JP5742503B2 - 電気化学セル - Google Patents
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Description
例えば、正極活物質にマンガン酸化物を用い、負極活物質に珪素の酸化物を用いたMS(マンガン・シリコン)リチウム電池の場合、珪素の酸化物にリチウムがドーピングすることに伴って電極の膨張が生じてしまう。また、珪素の酸化物からリチウムを引き抜く際には、電極の収縮が生じてしまう。
また、正極又は負極の体積膨張が特に著しい場合には、凹状容器の底面と封口板との間の距離を押し広げるような応力が凹状容器及び封口板に作用してしまい、凹状容器の損壊等を引き起こす可能性もあった。
(1)本発明に係る電気化学セルは、第1集電体が形成されたベース部材、及び該ベース部材に対して固定されると共に第2集電体が形成されたリッド部材を有し、両部材の間に収納空間が画成された密封容器と、前記収納空間内に収納され、充放電可能な電気化学素子と、を備え、前記電気化学素子が、前記第1集電体に固定された第1電極と、該第1電極上に隔離部材を挟んで重ねられると共に、電解質を通じて金属イオンを第1電極との間で移動させる第2電極と、を有し、前記収納空間内における前記リッド部材と前記第2電極との間には、該第2電極を前記第1電極側に押圧すると共に、第2電極と前記第2集電体とを導通させる弾性部材が配設され、前記弾性部材は、一部が前記リッド部材に対して一体的に接続されて固定されていることを特徴とする。
なお、弾性部材は、第2電極を第1電極側に押圧しているだけでなく、第2電極と第2集電体とを導通させているので、第1集電体及び第2集電体を介して第1電極と第2電極との間に電圧を印加することができ、電気化学素子を利用して充放電を確実に行わせることができる。
更に、組み立て作業時において、ベース部材に対してリッド部材を被せるだけで、弾性部材を容易にセットできるので、組み立て作業性に優れており、効率の良い組み立てを行って低コスト化に繋げることもできる。
また、弾性部材が直接第2電極に接しないので、第2電極に傷等が付き難く、安定した電気化学特性を発揮させることができる。
また、高弾性で機械的強度が高く、耐久性、耐熱性に優れた弾性部材にすることが可能であるので、長期的に亘ってへたりが小さく、疲労強度が高い弾性部材とすることができる。
また、弾性部材はシールリングを介して第2集電体に導通しているので、この場合であっても第1集電体及び第2集電体を介して第1電極と第2電極との間に電圧を印加することができ、電気化学素子を利用して充放電を確実に行わせることができる。
また、弾性部材は導電膜を介して第2集電体に導通しているので、この場合であっても第1集電体及び第2集電体を介して第1電極と第2電極との間に電圧を印加することができ、電気化学素子を利用して充放電を確実に行わせることができる。
以下、本発明に係る電気化学セルの第1実施形態を、図1から図4を参照して説明する。なお、本実施形態では、電気化学セルの一例として、外観が略直方体のチップ形状とされた表面実施型のリチウムイオン二次電池を例に挙げて説明する。
容器本体10は、平板状の底壁部10a及び枠状の周壁部10bを有する有底筒状の凹状容器とされており、底壁部10aと周壁部10bとで凹部を画成している。そして、この凹部を塞ぐように上記封口板11が固定されている。
この点詳細に説明すると、容器本体10の周壁部10bの上面には凹部を径方向外側から囲繞するように金属層12が形成されており、さらに該金属層12上には導電性の接合材13が形成されている。そして、封口板11は、この接合材13を介して容器本体10に重ねられており、該接合材13の溶解によって容器本体10に対して気密に固定されている。そして、容器本体10の凹部と封口板11とで画成された空間が、気密に封止された上記収納空間Sとされている。
更には、接合材13として、ニッケル、金メッキを施したコバール等の金属からなるシールリングを採用しても構わない。
なお、上記金属層12及び接合材13の表面をニッケルや金等でメッキすることが、防錆特性を高めることから好ましい。
両外部接続端子16、17のうち一方の外部接続端子16は、容器本体10の底壁部10aを上下に貫通する第1貫通電極18を介して第1集電体15に導通している。一方、他方の外部接続端子17は、容器本体10の底壁部10a及び周壁部10bを共に上下に貫通する第2貫通電極19を介して上記金属層12に導通している。
更に、容器本体10と封口板11とをパラレルシーム溶接で固定する場合、封口板11の材質を接合材13と相性の良い材料とすることが望ましい。具体的には、接合材13として電解ニッケル又は無電解ニッケルを施したコバール等の金属からなるシールリングを採用した場合、封口板11の材質もコバール等の材質に電解ニッケル又は無電解ニッケルを施すことが好ましい。これによって、パラレルシーム溶接時に、必要以上に溶接パワーを上げる必要がなくなる。
また、貴な電位を印加した際において後述する液体電解質Wに溶解するのを防止するため、バルブメタル(弁作用金属:表面に耐腐食性の不働態被膜を生成する金属)又は炭素で構成しても良い。バルブメタルとしては、アルミニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム又はチタンを採用することが望ましい。
なお、セパレータ26としては、大きなイオン透過度を有し、且つ所定の機械的強度を有する絶縁性のものが好ましい。特に、リフローを考慮すると、ガラス繊維からなる多孔質体を用いることが好ましいが、熱変形温度が230℃以上の樹脂(例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド等)も用いることも可能である。また、キャパシタとして用いる場合は、ポリテトラフルオロエチレンを用いることができる。
この板ばね30は、金属製のばねであり、一端部30aが封口板11に接し、且つ他端部30bが負極27に接していることで、負極27を常時封口板11から離反する方向に押圧してセパレータ26に押し付けている。この板ばね30による押圧力によって、重ね合わされた負極27、セパレータ26及び正極25は、互いに密着した状態で組み合わされている。
なお、正極25と負極27との電極間距離Hは、セパレータ26の厚みとされている。
なお、本実施形態の板ばね30は、コバルトを25%〜45%有し、ニッケルを45%〜75%有するニッケル基超合金とされており、液体電解質Wに対する耐食性に優れているうえ、高弾性で機械的強度が高く、且つ非磁性で耐久性、耐熱性に優れたばね部材とされている。
なお、リチウムイオンは、充電時に正極25から放出されて負極27に吸蔵され、放電時に負極27から放出されて正極25に吸蔵される。
なお、封口板11は、導電性基板に限られるものではなく、セラミックス、ガラスや樹脂等の材料で形成されていても構わない。この場合であっても、第2集電体20を利用して負極27と他方の外部接続端子17とを確実に導通させることが可能である。また、この場合、容器本体10と同じ材料で封口板11を形成することが好ましい。こうすることで、容器本体10と封口板11との熱膨張係数を同一にすることができる。
いずれにしても、弾性部材として好適な金属材料で形成して構わない。なお、上記金属材料で板ばね30を形成した場合には、メッキ処理等を施して、表面に防塵用被膜(ニッケルメッキ)等を形成することが好ましい。こうすることで、液体電解質Wに対する耐食性が向上するので、長期的な信頼性を向上することができる。
また、板ばね30を、金属材料ではなく例えば樹脂材料で形成しても構わない。この場合には、メッキ処理等を施して表面に導電膜を形成し、該導電膜を介して負極27と封口板11とを導通させれば良い。
更に、組み立て作業時において、容器本体10に対して封口板11を被せるだけで、板ばね30を容易にセットできるので、組立作業性に優れており、効率の良い組み立てを行って低コスト化に繋げることができる。
この場合には、板ばね30が保護板35を介して負極27を押圧するので、板ばね30からの押圧力を局所的ではなく分散させた状態で負極27に伝えることができる。そのため、負極27を全面に亘って均等な力で押圧することができ、正極25と負極27との電極間距離Hをより一定に維持し易い。また、板ばね30の他端部30bが直接負極27に接しないので、負極27に傷等が付いてしまい難く、安定した電気化学特性を発揮させることができる。
なお、保護板35としては、例えばニッケル合金や銅等の板材が挙げられる。更には、板材ではなく、負極27上に形成した金属膜を保護体としても構わない。
また、ガラス材料としては、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラスや硼珪酸ガラス等を用いることができるが、加工性を考慮すると硼珪酸ガラスが望ましい。
また、樹脂材料としては、熱可塑性樹脂が望ましく、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)等を用いることができる。
詳細には、底壁部10aの上面に第1集電体15、下面に一対の外部接続端子16、17を形成すると共に、第1貫通電極18と、第2貫通電極19の一部とを予め形成しておく。そして、周壁部10bに第2貫通電極19の残りの一部を予め形成しておく。その後、これら底壁部10aと周壁部10bとを積層して焼成することで両者を一体化させることができると共に、底壁部10a側の第2貫通電極19と、周壁部10b側の第2貫通電極19とを一体化させることができる。これにより、容器本体10を得ることができる。
例えば、第1貫通電極18を、第1集電体15から外部接続端子16に向かうにしたがって漸次直径が縮径するように形成し、第2貫通電極19も同様に、金属層12から外部接続端子17に向かうにしたがって漸次直径が縮径するように形成しても構わない。
こうすることで、接合材13を溶解させて封口板11を固定する際に、液体電解質Wの蒸気圧の上昇に起因して密封容器2内の内圧が上昇し、第1貫通電極18及び第2貫通電極19に外力が作用したとしても、この外力を受けて両貫通電極18、19が抜け落ちてしまうことを抑制することができる。
更に、上記一次粒子集合体において全体積の80%以上が粒径1μm以上15μm以下であることが好ましく、更に好ましくは全体積の85%以上であり、更に好ましく全体積の90%以上である。
比表面積は、0.05〜100m2/gが好ましく、より好ましくは0.1〜50m2/g、特に0.1〜30m2/gが良い。
ケイ素の酸化物は、組成式LixSiOyで表され、リチウム含有量xと酸素量yがそれぞれ1.5≦x≦4、0<y<2であるリチウム含有ケイ素酸化物からなるリチウムイオン吸蔵放出可能物質を用いることができる。即ち、その結晶構造中または非晶質構造内にリチウムを含有し、非水電解質中で電気化学反応によりリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なケイ素の酸化物であって、ケイ素原子数に対するリチウム原子数の比であるxが1.5以上且つ4.0以下であり、且つケイ素原子数に対する酸素原子数の比であるyが0より大きく且つ2より小さい組成を有する複合酸化物を用いる。
この複合酸化物中でのリチウムの状態は主としてイオンであることが好ましいが、必ずしも限定はされない。
また、これらのケイ素の低級酸化物SiOyは、下記のような種々の公知の方法により製造することが出来る。即ち、
(1)二酸化ケイ素SiO2とケイ素Siとを所定のモル比で混合し非酸化性雰囲気中又は真空中で加熱する方法。
(2)二酸化ケイ素SiO2を水素H2等の還元性ガス中で加熱して所定量還元する方法。(3)二酸化ケイ素SiO2 を所定量の炭素Cや金属等と混合し、加熱して所定量還元する方法。
(4)ケイ素Siを酸素ガス又は酸化物と加熱して所定量酸化する方法。
(5)シランSiH4等のケイ素化合物ガスと酸素O2の混合ガスを加熱反応又はプラズマ分解反応させるCVD法又はプラズマCVD法。
等々である。
(1)ケイ素の低級酸化物又はそれらと導電剤及び結着剤等との混合合剤を所定形状に成形したものを一方の電極(作用極、正極25)とし、金属リチウム又はリチウムを含有する物質をもう一方の電極(対極、負極27)としてリチウムイオン導電性の非水電解質に接して両電極25、27を対向させて電気化学セルを構成し、作用極がカソード反応をする方向に適当な電流で通電し電気化学的にリチウムイオンを該ケイ素の低級酸化物に吸蔵させる。得られた該作用極をそのまま負極27として又は負極27を構成する負極活物質として用いて非水電解質二次電池を構成する。
(3)ケイ素の低級酸化物を負極活物質とし、リチウムを含有しリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を正極活物質として用いた非水電解質二次電池を構成する。電池として使用時に充電を行うことにより正極25から放出されたリチウムイオンが該ケイ素の低級酸化物に吸蔵される方法。
また、ケイ素、スズや遷移金属等の各種酸化物等を電極活物質とした場合、電極活物質は30〜70重量%、炭素質材料は70〜30重量%がより好ましい。結着剤は、電解液に不溶のものが好ましいが特に限定されるもではなく、多糖類、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム弾性を有するポリマー等を1種またはこれらの混合物や共重合体として用いることができる。
例えば、図3に示すように、容器本体10の側面に形成した側面電極41、42を介して、第1集電体15と一方の外部接続端子16とを導通させると共に、第2集電体20と他方の外部接続端子17とを導通させても構わない。この点詳細に説明する。
一方、他方の側面電極42は、容器本体10の周壁部10bの上面に形成された金属層12と他方の外部接続端子17とを接続するように、容器本体10の側面に形成されている。
このように構成したリチウムイオン二次電池40であっても、外部接続端子16、17と第1集電体15及び第2集電体20との接続ルートが異なるだけで、同様の作用効果を奏効することができ、表面実装型の二次電池として利用できる。
ベース基板52には、第1貫通電極18および第2貫通電極19がそれぞれ形成されている。
そして、蓋体53は、接合材13を利用した溶接によってベース基板52上に固定されている。この際、蓋体53の周壁部53a及び頂壁部53bと、ベース基板52とで画成された空間が、収納空間Sとされている。また、蓋体53の内面には、第2集電体20が形成されている。
次に、本発明に係る第2実施形態を、図5を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態ではチップ型の二次電池であったのに対して、第2実施形態ではボタン型の二次電池とされている点である。
このようにして、正極缶62と負極缶64とはガスケット63を介して互いに連結固定されている。
そして、本実施形態では、上記混合溶媒にリチウムパーフルオロメチルスルホニルイミドを1mol/lの濃度に溶解したものが5μl、収納空間Sに充填されている。
次に、本発明に係る第3実施形態を図6及び図7を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態と第3実施形態との異なる点は、第1実施形態では弾性部材として板ばね30を用いたのに対して、第3実施形態ではダイヤフラム状ばねを用いている点である。
また、図示の例では、ダイヤフラム状ばね71を1枚としたが、2枚以上のダイヤフラム状ばね71を並べて配置しても構わない。この場合、特に密封容器2が縦長の場合に有効である。
シールリング13は、内周縁側が収容空間内に突出した係止部81とされており、この係止部81にダイヤフラム状ばね71の外周縁部の一部が係止されている。これによりダイヤフラム状ばね71は、セパレータ26を介して負極27を正極25側に押圧した状態で位置決めされている。また、負極27は、ダイヤフラム状ばね71及びシールリング13を介して第2集電体20に対して導通している。
また、この場合であっても、ダイヤフラム状ばね71がシールリング13を介して第2集電体20に導通しているので、第1集電体15と第2集電体20とを介して正極25と負極27との間に電圧を印加でき、充放電を確実に行える。
例えば、図10及び図11に示すように、容器本体10の周壁部10bの上端部を、全周に亘って収納空間S内に突出させた係止部91とし、この係止部91にダイヤフラム状ばね71の外周縁部の一部を係止させる。これによりダイヤフラム状ばね71は、セパレータ26を介して負極27を正極25側に押圧した状態で位置決めされている。また、係止部91を含む周壁部10bの内面には、上記金属層12が延長して形成されている。この金属層12は、係止されたダイヤフラム状ばね71を、接合材13を介して第2集電体20に対して導通させる導電膜として機能する。
特に、図12に示す場合には、下段の突起部92にダイヤフラム状ばね71を係止させたが、中段又は上段の突起部92にダイヤフラム状ばね71を係止させても構わない。係止する突起部92の位置を変更することで、容易にダイヤフラム状ばね71の弾性復元力を調整できるので、使い易い。
次に、本発明に係る第4実施形態を図14から図16を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態と第4実施形態との異なる点は、第1実施形態では弾性部材として板ばね30を用いたのに対して、第4実施形態では捩じれに起因する弾性復元力を利用するトーションバーユニットを用いている点である。
トーションバー111は、例えば中実の円柱体であり、その両端部は半球状に丸みを帯びて形成されている。なお、このトーションバー111としては角柱体であっても構わないし、中空の筒体であっても構わない。なお、トーションバー111は負極27及び封口板11のいずれに対しても非接触な状態で、第1連結バー112及び第2連結バー113によって支持されている。
第2連結バー113は、第1連結バー112と同様に例えば中実の四角柱体であり、一端部がトーションバー111の他端部に連結され、他端部が負極27に対して接着や嵌合等によって固定されている。
即ち、リチウムイオン二次電池100の組み立て時、図16に示すようにトーションバーユニット110の第1連結バー112の他端部には封口板11側からの押圧力F1が作用し、第2連結バー113の他端部には負極27側からの押圧力F2が作用する。するとトーションバー111は、これらの押圧力F1、F2の伝達によって、矢印Mに示す方向に捩られるように変形しようとする。ところがトーションバー111は、元の状態に戻ろうとするので、上記捩れに抗する弾性復元力が内部に発生し、該弾性復元力が第1連結バー112及び第2連結バー113に伝わる。そのため、第1連結バー112及び第2連結バー113の他端部には、それぞれ封口板11側及び負極27側からの押圧力F1、F2に抗する反発力F3、F4が作用する。
従って、本実施形態の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏効することができる。
例えば、図17から図19に示すように、トーションバー111と第2連結バー113とで構成されたトーションバーユニット130を具備するリチウムイオン二次電池(電気化学セル)120としても構わない。この場合におけるトーションバー111は、上端部分が封口板11の下面に対して辺接触した状態で固定されている。
例えば、正極活物質としてFeS、負極活物質としてSiOを用いても構わない。また、正極活物質としてリチウム含有マンガン酸化物、負極活物質としてLi−Al合金等の金属リチウムと合金をなす金属間化合物を用いても構わない。
なお、リチウムの金属間化合物としては、Li−Al以外にも、Li−In合金、Li−Sn合金、Li−Si合金等を例示できる。これらの金属間化合物は、材料の強度等を向上させる目的で、上述の元素以外に第三の添加物を加えても良く、例えば、Ca、Mg、Si、Mn、V等の元素が例示できる。
例えば、セラミックペーパーに、無機の固体電解質(Li4SiO4)を練りこみ、又は、ホットプレスにより、電極を一体化した固体電解質をセパレータの代わりに隔離部材として利用したり、該固体電解質を正極と負極との間に挟み重ね合わせ、SPS法(通電焼結=プラズマ焼結)等の物理手法を用いて、一体化したりしても構わない。また、上記固体電解質を、正極又は負極の表面にレーザアブレーション堆積法やRFスパッタ法、真空蒸着等の物理手法を用いて析出させた後、正極と負極との間に挟み重ね合わせた後、利用しても良い。
この場合であっても、固体電解質を通じて例えばリチウムイオンを正極と負極との間で移動させることができるので、確実な電気化学反応を行わせることができ、電気化学セルとして用いることが可能である。
(a)オーステナイト・フェライト二相ステンレス鋼。
(b)オーステナイト系ステンレス鋼。
(c)析出硬化ステンレス鋼。
(d)フェライト系ステンレス鋼。
(e)マルテンサイト系ステンレス鋼。
特に、上記(e)から(a)に向かうにしたがって耐食性が高まるのでより望ましい。
上記(b)に示したオーステナイト系ステンレス鋼としては、SUS316〔Ni(10〜14%)、Cr(16〜18%)、Mo(2〜3%)〕や、SUS304〔Ni(8〜10.5%)、Cr(18〜20%)〕が挙げられる。
上記(c)に示した析出硬化ステンレス鋼としては、SUS630〔Ni(3〜5%)、Cr(15〜17.5%)、Cu(3〜5%)、Nb(0.15〜0.45%)〕が挙げられる。
上記(d)に示したフェライト系ステンレス鋼としては、SUS430等が挙げられる。
上記Fe−Ni系合金としては、42−アロイ(Fe−42Ni)、コバール(Fe−29Ni−17Co)、インバー(Fe−36Ni)、エリンバー(Ni36%、鉄52%、コバルト12%の合金)等が挙げられる。
W…液体電解質(電解質)
1、40、50、60、70、80、90、100、120…リチウムイオン二次電池(電気化学セル)
2、51、61…密封容器
3…電気化学素子
10…容器本体(ベース部材)
11…封口板(リッド部材)
13…シールリング
12…金属層(導電膜)
15…第1集電体
20…第2集電体
25…正極(第1電極)
26…セパレータ(隔離部材)
27…負極(第2電極)
30…板ばね(弾性部材)
30a…板ばねの一端部(弾性部材の一端部)
30b…板ばねの他端部(弾性部材の他端部)
35…保護板(保護体)
52…ベース基板(ベース部材)
53…蓋体(リッド部材)
62…正極缶(ベース部材)
64…負極缶(リッド部材)
65…正極ペレット(第1電極)
66…リチウムフォイル(第2電極)
71…ダイヤフラム状ばね(弾性部材)
81、91…係止部
110、130…トーションバーユニット(弾性部材)
Claims (8)
- 第1集電体が形成されたベース部材、及び該ベース部材に対して固定されると共に第2集電体が形成されたリッド部材を有し、両部材の間に収納空間が画成された密封容器と、
前記収納空間内に収納され、充放電可能な電気化学素子と、を備え、
前記電気化学素子は、
前記第1集電体に固定された第1電極と、
該第1電極上に隔離部材を挟んで重ねられると共に、電解質を通じて金属イオンを第1電極との間で移動させる第2電極と、を有し、
前記収納空間内における前記リッド部材と前記第2電極との間には、該第2電極を前記第1電極側に押圧すると共に、第2電極と前記第2集電体とを導通させる弾性部材が配設され、
前記弾性部材は、一部が前記リッド部材に対して一体的に接続されて固定されていることを特徴とする電気化学セル。 - 請求項1に記載の電気化学セルにおいて、
前記弾性部材は、一端部が前記リッド部材に対して一体的に接続され、他端部が前記第2電極に摺接していることを特徴とする電気化学セル。 - 請求項1又は2に記載の電気化学セルにおいて、
前記第2電極上には金属製の保護体が形成され、
前記弾性部材は、前記保護体を介して前記第2電極を押圧していることを特徴とする電気化学セル。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記リッド部材及び前記弾性部材は、金属材料より形成されていることを特徴とする電気化学セル。 - 請求項4に記載の電気化学セルにおいて、
前記弾性部材は、Ni系合金の材料から形成されていることを特徴とする電気化学セル。 - 請求項4又は5に記載の電気化学セルにおいて、
前記弾性部材には、防錆用被膜が形成されていることを特徴とする電気化学セル。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記リッド部材は、金属製のシールリングを介して前記ベース部材に固定され、
前記シールリングには、前記弾性部材が係止され、前記第2電極を前記第1電極側に押圧させた状態で該弾性部材を位置決めさせる係止部が形成され、
前記弾性部材は、前記シールリングを介して前記第2集電体に導通していることを特徴とする電気化学セル。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記密封容器には、前記弾性部材が係止され、前記第2電極を前記第1電極側に押圧させた状態で該弾性部材を位置決めさせる係止部が形成され、
前記係止部には、係止された前記弾性部材を前記第2集電体に導通させる導電膜が形成されていることを特徴とする電気化学セル。
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