以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図8に示すように、硬貨処理装置11としては、硬貨の入金および出金する硬貨入出金機を示す。この硬貨処理装置11は、機体12を有し、この機体12の上部前側(図1左側が前面)には、硬貨を入金する入金口および硬貨を出金する出金口として機能する取引口13が形成されている。この取引口13には、図示しないシャッタが開閉可能に配置されている。
取引口13の下側には、硬貨を受け入れて貯留する受入部14が形成されている。この受入部14には、機体12外から取引口13に投入される入金硬貨などを受け入れたり、機体12内から取引口13に払い出される出金硬貨や返却硬貨などを受け入れる。この受入部14は、底面の一部が開閉可能で、その開放により硬貨を下方へ放出可能としている。
また、図1、図2および図8に示すように、機体12内の上部側には、上部が背面側に傾斜する(機体12の前面から見て鉛直方向に対して上部が左側に傾斜する)板状のベース16が配置され、このベース16の正面側に、硬貨を1枚ずつ分離した状態で搬送する搬送部17が配設されている。この搬送部17は、硬貨が移動する搬送路18、およびこの搬送路18に沿って移動するように複数のプーリ19によって張設された搬送体としての搬送ベルト20を備えている。搬送路18は、ベース16の正面側に配設される通路構成部材21によって、ベース16の正面に対して所定の高さ位置に形成されている。搬送ベルト20は、搬送路18との間に硬貨を受け入れ可能とする間隔をあけた状態に複数のプーリ19によって張設され、搬送路18に対向する面にはベルト長手方向に沿って所定間隔毎に硬貨保持部としての突起22が突設されている。そして、搬送路18と搬送ベルト20との間でかつベルト長手方向に隣り合う突起22間に硬貨を1枚ずつ受け入れて搬送するように構成されている。
搬送部17には、機体12の前後方向に設けられる第1の搬送部17a、この第1の搬送部17aの上方位置で前後方向に設けられる第2の搬送部17b、およびこれら第1の搬送部17aと第2の搬送部17bとの後端間を接続する第3の搬送部17cが設けられている。以下、第2の搬送部17bから第3の搬送部17cおよび第1の搬送部17aへ向けて硬貨を搬送する方向を入金搬送方向F1と呼び、逆に、第1の搬送部17aから第3の搬送部17cおよび第2の搬送部17bへ向けて硬貨を搬送する方向を出金搬送方向F2と呼ぶ。
第2の搬送部17bの前端には、ベース16に対して脱着式とする搬送路ユニット23が接続されている。この搬送路ユニット23により、搬送路18を上方へ向けて屈曲させて受入部14(取引口13)に接続させ、この搬送路ユニット23が備えた搬送機構によって第2の搬送部17bの前端に搬送した硬貨を受入部14(取引口13)に送り込むように構成されている。なお、屈曲した搬送路ユニット23は、本実施の形態の硬貨処理装置11のように、機体12の上部に取引口13および受入部14が配設される場合に用いられるが、機体12の前部に取引口13および受入部14が配設される場合には直線状の搬送路ユニットが用いられ、第2の搬送部17bの前端に搬送した硬貨が直線状の搬送路ユニットを経由して受入部14(取引口13)に直線的に送り込まれるように構成される。
ベース16の正面側には、第1の搬送部17aの前端位置に接続される繰出部25が配設され、第1の搬送部17aの繰出部25より後側位置および第2の搬送部17bにそれぞれ接続される複数の金種別収納繰出部26が配設され、第2の搬送部17bの金種別収納繰出部26より前側位置に接続される一時保留部27が配設されている。これら繰出部25、金種別収納繰出部26および一時保留部27は、硬貨を収納するとともに、収納している硬貨を1枚ずつ搬送部17に繰り出すように構成されている。
搬送部17の搬送路18には、搬送部17内を搬送する硬貨のうち、該当する硬貨を搬送部17から繰出部25、金種別収納繰出部26および一時保留部27にそれぞれ振り分けて収納させる振分機構28が配設されている。この振分機構28は、例えば、振分部材をソレノイドの駆動によって搬送部17に対して進退移動させることにより、搬送部17内を搬送する硬貨を繰出部25、金種別収納繰出部26および一時保留部27にそれぞれ振り分けたり、搬送部17の搬送方向下流側に通過させるように構成されている。
また、第2の搬送部17bの金種別収納繰出部26と一時保留部27との間に、搬送する硬貨
の少なくとも金種、真偽、正損などを識別し、受入可否や出金可否を判断する識別部31が配設されている。
繰出部25は、受入部14より下方に位置し、受入部14から放出される硬貨が図示しないシュートによって導かれるように構成されている。この繰出部25では、入金硬貨と一緒に投入された異物を排出し、機体12の前面に設けられた返却口32へ返却可能とする。
また、金種別収納繰出部26については、それぞれ独立した収納繰出ユニット35によって構成されている。ベース16の正面側には、金種別収納繰出部26の配設位置に対応して、収納繰出ユニット35が着脱可能に装着される装着部36が形成されている。なお、本実施の形態では、繰出部25および一時保留部27は、ベース16に対して着脱する構成を採用していないが、これら繰出部25および一時保留部27についても金種別収納繰出部26と同様に、ベース16に対して着脱可能とする収納繰出ユニット35で構成してもよい。
そして、ベース16と、このベース16に配設される搬送部17、搬送路ユニット23、繰出部25、一時保留部27、振分機構28および装着部36などとによって本体ユニット37が構成されている。
次に、図5ないし図7において、収納繰出ユニット35について説明する。
この収納繰出ユニット35は、装着状態でベース16の正面側に平行となるように上部が背面側に傾斜する傾斜姿勢で回転する回転円盤40、この回転円盤40の正面側との間に硬貨を収納する収納部41を形成するカバー42、回転円盤40の正面側上部域に対向配置されて回転円盤40と搬送部17との間で硬貨の搬送をガイドする搬送ガイド43、回転円盤40を回転駆動するモータ44、このモータ44に給電するためのコネクタ45、およびこれらを支持する支持体46などを備え、この支持体46によってベース16の装着部36に着脱可能に装着される。
回転円盤40は、背面側に突出する回転軸49を中心として回転可能とし、正面の周辺域には、直径方向の寸法を硬貨1枚の直径寸法より大きいとともに硬貨2枚分の直径寸法より小さい寸法として硬貨の硬貨面が接合可能とする硬貨接合面50が形成されている。この硬貨接合面50には、硬貨接合面50に硬貨面が接合する硬貨を1枚のみ拾い上げる拾上げ部材51が、径方向に複数個ずつで、円周方向に硬貨径より大きい所定のピッチで配置されている。さらに、回転円盤40の正面には、硬貨接合面50の内周側に環状の溝部52が形成され、この溝部52の内周側に拾上げ部材51との間で硬貨接合面50に硬貨面が接合する硬貨を1枚のみ支持する硬貨支持部53が形成されている。そして、回転円盤40が繰出回転方向(図7反時計回り方向)へ回転することにより、拾上げ部材51が硬貨支持部53との間に硬貨を1枚ずつ保持して回転円盤40の上部域に拾い上げ、回転円盤40の上部域に配置されている搬送ガイド43に受け渡すとともに搬送部17へ向けて押し出すように構成されている。
回転円盤40の硬貨接合面50には、各拾上げ部材51の位置に対応して複数のセンサ用孔部54が形成されている。
また、カバー42は、透明な樹脂材料によって形成され、回転円盤40の正面側との間に硬貨を収納する収納部41を形成するとともに回転円盤40を回転可能に囲んで支持体46に取り付けられている。カバー42の上面には、収納部41の上方域を開口する開口部57が形成されている。カバー42の正面上部側には取手用の窪み部42aが形成されており、収納繰出ユニット35を手で持つ場合、例えば、カバー42の窪み部42aに手の親指を掛け、残りの指をカバー42の下側に掛けることで、カバー42を介して収納繰出ユニット35を安定して保持でき、収納繰出ユニット35をベース16に着脱する際にこの収納繰出ユニット35をベース16に対して垂直な方向に容易に移動させることができ、着脱操作を容易にできる。
また、搬送ガイド43は、回転円盤40の硬貨接合面50との間に硬貨が入り込まない間隙をあけて対向した状態で、かつ先端が溝部52に入り込んだ状態で、支持体46に取り付けられている。そして、回転円盤40の拾上げ部材51および硬貨支持部53との間で1枚ずつ拾い上げてきた硬貨を搬送ガイド43の曲面状の縁部60に受け取って搬送部17へ案内するように構成されている。
搬送ガイド43の正面側外縁部には、固定受部としての固定溝部61が形成されている。
また、支持体46は、その背面側に、回転円盤40の回転軸49を回転可能に支持する軸受部64、回転円盤40を回転駆動するモータ44が取り付けられるモータ取付台65、モータ44と電気的に接続されたコネクタ45が取り付けられるコネクタ取付台66がそれぞれ突設されている。
支持体46の背面は、ベース16の装着部36の正面側に位置決め接合される基準面69として形成されており、この基準面69の上部域には先細り状のピンで構成される複数の位置決め突部70が突設され、基準面69の下部域には先端に膨出部71を有する保持突部72が突設されている。これら位置決め突部70および保持突部72などは、基準面69に対して垂直方向に向けて突設されている。
支持体46の背面には、回転円盤40のセンサ用孔部54の回転域に対向するとともに、センサ用孔部54の回転方向の1ピッチ分に対応する2箇所にセンサ用孔部73が形成されている。
次に、図1、図3および図4において、収納繰出ユニット35が着脱可能に装着されるベース16の装着部36について説明する。
このベース16の装着部36は、ベース16の正面が、収納繰出ユニット35の支持体46の基準面69が互いに接合して位置決めされる基準面81として形成されている。この基準面81には、収納繰出ユニット35の支持体46の背面から突出する軸受部64、モータ44およびモータ取付台65、コネクタ45およびコネクタ取付台66、保持突部72などが挿通する挿通開口82が形成されているとともに、支持体46の背面から突出する各位置決め突部70が挿入される複数の位置決め孔部83が形成されている。
ベース16の挿通開口82の一側内縁部に支持片84が折曲形成され、この支持片84に挿通開口82に挿通された保持突部72の先端の膨出部71が嵌り込んで保持するキャッチ85が取り付けられている。このキャッチ85は、先端が互いに閉じる方向に付勢された一対のレバー86、およびこれらレバー86の先端に回転自在に取り付けられたローラ87を有し、これらのローラ87間に付勢に抗して保持突部72の膨出部71が圧入されるとともにローラ87間を膨出部71が少し通過した位置で、支持体46の基準面69がベース16の基準面81に接合し、この接合状態を維持するように支持体46をベース16に引き寄せるように構成されている。そして、保持突部72とキャッチ85とで、装着部36に装着された収納繰出ユニット35を装着状態に保持する保持手段88が構成されている。
ベース16の装着部36の正面側には、装着部36に装着された収納繰出ユニット35の搬送ガイド43の外側方に位置して、装着部36に装着された収納繰出ユニット35を固定する固定手段90が配設されている。この固定手段90は、ベース16に取り付けられた軸支部材91、この軸支部材91に回動可能に支持された軸部92、この軸部92から側方に突出する固定部材93を有している。軸部92の先端には操作手段としての操作レバー94が取り付けられている。そして、装着部36に収納繰出ユニット35を装着した状態で、操作レバー94を固定方向(図3
時計回り方向)に回動操作することにより、固定部材93が搬送ガイド43の固定溝部61に係合し、収納繰出ユニット35をベース16の装着部36に固定する。また、操作レバー94を固定解除方向(図3反時計回り方向)に回動操作することにより、固定部材93を搬送ガイド43の固定溝部61から退避させ、収納繰出ユニット35をベース16の装着部36から取り外し可能とする。このように、装着部36に収納繰出ユニット35を装着し、固定部材93で固定した状態では、回転円盤40の硬貨接合面50と搬送部17の搬送路18の搬送面とが一致し、回転円盤40側から搬送部17へ硬貨を繰出可能とする。固定手段90は、回転円盤40からの硬貨の繰出位置である搬送ガイド43の部分を固定するため、回転円盤40側から搬送部17への硬貨の繰り出しを確実にできる。
ベース16の装着部36の上部側には、装着部36に装着された収納繰出ユニット35のカバー42の開口部57に嵌合し、その開口部57つまり収納部41の上方域を閉塞する本体側カバー96が取り付けられている。
ベース16の背面にはブラケット98が取り付けられ、このブラケット98にはコネクタ45と接続されてモータ44に給電するコネクタ部99が取り付けられている。コネクタ45とコネクタ部99とは、装着部36に着脱される収納繰出ユニット35の着脱方向に対応して互いに接続可能に対向され、その装着部36に着脱される収納繰出ユニット35の着脱方向への移動に伴って自動的に着脱されるように構成されている。なお、コネクタ45とコネクタ部99とは、一方が雄形で、他方が雌形となるが、いずれが雄形でも雌形であってもよい。
ベース16の装着部36には、支持体46の2箇所のセンサ用孔部73に対向する2箇所にセンサ用孔部101が形成され、装着部36の背面側に各センサ用孔部101を通じて収納繰出ユニット35の収納部41内の硬貨を検知する残留検知センサである硬貨検知センサ102の発光部102aおよび受光部102bが配設されている。この硬貨検知センサ102は、センサ用孔部101を通じて収納繰出ユニット35の収納部41内へ向けて検知光を出射する発光部102a、および収納繰出ユニット35の収納部41側からセンサ用孔部101を通じて入射する検知光を受光する受光部102bを有しているとともに、収納繰出ユニット35のカバー42に取り付けられていて発光部102aからの検知光を入射して受光部102bへ向けて出射させるプリズム102c(図5参照)を有している。
そして、回転円盤40の2箇所のセンサ用孔部54と支持体46の2箇所のセンサ用孔部73およびベース16の2箇所のセンサ用孔部101とが対向するときにおいて、収納部41内に硬貨が無ければ、発光部102aから出射した検知光をプリズム102cを通じて受光部102bで受光し、硬貨検知センサ102は透光状態となり、収納部41内に存在する硬貨で検知光が遮られれば、硬貨検知センサ102は遮光状態となる。また、回転円盤40の2箇所のセンサ用孔部54と支持体46の2箇所のセンサ用孔部73およびベース16の2箇所のセンサ用孔部101とが対向しないときにも、硬貨検知センサ102は遮光状態となる。そして、回転円盤40には図示しないロータリーエンコーダが接続されており、出力されるパルスを計数することにより、回転円盤40の2箇所のセンサ用孔部54の位置を知ることができるため、透光タイミングを知ることができ、この透光タイミングで透光状態にあるか遮光状態にあるかを判定することで、硬貨検知センサ102で硬貨の有無を検知できる。
また、図1および図2に示すように、装着部36に装着された収納繰出ユニット35を固定状態で施錠する施錠手段104を備えている。この施錠手段104は、ベース16に取り付けられたシリンダ錠105、このシリンダ錠105に着脱可能で施錠解錠操作する鍵106、およびシリンダ錠105の施錠解錠に伴って装着部36に装着された収納繰出ユニット35を固定状態で施錠解錠する図示しない施錠機構を備えている。施錠機構は、例えば、シリンダ錠105の施錠解錠に伴って動作するリンク機構を有し、このリンク機構を介して固定手段90の固定部材93を固定位置に保持したり、装着部36に装着された収納繰出ユニット35を直接固定する
。なお、鍵106は、権限を有する管理者が保有して管理するか、鍵管理機などで管理する。
なお、図2に示すように、各収納繰出ユニット35のカバー42は、場所によって多少形状が異なっているが、機能的には変わりがない。
また、図1および図2に示すように、繰出部25および一時保留部27は、金種別収納繰出部26の収納繰出ユニット35と同様の回転円盤40、収納部41およびカバー42などを備え、硬貨の収納および硬貨の繰り出しを可能とする。繰出部25のカバー42の上面は開口され、受入部14から放出される硬貨をシュートを通じて受け入れ可能とし、また、一時保留部27のカバー42の上面も開口され、上方からの硬貨の受け入れを可能とする。なお、本実施の形態では、繰出部25および一時保留部27は、ベース16に対して着脱可能とする収納繰出ユニット35を採用していないが、収納繰出ユニット35を採用してもよい。
また、図8に示すように、機体12内の下部には、金種別収納繰出部26に収納しきれないオーバーフロー硬貨を収納するオーバーフロースタッカ111が配置されているとともに、補充硬貨や回収硬貨を収納する硬貨カセット112が配置されている。オーバーフロースタッカ111と硬貨カセット112との間には、これらオーバーフロースタッカ111よび硬貨カセット112から繰り出される硬貨を上方の一時保留部27に搬送する搬送機構113が配置されている。この搬送機構113で搬送する硬貨が、一時保留部27のカバー42の上面開口から収納部41内に送り込まれる。
オーバーフロースタッカ111には、硬貨を搬送機構113に繰り出すベルト114、および受入部14内の取り忘れ硬貨を回収する回収カセット115が配設されている。硬貨カセット112には、硬貨を搬送機構113に繰り出すベルト116、およびリジェクト硬貨を回収するリジェクトボックス117が配設されている。
第1の搬送部17aには、オーバーフロー硬貨をオーバーフロースタッカ111に分岐する分岐部118、取り忘れ硬貨を回収カセット115に分岐する分岐部119、リジェクト硬貨をリジェクトボックス117に分岐する分岐部120、および回収硬貨を硬貨カセット112に分岐する分岐部121が設けられている。
次に、硬貨処理装置11の動作を説明する。
まず、硬貨処理装置11の全体の処理動作について説明する。
入金処理時には、取引口13のシャッタを開き、取引口13から投入される硬貨を受入部14に受け入れ、取引口13のシャッタを閉じた後、受入部14内の硬貨を下方の繰出部25に放出する。
繰出部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で出金搬送方向F2へ向けて搬送し、識別部31で識別する。受入可と識別された硬貨は、搬送部17から一時保留部27に振り分けて保留する。受入不可と識別された硬貨は、搬送部17から受入部14へ送り込み、取引口13のシャッタの開放により受入部14から取出可能とする。
取引口13に投入された全ての硬貨の保留または返却までの処理が完了した後、入金が承認されれば、一時保留部27内の硬貨を金種別収納繰出部26に収納し、また、キャンセルされれば、一時保留部27内の硬貨を返却する。
すなわち、入金が承認された場合には、一時保留部27内の硬貨を、搬送部17に繰り出し
、搬送部17で入金搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部31で識別し、識別結果に基づいて該当する金種の金種別収納繰出部26に振り分けて収納する。金種別収納繰出部26が満杯となった金種の硬貨は、金種別収納繰出部26に収納せず、搬送部17から分岐部118で分岐してオーバーフロースタッカ111に収納する。
キャンセルされた場合には、一時保留部27内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で入金搬送方向F1に搬送し、繰出部25に収納する。一時保留部27内の全ての硬貨を繰出部25に移動させた後、繰出部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で出金搬送方向F2へ向けて搬送し、搬送部17から受入部14に送り込む。取引口13のシャッタの開放により、受入部14内から硬貨を取出可能とする。
また、出金処理時には、出金する金種の金種別収納繰出部26内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で出金搬送方向F2に搬送し、識別部31で識別する。出金可と識別された硬貨は、搬送部17から受入部14に送り込み、また、出金不可と識別された硬貨は、搬送部17から一時保留部27に振り分けて保留する。
出金不可と識別された硬貨が一時保留部27に送り込まれた場合には、金種別収納繰出部26からの硬貨の繰り出しを完了し、出金分の硬貨が受入部14に送り込まれた後、一時保留部27内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で入金搬送方向F1に搬送し、識別部31で識別し、再識別によって出金可と識別された硬貨は該当する金種別収納繰出部26に収納し、再識別でも出金不可と識別された硬貨は搬送部17の分岐部120で分岐してリジェクトボックス117に収納する。
出金分の硬貨を受入部14に送り込んだら、取引口13のシャッタの開放により、受入部14から硬貨を取出可能とする。
取引口13のシャッタを開放してから所定時間経過しても、受入部14上に硬貨を残留していることをセンサで検知している場合には、取り忘れ硬貨であると判断し、その取り忘れ硬貨を回収する。すなわち、取引口13のシャッタを閉じた後、受入部14内の取り忘れ硬貨を下方の繰出部25に放出する。繰出部25内の取り忘れ硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で出金搬送方向F2へ向けて搬送し、識別部31で識別した後に一時保留部27に一時保留し、この取り忘れ硬貨の金種および枚数を確認した後、一時保留部27から搬送部17へ硬貨を繰り出し、搬送部17の分岐部119で分岐して回収カセット115に収納する。
また、補充処理時には、オーバーフロースタッカ111または硬貨カセット112に収納されている硬貨を、搬送機構113に繰り出し、搬送機構113で一時保留部27に搬送する。一時保留部27内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で入金搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部31で識別し、識別結果に基づいて該当する金種の金種別収納繰出部26に振り分けて収納する。金種別収納繰出部26が満杯となった金種の硬貨は、金種別収納繰出部26に収納せず、搬送部17から分岐部118で分岐してオーバーフロースタッカ111に収納する。
次に、収納繰出ユニット35の取り外しについて説明する。
図2において、鍵106をシリンダ錠105に差し込み、鍵106でシリンダ錠105を解錠操作し、収納繰出ユニット35を解錠する。
取り外す収納繰出ユニット35に対応した操作レバー94を固定解除方向に回動して、固定部材93を収納繰出ユニット35の搬送ガイド43の固定溝部61から退避させ(図3参照)、収納繰出ユニット35の固定を解除する。
固定解除した収納繰出ユニット35をベース16の正面に垂直な方向に引っ張ることにより、収納繰出ユニット35の保持突部72がベース16のキャッチ85から外れるとともに、コネクタ45がコネクタ部99から外れ(図4参照)、収納繰出ユニット35をベース16の装着部36から取り外すことができる(図1参照)。
取り外した収納繰出ユニット35は、本体側カバー96で閉塞されていた収納部41の上面が開口される。
そして、取り外した収納繰出ユニット35が、硬貨詰まりの発生していた収納繰出ユニット35であれば、トレイなどの容器上で収納繰出ユニット35の上下を逆にし、カバー42の上面開口部分から収納部41内の硬貨を容器に排出させることにより、硬貨詰まりを容易に解消できる。硬貨詰まりの解消後には、容器に排出した硬貨を収納部41内に戻し、収納繰出ユニット35をベース16の装着部36に再装着して戻す。あるいは、取り外した収納繰出ユニット35が、回転円盤40の回転不良や変形などの故障した収納繰出ユニット35であれば、正常な収納繰出ユニット35に交換する。
また、収納繰出ユニット35を取り外すことにより、ベース16に取り付けられている硬貨検知センサ102の検知面がセンサ用孔部101を通じて露出するため、その硬貨検知センサ102の検知面を清掃するなどのメンテナンスが可能となる。
次に、収納繰出ユニット35の装着について説明する。
収納繰出ユニット35の背面側をベース16の装着部36へ向けて装着していくことにより、まず、図4に示すように、収納繰出ユニット35の背面側から突出する軸受部64、モータ44およびコネクタ45などがベース16の挿通開口82に挿入され、その後、収納繰出ユニット35側の各位置決め突部70がベース16の各位置決め孔部83に差し込まれるとともに、収納繰出ユニット35側の保持突部72がベース16のキャッチ85に差し込まれ、収納繰出ユニット35の基準面69がベース16の基準面81に当接する。
この収納繰出ユニット35の装着状態では、保持突部72とキャッチ85との係合によって、収納繰出ユニット35の基準面69とベース16の基準面81との接合状態を維持するように、収納繰出ユニット35をベース16に引き寄せて仮保持する。
この収納繰出ユニット35の装着動作に伴って、コネクタ45がコネクタ部99に自動的に差し込み接続される。さらに、収納繰出ユニット35のカバー42とベース16の本体側カバー96とが嵌合し、収納部41の上面を閉塞する。
図3に示すように、操作レバー94を固定方向に回動させ、固定部材93を収納繰出ユニット35の搬送ガイド43の固定溝部61に係合させ、ベース16に収納繰出ユニット35を固定する。
鍵106でシリンダ錠105を施錠操作して固定状態にある収納繰出ユニット35を施錠し、鍵106をシリンダ錠105から外す。
また、ベース16の装着部36に収納繰出ユニット35を装着した状態では、コネクタ45とコネクタ部99との接続により、モータ44に給電して回転円盤40を回転させることができる。
さらに、ベース16の背面に取り付けられた硬貨検知センサ102の検知面が、ベース16のセンサ用孔部101および収納繰出ユニット35の支持体46のセンサ用孔部73を通じて回転円盤40の背面側に対向し、回転円盤40の回転時に回転円盤40のセンサ用孔部54を通じて収納
部41内の硬貨の有無を検知可能となる。
このように、回転円盤40およびカバー42を一体に支持体46に支持して収納繰出ユニット35を構成し、この収納繰出ユニット35をベース16の装着部36に着脱できるため、収納繰出ユニット35での硬貨詰まりの発生時には、収納繰出ユニット35をベース16から取り外し、収納繰出ユニット35の上下を逆にするなどして硬貨詰まりを容易に解消できる。また、回転円盤40の回転不良や変形などの故障時には、故障した収納繰出ユニット35をベース16から取り外し、正常な収納繰出ユニット35に付け替えることができ、容易に交換できる。したがって、収納繰出ユニット35をベース16から容易に取り外すことができて、硬貨詰まりの解除やメンテナンスを容易にできる。
また、操作レバー94の操作により、固定手段90を介してワンタッチで収納繰出ユニット35の固定および固定解除を容易にできる。特に、固定手段90は、回転円盤40からの硬貨の繰出位置である搬送ガイド43の部分をベース16に対して固定するため、回転円盤40側から搬送部17への硬貨の繰り出しを確実にできる。
また、ベース16の装着部36に収納繰出ユニット35を装着したとき、固定手段90によって収納繰出ユニット35が固定されるまで、収納繰出ユニット35を保持手段88で仮保持できるため、収納繰出ユニット35の位置ずれや落下を防止でき、装着作業性を向上できる。
また、ベース16の装着部36の正面の基準面81と収納繰出ユニット35の支持体46の背面の基準面69とが互いに接合されて、ベース16の正面に垂直な方向の位置を位置決めできるとともに、収納繰出ユニット35の支持体46から突設された位置決め突部70が、ベース16の装着部36に設けられた位置決め孔部83に挿入されて、ベース16の正面に平行な方向の位置を位置決めすることができるため、収納繰出ユニット35が着脱可能でありながら、収納繰出ユニット35がベース16に装着された状態では、互いの位置が正確に位置決めされ、硬貨の収納および繰り出しを確実にできる。
また、収納繰出ユニット35の着脱に伴って、コネクタ45をコネクタ部99に対して自動的に着脱でき、収納繰出ユニット35の着脱時の作業性を向上できる。
また、ベース16の装着部36に収納繰出ユニット35を装着した状態では、装着部36側の本体側カバー96と収納繰出ユニット35側のカバー42とで収納繰出ユニット35の収納部41を閉塞するため、メンテナンス時などに、収納対象外の硬貨や異物などが収納繰出ユニット35の収納部41内に侵入するのを防止できる。
しかも、収納繰出ユニット35のカバー42を透明材料で形成しているため、装着部36側の本体側カバー96と収納繰出ユニット35側のカバー42とで収納繰出ユニット35の収納部41を閉塞していても、収納繰出ユニット35の収納部41内の状態を容易に確認できる。
また、収納繰出ユニット35を取り外すことにより、ベース16に取り付けられている硬貨検知センサ102の検知面がセンサ用孔部101を通じて露出し、その硬貨検知センサ102の検知面を清掃するなどのメンテナンスを容易にできる。
また、ベース16の装着部36に装着された収納繰出ユニット35を固定状態で施錠手段104により施錠できるため、収納繰出ユニット35の取り外しを制限できる。
なお、収納繰出ユニット35には、電気部品としてモータ44を配置したが、収納部41内の硬貨を検知する硬貨検知センサを配置してもよい。あるいは、モータ44は、収納繰出ユニット35には配置せず、ベース16側に配置し、ベース16に装着された収納繰出ユニット35の
回転円盤40を回転駆動するようにしてもよく、この場合には、収納繰出ユニット35にはコネクタ45を配置しなくてよい。
また、収納繰出ユニット35に位置決め突部70や保持突部72を設け、ベース16に位置決め孔部83やキャッチ85を設けたが、逆に設けてもよい。
また、固定手段90としてはソレノイドなどの電気的駆動手段を用い、操作手段としては電気的駆動手段を動作させるスイッチで構成してもよい。