JP5745415B2 - ポルフィリン化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、水溶液中で自己集合化する新規ポルフィリン金属錯体とその分子集合体、並びに該集合体を用いたMRI造影剤に関する。
現在、臨床現場において使用されている磁気共鳴画像(MRI)法とは、水のプロトンの信号を画像化する技術であり、生体内に存在するプロトンの位置情報と周囲のコントラストを2次元で濃淡表示する技術である。プロトンの位置情報は、核磁気共鳴(NMR)内の静磁場を故意に歪める傾斜磁場を用いることによって得られ、コントラストは水や脂質などのプロトンのNMR情報として得られるスピン密度、緩和時間、拡散速度、化学シフト、位相などによって決定される。特に緩和時間は、観測されるスピンを含む水分子と周辺分子の間の相対的な配置や運動によって変化し、周囲の組織の状態をよく反映することから、種々の診断において広く用いられている。
現在上記MRI法に用いられMRI造影剤は、生体組織中の水の緩和時間を変化させることにより、その分布量が異なる組織間にコントラストを付加する。すなわち造影剤は水プロトンの緩和時間の変化を通し間接的に検出される。現在、GdやMnを含有するT1緩和造影剤や、酸化鉄を用いたT2緩和造影剤が用いられており、これらの金属イオンと水プロトンの相互作用により縦横の緩和が促進される。
これらの金属イオンは有毒である傾向があるため、生体組織が吸収する能力を低減するために、実際には配位子によってキレート化されているものが使用される。しかしながらこのキレート化は、金属イオンが有している緩和能力を減少させ、造影剤としての効果を低減させることにもつながる。そこで、分子サイズに応じた回転相関時間の増大による緩和能上昇効果(常磁性体緩和促進効果)を利用した造影剤(特許文献1)や、有機ラジカルであるニトロキシド化合物と金属イオンをハイブリッド化し高い緩和能を有する造影剤(特許文献2)、また、超常磁性体の酸化鉄ナノ粒子をポリマーで複合化し平均粒子径が26nm程度のガン細胞選択性を有する造影剤が報告されている(非特許文献1)。
一方、金属イオンを全く用いず、有機ラジカルであるニトロキシル基を有するデンドリマーを用いた造影剤なども報告されている(特許文献3)。
又はハイパーブランチポリマー末端にニトロキシル基を担持した造影剤なども報告されている(特許文献4)
上記したように、これまで提案された造影剤にあっては、その多くが金属イオンを含有しており、生体内での安全性が危惧されるという課題を有している。
また、金属イオンを用いない造影剤にあっては、緩和能が低いことや、ガン細胞などへの選択性が期待できる平均粒子径の大きさを得るには合成上に課題を有している。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、すなわち、生体内での安全性を備え、緩和能の大きさや、ガン細胞や臓器選択性などの種々の要求を満足するようなMRI造影剤として応用することができる、新規なポルフィリン金属錯体及びその分子集合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ポルフィリン金属錯体にエチレングリコール鎖を導入することにより、得られた金属錯体が非イオン性であり、しかも該金属錯体が水溶液中で自己集合化し、直径5〜2000nmの分子集合体を形成することができることを見出した。そしてこの金属錯体及び集合体を利用することにより、大きな常磁性体緩和促進効果を発現して高い緩和能を有する、新規なMRI造影剤として有用であることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、第1観点として、式(1)で表されるポルフィリン金属錯体に関する。
{式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、炭素原子数1乃至10のアルキル基〔このアルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、フェニル基(このフェニル基はハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、又は炭素原子数1乃至10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〕、炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、フェニル基〔このフェニル基はハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は式(2)
(nは1から10を表す。)
で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基で任意に置換されていてもよい。〕及び上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基からなる群から選択される基を表し、ただし、R1乃至R12のうち少なくとも一つは上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基又は上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基で置換されたフェニル基を表し、
Mは、2価の金属原子、又は酸素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、もしくはシアノ基を有してもよい3価〜5価の金属原子を表す。}。
第2観点として、前記式(1)において、前記R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11はそれぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、カルボキシメチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、アニソール基及びトリル基からなる群から選択される基を表し、
前記R3、R6、R9及びR12はそれぞれ独立して、式(3)
(式中、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ独立して、水素原子、又は前記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基を表す。)で表されるフェニル基を表す、第1観点に記載のポルフィリン金属錯体に関する。
第3観点として、前記式(1)において、前記R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は水素原子を表し、前記R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、式(4)
(式中、nは3から6を表す。)
で表されるフェニル基を表す、第2観点に記載のポルフィリン金属錯体に関する。
第4観点として、前記Mはハロゲン原子を有するMn(III)、Fe(III)又はCo(III)を表す、第1観点乃至第3観点のうちいずれか一項に記載のポルフィリン金属錯体に関する。
第5観点として、前記Mはハロゲン原子を有するMn(III)を表す、第4観点に記載のポルフィリン金属錯体に関する。
第6観点として、第1観点乃至第5観点のうちいずれか一項に記載のポルフィリン金属錯体の自己集合化により形成される直径5nm〜2000nmの大きさを有する分子集合体に関する。
第7観点として、第1観点乃至第5観点のうちいずれか一項に記載のポルフィリン金属錯体、又は第6観点に記載の分子集合体を含むMRI造影剤に関する。
本発明のポルフィリン金属錯体は非イオン性であり、水溶液中で自己集合化して直径5〜2000nm、好ましくは直径30〜1000nmの分子集合体を形成する。このため、大きな常磁性体緩和促進効果により高い緩和能を有する新規なMRI用造影剤として利用可能である。また、分子集合体は5〜2000nmの大きさを有することから、ガン細胞選択性や臓器選択性を有する画期的なMRI造影剤と期待される。
図1は、化合物(3)[Mn−TPPTEG12]、化合物(16)[Mn−TPPHEG3]、化合物(19)[Mn−TPPHEG6]及び化合物(21)[Mn−TPPHEG12]の動的光散乱法(DLS)の測定結果を示す図である(横軸:直径(nm)、縦軸:散乱強度(%))。 図2は、化合物(3)[Mn−TPPTEG12]の透過型電子顕微鏡(TEM)の観察結果を示す図(図2(a))、化合物(16)[Mn−TPPHEG3]の透過型電子顕微鏡(TEM)の観察結果を示す図(図2(b))、化合物(19)[Mn−TPPHEG6]の透過型電子顕微鏡(TEM)の観察結果を示す図(図2(c))、及び化合物(21)[Mn−TPPHEG12]の透過型電子顕微鏡(TEM)の観察結果を示す図(図2(d))である。 図3は、化合物(3)[Mn−TPPTEG12]のT1緩和時間(縦緩和)(図3(a))及びT2緩和時間(横緩和)(図3(b))の測定結果を示す図、化合物(16)[Mn−TPPHEG3]のT1緩和時間(縦緩和)(図3(c))及びT2緩和時間(横緩和)(図3(d))の測定結果を示す図、化合物(19)[Mn−TPPHEG6]のT1緩和時間(縦緩和)(図3(e))及びT2緩和時間(横緩和)(図3(f))の測定結果を示す図、及び化合物(21)[Mn−TPPHEG12]のT1緩和時間(縦緩和)(図3(g))及びT2緩和時間(横緩和)(図3(h))の測定結果を示す図である(縦軸:緩和時間の逆数、横軸:濃度(mM))。
[ポルフィリン金属錯体]
本発明は、上記式(1)で表されるポルフィリン金属錯体に関する。
式(1)で表される金属錯体において、置換基R1乃至R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、炭素原子数1乃至10のアルキル基〔このアルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、フェニル基(このフェニル基はハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、又は炭素原子数1乃至10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〕、炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、フェニル基〔このフェニル基はハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基で任意に置換されていてもよい。〕、又は上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基を表し、ただし、R1乃至R12のうちの少なくとも一つは上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基又は上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基で置換されたフェニル基を表す。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、上記各置換基で任意に置換されていてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、イソペンチル基、ターシャリーペンチル基、ネオペンチル基、ノルマルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、メトキシエチル基、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−メチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
また炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基が挙げられ、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
さらに上記核置換基で任意に置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、ペンタフェニル基、アニソール基、トリル基等が挙げられる。
好ましいR1乃至R12としては、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、カルボキシメチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、アニソール基、トリル基、上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基で置換されたフェニル基、又は上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基が挙げられる。より好ましくは、水素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、スルホン酸基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、カルボキシメチル基、メトキシ基、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、又は上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基で置換されたフェニル基が挙げられる。さらに好ましくは、水素原子、エチル基、ノルマルプロピル基、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、又は上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基を有するフェニル基が挙げられる。
特に、上記式(1)中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11はそれぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、カルボキシメチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、アニソール基及びトリル基からなる群から選択される基を表すことが好ましく、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11が水素原子を表すことが最も好ましい。
また上記式(1)中、R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、前記式(3)で表されるフェニル基を表すことが好ましく、R3、R6、R9及びR12がそれぞれ独立して前記式(4)で表されるフェニル基を表すことが最も好ましい。
なお上記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基において、nは1〜10であり、好ましくは3〜6である。
また上記式(3)で表されるフェニル基において、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ独立して水素原子又は前記式(2)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基を表す。
そして上記式(4)で表されるオリゴエチレングリコールメチルエーテル基を有するフェニル基において、nは3〜6を表す。
また、上記式(1)中、Mは、2価の金属原子、又は酸素原子、ハロゲン原子、ニトロ基もしくはシアノ基を有してもよい3価〜5価の金属原子を表す。
Mは、具体的には、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au及びHgからなる群から選択される2価の金属原子、又は酸素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基を有してもよい3価〜5価の金属原子である。
2価の金属原子の具体例としては、マグネシウム(II)、カルシウム(II)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、亜鉛(II)、ルテニウム(II)、パラジウム(II)、スズ(II)、オスミウム(II)、イリジウム(II)、白金(II)、鉛(II)等が挙げられ、好ましくは亜鉛(II)、ルテニウム(II)、パラジウム(II)、スズ(II)、オスミウム(II)、イリジウム(II)、白金(II)が挙げられる。
3価の金属原子の具体例としては、アルミニウム(III)、鉄(III)、マンガン(III)、コバルト(III)、ロジウム(III)、インジウム(III)、アンチモン(III)、ビスマス(III)等が挙げられ、好ましくはロジウム(III)が挙げられる。
4価の金属原子の具体例としては、ゲルマニウム(IV)、スズ(IV)等が挙げられ、好ましくはスズ(IV)が挙げられる。
5価の金属原子の具体例としては、モリブデン(V)、アンチモン(V)、ビスマス(V)等が挙げられる。
これらの中でも、Mはハロゲン原子を有するMn(III)、Fe(III)又はCo(III)であることが好ましく、Mがハロゲン原子を有するMn(III)であることが最も好ましい。
次に、ポルフィリン金属錯体の製造方法について説明する。
まず、本発明のポルフィリン金属錯体に用いられるポルフィリン配位子は、例えばPNAS,104(26),10780−2007やJournal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry.32,1243−1254,1994、及び、Huaxue Shijie,31(4)164−6,1990等に記載の方法に準じて合成できる。代表的なポルフィリン配位子は、以下の方法で製造することができる。
得られたスルホン酸化合物をChemistry−A European Journal,13(31),8660−8666,2007や、Chemistry−A European Journal,12,3735−3740,2007等の方法で脱プロトン化を行い、アニオン性のポルフィリンが得られる。
また、下記に示すRussian Jouranl of General Chemistry,77(11),1955−1958,2007等の手順に従い、カチオン性のポルフィリンを得ることもできる。
次に、式(1)で表されるポルフィリン金属錯体は、例えば、前出のPNAS,104(26),10780−2007やJournal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry.32,1243−1254,1994等に記載の方法に準じて合成できる。
[ポルフィリン金属錯体より形成される集合体]
本発明のポルフィリン金属錯体は、水や水溶液又はアルコール水溶液などの極性溶液中に投入されると自己集合化する。ここで「自己集合化」(自己組織化ともいう)とは、当初ランダムな状態にある物質(分子)群において、分子が適切な外部条件下で分子間の非共有結合性相互作用等により自発的に会合することにより、マクロな機能性集合体に成長することを指す。
具体的には、ポルフィリン金属錯体中のポルフィリン面と隣接する他の錯体中のポルフィリン面が集合し、また錯体の外側に位置するオリゴエチレングリコールメチルエーテル鎖が外部の溶液と分子間非共有結合を形成してポルフィリンの自己集合化を安定化し、その結果、直径5nm乃至2000nm程度、好ましくは直径30〜1000nm程度の大きさを有する分子集合体が形成される。
上記本発明のポルフィリン金属錯体又はその分子集合体は、種々の分野への応用が期待されるが、中でもその性質や大きさから、高い常磁性体緩和促進効果とガン細胞や臓器選択性を有することが期待され、MRI造影剤として有用である。
上記本発明のポルフィリン金属錯体又はその分子集合体からなるMRI造影剤は、通常注射用蒸留水、生理食塩水やリンゲル液等の溶媒に分散、懸濁又は溶解等の状態で用いられ、さらに一用に応じて、薬理学的に許容され得る単体、賦形剤等の添加剤を含めることができる。
本発明の上記MRI造影剤は、細胞などに適用し得るほか、血管(静脈、動脈)内投与、経口投与、直腸内投与、腟内投与、リンパ管内投与、関節内投与等によって生体内に投与することができ、好ましくは、水剤又は乳剤又は懸濁液等の形態で静脈内投与や経口投与によって投与する。
上記MRI造影剤に含められ得る添加剤としては、その投与形態、投与経路等によっても異なるが、具体的には、注射剤の場合には緩衝剤、抗菌剤、安定化剤、溶解補助剤や賦形剤等が単独又は組み合わせて用いられ、経口投与剤(具体的には水剤、シロップ剤、乳剤又は懸濁液等)の場合、着色剤、保存剤、安定化剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤、甘味剤、芳香剤等が単独又は組み合わせて用いられる。各種添加剤は、通常当分野で用いられるものが使用される。
本発明の上記MRI造影剤は、従来のMRI用造影剤に準じて投与、造影することができる。
また上記MRI造影剤は、ヒト以外にも各種動物用の造影剤としても好適に用いることができ、その投与形態、投与経路、投与量等は対象となる動物の体重や状態によって適宜選択する。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1:Mn−TPPTEG12の合成]
上記スキームに従い、化合物(1)より最終目的物である化合物(3)[Mn−TPPTEG12]を合成した。
化合物(1)は文献既知の化合物であり、J.Org.Chem.,2005,70,7065−7079を参考に合成を行った。
<化合物(2)の合成>
化合物(1)0.6g(1.0mmol)を酢酸10mlに溶解し、ピロール0.07ml(1.0mmol)を加え、5時間130℃で加熱還流した。冷却後、エバポレーターで溶媒留去し、黒色油状体の生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。1回目は展開溶媒をクロロホルム:メタノールを用いて、2回目は展開溶媒をジエチルエーテル:メタノールを用いて、いずれも365nmの光を当てながら、桃色の蛍光を発するフラクションを集めた。溶媒を減圧留去し、紫色油状体の化合物(2)[TPPTEG12]80mg(31.3μmol)を得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ(ppm):8.89(s,8H),7.46(s,8H),3.3−4.5(m,180H),−2.87(s,2H)
・UV−vis(H2O):λmax(nm)424,518,554,592,648
・FABMS(m−ニトロベンジルアルコール):2560.3281(M++1)
<化合物(3)の合成>
化合物(2)70mg(27.3μmol)をジメチルホルムアミド10mlに溶解し、二臭素化マンガン四水和物500mg(1.74mmol)を加え、135℃で加熱し、8時間撹拌した。冷却後、真空ポンプで溶媒留去し、クロロホルムで抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)により精製を行い、緑色油状体の化合物(3)[Mn−TPPTEG12]50mg(19.0μmol)を得た。
・UV−vis(H2O):λmax(nm)382,402,470,518,566,602
・FABMS(m−ニトロベンジルアルコール):2613.2433(M++1−Br-
[実施例2:Mn−TPPHEG3の合成)
上記スキームに従い、化合物(11)を用い、最終目的物である化合物(16)[Mn−TPPHEG3]を得た。
化合物(11)は文献既知の化合物であり、Organic&Biomolecular Chemistry,6(12),2118−2132,2008を参考に合成を行った。
<化合物(12)の合成>)
没食子酸メチル2g(10.86mmol)を蒸留ジメチルホルムアミド20mlに溶解し、化合物(11)15.1g(33.5mmol)、炭酸カリウム2g(14.5mmol)を加え、135℃で20時間撹拌した。反応途中で1回冷却後、真空ポンプで溶媒を留去し、クロロホルムに溶解し、吸引濾過をして塩を取り除いた。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)により精製を行った。これを再度蒸留ジメチルホルムアミド20mlに溶解し、化合物(11)12g(26.6mmol)、炭酸カリウム2g(14.5mmol)を加え、135℃で10時間撹拌した。反応終了後、真空ポンプで溶媒を留去し、クロロホルムに溶解し、吸引濾過にて塩を取り除いた。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)により精製し、橙色油状体の化合物(12)10g(9.8mmol)を得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ(ppm):7.29(s,2H),3.37−4.19(m,81H),2.96(s,3H),
<化合物(13)の合成>
化合物(12)10g(9.8mmol)を蒸留テトラヒドロフラン50mlに溶解し、氷浴中で水素化アルミニウムリチウム1.5g(39.5mmol)を加え、75℃で8時間加熱還流した。反応終了後、冷却し、メタノールをゆっくり滴下した。その後、酒石酸カリウムナトリウム水溶液、1Mの塩酸を加え中和した。エバポレーターにより溶媒を留去し、クロロホルムに溶解し、セライト濾過を行った。ろ液を濃縮したものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)により精製し、黄色油状体の化合物(13)8.8g(8.9mmol)を得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ(ppm):6.64(s,2H),4.57(s,2H),3.37−4.20(m,81H)
<化合物(14)の合成>
化合物(13)8.8g(8.9mmol)をクロロホルム100mlに溶解し、二酸化マンガン10g(115mmol)を加え、75℃で3時間加熱還流した。冷却後、吸引濾過を行い、ろ液を濃縮したものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)により精製し、黄色油状体の化合物(14)4.3g(4.36mmol)を得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ(ppm):9.82(s,1H),7.14(s,2H),3.37−4.26(m,81H)
<化合物(15)の合成>:
化合物(14)1.5 g(1.52mmol)を酢酸20mlに溶解し、ベンズアルデヒド0.8g(7.5mmol)、ピロール0.61g(9.1mmol)を加え、10時間130℃で加熱還流した。冷却後、エバポレーターで溶媒留去し、黒色油状体のものを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。1回目は展開溶媒クロロホルム:メタノールで、2回目は展開溶媒酢酸エチル:メタノールを用いて、いずれも365nmの光を当てながら、桃色の蛍光を発するフラクションを集めた。溶媒を減圧留去し、紫色油状体の化合物(15)[TPPHEG3]115mg(76.8μmol)を得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ(ppm):8.91(d,2H),8.84(s,6H),8.21(dd,3H),7.77(s,6H),7.75(t,6H),7.48(s,2H),3.3−4.5(m,81H),−2.81(s,2H)
・UV−vis(H2O):λmax(nm)420,518,552,592,652
・FABMS(m−ニトロベンジルアルコール):1520.7[M++23]
<化合物(16)の合成>
化合物(15)100mg(66.8μmol)を蒸留ジメチルホルムアミド10mlに溶解し、二臭化マンガン四水和物300mg(1.05mmol)を加え、135℃で加熱し、8時間撹拌した。冷却後、真空ポンプで溶媒留去し、クロロホルムで抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)により精製を行い、緑色油状体の化合物(16)59mg[Mn−TPPHEG3](36.2μmol)を得た。
・UV−vis(H2O):λmax(nm)380,400,468,520,568,602
[実施例3:Mn−TPPHEG6の合成]
上記スキームに従い、化合物(17)を用い、最終目的物である化合物(19)[Mn−TPPHEG6]を得た。
<化合物(17)の合成>
30mlの水に0.54mlの塩酸を溶かした0.18Mの塩酸溶液に、ピロール3g(44.6mmol)を溶解し、ベンズアルデヒド(18.8mmol)をゆっくり滴下し、3時間室温で撹拌した。クロロホルムで抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム)により精製を行い、黄色固体の化合物(17)1.4g(6.3mmol)を得た。
<化合物(18)の合成>
化合物(14)0.5g(0.5mmol)と化合物(17)0.17g(0.76mmol)を蒸留塩化メチレンに溶解させ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.06ml(0.42mmol)を加え、1時間室温撹拌した。その後パラ−クロラ二ル100mg(0.4mmol)を加え、3時間室温撹拌した。少量の水を加え溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1回目はヘキサン:クロロホルム、2回目はクロロホルム:メタノール)により精製を行い、紫色油状体の化合物(18)[TPPHEG6]50mg(21.0μmol)を得た。
<化合物(19)の合成>
化合物(18)50mg(21.0μmol)を蒸留ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、二臭化マンガン四水和物200mg(0.7mmol)を加え、135℃で加熱し、8時間撹拌した。冷却後、真空ポンプで溶媒留去し、クロロホルムで抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)により精製を行い、緑色油状体の化合物(19)[Mn−TPPHEG6]30mg(12.0μmol)を得た。
・UV−vis(H2O):λmax(nm)380,402,470,524,568,606
[実施例4:Mn−TPPHEG12の合成]
上記スキームに従い、化合物(14)を用い、最終目的物である化合物(21)[Mn−TPPHEG12]を得た。
<化合物(20)の合成>
化合物(14)1.5 g(1.52mmol)を酢酸20mlに溶解し、ピロール0.1g(1.49mmol)を加え、10時間130℃で加熱還流した。冷却後、エバポレーターで溶媒留去し、黒色油状体のものを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。1回目は展開溶媒クロロホルム:メタノールで、2回目は展開溶媒酢酸エチル:メタノールを用いて、いずれも365nmの光を当てながら、桃色の蛍光を発するフラクションを集めた。溶媒を減圧留去し、紫色油状体の化合物(20)[TPPHEG12]250mg(60.3μmol)を得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ(ppm):8.88(s,8H),7.45(s,8H),3.3−4.5(m,324H),−2.88(s,2H)
・UV−vis(H2O):λmax(nm)422,517,552,586,644
<化合物(21)の合成>
化合物(20)200mg(48.2μmol)を蒸留ジメチルホルムアミド10mlに溶解し、二臭化マンガン四水和物1g(3.49mmol)を加え、135℃で加熱し、8時間撹拌した。冷却後、真空ポンプで溶媒留去し、クロロホルムで抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)を3回行うことにより精製し、緑色油状体の化合物(21)[Mn−TPPHEG12]40mg(9.35μmol)を得た。
・UV−vis(H2O):λmax(nm)382,402,470,518,567,602
[実施例5:動的光散乱法(DLS)による測定]
実施例1−4で調製した化合物(3)[Mn−TPPTEG12]、化合物(16)[Mn−TPPHEG3]、化合物(19)[Mn−TPPHEG6]、化合物(21)[Mn−TPPHEG12]をそれぞれ脱イオン水に分散させ、0.1mMのサンプル1mlを調製した。
このサンプルを用いて動的光散乱法(DLS,使用機器:シスメックス(株)製ZETA SIZER Nano series)により粒子径測定を行った。図1にその結果を示す。また表1に、本測定により得られたそれぞれの化合物において形成された集合体の大きさを示す。
[実施例6:透過型電子顕微鏡(TEM)による観察]
実施例1−4で調製した化合物(3)[Mn−TPPTEG12]、化合物(16)[Mn−TPPHEG3]、化合物(19)[Mn−TPPHEG6]、化合物(21)[Mn−TPPHEG12]をそれぞれ脱イオン水に分散させ、1mMのサンプルを調製した。
このサンプルを応研商事(株)製のエラスチックカーボン支持膜(グリッドピッチ:100μm)に5μl乗せ、余分な溶液をろ紙で吸い取った。その後、2%酢酸ウラン水溶液5μlで染色を行い、余分な溶液はろ紙で吸い取った後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製,JEM 2000 EX)を用いて、形態観察を行った(図2)。また表1に、本観察により得られたそれぞれの化合物において形成された集合体の大きさを示す。
[実施例7:緩和時間の測定]
実施例1−4で調製した化合物(3)[Mn−TPPTEG12]、化合物(16)[Mn−TPPHEG3]、化合物(19)[Mn−TPPHEG6]、化合物(21)[Mn−TPPHEG12]をそれぞれ脱イオン水に分散させ、0.1mM〜8mMの範囲の5つの濃度の異なるサンプルを調製した。5つの各濃度のサンプル0.3mlと脱イオン水0.3mlの計6サンプルを10φのサンプル管にそれぞれ入れ、日本電子(株)製のパルスNMR装置JNM−MU25RAN(0.59T、25MHz、25℃)を用いて、各サンプルについてのT1緩和時間(縦緩和)及びT2緩和時間(横緩和)を測定した。なおT1緩和時間はInvertion Recovery法により、T2緩和時間はCarr-Purcell-Meibuum-Gill(CPMG)法により測定した。各測定法別に、縦軸に水の緩和時間(緩和時間T1又はT2の逆数)、横軸に濃度でプロットし、その傾きから緩和能r1、r2(mM-1-1)を算出した(図3参照)。得られた各化合物の緩和能r1、r2の結果を表1に示す。
図3及び表1に示すように、化合物(3)[Mn−TPPTEG12]の緩和能r1(図3(a))と緩和能r2(図3(b))は、それぞれ18mM-1-1、21mM-1-1という値を得た。この値は、従来のMRI造影剤であるGd−DTPAの緩和能r1=5.5M-1-1(0.59T、25MHz、25℃)と比べると、大きな値であり、化合物(3)がMRI造影剤として臨床応用可能であることが確認された。同様に化合物(16)[Mn−TPPHEG3]、化合物(19)[Mn−TPPHEG6]、化合物(21)[Mn−TPPHEG12]の緩和能の値もGd−DTPAに比べて大きな値であり、これら化合物もMRI造影剤として臨床応用可能であることが確認された。
米国特許第4,822,594号明細書 特表2001−523215号公報 特表2004−524259号公報 国際公開第2009/054455号パンフレット
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Claims (5)

  1. 式(1)で表されるポルフィリン金属錯体
    {式中、 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 及びR 11 は水素原子を表し、
    、R 、R 及びR 12 は、それぞれ独立して、式(4)
    (式中、nは3から6を表す。)
    で表されるフェニル基を表し、
    Mは、2価の金属原子、又は酸素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、もしくはシアノ基を有してもよい3価〜5価の金属原子を表す。}。
  2. 前記Mはハロゲン原子を有するMn(III)、Fe(III)又はCo(III)を表す、請求項1に記載のポルフィリン金属錯体。
  3. 前記Mはハロゲン原子を有するMn(III)を表す、請求項2に記載のポルフィリン金属錯体。
  4. 請求項1乃至請求項のうちいずれか一項に記載のポルフィリン金属錯体の自己集合化により形成される直径5nm〜2000nmの大きさを有する分子集合体。
  5. 請求項1乃至請求項のうちいずれか一項に記載のポルフィリン金属錯体、又は請求項に記載の分子集合体を含むMRI造影剤。
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