JP5744355B1 - 合わせガラス - Google Patents
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Abstract
Description
外側ガラス板1及び内側ガラス板2は、公知のガラス板を用いることができ、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラス、またはUVグリーンガラスで形成することもできる。但し、この合わせガラスを自動車の窓に用いる場合には、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、外側ガラス板1により必要な日射吸収率を確保し、内側ガラス板2により可視光線透過率が安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラス、熱線吸収ガラス、及びソーダ石灰系ガラスの一例を示す。
SiO2:70〜73質量%
Al2O3:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
R2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3):0.08〜0.14質量%
(熱線吸収ガラス)
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl2O3)をT−Fe2O3、CeO2およびTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
SiO2:65〜80質量%
Al2O3:0〜5質量%
CaO:5〜15質量%
MgO:2質量%以上
NaO:10〜18質量%
K2O:0〜5質量%
MgO+CaO:5〜15質量%
Na2O+K2O:10〜20質量%
SO3:0.05〜0.3質量%
B2O3:0〜5質量%
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3):0.02〜0.03質量%
本実施形態に係る合わせガラスの厚みは特には限定されないが、軽量化の観点からは、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みの合計を、2.4〜3.8mmとすることが好ましく、2.6〜3.4mmとすることがさらに好ましく、2.7〜3.2mmとすることが特に好ましい。このように、軽量化のためには、外側ガラス板1と内側ガラス板2との合計の厚みを小さくすることが必要であるので、各ガラス板のそれぞれの厚みは、特には限定されないが、例えば、以下のように、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みを決定することができる。
中間膜3は、複数の層で形成されており、一例として、図1に示すように、軟質のコア層31を、これよりも剛性の高い硬質のアウター層32で挟持した3層で構成することができる。但し、この構成に限定されるものではなく、コア層31と、外側ガラス板1側に配置される少なくとも1つのアウター層32とを有する複数層で形成されていればよい。例えば、コア層31と、外側ガラス板1側に配置される1つのアウター層32を含む2層の中間膜3、またはコア層31を中心に両側にそれぞれ2層以上の偶数の数のアウター層32を配置した中間膜3、あるいはコア層31を挟んで一方に奇数の数のアウター層32、他方の側に偶数の数のアウター層32を配置した中間膜3とすることもできる。なお、アウター層32を1つだけ設ける場合には、上記のように外側ガラス板1側に設けているが、これは、車外や屋外からの外力に対する耐破損性能を向上するためである。また、アウター層32の数が多いと、遮音性能も高くなる。
本実施形態に係る合わせガラスの製造方法は、特に限定されず、従来公知の合わせガラスの製造方法を採用することができる。例えば、まず、中間膜3を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟み、これをゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃で予備接着する。予備接着の方法は、これ以外でも可能である。例えば、中間膜3を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟み、オーブンにより45〜65℃で加熱する。続いて、この合わせガラスを0.45〜0.55MPaでロールにより押圧する。次に、この合わせガラスを、再度オーブンにより80〜105℃で加熱した後、0.45〜0.55MPaでロールにより再度押圧する。こうして、予備接着が完了する。
本実施形態に係る合わせガラスは、自動車に取り付ける場合、種々の自動車の窓ガラスに適用することができる。この中でも、本実施形態に係る合わせガラスは、後述するように、5000Hz以上の周波数帯域の音に対する遮音性能に優れているため、特に、ハイブリッド車やEV車に取り付けると、遮音効果が大きい。これは、ハイブリッド車やEV車において使用しているモーターは、高周波数で駆動するため、高周波数の音が発生しやすいからである。
本実施形態に係る合わせガラスは、自動車のいずれの位置の窓ガラスにも適用することができる。この中でも、特に、ウインドシールドに用いることが望ましい。但し、本実施形態に係る合わせガラスは、ウインドシールドに限定されず、サイドガラス、リアガラスにも用いることができる。
上述した合わせガラスは、例えば、自動車、建築物などの取付構造体に取付けることができる。このとき、合わせガラスは、取付部を介して取付構造物に取付けられる。取付部とは、例えば、自動車に取付けるためのウレタン枠などのフレーム、接着材、クランプなどが該当する。自動車への取付の一例を挙げると、図8(a)に示すように、まず、合わせガラス10の両端にピン50を取付けておき、取付対象となる自動車のフレーム70に接着材60を塗布する。フレームには、ピンが挿入される貫通孔80が形成されている。そして、図8(b)に示すように、合わせガラス10をフレーム70に取付ける。まず、ピン50を貫通孔80に挿入し、合わせガラス10をフレーム70に対して仮止めする。このとき、ピン50には段差が形成されているため、ピン50は貫通孔80の途中までしか挿入されず、これにより、フレーム70と合わせガラス10との間に隙間が生じる。そして、この隙間には上述した接着材60が塗布されているため、時間の経過とともに接着材60を介して合わせガラス10とフレーム70が固定される。
本実施形態によれば、中間膜3の一部を構成するアウター層32のヤング率を周波数100Hz,温度20度において560MPa以上とすることで、次の効果を得ることができる。
以下の通り、実施例1及び比較例1に係る合わせガラスを準備した。実施例1と比較例1の相違は、アウター層のヤング率のみである。
(1) モデルの設定
本シミュレーションで用いた合わせガラスのモデルを図15に示す。このモデルでは、音の発生源側から外側ガラス板、中間膜、内側ガラス板、ウレタン枠の順で積層した合わせガラスを規定している。ここで、ウレタン枠をモデルに追加しているのは、ウレタン枠の有無により音響透過損失の算出結果に少なからず影響があると考えられる点、及び、合わせガラスと車両のウインドシールドの間にはウレタン枠が用いられて接着していることが一般的である点を考慮したためである。
(2) 入力条件1(寸法等)
(3) 入力条件2(物性値)
主な周波数毎に異なった値を用いた。これは、コア層及び両アウター層は粘弾性体のため、粘性効果によりヤング率は周波数依存性が強いためである。なお、温度依存性も大きいが、今回は温度一定(20℃)を想定した物性値を用いた。
以下の通り、実施例2〜4及び比較例2に係る合わせガラスを準備した。実施例2〜4と比較例2の相違は、アウター層のヤング率のみである。
以下では、合わせガラスの取付角度とアウター層の厚みに関する評価を行った。表6〜表8に示す通り、実施例及び比較例に係る合わせガラスを準備した。但し、外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.5mm、コア層の厚みは0.1mm、アウター層の厚みは0.33mm、ダブり量は0mmとした。
以下では、コア層及びアウター層のヤング率に関する評価を行った。表9〜表12に示す通り、実施例及び比較例に係る合わせガラスを準備した。但し、外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.0mm、コア層の厚みは0.1mm、アウター層の厚みは0.33mm、ダブり量は0mm、取付角度は0度とした。表9及び表10に係る実施例及び比較例おいては、コア層のヤング率を一定とし、アウター層のヤング率を変化させた。結果は、図21及び図22に示すとおりである。また、表11及び表12に係る実施例においては、アウター層のヤング率を一定とし、コア層のヤング率を変化させた。結果は、図23及び図24に示すとおりである。
以下では、ガラス板の厚みに関する評価を行った。表13及び表14に示す通り、実施例及び比較例に係る合わせガラスを準備した。但し、外側ガラス板の厚みは1.5mm、内側ガラス板の厚みは1.5mm、コア層の厚みは0.1mm、アウター層の厚みは0.33mm、ダブり量は0mm、取付角度は0度とした。結果は、図25及び図26に示すとおりである。
以下では、ダブリ量に関する評価を行った。表15に示す通り、実施例に係る合わせガラスを準備した。但し、外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.5mm、コア層の厚みは0.1mm、アウター層の厚みは0.33mm、取付角度は0度とした。結果は、図27に示すとおりである。
2 内側ガラス板
3 中間膜
31 コア層
32 アウター層
Claims (9)
- 外側ガラス板と、
前記外側ガラス板と対向配置された内側ガラス板と、
前記外側ガラス板及び内側ガラス板の間に挟持された中間膜と、
を備え、
前記中間膜は、コア層と、前記コア層よりも剛性が高く、当該コア層を挟む前記外側ガラス板側及び前記内側ガラス板側のうち、少なくとも前記外側ガラス板側に配置される少なくとも1つのアウター層と、を備え、
前記アウター層の少なくとも1つのヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上1750MPa未満である、合わせガラス。
- 前記コア層のヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、25MPa以下である、請求項1に記載の合わせガラス。
- 前記コア層のヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、14MPa以下である、請求項1に記載の合わせガラス。
- 前記コア層のtanδは、周波数100Hz,温度20℃において、0.8以下である、請求項1から3のいずれに記載の合わせガラス。
- 前記コア層を挟む少なくとも一対の前記アウター層を備えている、請求項1から4のいずれかに記載の合わせガラス。
- 前記外側ガラス板側に配置される前記アウター層のヤング率が、前記内側ガラス板側に配置される前記アウター層のヤング率よりも大きい、請求項5に記載の合わせガラス。
- 前記外側ガラス板の厚みは、前記内側ガラス板の厚みと相違する、請求項1から6のいずれかに記載の合わせガラス。
- 前記外側ガラス板の厚みと前記内側ガラス板の厚みとの合計が3.8mm以下である、請求項1から7のいずれかに記載の合わせガラス。
- 自動車のウインドシールドとして用いられ、
前記自動車に対して、垂直からの取付け角度が45度以上である、請求項2に記載の合わせガラス。
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