JP2005504012A - 新規メタロポルフィリン及び放射線治療用放射線増感剤としてのそれらの使用 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、米国政府の援助の下、米国エネルギー省契約No.DE−AC02−98CH10886として、ブルックヘブン国立研究所にてなされたものである。米国政府は本発明に関して一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、放射線増感剤及び該放射線増感剤を用いた悪性腫瘍、特に頭部及び頸部の腫瘍、の治療法に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線増感剤とは、放射線治療の作用に対してガン細胞をより敏感にさせ、それによって放射線の薬効を高める物質である。ガンを放射線治療によって処置する場合、腫瘍内の低酸素細胞の存在が最も重大な問題である。低酸素ガン細胞は放射線及び既存の化学療法技術に耐性を有している。ガン腫瘍とは対照的に、正常組織は低酸素細胞を全く有していない。従って、放射線増感剤の導入により腫瘍内の低酸素細胞の放射線感応性が高められた場合に、ガン治療のための放射線治療はより効果的である。例えばポルフィリンなどの種々の化合物を用いて低酸素細胞の放射線感応性を高める試みがなされてきたが、結果は様々であった。
【0004】
ポルフィリンは、概して、有色の芳香族テトラピロール化合物の類に属し、そのいくつかは、植物及び動物、例えば、それぞれクロロフィル及びへム、に生来含まれている。ポルフィリンは、ヒトを含むほ乳類の新生物組織に対して高い親和性を有することが知られている。それらの新生物組織に対する親和性ゆえに、一般に、ホウ素含有置換基を有するポルフィリンは、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)によって、中枢神経系の初期の及び転移した腫瘍の治療に役立ち得る。比較的長い個体寿命を有するポルフィリン及び他のテトラピロールは既に、光線力学的治療法(PDT)とともに悪性腫瘍を治療するために使用されているが、活発な組織、即ちターゲットとされる腫瘍に有毒となる程度にまで投与されたエンハンサーを活性化させるのに必要とされる可視光の透過性が不十分なために、そのような使用は臨床適用性が制限されていた。
【0005】
ポルフィリンは、特定の常磁性金属イオンのキレート剤としてin vivoで有効であり、核磁気共鳴撮影(MRI)のより高いコントラストを実現するという、さらなる利点を有する。それらはまた、シングルフォトン断層撮影(SPECT)あるいはポジトロン断層撮影(PET)において腫瘍を映像化するための放射性金属イオンと反応してキレートになり得る。原則として、ポルフィリンはまた、正常組織の放射線中毒を回避し得る程度に十分な生特異性でもってキャリア細胞がターゲット化され得る場合、高比放射能放射性同位体治療に使用することもできる。正常組織の放射線中毒は、起こるときは、嚢、骨髄、肝臓、及び肺といった結合の解かれたキャリアあるいはその分解生成物の望ましくない生堆積が起こりやすい場所において、最も起こりやすい。
【0006】
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、腫瘍内の10Bキャリアの選択的堆積、その後の熱中性子化した中性子による放射線照射、に基づくバイモダルなガン治療法である。10B(n,α)7Li核反応において10Bが熱中性子化した中性子を捕捉することによる、微視的に集中している高線エネルギー付与(LET)放射線の製造は、高い効能及び正常組織の損傷抑制を招く。より詳細には、安定な核種10Bは熱中性化した中性子を吸収し、2つの相互に反跳する電離高エネルギー荷電粒子、それぞれ微視的飛程5μm及び9μmの7Li及び4Heとなる。
【0007】
悪性腫瘍を患う患者を治療するのにBNCTを利用する場合、患者は、ボロン10が高度に濃縮されているホウ素化合物(約95atom%)を投与される。ホウ素化合物は、放射範囲内にある腫瘍内に選択的に集中する能力に基づいて選択される。脳腫瘍の場合においては、ホウ素化合物の注射後、エピサーマル(0.5eV−10keV)中性子の照射ビームあるいは照射フィールドを用いて、患者の頭部の脳腫瘍の領域全体に照射する。これらの中性子は、頭部深くに侵入するにつれて、次第に熱中性子化(平均エネルギーはおよそ0.04eV)する。中性子捕捉断面積は中性子の速度に反比例するため、中性子が熱中性子化すると、それらは、腫瘍及び/又は腫瘍を支えている組織内に濃縮されているボロン10によって、より容易に捕捉され得る。腫瘍内部及び腫瘍周辺のわずかな量のボロン10が中性子捕捉後すぐに核反応を起こすが、これがBNCTを臨床的に有効とするために、ターゲット化された細胞あるいは組織の内部及び/又は周辺において、前述のように高い濃度のボロン10が必要となる理由である。単独で臨床的に実施する場合、又は既存のもしくは新しい療法と組み合わせて実施する場合、本発明は、既知の化合物と比較して、この「望ましくない毒性を示さずに高濃度で存在する」という要件をより満たすであろう。この核反応によって、高LETアルファ(4He)及びリチウム(7Li)が生じる。ボロン10が濃縮されている腫瘍に、平均すると典型的な腫瘍細胞の直径に相当する又はわずかに短い飛程を有する、これらの短飛程粒子を照射する。それ故、比較的低いボロン10濃度を有する周囲の非新生物組織が受容する放射線量と比較して腫瘍が多くの放射線量を受容するという、非常に局所化された特異的な反応が起こる。
【0008】
悪性脳腫瘍のBNCTに関しては、中性子の照射標的範囲内において、正常組織(例えば、血液及び正常脳組織)と比較して腫瘍内にホウ素が多く取り込まれていることが特に重要である。ブルックヘブン国立研究所医療部門では、ホウ素キャリアにp−ボロノフェニルアラニン(BPA)を用いて、BNCTを臨床的に用いていた(Chananaらによる、Neurosurgery,44,1182−1192,1999)。BPAは、その使用に関連し、化学的毒性を全く生じさせないという優れた特性を有している。しかしながら、脳及び血液のホウ素濃度は腫瘍内におけるホウ素濃度のおよそ1/3であるため、腫瘍線量は制限される。現在用いられているホウ素運搬剤BPAをより良いものとするために、腫瘍内ホウ素濃度を30μgB/gより高くし、腫瘍:血液及び腫瘍:脳のホウ素比を5:1より高くしなければならいことが主張されてきた(FairchildとBondによる、Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.,11,831−840,1985、Miuraらによる、Int.J.Cancer,68,114−119,1996)。
【0009】
ポルフィリンを用いる悪性腫瘍のPDTにおいては、光感応ポルフィリン薬剤を患者に注射する。当該薬剤は、照射範囲内の腫瘍内に選択的に集中する。次いで、患者の肉眼で見える腫瘍部位内の組織に、赤色レーザ光を照射する。照射された腫瘍の血管細胞及びいくらかの腫瘍細胞は細胞分裂活動ができなくなるか、又は光が十分に組織内に侵入すれば、完全に生育不能とし得る。PDTにおける細胞損傷の生化学的機構は、一重項酸素によって大きく影響を受けていると考えられている。一重項酸素は、光励起されたポルフィリンから酸素分子へのエネルギー移動によって生じる。生じた一重項酸素は、化学的に非常に反応性に富み、細胞膜と反応し、細胞膜の能力を奪うと考えられている。巨視的には、腫瘍血管構造の内皮細胞の甚だしい損傷、マクロファージによる腫瘍浸潤といった、腫瘍細胞への直接的な損傷が起こる。マクロファージは、死滅した細胞の有機堆積物をPDT処置された組織部位から除去し、そのプロセスにおいて、生存細胞もまた、損傷すると考えられている。
【0010】
PDTにおいては、ポルフィリンは、腫瘍、特に照射範囲内、によって選択的に保有されなければならない。しかしながら、ポルフィリン薬剤は、治療効果に有効な量にて投与される場合に、無毒もしくは有毒性が最小限でなければならない。加えて、高波長において吸光度ピークを有するポルフィリン薬剤が、より高い組織浸透を可能にし、それによって、深部にある腫瘍の血管構造及び/又は柔組織のいくつかあるいは全ての光切除を可能にする。
【0011】
ポルフィリンがガン治療において用いられてきたことは医療分野においては周知であるが、ポルフィリンを用いる人間のガンの放射線治療を効果的とするために満たされなければならない基準がいくつかある。BNCTに関しては、ポルフィリン薬剤は、放射線治療効果のある薬理学的全身量のポルフィリンにおいても正常な生存組織及び器官に対する有毒性を最小限にしながら、治療効果のあるホウ素濃度を腫瘍に運搬しなければならない。加えて、ポルフィリンは、照射範囲内の周囲の正常組織に対する親和力と比較して、腫瘍に対して選択的な親和力を有していなければならず、5:1よりも高い腫瘍対正常組織のホウ素濃度を達成し得なければならない。in vivoでの研究によって、ポルフィリンが適切に設計され、合成され、精製されれば、後者の基準は脳腫瘍に関して満たされ、正常なCNSの非浮腫部位内の血液−脳障壁に侵入しないことがわかった。
【0012】
加えて、腫瘍内及び腫瘍周囲のホウ素濃度及び分布が正確に且つ迅速に非侵襲的に測定できれば、BNCT処置のプランニングをより迅速に、正確に、安全に実施することができる。例えば、腫瘍内というよりはむしろ腫瘍の成長縁辺において、概して、共存ホウ素濃度が最大となるように、中性子照射を計画し得るであろう。こうして、主としてエピサーマル中性子の比較的短時間の1回の照射、又は腫瘍内、周辺組織及び血液のin vivoでのSPECあるいはMRIによって特定された最適なホウ素濃度という利点を得るために適切に決められた間隔を空ける一連の短時間照射によって、BNCTを実施し得るであろう。in vivoでのBNCTの有効性は、中性子照射が300ミリ秒と短い場合にも、おそらく減少しない。そのような短時間照射は、実際上、TRIGA(ジェネラルアトミクス社)反応器をパルスモードにて運転することによって、効果的に実施されてきている。腿部の皮下に移植された進行した悪性肉腫をもつマウスは、低速中性子への300ミリ秒の「パルス」露出を利用するBNCTによって、症状が緩和され、多くの場合に治癒した(Lee E.Farrによる、Invited Lecture,Medical Department,Building490,publiched as a BNL report around 1989−1991)。短時間照射によって、患者は、長い時間、しばしば困難な姿勢にて頭部を反応器ポートに固定する不便さ及び不快さを回避できるであろう。腫瘍に関する症状の緩和結果が、少なくとも現在利用されている標準的な6週間にわたる30部位の線型加速器に基づく光子照射治療と同程度に好ましいものであれば、その利点だけでもBNCTに関する臨床的使用を正当化し得る。
【0013】
ガンの診断、映像化、及び治療のためのポルフィリンを合成する試みがなされてきた。Miuraらによる米国特許第4、959、356号では、BNCTを用いる脳腫瘍の治療において使用するために、特定の種類のポルフィリンが合成されている。その特許中に記載されているポルフィリンは、第3位及び第8位に2つのカルボラン骨格を有する自然に存在するポルフィリン誘導体である。自然に存在するポルフィリンは、概してピロール置換及び非対称であるという特定の置換パターンを有する。米国特許第4、959、356号に記載されているポルフィリンは、化学的な出発原料としてヘム、即ちヘモグロビン内の鉄ポルフィリン補欠分子族、を使用しており、それ故、生じるホウ素化ポルフィリンはその基本構造がヘムと類似している。対照的に、本発明のポルフィリンは、合成テトラフェニルポルフィリン(TPP)誘導体であり、それはメチン位置において対称に置換されており、たいていはまた、大環のピロール位置において置換されている。最終製品収率が、概して、自然に存在するポルフィリン誘導体から得られるそれらよりも多くなるように、非環式の前駆対を化学的な出発原料として用いる。
【0014】
Miuraらによる米国特許第5、877、165号は、複数のカルボラン骨格を有するホウ素化ポルフィリンに重点を置いており、それは、新生物組織内に選択的に堆積し、ホウ素中性子捕捉療法及び光線力学的治療法などのガン治療に使用できる。
【0015】
Kahlらによる米国特許第5、284、831号及び第5、149、801号には、他の種類のポルフィリン、並びにBNCT、PDT及び他の生体臨床医学的用途におけるそれらの使用法が記載されている。Miuraらによる前記特許に記載されているポルフィリンと同様に、これらもまた、自然に存在するポルフィリン誘導体であるが、それらは第3位及び第8位に4つのカルボラン骨格を有している。
【0016】
Wongによる米国特許第4、500、507号には、SPECTなどのシンチグラフィーによる非侵襲映像化技術を用いる腫瘍の映像化法として、ヘマトポルフィリン誘導体(HPD)を99mTcを用いて標識化する方法が記載されている。この特許により教示される当該方法では、ヘマトポルフィリン化合物が利用されるが、それもまた、自然に存在するポルフィリン誘導体である。
【0017】
Goldenbergによる米国特許第4、348、376号、Lemelsonによる第4、665、897号、Hawthorneによる第4、824、659号は、腫瘍を非侵襲的に映像化し、それによって熱中性子化された中性子に露出するために腫瘍ターゲットの輪郭を描くという目的のため、10Bに関する抗体と、ヨウ素のそれらを含む一つ以上の他の放射線核種に関する抗体を組み合わせて標識化することを教示している。これらの特許の各々において、放射線標識化されている抗体に10Bが結合されていることが必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
化学薬剤を用いる従来の放射線治療の効能を向上させることが、実験的放射線腫瘍学における重要な興味深い領域である。米国では、一年に750000人を超える患者がガンに対する放射線治療を受けている。正常組織の死滅という危険を回避するために腫瘍への線量が制限されることに起因して、その成果は制限されてきた。腫瘍内の低酸素細胞は、酸素の供給されている細胞よりも、放射線に対して3倍を超えて鈍感であるため、それは重大な問題となり得る。種々の低酸素細胞の放射線増感剤が開発されたが、たいていは臨床的に効果のないことが証明されている。従って、効果的な低酸素細胞の放射線増感剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、以下の化学式を有するポルフィリン化合物を含む放射線増感剤(放射線感応剤としても知られている)に関する。
【化13】
式中、Mはシングルフォトン断層撮影(SPECT)によって映像化可能な放射性金属及び/又は常磁性金属であり、少なくとも1つのRはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、あるいはヨウ素)、ハロゲン同位体あるいはニトロ基であり、Yはオルト、メタ、あるいはパラのO(CH2)nC2HB9H10又はO(CH2)nC2HB10H10から成る群から選択されており、ここで0≦n≦20であり、C2HB9H10はnido型オルト、メタ、あるいはパラのカルボランであり、C2HB10H10はオルトカルボラン、メタカルボラン、あるいはパラカルボランである。Mは、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、クロム(Cr)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、及びガドリニウム(Gd)から成る群から選択することができる。最も好ましい金属は、Cu及びNiである。好ましい一実施形態では、1つから8つのRがハロゲンであり、最も好ましくは臭素、臭素同位体、ヨウ素あるいはヨウ素同位体である。他の実施形態においては、少なくとも1つのRがハロゲンで且つ1つから7つのRが水素である。Yは、好ましくはOCH2C2HB9H10であり、この場合C2HB9H10はnido型オルトカルボランであるか、又はOCH2C2HB10H10であり、この場合C2HB10H10はオルトカルボランである。他の実施形態では、R基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、及びニトロ基である。別の実施形態では、R基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ基及び水素から成る群から選択され、この場合少なくも1つのRが水素である。前記化学式からなる化合物は、放射線増感剤の一活性成分である。
【0020】
本発明の一実施形態においては、放射線増感剤は以下の化学式を有するポルフィリン化合物を含んでいる。
【化14】
式中、Mはシングルフォトン断層撮影(SPECT)によって映像化可能な放射性金属及び/又は常磁性金属であり、R基はフッ素、フッ素同位体、塩素、塩素同位体、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、及びニトロ基から成る群、又はフッ素、フッ素同位体、塩素、塩素同位体、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、ニトロ基、及び水素から成る群のどちらかから選択されており、Yはオルト、メタ、あるいはパラのO(CH2)nC2HB9H10又はO(CH2)nC2HB10H10から成る群から選択されており、ここで0≦n≦20であり、C2HB9H10はnido型オルト、メタ、あるいはパラのカルボランであり、C2HB10H10はオルトカルボラン、メタカルボラン、あるいはパラカルボランである。Mは、V、Mn、Fe、Ru、Tc、Cr、Pt、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Y、及びGdから成る群から選択されている。好ましい一実施形態では、Yは、好ましくはOCH2C2HB9H10であり、C2HB9H10はnido型オルトカルボランであるか、又はOCH2C2HB10H10であり、C2HB10H10はオルトカルボランである。
【0021】
本発明のポルフィリン化合物では、R基は以下の何れとしても存在し得る。
a)少なくとも1つのR基が、フッ素、フッ素同位体、塩素、塩素同位体、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、及びニトロ基から成る群から選択されている。
b)a)の条件を満たさなければならず、それに加えて、1〜7つのR基が水素であり得る。
c)2つ以上のR基が、a)の選択肢から選択されている。詳細には、2つのR基は、1)両方とも同じ(両方とも臭素あるいは両方ともヨウ素など)、又は2)1つのハロゲン基及び対応する同位体基(ヨウ素とヨウ素同位体など)、とすることができる。
d)c)の条件を満たし、それに加えて、1つ以上のR基が水素である。
e)a)の条件を満たし、全てのR基がハロゲン又は水素のどちらかである。この場合、ハロゲンR基は、同じハロゲン(例えば、全てヨウ素)、又は種々のハロゲンとすることができる。
f)a)の条件を満たし、全てのR基が、ハロゲン同位体又は水素のどちらかである。この場合、ハロゲン同位体のハロゲンは、同一(例えば、全て臭素同位体)、又は種々のハロゲン同位体とすることができる。
g)a)の条件を満たし、全てのR基が、ハロゲン、対応するハロゲン同位体あるいは水素のいずれかである。
h)a)の条件を満たし、全てのR基が、ニトロ基又は水素のどちらかである。
i)a)の条件を満たし、全てのR基が、a)の選択肢のうちの1つ以上である。
【0022】
本発明はまた、腫瘍の映像化法、並びに上記の1つ以上の放射線増感剤を含む組成物を患者に投与することを包含するバイモダルなガン治療法も含む。好ましい一実施形態においては、当該組成物は、実質的に放射線増感剤である。
【0023】
本発明はまた、薬剤に使用するための、本発明による放射線感応剤も提供しており、本明細書に記載している。好ましくは、腫瘍の映像化及び/又はガン治療のための使用である。ガン治療は、特にバイモダルなガン治療とし得る。
【0024】
本明細書に記載するように、本発明はまた、腫瘍の映像化用組成物の製造における本発明の組成物の使用法も提供する。
【0025】
さらに、本明細書に記載するように、本発明は、ガン治療用組成物の製造における本発明の化合物の使用法も提供する。ガン治療は、バイモダル治療とし得る。そのような使用においては、組成物を、十分に調合薬あるいは医薬とし得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明の放射線増感剤に使用されるポルフィリンは、大環表面に電子求引基を有するため、還元電位は、水素あるいはアルキル基のそれよりも、より正である。そのような電気化学的特性は、光子放射治療における放射線感応剤に望ましいと考えられている(R.M.Millerらによる、Int.J.Radiat.Oncol.Biol Phys.,45,981−989,1999)。それらの生分布特性及び毒物学的特性とを結びつけて考えると、本発明のポルフィリンは有効な放射線感応剤としての可能性を有すると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
添付の図面と共に論じられるとき、以下の詳細な説明を参照することによって、本発明をより十分に理解するにつれて、本発明の他の目的及び多くの付随する特性が容易に理解されるだろう。
【0028】
本発明は、ハロゲン化(フッ素化、塩素化、臭素化、及びヨウ素化)され、硝酸塩化されたテトラフェニルポルフィリンを含む放射線増感剤、並びに電離放射線治療及び/又は非電離放射線治療のための腫瘍をターゲット化する映像化可能な薬剤としてのそれらの使用法に関する。当該ハロゲン化テトラフェニルポルフィリンは、カルボラン含有テトラフェニルポルフィリンから合成される。本発明のハロゲン化テトラフェニルポルフィリンは、カルボラン含有テトラフェニルポルフィリンの八ハロゲン類似体であり、カルボラン含有テトラフェニルポルフィリンをクロロホルム及び四塩化炭素のような溶剤混合物内でハロゲンと合成することによって調製される。
【0029】
2つのカルボラン含有テトラフェニルポルフィリン、CuTCPH及びCuTCPは、高濃度のホウ素を動物の種々の腫瘍に運搬することが分かっている。加えて、CuTCPHを用いるBNCTによって、正常組織をほとんど損傷させることなく相当なパーセンテージの動物腫瘍を死滅させ得ることが最近分かった。本発明の一実施形態においては、CuTCPHを臭素化してCuTCPBr、八臭化類似体、を形成させるが、これはEMT−6乳ガンをもつマウスにおけるCuTCPの生分布特性及び毒物学的特性に類似する生分布特性及び毒物学的特性を有する。そのような臭化ポルフィリンは、それらの臭素を含有しない前駆体よりも還元されやすい。大環、即ちテキサフィリンの低い還元電位が、光子に基づく腫瘍の放射線治療における、腫瘍選択的放射線感応剤としてのin vivoでの高い有効性を招くと考えられている。しかしながら、CuTCPBrの腫瘍:正常な脳及び腫瘍:血液の濃度比は、テキサフィリンの10:1に対して100:1であるため、CuTCPBrは、BNCTに関して、テキサフィリンに優る重要な実施上の利点を有する。
【0030】
図1は、クロロホルムと四塩化炭素の1:1溶媒混合物中にCuTCPHを溶解させることを包含する臭化法を利用する、CuTCPHからのCuTCPBrの合成を示している。混合物を撹拌しながら、臭素を含有している同一溶媒混合物を添加する。次いで、ピリジンを含有する溶媒混合物を添加し、室温にて絶えず撹拌する。次に、余剰の臭素をメタ重亜硫酸ナトリウム水溶液を用いて消滅させる。反応混合物は、有機層を抽出し、水で洗浄することによって形成される。次に、有機層を乾燥させ、溶媒を除去する。
【0031】
同様に、CuTCPClは、塩素化剤にN−クロロスクシンイミドを用いて形成され、CuTCPIは同様のヨウ素化剤を用いて形成される。ヘプタ及びオクタニトロポルフィリンは、K10モンモリロナイトの存在下、硝酸及び無水酢酸を用いて合成することができる。ベータ置換フルオロポルフィリンは、ベータフリーのポルフィリンのフッ素化によっては合成することができず、3,4ジフルオロピロールをポルフィリン環化のための出発原料に用いて合成しなければならない。
【0032】
本発明のハロゲン化テトラフェニルポルフィリンはまた、種々のハロゲンの同位体を用いて合成することもできる。好ましい同位体は、半減期(T1/2)が16時間のBr−76、Br−77(T1/2=57時間)、I−124(T1/2=101時間)、I−131(T1/2=192時間)、及びF−18(T1/2=110分)である。
【0033】
CuTCPBr、並びにヘプタ及びオクタニトロテトラフェニルポルフィリンは、テキサフィリンの還元電位を包含する範囲の還元電位を有する。以下の実施例は、EMT−6ガンをもつマウスを用いて実施した試験における、これらの化合物の生分布特性の有効性を示している。
【0034】
光励起は、金属あるいはハロゲンのどちらかのK端よりも高くX線エネルギーを調節することによって、幾分増幅される。K端は、K殻電子と原子核との相互作用によって決まり、各元素に固有のものである。各元素は、固有のK殻結合エネルギーを有する。64Cu、18F、及び76Brが、量で計られるポジトロン断層撮影(PET)に利用できる同位体である。64Cuと76Brは、合成の末段階においてテトラフェニルポルフィリンに結合させることができる。当該放射線励起同位体の局所濃度は、可視化され、voxel−by−voxelで定量され、それによって脳、頭部、頸部又は他のターゲット化された対象となる器官あるいは組織中のホウ素濃度の算出がvoxel−by−voxelで可能になるため、これらの同位体置換基は、CuTCPBrあるいはその類似体の将来の臨床的応用のための治療プランニングを大幅に向上させ得る。
【0035】
in vivoにて試験された本発明のポルフィリン化合物は、潜在的に治療効果のある投薬量においても無毒である。そのように投薬された動物及び患者に関してBNCT及び/又はPDTを実施することによって、エピサーマル中性子あるいはレーザ光が照射される際に、正常組織の機能を崩壊させることなく、腫瘍組織を選択的に滅ぼすことができる。放射線治療あるいは化学療法のような従来の腫瘍療法において確認し得る重大な副作用なしに、腫瘍を死滅させることができる。
【0036】
BNCTのために必要となる量の本発明の化合物を腫瘍内に蓄積させるために、一般に、体重1kg当たり約100−400mgという全体の注射量あるいは注入量のハロゲン化テトラフェニルポルフィリン化合物を、製薬的に許容されるキャリアに含有させて、患者に投与する。そのようなキャリアには、リポソーム、及び/又は例えばCremophore EL、プロピレングリコール、Tween 80等のような市販の溶剤が含まれ得る。化合物は、1回以上の投薬にて投与され、エピサーマル中性子照射前の約1時間から1週間の間に最後の投薬がなされる。本発明の化合物の長い保持時間によってまた、所謂「断片化された照射スケジュール」にて一連のそのような照射が許容されるであろう。そのようなスケジュールは、従来の光子照射療法において正常組織への損傷を抑制するのに有利であると考えられる。任意の特定の治療において使用されるハロゲン化テトラフェニルポルフィリンの量は、特に、腫瘍に運搬されるホウ素濃度及び治療効果のある投薬量における化合物の毒性に左右される。
【0037】
中性子曝露の時期は、血液中のホウ素濃度に左右され、それは腫瘍のホウ素濃度よりも時間と共により急速に低下する。ハロゲン化テトラフェニルポルフィリンの投与の時期は、種々の考慮すべき事柄によって左右される。重要な考慮すべき事柄は、当該化合物の薬物動態学的挙動(例えば、腫瘍内及び腫瘍の血管構造内への当該化合物の吸収速度)、及び患者内にある当該化合物を吸収する種々の組織からの排出速度及び/又は当該化合物の代謝である。
【0038】
ポルフィリンが、いくつかの非腫瘍組織だけではなく種々の腫瘍内に多く堆積することは長い間知られている。人間のガン治療においては、この特性を、光線力学的治療法(PDT)のためにのみ現在まで用いてきた。しかしながら、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用のポルフィリンのカルボラニル誘導体を開発する前臨床の研究が進行中である。
【0039】
本発明の一実施形態では、ポルフィリン中に映像化可能な核種を与えるために、臭化カルボラニルポルフィリンが合成され、それはまた、非侵襲的に腫瘍を映像化するために使用し得る。投与されたホウ素化化合物がin vivoにて十分に化学的に安定であれば、ホウ素に対する映像化可能な核種の比は不変であるため、voxel−by−voxelで映像化された核種の定量によって、voxel−by−voxelでリアルタイムのホウ素の定量がもたらされる。これによって、ポルフィリンを用いる臨床的なBNCTの治療プランニングがいっそう良いものとされ、その結果、カルボラニルポルフィリンによって、既に実証されている高い腫瘍内ホウ素濃度という潜在的利点が増す。そのようなメタルポルフィリンの一例は、銅オクタブロモテトラカルボラニルフェニルポルフィリンである。臭素は、ポジトロン断層撮影(PET)によって映像化可能な76Br(T1/2=16時間)、又はシングルフォトン断層撮影(SPECT)によって映像化可能な77Br(T1/2=57時間)とすることができる。他の実施形態においては、臭素に代えてヨウ素が用いられ、PET及びSPECTは、それぞれ124I及び131Iと共に用いることができる。加えて、自然界に豊富に存在する非放射性のヨウ素は、スパイラルコンピューテッドトモグラフィ(CT)と共に用いられ、ヨウ素成分CuTCPIを放射線写真法のコントラスト向上成分として採用することによって、腫瘍内ホウ素の位置を迅速に突き止め、定量し得る。
【0040】
ポルフィリン大環の還元電位は、臭素のような電子求引基の添加によって、より正となる(即ち、より容易に還元される)。銅オクタブロモテトラフェニルポルフィリン(CuOBP)の第一還元電位E1/2は−0.59Vであるのに対し、銅テトラフェニルポルフィリン(CuTPP)のそれは−1.2Vである。銅テトラカルボラニルメトキシフェニルポルフィリン(CuTCPH)のフェニル部分上にあるメタ置換カルボラニルメトキシ基は、還元電位に影響を及ぼすとは考えられない。従って、CuTCPHのオクタブロモ誘導体(即ち、CuTCPBr)のE1/2は、およそ−0.59Vと見積もられる。
【0041】
ガドリニウムテキサフィリンの放射線向上特性は、その比較的大きな還元電位−0.04Vに起因すると考えられる。しかしながら、放射線治療に最適な還元電位は、未だ決定されていない。CuTCPBr内の8つのブロモ基は、テトラフェニルポルフィリン構造に適度に強い電子求引基をもたらす。新生物組織の抑制により高い効能のために、より高い還元電位が必要とされるなら、フルオロ基あるいはニトロ基のようなより強い電子求引特性を有する基をブロモ置換基の位置に用いることができる。
【0042】
動物における試験では、本発明のカルボラニルポルフィリンが、低毒性及び腫瘍内への記載したポルフィリンの高い堆積をもたらすことが示されている。加えて、本発明のカルボラニルポルフィリンは、種々のガン治療法において使用でき、それらは多くの種々の方法によって映像化することができる。
【0043】
次に、以下の非限定的な実施例を参照することによって、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0044】
本実施例では、臭素化方法を用いてCuTCPHからCuTCPBrを合成した。CuTCPH(200mg、0.146mmol)を、クロロホルムと四塩化炭素の1:1溶媒混合物(70mL)に溶解させた。該混合物を撹拌しながら、臭素(240μL、4.6mmol)を含有する同じ溶媒混合物(20mL)を30分間にわたって添加した。ピリジン(0.6mL)を含有する溶媒混合物(15mL)を30分間かけて添加し、次いで、絶えず撹拌しながら室温にて一晩放置した。翌朝、余剰の臭素を20%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(40mL)を用いて除いた。該反応混合物に、有機層抽出及び水洗浄3回を施した。有機層を、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、真空内で溶媒を除去した。所望の生産物を分取薄層クロマトグラフィーによって精製した。収量は、176mg(0.088mmol)で約60%であった。
【0045】
該化合物を、光吸収分光法及び高速原子衝撃質量分析法によってキャラクタリゼーションした。常磁性金属である銅の存在によって、NMRは情報を読みとりづらかった。光学スペクトルによって、出発原料であるポルフィリンの八臭素化に一致するパターンが示された。ソーレー帯は415nmから440nmにシフトしており、可視帯は540nmから580nmにシフトしていた。質量分析によって、当該化合物の分子量が1996に匹敵することを示す親イオンピークが示された。
【実施例2】
【0046】
背側胸部の腫瘍
背側胸部において皮下に移植されたEMT−6乳ガンをもつ5匹のBALB/cマウスに、2日間にわたる6回の腹腔内注射(ip)にて、投薬総計186μg CuTCPBr/g−体重を投与した。最後の注射から4日後、マウスを安楽死させ、種々の種類の組織に関して、平均ホウ素濃度(μg/g−未加工組織)を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
ポルフィリン投与中及び投与後のマウスにおいて、身体的にも行動的にも有毒作用は認められなかった。死体解剖時、全ての組織が正常にみえた。
【実施例3】
【0049】
脚部の腫瘍
本実施例では、皮下にEMT−6脚部腫瘍をもつBALB/cマウスに、2日間かけて注射1回当たり0.01mg/g−体重の分量にて156μg CuTCPBr/g−体重を投与した。BALB/cマウスから得られた種々の組織中のホウ素濃度(μg/g)を分析し、その結果を表2に示している。
【0050】
【表2】
【0051】
脚部における腫瘍内ホウ素濃度は、背側胸部において見出されたそれよりも著しく低いことに注目されたい。脚部と比較して、背側胸部周囲にはより大きな血管網があり、これが要因であり得る。しかしながら、CuTCPHの場合には、ホウ素濃度は、背側腫瘍と比較して、脚部腫瘍内の方が30%高かった。最初の試験よりもわずかに高い投薬量の基準に合わせると、腫瘍内ホウ素濃度は、2日後及び5日後において、それぞれ約29及び15μg/gとなるであろうが、それでもやはり低い。これらの実験を繰り返す研究が進行中である。
【0052】
上記の実施例2及び3に示されている試験においては、ポルフィリン投与中及び投与後のマウスにおいて、身体的にも行動的にも有毒作用は認められなかった。死体解剖時、全ての組織は正常にみえた。毒性は重要な要素であり、毒性は確認されなかったため、実施例2及び3のそれらよりも高い腫瘍内ホウ素濃度を達成するために投薬量を上げることができる。例えば、皮下に9L神経膠肉腫をもつFischer 344ラットに関して、カルボラニルポルフィリンCuTCPHの総計投薬量を195から450mg/kg−体重に増加させたとき、腫瘍内ホウ素濃度は、中央値64から117μg/gまで増加した。
【実施例4】
【0053】
【0054】
実施例5−7 − CuTCPBrの生分布試験
【実施例5】
【0055】
背部にEMT−6乳ガンをもつ7匹のBALB/cマウス2グループに、2日間かけて6回の腹腔内注射にて投薬量432μg/g−体重のCuTCPBr(94μg B/g−体重)を投与した。最後の注射から2日後、1方のグループのマウスを安楽死させ、種々の組織中のホウ素濃度を測定した。最後の注射から4日後、同様の手順を第2のグループのマウスに関して実施した。CuTCPBrを注射された2グループのマウスに関する平均ホウ素濃度(カッコ内は標準偏差の平均値)を、表4の第2及び第3列に列挙している。
【0056】
【表4】
【0057】
表4中のCuTCPBrに関する結果によって、腫瘍内ホウ素濃度が高く、腫瘍対血液及び腫瘍対脳のホウ素濃度比もまた高いことがわかる。2日後の腫瘍対血液のホウ素濃度比はおよそ8:1であるが、4日後には232:1にまで高くなった。2日後の腫瘍対脳のホウ素濃度比はおよそ197:1であるが、4日後には225:1にまで高くなった。
CuTCPBrに関する生分布特性は、以前に研究されている他の親油性テトラカルボラニルテトラフェニルポルフィリンに類似しており、特にRad.Res.155,603−610,2001において報告されているCuTCPHに関する結果と表4の第4及び第5列に列挙しているCuTCPHに関する結果が類似している。CuTCPHの結果は、2日間にわたる6回の腹腔内注射にて180μg/g−体重のCuTCPHを投与された7匹のBALB/cマウス2グループに基づくものである。第1のグループのマウスは最後の注射から2日後に、第2のグループは最後の注射から4日後に、安楽死させた。次いで、種々の組織中のホウ素濃度を測定した。
【0058】
CuTCPBrに関する表4の結果とCuTCPHに関する先行技術にて報告されている結果との間の1つの注目すべき違いは、CuTCPHに関しては、2日後から4日後になっても5%しか肝臓内ホウ素は低下しないが、CuTCPBrに関しては、同期間の間に29%も低下しており、CuTCPBrに関するより早い排出時間が示された。
【実施例6】
【0059】
本実施例では、9L神経膠肉腫モデルの実験用ラット、及びJ.NeuroOncol,52,111−117,2001において報告されている静脈内注入によってポルフィリンを投与するためのプロトコルを用いる。皮下に9L神経膠肉腫をもつ6匹の雄のFischer 344ラットに、48時間にわたり、総計投薬量220μg/g−体重のCuTCPBrを静脈内注入した。注入終了時から0、1、2、3日後に各々から腫瘍及び血液を採取し、ホウ素濃度を測定した。結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
表5は、腫瘍及び血液内ホウ素濃度、及び時間を関数としたときのそれらの比を示す。既に試験した他の親油性テトラフェニルポルフィリンと同様に、腫瘍内ホウ素は時間と共にゆっくりと低下し、血液内ホウ素は急速に低下するため、腫瘍内ホウ素濃度は治療効果のある濃度に維持されたまま、腫瘍対血液のホウ素濃度比は時間の経過と共に著しく増加した。
【実施例7】
【0062】
本実施例では、CuTCPBrの生分布をCuTCPHと比較した。皮下に9L神経膠肉腫をもつ6匹の雄のFischer 344ラット1グループに、48時間かけて総計投薬量220μg/g−体重にてCuTCPBrを静脈注入した。皮下に9L神経膠肉腫をもつ4匹の雄のFischer 344ラットの第2のグループに、48時間かけて総計投薬量195μg/g−体重にてCuTCPHを静脈注入した。注入終了時から3日後に、両グループのラットから得た組織中のホウ素濃度を調べた。
【0063】
CuTCPBrグループのラットに関する結果を表6の第2列に列挙し、CuTCPHグループのラットに関する結果を表6の第4列に列挙する。ポルフィリン投薬量の違い(CuTCPHが195μg/g−体重に対し、CuTCPBrが220μg/g−体重)及び各ポルフィリン中のホウ素の%の違い(CuTCPHでは31.8%であるのに対し、CuTCPBrでは21.7%)を相殺するため、CuTCPBrを投与されたラットから得られた組織中のホウ素濃度を、CuTCPHを投与されたラットのホウ素濃度に対応するように、基準に合わせた。これは、CuTCPBrグループのラット中のホウ素濃度に、CuTCPBr対CuTCPHのホウ素投薬量比1.3を乗じることによって実施した。CuTCPBrグループのラットに関する基準に合わせたホウ素濃度を表6の第3列に列挙する。
【0064】
表6には、CuTCPH及びCuTCPBr両方に関する実際のホウ素濃度と、CuTCPHと等しいホウ素投薬量に標準を合わせたCuTCPBrに関する値の両方を示している。生分布値は、ホウ素投薬量が等しい場合においては、2つの化合物に関して同様である。どちらの化合物に関しても、重大な問題となる毒性は現れなかった。
【0065】
【表6】
【実施例8】
【0066】
CuTCPBrに関する放射線感応剤試験
本実施例では、雌のBALB/cマウス(ニューヨーク州ゲルマンタウン、タコニックファームズ社)を放射線治療法に用いて、EMT−6乳ガンをもつマウスにおける腫瘍死滅効果を比較した。マウスから新しく除去された腫瘍組織を0.5mm以下の断片に細かく切ることによって、EMT−6脚部腫瘍を形成させた。その断片を生理食塩水溶液中で混合し、18ゲージのトロカールを用いてマウスの脚部の皮下(sc)に移植した。この特定の位置では、細胞懸濁液によって開始された腫瘍は、薄い皮下層内で広がり、すぐ下の筋組織に侵入する傾向があるため、腫瘍断片を用いた。腫瘍は、背側胸部においてよりも脚部においての方がより小さいが、腫瘍断片を用いることで触診可能である。末段階では、断片で開始された腫瘍は、懸濁液で開始された腫瘍ほど頻繁にではないが、筋組織に侵入し得る。
【0067】
腫瘍移植からおよそ7日後に、マウスを腫瘍体積によって、各々12匹のマウスから成る5つのグループと、33匹から成る1つの対照用グループを含む、6段階に階層化した。2つのグループは約400μg/g−体重のCuTCPBrによって処置し100kVpのX線照射X線を2線量にて加え、2つのグループは100kVpのX線照射のみを2線量にて加え、1つのグループはCuTCPBrを受容し照射の日に安楽死させた。すぐに安楽死させたグループの役割は、照射時における組織中ホウ素濃度を測定することである。対照用グループに関しては、治療の有効性を比較しなかった。33匹のマウスから成る対照用グループは、最後まで治療しなかった。結果を図2に示している。
【0068】
照射時に安楽死させたマウスから得られた種々の組織中のホウ素濃度を表7に示す。腫瘍対血液のホウ素濃度比は約4:1と低いが、これは血液値が高いことに起因する。そのような傾向は、400mg/kgという高投薬量時のCuTCPHに関しても確認された。
【0069】
【表7】
【0070】
治療された全てのグループにおいては、単一照射が用いられた。照射手順に際して、マウスをペントバルビタールナトリウム(約60μg/g−体重、ip)を用いて安楽死させた。各々のマウスを安楽死させ、熱線照射において用いられる方法と同様の方法で、鉛シールド内の2cmの開口部に、腫瘍を有する脚部を横切らせて伸ばすようにして、厚さ1cmの鉛シールド裏側に配置した。100kVp/8mA、0.4mmの銅濾過、皮膚までの焦点距離10cmにて、Philips RT−100線源を用いて、線量率2.10Gy/分にて、腫瘍に照射した。マウスへの照射時間の長さを変えることによって、線量25Gy及び35Gyを投与し、例えば、25Gyを得るためには、2.10Gy/分にて11.9分間マウスに照射した。
【0071】
治療された5つのグループの各々に関しては、腫瘍体積はおよそ20−170mm3の範囲であった。腫瘍の大きさを1週間に2−3回測定し、計算された腫瘍体積(x2y/2、ここでxは短い方の表面寸法である)が500mm3を超えたときに、又は皮膚に潰瘍が認められたときに、マウスを安楽死させた。毎日重さを測定する第1週を除き、腫瘍を測定するときにマウスの重さを測定した。湿性落屑の兆候がある場合には、皮膚の損傷は激しいものと考えられた。
【0072】
照射後89日間、腫瘍を有するマウスを観察した(図2)。腫瘍の育ちすぎのために、種々の時点でマウスを安楽死させた。治療の効果は、「%腫瘍死滅」によって評価した。%腫瘍死滅は、特定の線量グループに関して、腫瘍の「治癒」したマウスの数を、全体のマウスの数で割ったものと定義する。25Gyの単一X線照射では25.0%の死滅率がもたらされ、35Gyでは33.3%の死滅率であり、%腫瘍死滅は線量と相関することが見出された。CuTCPBrの存在下においては、25Gy及び35Gyの線量照射後、腫瘍死滅率がそれぞれ41.7%及び66.7%にまで増加し、単一X線照射は明らかな放射線感応効果を示した。これらの知見から、CuTCPBrをX線照射法と組み合わせて用いるとき、線量調節係数が1.5を超えることが示唆された。
【0073】
このように、本発明の好ましい実施形態を記載してきたが、当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく、本明細書に添付の特許請求の範囲内であるようなさらなる改良及び変更の全てを包含する他の実施形態をなし得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】CuTCPHからCuTCPBrの合成
【図2】本発明の放射線感応剤を用いた照射試験結果を示すグラフ
Claims (41)
- 2つ以上のR基が、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、塩素、塩素同位体、フッ素、フッ素同位体、ニトロ基、及び水素から成る群から選択されている請求項1に記載の放射線増感剤。
- Mが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、クロム(Cr)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、及びガドリニウム(Gd)から成る群から選択されている請求項1に記載の放射線増感剤。
- 2つ以上のR基が、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、塩素、塩素同位体、フッ素、フッ素同位体、ニトロ基、及び水素から成る群から選択されている請求項3に記載の放射線増感剤。
- 1つから7つのR基が水素である請求項1に記載の放射線増感剤。
- 1つから7つのR基が水素である請求項3に記載の放射線増感剤。
- YがOCH2C2HB9H10であり、且つC2HB9H10がnido型オルトカルボランである請求項1に記載の放射線増感剤。
- YがOCH2C2HB10H10であり、且つC2HB10H10がオルトカルボランである請求項1に記載の放射線増感剤。
- Yが、OCH2C2HB9H10である請求項4に記載の放射線増感剤。
- Yが、OCH2C2HB10H10である請求項4に記載の放射線増感剤。
- 以下の化学式を有する化合物からなる放射線増感剤。
- YがOCH2C2HB9H10であり、且つC2HB9H10がnido型オルトカルボランである請求項11に記載の放射線増感剤。
- YがOCH2C2HB10H10であり、且つC2HB10H10がオルトカルボランである請求項11に記載の放射線増感剤。
- 少なくとも1つのRが臭素あるいは臭素同位体であるか、又は少なくとも1つのRが臭素であり且つ少なくとも1つのRが臭素同位体であり、YがOCH2C2HB9H10あるいはOCH2C2HB10H10である請求項11に記載の放射線増感剤。
- 少なくとも1つのRが臭素あるいは臭素同位体であるか、又は少なくとも1つのRが臭素であり且つ少なくとも1つのRが臭素同位体であり、任意選択的に少なくとも1つのRが水素であり、YがOCH2C2HB9H10あるいはOCH2C2HB10H10である請求項11に記載の放射線増感剤。
- 以下の化学式を有する化合物からなる放射線増感剤。
- YがOCH2C2HB9H10であり、且つC2HB9H10がnido型オルトカルボランである請求項16に記載の放射線増感剤。
- YがOCH2C2HB10H10であり、且つC2HB10H10がオルトカルボランである請求項16に記載の放射線増感剤。
- 少なくとも1つのRがヨウ素あるいはヨウ素同位体であるか、又は少なくとも1つのRがヨウ素であり且つ少なくとも1つのRがヨウ素同位体であり、YがOCH2C2HB9H10あるいはOCH2C2HB10H10である請求項11に記載の放射線増感剤。
- 少なくとも1つのRがヨウ素あるいはヨウ素同位体であるか、又は少なくとも1つのRがヨウ素であり且つ少なくとも1つのRがヨウ素同位体であり、任意選択的に少なくとも1つのRが水素であり、YがOCH2C2HB9H10あるいはOCH2C2HB10H10である請求項11に記載の放射線増感剤。
- 2つ以上のR基が、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、塩素、塩素同位体、フッ素、フッ素同位体、ニトロ基、及び水素から成る群から選択されている請求項21に記載の腫瘍の映像化法。
- Mが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、クロム(Cr)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、及びガドリニウム(Gd)から成る群から選択されている請求項21に記載の腫瘍の映像化法。
- 2つ以上のR基が、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、塩素、塩素同位体、フッ素、フッ素同位体、ニトロ基、及び水素から成る群から選択されている請求項23に記載の腫瘍の映像化法。
- 1つから7つのR基が水素である請求項21に記載の腫瘍の映像化法。
- 1つから7つのR基が水素である請求項23に記載の腫瘍の映像化法。
- 前記組成物が実質的に前記化合物である請求項21に記載の腫瘍の映像化法。
- 以下の化学式を有する化合物からなる組成物を含む放射線増感剤を被験者に投与することを包含するバイモダルなガン治療法。
- 2つ以上のR基が、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、塩素、塩素同位体、フッ素、フッ素同位体、ニトロ基、及び水素から成る群から選択されている請求項28に記載のバイモダルなガン治療法。
- Mが、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、クロム(Cr)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、及びガドリニウム(Gd)から成る群から選択されている請求項28に記載のバイモダルなガン治療法。
- 2つ以上のR基が、臭素、臭素同位体、ヨウ素、ヨウ素同位体、塩素、塩素同位体、フッ素、フッ素同位体、ニトロ基、及び水素から成る群から選択されている請求項30に記載のバイモダルなガン治療法。
- 1つから7つのR基が水素である請求項28に記載のバイモダルなガン治療法。
- 1つから7つのR基が水素である請求項30に記載のバイモダルなガン治療法。
- 前記組成物が実質的に前記化合物である請求項28に記載のバイモダルなガン治療法。
- 以下の化学式を有する化合物の製造プロセスであって、溶媒混合物中においてカルボラン含有テトラフェニルポルフィリンをハロゲンと反応させることを包含する製造プロセス。
- 以下の化学式を有する化合物の製造プロセスであって、カルボラン含有テトラフェニルポルフィリンを硝酸及び無水酢酸と反応させることを包含する製造プロセス。
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