JP5745911B2 - 熱供給システム - Google Patents
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Description
尚、上述のような集中型熱供給装置(4)ではなく、各消費者設備に熱交換器を設けておき、各消費者設備では、熱媒循環路を循環する熱媒が有する熱を単にその熱交換器で受け取るような熱供給システムもある。例えば、特許文献2には、消費者設備の夫々に設けられ、熱媒循環路を循環する熱媒と、その消費者設備において加熱対象とする流体との間の熱交換を行う熱交換器を備えるような熱供給システムが記載されている。
太陽熱を集める太陽熱集熱器と、
熱媒を貯え、前記太陽熱集熱器が集めた熱を前記熱媒を用いて蓄える蓄熱装置と、
前記蓄熱装置が貯えている前記熱媒を、それぞれが熱消費装置を有する複数の消費者の消費者設備に循環可能にさせる熱媒循環路と、
前記消費者設備の夫々に設けられ、前記熱媒循環路を循環する前記熱媒と、当該消費者設備において加熱対象とする流体との間の熱交換を行う熱交換器と、
前記熱媒循環路における前記熱媒の循環状態を調節する循環状態調節装置と、
前記循環状態調節装置の動作を制御して、1日の中の特定の時間帯にのみ前記熱媒循環路に前記熱媒を循環させる運転制御装置とを備え、
前記熱交換器が、前記熱媒循環路を循環する前記熱媒から前記消費者設備において加熱対象とする流体が受領することができる熱量の最大を制限する受領熱量制限手段として構成され、
前記熱交換器を前記受領熱量制限手段として構成するに、
前記特定の時間帯の間、基準蓄熱量を蓄えている前記蓄熱装置から前記熱媒を基準流量で前記熱媒循環路に継続的に供給して循環させ、それにより前記熱交換器での前記熱交換に伴う前記熱媒の温度低下が前記消費者による予測熱需要に対応して発生すると想定した場合に、前記特定の時間帯の終了時点において前記蓄熱装置から前記熱媒循環路へ供給して循環させることができる前記熱媒の温度が基準温度範囲内となるように、前記熱交換器の熱交換能力が設定されている点にある。
従って、複数の消費者に対して公平に熱を供給できる熱供給システムを提供できる。
また、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置から熱媒循環路へ供給して循環させることができる熱媒の温度が高過ぎる状態は、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置に残存している熱が多過ぎる状態であることを意味する。つまり、蓄えた熱が消費者に活用されなかった(即ち、蓄えた熱が無駄になった)ことを意味する。これに対して、熱媒の温度が低過ぎる状態は、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置に残存している熱が少な過ぎる状態であることを意味する。つまり、上記特定の時間帯の初期には各消費者に十分な熱量を供給できたが、終期には各消費者に十分な熱量を供給できなかった(即ち、熱の公平な分配が行われなかった)ことを意味する。
ところが、本特徴構成によれば、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置から熱媒循環路へ供給して循環させることができる熱媒の温度が基準温度範囲内となるように、熱交換器の熱交換能力が設定されているので、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置に残存している熱が多過ぎることも無く且つ少な過ぎることもない状態が得られる。その結果、蓄熱装置に蓄えた熱が各消費者に活用されずに無駄になることもなく且つ熱が各消費者に対して不公平に配分されることもなくなる。
ところが、本特徴構成によれば、熱交換器の熱交換能力を高くするときの上限は、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置から熱媒循環路へ供給して循環させることができる熱媒の温度が所定の下限温度以上となる熱交換能力である。つまり、熱交換器の熱交換能力を高くした場合に(即ち、各消費者が相対的に大きな熱量を受領できるようにした場合に)蓄熱装置での蓄熱量の減少速度が相対的に速くなったとしても、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置から熱媒循環路へ供給して循環させることができる熱媒の温度は所定の下限温度以上であることが確保される。従って、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置に残存している熱が少な過ぎる状態になることが回避されるので、上記特定の時間帯の終期であっても各消費者に十分な熱量を供給できるようになる。
ところが、本特徴構成によれば、熱交換器の熱交換能力を低くするときの下限は、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置から熱媒循環路へ供給して循環させることができる熱媒の温度が所定の上限温度以下となる熱交換能力である。つまり、熱交換器の熱交換能力を低くした場合に(即ち、各消費者が相対的に小さな熱量しか受領できないようにした場合に)蓄熱装置での蓄熱量の減少速度が相対的に遅くなったとしても、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置から熱媒循環路へ供給して循環させることができる熱媒の温度は所定の上限温度以下であることが確保される。従って、特定の時間帯の終了時点において蓄熱装置に残存している熱が多過ぎる状態になることが回避されるので、蓄えた熱が消費者に活用されずに無駄になるような状態を無くすことができる。
図1に示す熱供給システムS1は、太陽熱集熱器1と蓄熱装置2と熱媒循環路3と循環状態調節装置Cとそれら各装置の動作を制御する運転制御装置4とを備え、集合住宅などに居住する複数の消費者に対して熱を供給するシステムである。特に、本実施形態の熱供給システムS1は、太陽熱集熱器1で集められた熱を、複数の消費者によって有効且つ公平に活用させるために、後述する熱交換器13の熱交換能力を適切な値に設定している。
以下の説明では、先ず、熱供給システムS1の構成について記載し、その後、熱交換器13の熱交換能力について記載する。
消費者設備10は、熱媒循環路3を通流する湯水と消費者設備10の内部で供給される低温の給水とが熱交換可能な熱交換器13を有している。具体的には、熱交換器13には熱媒循環路3の往路3aが引き込まれ、熱交換器13から出た部分が熱媒循環路3の復路3bとなる。消費者設備10が有する熱消費装置11には、給水が熱交換器13で加熱された後に得られる湯水が供給される。その際、必要に応じて、熱交換器13で加熱された後に得られる湯水に対してミキシングユニット14で給水が加えられた上で、或いは、熱交換器13で加熱された後の湯水に対して熱源機12で更に加熱された上で熱消費装置11に供給される。熱源機12としては、例えばガスなどの燃料を燃焼した際の燃焼熱を利用する湯沸器などを利用できる。
以下に、熱需要(予測熱需要)、湯水の温度(即ち、配管送り温度)のシミュレーション結果、蓄熱装置2での蓄熱量のシミュレーション結果について具体的に説明する。
次に、熱媒循環路3に湯水を循環させる循環時間帯をどのように決定するのかについて説明する。
上述のように、通常、太陽熱集熱器1は日の出時刻付近から日没時刻付近までの間に太陽熱を集め、その熱が蓄熱装置2へ供給されて蓄熱される。これに対して、図2〜図4の熱需要のグラフ(黒三角印)で示したように、通常、消費者が熱を大量に消費するのは夕方から夜の時間帯である。従って、昼間の時間帯に太陽熱集熱器1で集められた熱を蓄熱装置2に蓄熱し、それと同時に蓄熱装置2から熱媒循環路3へと湯水の循環を常時行わせていると、多くの消費者が夜の時間帯に熱消費を行うまでの間、熱媒循環路3を循環通流する湯水はほとんど消費されることなく単に放熱されるだけとなる。そこで、本実施形態では、各消費者が1日の中で熱を大量に消費しようとする特定の時間帯のみ湯水を循環させることで、余分な放熱ロスの発生を回避することを想定している。
以下に、図2〜図4に示すシミュレーション結果を参照して、熱交換器13の熱交換能力をどのように設定すれば良いのかについて説明する。
本実施形態において、熱交換器13は、熱媒循環路3を循環する湯水から消費者設備10において加熱対象とする流体が受領することができる熱量の最大を制限する受領熱量制限手段として構成されている。具体的には、熱交換器13の熱交換能力は、特定の循環時間帯の間、基準蓄熱量を蓄えている蓄熱装置2から湯水を基準流量で熱媒循環路3に継続的に供給して循環させ、それにより熱交換器13での熱交換に伴う湯水の温度低下が消費者による予測熱需要に対応して発生すると想定した場合に、特定の循環時間帯の終了時点において蓄熱装置2から熱媒循環路3へ供給して循環させることができる湯水の温度が基準温度範囲内となるように設定されることが好ましい。
<1>
上記実施形態において、太陽熱集熱器1が集めた熱以外の熱を蓄熱装置2で蓄えるように改変してもよい。例えば、図5は、別の熱供給システムS2(S)の構成を説明する図である。図5に示す熱供給システムS2は、熱源装置として、熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置20を備え、その熱電併給装置20が発生した熱が蓄熱装置2に蓄えられるように構成されている。具体的には、図5に記載の熱供給システムS2では、熱媒循環路3の途中に三方弁8を設けることで、熱媒循環路3から熱媒路21を分岐させている。熱媒路21には熱電併給装置20が接続されることで、蓄熱装置2から熱電併給装置20へ湯水が供給可能となっている。また、それとは別に熱電併給装置20と蓄熱装置2とを接続する熱媒路22を設けることで、熱電併給装置20で加熱された湯水が蓄熱装置2へと帰還するようになっている。蓄熱装置2に貯留されている湯水が熱電併給装置20へと流入し、その後、蓄熱装置2へと帰還する際の湯水の流れは、熱媒路22に設けられているポンプP3によって形成される。熱電併給装置20としては、燃料電池や、原動機と発電機とを組み合わせた装置などを採用できる。また、熱源装置として、熱電併給装置20ではなく例えばヒートポンプ装置やガスボイラーなどの他の装置を設けてもよい。或いは、1台の熱源装置ではなく、複数の熱源装置(熱電併給装置20、ヒートポンプ装置、ガスボイラーなどの組み合わせ)を併設してもよい。
以上のように、熱供給システムS2が、太陽熱集熱器1が集めた熱以外の熱を蓄熱装置2で蓄えることで、上記循環時間帯の開始前における蓄熱装置2での蓄熱量を大きく確保できる。その結果、より規模の大きい集合住宅にも対応可能な熱供給システムとなる。
上記実施形態において、様々な種類の太陽熱集熱器1や蓄熱装置2を用いることができる。例えば、図1では、太陽熱集熱器1として強制循環型の平板型集熱器を想定した図を描いているが、現在用いられている様々な種類の太陽熱集熱器1を本発明の熱供給システムSで利用できる。また、図1では、蓄熱装置2として開放式の貯水タンクを想定した図を描いているが、密閉式の貯水タンクを用いてもよい。そして、蓄熱装置2の内部で温度成層が形成されるように湯水を貯めてもよい。その場合、蓄熱装置2に貯えられている高温部分の湯水が熱媒循環路3へ供給され、且つ、温度センサT1は、その蓄熱装置2から熱媒循環路3に供給される湯水の温度を測定できる位置に設けておくことが好ましい。
上記実施形態において、特定の循環時間帯の終了時点において蓄熱装置2から熱媒循環路3へ供給して循環させることができる湯水の温度のシミュレーション結果を得るために、幾つかの基準となる数値を例示したが、それらの数値は適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、基準蓄熱量を300kWhとし、基準流量を3リットル/分とし、基準温度範囲を22℃〜25℃とした場合でのシミュレーション結果を示したが、この熱供給システムSが設けられる集合住宅の規模や季節や各消費者の予測熱需要などの様々な要因に基づいて各数値は適宜変更してもよい。
上記実施形態において、各消費者設備10の熱交換器13に供給される湯水の温度を調節するために、蓄熱装置2に貯えられている比較的高温の湯水が流れる往路3aに接続路3cを介して低温の熱媒を流入させる例を説明したが、図示した接続路3c以外の部位からその低温の熱媒を得てもよい。また、別途、上水(即ち、低温の熱媒)を導入する配管を熱媒循環路3の往路3aに接続することで、各消費者設備10の熱交換器13に供給される湯水の温度を調節してもよい。
2 蓄熱装置
3 熱媒循環路
4 運転制御装置
10 消費者設備
11 熱消費装置
13 熱交換器
P1 ポンプ(循環状態調節装置 C)
S 熱供給システム
V1 定流量弁(循環状態調節装置 C)
V2 流量調節弁(循環状態調節装置 C)
Claims (3)
- 複数の消費者に熱を供給する熱供給システムであって、
太陽熱を集める太陽熱集熱器と、
熱媒を貯え、前記太陽熱集熱器が集めた熱を前記熱媒を用いて蓄える蓄熱装置と、
前記蓄熱装置が貯えている前記熱媒を、それぞれが熱消費装置を有する複数の消費者の消費者設備に循環可能にさせる熱媒循環路と、
前記消費者設備の夫々に設けられ、前記熱媒循環路を循環する前記熱媒と、当該消費者設備において加熱対象とする流体との間の熱交換を行う熱交換器と、
前記熱媒循環路における前記熱媒の循環状態を調節する循環状態調節装置と、
前記循環状態調節装置の動作を制御して、1日の中の特定の時間帯にのみ前記熱媒循環路に前記熱媒を循環させる運転制御装置とを備え、
前記熱交換器が、前記熱媒循環路を循環する前記熱媒から前記消費者設備において加熱対象とする流体が受領することができる熱量の最大を制限する受領熱量制限手段として構成され、
前記熱交換器を前記受領熱量制限手段として構成するに、
前記特定の時間帯の間、基準蓄熱量を蓄えている前記蓄熱装置から前記熱媒を基準流量で前記熱媒循環路に継続的に供給して循環させ、それにより前記熱交換器での前記熱交換に伴う前記熱媒の温度低下が前記消費者による予測熱需要に対応して発生すると想定した場合に、前記特定の時間帯の終了時点において前記蓄熱装置から前記熱媒循環路へ供給して循環させることができる前記熱媒の温度が基準温度範囲内となるように、前記熱交換器の熱交換能力が設定されている熱供給システム。 - 前記熱交換器の熱交換能力の上限が、
前記特定の時間帯の間、基準蓄熱量を蓄えている前記蓄熱装置から前記熱媒を基準流量で前記熱媒循環路に継続的に供給して循環させ、それにより前記熱交換器での前記熱交換に伴う前記熱媒の温度低下が前記消費者による予測熱需要に対応して発生すると想定した場合に、前記特定の時間帯の終了時点において前記蓄熱装置から前記熱媒循環路へ供給して循環させることができる前記熱媒の温度が所定の下限温度以上となる熱交換能力である請求項1に記載の熱供給システム。 - 前記熱交換器の熱交換能力の下限が、
前記特定の時間帯の間、基準蓄熱量を蓄えている前記蓄熱装置から前記熱媒を基準流量で前記熱媒循環路に継続的に供給して循環させ、それにより前記熱交換器での前記熱交換に伴う前記熱媒の温度低下が前記消費者による予測熱需要に対応して発生すると想定した場合に、前記特定の時間帯の終了時点において前記蓄熱装置から前記熱媒循環路へ供給して循環させることができる前記熱媒の温度が所定の上限温度以下となる熱交換能力である請求項1又は2に記載の熱供給システム。
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