JP4986312B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに関するものであり、更に詳細には、優れた遮音性能を有する合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一対のガラス板間に中間膜と通称されている接着性樹脂膜をサンドイッチ状に積層してなる合わせガラスは、破損時に破片が飛散して被害を拡大することを抑制する等、安全性に優れたものであるので、例えば、自動車等の車両や建築物のの窓ガラスに広く用いられている。
【0003】
こうした合わせガラス用中間膜のうち、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂膜は、ガラスとの良好な接着性、強靱な引張強さ、透視像を歪めることがないこと、高い透明性等を兼ね備えたものであり、この膜を用いた合わせガラスは、走行時の高い安全性が求められる車両の窓ガラス等に特に好適に用いられている。
【0004】
更に、これら合わせガラスには、風切り音やボディーの振動音を遮断し得る車内の快適な居住性を有する車両や遮音性能最大温度(以下、TLmax 温度と称する)が常温付近にあり、遮音性能最大値(以下、TLmax と称する)自体が大きい遮音材の使用によって外界の騒音を遮断して快適な居住空間を保持した住宅、オフィス等が要求されるに至っている。
一般に、遮音性能は、周波数の変化に応じた透過損失量として示され、その透過損失量は、図1中に実線で示されるように、JIS A 4708で、500Hz以上の周波数領域において、遮音等級に応じてそれぞれ一定値で規定されている。ところで、ガラス板の遮音性は、図1中に破線で示されるように、2000Hzを中心とする周波数領域ではコインシデンス効果により著しく低下する(図1中の破線で示される曲線の谷部がコインシデンス効果による遮音性能の低下を示しており、上記するJIS規格を満足しない状態にある)。
【0005】
一方、人間の聴覚は等ラウドネス曲線から、1000〜6000Hzの範囲では他の周波数領域に比べ非常に高い感度を示すことが知られており、コインシデンス効果による遮音性能の低下を解消することが防音性にとって極めて重要であることが判る。
【0006】
合わせガラスの遮音性能を向上するには、上記コインシデンス効果を緩和して、図1中、矢印で示す透過損失の極小部(以下、TL値と称する)の発生を抑制する必要がある。
従来、TL値の低下を防ぐ手段として、合わせガラスの質量の増大化、ガラスの複層化、ガラス面積の細分化、ガラス板指示手段の改善等、種々の改善策が提案されている。
しかしながらこれらの改善策はいずれも十分な遮音性能の向上につながらず、コスト的にも実用に供するには十分なものではない。
【0007】
本願発明者は、先に特開平4−254444号公報において、合わせガラスの遮音性能の向上を企図し、アセタール基の炭素数が6〜10であるポリビニルアセタールと可塑剤とからなる膜と、アセタール基の炭素数が1〜4であるポリビニルアセタールと可塑剤とからなる膜を積層した合わせガラス用中間膜を提案し、遮音性能を向上させ、且つ、その遮音効果は温度変化による変動が少ないことを示した。
【0008】
即ち、遮音性能の温度依存性の異なる2つの膜を積層することによって、これら2層の特性が加重され、積層膜が示す遮音性能は、温度範囲を広げて良好となることを示した。
通常、2つ以上の膜を積層することによって広温度範囲の遮音性能を改善するためには、接着性等を勘案して付加積層される膜の遮音性能を低温側にシフトしたものから選択される。
しかしながら、遮音性能を低温側にシフトした膜は、柔らかくなり過ぎる傾向があって、実際の中間膜の成形性や取扱性の面から上記2つの膜を積層することによる遮音性能の改善方法にはその範囲に制限がある。
又、個々の中間膜の上記温度特性を広温度範囲に改善することは従来より探索されてきてはいるが、更にこれを向上させることは極めて難しい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事実に鑑み、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスに対する接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、又、中間膜の成形性、取扱性も損なうことなく、コインシデンス効果を緩和してTL値の低下を抑制し、且つ、広い温度領域において優れた遮音性能を長期安定的に発揮することのできる合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することを目的とする。
【0010】
本願発明者は、合わせガラスの遮音性能が中間膜の動力学的特性により影響されることに着目し、中間膜の動力学的特性との関係について鋭意検討し、特に、動的貯蔵弾性率と動的損失弾性率との比である損失正接(tanδ)が合わせガラスの遮音性能と強い相関を有することを見出した。
この事実より、中間膜の損失正接を制御することによって上記目的を達成し、本発明を完成したのである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の合わせガラス用中間膜は、動的粘弾性より測定される損失正接の最大値がx(x=20〜40)℃にある可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)と、同様に測定される損失正接の最大値がy(y=0〜10)℃にある可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)とが、層(A)が最外層となるように交互に積層されてなる合わせガラス用中間膜であって、該積層膜の損失正接が、(x+5)〜(x+15)℃及び(y−15)〜(y−5)℃に各々極大値を有し、前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)及び前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)がそれぞれ、可塑剤として一塩基性酸エステル系可塑剤(ただし、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレートを除く)を含み、前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)が、ポリビニルアセタール樹脂100重量部と、可塑剤として一塩基性酸エステル系可塑剤(ただし、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレートを除く)60〜65重量部とを含む樹脂組成物を用いて得られた層であることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明の合わせガラスは、請求項1記載の合わせガラス用中間膜を挟着してなることを特徴とする。
【0014】
本発明において用いられる可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)及び(B)の動的粘弾性は、JIS K 7198に準拠して測定されるものであり、損失正接は、動的粘弾性特性として、動的貯蔵弾性率(E’)と動的損失弾性率(E”)とを測定し、これらの比から求められるものである。
尚、具体的な測定方法等については、実施例の項にて詳述する。
【0015】
上記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)は、室温及びこれ以上の高温側の遮音性能に優れ、これを保持すると共に、作業時の膜強度や所謂腰の強さ等の力学的特性に優れ、中間膜の主構造部を担う。従って、層(A)の損失正接が最大になる温度(x)は、20〜40℃に限定される。損失正接の最大値が20℃より低いと、目的とする温度範囲での良好な遮音性能が確保できず、40℃より高くなると、遮音性能がより高温側にシフトし、室温を中心とする中温度域での遮音性能が低下し、更に、膜自体が硬くなるため成形性が悪くなり、剛直性が大きくなり取扱性等が悪くなる。
【0016】
一方、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)は、室温以下の低温側の遮音性能に優れ、これを保持する機能を担い、その損失正接が最大になる温度(y)は、0〜10℃に限定される。上記損失正接の最大値が0℃より低いと、膜自体が柔らかくなるため成形性及び取扱性等が悪くなり、又、これを用いた合わせガラスの、衝突時等に異物がガラスを突き破ることを阻止する性能、例えば、耐貫通性が低下し、10℃より高くなると、層(A)における損失正接の値に近づき、低温側の遮音性能が低下し、積層による広温度範囲における良好な遮音性能を確保できない。
【0017】
このような可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)及び(B)の積層膜の損失正接は、積層後、可塑剤の移行と共に、(x+5)〜(x+15)℃及び(y−15)〜(y−5)℃に各々極大値を発現するものとなる。
上記積層膜の損失正接の極大値のうち、高温側の極大値が(x+5)℃より低いところにあるか、もしくは低温側の極大値が(y−15)℃より低いところにあると、低温側の遮音性能が低下し、積層による広温度範囲における良好な遮音性能を確保できず、高温側の極大値が(x+15)℃より高いところにあるか、もしくは低温側の極大値が(y−5)℃より高いところにあると、2つの損失正接の極大値が温度軸上で離れ過ぎることになり、低温側の遮音性能が低下し、中温度域での遮音性能も部分的に低下することになり、積層による広温度範囲における良好な遮音性能を確保できなくなるので上記積層膜の損失正接の各々の極大値が存在する温度は上記範囲に限定される。
【0018】
上記層(A)及び層(B)の損失正接の最大値x及びyが存在する温度範囲が上記範囲であれば、これらを交互に積層した積層体の損失正接は、可塑剤の移行と共に、(x+5)〜(x+15)℃及び(y−15)〜(y−5)℃に各々極大値を発現するものとなるのである。
【0019】
又、層(A)及び層(B)に配合されている可塑剤の種類及び配合量を同一としたとき、層(A)の損失正接の最大値xに対して、層(B)の損失正接の最大値が(x−30)〜(x−5)℃の温度範囲に存在することが好ましい。上記可塑剤配合におけ層(B)の損失正接の最大値が(x−5)℃より高いところに存在すると、層(A)及び層(B)を構成するポリビニルアセタール樹脂の可塑剤に対する相溶性の差が小さくなり、層(A)及び層(B)両層の積層による広温度範囲の遮音性能が得られ難くなり、(x−30)℃より低いところに存在すると、層(A)を構成するポリビニルアセタール樹脂と層(B)を構成するポリビニルアセタール樹脂とに対する可塑剤の相溶性の差が大きくなり過ぎて、両層を交互に積層した際に、層(A)及び層(B)間の可塑剤の移行が起こりはじめてから安定化するまでに長時間を要し、取扱性が難しくなるばかりか、長期耐久性に問題を残すおそれがある。より好ましくは、(x−20)〜(x−10)℃である。
【0020】
本発明において用いられるポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させて得られるが、中でも、ブチルアルデヒドを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂が好適に用いられる。
【0021】
又、可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、一塩基性酸エステル系、多塩基性酸エステル系等の有機エステル系可塑剤や有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が挙げられる。
上記一塩基性酸エステル系可塑剤としては、中でも、トリエチレングリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸、アジピン酸等の脂肪酸との反応によって得られるグリコール系エステルが好適に用いられる。
上記リン酸系可塑剤としては、中でも、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェートが好適に用いられる。
層(A)及び層(B)のポリビニルアセタール樹脂に用いられているこれらの可塑剤は、同一であってもよく、異なっていてもよく、又、一つの層に複数種の可塑剤が混合されて用いられてもよい。
【0022】
本発明の合わせガラス用中間膜の層(A)と層(B)のポリビニルアセタール樹脂膜の積層形態は、最外層が層(A)となるように層(A)と層(B)とが交互に積層されてなるものである。
具体的には、層(A)/層(B)/層(A)、層(A)/層(B)/層(A)層(B)/層(A)等の積層形態が挙げられる。尚、層(A)/層(B)/層(B)/層(A)なる積層形態を採っても、層(A)と層(B)の界面は、層(A)/層(B)/層(A)におけると同様であるので、本発明においては、4層とは数えず、3層に分類される。
【0023】
層(A)と層(B)との積層比率(厚さ比)は、好ましくは1:1〜1:4である。
層(A)に比して層(B)の積層比率を増すことによって、室温付近及びこれより低温側での遮音性能をより高めることができる。しかし、上記積層比率における層(B)の積層比率を1:4より高めると、積層膜からなる中間膜の剛性が低下したり、得られる中間膜の機械的強度が低下したり、合わせガラス製造時の作業性が低下したりすることがあり、逆に、上記積層比率における層(A)の積層比率を1:1より高めると、室温付近の遮音性能をより高めることがしにくくなる。より好ましい積層比率は、1:2〜1:3である。
【0024】
本発明の合わせガラス用中間膜の厚さは、特に限定されるものではないが、中間膜の厚さが厚い方がより遮音性能は向上するものの、耐貫通性等の合わせガラスとしての必要性能が低下する傾向にあるので、好ましくは通常用いられている合わせガラス用中間膜と同様、0.3〜1.6mmである。
【0025】
本発明の合わせガラス用中間膜を製造する手段は、特に限定されるものではないが、例えば、層(A)と層(B)の可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜をそれぞれ成形しておき、合わせガラス製造時にガラス板間に重ね合わせて挟着し積層一体化する方法、層(A)と層(B)の可塑化ポリビニルアセタール樹脂を多層押出機を用いて積層一体化した合わせガラス用中間膜を製造する方法等が挙げられる。
【0026】
本発明の合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスを製造する手段は、特に限定されるものではないが、例えば、通常の合わせガラスの製造に用いられるように、ガラス板間に中間膜を挟着し、熱圧プレスによって積層一体化する方法等が挙げられる。
本発明の合わせガラスは、上記の他、ガラス板とこれに類する、例えば、透明なポリカーボネート樹脂板、アクリル系樹脂板等との間に中間膜を積層一体化したもの、透明なポリカーボネート樹脂板、アクリル系樹脂板の間に中間膜を積層一体化したもの等をも含むものである。
【0027】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上述のように、動的粘弾性より測定される損失正接の最大値がx(x=20〜40)℃にある可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)と、同様に測定される損失正接の最大値がy(y=0〜10)℃にある可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)とが、層(A)が最外層となるように交互に積層されてなる合わせガラス用中間膜であって、該積層膜は、積層後可塑剤の移行と共に、損失正接が、(x+5)〜(x+15)℃及び(y−15)〜(y−5)℃に各々極大値を有するものとなって、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスに対する接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、又、中間膜の成形性、取扱性も損なうことなく、コインシデンス効果を緩和してTL値の低下を抑制し、且つ、広い温度領域において優れた遮音性能を長期安定的に発揮することができるのである。
【0028】
更に、本発明の合わせガラス用中間膜は、層(A)間に柔らかい層(B)のポリビニルアセタール樹脂膜をサンドイッチ状に挟着することによって、積層膜の機械的強度も良好な状態にあって取扱性が良好なものとなる。
又、層(A)と層(B)とが交互に積層されてなるものであるので、層(A)と層(B)の接触面積が増加し、積層膜中の各層間の可塑剤の移行が迅速且つ均質になされて効率よく進行し、遮音性能を含む中間膜の良好な諸性質を発現することができるのである。
【0029】
層(A)に配合されている可塑剤と同一種類の可塑剤を同一部数配合された層(B)の損失正接の最大値が(x−30)〜(x−5)℃の温度範囲に存するものであって、同一種類の可塑剤を同一部数配合されてなるものである場合には、可塑剤の移行量が少なく、上記層(B)と層(A)とを交互に積層した積層膜は、積層後可塑剤の移行と共に、損失正接が、(x+5)〜(x+15)℃及び(y−15)〜(y−5)℃に各々極大値を有するものとなって、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスに対する接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、又、中間膜の成形性、取扱性も損なうことなく、コインシデンス効果を緩和してTL値の低下を抑制し、且つ、広い温度領域において優れた遮音性能を長期安定的に発揮することができるのである。
【0030】
請求項2記載の発明の合わせガラスは、上述の本発明の合わせガラス用中間膜を挟着してなるものであるので、広い温度領域において優れた遮音性能を長期安定的に発揮することができるものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
(参考例1)
〔可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)用膜の作製〕
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度:65.9モル%、アセチル基量:0.9モル%)100重量部に可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)40重量部を添加し、ミキシングロールで十分に混練し、プレス成形機にて150℃で30分間保持して厚さ0.2mmの可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)用膜を作製した。
【0033】
〔可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)用膜の作製〕
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度:60.2モル%、アセチル基量:11.9モル%)100重量部に可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)60重量部を添加し、ミキシングロールで十分に混練し、プレス成形機にて150℃で30分間保持して厚さ0.4mmの可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)用膜を作製した。
【0034】
〔中間膜の作製〕
得られた可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)用膜と可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)用膜を、積層構成が層(A)/層(B)/層(A)となるように重ね、室温で96時間(4日間)静置して中間膜を作製した。
【0035】
〔損失正接の最大値及び極大値の測定〕
測定装置として、レオメトリックス社製、「固体粘弾性測定装置RSA−II」を用い、層(A)及び層(B)用膜並びにこれらを積層した中間膜より10mm×16mmの矩形の試料を作製し、これらに周波数10Hzの正弦歪を剪断方向に、歪量0.1%で印加した。測定温度範囲は、−50〜+100℃、昇温速度3℃/分にて、動的貯蔵弾性率(E’)及び動的損失弾性率(E”)を測定し、E”/E’より損失正接の最大値及び極大値を算出した。測定結果を表1に示した。
【0036】
〔合わせガラスの作製〕
得られた中間膜をそれぞれ厚さ3mm、一辺300mmの正方形の2枚のフロートガラスで両側からサンドイッチ状に挟着し、ゴムバックに入れ、20torrの真空度で20分間脱気した後、脱気した状態のまま、90℃のオーブンに移し、この温度で30分間保持した。
上記真空プレスによって仮接着された合わせガラスを、次いでオートクレーブ中で圧力12kg/cm2 、温度135℃で熱圧着して、透明な合わせガラスを作製した。
【0037】
〔遮音性能の評価〕
試験装置として、加振機(振研社製、ダンピング試験用の振動発生機「G21−005D」)を用いて加振し、そこから得られる振動特性を、機械インピーダンスアンプ(リオン社製、「XG−81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTアナライザー(横河ヒューレットパッカー社製、「FFTスペクトラムアナライザー HP−3582AA」)にて解析し、損失係数とガラスとの共振周波数との比から、透過損失を算出した。この結果に基づき、周波数2000Hz近辺における透過損失の極小値をもってTL値とした。
尚、測定は、0℃、10℃、20℃、30℃及び40℃の5点について行った。測定結果を表1に示した。
【0038】
(実施例1)
参考例1の層(A)に替え、ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度:68.9モル%、アセチル基量:0.9モル%)100重量部に可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)39重量部を配合した樹脂組成物を用い、層(B)の可塑剤に替え、トリエチレングリコール−ジエナントエート(3G7)60重量部を用いたこと以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
損失正接の最大値及び極大値の測定及び遮音性能の評価は参考例1と同様に行った。試験結果を表1に示した。
【0039】
(実施例2)
実施例1の層(A)の可塑剤に替え、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)39重量部を用い、層(B)の可塑剤トリエチレングリコール−ジエナントエート(3G7)の配合量を65重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
損失正接の最大値及び極大値の測定及び遮音性能の評価は参考例1と同様に行った。試験結果を表1に示した。
【0040】
(参考例2)
参考例1の層(A)の厚さを0.1mmに変更し、層(B)の厚さを0.2mmに変更し、積層構成を層(A)/層(B)/層(A)/層(B)/層(A)の5層としたこと以外、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
損失正接の最大値及び極大値の測定及び遮音性能の評価は参考例1と同様に行った。試験結果を表1に示した。
【0041】
(参考例3)
参考例1の層(A)に替え、ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度:66.2モル%、アセチル基量:0.9モル%)100重量部に可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)40重量部を添加した樹脂組成物を用い、層(B)に替え、ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度:60.5モル%、アセチル基量:11.8モル%)100重量部に可塑剤として層(A)と同一種類、同一添加量の樹脂組成物を用いたこと以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
損失正接の最大値及び極大値の測定及び遮音性能の評価は参考例1と同様に行った。試験結果を表1に示した。
【0042】
(比較例1)
参考例1の層(A)の可塑剤の配合量を25重量部としたこと以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
損失正接の最大値及び極大値の測定及び遮音性能の評価は参考例1と同様に行った。試験結果を表1に示した。
【0043】
(比較例2)
参考例1の層(B)の可塑剤の配合量を70重量部としたこと以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
損失正接の最大値及び極大値の測定及び遮音性能の評価は参考例1と同様に行った。試験結果を表1に示した。
【0044】
(比較例3)
参考例1の層(B)の可塑剤の配合量を50重量部としたこと以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
損失正接の最大値及び極大値の測定及び遮音性能の評価は参考例1と同様に行った。試験結果を表1に示した。
【0045】
(比較例4)
実施例1の層(B)の可塑剤に替えて、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)50重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
損失正接の最大値及び極大値の測定及び遮音性能の評価は参考例1と同様に行った。試験結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
表1より明らかなように、参考例1〜3及び実施例1、2の合わせガラスは、0〜40℃の温度範囲において、いずれも高い遮音性能を示した。
特に、参考例3の合わせガラスは、積層体を構成する層(A)及び層(B)共に同一可塑剤を同一重量部数で配合したにも拘らず、積層体の損失正接の極大値1及び2を示す温度間の幅は適当な間隔を示し、高い遮音性能を示した。
これに対し、比較例1、2の合わせガラスでは、層(A)と層(B)の損失正接の最大値を示す温度間の幅が大きく、これらを交互に積層した積層体の損失正接の極大値1及び2を示す温度間の幅が大きくなっており、0〜40℃の温度範囲において、10〜30℃辺りに遮音性能が低下した領域を作ってしまっていた。
又、比較例3、4の合わせガラスでは、逆に、層(A)及び層(B)の損失正接の最大値を示す温度間の幅が接近し過ぎていたため、積層体の損失正接の極大値1及び2を示す温度間の幅も接近し、10℃付近以下の低温側の遮音性能が低下してしまっていることが判る。
【0048】
【発明の効果】
本発明の合わせガラス用中間膜及びこれを用いた合わせガラスは、上述のように構成されているので、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスに対する接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、又、中間膜の成形性、取扱性も損なうことなく、コインシデンス効果を緩和してTL値の低下を抑制し、且つ、広い温度範囲において優れた遮音性能を長期安定的に発揮し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】合わせガラスの遮音性能を説明するため周波数(Hz)に対応する透過損失(dB)を点線で示すと共に、JIS A 4708に規定する規格値を実線で示したチャートである。図中、矢印で2000Hz付近に存するTL値を示した。
Claims (2)
- 動的粘弾性より測定される損失正接の最大値がx(x=20〜40)℃にある可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)と、同様に測定される損失正接の最大値がy(y=0〜10)℃にある可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)とが、層(A)が最外層となるように交互に積層されてなる合わせガラス用中間膜であって、該積層膜の損失正接が、(x+5)〜(x+15)℃及び(y−15)〜(y−5)℃に各々極大値を有し、
前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(A)及び前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)がそれぞれ、可塑剤として一塩基性酸エステル系可塑剤(ただし、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレートを除く)を含み、
前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層(B)が、ポリビニルアセタール樹脂100重量部と、可塑剤として一塩基性酸エステル系可塑剤(ただし、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレートを除く)60〜65重量部とを含む樹脂組成物を用いて得られた層であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。 - 請求項1記載の合わせガラス用中間膜を挟着してなることを特徴とする合わせガラス。
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