JP5787811B2 - 平版印刷版原版及び平版印刷版の製版方法 - Google Patents
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Description
<5> 成分Aの含有量が、成分Bの含有量100質量部に対して、0.1〜10質量部である、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<6> 成分Bが、エチレン性不飽和基を更に有する、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<7> 成分Bが、支持体表面と相互作用する官能基を更に有する、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<8> 上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光した前記平版印刷版原版を、pHが2〜14の現像液の存在下で、非露光部の画像記録層(感光層)を除去する現像工程とを含むことを特徴とする平版印刷版の製版方法、
<9> 前記感光層の支持体とは反対側の表面上に、保護層を形成する工程を含み、前記現像工程において、更に界面活性剤を含有する前記現像液の存在下、非露光部の前記感光層と前記保護層とを同時に除去する工程を含み、前記現像工程の前及び/又は後に水洗工程を含まない、上記<8>に記載の平版印刷版の製版方法、
<10> 前記現像液のpHが2.0〜10.0である、上記<8>又は<9>に記載の平版印刷版の製版方法、
<11> 上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して非露光部の画像記録層(感光層)を除去する工程とを含むことを特徴とする平版印刷版の製版方法。
本明細書中、一般式で表される化合物における「基」の表記に関して、置換あるいは無置換を記していない場合、当該「基」が更に置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、無置換の基のみならず置換基を有する基も包含する。例えば、一般式において、「Rはアルキル基、アリール基又は複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基又は置換複素環基を表す」ことを意味する。また、本明細書中、(メタ)アクリルアミドは、メタクリルアミドとアクリルアミドをいずれか一方又は共に含む概念を表す。また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
以下、本発明の平版印刷版原版について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、下塗り層と、画像記録層(感光層ともいう。)とをこの順に有し、前記下塗り層が、(成分A)多官能エチレン性不飽和化合物、及び(成分B)ポリアルキレンオキシ結合を側鎖に有するポリマー、を含有し、成分Aが、式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
また、本発明の平版印刷版原版は、前記画像記録層の前記支持体とは反対側の表面上に、保護層を含むことが好ましい。
また、本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体と画像記録層との間に下塗り層を有しており、前記下塗り層は(成分A)多官能エチレン性不飽和化合物、及び(成分B)ポリアルキレンオキシ結合を側鎖に有するポリマーを含有する。
前者の塗布の方法としては、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。前者の方法では、上記化合物の好ましくは濃度0.005〜10質量%の溶液を種々の方法で塗布することが好ましい。
また、後者の浸漬方法では、溶液の濃度は好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は好ましくは20〜90℃、より好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は好ましくは0.1秒〜20分、より好ましくは2秒〜1分である。前記下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であることが好ましく、1〜30mg/m2であることがより好ましい。
以下に成分A及び成分Bについて詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版における下塗り層は、(成分A)多官能エチレン性不飽和化合物を含有する。
本発明で用いる成分Aは、下記式(1)で表される化合物を含有する。
式(1)中、R3は独立に水素原子又は置換基を有してもよい1価の有機基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子が特に好ましい。
式(1)中、X1は−O−又は−N(R4)−であることが好ましく、−N(R4)−であることがより好ましい。R4は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
ここで2価の脂肪族基とは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基又は置換アルキニレン基が好ましい。中でもアルキレン基及び置換アルキレン基が更に好ましい。2価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましい。2価の脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが特に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。
2価の脂肪族基の置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基、モノアルキルアミノ基及びジアルキルアミノ基等が挙げられ、中でもヒドロキシ基が好ましい。
式(1)中、Y1はポリアルキレンオキシ結合を含む(m1+n1)価の脂肪族基であることが好ましい。Y1は、一般式(2)で表される基と、必要に応じて、単結合、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、水素原子、カルボニル基、エチレン結合、及び、アセチレン結合よりなる群から選ばれる1つ以上とを組み合わせた基であることがより好ましい。
式(2)中、nは2〜150の整数であることが好ましく、2〜100であることがより好ましく、2〜80であることが更に好ましく、2〜50であることが特に好ましい。
式(1)中、n1は2以上の整数であり、2〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
また、式(1)中、n1個のR1、R2、R3、X1及びL1はそれぞれ独立に、同一であっても異なっていてもよく、m1個のA1は同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、X及びX'は、式(1)中のX1と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(3)中、L及びL'は、式(1)中のL1と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(3)中、R11及びR12は、独立に、水素原子又はメチル基であり、いずれか一方は水素原子であることが好ましい。n個のR11及びR12は、それぞれ独立に、同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、nは2〜150の整数であり、2〜100であることが好ましく、2〜80であることがより好ましく、2〜50であることが特に好ましい。
本発明における成分Aの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられる下塗り層中の成分Aの含有量は、下塗り層中の揮発成分を除いた全固形分の全質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜8質量%がより好ましく、0.3〜5質量%が更に好ましい。
また、本発明に用いられる下塗り層中の成分Aの含有量は、下塗り層中の成分Bの質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜8質量%がより好ましく、0.3〜5質量%が更に好ましい。
本発明の平版印刷版原版における下塗り層は、(成分B)ポリアルキレンオキシ結合を側鎖に有するポリマーを含有する。
成分Bは、側鎖にポリアルキレンオキシ結合を有するポリマーであれば、特に制限はないが、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が付加重合した、重量平均分子量が2,000〜1,000,000の重合体であることが好ましい。
成分Bが側鎖に有するポリアルキレンオキシ結合は、下記式(b1−1)で表される構造であることが好ましい。
式(b1−1)中、lは2〜150の整数であり、2〜120であることが好ましく、2〜100であることがより好ましい。
式(b1−1)中、Z101は、水素原子又は1価の有機基を表す。*は高分子化合物の主鎖と連結する部位を表す。
L1:−CO−O−2価の脂肪族基−
L2:−CO−O−2価の芳香族基−
L3:−CO−NH−2価の脂肪族基−
L4:−CO−NH−2価の芳香族基−
L5:−CO−2価の脂肪族基−
L6:−CO−2価の芳香族基−
L7:−CO−2価の脂肪族基−CO−O−2価の脂肪族基−
L8:−CO−2価の脂肪族基−O−CO−2価の脂肪族基−
L9:−CO−2価の芳香族基−CO−O−2価の脂肪族基−
L10:−CO−2価の芳香族基−O−CO−2価の脂肪族基−
L11:−CO−2価の脂肪族基−CO−O−2価の芳香族基−
L12:−CO−2価の脂肪族基−O−CO−2価の芳香族基−
L13:−CO−2価の芳香族基−CO−O−2価の芳香族基−
L14:−CO−2価の芳香族基−O−CO−2価の芳香族基−
L15:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−
L16:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−
L17:−2価の芳香族基−
L18:−CO−
前記2価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、更に分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。前記2価の脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜12であることが更に好ましく、1〜10であることが更により好ましく、1〜8であることが最も好ましい。
前記2価の芳香族基の置換基の好ましい例としては、前記2価の脂肪族基の置換基の例に加えて、アルキル基が挙げられる。
式(b1−1)中、Z101は特に制限されないが、水素原子、メチル基、アンモニオアルキル基、後述の支持体表面と相互作用する官能基を有する置換基、又は後述のエチレン性不飽和結合を有する置換基であることが好ましく、水素、メチル基、又はエチレン性不飽和結合を有する置換基であることがより好ましい。
式(b1−1)の好ましい具体例として、下記の構造を挙げることができる。本発明では下記構造に限定されるものではないことはいうまでもない。なお、下記構造中、*は高分子化合物の主鎖と連結する部位を表す。
本発明に用いられる成分Bは、上記の(b1)ポリアルキレンオキシ結合を有する構成単位(式(b1−2))に加えて、その他の構成単位を含むことができる。
−(b2)支持体表面と相互作用する官能基を有する構成単位−
本発明に用いられる成分Bは、側鎖に支持体表面と相互作用する官能基を有することが好ましい。すなわち、成分Bは、(b2)支持体表面と相互作用する官能基を有する構成単位を含有することが好ましい。(b2)は、下記式(b2−1)、(b2−2)、(b2−3)、(b2−4)、(b2−5)及び(b2−6)で表される構造の少なくとも1つを有する構成単位であることが好ましい。
L201:−CO−O−2価の脂肪族基−
L202:−CO−O−2価の芳香族基−
L203:−CO−NH−2価の脂肪族基−
L204:−CO−NH−2価の芳香族基−
式(b2−1)〜式(b2−6)中、M21及びM22は、水素原子であることが好ましい。
式(b2−1)〜式(b2−6)の好ましい具体例として、下記の構造を挙げることができる。なお、本発明では下記構造に限定されるものではないことはいうまでもない。下記式中、*は高分子化合物の主鎖と連結する部位を表す。
Mは、前述の式(b2−1)〜(b2−6)で表される構造を表し、式(b2−1)〜(b2−6)中の*で表される部位で高分子主鎖の炭素原子に連結する。
本発明で用いられる成分Bは、画像部の皮膜強度を向上するために、エチレン性不飽和基を側鎖に少なくとも1つ有することが好ましい。すなわち、(b3)エチレン性不飽和基を有する構成単位を含有することがこのましい。(b3)は、下記式(b3−1)、(b3−2)及び(b3−3)で表される構造を有する構成単位の少なくとも1つであることが好ましい。
式(b3−1)〜式(b3−3)中、Y3は、単結合、又は、−CO−、−O−、−NH−、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、及びそれらの組み合わせよりなる群から選ばれる2価の連結基である。
上記の組み合わせからなるY3の好ましい具体例を以下に挙げる。なお、下記例において左側が主鎖に結合する。
L301:−CO−O−2価の脂肪族基−
L302:−CO−O−2価の芳香族基−
L303:−CO−NH−2価の脂肪族基−
L304:−CO−NH−2価の芳香族基−
L305:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−
L306:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−NH−2価の芳香族基−
L307:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−
L308:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−NH−2価の芳香族基−
L309:−CO−NH−2価の脂肪族基−NH−CO−NH−2価の脂肪族基−
L310:−CO−NH−2価の脂肪族基−NH−CO−NH−2価の芳香族基−
L311:−CO−NH−2価の芳香族基−NH−CO−NH−2価の脂肪族基−
L312:−CO−NH−2価の芳香族基−NH−CO−NH−2価の芳香族基−
式(b3−1)〜式(b3−3)の構造の中では、耐汚れ性及び耐刷性の観点から、エチレン性不飽和基を有する構造は、(b3−1)であることが好ましい。
式(b3−4)中、Nは式(b3−1)〜(b3−3)で表される構造を表し、式(b3−1)〜(b3−3)中の*で表される部位で高分子主鎖の炭素原子に連結する。
本発明に用いられる成分Bは、非画像部の支持体表面を高親水性にするために、側鎖に親水性基を有することが好ましい。すなわち、成分Bは、(b4)親水性基を有する構成単位を含有することが好ましい。
親水性基としては水分子との間に水素結合・ファンデルワールス結合・イオン結合を形成しやすいものを指し、1価又は2価以上の親水性基から選ばれ、具体的にはヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基、正電荷又は負電荷を有する基、双性イオン基やその金属塩等が挙げられる。その中でも、例えば、ヒドロキシ基、スルホン酸基、エチレンオキシ基やプロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基、第四級アンモニウム基、アミド基、エーテル基結合を含む基、又はカルボン酸、スルホン酸、リン酸などの酸基を中和した塩、正に帯電した窒素原子を含有する複素環基などが好ましい。また、これら親水性基を有する構成単位は、(b2)支持体表面と相互作用する官能基を有する構成単位と兼ねてもよい。
本発明の平版印刷版原版は、成分Bに含まれる親水性基が、下記式(b4−1)又は(b4−2)の双性イオン構造を有する基より選ばれることが特に好ましい。
前記R41又はR42のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロ環基の炭素数は、後述の置換基の炭素数を含めて、炭素数1〜30が好ましく、炭素数1〜20がより好ましく、炭素数1〜15が特に好ましく、炭素数1〜8が最も好ましい。
上記R41及びR42が互いに連結して形成する環構造は、酸素原子などのヘテロ原子を有していてもよく、好ましくは5〜10員環、より好ましくは5又は6員環である。
R41又はR42がアルケニル基の場合の好ましい例としては、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられる。
R41又はR42がアルキニル基の場合の好ましい例としては、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
また、R41又はR42がアリール基の場合の好ましい例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。また、ヘテロ環基としては、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基などが挙げられる。
L401:−CO−O−2価の脂肪族基−
L402:−CO−O−2価の芳香族基−
L403:−CO−NH−2価の脂肪族基−
L404:−CO−NH−2価の芳香族基−
L405:−CO−2価の脂肪族基−
L406:−CO−2価の芳香族基−
L407:−CO−2価の脂肪族基−CO−O−2価の脂肪族基−
L408:−CO−2価の脂肪族基−O−CO−2価の脂肪族基−
L409:−CO−2価の芳香族基−CO−O−2価の脂肪族基−
L410:−CO−2価の芳香族基−O−CO−2価の脂肪族基−
L411:−CO−2価の脂肪族基−CO−O−2価の芳香族基−
L412:−CO−2価の脂肪族基−O−CO−2価の芳香族基−
L413:−CO−2価の芳香族基−CO−O−2価の芳香族基−
L414:−CO−2価の芳香族基−O−CO−2価の芳香族基−
L415:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−
L416:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−
L42の具体例として、例えば、以下の連結基が好ましく挙げられる。
具体的には、以下の陰イオンが好ましく挙げられる。
式(b4−2)において、L42は前述の式(b4−1)のL41と同義であり好ましい態様も同様である。Y4は、式(b4−1)のY4と同義であり、好ましい態様も同じである。
また、成分Bは、上述の構成単位(b1)〜(b4)以外の他の構成単位(以下、(b5)その他の構成単位、とも称する。)を共重合体成分として含有していてもよい。そのような構成単位としては、既知の種々のモノマーに由来する構成単位を挙げることができる。
好ましい例としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーに由来する繰り返し単位などが挙げられる。前記(b5)その他の構成単位を成分Bに導入することで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等層の諸物性を適宜改善あるいは制御することができる。
その中でも、(メタ)アクリル酸エステル類、N,N−2置換(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリル類などから選ばれるモノマーから由来する構成単位が挙げられる。
重量平均分子量(Mw)は、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量(Mw)を測定することができる。
本発明に用いられる成分Bは、前述した既知の方法によっても合成可能であるが、その合成には、ラジカル重合法、かつそれに続く、ポリマー側鎖のアミノ基と、ラジカル重合反応性基を有するイソシアネート類を用いたウレア化反応、若しくはポリマー側鎖のアミノ基と、ラジカル重合反応性基を有する酸無水物類を用いたアミド化反応が好ましく用いられる。
本発明に用いられる下塗り層中の成分Bの含有量は、下塗り層中の揮発成分を除いた全固形分の全質量に対して、90〜99.9質量%が好ましく、92〜99.8質量%がより好ましく、95〜99.7質量%が更に好ましい。
前述の通り、本発明に用いられる下塗り層の塗布量(全固形分質量)は、0.1〜100mg/m2であることが好ましく、1〜30mg/m2であることがより好ましい。
また、本発明に用いられる下塗り層の塗布量(全固形分質量)に対して、0.1〜10質量%が成分Aかつ90〜99.9質量%が成分Bであることが好ましく、0.2〜8質量%が成分Aかつ92〜99.8質量%が成分Bであることがより好ましく、0.3〜5質量%が成分Aかつ95〜99.7質量%が成分Bであることが特に好ましい。
本発明の平版印刷版原版における画像記録層は、(成分C)重合性化合物、(成分D)バインダー、及び(成分E)重合開始剤、を含むことが好ましく、(成分C)重合性化合物、(成分D)バインダー、(成分E)重合開始剤、及び(成分F)色素を含有することが更に好ましい。また、本発明の平版印刷版原版の画像記録層は、感光層であることが好ましい(以下、画像記録層を感光層とも呼ぶ。)。
本発明の平版印刷版原版における画像記録層は、(成分C)重合性化合物を含有することが好ましい。
成分Cは、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
成分Cの重量平均分子量は、2,000未満が好ましく、80〜1,500であることがより好ましい。
成分Cのモノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が好ましく挙げられ、より好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらは、特表2006−508380号公報、特開2002−287344号公報、特開2008−256850号公報、特開2001−342222号公報、特開平9−179296号公報、特開平9−179297号公報、特開平9−179298号公報、特開2004−294935号公報、特開2006−243493号公報、特開2002−275129号公報、特開2003−64130号公報、特開2003−280187号公報、特開平10−333321号公報等に記載されている。
(ただし、R104及びR105は、H又はCH3を示す。)
本発明において成分Cの含有量は、前記感光層の全固形分質量に対して、好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%の範囲で使用される。
本発明の平版印刷版原版における画像記録層(感光層)は、(成分D)バインダーを含有することが好ましい。
本発明の平板印刷版原版の前記感光層に含有される(成分D)バインダーは、重量平均分子量が2,000以上の結着樹脂であることが好ましく、2,000〜500,000であることがより好ましく、10,000〜300,000であることが更に好ましい。なお、成分Dは成分Bを含まない。
成分Dは、前記感光層の構成成分を支持体上に担持可能であり、現像液により除去可能であるものが用いられる。
成分Dは、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましく用いられ、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が更に好ましく用いられる。
本発明に用いられる成分Dとして、前記(メタ)アクリル系重合体の好適な例は、酸基を含有する構成単位を有する共重合体が挙げられる。前記酸基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基等が挙げられるが、特にカルボン酸基が好ましい。前記酸基を含有する構成単位としては、(メタ)アクリル酸由来の構成単位や下記一般式(I)で表される構造が好ましく用いられる。
式(I)におけるR212で表される連結基は、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子から構成されるもので、その原子数は好ましくは1〜80である。具体的には、アルキレン基、置換アルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基などが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合の何れかで複数連結された構造を有していてもよい。R212としては、単結合、アルキレン基、置換アルキレン基及びアルキレン基及び/又は置換アルキレン基がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合のいずれかで複数連結された構造であることが好ましく、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数1〜5の置換アルキレン基及び炭素数1〜5のアルキレン基及び/又は炭素数1〜5の置換アルキレン基がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合のいずれかで複数連結された構造であることがより好ましく、単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、炭素数1〜3の置換アルキレン基、及び炭素数1〜3のアルキレン基及び/又は炭素数1〜3の置換アルキレン基がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合の少なくともいずれかで複数連結された構造であることが特に好ましい。
n211は1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
本発明に用いられる成分Dは、更に架橋性基を有することが好ましい。ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程で成分Dを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基等が挙げられる。中でも、エチレン性不飽和基が好ましい。エチレン性不飽和基としては、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜8の前述の置換基を有するアルキル基であり、メチル基がより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド誘導体としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−メトキシカルボニルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。α−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートとしては、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。スチレン誘導体としては、スチレン、4−tert−ブチルスチレン等が挙げられる。
成分D中の酸基の一部が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、塩基性窒素を含有する化合物やアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属の4級アンモニウム塩などが挙げられる。
成分Dは1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
成分Dの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、前記感光層の全固形分質量に対して、5〜75質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%が更に好ましい。
また、(成分C)重合性化合物及び(成分D)バインダーの合計含有量は、前記感光層の全固形分質量に対して、90質量%以下が好ましい。より好ましくは35〜80質量%である。上記数値範囲内にあると、感度及び現像性が良好である。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層(感光層)は、重合開始剤(以下、開始剤化合物とも称する。)を含有することが好ましい。本発明においては、重合開始剤としてラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
オニウム塩は、750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する赤外線吸収剤と併用して用いられることが特に好ましい。
前記感光層中の成分Eの含有量は、前記感光層全固形分質量に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは1.0〜10質量%である。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層(感光層)は、(成分F)色素を含むことが好ましい。本発明において、前記色素は、増感色素であることがより好ましい。
本発明の平板印刷版原版の前記感光層に用いられる増感色素は、画像露光時の光を吸収して励起状態となり、前記重合開始剤に電子移動、エネルギー移動又は発熱などでエネルギーを供与し、重合開始機能を向上させるものであれば特に限定せず用いることができる。特に、300〜450nm又は750〜1、400nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましく用いられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層(感光層)は、(成分G)低分子親水性化合物を含むことが好ましい。本発明において、成分Gは、本発明の平版印刷版原版の耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させることができるので好ましく含有される。
成分Gとしては、例えば、水溶性有機化合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類等が好ましく挙げられる。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層(感光層)は、(成分H)感脂化剤を含むことが好ましい。
本発明において、前記感光層には、着肉性を向上させるために、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの(成分H)感脂化剤を好ましく含有させることができる。特に、本発明の平版印刷版原版の保護層が無機質の層状化合物を含有する場合、成分Hは、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層(感光層)は、(成分I)疎水化前駆体を含むことが好ましい。
本発明において、前記感光層には、機上現像性を向上させるため、(成分I)疎水化前駆体を含有させることができる。
疎水化前駆体とは、熱が加えられたときに前記感光層を疎水性に変換できる粒子を意味する。粒子としては、疎水性熱可塑性ポリマー粒子、熱反応性ポリマー粒子、重合性基を有するポリマー粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル及びミクロゲル(架橋ポリマー粒子)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。中でも、重合性基を有するポリマー粒子及びミクロゲルが好ましい。
このようなポリマー粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層(感光層)は、成分A〜成分I以外の(成分J)その他の感光層構成成分を含んでいてもよい。
前記感光層は、連鎖移動剤を含有することが好ましい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683−684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。前記感光層には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類等)を好ましく用いることができる。
本発明の平板印刷版原版における画像記録層(感光層)は、形成方法に特に制限はなく、公知の方法で形成されることができる。前記感光層は、必要な上記各感光層構成成分を溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。使用する溶剤としては、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、γ−ブチルラクトン等を好ましく挙げることができるが、これに限定されるものではない。溶剤は、1種単独又は2種以上混合して使用してもよい。前記調製された塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状の親水性支持体であればよい。支持体としては、特に、アルミニウム板が好ましい。アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すことが好ましい。アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。これらの処理については、特開2007−206217号公報の段落番号0241〜0245に記載された方法を好ましく用いることができる。
前記支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであることが好ましい。この範囲で、前記感光層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られる。
また、前記支持体の色濃度は、反射濃度値で0.15〜0.65が好ましい。この範囲で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
前記支持体の厚さは0.1〜0.6mmであることが好ましく、0.15〜0.4mmであることがより好ましく、0.2〜0.3mmであることが更に好ましい。
本発明の平版印刷版原版においては、非画像部領域の親水性を向上させ印刷汚れを防止するために、支持体表面の親水化処理を行うことも好ましい。
支持体表面の親水化処理としては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液に浸漬処理又は電解処理するアルカリ金属シリケート処理、フッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、ポリビニルホスホン酸で処理する方法等が好ましく挙げられるが、ポリビニルホスホン酸水溶液に浸漬処理する方法がより好ましく用いられる。
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、前記感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。
前記保護層の材料としては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらの中で、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的に特に良好な結果を与える。
具体的には、(株)クラレ製のPVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−403、PVA−405、PVA−420、PVA−424H、PVA−505、PVA−617、PVA−613、PVA−706、L−8等が挙げられる。ポリビニルアルコールは1種単独又は2種以上混合して使用できる。ポリビニルアルコールの保護層中の含有量は、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%である。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて、前記支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。前記バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3)4 、Si(OC2H5)4 、Si(OC3H7)4 、Si(OC4H9)4等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
本発明の平版印刷版原版を画像露光して現像処理を行うことで平版印刷版を製版することができる。
本発明の平版印刷版の製版方法の第一の好ましい態様は、本発明の平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程と露光した前記平版印刷版原版を、pHが2〜14の現像液の存在下で、非露光部の前記感光層を除去する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の平版印刷版の製版方法は、前記感光層の前記支持体とは反対側の表面上に、保護層を形成する工程を含み;前記現像工程において、更に界面活性剤を含有する前記現像液の存在下、非露光部の感光層と前記保護層とを同時に除去する工程を含み、前記現像工程の前及び/又は後に水洗工程を含まない、ことが好ましい。また、本発明の平版印刷版の製版方法は、前記現像液のpHが2.0〜10.0である、ことが好ましい。
本発明の平版印刷版の製版方法の第二の好ましい態様は、本発明の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して非露光部の前記感光層を除去する工程とを含むことを特徴とする。
以下、本発明の平版印刷版の製版方法について、各工程の好ましい態様を順に説明する。なお、本発明の平版印刷版の製版方法によれば、本発明の平版印刷版原版は前記現像工程において水洗工程を含む場合も平板印刷版を製版することができる。
本発明の平版印刷版の製版方法は、本発明の平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程を含むことが好ましい。本発明の平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光されることが好ましい。
光源の波長は300〜450nm又は750〜1,400nmが好ましく用いられる。300〜450nmの光源の場合は、この波長領域に吸収極大を有する増感色素を感光層に有する平版印刷版原版が好ましく用いられ、750〜1,400nmの光源の場合は、この波長領域に吸収を有する増感色素である赤外線吸収剤を感光層に含有する平版印刷版原版が好ましく用いられる。300〜450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。750〜1,400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cm2であるのが好ましい。また、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、及びフラットベッド方式等の何れでもよい。
画像露光は、プレートセッターなどを用いて常法により行うことができる。機上現像の場合には、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光を行ってもよい。
本発明の平版印刷版原版は、露光工程において、下塗り層と画像記録層との間での露光時の光架橋による界面の密着性向上により、高い耐刷性とドットロスの向上が発現したものと推定している。
本発明の平版印刷版の製版方法は、画像様に露光した本発明の平版印刷版原版をpHが2〜14の現像液の存在下で非露光部の感光層を除去する工程、を含むことが好ましい。また、本発明の平版印刷版の製版方法は、印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して非露光部の感光層を除去する工程、を含むことが好ましい。本発明の平版印刷版の製版方法は、前記両工程のいずれかを現像工程として含むことが好ましい。すなわち、本発明の平版印刷版の製版方法において、現像処理は、(1)pHが2〜14の現像液にて現像する方法(現像液処理方式)、又は(2)印刷機上で、湿し水とインキを加えながら現像する方法(機上現像方式)で行うことが好ましい。
以下に、現像液処理方式、及び、機上現像方式について説明する。
現像液処理方式においては、画像露光された平版印刷版原版は、pHが2〜14の現像液により処理され、非露光部の感光層が除去されて平版印刷版が作製される。
高アルカリ性現像液(pH12以上)を用いる現像処理においては、通常、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを水洗除去し、ガム液処理を行い、乾燥工程で乾燥して平版印刷版が作製される。
本発明の第一の好ましい態様によれば、pHが2〜14の現像液が使用される。この態様においては、現像液中に界面活性剤又は水溶性高分子化合物を含有させることが好ましく、これにより現像とガム液処理を同時に行うことが可能となる。よって後水洗工程は特に必要とせず、1液で現像−ガム液処理を行うことができる。
更に、前水洗工程も特に必要とせず、保護層の除去も現像−ガム液処理と同時に行うことができる。すなわち、本発明の平板印刷版の製版方法では、現像工程前後において、水洗工程を含まないことが好ましい。本発明の平板印刷版の製版方法では、現像−ガム処理の後に、例えば、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
図1に示す自動現像処理機100は、機枠202により外形が形成されたチャンバーからなり、平版印刷版原版の搬送路11の搬送方向(矢印A)に沿って連続して形成された前加熱(プレヒート)部200、現像部300及び乾燥部400を有している。
前加熱部200は、搬入口212及び搬出口218を有する加熱室208を有し、その内部には串型ローラー210とヒーター214と循環ファン216とが配置されている。
現像部300の内部には、現像液で満たされている現像槽308を有する処理タンク306と、平版印刷版原版を処理タンク306内部へ案内する挿入ローラー対304が設けられている。現像槽308の上部は遮蔽蓋324で覆われている。
ブラシローラー対322、326の下部には、スプレーパイプ330が設けられている。スプレーパイプ330はポンプ(不図示)が接続されており、ポンプによって吸引された現像槽308内の現像液がスプレーパイプ330から現像槽308内へ噴出するようになっている。
外部タンク50は第2の循環用配管C2が接続され、第2の循環用配管C2中には、フィルター部54及び現像液供給ポンプ55が設けられている。現像液供給ポンプ55によって、現像液が外部タンク50から現像槽308へ供給される。また、外部タンク50内には上限液レベル計52、下限液レベル計53が設けられている。
現像槽308は、第3の循環用配管C3を介して補充用水タンク71に接続されている。第3の循環用配管C3中には水補充ポンプ72が設けられており、この水補充ポンプ72によって補充用水タンク71中に貯留される水が現像槽308へ供給される。
液中ローラー対316の上流側には液温センサー336が設置されており、搬出ローラー対318の上流側には液面レベル計338が設置されている。
乾燥部400は、支持ローラー402、ダクト410、412、搬送ローラー対406、ダクト410、412、搬送ローラー対408がこの順に設けられている。ダクト410、412の先端にはスリット孔414が設けられている。また、乾燥部400には図示しない温風供給手段、発熱手段等の乾燥手段が設けられている。乾燥部400には排出口404が設けられ、乾燥手段により乾燥された平版印刷版は排出口404から排出される。
機上現像方式においては、画像露光された平版印刷版原版は、印刷機上で油性インキと水性成分とを供給し、非画像部の感光層が除去されて平版印刷版が作製される。
すなわち、平版印刷版原版を画像露光後、なんらの現像処理を施すことなくそのまま印刷機に装着するか、あるいは、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光し、ついで、油性インキと水性成分とを供給して印刷すると、印刷途上の初期の段階で、非画像部においては、供給された油性インキ及び/又は水性成分によって、未硬化の感光層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。一方、露光部においては、露光により硬化した感光層が、親油性表面を有する油性インキ受容部を形成する。最初に版面に供給されるのは、油性インキでもよく、水性成分でもよいが、水性成分が除去された感光層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に油性インキを供給することが好ましい。このようにして、平版印刷版原版は印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。油性インキ及び水性成分としては、通常の平版印刷用の印刷インキと湿し水が好適に用いられる。
また、以下特に断りがない場合、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表す。
三口フラスコに、4−((3−メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)ブタン−1−スルホナート(5.17部)、ビニルホスホン酸(BASF製)(4.53部)、N−(3−(2−(2−(3−アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)メタクリルアミド=一リン酸塩の15.0質量%水溶液(23.5部)、蒸留水(30部)を加え、窒素気流下、10分間60℃で加熱撹拌した。その後重合開始剤VA−046B(和光純薬工業(株)製)(0.3部)を蒸留水(20部)に溶解し、3時間かけて滴下した。その後、再びVA−046B(0.3部)を加え、80℃で3時間加熱、加熱終了後冷却した。
得られたポリマー溶液に対してNaOHを添加し、pHを9.7に調整した。その後4−ヒドロキシ−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル、東京化成工業(株)製)を0.1部加え、55℃に加熱し、メタクリル酸無水物(アルドリッチ社製)(10.0部)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、55℃を6時間維持した。その後、酢酸エチル(250部)を加え、反応容器中の下層を回収した。回収した下層にイオン交換樹脂としてAmberlyst R15(アルドリッチ社製)を15g加え、室温で2時間撹拌した後に、Amberlyst R15をろ過で除去することで成分Bの高分子化合物P−1の水溶液を得た。
得られた高分子P−1を、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量(Mw)を測定した結果、10,000であった。
また、本発明の他の成分Bの高分子化合物についてもP−1の合成方法と同様にして、上記合成例の繰り返し単位のモノマー成分を変更すること、アミノ基の置換反応に用いる反応性試薬の種類と添加量を変更すること、更に必要により既存の合成手法も用いて合成を行うことにより、P−2〜P−11を得た。
(1)平版印刷版原版の作製
〔アルミニウム支持体1の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した
。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
このようにして得られた支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
アルミニウム支持体1を、珪酸ナトリウム1質量%水溶液にて20℃で10秒処理し、アルミニウム支持体2を作製した。その表面粗さを測定したところ、0.54μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。このアルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、0.3質量%の塩酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下に交流電流により60秒間電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間デスマット処理を行った。このアルミニウム板を、15%硫酸水溶液溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、アルミニウム支持体を作製した。その表面粗さを測定したところ、0.44μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
上記アルミニウム支持体1〜3それぞれに、以下の組成を有する下塗り層塗布液をバーコーターで塗布し、100℃にて1分間乾燥して下塗り層を形成した。下塗り層の乾燥塗布量は12mg/m2であった。
・表23及び表24に記載の成分B、又は下記比較用高分子化合物
0.50部
・表23及び表24に記載の成分A、又は下記比較用化合物
表23及び表24記載の添加量
・メタノール 90.0部
・純水 10.0部
〔感光層1の形成〕
下記組成の感光層塗布液1を上記下塗り層の上にバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層1を形成した。
・下記バインダーポリマー(1)(重量平均分子量:80,000) 0.34部
・下記重合性化合物(1)(PLEX6661−O、デグサジャパン(株)製)
0.68部
・下記増感色素(1) 0.06部
・下記重合開始剤(1) 0.18部
・下記連鎖移動剤(1) 0.02部
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40部
(顔料:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量平均分子量:60,000、共重合モル比:83/17)):10質量部、シクロヘキサノン:15質量部)
・熱重合禁止剤(N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩)
0.01部
・下記フッ素系界面活性剤(1)(重量平均分子量:10,000)
0.001部
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物((株)ADEKA製、プルロニックL44) 0.02部
・黄色顔料の分散物(黄色顔料Novoperm Yellow H2G(クラリアント社製):15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(質量平均分子量:6万、共重合モル比83/17)):10質量部、シクロヘキサノン:15質量部) 0.04部
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5部
・メチルエチルケトン 8.0部
下記組成の感光層塗布液2を上記下塗り層の上にバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層2を形成した。
<感光層塗布液2>
・上記バインダーポリマー(1)(重量平均分子量:50,000)
0.04部
・下記バインダーポリマー(2)(重量平均分子量:80,000)
0.30部
・上記重合性化合物(1) 0.17部
・下記重合性化合物(2) 0.51部
・下記増感色素(2) 0.03部
・下記増感色素(3) 0.015部
・下記増感色素(4) 0.015部
・上記重合開始剤(1) 0.13部
・連鎖移動剤:メルカプトベンゾチアゾール 0.01部
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40部
(顔料:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(質量平均分子量:6万、共重合モル比:83/17)):10質量部、シクロヘキサノン:15質量部)
・熱重合禁止剤(N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩)
0.01部
・上記フッ素系界面活性剤(1)(重量平均分子量:10,000)
0.001部
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5部
・メチルエチルケトン 8.0部
下記組成の感光層塗布液3を上記下塗り層の上にバー塗布した後、100℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の感光層3を形成した。感光層塗布液3は下記感光液(1)及び疎水化前駆体液(1)を塗布直前に混合し撹拌することにより調製した。
・下記バインダーポリマー(3) 0.162部
・下記赤外線吸収剤(1) 0.030部
・下記重合開始剤(3) 0.162部
・重合性化合物(アロニックスM215、東亞合成(株)製) 0.385部
・パイオニンA−20(竹本油脂(株)製) 0.055部
・下記感脂化剤(1) 0.044部
・上記フッ素系界面活性剤(1) 0.008部
・メチルエチルケトン 1.091部
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609部
・下記疎水化前駆体水分散液(1) 2.640部
・蒸留水 2.425部
4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ蒸留水350部を加えて内温が80℃となるまで加熱した。分散剤としてドデシル硫酸ナトリウム1.5部添加し、更に開始剤として過硫化アンモニウム0.45部を添加し、次いでグリシジルメタクリレート45.0部とスチレン45.0部との混合物を滴下ロートから約1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、水蒸気蒸留で未反応単量体を除去した。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し、最後に不揮発分が15質量%となるように純水を添加してポリマー粒子からなる疎水化前駆体水分散液(1)を得た。このポリマー粒子の粒径分布は、粒子径60nmに極大値を有していた。
以下の組成を有する保護層塗布液1を乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃で70秒間乾燥して保護層1を形成した。
<保護層塗布液1>
・ポリビニルアルコール(ケン化度:98モル%、重合度:500) 40部
・ポリビニルピロリドン(重量平均分子量分子量:5万) 5部
・ポリ〔ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1)〕(重量平均分子量:7万)
0.5部
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5部
・水 950部
以下の組成を有する保護層塗布液2を乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃で70秒間乾燥して保護層2を形成した。
・下記の無機質層状化合物分散液(1) 1.5部
・スルホン酸変性ポリビニルアルコールの6質量%水溶液(日本合成化学工業(株)製CKS50、ケン化度99モル%以上、重合度300) 0.55部
・ポリビニルアルコール6質量%水溶液((株)クラレ製PVA−405、ケン化度81.5モル%、重合度500、6質量水溶液) 0.03部
・界面活性剤の1質量%水溶液(日本エマルジョン(株)製エマレックス710)
0.86部
・イオン交換水 6.0部
イオン交換水193.6部に合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4部を添加し、混合物を、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱)が3μmになるまで分散し、無機質層状化合物分散液(1)を調製した。得られた散粒子のアスペクト比は100以上であった。
〔露光、現像及び印刷〕
下記表25〜27に示す各平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd.(FFEI社)製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー(発光波長405nm±10nm/出力30mW)を搭載)により画像露光した。画像露光は、解像度2,438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、網点面積率が50%となるように、版面露光量0.05mJ/cm2で行った。
次いで、100℃、30秒間のプレヒートを行った後、下記の各現像液を用い、図1に示すような構造の自動現像処理機にて現像処理を実施した。自動現像処理機は、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径50mmのブラシロールを1本有し、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.52m/sec)させた。現像液の温度は30℃であった。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minで行った。現像処理後、乾燥部にて乾燥を行った。乾燥温度は80℃であった。但し、現像液2を用いた際は、現像後乾燥工程を行う前に、水洗を行った。
・炭酸ナトリウム 13.0部
・炭酸水素ナトリウム 7.0部
・ニューコールB13 50.0部
・第一リン酸アンモニウム 2.0部
・2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール 0.01部
・2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.01部
・クエン酸三ナトリウム 15.0部
・蒸留水 913.98部
(pH:9.8)
・水酸化カリウム 0.15部
・ニューコールB13 5.0部
・キレスト400(キレート剤) 0.1部
・蒸留水 94.75部
(pH:12.05)
・アラビアガム 25.0部
・酵素変性馬鈴薯澱粉 70.0部
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 5.0部
・第一リン酸アンモニウム 1.0部
・クエン酸 1.0部
・2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール 0.01部
・2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.01部
・下記両性界面活性剤(化合物W−1) 70.0部
・下記アニオン性界面活性剤(化合物AN−1) 3.0部
・蒸留水 824.98部
(リン酸及び水酸化ナトリウムを添加し、pHを4.5に調整)
・水 937.2部
・下記アニオン系界面活性剤(化合物W−2) 23.8部
・リン酸 3部
・フェノキシプロパノール 5部
・トリエタノールアミン 6部
・ポテトデキストリン 25部
・水 88.6部
・下記ノニオン系界面活性剤(W−3) 2.4部
・下記ノニオン系界面活性剤(W−4) 2.4部
・ノニオン系界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
1.0部
・フェノキシプロパノール 1.0部
・オクタノール 0.6部
・N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン 1.0部
・トリエタノールアミン 0.5部
・グルコン酸ナトリウム 1.0部
・クエン酸3ナトリウム 0.5部
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム 0.05部
・ポリスチレンスルホン酸(Versa TL77(30%溶液)、Alco Chemical社製) 1.0部
(リン酸を添加し、pHを7.0に調整)
各平版印刷版原版について、耐刷性、耐汚れ性、経時後の耐汚れ性及び現像性を下記のように評価した。結果を表25〜27に示す。
<耐刷性>
印刷枚数の増加にともない、徐々に感光層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。同一露光量で露光した印刷版において、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。耐刷性評価は、表25〜27においては各々比較例1、7及び9を基準(1.0)として、以下のように定義した相対耐刷性で表した。相対耐刷性の数字が大きい程、耐刷性が高いことを表す。
相対耐刷性=(対象平版印刷版原版の耐刷性)/(基準平版印刷版原版の耐刷性)
印刷開始後20枚目の印刷物を抜き取り、非画像部に付着しているインキ濃度により耐汚れ性を評価した。非画像部のインキ付着は、必ずしも均一に発生するわけではないため、75cm2当りの目視評価の点数で表示した。「目視評価の点数は、非画像部のインキ付着面積率が0%の場合を10点、0%を超え10%以下を9点、10%を超え20%以下を8点、20%を超え30%以下を7点、30%を超え40%以下を6点、40%を超え50%以下を5点、50%を超え60%以下を4点、60%を超え70%以下を3点、70%を超え80%以下を2点、80%を超え90%以下を1点、90%を超え100%以下を0点とした。点数の高い程、耐汚れ性が良好であることを表す。
種々の搬送速度に変更して上記現像処理を行い、得られた平版印刷版の非画像部のシアン濃度をマクベス濃度計により測定した。非画像部のシアン濃度がアルミニウム支持体のシアン濃度と同等になった搬送速度を求め、現像性とした。現像性評価は、表25〜27においては各々比較例1、7及び9を基準(1.0)として、以下のように定義した相対現像性で表した。相対現像性の数値が大きい程、高現像性であり、性能が良好であることを表す。
相対現像性=(対象平版印刷版原版の搬送速度)/(基準平版印刷版原版の搬送速度)
印刷前と1000枚印刷後の網点面積を、市販の測定装置(Centurfax社製 CC−Dot)を用いて計測し、印刷前の網点面積と印刷後の網点面積の差をドットロスとした。数値が小さいほど、ドットロスが抑制できていることを示す。
〔露光、現像及び印刷〕
表28及び29に示す各平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter3244VX(水冷式40W赤外線半導体レーザー(830nm)搭載)にて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2,400dpiの条件で50%平網の画像露光を行った。次いで、現像液1又は4を用い、図2に示す構造の自動現像処理機にて、プレヒート部での版面到達温度が100℃となるヒーター設定、現像液中への浸漬時間(現像時間)が20秒となる搬送速度にて現像処理を実施した。
〔露光、現像及び印刷〕
下記表30に示す各平版印刷版原版を、赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2,400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
露光済み平版印刷版原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10,000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に100枚印刷を行った
各平版印刷版原版について、機上現像性及び耐刷性を下記のように評価した。耐汚れ性及び経時後の耐汚れ性については実施例1と同様にして評価した。結果を下記表30に示す。
<機上現像性>
感光層の非画像部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。
上記機上現像性の評価を行った後、更に印刷を続けた。印刷枚数の増加にともない、徐々に感光層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン50%網点の網点面積率をグレタグ濃度計で計測した値が、印刷100枚目の計測値よりも5%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。耐刷性評価は、比較例15を基準(1.0)として以下のように定義した相対耐刷性で表した。相対耐刷性の数字が大きい程、耐刷性が高いことを表す。
相対耐刷性=(対象平版印刷版原版の耐刷性)/(基準平版印刷版原版の耐刷性)
機上現像が完了した枚数における網点面積を基準として、そこから1,000枚印刷を行った後の網点面積を、CC−dotを使用して計測し印刷前後の網点面積の差をドットロスとした。数値が小さいほど、ドットロスが抑制できていることを示す。
Claims (11)
- 支持体上に、下塗り層と、画像記録層とをこの順に有し、
前記下塗り層が、
(成分A)多官能エチレン性不飽和化合物、及び
(成分B)ポリアルキレンオキシ結合を側鎖に有するポリマー、を含有し、
成分Aが、式(1)で表される化合物を含有し、
成分Bが、下記式(b1−2)で表される構成単位を有するポリマーであることを特徴とする
平版印刷版原版。
L1:−CO−O−2価の脂肪族基−
L3:−CO−NH−2価の脂肪族基−
L18:−CO− - 成分Aが、式(3)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
- 式(1)中、X1が−N(R4)−で表され、R4は独立に水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基であるか、R3と結合して複素環を形成してもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 成分Aの含有量が、成分Bの含有量100質量部に対して、0.1〜10質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 成分Bが、エチレン性不飽和基を更に有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 成分Bが、下記式(b2−1)〜(b2−6)よりなる群から選ばれた構造の少なくとも1つを有する構成単位を更に有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
露光した前記平版印刷版原版を、pHが2〜14の現像液の存在下で、非露光部の画像記録層(感光層)を除去する現像工程とを含むことを特徴とする
平版印刷版の製版方法。 - 前記感光層の支持体とは反対側の表面上に、保護層を形成する工程を含み、
前記現像工程において、更に界面活性剤を含有する前記現像液の存在下、非露光部の前記感光層と前記保護層とを同時に除去する工程を含み、前記現像工程の前及び/又は後に水洗工程を含まない、請求項8に記載の平版印刷版の製版方法。 - 前記現像液のpHが2.0〜10.0である、請求項8又は9に記載の平版印刷版の製版方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して非露光部の画像記録層(感光層)を除去する工程とを含むことを特徴とする
平版印刷版の製版方法。
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