以下、本発明を実施するための形態を実施形態として説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に何ら限定されることはない。以下に説明する形態を種々に変形して本発明を実施することが可能である。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置の機能ブロック図を示す。表示装置100は、電圧発生回路101と、電圧印加制御部102と、電圧印加部103と、表示部104とを有する。
電圧発生回路101は、表示部104に印加する電圧を発生する。本発明の一実施形態においては、電圧発生回路101は、表示部104に印加するための電圧を発生させる。例えば、絶対値が190Vの電圧を発生させる。これにより、共通電極を基準にして表示電極に+190Vおよび−190Vのいずれかの電圧を印加することができる。ただし、電圧発生回路101が発生する電圧の絶対値は1つの値に限定されることはなく、2つ、3つなど複数の値の電圧を発生してもよい。また、190Vは例示であって、例えば175Vなど、表示部104のツイストボール層などの特性に合わせた値とすることができる。
電圧印加制御部102は、電圧発生回路101により発生された電圧を表示部の表示電極104に印加する制御を行なう。すなわち、表示部104に所望の表示がされるように、表示部104の電極に印加する電圧を制御する。例えば、表示部104のそれぞれの電極に印加する電圧を、電圧発生回路101により発生される電圧の中から時間の経過に従って選択する。電圧印加制御部102により選択された結果は、制御信号として電圧印加部103に供給される。
電圧印加部103は、電圧印加制御部102から供給される制御信号に従い電圧発生回路101により発生された電圧を表示部104のそれぞれの電極に印加する。
表示部104は、ツイストボールを含む材料に電圧を印加するための電極を有し、電極に印加された電圧に応じて、ツイストボールを回転させて、所望の表示を行なう。
図2は、表示部104の構造の一例の分解斜視図である。図2に示すように、表示部104は、共通電極層201と、第一フィルム層202と、第1ツイストボール層203と、第2ツイストボール層204と、第二フィルム層207と、表示電極層208と、配線層211と、第三フィルム層214とを有し、表示部104は複数の層構造となっている。
共通電極層201は、共通電極としての透明電極を有する。共通電極層201の材料としては、例えば、ITO、IZO、SnO2、カーボンナノチューブ、PEDOT/PSSやZnO:Alなどの透明な導電性材料を使用することができる。また、透明なフィルムに、Al、Cu、Ag、カーボン等の導電性材料を用いてメッシュ状に電極が共通電極層201に形成されていてもよい。また、共通電極層201には、一定の電圧、例えばGND電圧、が印加されてもよく、あるいは、電圧印加部103から、時間の経過とともに変化する電圧が印加されてもよい。
第一フィルム層202は、透明な材料により形成されたフィルムである。第一フィルム層202は、絶縁性を有していなくてもよいが、共通電極層201が導電性であるので、第一フィルム層202は絶縁性を有しているのが好ましい。第一フィルム層202の材料としては、透明性を有する材料であれば特に限定されることはない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、シクロオレフィンコポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂を使用することができる。また、第一フィルム層202は、ラミネート加工が可能なベースフィルム材料とシーラントフィルム材料が積層された基材であることが好ましい。ベースフィルム材料としては、ラミネート加工時の加熱圧着による耐熱性を考慮して、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂を使用してもよい。シーラントフィルム材料としては、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用してもよい。また、ポリウレタン、ポリアクリル、エポキシ樹脂、シリコーン等の熱シール性を有する材料からなる塗膜等を用いてもよい。
第1ツイストボール層203と第2ツイストボール層204とは、低極性溶媒と複数のツイストボール205と複数のツイストボール206とをそれぞれ含むエラストマーシートとして形成される。具体的には、エラストマー材料を用いて形成されるエラストマーシートに、複数のツイストボール205と複数のツイストボール206とをそれぞれを分散させた後、エラストマーシートを低極性溶媒中に浸漬させてエラストマーシートを低極性溶媒で膨潤させて形成する。これにより、ツイストボール205とツイストボール206が低極性溶媒により覆われ、ツイストボール205とツイストボール206とが回転可能となる。
エラストマー材料としては、例えば、熱硬化型樹脂である、シリコーン樹脂、微架橋したアクリル樹脂、微架橋したスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂などを使用することができる。また、低極性溶媒は、エラストマーシートに膨潤される。このような低極性溶媒として、例えば、ジメチルシリコーンオイル、イソパラフィン系溶媒、直鎖パラフィン系溶媒、ドデカン、トリデカンなどを使用することができる。
ツイストボールは、50μm以上1000μm以下、好ましくは100μm以上700μm以下、より好ましくは200μm以上500μm以下の直径を有する略球体である。ツイストボールは、また、異なる少なくとも2色に着色された少なくとも2つの着色領域を有し、異なる着色領域が互いに異なる帯電極性を有する双極性球状粒子である。例えば、正(+)に帯電した黒色相と負(−)に帯電した白色相とを有する。但し、色相は上述の黒色/白色に限定されず、例えば、有色彩相/白色相(例えば、黒色/白色、赤色/白色など)或いは有色彩相/有色彩相(例えば、黒色/赤色、青色/赤色など)であってもよい。以下では、説明を簡単にするために、ツイストボールは白色相と黒色相とを有するとして説明を行なう。
ツイストボールの色相を形成させる着色剤としては、後述する重合性樹脂成分を含有する流動性分散媒体に不溶性又は均一に分散される染料又は顔料であれば、特に限定されず、適宜選択して使用することができる。使用される着色剤の添加量は、その着色粒子の用途等によっても所望される色調が異なり、また、後述する着色連続相中での分散性等から、本発明においては、着色連続相中の重合硬化成分である全重合性樹脂成分100重量部当たり、0.1重量部〜80重量部で、好ましくは2〜10重量部の範囲で適宜好適に添加することができる。
ツイストボールは、例えば、マイクロチャンネル製造方法において製造することができる。すなわち、重合性樹脂成分を含有する油性又は水性の流動性分散媒体中に、この媒体不溶性の着色剤を含有する2色に分相させた着色連続相中の重合性樹脂成分を互いに異なる極性に帯電する重合性モノマーで形成させて、第1マイクロチャンネルに移送させる。次いで、この着色連続相を第2マイクロチャンネル内に流れる水性又は油性の球状粒子化相中へ連続的又は不連続的に順次吐出させる。球状粒子化相中に吐出された吐出物は、マイクロチャンネル内での一連の吐出・分散・移送中に球状粒子化されながら、球状粒子化相中で順次球状化される。この球状化された粒子中の重合性樹脂成分を紫外線照射下及び/又は加熱下で重合硬化させることにより、異なる2色に着色された2つの着色領域を有し、異なる着色領域が互いに異なる帯電極性を有する双極性2色相球状粒子であるツイストボールが形成される。
本発明の一実施形態に係るツイストボールに用いる重合性樹脂成分、又は重合性モノマーとして、重合性モノマーの官能基又は置換基の種類によって、ツイストボールの帯電性がそれぞれ負(−)帯電性と正(+)帯電性とを示す傾向にあるモノマー種を挙げることができる。従って、少なくとも2種以上の複数種のモノマーを本発明の一実施形態に係るツイストボールの重合性樹脂成分として使用する場合には、その(+)及び(−)帯電性を示す傾向を踏まえて、好ましくは、同種帯電性の傾向にあるモノマー同士を複数組み合わせて適宜好適に使用することができる。
ツイストボールの少なくとも2つの着色領域は、異なる正負の帯電状態であれば、どちらの帯電状態であってもよい。ツイストボールが、正(+)に帯電した黒色相と負(−)に帯電した白色相とを有する場合、ツイストボール層を挟持する2つの電極に電圧が印加されると、ツイストボールの正(+)に帯電した黒色相と負(−)に帯電した白色相とが、それぞれの帯電極性とは逆の極性の電圧を印加された電極と対向するようにツイストボールが回転する。これにより、共通電極層201を方向215から見た場合に、白色または黒色が現れる。
本実施形態では、第1ツイストボール層203のツイストボール205と第2ツイストボール層204のツイストボール206とは、白色相の表面積と黒色相の表面積との関係が異なっている。例えば、第1ツイストボール層203のツイストボール205は、黒色相の表面積が白色相の表面積よりも大きく、第2ツイストボール層204のツイストボール206は、白色相の表面積が黒色相の表面積よりも大きくなり、白色相の表面積と黒色相の表面積との関係が異なる。あるいは、第1ツイストボール層203のツイストボール205における黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合は、第2ツイストボール層204のツイストボール206における黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合より小さくなっていてもよい。
また、電圧印加制御部102は、第1ツイストボール層203による白色による表示の継続時間と第2ツイストボール層204による白色の表示の継続時間とを異なるように電圧の印加を制御する。例えば、第1ツイストボール層203は10分以上ごとに表示が変更される10時間桁、1時間桁、10分桁の数字の表示に用いるのに対し、第2ツイストボール層204は1分以下ごとに表示が変更される1分桁、10秒桁、1秒桁の数字の表示に用いる。ここに、「白色による表示」とは、背景色を黒色としていることを意味する。背景色が黒色でない場合、例えば白色である場合には、白色相の表面積と黒色相の表面積との関係は逆となり、例えば、第1ツイストボール層203のツイストボール205は、白色相の表面積が黒色相の表面積よりも大きく、第2ツイストボール層204のツイストボール206は、黒色相の表面積が白色相の表面積よりも大きくなる。
なお、第1ツイストボール層203と第2ツイストボール層204とは、それぞれ複数のツイストボールを含むので、表面積についての統計的な値、例えば、算術平均値、を用いて、第1ツイストボール層203のツイストボール205と第2ツイストボール層204のツイストボール206との白色相の表面積と黒色相の表面積との関係を比較することができる。
ツイストボールにおける白色相の表面積と黒色相の表面積とのこのような関係は、ツイストボール層に一定の電圧を印加した後の白反射率、黒反射率、あるいは、白反射率の黒反射率による商であるコントラスト値により測定することができる。図3は、ツイストボール205とツイストボール206とのそれぞれの白色相の表面積と黒色相の表面積との関係を、所定の電圧(例えば100V)の矩形波を印加した後の白反射率、黒反射率、コントラスト値で示す一例である。第2ツイストボール層204のツイストボール206の白反射率は12.10であり、黒反射率は1.90である。また、第1ツイストボール層203のツイストボール205の白反射率は10.40であり、黒反射率は1.40である。したがって、ツイストボール206においては、黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合が、ツイストボール205における黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合よりも大きくなっている。
図3の測定結果は、図2に示す表示部を組み立てた後の測定結果である。表示部を組み立てる前の状態において、図3に示した測定結果に用いたツイストボール層を含むいくつかのツイストボール層の資料をITO電極に100Vの電圧の0.24Hzの矩形波を印加した後の白反射率、黒反射率を井原電子工業が製造した反射濃度計R700(ISO5/4 ANSI PH2.17 DIN6536)により測定をした結果は次の表の通りである。
このうち、図3の測定結果に示すツイストボール205を含むツイストボール層203は資料Bであり、ツイストボール204を含むツイストボール層206は、資料Aである。本発明の一実施形態においては、このような測定により、白反射率がより高いもの、例えば白反射率が20%以上のツイストボール層を、表示継続時間の短い表示(例えば、1秒桁、10秒桁、1分桁)に用い、黒反射率がより低いもの、例えば黒反射率が2%以下であるツイストボール層を、表示継続時間の長い表示(例えば、10時間桁、1時間桁、1分桁)に用いることができる。なお、上述のように、この場合の表示の際における背景は黒色である。
第二フィルム層207は、透明な材料により形成されたフィルムであり、第一フィルム層202と同様の材料により形成される。ただし、表示部104において、第二フィルム層207の材料と第一フィルム層202の材料は同じである必要はない。
表示電極層208は、絶縁性のフィルムの上に、所望の形状にパターニングされた表示電極209、210を有する。表示電極209、210は、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、凸印刷法その他印刷法により、絶縁性の透明な材料(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、シクロオレフィンコポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂その他絶縁性樹脂)の上に、Au、Al、Ni、Cuなどの金属、ITO、IZO、SnO2、ZnO:Alなどの透明導電体、導電剤を溶媒或いは合成樹脂バインダに混合したもの等の導電性材料を配置して形成される。
図2において、表示電極209は、第2ツイストボール層204のツイストボール206に電圧を印加し、表示電極210は、第1ツイストボール層203のツイストボール205に電圧を印加する。
表示電極209、210には、後述の配線213、212を介して、電圧印加部103より出力される電圧が印加される。これにより、表示電極209、210それぞれと、共通電極層201との間に電圧が印加され、方向213から見た場合に、表示電極209、210それぞれの部分が同じ色を有する一つの領域として見ることが可能となる
配線層211は、絶縁性の樹脂材料などのフィルムに設けられた貫通電極を介して表示電極と接続する配線が形成されたフィルムである。絶縁性の樹脂材料としては、上述した樹脂材料等を用いることができる。
第三フィルム層214は、絶縁性の樹脂材料などにより形成される。絶縁性の樹脂材料としては、上述した樹脂材料等を用いることができる。
なお、方向215から見た場合に、表示電極以外の部分の色が一定となるように、共通電極層201にさらにマスク層を設けたり、表示電極層208の表示電極以外の部分に、共通電極層201との間で一定の電圧が印加されるように、背景用の電極を設けたりしてもよい。
また、共通電極層201の方向215の側に、反射防止フィルム(Anti−Reflectionフィルム)や映込防止フィルム(Anti−Glareフィルム)、アクリル板やガラス板などを設置してもよい。これにより、反射特性の向上や強度の向上を得ることができる。
図4(a)は、表示電極層206における電極の配置の一例を示す。この例では、白色の領域で示される符号「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」、「g」それぞれにより示される7つの矩形の表示電極が、全体として「8」字形を形成して配置される。また、表示電極の領域以外の領域は黒色の背景となっている。これにより、電圧印加制御部102により、表示電極「a」〜「g」への電圧の印加を制御することにより、次に述べるように、0から9の数字を表示することが可能となる。
図4(b)は、図4(a)に示した電極の配置において、0から9の数字を表示するために、電圧の印加の制御を示す表である。「○」は表示電極の領域に白色を表示する電圧をその表示電極に印加し、「●」は表示電極の領域に黒色を表示する電圧をその表示電極に印加することを表す。例えば、0を表示するためには、表示電極「a」〜「f」に、白色を表示するための電圧を、印加し、表示電極「g」に、黒色を表示するための電圧を印加する。これにより、表示電極「g」の部分は背景と同化し、表示電極「a」〜「f」の部分が数字の「0」のように見えることになる。なお、本明細書においては、説明を簡単にするために、ツイストボールは、白色と黒色との2つの色相を有し、表示電極207、208以外の領域による背景の色は黒色であるとする。なお、白色と黒色との2つの色相は一例であり、例えばツイストボールが、白色と青色とを有し、背景が白色であってもよい。
本願発明者は、表示部104の図4(a)に示した電極の配置において、電圧印加制御部102により、図4(b)に示した電圧の印加の制御を行ない、数字の0から9の数字を表示部に順次表示させることを行なったところ、表示電極「a」の部分と表示電極「c」の部分とにおけるコントラストが、他の表示電極の部分におけるコントラストより低下する現象が発生することを見いだした。また、このコントラストの低下は、時計表示などを行なう際に、一秒ごとに数字の0から9の数字を表示部に順次表示させる一秒桁において特に顕著になることを見いだした。
そこで、本願発明者は、この現象の発生を抑制するために検討を進めた結果、表示の継続時間の長さに応じて、ツイストボールの白色相の表面積と黒色相の表面積との関係を調整することにより、この現象を抑制することに想到した。
図5は、図3に示す特性を有するツイストボール206、205を用いたツイストボール層を用いて一秒ごとに数字の0から9の数字を表示部に順次表示させる場合の各電極の白反射率と、図3に示す特性を有するツイストボール206および205のそれぞれを用いたツイストボール層のそれぞれを用いて一秒ごとに数字の0から9の数字を表示部に順次表示させる場合の各電極の黒反射率とを測定した結果、および、算出されるコントラスト値を示す。
図3に示す特性を有するツイストボール206のツイストボール層を用いた場合、白反射率は、表示電極「a」〜「g」において、10.86、11.34、10.64、11.08、12.98、10.94、11.55となり、平均は11.34、標準偏差は0.78、最大値と最小値との差は2.34となる。
一方、図3に示す特性を有するツイストボール205のツイストボール層を用いた場合、白反射率は、表示電極「a」〜「g」において、8.72、9.00、8.40、9.26、9.27、11.03、9.40となり、平均は9.30、標準偏差は0.84、最大値と最小値との差は2.63となる。
したがって、黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合の大きいツイストボール206のツイストボール層の方が白反射率は大きくなり、標準偏差および最大値と最小値との差が小さくなる。
また、コントラスト値については、図3に示す特性を有するツイストボール206のツイストボール層を用いた場合、表示電極「a」〜「g」において、6.15、6.42、6.03、6.27、7.35、6.20、6.54となり、平均は6.42、標準偏差は0.44、最大値と最小値との差は1.32となる。
一方、図3に示す特性を有するツイストボール205のツイストボール層を用いた場合のコントラスト値は、表示電極「a」〜「g」において、6.90、7.13、6.65、7.33、7.34、8.74、7.44となり、平均は7.36、標準偏差は0.67、最大値と最小値との差は2.09となる。
したがって、黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合の大きいツイストボール206のツイストボール層の方がコントラスト値の平均値はツイストボール205よりも小さくなるものの、標準偏差および最大値と最小値との差が小さくなり、したがって、表示電極間でのコントラストのばらつきが小さくなる。
コントラストのばらつきが小さくなる理由は次の通りであると考えられる。図4(b)の表に、0から9の数字を順次表示した場合、各表示電極の領域における黒色が表示される時間の長さと白色が表示される時間の長さとを表の最右端の「黒」、「白」という列に示した。これを見ると、コントラストが低下する表示電極「a」において、黒色が表示される時間の長さが2であるのに対し、白色が表示される時間の長さは8であり、表示電極「c」において、黒色が表示される時間の長さは1であるのに対し、白色が表示される時間の長さは9である。一方、他の表示電極においては、表示電極「b」以外は、黒色が表示される時間の長さは3以上であり、白色が表示される時間の長さは7以下である。
黒色が表示される時間の長さが2である表示電極「a」と表示電極「b」とを比較すると、表示電極「a」においては、黒色を表示するのは、1と4とを表示する場合であり、表示電極「b」においては、黒色を表示するのは5と6とを表示する場合であり、表示電極「b」においては、黒色は連続して表示されるのに対して、表示電極「a」においては、黒色は連続して表示されない。
以上のことから、いずれの色である第1色(例えば白色)が連続して表示される表示電極(例えば表示電極「c」)、または、いずれかの色である第1色と異なる第2色(例えば白色)が連続して表示されない電極(例えば表示電極「a」)について、コントラストが低下している。
これは、第1色を連続して表示するための電圧が連続して表示電極に印加されるために、ツイストボール表面に電荷が蓄積し、第2色を印加するために電圧を切り替えても、ツイストボール表面に蓄積した電荷の消去に時間が消費されるため、ツイストボールの回転に時間がかかるためではないかと考えられる。このため、例えば、表示電極「a」において、1を表示するために黒色を表示するための電圧を印加してもツイストボールが180度回転しないうちに、次に2を表示するために白色を表示するための電圧を印加するために黒色が完全に表示されないためにコントラストが低下すると考えられる。一方、表示電極「b」においては、5と6とを表示するために連続して黒色を表示するための電圧が印加されるので、5と6以外を表示するために連続して白色を表示するための電圧が印加されツイストボール表面に電荷が蓄積されていても、ツイストボールが180度回転すると考えられる。
図6は、ツイストボールの回転を説明する図である。図6において、符号601が共通電極であり、符号602が表示電極であるとし、符号600の矢印から表示部を見るとする。
図6(a)において、共通電極601に正の電圧を印加し続けると、ツイストボールの白色部分にマイナスの電荷が蓄積し、黒色部分にプラスの電荷が蓄積する。そして、電圧の極性を逆転させると、ツイストボールが回転し、図6(b)のようになる。電圧の極性を逆転させた直後には、ツイストボールの表面に蓄積した電荷を消去するために、ツイストボールは共通電極601の電圧と表示電極602との関係の逆転から遅れて回転を開始し、ツイストボールの回転角度は180度未満となる。このため、黒色の表示が不完全となる。黒色の表示が不完全な状態で、ツイストボールが回転している途中で180度回転する前に電圧の極性を逆転させると、電圧の印加の逆転があっても慣性モーメントによりツイストボールは逆回転を直ちに開始できず、白色の表示が不完全となる。
一方、白色相の表面積を黒色相の表面積より大きくすると、図6(a’)のように、共通電極601に正の電圧を印可し続けることにより、ツイストボールの白色部分にマイナスの電荷が蓄積し、黒色部分にプラスの電荷が蓄積しても、電圧の極性を逆転させると、図6(b’)に示すように、ツイストボールが180度回転しない。しかし、共通電極601の電圧と表示電極602との関係を逆転させると、ツイストボールが180度回転しなくても、図6(c’)に示すように、白色の表示がより完全に行なわれると考えられる。
また、本願発明者は、複数の桁を表示し、図7に示すように、左の桁から10時間桁、1時間桁、10分桁、1分桁、10秒桁、1秒桁とし、それぞれの桁が、10時間毎、1時間毎、10分毎、1分毎、10秒毎、1秒毎に表示が変化する場合について、ツイストボールの黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合が高いと、時間経過に伴い黒反射率が変化する率が、表面積がほぼ均等の場合に比べて大きくなることを本願発明者は見出した。これは、図6(a’)〜(c’)のように、黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合が高いツイストボールの場合、白色表示には有利に働く一方、黒色表示できる表面積が小さいので、黒反射率が上昇する傾向にあるためと考えられる。
そこで、以下では、ツイストボールの黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合が高いと、時間経過に伴い黒反射率が変化する率を小さくする構成について説明する。
図7(a)は、本発明の一実施形態に係る表示装置のツイストボール層の配置を示す。すなわち、1秒桁には、ツイストボール206を有する第2ツイストボール層204を用い、1秒桁以外には、ツイストボール205を有する第1ツイストボール層203を用いる。したがって、第1ツイストボール層203のツイストボール205における黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合は、第2ツイストボール層204のツイストボール206における黒色相の表面積に対する白色相の表面積の割合より小さくなっている。
図7(b)は、各桁における表示装置100の起動時の白反射率と、起動から2時間経過後の白反射率を示す。起動時においては、各桁の白反射率は、10.86、10.81、9.97、10.10.99、11.50となり、平均は10.70となる。また起動から2時間経過後においては、各桁の白反射率は、10.38,10.34、10.44、10.86、11.39、11.40となり、平均は10.80となる。起動から2時間経過後の白反射率の変化率(%)は、−4.50、−4.28、4.71、7.56、3.67、−0.87、平均は0.91となる。すなわち、白反射率の変化率は、一般的に表示部を目視した場合に良好な表示が得られるとされる±5%以内に抑えられている。
図7(c)は、各桁における表示装置100の起動時の黒反射率と、起動から2時間経過後の黒反射率を示す。起動時においては、各桁の黒反射率は、1.58、1.53、1.50、1.58、1.53、1.70となり、平均は1.57となる。また起動から2時間経過後においては、各桁の黒反射率は、1.63、1.46、1.29、1.32、1.25、1.90となり、平均は1.47となる。したがって、起動から2時間経過後の黒反射率の変化率(%)2.88、−4.13、−14.07、−16.50、−18.09、11.76、平均−6.01%となり、一般的に表示部を目視した場合に良好な表示が得られるとされる±10%以内に抑えられている。
図7(d)は、各桁における表示装置100の起動時の白反射率の黒反射率による商であるコントラストと、起動から2時間経過後コントラストを示す。起動から2時間経過後の平均コントラスト変化率(%)は−9.62%となり、一般的に表示部を目視した場合に良好なコントラストが得られるとされる±10%以内に抑えられている。
図8(b)は、図8(a)に示すように、10時間桁、1時間桁、10分桁には、ツイストボール205を有する第1ツイストボール層203を用い、1分桁、10秒桁、1秒桁には、ツイストボール206を有する第2ツイストボール層204を用いた場合の白反射率を測定した結果を示す。
起動時においては、各桁の白反射率は、10.86、10.81、9.97、13.46、12.48、11.50となり、平均は11.51となる。また、起動から2時間後には、10.38、10.34、10.44、12.14、12.75、11.40となり、平均は11.24となる。起動から2時間経過後の白反射率の変化率(%)、−4.50、−4.28、4.71、−9.77、2.17、−0.87となり、平均は−2.35となり、となり、±5%以内に抑えられている。
図8(c)は、黒反射率の測定結果を示し、起動時においては、各桁において、1.58,1.53、1.50、1.84、1.89、1.70となり、平均は1.67となる。起動から2時間後には、1.63、1.46、1.29、2.27、2.20、1.90となり、平均は1.79となる。起動から2時間経過後の黒反射率の変化率(%)は、2.88、−4.13、−14.07、23.41,16.14、11.76となり、平均は7.05となる。となり、±10%以内に抑えられている。
図8(d)は、各桁における表示装置100の起動時のコントラストと、起動から2時間経過後のコントラストを示す。起動から2時間経過後の平均コントラスト変化率(%)は−6.24%となり、±10%以内に抑えられている。
全ての桁にツイストボール206を有する第2ツイストボール層204または全ての桁にツイストボール205を有する第1のツイストボール層203を用いた場合の白反射率と黒反射率との測定結果は、図9に示す通りである。
すなわち、図9(a)は、全ての桁にツイストボール206を有する第2ツイストボール層204を用いた場合の、各桁における、起動時の白反射率の測定結果を示す。各桁において、白反射率は13.46、12.48、11.57、13.46、12.48、11.50となり、平均は12.49となる。また、起動から2時間後においては、11.73、12.70、11.43、12.14、12.75、11.40となり、平均は12.93となる。起動から2時間経過後の白反射率の変化率(%)、−12.84、1.70、−1.22、−9.77、2.17、−0.87となり、平均は−3.74となる。
図9(b)は、この場合の、各桁における、起動時の黒反射率の測定結果を示す。各桁において、黒反射率は、1.84、1.89、2.12、1.84、1.89、1.70となり、平均は1.88となる。起動から2時間後においては、2.21、2.23、1.83、2.27、2.20、1.90となり、平均は、2.10となる。したがって、2時間の変化率(%)は、20.09、17.85、−13.97、23.41、16.14、11.76となり平均は11.93となる。したがって、変化率は10%を超えており、黒反射率が悪化している。
図9(e)は、この場合の、各桁における表示装置100の起動時の白反射率と黒反射率を除したコントラストと、起動から2時間経過後の白反射率と黒反射率を除したコントラストを示す。起動から2時間経過後の平均コントラスト変化率(%)は−14.06%となり、±10%の範囲を越えてコントラストが大きく変化している。
一方、図9(c)は、全ての桁にツイストボール205を有する第1ツイストボール層203を用いた場合の、各桁における、起動時の白反射率の測定結果を示す。各桁において、10.86、10.81、9.97、10.10、10.99、10.10となり、平均は10.47となる。起動から2時間経過後においては、10.38、10.34、10.44、10.86、11.39、10.13となり、平均は10.59となる。起動から2時間経過後の白反射率の変化率(%)、−4.50、−4.28、4.71、7.56、3.67、0.31となり、平均は1.14となる。
図9(d)は、この場合の、各桁における、起動時の黒反射率の測定結果を示す。各桁において、1.58、1.53、1.50、1.58、1.53、1.50となり、平均は1.54となる。起動から2時間経過後においては、1.63、1.46、1.29、1.32、1.25、1.60となり、平均は1.42となる。したがって、2時間の変化率(%)は、2.88、−4.13、−14.07、−16.50、−18.09、6.67となり、平均は−7.22となる。したがって、黒反射率の悪化は見られない。このことは、1秒桁以外の桁にツイストボール205を有する第1ツイストボール層203を用いても顕著な問題が発生しないことを意味する。
図9(f)は、この場合の、各桁における表示装置100の起動時コントラストと、起動から2時間経過後のコントラストを示す。起動から2時間経過後の平均コントラスト変化率(%)は−10.51%となり、±10%の範囲を越えてコントラストが変化している。