JP5742446B2 - 電磁ステンレス鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁ステンレス鋼に関し、さらに詳しくは、80℃〜400℃の不連続的な温度雰囲気下で使用される磁気回路部品の軟磁性材として好適な電磁ステンレス鋼に関する。
電磁ステンレス鋼とは、高性能な軟磁気特性と高耐食性とを兼ね備えた特殊鋼である。電磁ステンレス鋼は、センサー、アクチュエーター、モーター等の磁気回路を利用した部品や、腐食環境向け電磁材料として多量に用いられている。
このような用途には、従来、13Cr系電磁ステンレス鋼が用いられ、耐食性、冷間鍛造性、被削性等に対して、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
近年、駆動系、センサー系、電磁弁のようなアクチュエータ系の磁気回路用部品(軟磁性材)の環境が変化している。例えば、モーターでは、高性能化のため、自己発熱により軟磁性材の温度環境が高くなっている。このような環境において、磁気回路部品は、停止時、室温だが、駆動時には雰囲気温度が80℃〜400℃に上昇する。従来の電磁ステンレス鋼では、このような環境下で使用すると、低温時効により軟磁性材の磁気特性が劣化(保磁力が上昇)し、部品(モータ、センサー、アクチュエータ等)の部品特性が劣化し、実用上、種々の問題が顕在化している。
特開平7−070718号公報 特開平6−228717号公報
本発明が解決しようとする課題は、80℃から400℃の不連続的な温度雰囲気下において長時間使用した場合であっても、低温時効により電気制御性が劣化(保磁力が上昇)することのな電磁ステンレス鋼を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る電磁ステンレス鋼は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記電磁ステンレス鋼は、
C≦0.030mass%、
N≦0.030mass%、
Si≦0.20mass%、
12.5≦Cr≦15.0mass%、
0.55≦Al≦0.75mass%、
0.01≦Mn≦0.20mass%、
0.001≦S≦0.10mass%、及び、
O≦0.010mass%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。
(2)前記電磁ステンレス鋼は、以下の(1)〜(4)式を満たす。
X≦1.2 ・・・(1)
15≦Y≦20 ・・・(2)
2≦Z≦6 ・・・(3)
W≦[Cr] ・・・(4)
但し、
X=30[C]+25[N]+[Ni]+0.5[Mn]+0.3[Cu]、
Y=5.5[Al]+2.0[Si]+[Cr]+1.5[Mo]+1.5[Ti]+5.0[V]+1.75[Nb]+1.75[Zr]、
Z=X−Y+20、
W=375[C]+250[N]、
[]は、各元素の含有量(mass%)。
(3)前記電磁ステンレス鋼は、80℃〜400℃の不連続的な温度雰囲気下で使用される磁気回路部品の軟磁性材として用いられる。
比較的大きなCr炭窒化物の存在は、材料の応力歪場のエネルギーをあまり高めない。しかし、材料にC、Nが固溶している場合において、80〜400℃の温度雰囲気下で使用されると、低温時効により、固溶C、Nが均一で微細な炭窒化物を形成し、材料の応力歪場のエネルギーを高めてしまう。そうなると、磁壁エネルギーが高くなり、磁壁が移動しづらくなる。
そこで、本発明は、磁気特性に影響の少ない比較的大きなCr炭窒化物をわざと形成させ、マトリックス中のC、Nをなくし、低温時効による応力歪場のエネルギーの上昇を抑制する。
すなわち、主要元素(特に、Al及びMn)の成分範囲を特定の範囲にすると同時に、(1)〜(3)式で表されるX値、Y値及びZ値を所定の範囲とすると、電気制御性の初期値が向上(すなわち、保磁力の初期値が低下)する。
また、Cr量を最適化すると同時に、(4)式で表されるW値を最適化すると、比較的大きなCr炭窒化物が析出し、かつ微細な炭窒化物が析出しにくくなるので、応力歪場のエネルギーの増大を抑制できる。そのため、80℃から400℃の不連続的な温度雰囲気下において長時間使用した場合における電気制御性の経時劣化(すなわち、保磁力の上昇)を抑制することができる。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 電磁ステンレス鋼]
[1.1. 主構成元素]
本発明に係る電磁ステンレス鋼は、以下のような元素を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる。添加元素の種類、その成分範囲、及び、その限定理由は、以下の通りである。
(1) C≦0.030mass%:
Cは、電磁ステンレス鋼の製造に際して必然的に混入する元素である。Cは、強力なオーステナイト生成元素であるため、C量が多くなるほど保磁力の上昇を招く。また、C量が多くなるほど、高温で使用した場合における保磁力の経時劣化が大きくなる。従って、C含有量は、0.030mass%以下である必要がある。C含有量は、さらに好ましくは0.020mass%以下である。
(2) N≦0.030mass%:
Nは、Cと同様に、電磁ステンレス鋼の製造に際して必然的に混入する元素である。Nは、強力なオーステナイト生成元素であるため、N量が多くなるほど保磁力の上昇を招く。また、N量が多くなるほど、高温で使用した場合における保磁力の経時劣化が大きくなる。従って、N含有量は、0.030mass%以下である必要がある。N含有量は、さらに好ましくは0.020mass%以下である。
(3) Si≦0.20mass%:
Siは、フェライト生成元素であり、保磁力の低下に効果的である。しかしながら、Si含有量が過剰になると、かえって保磁力の上昇を招く。従って、Si含有量は、0.20mass%以下である必要がある。
(4) 12.5≦Cr≦15.0mass%:
Crは、フェライト生成元素であり、保磁力の低下に効果的である。また、適量のCrは、比較的大きなCr炭窒化物を析出させ、かつ微細な炭窒化物の析出を抑制するので、応力歪場のエネルギーの増大を抑制するのに有効(すなわち、高温での使用における保磁力の経時劣化の抑制に有効)である。このような効果を得るためには、Cr含有量は、12.5mass%以上である必要がある。Cr含有量は、さらに好ましくは、13.0mass%以上である。
一方、Cr含有量が過剰になると、固溶Crが飽和し、かえって保磁力の上昇を招く。従って、Cr含有量は、15.0mass%以下である必要がある。Cr含有量は、さらに好ましくは、14.5mass%以下である。
(5) 0.30≦Al≦1.00mass%:
Alは、フェライト生成元素であり、保磁力の低下に効果的である。このような効果を得るためには、Al含有量は、0.30mass%以上である必要がある。Al含有量は、さらに好ましくは、0.55mass%以上である。
一方、Al含有量が過剰になると、かえって保磁力の上昇を招く。従って、Al含有量は、1.00mass%以下である必要がある。Al含有量は、さらに好ましくは、0.75mass%以下である。
(6) 0.01≦Mn≦0.50mass%:
Mnは、フェライト生成元素であり、保磁力の低下に効果的である。このような効果を得るためには、Mn含有量は、0.01mass%以上である必要がある。Mn含有量は、さらに好ましくは、0.13mass%以上である。
一方、Mn含有量が過剰になると、かえって保磁力の上昇を招く。従って、Mn含有量は、0.50mass%以下である必要がある。Mn含有量は、さらに好ましくは、0.25mass%以下である。
(7) 0.001≦S≦0.10mass%:
Sは、快削硫化物を形成し、被削性を向上させる効果がある。このような効果を得るためには、S含有量は、0.001mass%以上である必要がある。
一方、S含有量が過剰になると、保磁力が上昇する。従って、S含有量は、0.10mass%以下である必要がある。
(8) O≦0.010mass%:
Oは、酸化物系介在物を生成し、ステンレス鋼の冷間鍛造性の低下と保磁力の上昇を招く。従って、O含有量は、0.010mass%以下である必要がある。
[1.2. 副構成元素]
本発明に係る電磁ステンレス鋼は、上述した主構成元素に加えて、以下の1種又は2種以上の副構成元素をさらに含んでいてもよい。添加元素の種類、その成分範囲、及び、その限定理由は、以下の通りである。
[1.2.1. 冷間鍛造性向上元素]
(9) 0.01≦Ti≦1.0mass%:
(10) 0.01≦Nb≦1.0mass%:
(11) 0.01≦Zr≦1.0mass%:
(12) 0.01≦V≦1.0mass%:
Ti、Nb、Zr及びVは、いずれもフェライト生成元素であり、保磁力の低下と冷間鍛造性の向上に効果的である。このような効果を得るためには、これらの元素の含有量は、それぞれ、0.01mass%以上が好ましい。
一方、これらの元素の含有量が過剰になると、かえって保磁力の上昇を招く。従って、これらの元素の含有量は、それぞれ、1.0mass%以下が好ましい。
[1.2.2. 耐食性向上元素]
(13) 0.01≦Cu≦2.0mass%:
(14) 0.01≦Ni≦2.0mass%:
Cu及びNiは、いずれも耐食性の向上に効果的である。このような効果を得るためには、これらの元素の含有量は、それぞれ、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Cu及びNiは、いずれもオーステナイト生成元素である。そのため、これらの元素の含有量が過剰になると、かえって保磁力の上昇を招く。従って、これらの元素の含有量は、それぞれ、2.0mass%以下が好ましい。
(15) 0.01≦Mo≦2.0mass%:
Moは、耐食性の向上に効果的である。また、Moは、フェライト生成元素であり、保磁力の低下に効果的である。このような効果を得るためには、Mo含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Mo含有量が過剰になると、かえって耐食性の低下と保磁力の上昇を招く。従って、Moの含有量は、2.0mass%以下が好ましい。
[1.2.3. 被削性向上元素]
(16) 0.01≦Pb≦0.30mass%:
(17) 0.01≦Bi≦0.30mass%:
(18) 0.01≦Te≦0.30mass%:
(19) 0.002≦Ca≦0.30mass%:
(20) 0.01≦Se≦0.30mass%:
Pb、Bi、Te、Ca、及びSeは、いずれも被削性の向上に効果的である。このような効果を得るためには、これらの元素の含有量は、それぞれ、上記の下限値以上が好ましい。
一方、これらの元素の含有量が過剰になると、保磁力の上昇を招く。従って、これらの元素の含有量は、それぞれ、0.30mass%以下が好ましい。
[1.3. 成分バランス]
本発明に係る電磁ステンレス鋼は、成分元素が上述の範囲にあることに加えて、さらに次の(1)〜(4)式を満たしている必要がある。
X≦1.2 ・・・(1)
15≦Y≦20 ・・・(2)
2≦Z≦6 ・・・(3)
W≦[Cr] ・・・(4)
但し、
X=30[C]+25[N]+[Ni]+0.5[Mn]+0.3[Cu]、
Y=5.5[Al]+2.0[Si]+[Cr]+1.5[Mo]+1.5[Ti]+5.0[V]+1.75[Nb]+1.75[Zr]、
Z=X−Y+20、
W=375[C]+250[N]、
[]は、各元素の含有量(mass%)。
なお、X値〜W値は、原則として有為成分として含まない元素(不純物元素)も考慮して算出されるが、不純物元素の含有量が少ないときは、これらを考慮してもX値〜W値に与える影響は少ない。このような場合、不純物元素をゼロと見なしてX値〜W値を算出しても良い。
[1.3.1. X値]
X値は、Ni当量に関するパラメータであり、C、N、Ni、Mn及びCuによって規定される。X値が高くなるほど、材料組織のオーステナイト化が進行し、電気制御性の初期値が低下(保磁力の初期値が上昇)する。従って、X値は、1.2以下である必要がある。
[1.3.2. Y値]
Y値は、Cr当量に関するパラメータであり、Al、Si、Cr、Mo、Ti、V、Nb、及びZrによって規定される。Y値が高くなるほど、材料組織のフェライト化が進行し、電気制御性の初期値が向上(保磁力の初期値が低下)する。このような効果を得るためには、Y値は、15以上である必要がある。
一方、Y値が大きくなりすぎると、かえって電気制御性の初期値が低下する。従って、Y値は、20以下である必要がある。
[1.3.3. Z値]
Z値は、X値とY値によって規定されるパラメータである。Z値が高くなるほど、電気制御性の初期値が向上する。このような効果を得るためには、Z値は、2以上である必要がある。
一方、Z値が大きくなりすぎると、かえって電気制御性の初期値が低下する。従って、Z値は、6以下である必要がある。
[1.3.4. W値]
W値は、C量、N量、及びCr量の関係を規定するパラメータである。W値がCr含有量を超えない限り、Crが固溶C、Nと比較的大きなCr炭窒化物を形成し、電気制御性の経時劣化(高温での使用における保磁力の経時劣化)が抑制される。Cr炭窒化物の大きさは、3.0μm以上が好ましい。
一方、W値がCr含有量を超えると、電気制御性の経時劣化(保磁力の経時劣化)を招く。従って、W値は、Cr含有量以下である必要がある。
[1.3.5. 用途]
本発明に係る電磁ステンレス鋼は、80℃〜400℃の不連続的な温度雰囲気下で使用される磁気回路部品の軟磁性材として特に好適である。
ここで、「80℃〜400℃の不連続的な温度雰囲気下」とは、80℃〜400℃の範囲内の温度への昇温と、室温までの冷却が断続的に繰り返される雰囲気を言う。加熱温度は、常に同一温度とは限らない。一般に、電磁ステンレス鋼を80℃〜400℃の範囲内の温度で断続的に加熱した場合、累積加熱時間が長くなるほど、低温時効により磁気特性が劣化する。これに対し、本発明に係る電磁ステンレス鋼は、このような雰囲気下での累積加熱時間が長くなっても、磁気特性の劣化が少ない。
[2. 電磁ステンレス鋼の製造方法]
本発明に係る電磁ステンレス鋼は、
(1)所定の組成となるように配合された原料を溶解・鋳造し、
(2)常法に従って、インゴットを熱間加工し、
(3)初期の電気制御性を向上させるために、熱間加工された材料をさらに冷間加工し、
(4)冷間加工された材料を所定の条件下で磁気焼鈍する、
ことにより製造することができる。
[3. 電磁ステンレス鋼の作用]
比較的大きなCr炭窒化物の存在は、材料の応力歪場のエネルギーをあまり高めない。しかし、材料にC、Nが固溶している場合において、80〜400℃の温度雰囲気下で使用されると、低温時効により、固溶C、Nが均一で微細な炭窒化物を形成し、材料の応力歪場のエネルギーを高めてしまう。そうなると、磁壁エネルギーが高くなり、磁壁が移動しづらくなる。
そこで、本発明は、磁気特性に影響の少ない比較的大きなCr炭窒化物をわざと形成させ、マトリックス中のC、Nをなくし、低温時効による応力歪場のエネルギーの上昇を抑制する。
すなわち、主要元素(特に、Al及びMn)の成分範囲を特定の範囲にすると同時に、(1)〜(3)式で表されるX値、Y値及びZ値を所定の範囲とすると、電気制御性の初期値が向上(すなわち、保磁力の初期値が低下)する。
また、Cr量を最適化すると同時に、(4)式で表されるW値を最適化すると、比較的大きなCr炭窒化物が析出し、かつ微細な炭窒化物が析出しにくくなるので、応力歪場のエネルギーの増大を抑制できる。そのため、80℃から400℃の不連続的な温度雰囲気下において長時間使用した場合における電気制御性の経時劣化(すなわち、保磁力の上昇)を抑制することができる。
(参考例1〜12、実施例13、参考例14、実施例15、参考例16、実施例17〜22、参考例23、実施例24〜30、参考例31、実施例32、比較例1〜8)
[1. 試料の作製]
表1〜3に示す各種の合金成分組成からなるステンレス鋼を溶製した。次いで、それぞれの合金溶湯から所定のインゴットを鋳造し、その後、常法に従って熱間加工を行った。さらに、初期の電気制御性を向上させるために、熱間加工材に対してさらに冷間加工を行った。冷間加工材から、外径18mm×内径12mm×厚さ3mm、又は、外径45mm×内径33mm×厚さ2mmの複数の試験片を切り出した。その後、個々の試験片に対して、磁気焼鈍(850℃×2hr)を行った。磁気焼鈍後の結晶粒が#2以下になるように冷間加工及び磁気焼鈍を行った。なお、表1〜3には、磁気焼鈍後の試験片の粒度番号も併せて示した。
Figure 0005742446
Figure 0005742446
Figure 0005742446
[2. 試験方法]
個々の試験片に対して、それぞれ、所定の条件下で熱処理を施した。熱処理温度は80℃〜400℃とし、熱処理時間は400時間とした。試験片に歪みが加わらないように熱処理前又は熱処理後の試験片をケースに入れ、ケースの外側に巻線した。さらに、直流B−Hトレーサーを用いて各試験片の保磁力Hcを測定した。
[3. 結果]
表4及び表5に、熱処理前の試験片、及び、各温度で400時間熱処理した試験片の保磁力Hcを示す。
表4及び表5より、以下のことが分かる。
(1)比較例1〜8は、いずれもX値〜Z値のいずれか1以上が不適切であるため、参考例1〜12、実施例13、参考例14、実施例15、参考例16、実施例17〜22、参考例23、実施例24〜30、参考例31、実施例32に比べて、磁気焼鈍後の保磁力Hcが高い。
(2)比較例1〜8は、いずれもCr量及び/又はW値が不適切であるため、参考例1〜12、実施例13、参考例14、実施例15、参考例16、実施例17〜22、参考例23、実施例24〜30、参考例31、実施例32に比べて、磁気焼鈍後の保磁力Hcと80〜400℃での熱処理後の保磁力Hcとの差(ΔHc)が大きい。
(3)参考例1〜12、実施例13、参考例14、実施例15、参考例16、実施例17〜22、参考例23、実施例24〜30、参考例31、実施例32は、いずれも磁気焼鈍後の保磁力Hcが低く、ΔHcも小さい。
(4)参考例1〜8は、いずれも磁気焼鈍後の保磁力Hcと400℃での処理後の保磁力の差ΔHc(400℃)が11〜13であった。一方、Cr量が13.0〜14.5mass%である参考例9〜12、実施例13、参考例14、実施例15、参考例16、実施例17〜22、参考例23、実施例24〜30、参考例31、実施例32は、いずれもΔHc(400℃)が10〜11であり、参考例1〜8に比べて保磁力Hcの経時劣化が少ない。
(5)参考例1〜12、実施例13、参考例14、実施例15、参考例16は、いずれも磁気焼鈍後の保磁力Hcが54〜65であった。一方、Mn量が0.13〜0.25mass%である実施例17〜22、参考例23、実施例24〜30、参考例31、実施例32は、いずれも磁気焼鈍後の保磁力Hcが51〜54であり、参考例1〜12、実施例13、参考例14、実施例15、参考例16に比べて磁気焼鈍後の保磁力Hcが低い。
(6)参考例1〜12は、いずれも磁気焼鈍後の保磁力Hcが55〜65であった。一方、Al量が0.55〜0.75mass%である実施例13、参考例14、実施例15、参考例16、実施例17〜22、参考例23、実施例24〜30、参考例31、実施例32は、いずれも磁気焼鈍後の保磁力Hcが51〜55であり、参考例1〜12に比べて磁気焼鈍後の保磁力Hcが低い。
Figure 0005742446
Figure 0005742446
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る電磁ステンレス鋼は、80℃から400℃の不連続的な温度雰囲気下において長時間使用されるセンサー、アクチュエーター、モーター等の磁気回路部品や、腐食環境向け電磁材料として用いることができる。

Claims (6)

  1. 以下の構成を備えた電磁ステンレス鋼。
    (1)前記電磁ステンレス鋼は、
    C≦0.030mass%、
    N≦0.030mass%、
    Si≦0.20mass%、
    12.5≦Cr≦15.0mass%、
    0.55≦Al≦0.75mass%、
    0.01≦Mn≦0.20mass%、
    0.001≦S≦0.10mass%、及び、
    O≦0.010mass%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。
    (2)前記電磁ステンレス鋼は、以下の(1)〜(4)式を満たす。
    X≦1.2 ・・・(1)
    15≦Y≦20 ・・・(2)
    2≦Z≦6 ・・・(3)
    W≦[Cr] ・・・(4)
    但し、
    X=30[C]+25[N]+[Ni]+0.5[Mn]+0.3[Cu]、
    Y=5.5[Al]+2.0[Si]+[Cr]+1.5[Mo]+1.5[Ti]+5.0[V]+1.75[Nb]+1.75[Zr]、
    Z=X−Y+20、
    W=375[C]+250[N]、
    []は、各元素の含有量(mass%)。
    (3)前記電磁ステンレス鋼は、80℃〜400℃の不連続的な温度雰囲気下で使用される磁気回路部品の軟磁性材として用いられる。
  2. 13.00≦Cr≦14.50mass%
    である請求項1に記載の電磁ステンレス鋼。
  3. 0.13≦Mn≦0.20mass%
    である請求項1又は2に記載の電磁ステンレス鋼。
  4. 0.01≦Ti≦1.0mass%、
    0.01≦Nb≦1.0mass%、
    0.01≦Zr≦1.0mass%、及び、
    0.01≦V≦1.0mass%
    から選ばれる1種又は2種以上の元素をさらに含む請求項1から3までのいずれかに記載の電磁ステンレス鋼。
  5. 0.01≦Cu≦2.0mass%、
    0.01≦Ni≦2.0mass%、及び、
    0.01≦Mo≦2.0mass%
    から選ばれる1種又は2種以上の元素をさらに含む請求項1から4までのいずれかに記載の電磁ステンレス鋼。
  6. 0.01≦Pb≦0.30mass%、
    0.01≦Bi≦0.30mass%、
    0.01≦Te≦0.30mass%、
    0.002≦Ca≦0.30mass%、及び、
    0.01≦Se≦0.30mass%、
    から選ばれる1種又は2種以上の元素をさらに含む請求項1から5までのいずれかに記載の電磁ステンレス鋼。
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