JP5745201B2 - 樹脂系摺動部材及び摺動装置 - Google Patents

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本発明は、高潤滑を維持及び持続し、相手材への攻撃性が消失若しくは低下する特性を摺動面に与える樹脂系摺動部材及びその摺動面を備える摺動装置に関する。
本発明は、具体的には、小型・軽量・無給油・長期使用等が要請される摺動装置の摺動面に高潤滑持続性(特に、高潤滑の長期持続性)と、相手材に対する攻撃性の顕著な低下等とを付与する樹脂系摺動部材及びその摺動面を備える摺動装置に関する。
OA機器(例えば、複写機・プリンター・ファクシミリ等)等の小型・軽量・無給油で使用される摺動装置を構成する樹脂系摺動部材には、自己潤滑性及び機械的強度が優れるフッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂・ポリテトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン樹脂・テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合樹脂等)が原料樹脂として使用される(例えば、特許文献1等を参照)。
フッ素系樹脂以外の樹脂による樹脂系摺動部材は、樹脂由来の自己潤滑性が不足するところから、自己潤滑性が大きいフッ素系樹脂(代表的には、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂)及び特に自己潤滑性が大きい無機質層状構造の固体潤滑剤(代表的には、二硫化モリブデン、黒鉛、窒化ホウ素等)等を配合することによって実用可能な潤滑性が付与されている(例えば、特許文献2等を参照)。
そして、フッ素系樹脂以外の樹脂系摺動部材では、実用的な高潤滑性を獲得するために、無機質層状構造の固体潤滑剤等が20容量%以上添加されるのが一般的である。
しかし、軽量・無給油で使用されることが多い樹脂系摺動部材による摺動装置では、無機質の固体潤滑剤が摺動面に存在すると、稼動中に相手部材(特に、アルミ等の軟質金属及び樹脂)を攻撃して摩擦係数の上昇若しくは不安定化を誘引して摺動面が大きく摩耗する。
特許文献1 3618199号
特許文献2 3316164号
従来の樹脂系摺動部材には、下記(1)〜(5)の問題点が存在していた。
(1)経時の摩耗が著しく摺動面の寿命が短い。
(2)摩擦係数及び耐摩耗性等の摺動面の基本的条件が不足する。
(3)無機質層状構造の固体潤滑剤を含む摺動面は、摩耗が上昇して相手部材を攻撃する。
(4)樹脂系摺動部材の硬度を低下させると、相手攻撃性は低減するが、摩擦係数が高くなって、摺動面の機能が低下する。
(5)高潤滑持続性及び相手部材に対する攻撃性の低下を共に解決する有効な手段が、提案されていなかった。
そこで、自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂を母材とする複合体に関する多くの実験のデータから、複合体の物性を硬さと弾性と摩擦係数との相関で把握すると、一定の相関の範囲で、高潤滑持続性及び相手部材に対する攻撃性の低下等の技術的特徴を備える摺動面を特定できることが本発明者により見出されて本発明が創案された。
第一の本発明は、以下の発明の目的を達成するものである。
(A)高潤滑持続性及び相手部材に対する攻撃性が消失若しくは低下した特性を摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)に与える樹脂系摺動部材を提供すること、を目的とする。
(B)低摩擦で耐摩耗性に優れる摺動特性と優れた機械的特性を併有する摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)を与える樹脂系摺動部材を提供すること、をも目的とする。
(C)長時間の使用においても、正確・安定・安全に摺動性能を有する摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)を与える樹脂系摺動部材を提供すること、をも目的とする。
(D)工業的実施に際して、軽量化・リサイクルの推進・製造コストの低減が容易な樹脂系摺動部材を提供すること、をも目的とする。
また、第二の本発明は、以下の発明の目的を達成するものである。
(a)軽量で、形態上の制約を受けず、高潤滑性を持続し、相手部材に対する攻撃性が低下した摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)を備える摺動装置を提供すること、を目的とする。
(b)優れた摺動特性(すなわち、低摩擦・耐摩耗性)、相手部材に対する攻撃性が低下し、かつ、優れた機械的特性を併有する摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)を備える摺動装置を提供すること、をも目的とする。
(c)長時間使用しても、正確・安定・安全に摺動する摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)を有する摺動装置を提供すること、をも目的とする。
(d)工業的実施に際して、軽量化・リサイクルの推進・製造コストの低減が容易な樹脂系摺動装置を提供すること、をも目的とする。
本発明(請求項1に記載の本発明)による摺動装置は、自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂の母材が69容量%以上を占め、母材の剛性低下用材料の熱可塑性エラストマーと、摺動面を母材より低い摩擦係数にする潤滑性増強材とが配合され、ロックウェル硬さ(JISK7202のRスケールに準拠)/曲げ弾性率(JISK7171に準拠)の数値の比率が25〜45の複合体にされている樹脂系摺動部材の射出成形によること、を特徴とする。
第一の本発明の樹脂系摺動部材によれば、下記(1)〜(5)に代表される種々の効果が得られる。
(1)摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)が、高潤滑性を持続し、かつ、相手部材に対する攻撃性が低下する。
(2)摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)の経時的な摩擦変化が、僅かで経時的摩耗増加が無い。
(3)摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)が、優れた摺動特性と機械的特性を併有する。
(4)摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)が、長時間の正確・安定・安全に摺動を持続する。
(5)摺動面を備える摺動部・摺動装置を軽量化・リサイクル化・製造コスト低減・成形加工するのが容易である。
第二の本発明によれば、下記(a)〜(d)に代表される種々の効果が得られる。
(a)軽量で、形態上の制約を受けることなく高潤滑を持続し、相手部材に対する攻撃性が低下した摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)を有する摺動装置が得られる。
(b)優れた摺動特性(すなわち、低摩擦・耐摩耗性)と優れた機械的特性を併有する摺動面を備える摺動装置が得られる。
(c)長時間の使用においても正確・安定・安全に摺動する摺動面を有する摺動装置が得られる。
(d)工業的実施に際して、軽量化・リサイクルの推進・製造コストの低減が容易な摺動装置が得られる。
本発明の樹脂系摺動部材及び摺動装置を最良の形態例に基いて以下に具体的に説明する。
<本発明の樹脂系摺動部材>:
本発明による樹脂系摺動部材(以下において、摺動部材と略称することがある)は、自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂を母材(量的に大部分を占める)とする複合体からなるもので、樹脂系の摺動装置を構成する材である。
摺動部材(複合体)は、ロックウェル硬さ(JISK7202のRスケールに準拠)と曲げ弾性率(JISK7171に準拠)GPaの数値の比率(すなわち、ロックウェル硬さ/曲げ弾性率)を25〜45の範囲にして、母材より摩擦係数が低くなる摺動面を与えるものして、本発明の効果の享受が可能にされている。
本発明にあっては、摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)における高潤滑持続性及び相手部材に対する攻撃性の消失若しくは低下、長時間摺動での正確性・安定性・安全性等の摺動性能が、それらの数値範囲と母材との摩擦係数とに対比によって把握・特定可能なることが実験的に証明されている(本明細書の実施例・比較例・表1・表2を参照)。
ロックウェル硬さ/曲げ弾性率の比率は、単純に、ロックウェル硬さ(JISK7202のRスケールに準拠)の数値を曲げ弾性率(JISK7171のRスケールに準拠)のGPaの数値で割り算して得られる比率である(以下において、「剛性/弾性率の比率」ということがある)。例えば、表1の実施例1では、ロックウェル硬さ(JISK7202のRスケールに準拠)が58で、曲げ弾性率(JISK7171に準拠)が1.6GPaであるので、剛性/弾性率の比率は、単純に、58/1.6=36としている。
実施例1〜2及び比較例1〜3は、同じ母材の複合体で、機械的物性(代表的には、硬さ・曲げ弾性等)・摩擦係数摩耗性能を少しずつ相違する試験片にして、
試験片の物性と本発明の目的・効果との相関の成立を調べた実験の代表例の一部である。
その結果、剛性/弾性率の比率が25〜45の範囲で、母材より摩擦係数が低い(特に、10%以上低い)という条件を具備すると、本発明の効果を具備する摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)を与える樹脂系摺動部材が得られることが見出された。
剛性/弾性率の比率が25より小さくなると、小型の精密な摺動装置にした場合に強度が不足する。剛性/弾性率の比率が45より大きくなると、摺動に際して相手材に対する攻撃性が高くなる。また、樹脂系摺動部材の摩擦係数の下限は、例えば、母材の摩擦係数のおおよそ30%程度である。それ以上に摩擦係数を下げるためには、無機質固体潤滑剤を相手材に対する攻撃性が生ずる量を添加する必要がある等のマイナスの要素が大きくなるからである。
なお、本発明の「摩擦係数」は、物体が他の物体と接触して運動する際に接触面に現れる運動抵を現す動摩擦係数(動的摩擦係数ともいう)である。動摩擦係数はμ(ミュー)という数値で表される。
動摩擦係数の測定装置は、基本的構成が同様であって(ASTM F609-96を参照)
、測定対象の摺動部材の試験片と相手材とを一定荷重下で接触させて、いずれかを運動(多くは、回転運動)させ、その際に生じる摩擦抵抗をコントローラに伝えて表示させる仕組みになっている。
図1は、実施例及び比較例の動摩擦係数を測定した装置の概略図であって、基本的構成は一般的な動摩擦係数の測定装置と同様である。図1において、測
定対象の摺動部材は、ブッシュ形状の試験片にして一方の端面が相手材ディスク(図示を省略)一定荷重で接触し、相手材ディスクがハウジングに固定して、ハウジングの回転によって一定荷重下で試験片と相手材ディスクを接触させる。
その際に生じる摩擦抵抗は、ロードセルを通じて記録計に記録させる。
なお、本発明の樹脂系摺動部材の摩擦係数の要件を動摩擦係数で表示する場合には、0.20μ以下である。
<自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂>:
小型で複雑な形状の摺動部・摺動装置を構成する材になり得るのには、対応する機械的強度を与える樹脂(例えば、中密度以上の高密度、大きい分子量等の樹脂)であって、かつ、射出成形が可能なメルトフローレート(JISK7212に準拠)を有することが必要である。また、熱可塑性オレフィン系樹脂は、摺動部材の69容量%(好ましくは90容量%以上)を占めるので、熱可塑性オレフィン系樹脂自体が自己潤滑性を有していることが必要である。
自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂は、例えば、射出成形可能なメルトフローレートを有するポリエチレン類(例えば、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン)、ポリプロピレン類が適している。それらは単体・混合物・共重合体・変性体であることが可能である。
自己潤滑性を有するという点からは、高密度の樹脂が適している。ポリエチレン類についてみれば、工業的に生産・販売されているポリエチレンは、低密度、中密度及び高密度に分離されているところから、汎用生産品としては、機械的強度が大きくて成形加工性が優れている高密度ポリエチレンの使用が適している。
高密度ポリエチレンのメルトフローレート(成形性・成形加工性等として説明されることがある)は、2〜50g/10分程度の範囲であれば、複雑形状の摺動部(例えば、歯車、軸受、機構部品等)への射出成形に適していて、15g/10分以下(好ましくは10g/10分以下)であると、剛性及び耐衝撃性を備える摺動部材に射出成形可能である。
ただし、メルトフローレートが、2g/10分以下であると、歯車等の精密形状への射出成形が困難になる。また、メルトフローレートが30g/10分以上のものであれば、射出成形が容易であるが、耐衝撃性の低下及び耐摩耗性の低下傾向がある。また、この高密度ポリエチレンに結晶核剤(例えば、ジベンジリデンソルビトール化合物等)を含有させて、射出成形をハイサイクルにすることも可能である。なお、ポリエチレン以外の自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂の場合にも、同様な条件で選択することが可能である。
<母材値を基準とする摺動部材の調製>
射出成形によって作成した対象母材樹脂(自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂)の試験片の剛性/弾性率の比率の測定値を基準にして摺動部材の原料の組み合わせを選定する。対象母材樹脂は、母材量が69容量%以上(好ましくは、90%以上)で摺動部材中に占めるようにして母材樹脂由来の物性を摺動面に反映させて、対象母材樹脂にその剛性低下用材料を配合して対象母材樹脂の剛性/弾性率の比率を45より小さくする。母材樹脂の剛性低下用材料は、母材樹脂との相溶性を有して少量の配合で母材樹脂の硬さ低下に有効であることが望まれる。剛性低下用材料の配合量は多くなると、他の物性(例えば、摩擦係数)及び摺動部材の機械的強度に影響を与えることになる。
剛性低下用材料なる熱可塑性エラストマーは、例えば、オレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーである。
また、摺動部材が与える摺動面(特に、オイル潤滑下で摺動させる摺動面)を母材樹脂より低い摩擦係数にするために、潤滑性増強材(潤滑性向上材)が配合されて摺動面が高潤滑性(すなわち、低い摩擦係数)にされる。潤滑性増強材としては、自己潤滑性が大きい材料(一般的には、母材樹脂より自己潤滑性が大きい材料)が相手部材への攻撃性が生成しない量で配合される。
潤滑性増強材は、例えば、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等)、無機質層状構造の固体潤滑剤(例えば、黒鉛、二硫化モリブデン等)、自己潤滑性を有する無機化合物粉末(例えば、ステアリン酸化合物等)・有機化合物(例えば、モンタン酸エステル等)・鉱物粉末・オイル状化合物(例えば、シリコーンオイル、鉱物油等)等である。一般的には、対象母材樹脂よりも自己潤滑性が大きい潤滑性増強材が、摺動部材を母材樹脂よりも低い摩擦係数にするために配合される。ただし、摺動部材(複合体)は、母材樹脂よりも10%以上低い摩擦係数(より好ましくは、母材樹脂よりも25%以上低い摩擦係数)にするのが、本発明の効果を向上させる点から好ましい。
潤滑性増強材が、無機質層状構造の固体潤滑剤である場合には、摺動面をして相手部材への攻撃性を生じさせない量で配合される。相手部材への攻撃性が生じる配合量は、固体潤滑剤の種類・粉末の形態等によって相違するので、固体潤滑剤の条件によって配合量を決める。無機質層状構造の固体潤滑剤の配合量は、一般的には、例えば、10容量%以下(摺動部材(複合体)の容量基準)であれば、摺動面に対して相手部材への攻撃性を付与することがない。
摺動部が小型の複雑・精密な摺動装置を構成する場合には、機械的強度の増強が使用の点から望ましいので、そのような場合には、補強材を配合して摺動部の機械的強度の増強若しくは機械的強度・摺動性向上の増強等の補強が行われる。
補強材は、例えば、無機質ウィスカ(例えば、炭酸カルシウムウィスカ等)、強化繊維(例えば、ガラス繊維・炭素繊維・アラミド繊維等)、粉体状充填材(例えば、タルク・炭酸カルシウム等)等である。補強材は、摺動部に対する補強効果が大きくなる条件(例えば、炭酸カルシウムウィスカの場合には、アスペクト比3〜50)で使用される。なお、補強材も、摺動部の摺動面に相手部材に対する攻撃性を付与しない量が配合される。
<摺動装置の製造>
摺動材は、母材の自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂とその他の材料を混練装置により混練・熱溶融して射出成形に必要なペレットその他の形状にして、それを射出成形して所望形状の摺動装置に成形する。混練のための手段・装置及び射出成形の方法・装置については、制約がなく任意のものであることが可能で、射出成形装置等についても同様である。
<摺動装置>
本発明の摺動部材は、任意の形態の摺動装置を構成する材であることが可能であって、摺動装置としては、代表例としては、歯車、軸受、機構部品等がある。摺動装置それ自体が独立して機能するものであってもよく、部品として機能するものであってもよい。
歯車は、例えば、インボリュート平歯車、ハスバ歯車、ウォームギア、ウォームホイール等の各種歯車が可能であり、本発明摺動部材は低硬度材のため、静音化に特に有効と考えられる。
軸受は、相対運動する部品を滑り運動・転がり運動等する機能と荷重を支える機能を有するものであって、例えば、ころがり軸受、単軸軸受、二つ割軸受およびシール軸受等が可能であり、本発明効果を最大限に発揮できる例である。
機構部品は、例えば、ブッシュ、ワイヤドラム、ドアロックアクチュエータギア、ワイヤガード及びそれ以外の機構部品であることが可能である。
なお、摺動部及び摺動装置は、一般的には、同義語として使用されている。
摺動装置の全体及び摺動面等の一部が本発明の摺動部材から形成される場合に、摺動面及びその近傍のみを示す限定的な用語としては摺動部が使用される場合がある。
なお、本発明においては、本発明の目的に沿うものであって、本発明の効果を特に害さない限りにおいては、改変あるいは部分的な変更及び付加は任意であって、いずれも本発明の範囲である。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、実施例は例示であって本発明を拘束するものではない。
メルトフローレート5g/10分の高密度ポリエチレン79容量%、ポリエステルエラストマー5容量%、変性高密度ポリエチレン4容量%、シリコーン含有ポリエチレン6容量%、炭酸カルシウムウィスカ(アスペクト比:3〜50)5容量%、モンタン酸エステル1容量%を原材料にして2軸押出機の混練装置により混練・熱溶融してペレットを成形し、それを射出成形によって物性測定用試験片を成形した。物性測定用試験片は、曲げ弾性率をJISK7171のRスケールに準拠して測定し、ロックウェル硬さをJISK7202のRスケールに準拠してRスケールで測定した。動摩擦係数は、図1に示す摩擦係数測定装置により面圧0.3MPa、速度10m/分として常温・無潤滑でSUS軸、Al軸、
樹脂軸(ハイインパクトポリスチレン製)を相手材として20時間回転させて測定した。
メルトフローレート5g/10分の高密度ポリエチレン69容量%、シリコーンエラストマー4容量%、炭酸カルシウムウィスカ2容量%、油成分含有低密度ポリエチレン20容量%、シリコーン含有二酸化ケイ素4容量%、モンタン酸エステル1容量%を原材料にして実施例1と同様にして物性測定用試験片を成形し、実施例1と同様して物性を測定した。
<比較例1>
実施例1と同じ高密度ポリエチレン、ポリエステルエラストマー、無水マレイン酸変性高密度ポリエチレン、炭酸カルシウムウィスカが各々、73容量%、15容量%、5容量%、7容量%を原材料にして実施例1と同様にして物性測定用試験片を成形し、実施例1と同様して物性を測定した。
<比較例2>
実施例1と同じ高密度ポリエチレン84容量%、シリコーン含有ポリエチレン15容量%、モンタン酸エステル1容量%を原材料にして射出成形によって試験片を作成して測定した。
<比較例3>
メルトフローレート9g/10分のポリアセタール樹脂94容量%、変性高密度ポリエチレン5容量%、モンタン酸エステル1容量%が原材料にして実施例1と同様にして物性測定用試験片を成形し、実施例1と同様して物性を測定した。
<比較例4>
実施例1と同じ高密度ポリエチレンのみを原材料にして実施例1と同様にして物性測定用試験片を成形し、実施例1と同様して物性を測定した。表1は実施例の測定結果を示していて、表2は比較例の測定結果を示している。
なお、表1及び表2の「○」は合格を示すが、十分に合格するからぎりぎり合格するまでが含まれる。「△」は不十分を示している。「×」は不合格を示している。
比較例1は、剛性/弾性率の比率が38で本発明の範囲ではあるが、動摩擦係数が比較例4の母材のそれよりも僅か高かったために、20時間を超える領域での高潤滑持続性が不足し、プラスチック軸に対する攻撃性も合格と不十分との境界であった。比較例3では、ポリアセタール樹脂特有の相手材に対する攻撃性が強力であった。
本発明によれば、高潤滑性を持続し、かつ、相手部材に対する攻撃性が低下し、
経時的な摩擦変化が、僅かで経時的摩耗増加が無く、長時間の正確・安定・安全な摺動を持続する摺動面であって、軽量化・薄型設計・複雑形状の摺動面を備える樹脂系摺動部材及びそのような摺動面を備える摺動装置が提供される。




動摩擦係数の測定装置の概略説明図である。

Claims (2)

  1. 自己潤滑性の熱可塑性オレフィン系樹脂の母材が69容量%以上を占め、母材の剛性低下用材料の熱可塑性エラストマーと、摺動面を母材より低い摩擦係数にする潤滑性増強材とが配合され、ロックウェル硬さ(JISK7202のRスケールに準拠)/曲げ弾性率(JISK7171に準拠)の数値の比率が25〜45の複合体にされている樹脂系摺動部材の射出成形によること、を特徴とする摺動装置。
  2. 下記の特徴を備えることを特徴とする請求項に記載の摺動装置。
    (1)前記剛性低下用材料の熱可塑性エラストマーが、オレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーからなる
    (2)前記潤滑性増強材が、フッ素系樹脂、無機質層状構造の固体潤滑剤、自己潤滑性の、無機化合物粉末、有機化合物、鉱物粉末及びオイル状化合物からなる
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