが好ましい。この様なアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、ベンジル基、アリル基、オレイル基、メトキシエチル基等が挙げられる。メチル基が最も好ましい。
Rで表されるアリール基としては、総炭素数が6〜30のものが好ましく、特に総炭素数が6〜20のものが好ましい。この様なアリール基の具体例としては、フェニル基、ノニルフェニル基、オクチルフェニル基、メトキシフェニル基等が挙げられる。
Rで表されるアシル基としては、脂肪族でも芳香族のアシル基でもよく、また置換基を有していてもよく、更に分岐を有していてもよく、総炭素数が2〜30のものが好ましく、特に総炭素数が2〜20のものが好ましい。この様なアシル基の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基、(メタ)アクリロイル基、オレオイル基、ラウロイル基、ステアロイル基、メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
以上、この様なRで表される基の中でも、アルキル基が好ましい。
一般式(c)において、nはポリエーテル基の平均付加モル数で10〜120の数を表し、該平均付加モル数としては12〜100の数が好ましい。
多官能イソシアネート化合物とポリアルキレンオキシド鎖の割合はイソシアネート官能基と活性水素原子を有する基のモル比で100/1〜100/60が好ましく、100/2〜100/30がさらに好ましく、100/5〜100/20が最も好ましい。
以下に、上記一般式(c)で表される末端アミノ基又は末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル誘導体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005746936
〔油相を水相中に分散するための水溶性高分子〕
ミクロゲルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム及びアルギン酸ナトリウムを挙げることができる。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物と反応しないか、極めて反応し難いものが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは予め反応性をなくしておくことが必要である。
〔界面活性剤〕
ミクロゲル化において、界面活性剤を油相あるいは水相の何れに添加して使用してもよいが、有機溶媒に対する溶解度が低いために水相に添加する方が容易である。添加量は油相の質量に対し0.1〜5質量%、特に0.5〜2質量%が好ましい。一般に乳化分散に用いる界面活性剤は、比較的長鎖の疎水基を有する界面活性剤が優れているとされており「界面活性剤便覧」(西一郎ら、産業図書発行(1980))、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などのアルカリ金属塩を用いることができる。
本発明において、界面活性剤(乳化助剤)として芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物や芳香族カルボン酸塩のホルマリン縮合物などの化合物を使用することもできる。具体的には、下記一般式で表わされる化合物が挙げられる。この化合物については特開平06−297856号公報に記載されている。
Figure 0005746936
上式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、XはSO3 -又はCOO- を表し、MはNa又はKを表し、そしてqは1〜20の整数を表す。]
またアルキルグルコシド系化合物も同様に使用することができる。具体的には、下記の一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005746936
上式中、Rは炭素原子数4〜18のアルキル基を、qは0〜2の整数を表わす。
本発明においては、いずれの界面活性剤も単独で使用しても二種以上適宜併用してもよい。
〔ミクロゲルの粒径〕
上記ミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmが更に好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
〔(A)ラジカル重合性化合物〕
本発明における画像記録層に用いるラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、メルカプト基類との付加反応物、更にハロゲノ基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、メルカプト基類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらは、特表2006−508380号公報、特開2002−287344号公報、特開2008−256850号公報、特開2001−342222号公報、特開平9−179296号公報、特開平9−179297号公報、特開平9−179298号公報、特開2004−294935号公報、特開2006−243493号公報、特開2002−275129号公報、特開2003−64130号公報、特開2003−280187号公報、特開平10−333321号公報、を含む参照文献に記載されている。
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
また、イソシアネートとヒドロキシ基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(d)で示されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (d)
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報、特開2003−344997号公報、特開2006−65210号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報、特開2000−250211号公報、特開2007−94138号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類や、米国特許第7153632号明細書、特表平8−505958号公報、特開2007−293221号公報、特開2007−293223号公報記載の親水基を有するウレタン化合物類も好適である。
上記の中でも、機上現像性に関与する親水性と耐刷性に関与する重合能のバランスに優れる点から、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌル酸エチレンオキシド変性アクリレート類が特に好ましい。
これらのラジカル重合性化合物の構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。上記の重合性化合物は、画像記録層の全固形分に対して、好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜60質量%の範囲で使用される。
〔(B)赤外吸収染料〕
赤外線吸収染料は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して(C)ラジカル重合開始剤に電子移動及びエネルギー移動の少なくとも一方をする機能を有する。
染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 0005746936
一般式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−N(R)(R10)、−X−L又は以下に示す基を表す。ここで、R及びR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子を表し、またRとR10とが互いに結合して環を形成してもよい。なかでもフェニル基が好ましい(−NPh)。Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロアリール基、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。以下に示す基において、Xaは後述するZaと同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 0005746936
及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましい。またRとRは互いに連結し環を形成してもよく、環を形成する際は5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアリール基を示す。好ましいアリール基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Zaは、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZaは必要ない。好ましいZaは、画像記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載の化合物、特開2002−023360号公報の段落番号[0016]〜[0021]、特開2002−040638号公報の段落番号[0012]〜[0037]に記載の化合物、好ましくは特開2002−278057号公報の段落番号[0034]〜[0041]、特開2008−195018公報の段落番号[0080]〜[0086]に記載の化合物、最も好ましくは特開2007−90850号公報の段落番号[0035]〜[0043]に記載の化合物が挙げられる。
また特開平5−5005号公報の段落番号[0008]〜[0009]、特開2001−222101号公報の段落番号[0022]〜[0025]に記載の化合物も好ましく使用することができる。
また、これらの(B)赤外線吸収染料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、顔料等の赤外線吸収染料以外の赤外線吸収剤を併用してもよい。顔料としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0072]〜[0076]に記載の化合物が好ましい。
〔(C)ラジカル重合開始剤〕
本発明の画像記録層には、公知のラジカル重合開始剤が用いられる。このようなラジカル重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(h)有機ホウ酸塩化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物、が挙げられる。なかでも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、アジニウム塩、オキシムエステル化合物及びトリアジン化合物を挙げることができる。
これらの具体例としては、例えば、特開2008−195018号公報に記載の化合物を挙げることができる。
上記ラジカル重合開始剤は、画像記録層の全固形分に対し、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。
〔(E)バインダーポリマー〕
本発明の画像記録層には、画像記録層の膜強度を向上させるため、バインダーポリマーを用いることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。なかでも、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
なかでも本発明に好適なバインダーポリマーとしては、特開2008−195018号公報に記載のような、画像部の皮膜強度を向上するための架橋性官能基を主鎖又は側鎖、好ましくは側鎖に有しているものが挙げられる。架橋性基によってポリマー分子間に架橋が形成され、硬化が促進する。
架橋性官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、スチリル基などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、これらの基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するアクリルポリマーやポリウレタンとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは0.25〜7.0mmol、最も好ましくは0.5〜5.5mmolである。
また、本発明において、該バインダーポリマーは、更に親水性基を有することが好ましい。親水性基は画像記録層に機上現像性を付与するのに寄与する。特に、架橋性基と親水性基を共存させることにより、耐刷性と現像性の両立が可能になる。
親水性基としては、たとえば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキレンオキシド構造、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、スルホ基、リン酸基等などがあり、なかでも、炭素数2又は3のアルキレンオキシド単位を1〜9個有するアルキレンオキシド構造が好ましい。バインダーポリマーに親水性基を付与するには親水性基を有するモノマーを共重合すればよい。
また、本発明において、該バインダーポリマーには、着肉性を制御するため、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などの親油性の基を導入できる。具体的には、メタクリル酸アルキルエステルなどの親油性基含有モノマーを共重合すればよい。
以下に本発明に用いられるバインダーポリマーの具体例(1)〜(11)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお繰り返し単位の比はモル比である。
Figure 0005746936
Figure 0005746936
なお、本発明におけるバインダーポリマーは質量平均モル質量(Mw)が2000以上であることが好ましく、5000以上であるのがより好ましく、1万〜30万であるのが更に好ましい。
〔(F)その他の成分〕
本発明の画像記録層には、必要に応じて、更に下記の成分を含有することができる。
(1)低分子親水性化合物
本発明における画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
本発明においてはこれらの中でも、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類、ベタイン類の群から選ばれる少なくとも一つを含有させることが好ましい。
有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、n−ブチルスルホン酸ナトリウム、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、n−オクチルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;5,8,11−トリオキサペンタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、13−エチル−5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11,14−テトラオキサテトラデコサン−1−スルホン酸ナトリウムなどのエチレンオキシド鎖を含むアルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムなどのアリールスルホン酸塩、特開2007−276454号公報の段落番号[0026]〜[0031]、特開2009−154525号公報の段落番号[0020]〜[0047]に記載の化合物などが挙げられる。塩は、カリウム塩、リチウム塩でもよい。
有機硫酸塩としては、ポリエチレンオキシドのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又は複素環モノエーテルの硫酸塩が挙げられる。エチレンオキシド単位は1〜4であるのが好ましく、塩は、ナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩が好ましい。これらの具体例としては、特開2007−276454号公報の段落番号[0034]〜[0038]に記載の化合物が挙げられる。
ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素原子数が1〜5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオブチラート、4−(1−ピリジニオ)ブチラート、1−ヒドロキシエチル−1−イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3−トリメチルアンモニオ−1−プロパンスルホナート、3−(1−ピリジニオ)−1−プロパンスルホナートなどが挙げられる。
上記の低分子親水性化合物は、疎水性部分の構造が小さくて界面活性作用がほとんどないため、湿し水が画像記録層露光部(画像部)へ浸透して画像部の疎水性や皮膜強度を低下させることがなく、画像記録層のインキ受容性や耐刷性を良好に維持できる。
これら低分子親水性化合物の画像記録層への添加量は、画像記録層全固形分量の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上15質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以上10質量%以下である。この範囲で良好な機上現像性と耐刷性が得られる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(2)感脂化剤
本発明の画像記録層には、着肉性を向上させるために、画像記録層にホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質の層状化合物を含有させる場合、これらの化合物は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報及び特開2007−50660号公報に記載のホスホニウム化合物を挙げることができる。具体例としては、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1,4−ビス(トリフェニルホスホニオ)ブタン=ジ(ヘキサフルオロホスファート)、1,7−ビス(トリフェニルホスホニオ)ヘプタン=スルファート、1,9−ビス(トリフェニルホスホニオ)ノナン=ナフタレン−2,7−ジスルホナートなどが挙げられる。
上記含窒素低分子化合物としては、アミン塩類、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。またイミダゾリニウム塩類、ベンゾイミダゾリニウム塩類、ピリジニウム塩類、キノリニウム塩類も挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩類、及びピリジニウム塩類が好ましい。具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、特開2008−284858号公報段落番号[0021]〜[0037]、特開2009−90645号公報段落番号[0030]〜[0057]に記載の化合物などが挙げられる。
上記アンモニウム基含有ポリマーとしては、その構造中にアンモニウム基を有すれば如何なるものでもよいが、側鎖にアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として5〜80モル%含有するポリマーが好ましい。具体例としては、特開2009−208458号公報段落番号[0089]〜[0105]に記載のポリマーが挙げられる。
上記アンモニウム塩含有ポリマーは、特開2009−208458号公報記載の測定方法で求められる還元比粘度(単位:ml/g)の値で、5〜120の範囲のものが好ましく、10〜110の範囲のものがより好ましく、15〜100の範囲のものが特に好ましい。上記還元比粘度を質量平均モル質量(Mw)に換算すると、10000〜150000が好ましく、17000〜140000がより好ましく、20000〜130000が特に好ましい。
以下に、アンモニウム基含有ポリマーの具体例を示す。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90 Mw4.5万)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.0万)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70 Mw4.5万)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.0万)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60 Mw7.0万)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比 25/75 Mw6.5万)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.5万)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw7.5万)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5 Mw6.5万)
上記感脂化剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して0.01〜30.0質量%が好ましく、0.1〜15.0質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
(3)その他
更にその他の成分として、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、無機質層状化合物、及び増感助剤もしくは連鎖移動剤などを添加することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落番号[0114]〜[0159]、特開2006−091479号公報の段落番号[0023]〜[0027]、米国特許公開2008/0311520号明細書の段落番号[0060]に記載の化合物及び添加量が好ましい。
〔画像記録層の形成〕
本発明における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0142]〜[0143]に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、これを支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/mが好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
[下塗り層]
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある)を設けることが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からの剥離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわず現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ。
下塗り層に用いる化合物としては、ホスホン酸、リン酸、スルホン酸などの酸基を有する化合物を有する下塗り層が好ましく用いられる。更に、支持体表面に吸着可能な吸着性基、及び画像記録層と密着性を向上させるために架橋性基を有するものが好ましい。これらの化合物は、低分子でも高分子ポリマーであってもよい。又、これらの化合物は必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。
高分子ポリマーである場合は、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、及び架橋性基を有するモノマーの共重合体が好ましい。支持体表面に吸着可能な吸着性基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−、−COCH2COCH3が好ましい。親水基としては、スルホ基が好ましい。架橋性基としてはメタクリル基、アリル基などが好ましい。この高分子ポリマーは、高分子ポリマーの極性置換基と、対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が好適に挙げられる。特開2005−238816号、特開2005−125749号、特開2006−239867号、特開2006−215263号の各公報記載の架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)、支持体表面に相互作用する官能基、及び親水性基を有する低分子又は高分子化合物を含有するものも好ましく用いられる。より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載の支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基、及び架橋性基を有する高分子ポリマーが挙げられる。
下塗り層用高分子樹脂中の不飽和二重結合の含有量は、高分子ポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、最も好ましくは0.2〜5.5mmolである。
下塗り層用の高分子ポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
本発明の下塗り層は、上記下塗り層用化合物の他に、経時における汚れ防止のため、キレート剤、第2級又は第3級アミン、重合禁止剤、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基とアルミニウム支持体表面と相互作用する基とを有する化合物等(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−p−キノン、クロラニル、スルホフタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸など)を含有することができる。
下塗り層は、公知の方法で塗布される。下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
[支持体]
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
また、上記アルミニウム板は必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。
本発明の支持体には必要に応じて、裏面に、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されているケイ素のアルコキシ化合物を含むバックコート層を設けることができる。
[保護層]
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような特性の保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。保護層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしては、カルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号、特開2006−259137号の公報に記載の変性ポリビニルアルコールが好適である。
また、保護層には酸素遮断性を高めるため、特開2005−119273号公報に記載のように天然雲母、合成雲母等の無機質の層状化合物を含有することが好ましい。
無機質層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式 A(B,C)2−510(OH,F,O)
〔ただし、AはLi,K,Na,Ca,Mg,有機カチオンの何れか、B及びCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSi又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・HOで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si10)F等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、Na又はLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
上記の層状化合物の中でも、雲母が好ましく、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、この膨潤性合成雲母や、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘土鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にLi、Na、Ca2+、Mg2+、有機カチオン等の陽イオンを吸着している。これらの無機質層状化合物は水により膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母はこの傾向が強い。
層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は好ましくは20以上であり、より好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
上記の層状化合物の具体的な添加量の合計は、用いる層状化合物によって異なるので一概には決めがたいが、一般に、保護層の全固形分の3〜80質量%が好ましく、より好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%である。これらの範囲で酸素遮断性が向上し、良好な感度が得られる。また、着肉性の低下を防止できる。
層状化合物の粒子径は、その平均径が1〜20μm、好ましくは1〜10μm、特に好ましくは2〜5μmである。粒子径が1μm以上であれば酸素や水分の透過の抑制が十分であり、効果を十分に発揮でき好ましい。また20μm以下であれば塗布液中での分散安定性が十分であり、安定的な塗布を行うことができ好ましい。また、該粒子の平均の厚さは、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度であることが好ましい。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる効果が得られる。
また、保護層には、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御する無機微粒子など公知の添加物を含むことができる。また、画像記録層の説明に記載した感脂化剤を保護層に含有させることもできる。
保護層は、公知の方法で塗布される。保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/mの範囲であることが好ましく、0.02〜3g/mの範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/mの範囲である。
また、画像部との密着性や耐傷性も、版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これらの2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば特公昭54−12215号公報、英国特許出願公開第1303578号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
[製版方法]
本発明の平版印刷版原版は、露光後、現像処理工程で現像されてから印刷に供せられるか、あるいは現像処理工程を経ることなく、印刷インキと湿し水とを供給して機上現像されて、そのまま印刷に供せられる。以下、本発明の製版方法について詳細に説明する。
〔露光〕
本発明において画像様の露光に用いられる光源としては、レーザーが好ましい。本発明に用いられるレーザーは波長760〜1200nmの赤外線を照射する固体レーザーが好適に挙げられる。
赤外線レーザーの出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cmであるのが好ましい。露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
〔現像処理〕
本発明の平版印刷版原版の現像処理は、公知の方法で行うことができる。界面活性剤、有機溶剤、アルカリ剤、水溶性高分子化合物、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などから選ばれる成分を含有する水溶液からなる公知の現像液が用いられる。pH10未満の水溶液を用いることもでき、その際、界面活性剤及び水溶性樹脂の少なくとも一方を含有する現像液が好ましい。通常平版印刷版原版を現像した後に版を保護するための不感脂化液も現像液として用いることもできる。
なお、本発明において、現像処理後の平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
以上の現像処理等を行うことで得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
〔機上現像〕
露光された平版印刷版原版は、印刷機の版胴に装着される。レーザー露光装置付きの印刷機の場合は、平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着したのち画像様露光される。
平版印刷版原版を赤外線レーザー等で画像様に露光した後、湿式現像処理工程等の現像処理工程を経ることなく印刷インキと湿し水とを供給して印刷すると、画像記録層の露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水及び印刷インキの少なくとも一方によって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像記録層に着肉して印刷が開始される。
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でも印刷インキでもよいが、除去された画像記録層の成分によって湿し水が汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。湿し水及び印刷インキとしては、通常の平版印刷用の湿し水と印刷インキが用いられる。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、高分子化合物の分子量は質量平均モル質量(Mw)であり、繰り返し単位の比はモル比である。なお、実施例2〜3、8〜9、14〜15、27〜35は「参考例」と読み替えるものとする。
[ミクロゲルの合成例]
以下に、ミクロゲルの代表的合成例を示す。本発明のミクロゲルは、これらの合成例に準じて合成することができる。表1と2には、実施例の平版印刷版原版の作製に用いたミクロゲルを一覧で示した。
なお、成分として記載のH−1、M−1などは、各成分の説明に記載の例示化合物番号を示す。また、合成例1,2を示すが、どちらの合成方法を用いてもかまわない。
<ミクロゲルの合成1(MG−1)>
油相成分として、下記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32gを酢酸エチル4.12gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.05g、親水性化合物(H−2)0.40g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−205)1gを蒸留水14gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水5gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.1g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルとした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
多官能イソシアネート(1)
Figure 0005746936
<ミクロゲルの合成2(MG−5)>
上記ミクロゲルの合成1における親水性化合物(H−2)0.40gの代わりに親水性化合物(H−23)0.51gを用いた以外はミクロゲルの合成1と同様にして、固形分濃度が15質量%のミクロゲルを得た。これをミクロゲルMG−5とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成3(比較MG−1)>
上記ミクロゲルの合成1において親水性化合物(H−2)を添加しなかった以外はミクロゲルの合成1と同様にして、固形分濃度が15質量%の比較用のミクロゲルを得た。これをミクロゲル比較MG−1とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成4(MG−7)>
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39gを酢酸エチル5.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.23g、親水性化合物(H−2)0.40gを蒸留水35gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水12gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.15g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルMG−7とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成5(比較MG−2)>
上記ミクロゲルの合成4において親水性化合物(H−2)を添加しなかった以外はミクロゲルの合成4と同様にして、固形分濃度が15質量%の比較用のミクロゲルを得た。これをミクロゲル比較MG−2とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成6(MG−13)>
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、活性水素を有する基とエチレン性不飽和結合を有する化合物(以下では、エチレン性不飽和結合化合物と略記する。)(M−10)6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.1g、親水性化合物(H−2)0.40g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−205)1gを蒸留水37gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水13gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルMG−13とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成7(比較MG−3)>
上記ミクロゲルの合成6において親水性化合物(H−2)を添加しなかった以外はミクロゲルの合成6と同様にして、固形分濃度が15質量%の比較用のミクロゲルを得た。これをミクロゲル比較MG−3とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成8(MG−19)>
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39g、エチレン性不飽和結合化合物(M−10) 6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.1g、親水性化合物(H−1)0.45gを蒸留水42gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水15gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルMG−19とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成9(MG−31)>
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32gに親水性化合物(H−11のナトリウム塩)1.06g、メチルエチルケトン3g、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.1g、サンアプロ社製)を加えて60℃、4時間撹拌した。もう一つの油相成分として、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ9、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39g、エチレン性不飽和結合化合物(M−10)6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.1gを蒸留水42gに添加した溶液を調整した。
油相成分二つと及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水15gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルMG−31とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成10(比較MG−4)>
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39g、エチレン性不飽和結合化合物としてM−10 6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相として蒸留水42gを添加した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水15gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルとした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<ミクロゲルの合成11(比較MG−5)>
(1)イソシアネート基と反応する活性水素原子を有する基を片末端に1つ以上有する親水性ポリマーの合成
メタクリル酸3-スルホプロピルエステルカリウム塩100g、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩2.0g、和光純薬工業(株)製重合開始剤VA−044 0.3gを水100gに溶解し得られた水溶液を 窒素雰囲気下、50℃に保たれた水100g中へ2時間で滴下し、更に滴下後、50℃で2時間、60℃で2時間攪拌し、冷却後、アセトン3Lへ徐々に滴下すると、白色の固体が析出する。得られた固体をろ過、乾燥し、末端アミン塩酸塩の親水性ポリマーが95g得られた。(Mw21000)。
(2)上記親水性ポリマーを用いたミクロゲルの合成
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39g、エチレン性不飽和結合化合物(M−10) 6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.1g、親水性ポリマー0.90gを蒸留水42gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水15gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲル比較MG−5とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
以下に合成したミクロゲルの一覧表を示す。
エチレン性不飽和結合化合物の欄には、芯物質として用いたラジカル重合性化合物M−15も併記した。
Figure 0005746936
Figure 0005746936
[平版印刷版原版の作製と評価]
1.平版印刷版原版の作製
(1)支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
続いて、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体(1)を作製した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、支持体(1)に2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて60℃で10秒間、シリケート処理を施し、その後、水洗して支持体(2)を得た。Siの付着量は10mg/mであった。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
(2)下塗り層の形成
次に、上記支持体(2)上に、下記下塗り層用塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/mになるよう塗布して、以下の実験に用いる下塗り層を有する支持体を作製した。
<下塗り層用塗布液(1)>
・下記構造の下塗り層用化合物(1) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
Figure 0005746936
(3)画像記録層の形成
上記のようにして形成された下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。
<画像記録層塗布液(1)>
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕 0.240g
・ミクロゲル(表記載の合成ミクロゲル) 1.900g
・赤外線吸収染料(1)〔下記構造〕 0.015g
・ラジカル重合開始剤(1)〔下記構造〕 0.100g
・ラジカル重合性化合物
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製) 0.192g
・低分子親水性化合物
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩 0.018g
・感脂化剤
アンモニウム基含有ポリマー
[下記構造、還元比粘度44cSt/g/ml] 0.035g
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
上記の、低分子親水性化合物(1)、ホスホニウム化合物(1)、及びアンモニウム基含有ポリマーの構造は、以下に示す通りである。
Figure 0005746936

Figure 0005746936
(3)保護層の形成
上記画像記録層上に、さらに下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/mの保護層を形成して実施例1〜53用及び比較例1〜5用の平版印刷版原版を得た。
<保護層塗布液(1)>
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤
(エマレックス710)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
2.平版印刷版原版の評価
(1)機上現像性
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とスペースカラーフュージョンG墨インキ(DICグラフィックス(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に印刷を500枚行った。
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。結果を表3と4に示す。
経時後の機上現像性に関しては、45℃で2日間強制経時させた平版印刷版原版を用いて上記と同様の実験を行い、機上現像性を計測した。結果を表3と4に示す。
(2)耐刷性
上述した経時前の機上現像性の評価を行った後、さらに印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン50%網点の網点面積率をグレタグ濃度計で計測した値が印刷100枚目の計測値よりも5%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。結果を表3と4に示す。
Figure 0005746936
Figure 0005746936
本発明の平版印刷版原版を用いると、得られる平版印刷版の高い耐刷性を維持したまま、経時後の現像性を良化することができる。
本発明の特定親水性化合物に代えて、特許文献8に記載の、イオン性親水性基を側鎖に有する繰り返し単位を有し、活性水素原子を有する基を有する高分子化合物を用いた比較例5は、現像性は経時後も良好だが、耐刷性が低いことが分かる。

Claims (10)

  1. 親水性支持体上に、(A)ラジカル重合性化合物、(B)赤外吸収染料、(C)ラジカル重合開始剤、及び(D)ミクロゲルを含有する重合性組成物を含有する画像記録層を有する平版印刷版原版であって、前記(D)ミクロゲルが、(1)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらにホスホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩、ベタイン構造から選ばれるイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物、(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物、及び(3)多官能イソシアネート化合物との反応により得られることを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 前記イオン性親水性基が、ホスホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記イオン性親水性基が、スルホン酸基又はその塩、硫酸モノエステル基又はその塩から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物が、水、多官能アミン、多官能アルコール、多官能フェノール及び多官能チオールから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物がエチレン性不飽和結合を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記ミクロゲルが芯物質としてラジカル重合性化合物を有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  7. 前記ミクロゲルがポリアルキレンオキシド鎖を有していること特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  8. 前記画像記録層上に無機質の層状化合物を含有する保護層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  9. 前記画像記録層の未露光部が湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去可能であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  10. 請求項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光した後、印刷機シリンダーに取り付け、画像記録層の未露光部を湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去することを特徴とする製版方法。
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