JP6523981B2 - ネガ型平版印刷版原版、及び平版印刷版の作製方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の課題は、耐汚れ性及び耐刷性が共に優れる平版印刷版の作製方法を提供することである。
本発明は、下記の構成を包含する。
(1) 支持体と、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物及びラジカル重合開始剤を含有する画像記録層(但し、芯物質が下記式Zで示される重合性不飽和基含有化合物及び3価のリン化合物であり、この芯物質を含有する殻壁成分がウレア結合を分子構造中に有することを特徴とするマイクロカプセルを含有する画像記録層を除く)を有するネガ型平版印刷版原版。
一般式(1)中、
Aは単結合又は二価の連結基を表す。
Arはベンゼン核又はナフタレン核を表す。
R 1 は水酸基、アルキル基又はアリール基を表す。
iは0〜3の整数を表す。iが2以上の整数を表す場合、複数存在するR 1 は同じでも異なってもよい。
R 2 は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
Lは*−O−**、*−OCO−**又は*−OCONH−**を表す。*はArに結合する部位を表す。**はYに結合する部位を表す。
Yは(m+1)価の連結基を表す。
Xは(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。
lは0又は1の整数を表す。
mは1又は2の整数を表す。
但し、lが0の場合、mは1である。
nは1又は2の整数を表す。
(2) 上記一般式(1)において、lが0を表すか、又は、lが1を表し、Lが*−OCO−**もしくは*−OCONH−**を表す(1)に記載のネガ型平版印刷版原版。
(3) 上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物の質量平均分子量が、1,000〜200,000である(1)又は(2)に記載のネガ型平版印刷版原版。
(4) 上記ラジカル重合開始剤が、オニウム塩、ボレート塩及びアミノ酢酸化合物から選択される少なくとも1つのラジカル重合開始剤である(1)〜(3)のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
(5) 上記画像記録層が、更に、ラジカル重合性化合物を含有する(1)〜(4)のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
(6) 上記画像記録層が、更に、増感色素を含有する(1)〜(5)のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
(7) 上記増感色素が、赤外線吸収染料である(6)に記載のネガ型平版印刷版原版。
(8) 上記支持体と上記画像記録層の間に、支持体吸着性基及び付加重合可能なエチレン性二重結合基を有する化合物を含有する下塗り層を有する(1)〜(7)のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
(9) 上記画像記録層の上に、保護層を有する(1)〜(8)のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
(10) (1)〜(9)のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して上記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
(11) (1)〜(9)のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、pHが2〜14の現像液により上記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
(12) (9)に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、pH2〜11の1浴現像液により上記保護層と上記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
本発明は、上記(1)〜(12)に記載のネガ型平版印刷版原版、及び平版印刷版の作製方法に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載する。
Aは単結合又は二価の連結基を表す。
Arはベンゼン核又はナフタレン核を表す。
R1は水酸基、アルキル基又はアリール基を表す。
iは0〜3の整数を表す。iが2以上の整数を表す場合、複数存在するR1は同じでも異なってもよい。
R2は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
Lは*−O−**、*−OCO−**又は*−OCONH−**を表す。*はArに結合する部位を表す。**はYに結合する部位を表す。
Yは(m+1)価の連結基を表す。
Xは(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。
lは0又は1の整数を表す。
mは1又は2の整数を表す。
但し、lが0の場合、mは1である。
nは1又は2の整数を表す。
2.上記一般式(1)において、lが0を表すか、又は、lが1を表し、Lが*−OCO−**もしくは*−OCONH−**を表す1.に記載のネガ型平版印刷版原版。
3.上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物の質量平均分子量が、1,000〜200,000である1.又は2.に記載のネガ型平版印刷版原版。
4.上記ラジカル重合開始剤が、オニウム塩、ボレート塩及びアミノ酢酸化合物から選択される少なくとも1つのラジカル重合開始剤である1.〜3.のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
5.上記画像記録層が、更に、ラジカル重合性化合物を含有する1.〜4.のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
6.上記画像記録層が、更に、増感色素を含有する請求項1.〜5.のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
7.上記増感色素が、赤外線吸収染料である6.に記載のネガ型平版印刷版原版。
8.上記支持体と上記画像記録層の間に、支持体吸着性基及び付加重合可能なエチレン性二重結合基を有する化合物を含有する下塗り層を有する1.〜7.のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
9.上記画像記録層の上に、保護層を有する1.〜8.のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
10.1.〜9.のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して上記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
11.1.〜9.のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、pHが2〜14の現像液により上記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
12.9.に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、pH2〜11の1浴現像液により上記保護層と上記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
また、本発明によれば、耐汚れ性及び耐刷性が共に優れる平版印刷版の作製方法を提供することができる。
本発明に係るネガ型平版印刷版原版は、支持体と、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物及びラジカル重合開始剤を含有する画像記録層を有する。
Aは単結合又は二価の連結基を表す。
Arはベンゼン核又はナフタレン核を表す。
R1は水酸基、アルキル基又はアリール基を表す。
iは0〜3の整数を表す。iが2以上の整数を表す場合、複数存在するR1は同じでも異なってもよい。
R2は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
Lは*−O−**、*−OCO−**又は*−OCONH−**を表す。*はArに結合する部位を表す。**はYに結合する部位を表す。
Yは(m+1)価の連結基を表す。
Xは(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。
lは0又は1の整数を表す。
mは1又は2の整数を表す。
但し、lが0の場合、mは1である。
nは1又は2の整数を表す。
<一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物>
本発明に係るネガ型平版印刷版原版(以下、単に、平版印刷版原版ということもある)の画像記録層に含有される一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物(以下、単に、化合物Aということもある)について詳細に説明する。
R1で表されるアリール基は、炭素数6から12のアリール基が好ましく、炭素数6から9のアリールがより好ましく、炭素数6のアリール基が更に好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。R1で表されるアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
R2で表されるアリール基は、炭素数6から12のアリール基が好ましく、炭素数6から9のアリールがより好ましく、炭素数6のアリール基が更に好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。R2で表されるアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
R1はメチル基が好ましい。
iは0〜2が好ましい。
R2は水素原子、フェニル基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基が好ましい。
lが0、又は、lが1でLが*−OCO−**もしくは*−OCONH−**が好ましい。
Xはメタクリロイルオキシ基が好ましい。
mは1〜2が好ましい。
nは1が好ましい。
化合物Aの質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値である。化合物Aの質量平均分子量は、具体的には、装置としてHLC−8120(東ソー(株)製)を、カラムとしてTSK gel Multipore HXL−M(東ソー(株)製、7.8mmID×30.0cmを、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて求めることができる。
Sstd:内標準物質のピーク面積(積分値)
Nsample:化合物Aの(メタ)アクリロイル基のプロトン数(官能基の水素の数)
Nstd:内標準物質のプロトン数(官能基の水素の数)
msample:化合物Aの調製試料質量(g)
mstd:内標準物質の調製試料質量(g)
Mstd:内標準物質の分子量
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液の量(mL)
f:0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
本発明に係るネガ型平版印刷版原版の画像記録層に含有されるラジカル重合開始剤(以下、単に、重合開始剤ということもある)について詳細に説明する。
本発明に係るネガ型平版印刷版原版の画像記録層においては、オニウム塩、ボレート塩及びアミノ酢酸化合物から選択される少なくとも1つのラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
オニウム塩は、750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する赤外線吸収剤と併用して用いることが特に好ましい。
ラジカル重合開始剤の含有量は、画像記録層全固形分に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは1.0〜10質量%である。
化合物Aは、(メタ)アクリロイルオキシ基を高比率で含有しており、画像露光により共存するラジカル重合開始剤から発生するラジカルによる架橋効率(化合物A同士の架橋および化合物Aとラジカル重合性化合物との架橋)が優れている。このため、露光部の硬化が効率よく進行し、その結果、耐刷性が向上すると考えられる。
画像記録層に用いるラジカル重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。ラジカル重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態を有する。
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらは、特表2006−508380号公報、特開2002−287344号公報、特開2008−256850号公報、特開2001−342222号公報、特開平9−179296号公報、特開平9−179297号公報、特開平9−179298号公報、特開2004−294935号公報、特開2006−243493号公報、特開2002−275129号公報、特開2003−64130号公報、特開2003−280187号公報、特開平10−333321号公報等に記載されている。
(ただし、R104およびR105は、HまたはCH3を示す。)
ラジカル重合性化合物の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは8〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
画像記録層は、増感色素を含有することが好ましい。増感色素は、画像露光時の光を吸収して励起状態となり、ラジカル重合開始剤に電子移動、エネルギー移動又は発熱などでエネルギーを供与し、重合開始機能を向上させるものであれば特に限定せず用いることができる。特に、300〜450nm又は750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましく用いられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
画像記録層は、上記化合物Aに加えて、バインダーポリマーを含有していてもよい。バインダーポリマーは、画像記録層成分を支持体上に担持可能であり、機上現像あるいは現像液により除去可能であるポリマーが好適に用いられる。バインダーポリマーとしては、当業界で公知の(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが用いられる。特に、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が好ましく用いられ、より好ましくは(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂である。
(メタ)アクリル系重合体の好適な一例としては、酸基を含有する繰り返し単位を有する共重合体が挙げられる。酸基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基等が挙げられるが、特にカルボン酸基が好ましい。酸基を含有する繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位や下記一般式(I)で表されるものが好ましく用いられる。
R212で表される連結基が有していてもよい置換基としては、水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
n211は1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
(メタ)アクリル系重合体はさらに架橋性基を有することが好ましい。ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に画像記録層中で起こるラジカル重合反応の過程で上記バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましい。エチレン性不飽和結合基としては、スチリル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
バインダーポリマー中の酸基の一部が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、塩基性窒素を含有する化合物やアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属の4級アンモニウム塩などが挙げられる。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、3〜20質量%が更に好ましい。
画像記録層は、低分子親水性化合物を含有してもよい。低分子親水性化合物は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させる機能を有する。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類等が挙げられる。
低分子親水性化合物の含有量は、画像記録層の全固形分に対して0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%が更に好ましい。
画像記録層は、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を含有してもよい。感脂化剤は、着肉性を向上させる機能を有する。特に、無機質の層状化合物を含有する保護層が設けられている場合、感脂化剤は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する効果を有する。
30%ポリマー溶液3.33g(固形分として1g)を、20mlのメスフラスコに秤量し、N−メチルピロリドンでメスアップする。この溶液を30℃の恒温槽で30分間静置し、ウベローデ還元粘度管(粘度計定数=0.010cSt/s)に入れて30℃にて流れ落ちる時間を測定する。なお測定は同一サンプルで2回測定し、その平均値を算出する。同様にブランク(N−メチルピロリドンのみ)の場合も測定し、下記式から還元比粘度(ml/g)を算出する。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90 質量平均分子量4.5万)(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 質量平均分子量6.0万)(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70 質量平均分子量4.5万)(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80 質量平均分子量6.0万)(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60 質量平均分子量7.0万)(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比 25/75 質量平均分子量6.5万)(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 質量平均分子量6.5万)(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 質量平均分子量7.5万)(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5 質量平均分子量6.5万)
画像記録層は、疎水化前駆体を含有してもよい。疎水化前駆体は、機上現像性を向上させる機能を有する。疎水化前駆体は、熱が加えられたときに画像記録層を疎水性に変換できる微粒子を含む。微粒子としては、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子、重合性基を有するポリマー微粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル及びミクロゲル(架橋ポリマー微粒子)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。なかでも、重合性基を有するポリマー微粒子及びミクロゲルが好ましい。
疎水性熱可塑性ポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレートまたはメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマーまたはそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好ましくは、ポリスチレン、スチレンおよびアクリロニトリルを含む共重合体、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
画像記録層は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683−684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。画像記録層には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類等)を好ましく用いることができる。
画像記録層には、更に、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、現像性の促進や塗布面状の向上のための界面活性剤、現像性の向上やマイクロカプセルの分散安定性の向上のための親水性ポリマー、画像部と非画像部を視認するための着色剤や焼き出し剤、画像記録層の製造中または保存中における重合性化合物の不要な熱重合を防止するための重合禁止剤、酸素による重合阻害を防止するための高級脂肪誘導体などの疎水性低分子化合物、画像部の硬化皮膜強度向上のための無機微粒子、有機微粒子、感度の向上の為の共増感剤、可塑性の向上のための可塑剤等を挙げることができる。これの化合物はいずれも公知のもの、例えば、特開2007−206217号公報の段落番号〔0161〕〜〔0215〕、特表2005−509192号公報の段落番号〔0067〕、特開2004−310000号公報の段落番号〔0023〕〜〔0026〕及び〔0059〕〜〔0066〕に記載の化合物を使用することができる。界面活性剤については、後述の現像液に添加してもよい界面活性剤を使用することもできる。
画像記録層は、その形成方法に特に制限はなく、公知の方法で形成することができる。画像記録層は、必要な上記画像記録層成分を適当な溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。溶剤としては、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、γ−ブチルラクトン等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
画像記録層の塗布量(固形分)は、0.3〜3.0g/m2が好ましい。
本発明に係るネガ型平版印刷版原版は、支持体を有する。支持体としては、平版印刷版原版の支持体として用いられる支持体を特に制限なく用いることができる。特に、アルミニウム支持体が好ましい。アルミニウム支持体に用いられるアルミニウム板は、使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すことが好ましい。アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。これらの処理については、特開2007−206217号公報の段落番号〔0241〕〜〔0245〕に記載された方法を好ましく用いることができる。
また、硫酸陽極酸化によって形成される陽極細孔サイズよりも大きい陽極細孔サイズを生じる方法などの他のコンベンショナルな陽極酸化法を用いることもできる。
更に、酸の組合せを用いて、例えば酸の混合物(例えばリン酸と硫酸との混合物)中でアルミニウム板を陽極酸化する方法、又は2種以上の酸を使用して順次陽極酸化する(例えばリン酸陽極酸化に続いて硫酸陽極酸化、又はその逆)方法も好適である。
アルミニウム支持体の色濃度は、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性、現像後の良好な検版性の観点から、反射濃度値で0.15〜0.65が好ましい。
アルミニウム支持体の厚さは、0.1〜0.6mmが好ましく、0.15〜0.4mmがより好ましく、0.2〜0.3mmが更に好ましい。
支持体表面の親水化処理としては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液に浸漬処理又は電解処理するアルカリ金属シリケート処理、フッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、ポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられ、ポリビニルホスホン酸水溶液に浸漬処理する方法が好ましく用いられる。
下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じ易くさせるため、耐刷性を損なわず機上現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ作用を有する。
下塗り層用高分子化合物は、質量平均モル質量が5,000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2が好ましく、1〜30mg/m2がより好ましい。
保護層は、画像記録層表面の保護、露光時における重合反応を妨害する酸素の拡散侵入防止などの作用を有する。保護層の材料としては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらの中で、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった保護層の基本特性において特に良好な結果を与える。
本発明に係るネガ平版印刷版原版は、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4等のケイ素のアルコキシ化合物は、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
以下に、本発明に係るネガ型平版印刷版原版を用いて平版印刷版を作製する方法について説明する。
本発明に係る平版印刷版の作製方法の一つの態様は、本発明に係るネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法である。
本発明に係る平版印刷版の作製方法の他の一つの態様は、本発明に係るネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、pHが2〜14の現像液により画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法である。
本発明に係る平版印刷版の作製方法の更に他の一つの態様は、本発明に係るネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、pHが2〜11の1浴現像液により保護層と画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法である。
本発明に係る平版印刷版の作製方法について、以下に詳細に記載する。
本発明に係る平版印刷版の作製方法は、本発明に係るネガ型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程を含む。画像露光は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で行われる。
光源の波長は300〜450nm又は750〜1400nmが好ましい。300〜450nmの光源の場合は、この波長領域に吸収を有する増感色素を画像記録層に含有する平版印刷版原版が好ましく用いられ、750〜1400nmの光源の場合は、この波長領域に吸収を有する増感色素である赤外線吸収剤を画像記録層に含有する平版印刷版原版が好ましく用いられる。300〜450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。750〜1400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上が好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内が好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cm2が好ましい。また、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等のいずれでもよい。
画像露光は、プレートセッターなどを用いて常法により行うことができる。機上現像の場合には、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光を行ってもよい。
機上現像においては、画像露光された平版印刷版原版は、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給することにより、画像記録層の未露光部が除去されて平版印刷版が作製される。
即ち、平版印刷版原版を画像露光後、なんらの現像液処理を施すことなく、そのまま印刷機に装着するか、あるいは、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光し、ついで、印刷インキと湿し水とを供給して印刷すると、印刷途上の初期の段階で、非画像部においては、供給された印刷インキ及び/又は湿し水によって、未露光部の画像記録層が溶解または分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。一方、露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する油性インキ受容部を形成する。最初に版面に供給されるのは、印刷インキでもよく、湿し水でもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給することが好ましい。このようにして、平版印刷版原版は印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
現像液を用いる現像処理においては、pH2〜14の現像液が用いられる。現像液を用いる現像処理の一つの態様は、アルカリ剤を含むpH14以下の高pHの現像液を用いる態様(以下、アルカリ現像ともいう)である。もう一つの態様は、界面活性剤及び/又は水溶性高分子化合物を含有するpH2〜11程度の現像液を用いる態様(以下、簡易現像ともいう)である。
現像処理において用いられる現像液の温度は、15〜40℃程度が好ましい。現像処理は、画像露光された平版印刷版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る方法、画像露光された平版印刷版原版にスプレーにより現像液を吹き付けてブラシで擦る方法等により行われることが好ましい。
アルカリ現像においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像液により現像を行い、後水洗工程によりアルカリを水洗除去し、ガム液処理を行い、乾燥工程で乾燥することが通常である。
アルカリ現像液は、通常、アルカリ剤を含有し、pHが14以下、好ましくは10〜12.5の水溶液である。
芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(VIII)又は一般式(IX)で表される化合物が好ましい。
m及びnは、それぞれ独立に、1〜100の整数を表し、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。mが2以上の場合、複数存在するR25は同じでも異なってもよい。同様に、nが2以上の場合、複数存在するR27は同じでも異なってもよい。
uは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
R26及びR28は、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を表す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
p及びqは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。Y11及びY12は、それぞれ独立に、単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表す。具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が挙げられ、単結合が特に好ましい。
r及びsは、それぞれ独立に、1又は2を表す。
キレート剤の含有量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%用いられる。
アルカリ現像液の導電率xは、2<x<30mS/cmが好ましく、5〜25mS/cmがより好ましい。導電率を調整するためには、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を導電率調整剤として添加することが好ましい。
更に、自動現像機を用いて、現像液の処理能力を回復させるために、米国特許4,882,246号明細書に記載されている方法で補充することもできる。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も適用可能である。
簡易現像においては、現像とガム液処理が同時に行われる。現像の前に、保護層を除去するための水洗工程を行ってもよい。保護層の除去を、現像及びガム液処理と同時に1浴で行うこともできる。現像及びガム処理の後に、スクイズローラー等を用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
上記変性澱粉も、公知のものを使用できる。例えば、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸又は酵素等で、1分子当たりのグルコース残基数を5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用してもよい。現像液における水溶性高分子化合物の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
炭酸イオン及び炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されず、アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。アルカリ金属は単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH緩衝剤として、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの組み合わせを採用するとき、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの総量は、現像液中0.05〜5mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましく、0.2〜1mol/Lが特に好ましい。
化合物A−1の合成スキームを以下に示す。
フェノール樹脂の種類、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート(MOI)の量を下記表1に記載のように変更した以外は合成例1と同様にして、化合物A−2〜A−8を合成した。
化合物A−9の合成スキームを以下に示す。
化合物A−10の合成スキームを以下に示す。
化合物A−11の合成スキームを以下に示す。合成スキーム中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
フェノール樹脂の種類、及びメタクリル酸またはアクリル酸の量を下記表2に記載のように変更した以外は、合成例11と同様にして、化合物A−12〜A−14を合成した。
化合物A−15の合成スキームを以下に示す。合成スキーム中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
化合物A−12を化合物A−13に、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物の量を4.3gに変更した以外は、合成例15と同様にして、化合物A−16を合成した。
化合物A−17の合成スキームを以下に示す。合成スキーム中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
反応容器に、化合物A−11を10g、テトラヒドロフランを40g、2−イソシアナトエチルメタクリレート(MOI)(昭和電工(株)製)を6.3g、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルを0.01g、及び無機ビスマス触媒(ネオスタンU−600、日東化成(株)製)を0.048加え、60℃で10時間攪拌した。1−メトキシ−2−プロパノール60gを加えた後、エバポレーターにてテトラヒドロフランを減圧留去した。固形分が20%になるように1−メトキシ−2−プロパノールを更に加えるて、化合物A−17の1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。
フェノール樹脂の種類、2−イソシアナトエチルメタクリレート(MOI)の量を下記表4に記載のように変更した以外は合成例17と同様にして、化合物A−18〜A−19を合成した。
化合物A−20の合成スキームを以下に示す。
フェノール樹脂の種類、メタクリル酸クロリド及びトリエチルアミンの量を下記表5に示すように変更した以外は、合成例20と同様にして、化合物A−21〜A−27を合成した。
化合物A−28の合成スキームを以下に示す。
合成例29:化合物A−29の合成
化合物A−29の合成スキームを以下に示す。
化合物A−30の合成スキームを以下に示す。合成スキーム中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
化合物A−31の合成スキームを以下に示す。
化合物A−32の合成スキームを以下に示す。
化合物A−33の合成スキームを以下に示す。
特開2000−221665号、段落番号〔0134〕に記載のアリルエーテル化ノボラック1(下記構造)
WO2010/106827、段落番号〔0129〕に記載のバインダーA:ノボラック1(下記構造)
アクリルバインダー(下記構造)
アクリルバインダー(下記構造)
ポリビニルブチラールバインダー(下記構造)
1.平版印刷版原版の作製
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム板表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。アルミニウム板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、アルミニウム板に15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含有)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体(1)を作製した。支持体(1)の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
上記支持体(1)上に、下記組成の下塗り層塗布液(1)をバー塗布し、80℃で10秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が10mg/m2の下塗り層を形成した。
・下塗り化合物(1)〔下記構造〕 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
上記下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布し、70℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が1.1g/m2の画像記録層を形成した。
・表6記載の化合物A又は比較化合物 0.54g
・重合性化合物(1)〔下記構造〕 0.48g
・増感色素(1)〔下記構造〕 0.06g
・重合開始剤(1)〔下記構造〕 0.18g
・連鎖移動剤(1)〔下記構造〕 0.07g
・ε−フタロシアニン顔料分散物(1) 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤としてアリルメタクリレート/メタクリル酸(80/20モル比)共重合体(Mw:50000):10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部〕
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
上記画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布し、125℃で70秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が0.75g/m2の保護層を形成して、実施例101〜110及び比較例101〜103用の平版印刷版原版を各々作製した。
・雲母分散液(1)〔下記〕 13.0g
・ポリビニルアルコール(けん化度:98モル%、重合度 :500) 1.3g
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム 0.2g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1モル比)) 0.05g
(Mw:70000)
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.05g
・水 133g
<雲母分散液(1)の調製>
水368gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル(株)製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が0.5μmになるまで分散し、雲母分散液(1)を調整した。
上記各平版印刷版原版について、現像性、並びに平版印刷版原版から作製された平版印刷版の耐刷性及び耐汚れ性を以下のようにして評価した。評価結果を表6に示す。
平版印刷版原版に、出力100mWの405nm半導体レーザーを用いて、露光量300μJ/cm2で画像露光を行った。
次いで、下記組成の現像液(1)を用い、図1に示す構造の自動現像処理機により現像処理を実施した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有しており、1本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールであり、平版印刷版原版の搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目の回転ブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールであり、平版印刷版原版の搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。
現像液は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。現像液のタンク容量は、10リットルであった。
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル
(オキシエチレン平均数n=13) 1.00g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・アラビアガム 1.00g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
・炭酸ナトリウム 1.40g
・炭酸水素ナトリウム 0.59g
リン酸と水酸化ナトリウムを用いて現像液のpHを9.8に調整
上記現像性の評価において、現像性評価の基礎となった基準平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(DICグラフィックス(株)製)とを用い、特菱アート紙(76.5kg)(三菱製紙(株)製)に毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
印刷用紙におけるインキ濃度(反射濃度)が500枚目の濃度よりも5%低下したときの印刷枚数を求めた。耐刷性は、下記のように、上記印刷枚数が10万枚の場合を100点として、相対耐刷性により評価した。数値が大きい程、耐刷性が良好である。
相対耐刷性=(対象平版印刷版の印刷枚数)/100,000 × 100
UVカートンGE墨M((株)T&K TOKA製)を使用した以外は、<耐刷性1(油性インキ)>と同様にして、耐刷性の評価を行った。耐刷性は、下記のように、上記印刷枚数が5万枚の場合を100点として、相対耐刷性により評価した。数値が大きい程、耐刷性が良好である。
相対耐刷性=(対象平版印刷版の印刷枚数)/50,000 × 100
基準平版印刷版を用いて上記の通り印刷を行い、500枚目の印刷物について、非画像部に発生したインキ汚れを目視により確認し、以下の基準に従って評価した。全く汚れの無い場合を4、ほとんど汚れの無い場合を3、明らかに汚れが確認できる場合を2、殆ど全面にインキが付着しており、汚れがひどい場合を1として評価した。3以上が耐汚れ性に関して問題のないレベルである。
1.平版印刷版原版の作製
厚さ0.30mm、幅1030mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面に、以下の処理(a)〜(f)を連続的に行い、支持体(2)を作製した。各処理及び水洗の後には、ニップローラによる液切りを行った。
(b)温度30℃の硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含有)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含有)、液温は30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)苛性ソーダ水溶液(苛性ソーダ濃度:26質量%、アルミニウムイオン濃度:6.5質量%)を用いて、スプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解して、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸25質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含有)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸水溶液(硫酸濃度170g/l、アルミニウムイオン0.5質量%含有)を用い、温度33℃、電流密度5A/dm2で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。陽極酸化皮膜質量は2.7g/m2であった。
アルミニウム支持体(2)の表面粗さ(Ra)は0.27μm(測定機器:東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径:2μm)であった。
上記支持体(2)上に、下記組成の下塗り層塗布液(2)をワイヤーバーにて塗布し、90℃で30秒間乾燥した。乾燥塗布量は10mg/m2であった。
・高分子化合物U〔下記構造〕 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換 3g
上記下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間乾燥した。画像記録層の乾燥塗布量は1.4g/m2であった。
・ホスホニウム化合物(A−6)〔下記構造〕 0.077g
・赤外線吸収剤(IR−1)〔下記構造〕 0.074g
・重合開始剤(OS−12)〔下記構造〕 0.280g
・添加剤(PM−1)〔下記構造〕 0.151g
・重合性化合物(AM−1)〔下記構造〕 1.00g
・表7記載の化合物A又は比較化合物 1.00g
・エチルバイオレット(C−1)〔下記構造〕 0.04g
・フッ素系界面活性剤(2) 0.015g
(メガファック F−780−F(DIC(株)製)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
上記画像記録層表面に、合成雲母(ソマシフME-100、8質量%水分散液、コープケミカル(株)製)と、ポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ製)と、界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン社製、)との混合水溶液(保護層塗布液(2))をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で75秒間乾燥して保護層を形成した。
保護層塗布液(2)中の、雲母固形分/ポリビニルアルコール/界面活性剤の含有量の割合は、16/82/2(質量%)であった。保護層の乾燥塗布量は1.6g/m2であった。かくして、実施例201〜210及び比較例201〜202用の平版印刷版原版を各々作製した。
上記各平版印刷版原版について、現像性、並びに平版印刷版原版から作製された平版印刷版の耐刷性及び耐汚れ性を以下のようにして評価した。評価結果を表7に示す。
平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800II Quantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数200rpm、出力7Wの条件で画像露光した(露光波長:830nm)。露光は25℃50%RHの環境下で行った。
次いで、富士フイルム(株)製自動現像機LP-1310HIIを用いて、現像温度30℃で現像処理した。現像液は富士フイルム(株)社製DH−Nの1:4水希釈液(pH:12)、現像補充液はFCT-421の1:1.4水希釈液、フィニッシャーは富士フイルム(株)製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
上記現像処理を、自動現像機LP-1310HIIの搬送速度(ライン速度)を種々変化させて行い、得られた平版印刷版について、実施例101と同様にして非画像部のシアン濃度をマクベス濃度計により測定した。非画像部のシアン濃度が支持体のシアン濃度と同等になる搬送速度(cm/min)で得られた平版印刷版(基準平版印刷版)を求め、その搬送速度を現像性として評価した。搬送速度が速い程、現像性が良好である。
上記現像性の評価において、現像性評価の基礎となった基準平版印刷版を用い、実施例101と同様にして印刷を行った。
印刷用紙におけるインキ濃度(反射濃度)が500枚目の濃度よりも5%低下したときの印刷枚数を求めた。耐刷性は、下記のように、上記印刷枚数が3万枚の場合を100点として、相対耐刷性により評価した。数値が大きい程、耐刷性が良好である。
相対耐刷性=(対象平版印刷版の印刷枚数)/30,000 × 100
UVカートンGE墨M((株)T&K TOKA社製)を使用した以外は、<耐刷性1(油性インキ)>と同様にして、耐刷性の評価を行った。耐刷性は、下記のように、上記印刷枚数が2万枚の場合を100点として、相対耐刷性により評価した。数値が大きい程、耐刷性が良好である。
相対耐刷性=(対象平版印刷版の印刷枚数)/20,000 × 100
基準平版印刷版を用いて、実施例101と同様にして耐汚れ性の評価を行った。
1.平版印刷版原版の作製
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050、調質H16)を65℃に保たれた5質量%水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬して脱脂処理を行った後、水洗した。アルミニウム板を25℃に保たれた10質量%塩酸水溶液に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、アルミニウム板を0.3質量%塩酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下で交流電流により60秒間電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5質量%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間デスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を15質量%硫酸水溶液溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下で1分間陽極酸化処理を行い、更に1%ポリビニルホスホン酸水溶液を用い75℃で親水化処理を行って支持体(3)を作製した。支持体(3)の表面粗さを測定したところ、0.44μm(JIS B 0601−2001によるRa表示)であった。
上記支持体(3)上に、下記組成の画像記録層塗布液(3)をバー塗布し、90℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量1.3g/m2の画像記録層を形成した。
・バインダー(2)(Mw:5万)〔下記構造〕 0.04g
・表8記載の化合物A又は比較化合物 0.30g
・上記重合性化合物(1) 0.17g
・重合性化合物(2)〔下記構造〕 0.51g
・増感色素(2)〔下記構造〕 0.03g
・増感色素(3)〔下記構造〕 0.015g
・増感色素(4)〔下記構造〕 0.015g
・上記重合開始剤(1) 0.13g
・連鎖移動剤 0.01g
メルカプトベンゾチアゾール
・ε−フタロシアニン顔料分散物(2) 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤として(アリルメタクリレート/メタクリル酸(83/17モル比)共重合体(Mw:60000):10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン:15質量部〕
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
上記画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(3)をバー塗布し、125℃で70秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が1.2g/m2の保護層を形成して、実施例301〜302及び比較例301〜302用の平版印刷版原版を各々作製した。
・PVA−205 0.658g
(部分加水分解ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、けん化度=86.5−89.5モル%、粘度=4.6−5.4mPa・s(20℃、4質量%水溶液中))
・PVA−105 0.142g
(完全加水分解ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、けん化度=98.0−99.0モル%、粘度=5.2−6.0mPa・s(20℃、4質量%水溶液中))
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1モル比)) 0.001g
(Mw:70000)
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.002g
・水 13g
上記各平版印刷版原版について、現像性、並びに平版印刷版原版から作製された平版印刷版の耐刷性及び耐汚れ性を以下のようにして評価した。評価結果を表8に示す。
平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー:405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により画像露光を行った。画像描画は、解像度2438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、50%の平網を版面露光量0.05mJ/cm2で行った。
次いで、下記組成の現像液(2)を用い、図2に示す構造の自動現像処理機により、100℃で10秒間のプレヒート後、現像処理を行った。
・水 88.6g
・ノニオン界面活性剤(W−1)〔下記構造〕 2.4g
・ノニオン界面活性剤(W−2)〔下記構造〕 2.4g
・ノニオン界面活性剤
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 1.0g
・フェノキシプロパノール 1.0g
・オクタノール 0.6g
・N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン 1.0g
・トリエタノールアミン 0.5g
・グルコン酸ナトリウム 1.0g
・クエン酸3ナトリウム 0.5g
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩 0.05g
・ポリスチレンスルホン酸 1.0g
(Versa TL77(30質量%溶液)、Alco chemical社製)
リン酸を用いて現像液のpHを7.0に調整
上記現像性の評価において現像性評価の基礎となった基準平版印刷版を用い、実施例101における<耐刷性1(油性インキ)>と同様にして耐刷性の評価を行った。
基準平版印刷版を用いて、実施例101と同様にして耐汚れ性の評価を行った。
1.平版印刷版原版の作製
上記支持体(1)に、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて60℃で10秒間シリケート処理を施し、その後、水洗して支持体(4)を作製した。Siの付着量は10mg/m2であった。支持体(4)の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
上記支持体(4)上に、下記組成の下塗り層塗布液(3)を乾燥塗布量が20mg/m2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
・下塗り層用化合物(1)〔下記構造〕 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
上記下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(4)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥して乾燥塗布量が1.0g/m2の画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(4)は下記感光液及びミクロゲル液を塗布直前に混合し攪拌することにより調製した。
・表9記載の化合物A又は比較用化合物 0.240g
・重合開始剤(1) 0.245g
重合開始剤(I−1)又は(I−2)〔下記構造〕
・重合開始剤(2) 0.010g
TPB又は4F−TPB〔下記構造〕
・増感色素(X−1)〜(X−4)のいずれか〔下記構造〕 0.023g
・重合性化合物(M−1)〜(M−4)のいずれか〔下記構造〕 0.192g
・上記連鎖移動剤(1) 0.060g
・低分子親水性化合物 0.062g
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 0.055g
ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕
・感脂化剤 0.018g
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩
・感脂化剤 0.035g
アンモニウム基含有ポリマー
〔下記構造、還元比粘度44ml/g〕
・上記フッ素系界面活性剤(1) 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
<ミクロゲル(1)の調製>
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(タケネートD−110N、三井化学(株)製)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(SR444、日本化薬(株)製)3.15g及びアルキルベンゼンスルホン酸塩(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ製)の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈してミクロゲル(1)を調製した。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、0.2μmであった。
上記画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(4)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が0.15g/m2の保護層を形成して実施例401〜446及び比較例401〜403用の平版印刷版原版を各々作製した。
・無機層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(CKS50、日本合成化学工業(株)製、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール(PVA−405、(株)クラレ製、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、エマレックス710、
日本エマルジョン(株)製)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
<無機層状化合物分散液(1)の調製>
イオン交換水193.6gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
上記各平版印刷版原版について、機上現像性、現像カス、並びに平版印刷版原版から作製された平版印刷版の耐刷性、耐汚れ性及び着肉性を以下のように評価した。評価結果を表10に示す。
平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIを用いて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
露光済み平版印刷版原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues−G(N)墨インキ(DICグラフィックス(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給し、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート紙(76.5kg)(三菱製紙(株)製)に100枚印刷を行った。
印刷機上で画像記録層の未露光部の機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を計測し機上現像性として評価した。枚数が少ない程、機上現像性が良好である。
上記機上現像性の評価を行った後、耐刷性評価を始める前に一旦印刷機を停止し、100枚印刷後の印刷版上に現像カス(固体の現像除去物)が付着しているかどうかを、マイクロスコープ(VHX−100、ズームレンズVH−Z150、(株)キーエンス製)を用い、500倍の倍率で観察した。観察結果を下記評価基準に従って評価した。A及びBが許容レベルである。
A:現像カス付着は全くない。
B:50μmより小さい現像カスが付着する。
C:50μm以上であって、100μmより小さい現像カスが付着する。
D:100μm以上の現像カスが付着し、肉眼でも現像カスを容易に確認できる。
印刷開始後、徐々にインキが画像記録層の画像部に付着し、結果として印刷用紙上でのインキ濃度が高まる。インキ濃度が標準的印刷物濃度に達したときの印刷枚数を計測し、着肉性として評価した。標準的印刷物濃度は、Japan Color 2011 for Sheet−fed Offset based on ISO12647−2におけるKの目標濃度値1.70とした。着肉性は、上記印刷枚数が35枚以下の場合を5、36〜50枚の場合を4、51〜100枚の場合を3、101〜150枚の場合を2、150枚を超える場合を1として評価した。
上記の条件で印刷を行い、500枚目の印刷物について、非画像部に発生したインキ汚れを目視により確認し、以下の基準に従って評価した。全く汚れの無い場合を4、ほとんど汚れの無い場合を3、明らかに汚れが確認できる場合を2、殆ど全面にインキが付着しており、汚れがひどい場合を1として評価した。3以上が耐汚れ性に関して問題のないレベルである。
上記の条件で更に印刷を続けた。印刷枚数の増加に伴い、徐々に画像記録層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン50%網点の網点面積率をグレタグ濃度計で測定した値が印刷100枚目の測定値よりも5%低下するまでの印刷枚数を計測した。耐刷性は、下記のように、上記印刷枚数が5万枚の場合を100点として、相対耐刷性により評価した。数値が大きい程、耐刷性が良好である。
相対耐刷性=(対象原版の印刷枚数)/50,000 × 100
UVカートンGE墨M((株)T&K TOKA社製)を使用した以外は、<耐刷性1(油性インキ)>と同様にして、耐刷性の評価を行った。耐刷性は、下記のように、上記印刷枚数が3万枚の場合を100点として、相対耐刷性により評価した。数値が大きい程、耐刷性が良好である。
相対耐刷性=(対象平版印刷版の印刷枚数)/30,000 × 100
1.平版印刷版原版の作製
実施例401で用いた平版印刷版原版の作製において用いた画像記録層塗布液(4)の代りに、下記組成の画像記録層塗布液(5)をバー塗布し、70℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が0.6g/m2の画像記録層を形成して、実施例501〜533及び比較例501〜503用の平版印刷版原版を各々作製した。これらの平版印刷版原版は保護層を有さない。
・表11記載の化合物A又は比較化合物 0.450g
・重合開始剤(1) 0.245g
上記重合開始剤(I−2)
・重合開始剤(2) 0.010g
上記TPB
・上記増感色素(X−2) 0.020g
・上記重合性化合物(M−1) 1.50g
・ポリマー微粒子水分散液(1)(22質量%)〔下記〕 10.0g
・メルカプト−3−トリアゾール 0.2g
・n−プロパノール 55.0g
・2−ブタノン 17.0g
<ポリマー微粒子水分散液(1)の調製>
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、エチレングリコールの平均繰返し単位数は50)10g、蒸留水200g及びn−プロパノール200gを加えて内温が70℃となるまで加熱した。次に、スチレン(St)10g、アクリロニトリル(AN)80g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4gを添加し、内温を80℃まで上昇させた。続いて、0.5gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを6時間かけて添加した。合計で20時間反応させた段階でポリマー化は98%以上進行しており、質量比でPEGMA/St/AN=10/10/80のポリマー微粒子水分散液(1)を調製した。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径150nmに極大値を有していた。
上記各平版印刷版原版について、機上現像性、現像カス、並びに平版印刷版原版から作製された平版印刷版の耐刷性、耐汚れ性及び着肉性を実施例401と同様にして評価した。評価結果を表11に示す。
62 受けロール
63 搬送ロール
64 搬送ガイド板
65 スプレーパイプ
66 管路
67 フィルター
68 給版台
69 排版台
70 現像液タンク
71 循環ポンプ
72 平版印刷版原版
A 平版印刷版原版の搬送方向
100 自動現像処理機
200 前加熱(プレヒート)部
300 現像部
400 乾燥部
202 機枠
204 加熱部
208 加熱室
210 串型ローラー
212 搬入口
214 ヒーター
216 循環ファン
218 挿入部
304 挿入ローラー対
306 処理タンク
306a 処理タンクの縁部
308 現像槽(現像液で満たされている)
310 外板パネル
312 スリット状挿入口
316 液中ローラー対
318 搬出ローラー対
322 ブラシローラー対
324 遮蔽蓋
326 ブラシローラー対
330 スプレーパイプ
(*図示されていないポンプによって吸引した現像槽308内の現像液が供給されるようになっており、スプレーパイプ330からこの現像液を現像槽308内へ噴出する。)
332 仕切り板
334 スリット状挿通口
336 液温センサー
338 液面レベル計
342 ガイド部材
344 ガイドローラー
402 支持ローラー
404 排出口
406 搬送ローラー対
408 搬送ローラー対
410、412 ダクト
414 スリット孔
50 外部タンク(現像液収納)
51 オーバーフロー口
52 上限液レベル計
53 下限液レベル系
54 フィルター部
55 現像液供給ポンプ
C1 第1の循環用配管
C2 第2の循環用配管
81 補充用水タンク(水貯留)
82 水補充ポンプ
C3 水補充用配管
A 平版印刷版原版の搬送方向
Claims (12)
- 支持体と、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物及びラジカル重合開始剤を含有する画像記録層(但し、芯物質が下記式Zで示される重合性不飽和基含有化合物及び3価のリン化合物であり、この芯物質を含有する殻壁成分がウレア結合を分子構造中に有することを特徴とするマイクロカプセルを含有する画像記録層を除く)を有するネガ型平版印刷版原版。
一般式(1)中、
Aは単結合又は二価の連結基を表す。
Arはベンゼン核又はナフタレン核を表す。
R1は水酸基、アルキル基又はアリール基を表す。
iは0〜3の整数を表す。iが2以上の整数を表す場合、複数存在するR1は同じでも異なってもよい。
R2は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
Lは*−O−**、*−OCO−**又は*−OCONH−**を表す。*はArに結合する部位を表す。**はYに結合する部位を表す。
Yは(m+1)価の連結基を表す。
Xは(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。
lは0又は1の整数を表す。
mは1又は2の整数を表す。
但し、lが0の場合、mは1である。
nは1又は2の整数を表す。
- 前記一般式(1)において、lが0を表すか、又は、lが1を表し、Lが*−OCO−**もしくは*−OCONH−**を表す請求項1に記載のネガ型平版印刷版原版。
- 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物の質量平均分子量が、1,000〜200,000である請求項1又は2に記載のネガ型平版印刷版原版。
- 前記ラジカル重合開始剤が、オニウム塩、ボレート塩及びアミノ酢酸化合物から選択される少なくとも1つのラジカル重合開始剤である請求項1〜3のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
- 前記画像記録層が、更に、ラジカル重合性化合物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
- 前記画像記録層が、更に、増感色素を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
- 前記増感色素が、赤外線吸収染料である請求項6に記載のネガ型平版印刷版原版。
- 前記支持体と前記画像記録層の間に、支持体吸着性基及び付加重合可能なエチレン性二重結合基を有する化合物を含有する下塗り層を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
- 前記画像記録層の上に、保護層を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して前記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、pHが2〜14の現像液により前記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
- 請求項9に記載のネガ型平版印刷版原版をレーザーによる画像露光後、pH2〜11の1浴現像液により前記保護層と前記画像記録層の未露光部を除去する平版印刷版の作製方法。
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