以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として、プリンター機能と複写機能を備えた複合機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置であってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20と、装置本体10の右側面10Rの下方に取り付けられた長尺シートの給紙用の外付けカセット70とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送される定型シートを貯留する給紙部40と、定型シート又は長尺シートを給紙部40又は外付けカセット70から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
自動原稿給送装置(ADF)20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。ADF20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、ADF20は上方に開かれる。ADF20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
読取ユニット25は、装置本体10の上面のADF20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34(トナー補給手段)とを含む。
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321(像担持体)と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、スクリューフィーダー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。この現像装置324の詳細については、後記で詳細に説明する。
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332及び従動ローラー333を備える。中間転写ベルト331は、駆動ローラー332及び従動ローラー333に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される(一次転写)。
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。各トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkには、当該コンテナ内のトナーを図略のトナー排出口へ搬送する搬送スクリュー341が備えられている。この搬送スクリュー341が駆動部962(図6)にて回転駆動されることで、現像装置324内へトナーが補給される。
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートのうち、定型シートS1を収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。本明細書において「定型シート」とは、例えばISO216で画定されているA列、B列に従ったサイズであって、一般の画像形成装置において汎用されているサイズのシートを指す。例えば、A3、A4、A5、B4、B5サイズ等のシートが、定型シートS1である。勿論、サイズスタンダードはISO216以外の規格に従ったものでも良く、例えばANSI、LDR、LGL、Folio、Quarto、Letter、EXEC、STMTなどの規格に基づいた定型シートであっても良い。
給紙カセット40A(40B)は、定型シートS1が積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートS1が1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。
装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46が設けられている。給紙トレイ46は、その下端部において装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。給紙トレイ46に載置されたシートは、ピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。但し、本実施形態では、この給紙トレイ46が、長尺シートS2の給紙用のトレイとして活用されている例を示している。
外付けカセット70は、長尺シートS2の給紙のためオプションで装置本体10に取り付けられる給紙カセットである。外付けカセット70は、給紙口711を有するハウジング71を備える。ハウジング71内には、長尺シートの巻回体からなるロール紙72が収容されている。ロール紙72の巻芯は回転軸721に挿通されており、回転軸721が駆動されることで、ロール紙72から長尺シートS2が繰り出される。長尺シートS2は、折り返し従動ローラー73を介して、送り出しローラー対74によって給紙口711から給紙トレイ46上に送り出される。
ユーザーは、長尺シートS2の給紙を行わせる場合、先ず給紙トレイ46を開き、ロール紙72から長尺シートS2を所定長だけ繰り出させて、そのシート先端をピックアップローラー461とその直下に配置された図略の摩擦パッドとの間にニップさせる。以下は上記の手差し給紙と同様に、長尺シートS2は、ピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。給紙ローラー462の近傍には、長尺シートS2を所定の長さで切断するカッター463が配置されている。カッター463としては、裁断刃が搭載された移動体をシートの幅方向に走行させる構成のものを採用することができる。
本明細書において「長尺シート」とは、定型シートよりも副走査方向のサイズが長尺であるシートを指し、本実施形態ではA3サイズ又はこれと同等のシートよりも副走査方向のサイズが長尺であるシートを言う。長尺シートの副走査方向のサイズは、例えば500mm〜1500mm程度である。
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30を経由して定着部60の出口までシート(定型シートS1又は長尺シートS2)を搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを画像形成部30に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット55の内部に備えられているシート搬送路で構成されている。
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、停止状態のレジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われる。その後、画像転写のための所定のタイミングで、レジストローラー対51が駆動モーター(図略)で回転駆動されることで、シートは二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。
搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー53が配置されている。排紙ローラー53は、装置本体10の左側面10Lに配置される図略の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方にシート排出トレイが設けられる。
搬送ユニット55は、定着部60から搬出されるシートを、シート排出口10Eまで搬送するユニットである。本実施形態の画像形成装置1は、定着部60が装置本体10の右側面10R側に配置され、シート排出口10Eは、右側面10Rと対向する装置本体10の左側面10L側に配置されている。従って、搬送ユニット55は、装置本体10の右側面10Rから左側面10Lに向けて、シートを水平方向に搬送する。
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64及び誘導加熱ユニット65を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
続いて、現像装置324について詳細に説明する。図2は、現像装置324の内部構造を概略的に示す垂直方向の断面図、図3は、現像装置324の水平方向の断面図である。現像装置324は、該現像装置324の内部空間を画定する現像ハウジング80を含む。この現像ハウジング80には、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留するキャビティであって、現像剤を攪拌しつつ搬送することが可能とされた現像剤貯留部81が備えられている。また、現像ハウジング80の内部には、現像剤貯留部81の上方に配置された磁気ローラー82(現像剤担持体)と、磁気ローラー82の斜め上方位置で磁気ローラー82に対向配置された現像ローラー83(トナー担持体)と、磁気ローラー82に対向配置された現像剤規制ブレード84とを含む。
現像剤貯留部81は、現像装置324の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室81a,81bを含む。現像剤貯留室81a,81bは、現像ハウジング80に一体に形成され長手方向に延びる仕切り板801によって互いに仕切られているが、図3に示すように、長手方向における両端部において連通路803、804によって互いに連通されている。各現像剤貯留室81a,81bには、軸回りに回転することにより現像剤を攪拌及び搬送するスクリューフィーダー85,86が収容されている。スクリューフィーダー85,86は、図略の駆動機構により回転駆動されるが、その回転方向が互いに逆方向に設定されている。これにより現像剤は、図3に矢印で示すように、現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81b間を攪拌されつつ循環搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが例えばマイナスに帯電される。
磁気ローラー82は、現像装置324の長手方向に沿って配設されており、図2では時計方向に回転可能である。磁気ローラー82の内部には、固定式の所謂磁石ロール(図示せず)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、本実施形態では汲上極821、規制極822及び主極823を有する。汲上極821は現像剤貯留部81に対向し、規制極822は現像剤規制ブレード84に対向し、主極823は現像ローラー83に対向している。
磁気ローラー82は、汲上極821の磁力によって現像剤貯留部81から現像剤をその周面82A上に磁気的に汲み上げる(受け取る)。汲み上げられた現像剤は、磁気ローラー82の周面82A上に磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として保持され、磁気ローラー82の回転に伴って現像剤規制ブレード84に向けて搬送される。
現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の回転方向から見て現像ローラー83よりも上流側に配置され、磁気ローラー82の周面82Aに磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像ハウジング80の適所に固定された所定の支持部材841によって支持されている。また、現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の周面82Aとの間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面842(つまり現像剤規制ブレード84の先端面)を有する。
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の規制極822によって磁化されて、現像剤規制ブレード84の規制面842と規制極822との間に、つまり規制ギャップGにおいて磁路が形成される。汲上極821によって磁気ローラー82の周面82A上に付着した現像剤層が、磁気ローラー82の回転に伴って規制ギャップG内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制される。これにより、周面82A上には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
現像ローラー83は、現像装置324の長手方向に沿って、且つ、磁気ローラー82に対して平行に延びるように配設されており、図2では時計方向に回転可能である。現像ローラー83は、磁気ローラー82の周面82A上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持する周面83Aを有する。現像動作が行なわれる現像時には、前記トナー層のトナーが感光体ドラム321の周面に供給される。
現像ローラー83および磁気ローラー82は、駆動源Mによって回転駆動される。現像ローラー83の周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの間には、所定の寸法の隙間Sが形成されている。隙間Sは例えば約130μmに設定されている。現像ローラー83は、現像ハウジング80に形成された開口を通して感光体ドラム321に臨むように配置され、周面83Aと感光体ドラム321の周面との間にも所定の寸法の隙間が形成されている。
図3に示すように、現像ハウジング80には、当該現像ハウジング80内におけるトナーの濃度を計測するトナー濃度センサ87(検出手段)が配置されている。トナー濃度センサ87は、例えば、透磁率を計測する透磁率センサを備えて構成され、トナー濃度に応じて変化する透磁率に応じた電圧を出力する。トナー濃度センサ87の出力は、例えば10ビットで表され、0〜1023の値で示される。本実施形態では、トナーが非磁性体であるので、トナー濃度が低くなると出力ビットが高くなり、逆にトナー濃度が高くなると出力ビットが低くなる。トナー濃度センサ87の出力は、制御部90(図6)に与えられる。
次に、図4を参照して、現像装置324のバイアス印加のための構成及び現像動作について説明する。現像装置324は、現像動作を制御するために、第1印加部88と、第2印加部89と、第1印加部88および第2印加部89を制御する制御部90とをさらに含む。同図に示すように、第1印加部88は、直列に接続された直流電圧源881と交流電圧源882とを有し、磁気ローラー82に接続されている。直流電圧源881から出力された直流バイアスに交流電圧源882から出力された交流バイアスが重畳された電圧が磁気ローラー82に印加される。第2印加部89は、直列に接続された直流電圧源891と交流電圧源892とを有し、現像ローラー83に接続されている。直流電圧源891から出力された直流バイアスに交流電圧源892から出力された交流バイアスが重畳された電圧が現像ローラー83に印加される。
現像装置324が感光体ドラム321の周面上にトナーを供給する(静電潜像を現像する)現像時において、磁気ローラー82および現像ローラー83に印加される直流バイアスおよび交流バイアスは、一例を挙げれば次の通りに設定される。磁気ローラー82に印加される直流バイアスは+350Vであり、現像ローラー83に印加される直流バイアスは+50Vである。磁気ローラー82に印加される交流バイアスは、電圧値が+2.5kVで周波数が4.7kHzである。現像ローラー83に印加される交流バイアスは、電圧値が例えば+1.5kVで周波数が例えば4.7kHzである。
磁気ローラー82の周面82A上の磁気ブラシ層は、現像剤規制ブレード84によって層厚が均一に規制された後、磁気ローラー82の回転に伴って現像ローラー83に向けて搬送される。その後、隙間S(図2)の領域において、磁気ブラシ層中の多数の磁気ブラシDBが、回転中の現像ローラー83の周面83Aに接触する。
このとき、制御部90は、第1印加部88および第2印加部89を制御して上記設定の直流バイアスおよび交流バイアスを磁気ローラー82および現像ローラー83のそれぞれに印加する。これにより、磁気ローラー82の周面82Aと現像ローラー83の周面83Aとの間に所定の電位差が生じる。この電位差により、周面82Aと周面83Aとの対向位置において(主極823(図2)と周面83Aとの対向位置において)、磁気ブラシDBからトナーTのみが周面83Aに移動し、磁気ブラシDBのキャリアCは周面82A上に残る。これにより、現像ローラー83の周面83A上に所定厚さのトナー層TLが担持される。
周面83A上のトナー層TLは、現像ローラー83の回転に伴って感光体ドラム321の周面に向けて搬送される。感光体ドラム321にも、直流電圧と交流電圧との重畳電圧が印加されているので、感光体ドラム321の周面と現像ローラー83の周面83Aとの間には所定の電位差が生じている。この電位差により、トナー層TLのトナーTが感光体ドラム321の周面に移動する(トナーの供給)。これにより、感光体ドラム321の周面上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
図5は、現像ローラー83から磁気ローラー82側へのトナーの剥ぎ取り動作を説明するための模式図である。実際の現像動作では、トナー層TL中のトナーTのうち、感光体ドラム321に移動せず周面83A上に残留する残留トナーRTが発生する。残留トナーRTは、現像ローラー83の回転に伴って周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの対向位置に搬送されたとき、磁気ブラシDBによる掻き取り力と両ローラー82、83間の電気的な力とによって磁気ローラー82側に回収される。回収した残留トナーRTを有する磁気ブラシDBは、磁気ローラー82の回転に伴って主極823よりも下流側に搬送されると、前記磁石ロールの剥離極(図示せず)の磁力によって周面82Aから剥離し、現像剤貯留部81(図2)に戻される。
なお、上記の剥ぎ取り動作は、磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差を小さくすることにより促進することができる。従って、例えばシート間において前記電位差を一時的に小さくすることで、現像ローラー83から残留トナーRTを強制的に引き剥がし、周面83Aをリフレッシュすることが望ましい。特に、長尺シートS2に対する現像動作の実行後は、トナーが過剰に帯電して劣化する傾向があるので、前記電位差をより小さくして前記リフレッシュを行うことが望ましい。
続いて、画像形成装置1の電気的構成について説明する。画像形成装置1は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部90を備える。図6は、制御部90の機能ブロック図である。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、画像形成装置1は、図1〜図5で説明した構成に加えて、操作部961、駆動部962、画像メモリー963及びI/F(インターフェイス)964を備える。
操作部961は、液晶タッチパネル、テンキー、スタートキー及び設定キーなどを備え、画像形成装置1に対するユーザーの操作や各種の設定を受け付ける。例えば画像形成処理を行わせるシートの選択操作も、この操作部961において受け付けられる。
駆動部962は、モーター及びそのトルクを伝達するギア機構からなり、トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkに備えられている搬送スクリュー341を回転駆動させる。駆動部962は、トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkから各々に対応して配置されている現像装置324へトナーを補給する際に、搬送スクリュー341を回転駆動する。
画像メモリー963は、当該画像形成装置1がプリンターとして機能する場合に、例えばパーソナルコンピューターなどの外部機器から与えられる印刷用画像データを一時的に記憶する。また、画像形成装置1が複写機として機能する場合には、ADF20により光学的に読み取られた画像データを一時的に記憶する。
I/F964は、外部機器とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路であり、例えば画像形成装置1と外部機器とを接続するネットワークの通信プロトコルに従った通信信号を作成すると共に、ネットワーク側からの通信信号を画像形成装置1が処理可能な形式のデータに変換する。パーソナルコンピューター等から送信される印刷指示信号はI/F964を介して制御部90に与えられ、また画像データは、I/F964を介して画像メモリー963に記憶される。
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、シートサイズ判別部91(シートサイズ判別手段)、印字率算出部92(印字率算出手段)、バイアス制御部93、トナー補給制御部94(制御手段)及び閾値記憶部95を備えるように機能する。
シートサイズ判別部91は、トナー像を転写されるシートのサイズを判別する。この判別のため、シートサイズ判別部91は、画像メモリー963に格納された画像データを参照し、その副走査方向のデータ幅等に基づきシートのサイズを判定する。このシートサイズ判別部91によって、印刷対象とされるシートが、図7(A)に示す長尺シートS2であるか、或いは図7(B)に示す定型シートS1であるかの判別が為される。勿論、定型シートS1である場合は、その定型シートサイズの判別も行われる。また、長尺シートS2である場合は、その副走査方向の長さ情報が特定される。前記長さ情報は、長尺シートS2の外付けカセットからの繰り出し量の制御、及びカッター463の動作制御に用いられる。
印字率算出部92は、シートに転写されるトナー像の印字率を求める。すなわち、図7に示すように、1枚の長尺シートS2にはそのシートサイズに応じたトナー像G2が転写され、同様に1枚の定型シートS1にはトナー像G1が転写されるが、これらトナー像G2、G1の印字率を印字率算出部92は算出する。例えば印字率算出部92は、画像メモリー963に格納された画像データを参照し、その印字ドット数等に基づき印字率をシート単位で算出する。
バイアス制御部93は、先に説明した第1印加部88及び第2印加部89が磁気ローラー82及び現像ローラー83に与えるバイアスを制御することで、現像装置324による現像動作やトナーの剥ぎ取り動作を制御する。詳細は上述の通りである。
トナー補給制御部94は、トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkから各々の現像装置324(現像ハウジング80)内へトナーを補給させるトナー補給動作を制御する。トナー補給制御部94は、トナー補給動作を実行させるための補給閾値を設定し、トナー濃度センサ87によって検出される現像ハウジング80内のトナー濃度が前記補給閾値を下回ったときにトナー補給動作を開始させる。この補給動作は、具体的には、トナー補給制御部94が駆動部962に駆動信号を与え、駆動部962が搬送スクリュー341を所定時間だけ回転駆動させる動作である。
閾値記憶部95は、前記補給閾値の値を記憶する。この補給閾値は、トナー像を転写されるシートが定型シートS1である場合(第2補給閾値)と、長尺シートS2である場合(第1補給閾値)とで異なる。図8は、定型シートS1の補給閾値T1と、長尺シートS2の補給閾値T2とを示すグラフである。閾値記憶部95には、このような補給閾値T1と、印字率に対応付けたテーブル形式の補給閾値T2とが予め記憶されている。トナー補給制御部94は、これら補給閾値T1、T2を参照して、トナー補給動作を実行させる。
図8に示す通り、定型シートS1の補給閾値T1は、そのトナー像G1の印字率に関係なく一定である。ここでは、補給閾値T1が612ビットに設定されている例を示している。従って、転写対象が定型シートS1である場合、トナー補給制御部94は、トナー濃度センサ87の出力ビットが612を超過すると、トナー補給動作を実行させる。この場合、トナー補給動作は、印刷ジョブの終了後、或いは、印刷ジョブ中のシート間等において実行される。
これに対し、長尺シートS2の補給閾値T2は、そのトナー像G2の印字率に応じて変化する閾値である。すなわち、印字率が低い値の時は補給閾値T2も低い値とされ、印字率が上昇する程、補給閾値T2も高い値となる。ここでは、印字率が0%のときは補給閾値が612ビット、印字率が50%のときは712ビット、印字率が100%のときは812ビットに設定されている例を示している。転写対象が長尺シートS2である場合、トナー補給制御部94は、印字率算出部92が求めるトナー像G2の印字率を参照し、その印字率に応じた閾値を補給閾値T2として設定する。例えばトナー像G2の印字率が50%であると算出された場合、トナー補給制御部94は、補給閾値T2=712と設定する。
このように、長尺シートS2の印刷処理の際に補給閾値T2を印字率に対応付けた変動型とするのは、1枚の長尺シートS2の印刷中にトナー補給動作が開始されないようにするためである。長尺シートS2は、副走査方向の長さが1000mmを超えるようなものもあり、1枚の長尺シートS2の印刷中に、現像ハウジング80内のトナー濃度が急激に低下することがある。例えば、長尺シートS2の印刷開始前において、トナー濃度センサ87の出力ビット(つまり、現像ハウジング80内のトナー濃度)が512であるとする。図8に、トナー濃度センサ87の出力ビットZで示すように、長尺シートS2の印字率が0%である場合はトナー濃度に変化はないが、印字率が50%であると出力ビットは612まで上昇し、印字率が100%であると出力ビットは712まで上昇してしまうほど、1枚の長尺シートS2に対する転写処理でトナーが消費される。
この場合、もし補給閾値が定型シートS1の場合と同じように一定の補給閾値T1(612ビット)に設定されていたとすると、印字率が50%を超える長尺シートS2の印刷処理を実行させると、その印刷処理の途中で補給閾値T1を超過してしまうこととなり、トナー補給制御部94はその1枚の長尺シートS2の印刷処理を一旦強制的に停止させてトナー補給動作を実行させてしまうこととなる。このような制御が行われると、印刷処理が中断されることに伴うストレスをユーザーに与えるだけでなく、トナー画像の色目などが中断前後で変わる等の画像欠陥を惹起する不具合が生じる。
しかし、長尺シートS2用の補給閾値として、トナー像の印字率に応じて変化する補給閾値T2としておけば、高い印字率のトナー像転写が長尺シートS2に対して実行されても、当該長尺シートS2に対する転写処理が完了するまで前記トナー補給動作が開始されないようにすることができる。従って、長尺シートS2の印刷処理が、その途中で強制的なトナー補給動作のために中断されてしまうことを防止できるものである。
図9は、制御部90による補給閾値の設定動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、画像形成装置1がプリンターとして動作する場合を想定している。先ず、外部機器から印刷指示がI/F964を通して制御部90に与えられたか否かが判定される(ステップS1)。印刷指示が与えられていない場合は(ステップS1でNO)、待機する。
印刷指示が与えられた場合(ステップS1でYES)、その画像データが画像メモリー963に取り込まれる(ステップS2)。その後、シートサイズ判別部91により、前記画像データが参照され、画像データの最初のページ画像データが定型シート用のものか、或いは長尺シート用のものであるかが判定される(ステップS3)。
シートサイズ判別部91が「長尺シート用」と判定した場合(ステップS3でYES)、続いて印字率算出部92により当該ページ画像データの印字率が算出される(ステップS4)。その後、トナー補給制御部94は、閾値記憶部95に格納されている補給閾値T2のテーブルを参照し、算出された印字率に応じた補給閾値を設定する(ステップS5)。これに対し、シートサイズ判別部91が「定型シート用」と判定した場合(ステップS3でNO)、トナー補給制御部94は、閾値記憶部95に格納されている補給閾値T1(印字率に拘わらず一定値)を設定する(ステップS5)。
続いて、当該ページ画像データについての印刷処理が、定型シートまたは長尺シートに対して実行される(ステップS6)。その後、制御部90は次ページのページ画像データが画像メモリー963に格納されているか否かを確認する(ステップS7)。次ページの画像データが存在する場合は(ステップS7でYES)、ステップS3に戻って処理が繰り返される。次ページのページ画像データが存在しない場合は(ステップS7でNO)、処理を終える。
以上説明した通りの、本実施形態の画像形成装置1によれば、長尺シートにトナー像を転写することが可能な画像形成装置1において、現像ハウジング80内へのトナー補給動作タイミングの適正化を図ることができる。すなわち、長尺シートに対する印刷処理が中断されてトナー補給動作が実行されてしまうことを防止できる。従って、印刷処理が中断されることに伴うストレスをユーザーに与えることはなく、また、印刷処理が中断に伴う画像欠陥の発生も防止できる利点がある。