JP6267006B2 - 合わせガラス - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のウインドシールドなどに用いられる合わせガラスに関する。
近年、自動車の燃費性向上の観点から、装着されるウインドシールドなどのガラスの軽量化が求められ、それに伴い厚みの小さいガラスの開発が進められている。しかしながら、厚みを小さくすると、遮音性能が低下するため、車外の音が車内に流入し、車内環境が悪化するという問題がある。特に、コインシデンス効果と呼ばれる特定の周波数での共振による音響透過損失が生じることが知られており、これにより、遮音性能が大きく低下することが知られている。また、このコインシデンス効果は、ガラスの厚みが小さくなると、高周波数側にシフトすることから、車外で発生した高周波数のノイズが車内に流入するおそれがあった。
これを解決するため、例えば、特許文献1には、一対のガラス板の間に中間膜を配置した合わせガラスが開示されており、面密度を低下させつつ、周波数5000Hzの音を遮音するようにしている。
特開2002−326847
しかしながら、車内で問題となる音には種々のものがあり、これらの中には周波数が5000Hzを超えるものも多い。例えば、ブレーキ音、風切り音は5000Hz以上の周波数の音を含み、車内の快適性を阻害する要因となっていた。したがって、5000Hzより高い周波数の音でも車内に与える影響は大きく、このような周波数に対応する自動車用合わせガラスが要望されていた。例えば、ハイブリッド車やEV車においては、モーターの周波数が5000Hz以上であり、このような周波数域の遮音性能を向上させる技術が求められる。特に、これらの車は、エンジン音がほとんど聞こえなかったり、あるいはエンジン音がないため、5000Hz以上の周波数帯域の音の遮音性能が重要となる。
また、上記のような遮音に関する問題のほか、ウインドシールドには、氷が表面を覆ったときに、視界が悪くなり、また、車内と車外の温度差が生じたときに、曇るという問題もある。なお、このような問題は合わせガラスを車両用に用いる場合のほか、建築用として用いる場合にも起こり得る問題である。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、特に、5000Hzよりも高い高周波数の音に対する遮音性を向上でき、表面の氷を解かし、また、曇りを防止することができる、合せガラスを提供することを目的とする。
本発明に係る合わせガラスは、外側ガラス板と、前記外側ガラス板と対向配置された内側ガラス板と、前記外側ガラス板及び内側ガラス板の間に挟持された中間膜と、前記中間膜に沿って配置され、電流が印加されると発熱する電熱線と、を備え、前記中間膜は、コア層と、当該コア層を挟んで前記外側ガラス板側及び前記内側ガラス板側に配置される一対のアウター層と、を備え、前記一対のアウター層のうち、少なくとも一方のヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上である。
上記合わせガラスにおいて、前記電熱線は、前記中間膜と前記外側ガラス板との間、または前記中間膜と前記内側ガラス板との間、のいずれかに配置することができ、前記コア層を挟んで、前記電熱線とは反対側に配置された前記アウター層のヤング率が、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上とすることができる。
上記合わせガラスにおいて、前記電熱線は、前記中間膜と前記外側ガラス板との間に配置することができ、前記コア層を挟んで、前記電熱線とは反対側に配置された前記アウター層のヤング率を、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上とすることができる。
上記いずれかの合わせガラスにおいては、前記ヤング率が、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上である少なくとも1つの前記アウター層と、前記電熱線との間に配置される熱遮蔽手段をさらに備えることができる。
上記合わせガラスにおいて、前記電熱線は、前記中間膜と前記外側ガラス板との間、または前記中間膜と前記内側ガラス板との間、のいずれかに配置することができ、前記コア層と前記電熱線との間に配置される前記アウター層のヤング率を、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上とすることができる。
上記いずれかの合わせガラスにおいては、前記コア層のヤング率を、周波数100HMz,温度20℃において、18MPa以下とすることができる。
上記いずれかの合わせガラスにおいては、前記コア層のヤング率を、波数100HMz,温度20℃において、14MPa以下とすることができる。
上記いずれかの合わせガラスにおいては、前記コア層のtanδを周波数100HMz,温度20℃において、0.9以下とすることができる。
上記いずれかの合わせガラスにおいては、前記外側ガラス板側に配置される前記アウター層のヤング率を前記内側ガラス板側に配置される前記アウター層のヤング率よりも大きくすることができる。
上記いずれかの合わせガラスにおいては、前記外側ガラスの厚みを、前記内側ガラス板の厚みと相違させることができる。
上記いずれかの合わせガラスにおいては、前記外側ガラス板の厚みと前記内側ガラス板の厚みとの合計を、3.8mm以下とすることができる。
本発明に係る合わせガラスによれば、特に、5000Hzよりも高い高周波数の音に対する遮音性を向上することができるとともに、合わせガラス上の氷を解かし、また、曇りも防止することができる。
本発明に係る合わせガラスの一実施形態を示す断面図である。 湾曲状の合わせガラスのダブリ量を示す正面図(a)及び断面図(b)である。 湾曲形状のガラス板と、平面形状のガラス板の、一般的な周波数と音響透過損失の関係を示すグラフである。 合わせガラスの厚みの測定位置を示す概略平面図である。 中間膜の測定に用いる画像の例である。 合わせガラスの取付方法を示す概略図である。 合わせガラスにおける周波数と音響透過損失の関係を示すグラフである。 合わせガラスの光の透過率に関する評価の結果を示すグラフである。 音響透過損失を出力するためのシミュレーションのモデル図である。 中間膜のヤング率に関する評価の結果を示すグラフである。 中間膜のヤング率に関する評価の結果を示すグラフである。図11のデータを判別しやすくなるよう工夫下さい。→修正しました
以下、本発明に係る合わせガラスの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る合わせガラスの断面図である。同図に示すように、本実施形態に係る合わせガラスは、外側ガラス板1、内側ガラス板2、及びこれらのガラスの間に挟持される中間膜3を有し、さらに複数の電熱線4が外側ガラス板1と中間膜3との間に配置されている。外側ガラス板1とは、外乱を受けやすい側に配置されるガラス板であり、内側ガラス板2は、その反対側に配置されるガラス板である。したがって、例えば、この合わせガラスを自動車のガラスとして用いる場合には、車外側のガラス板が外側ガラス板になり、建築材として用いる場合には、屋外を向く側が外側ガラス板になる。但し、受け得る外乱によっては、これとは反対の配置になることもある。以下、各部材について説明する。
<1.外側ガラス板及び内側ガラス板>
外側ガラス板1及び内側ガラス板2は、公知のガラス板を用いることができ、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラス、またはUVグリーンガラスで形成することもできる。但し、この合わせガラスを自動車の窓に用いる場合には、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、外側ガラス板1により必要な日射吸収率を確保し、内側ガラス板2により可視光線透過率が安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
(クリアガラス)
SiO2:70〜73質量%
Al23:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23):0.08〜0.14質量%
(熱線吸収ガラス)
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl23)をT−Fe23、CeO2およびTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
本実施形態に係る合わせガラスの厚みは特には限定されないが、軽量化の観点からは、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みの合計を、2.4〜3.8mmとすることが好ましく、2.6〜3.4mmとすることがさらに好ましく、2.7〜3.2mmとすることが特に好ましい。このように、軽量化のためには、外側ガラス板1と内側ガラス板2との合計の厚みを小さくすることが必要であるので、各ガラス板のそれぞれの厚みは、特には限定されないが、例えば、以下のように、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みを決定することができる。
外側ガラス板1は、主として、外部からの障害に対する耐久性、耐衝撃性が必要であり、例えば、この合わせガラスを自動車のウインドシールドとして用いる場合には、小石などの飛来物に対する耐衝撃性能が必要である。他方、厚みが大きいほど重量が増し好ましくない。この観点から、外側ガラス板1の厚みは1.8mm以上、1.9mm以上、2.0mm以上、2.1mm以上、2.2mm以上の順で好ましい。一方、外側ガラス板1の厚みの上限は、5.0mm以下、4.0mm以下、3.1mm以下、2.5mm以下、2.4mm以下の順で好ましい。この中で、2.1mmより大きく2.5mm以下、特に、2.2mm以上2.4mm以下が好ましい。何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
内側ガラス板2の厚みは、外側ガラス板1と同等にすることができるが、例えば、合わせガラスの軽量化のため、外側ガラス板1よりも厚みを小さくすることができる。具体的には、0.6mm以上、0.8mm以上、1.0mm以上、1.3mm以上の順で好ましい。一方、内側ガラス板2の厚みt2の上限は、1.8mm以下、1.6mm以下、1.4mm以下、1.3mm以下、1.1mm未満の順で好ましい。この中で、例えば、0.6mm以上1.1mm未満が好ましい。内側ガラス板2についても、何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
また、本実施形態に係る外側ガラス板1及び内側ガラス板2の形状は、平面形状及び湾曲形状のいずれであってもよい。しかしながら、後述するガラスの音響透過損失(STL:Sound Transmission Loss)は湾曲形状の方が低下するため、湾曲形状ガラスは特に音響対策が必要である。湾曲形状の方が平面形状よりSTL値が低下するのは湾曲形状の方が共振モードによる影響が大きいためと考えられる。
さらに、ガラスが湾曲形状である場合には、ダブリ量が大きくなると遮音性能が低下するとされている。ダブリ量とは、ガラス板の曲げを示す量であり、例えば、図2に示すように、ガラス板の上辺の中央と下辺の中央とを結ぶ直線Lを設定したとき、この直線Lとガラス板との距離のうち最も大きいものをダブリ量Dと定義する。
図3は、湾曲形状のガラス板と、平面形状のガラス板の、一般的な周波数と音響透過損失の関係を示すグラフである。図3によれば、湾曲形状のガラス板は、ダブリ量が30〜38mmの範囲では、音響透過損失に大きな差はないが、平面形状のガラス板と比べると、4000Hz以下の周波数帯域で音響透過損失が低下していることが分かる。したがって、湾曲形状のガラス板を作製する場合、ダブリ量は小さい方がよいが、例えば、ダブリ量が30mmを超える場合には、後述するように、中間膜のコア層のヤング率を18MPa(周波数100Hz,温度20℃)以下とすることが好ましい。
ここで、ガラス板が湾曲している場合の厚みの測定方法の一例について説明する。まず、測定位置については、図4に示すように、ガラス板の左右方向の中央を上下方向に延びる中央線S上の上下2箇所である。測定機器は、特には限定されないが、例えば、株式会社テクロック製のSM−112のようなシックネスゲージを用いることができる。測定時には、平らな面にガラス板の湾曲面が載るように配置し、上記シックネスゲージでガラス板の端部を挟持して測定する。なお、ガラス板が平坦な場合でも、湾曲している場合と同様に測定することができる。
<2.中間膜>
中間膜3は、複数の層で形成されており、一例として、図1に示すように、軟質のコア層31を、これよりも硬質のアウター層32で挟持した3層で構成することができる。但し、この構成に限定されるものではなく、コア層31と、外側ガラス板1側に配置される少なくとも1つのアウター層32とを有する複数層で形成されていればよい。例えば、コア層31と、外側ガラス板1側に配置される1つのアウター層32を含む2層の中間膜3、またはコア層31を中心に両側にそれぞれ2層以上の偶数の数のアウター層32を配置した中間膜3、あるいはコア層31を挟んで一方に奇数の数のアウター層32、他方の側に偶数の数のアウター層32を配置した中間膜3とすることもできる。なお、ここでは、説明の便宜のため、外側ガラス板1に接触するアウター層を第1アウター層321、内側ガラス板2に接触するアウター層を第2アウター層322と称することとする。
コア層31はアウター層32よりも軟質であるかぎり、その硬さは特には限定されないが、例えば、ヤング率を基準として材料を選択することができる。具体的には、周波数100Hz,温度20度において、1〜18MPaであることが好ましく、1〜14MPaであることがさらに好ましい。このような範囲にすると、概ね3500Hz以下の低周波数域で、STLが低下するのを防止することができる。
この点について、本発明者により、一般的にコア層のヤング率を低下させると、3000〜5000Hzの周波数域で遮音性能が向上することが見出されている。この点について、以下の表1には、クリアガラスからなる外側ガラス板と内側ガラス板、及びコア層とコア層の両側に位置するアウター層で構成された中間膜を有する合わせガラスの遮音性能を示している。外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.3mm、中間膜の厚みは、コア層が0.10mm、アウター層が0.33mmであり、合計0.76mmである。以下の表1では、周波数が1250〜10000Hzの間での音響透過損失を示している。具体的には、中間膜のヤング率(周波数100Hz、温度20℃で測定)を25MPa,12.5MPa,及び6.25MPaとした場合の音響透過損失を算出し(算出方法は後述する実施例の方法に従う)、ヤング率が25MPaの場合を基準として(以下の表では基準であるため0としている)、ヤング率が12.5MPa,6.25MPaのときの音響透過損失の差(単位はdB)を示している。このとき、アウター層のヤング率は560MPa、tanδは0.26(温度20℃、周波数100Hz)である。表1によれば、周波数が、3150〜5000Hzの間では、中間膜のヤング率が25MPaから12.5MPa,6.25MPaへと低下するのにしたがって音響透過損失が向上していることが分かる。
測定方法としては、例えば、Metravib社製固体粘弾性測定装置DMA 50を用い、ひずみ量0.05%にて周波数分散測定を行うことができる。以下、本明細書においては、特に断りのない限り、ヤング率は上記方法での測定値とする。但し、周波数が200Hz以下の場合の測定は実測値を用いるが、200Hzより大きい場合には実測値に基づく算出値を用いる。この算出値とは、実測値からWLF法を用いることで算出されるマスターカーブに基づくものである。
一方、アウター層32のヤング率はコア層31よりも大きいが、2つのアウター層のうち、少なくとも、電熱線4と接触しない第2アウター層322のヤング率を、周波数100Hz,温度20度において560MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、700MPa以上、750MPa以上、880MPa以上、または1300MPa以上とすることができる。一方、アウター層32のヤング率の上限は特には限定されないが、例えば、加工性の観点から設定することができる。例えば、1750MPa以上となると、加工性、特に切断が困難になることが経験的に知られている。また、いずれのアウター層321,322のヤング率も560MPa以上とすることができるが、例えば、外側ガラス板1側に配置される第1アウター層321のヤング率を、内側ガラス板2側の第2アウター層322のヤング率よりも大きくすることができる。これにより、車外や屋外からの外力に対する耐破損性能が向上する。
また、コア層31のtanδは、周波数100Hz,温度20℃において、0.1〜0.9とすることができる。tanδが上記範囲にあると、遮音性能が向上する。
この点について、本発明者により、一般的にコア層のtanδを大きくすると、5000〜10000Hzの周波数域で遮音性能が向上することが見出されている。この点について、以下の表2には、クリアガラスからなる外側ガラス板と内側ガラス板、及びコア層とコア層の両側に位置するアウター層で構成された中間膜を有する合わせガラスの遮音性能を示している。外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.3mm、中間膜の厚みは、コア層が0.10mm、アウター層が0.33mmであり、合計0.76mmである。なお、このときのコア層、及びアウター層のヤング率はそれぞれ12.5MPa,560MPaである(周波数100Hz,温度20℃で測定)。以下の表2では、周波数が1250〜10000Hzの間での音響透過損失を示している。具体的には、中間膜のtanδ(周波数100Hz、温度20℃で測定)を0.8,1.2,及び1.6とした場合の音響透過損失を算出し(算出方法は後述する実施例の方法に従う)、tanδが0.8の場合を基準として(以下の表では基準であるため0としている)、tanδが1.2,1.6のときの音響透過損失の差(単位はdB)を示している。なお、アウター層のtanδは、0.26である。表2によれば、周波数が、5000〜10000Hzの間では、中間膜のtanδが0.8から1.2,1.6へと大きくなるのにしたがって音響透過損失が向上していることが分かる。
また、各層31,32を構成する材料は、特には限定されないが、少なくともヤング率が上記のような範囲とすることができる材料であることが必要である。例えば、アウター層32は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)によって構成することができる。ポリビニルブチラール樹脂は、各ガラス板との接着性や耐貫通性に優れるので好ましい。一方、コア層31は、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)、またはアウター層を構成するポリビニルブチラール樹脂よりも軟質なポリビニルアセタール樹脂によって構成することができる。軟質なコア層を間に挟むことにより、単層の樹脂中間膜と同等の接着性や耐貫通性を保持しながら、遮音性能を大きく向上させることができる。
一般に、ポリビニルアセタール樹脂の硬度は、(a)出発物質であるポリビニルアルコールの重合度、(b)アセタール化度、(c)可塑剤の種類、(d)可塑剤の添加割合などにより制御することができる。したがって、それらの条件から選ばれる少なくとも1つを適切に調整することにより、同じポリビニルブチラール樹脂であっても、アウター層32に用いる硬質なポリビニルブチラール樹脂と、コア層31に用いる軟質なポリビニルブチラール樹脂との作り分けが可能である。さらに、アセタール化に用いるアルデヒドの種類、複数種類のアルデヒドによる共アセタール化か単種のアルデヒドによる純アセタール化かによっても、ポリビニルアセタール樹脂の硬度を制御することができる。一概には言えないが、炭素数の多いアルデヒドを用いて得られるポリビニルアセタール樹脂ほど、軟質となる傾向がある。したがって、例えば、アウター層32がポリビニルブチラール樹脂で構成されている場合、コア層31には、炭素数が5以上のアルデヒド(例えばn−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−へプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド)、をポリビニルアルコールでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。なお、所定のヤング率が得られる場合は、上記樹脂等に限定されることはい。
また、中間膜3の総厚は、特に規定されないが、0.3〜6.0mmであることが好ましく、0.5〜4.0mmであることがさらに好ましく、0.6〜2.0mmであることが特に好ましい。また、コア層31の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがさらに好ましい。一方、各アウター層32の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.0mmであることがさらに好ましい。その他、中間膜3の総厚を一定とし、この中でコア層31の厚みを調整することもできる。
コア層31及びアウター層32の厚みは、例えば、以下のように測定することができる。まず、マイクロスコープ(例えば、キーエンス社製VH−5500)によって合わせガラスの断面を175倍に拡大して表示する。そして、コア層31及びアウター層32の厚みを目視により特定し、これを測定する。このとき、目視によるばらつきを排除するため、測定回数を5回とし、その平均値をコア層31、アウター層32の厚みとする。例えば、図5に示すような合わせガラスの拡大写真を撮影し、このなかでコア層やアウター層32を特定して厚みを測定する。
なお、中間膜3のコア層31、アウター層32の厚みは全面に亘って一定である必要はなく、例えば、ヘッドアップディスプレイに用いられる合わせガラス用に楔形にすることもできる。この場合、中間膜3のコア層31やアウター層32の厚みは、最も厚みの小さい箇所、つまり合わせガラスの最下辺部を測定する。中間膜3が楔形の場合、外側ガラス板及び内側ガラス板は、平行に配置されないが、このような配置も本発明における外側ガラス板と内側ガラス板との「対向配置」に含まれるものとする。すなわち、本発明の「対向配置」は、例えば、1m当たり3mm以下の変化率で厚みが大きくなるコア層31やアウター層32を用いた中間膜3を使用した時の外側ガラス板と内側ガラス板の配置を含む。
中間膜3の製造方法は特には限定されないが、例えば、上述したポリビニルアセタール樹脂等の樹脂成分、可塑剤及び必要に応じて他の添加剤を配合し、均一に混練りした後、各層を一括で押出し成型する方法、この方法により作成した2つ以上の樹脂膜をプレス法、ラミネート法等により積層する方法が挙げられる。プレス法、ラミネート法等により積層する方法に用いる積層前の樹脂膜は単層構造でも多層構造でもよい。
<3.電熱線>
電熱線は、公知のものを利用することができる。すなわち、2つのガラス板1,2の間に、所定間隔で複数の電熱線を配置し、これに電流を印加する。電熱線の配置は特には限定されず、ガラス板の縦方向あるいは横方向のいずれに延びるように配置してもよい。また、電熱線に電流を印加するための導線をガラス板の端縁に沿って配置することができる。
<4.合わせガラスの製造方法>
本実施形態に係る合わせガラスの製造方法は、特に限定されず、従来公知の合わせガラスの製造方法を採用することができる。例えば、まず、中間膜3の表面に、複数の電熱線を配置する。その方法は種々の方法があるが、例えば、特開平10−6939に記載のように行うことができる。そして、電熱線が配置された中間膜3を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟み、これをゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃で予備接着する。予備接着の方法は、これ以外でも可能である。例えば、中間膜3を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟み、オーブンにより45〜65℃で加熱する。続いて、この合わせガラスを0.45〜0.55MPaでロールにより押圧する。次に、この合わせガラスを、再度オーブンにより80〜105℃で加熱した後、0.45〜0.55MPaでロールにより再度押圧する。こうして、予備接着が完了する。
次に、本接着を行う。予備接着がなされた合わせガラスを、オートクレーブにより、8〜15気圧で、100〜150℃によって、本接着を行う。具体的には、14気圧で145℃の条件で本接着を行うことができる。そして、電熱線に対して電流を印加するための導線を配置すれば、本実施形態に係る合わせガラスが製造される。なお、このような導線を自動車への取付時など、後の工程で行うこともできる。
<5.車体>
本実施形態に係る合わせガラスは、種々の自動車の窓ガラスに適用することができる。この中でも、本実施形態に係る合わせガラスは、後述するように、5000Hz以上の周波数帯域の音に対する遮音性能に優れているため、特に、ハイブリッド車やEV車に取り付けると、遮音効果が大きい。これは、ハイブリッド車やEV車において使用しているモーターは、高周波数で駆動するため、高周波数の音が発生しやすいからである。
<6.車体に用いられる位置>
本実施形態に係る合わせガラスは、自動車のいずれの位置の窓ガラスにも適用することができる。この中でも、特に、ウインドシールドに用いることが望ましい。但し、本実施形態に係る合わせガラスは、ウインドシールドに限定されず、サイドガラス、リアガラスにも用いることができる。
<7.合わせガラスの取付構造>
上述した合わせガラスは、例えば、自動車、建築物などの取付構造体に取付けることができる。このとき、合わせガラスは、取付部を介して取付構造物に取付けられる。取付部とは、例えば、自動車に取付けるためのウレタン枠などのフレーム、接着材、クランプなどが該当する。自動車への取付の一例を挙げると、図6(a)に示すように、まず、合わせガラス10の両端にピン50を取付けておき、取付対象となる自動車のフレーム70に接着材60を塗布する。フレームには、ピンが挿入される貫通孔80が形成されている。そして、図6(b)に示すように、合わせガラス10をフレーム70に取付ける。まず、ピン50を貫通孔80に挿入し、合わせガラス10をフレーム70に対して仮止めする。このとき、ピン50には段差が形成されているため、ピン50は貫通孔80の途中までしか挿入されず、これにより、フレーム70と合わせガラス10との間に隙間が生じる。そして、この隙間には上述した接着材60が塗布されているため、時間の経過とともに接着材60を介して合わせガラス10とフレーム70が固定される。
このような合わせガラスの取付構造体への取付において、合わせガラス10の取付角度はθは、図6(c)に示すように、垂直Nから45度以下にすることが好ましい。
<8.特徴>
本実施形態によれば、中間膜3の一部を構成するアウター層32のヤング率を周波数100Hz,温度20℃において560MPa以上とすることで、次の効果を得ることができる。
すなわち、本発明者は、中間膜3のアウター層32のヤング率を向上すると、約4000Hz以上の周波数域での遮音性能が向上することを見出した。例えば、一般的に用いられるヤング率が441MPa(20℃、100Hz)のアウター層に対し、ヤング率が560MPa(20℃、100Hz)のアウター層32を用いると、周波数6300Hzにおいて、STLが0.3dB向上することを見出した。一般的に、人間は0.3dB以上の音の変化を認識できるとされているため、ヤング率を高めることで、高周波数域において、人間が認識できるほどの遮音効果を得ることができる。また、アウター層32のヤング率は高くなるほど、遮音性能が高くなることが見出されている。
一方、1000〜3500Hzの低周波数域では、アウター層のヤング率を向上すると、STLが低下することが分かっている。しかしながら、その低下は小さいことも見出されている。
また、以下の数式に示すように、ガラスは一般的に厚みやヤング率が小さくなるほどコインシデンス周波数は高周波側にシフトする。
したがって、厚みの小さい合わせガラスであれば、上述したように、ヤング率の高いアウター層32を用いることが有利である。
また、合わせガラスの総厚が同じでも、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みが相違する場合には、特定の周波数域での遮音性能が低下することが、本発明者によって見出されている。例えば、図7に示すように、同厚の場合に比して、人間が聞き取りやすい2000〜5000Hzの周波数領域の遮音性能が低下することを見出した。同図は、周波数と音響透過損失(STL)との関係をシミュレーションした結果を示すグラフである。このグラフには、厚みが1.5mmのガラス板で構成された合わせガラス(以下、第1合わせガラスという)と、厚みが2.0mmと1.0mmの異なるガラス板で構成された合わせガラス(以下、第2合わせガラスという)が表示されている。いずれの合わせガラスも、ガラス板の間に樹脂製の中間膜が配置されている。このグラフによれば、3000〜5000Hzの周波数領域において、第2合わせガラスの音響透過損失は、第1合わせガラスに比べて低下していることが分かる。すなわち、厚みの異なるガラス板を用いることで、人間が聞き取りやすい2000〜5000Hzの周波数領域の遮音性能が低下することが分かった。
これに対して、本発明者は、中間膜3の一部を構成するコア層31のヤング率を周波数100Hz,温度20度において、18MPa以下、好ましくは、14MPa以下とすれば、人間が聞き取りやすい周波数においては、遮音性能は低下しないことも見出した。
また、上記のように、本実施形態に係る合わせガラスは、電熱線4が配置されているため、電流を印加させることで発熱でき、これによって合わせガラスに生じる氷を解かし、また、曇りを解消することができる。さらに、次の効果を得ることができる。この点について、図8を参照しつつ説明する。
図8は、5種類の中間膜の温度での、周波数と音響透過損失との関係をシミュレーションした結果を示している。この例では、厚みが2mmの2枚のガラス板の間に、ヤング率が441MPa、厚みが0.76mmの中間膜を配置した合わせガラスを対象としている。同図によれば、傾向として、中間膜の温度が高いと、5000Hz以下の周波数域では音響透過損失が向上しており、温度が高くなるほど、この周波数域での遮音性能が高いことが分かる。一方、5000Hzよりも大きい周波数域では、傾向として、中間膜の温度が高くなるほど、概ね音響透過損失が低下していることが分かる。
これに対して、電熱線4を用いると、発熱によりこれと接触するアウター層の温度が上昇するが、このとき、図8に示したように、温度が上昇すると、5000Hzよりも大きい周波数域では、音響透過損失が低下する。したがって、本実施形態においては、ヤング率が560MPa以上という高いアウター層を用いることで、温度が上昇したときでも音響透過損失が低下するのを抑制することができる。
特に、電熱線4と直接接触しない第2アウター層322のヤング率を高くすると、このアウター層322の温度が高くなるのを抑制し、遮音性能が低下するのを防止することができる。また、電熱線4を外側ガラス板1と接触するように配置することで、合わせガラス上の氷を解かし、また、外気による曇りを効果的に解消することができる。
<9.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、電熱線を外側ガラス板と中間膜との間に配置しているが、電熱線4はいずれの位置に配置することもできる。例えば、上記実施形態では、外側ガラス板1と第1アウター層321との間に電熱線を配置しているが、内側ガラス板と第2アウター層との間に電熱線を配置することもできる。この場合、電熱線4と直接接触しない第1アウター層321のヤング率を560MPa(20℃、100Hz)以上とすると、上述したように、このアウター層321の温度が高くなるのを抑制し、遮音性能が低下するのを防止することができる。また、電熱線4を外側ガラス板1の表面、内側ガラス板2の表面に配置することもできる。さらに、すべてのアウター層321,322のヤング率を560MPa(20℃、100Hz)以上とすることもできる。
また、電熱線4とアウター層32との間に熱遮蔽手段を設けることもできる。熱遮蔽手段は種々の態様があるが、例えば、公知の熱線反射フィルムを用いることができる。熱線反射フィルムを使用することで、車外からの赤外線による放射による伝熱を防止することができる。また、電熱線4の熱の影響がアウター層32に伝達されるのを少なからず抑制することができる。熱線反射フィルムは、種々の構成があるが、例えば、基材となる樹脂フィルム上に、酸化物層と金属層とを交互に積層することにより熱線反射フィルムを形成することができる。この場合、熱線反射フィルムは、ガラス板に接着しないため、ガラス板、アウター層、電熱線、熱線反射フィルム、アウター層、コア層、アウター層の順で配置することが必要である。すなわち、熱線反射フィルムをアウター層で挟み、アウター層とガラス板とを接着するようにする。ここでいうガラス板とは、外側ガラス板、内側ガラス板のいずれでもよい。
また、ヤング率の高いアウター層と電熱線とが接触するように配置することもできる。このようにすると、電熱線が硬度の高いアウター層に支持されるため、製造時に電熱線の配置が乱れるのを防止することができる。すなわち、製造時には、熱によりアウター層が柔らかくなり、これに追従して電熱線の配置が所定の位置からずれるなどして乱れるおそれがあるが、上記のように硬度の高いアウター層と接触させることで、これを防止することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、ここでの実施例、比較例に係る合わせガラスの試験では、シミュレーションにより遮音性能を検証しているため、電熱線を配置したものではないが、温度を20℃としてシミュレーションを行っているため、電熱線の有無にかかわらず、シミュレーションの結果に対して、その影響はない。但し、本発明は以下の実施例に限定されない。
1.試験A
以下の通り、実施例1及び比較例1に係る合わせガラスを準備した。実施例1と比較例1の相違は、アウター層のヤング率のみである。
まず、外側及び内側ガラス板を、上述したクリアガラスで形成した。外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.3mmとした。そして、中間膜はコア層とこれを挟持する一対のアウター層で構成した。中間膜の厚みは0.76mm、コア層の厚みは0.1mm、両アウター層の厚みはそれぞれ0.33mmとした。そして、コア層のヤング率は19MPa(20℃、100Hz)に調整した。また、実施例1におけるアウター層のヤング率を882MPa(20℃、100Hz)とし、比較例1におけるアウター層のヤング率を441MPa(20℃、100Hz)とした。
上記実施例1及び比較例1について、音響透過損失をシミュレーションにより、評価した。シミュレーション条件は、以下の通りである。
まず、シミュレーションは、音響解析ソフト(ACTRAN、Free Field technology社製)を用いて行った。このソフトでは、有限要素法を用いて次の波動方程式を解くことにより、合わせガラスの音響透過損失(透過音圧レベル/入射音圧レベル)を算出することができる。
次に、算出条件について説明する。
(1) モデルの設定
本シミュレーションで用いた合わせガラスのモデルを図9に示す。このモデルでは、音の発生源側から外側ガラス板、中間膜、内側ガラス板、ウレタン枠の順で積層した合わせガラスを規定している。ここで、ウレタン枠をモデルに追加しているのは、ウレタン枠の有無により音響透過損失の算出結果に少なからず影響があると考えられる点、及び、合わせガラスと車両のウインドシールドの間にはウレタン枠が用いられて接着していることが一般的である点を考慮したためである。
(2) 入力条件1(寸法等)
なお、ガラス板の寸法である800×500mmは、実際の車両で用いられるサイズよりも小さい。ガラスサイズが大きくなるとSTL値は悪くなる傾向にあるが、これは、サイズが大きいほど拘束箇所が大きくなり、それにともない共振モードが大きくなるからである。但し、ガラスサイズが異なっても、周波数毎の相対的値の傾向、つまり、異なる厚みのガラス板からなる合わせガラスが同厚のガラス板からなる合わせガラスに比して所定の周波数帯で悪くなる傾向は同じである。
また、上記表1のランダム拡散音波とは、所定の周波数の音波が外側ガラス板に対してあらゆる方向の入射角をもって伝番していく音波であり、音響透過損失を測定する残響室での音源を想定したものとなっている。
(3) 入力条件2(物性値)
[アウター層のヤング率及び損失係数について]
主な周波数毎に異なった値を用いた。これは、コア層及び両アウター層は粘弾性体のため、粘性効果によりヤング率は周波数依存性が強いためである。なお、温度依存性も大きいが、今回は温度一定(20℃)を想定した物性値を用いた。
結果は、図10のグラフに示すとおりである。このグラフは、横軸が周波数(Hz)であり、縦軸は各周波数における実施例1と比較例1とのSTLの差(dB)である。この結果によれば、実施例1のように、アウター層のヤング率を大きくすることで、比較例1に比べ概ね4000Hz以上の周波数域におけるSTLを向上することができる。つまり、遮音性能を向上させることができる。例えば、約5000〜10000Hzにおいて、実施例1と比較例1とは0.6dB以上のSTLの差が生じており、実施例1において遮音性能が大きく向上していることが分かる。したがって、このような合わせガラスを自動車に用いた場合、ブレーキ音、風切り音などの高周波の音が車内に流入するのを効果的に遮断することができる。一方、実施例1は、1000〜3500Hzの周波数域で、比較例1と比べ、STLが概ね0〜0.2dB低下している。しかしながら、一般的に、人間は約0.3dBの変化があれば、音の相違を認識することができるため、0.2dB程度のSTLの差であれば、人間は認識できない可能性が高い。したがって、アウター層のヤング率を高くすると、約3500Hz以下の低周波でSTLは低下するものの、その低下は無視できるほどのものであり、その一方で、約3500Hz以上、特に、5000Hz以上の周波数域の音に対しては、効果的に遮音することができることが分かった。
2.試験B
以下の通り、実施例2〜4及び比較例2に係る合わせガラスを準備した。実施例2〜4と比較例2の相違は、アウター層のヤング率のみである。
外側及び内側ガラス板を、上述したクリアガラスで形成した。外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.3mmとした。そして、中間膜はコア層とこれを挟持する一対のアウター層で構成した。中間膜の厚みは0.76mm、コア層の厚みは0.1mm、両アウター層の厚みはそれぞれ0.33mmとした。そして、コア層のヤング率は9.5MPa(20℃、100Hz)に調整した。また、実施例2〜4におけるアウター層のヤング率は、それぞれ882、1764、3528MPa(20℃、100Hz)とし、比較例2におけるアウター層のヤング率を441MPa(20℃、100Hz)とした。その他の試験条件は、試験Aと同じである。
結果は、図11に示すとおりである。この試験Bでは、コア層のヤング率を小さくしているが、試験Aと同様に、アウター層のヤング率が大きくなると、高周波数域でのSTLが大きく上昇し、この周波数域での遮音性能が大きく向上していることが分かる。また、この試験Bでは、コア層のヤング率を試験Aと比べ半分にしているが、これにより、1000〜3500Hzの周波数域でのSTLが若干増加していることが分かる。
したがって、アウター層のヤング率を増大することで、高周波域でのSTLが増加し、遮音性能が向上していることが分かった。また、コア層のヤング率を低下させることで、1000〜3500Hzの周波数域での遮音性能が向上していることも確認できた。
1 外側ガラス板
2 内側ガラス板
3 中間膜
31 コア層
32 アウター層

Claims (10)

  1. 外側ガラス板と、
    前記外側ガラス板と対向配置された内側ガラス板と、
    前記外側ガラス板及び内側ガラス板の間に挟持された中間膜と、
    前記中間膜に沿って配置され、電流が印加されると発熱する電熱線と、
    を備え、
    前記中間膜は、コア層と、当該コア層を挟んで前記外側ガラス板側及び前記内側ガラス板側に配置され、当該コア層よりも硬度の高い一対のアウター層と、
    を備え、
    前記一対のアウター層のうち、少なくとも一方のヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上1750MPa未満である、合わせガラス。
  2. 前記電熱線は、前記中間膜と前記外側ガラス板との間、または前記中間膜と前記内側ガラス板との間、のいずれかに配置され、
    前記コア層を挟んで、前記電熱線とは反対側に配置された前記アウター層のヤング率が、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上である、請求項1に記載の合わせガラス。
  3. 前記電熱線は、前記中間膜と前記外側ガラス板との間に配置されている、請求項2に記載の合わせガラス。
  4. 前記ヤング率が、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上である少なくとも1つの前記アウター層と、前記電熱線との間に配置される熱遮蔽手段をさらに備えている、請求項1から3のいずれかに記載の合わせガラス。
  5. 前記電熱線は、前記中間膜と前記外側ガラス板との間、または前記中間膜と前記内側ガラス板との間、のいずれかに配置され、
    前記コア層と前記電熱線との間に配置される前記アウター層のヤング率が、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上である、請求項1に記載の合わせガラス。
  6. 前記コア層のヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、18MPa以下である、請求項1から5のいずれかに記載の合わせガラス。
  7. 前記コア層のヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、14MPa以下である、請求項1から5のいずれかに記載の合わせガラス。
  8. 前記コア層のtanδは、周波数100Hz,温度20℃において、0.9以下である、請求項1から7のいずれに記載の合わせガラス。
  9. 前記外側ガラス板側に配置される前記アウター層のヤング率が、前記内側ガラス板側に配置される前記アウター層のヤング率よりも大きい、請求項1から8のいずれかに記載の合わせガラス。
  10. 前記外側ガラスの厚みと前記内側ガラス板の厚みとは相違する、請求項1から9のいずれかに記載の合わせガラス。
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