JP5737984B2 - 描画装置、および、物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子線で基板に描画を行う描画装置に関する。
近年、半導体集積回路などのデバイスの製造に用いられる描画装置は、素子の微細化、回路パターンの複雑化、またはパターンデータの大容量化が進み、描画精度の向上が要求されている。これを実現させる方法の1つとして、電子ビームなどの荷電粒子線を偏向させて、荷電粒子線の照射のON/OFFを制御することで所定の描画データを被処理基板の所定の位置に描画を行う描画装置が知られている。例えば、複数の荷電粒子線で基板に描画を行う描画装置は、電子銃のクロスオーバから発散した荷電粒子線を複数の荷電粒子線に分割、偏向、および結像させる光学系を有する。この光学系を構成する素子間では、好適に荷電粒子線を通過させるために、それぞれに形成されたアパーチャ(開口部)を正確に整列させることが望ましい。しかしながら、光学系における各素子の取り付け方だけでアパーチャを正確に整列させるようにするのには限界がある。そこで、特許文献1は、各電子ビームが基板上で所望の配置となるように、電子ビームの位置を調整する偏向器アレイ(補正電子光学系)を備えた電子ビーム露光装置を開示している。
特開平9−245708号公報
一般に、特許文献1に示すような偏向器アレイは、真空チャンバー内の光学系として設置され、一方、偏向器に電位を与える偏向アンプ部は、その真空チャンバーの外部に設置された電装ラックに配置される。したがって、偏向器アレイと偏向アンプ部とを接続する電気ケーブルの長さは、比較的長くなる。これに対して、荷電粒子線描画装置では、電子銃や電子レンズなどの駆動に高電圧を使用するため、このようにユニット間のケーブルの長さが長いと、誘導ノイズやスパイクノイズなどが乗りやすく、偏向精度に影響を及ぼす可能性がある。
本発明は、偏向器に与えられる電位の安定化に有利な描画装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、電粒子線で基板に描画を行う描画装置であって、荷電粒子線を偏向する電界を生成する電極対と、一端が電極対に電気的に接続され、かつ他端が接地されたコンデンサと、を含む偏向器と、線を介して電極対に直流電圧を印加する電位生成部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、例えば、偏向器に与えられる電位の安定化に有利な描画装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る荷電粒子線描画装置の構成を示す図である。 アライナ偏向器アレイの構成を示す図である。 アライナ偏向器の構成を示す図である。 荷電粒子線描画装置の本体部および制御部の設置構成を示す斜視図である。 従来のアライナ偏向器に関する制御系の構成を示す図である。 第1実施形態に係るアライナ偏向器に関する制御系を示す図である。 電極に配置したコンデンサの作用を説明する図である。 コンデンサの等価回路およびインピーダンス特性を示す図である。 他のアライナ偏向器の構成を示す図である。 第2実施形態に係るアライナ偏向器に関する制御系を示す図である。 第2実施形態に係るアライナ偏向器の制御系のチャート図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面等を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る荷電粒子線描画装置(以下、単に「描画装置」と表記する)について説明する。以下、各実施形態において説明する描画装置は、複数の電子ビーム(荷電粒子線)を偏向させ、電子ビームの照射のON/OFFを個別に制御することで、所定の描画データを被処理基板(被露光基板)の所定の位置に描画するマルチビーム方式を採用するものとする。ただし、本発明は、これに限らず、単数の電子ビームによる描画装置にも適用可能である。また、荷電粒子線は、本実施形態のような電子線に限定されず、イオン線などの他の荷電粒子線であってもよい。図1は、本実施形態に係る描画装置の構成を示す図である。なお、以下の各図において、被処理基板に対する電子ビームの照射方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内に互いに直交するX軸およびY軸を取っている。さらに、以下の各図では、図1と同一構成のものには同一の符号を付す。この描画装置1は、電子銃2と、該電子銃2のクロスオーバ3から発散した電子ビームを複数の電子ビームに分割、偏向、および結像させる光学系4と、被処理基板を保持する基板ステージ5と、描画装置1の各構成要素の動作などを制御する制御部6とを備える。なお、電子ビームは、大気圧雰囲気ではすぐに減衰し、また高電圧による放電を防止する意味もかねて、制御部6を除く上記構成要素は、真空チャンバー7内に設置され、特に電子銃2および光学系4の設置空間は、高い真空度に保たれている。また、被処理基板8は、例えば、単結晶シリコンからなるウエハであり、表面上には感光性のレジストが塗布されている。
電子銃2は、熱や電界の印加により電子ビームを放出する機構であり、図中、クロスオーバ3から放出された電子ビームの軌道9を点線で示している。光学系4は、電子銃2から基板ステージ5に向けて順に、コリメーターレンズ11、アパーチャアレイ12、第1静電レンズアレイ13、ブランキング偏向器アレイ14、ブランキングアパーチャアレイ15、偏向器アレイ16、第2静電レンズアレイ17を備える。コリメーターレンズ11は、電磁レンズで構成され、クロスオーバ3で発散した電子ビームを平行ビームとする光学素子である。アパーチャアレイ12は、マトリクス状に配列した複数の円形状の開口を有し、コリメーターレンズ11から入射した電子ビームを複数の電子ビームに分割する機構である。第1静電レンズアレイ13は、円形状の開口を有する3枚の電極板(図中、3枚の電極板を一体で示している)から構成され、ブランキングアパーチャアレイ15に対して電子ビームを結像させる光学素子である。ブランキング偏向器アレイ(ブランカーアレイ)14およびブランキングアパーチャアレイ15は、共にマトリクス状に配置され、各電子ビームの照射のON(非ブランキング状態)/OFF(ブランキング状態)動作を実施する機構である。特にブランキングアパーチャアレイ15は、第1静電レンズアレイ13が最初に電子ビームのクロスオーバを形成する位置に配置される。偏向器アレイ16は、基板ステージ5上に載置された被処理基板8の表面上の像をX方向に偏向する機構である。さらに、第2静電レンズアレイ17は、ブランキングアパーチャアレイ15を通過した電子ビームを被処理基板8に結像させる、または、後述する基板ステージ5上の電子ビーム検出器18に対して元のクロスオーバ3の像を結像させる光学素子である。
また、光学系4は、アライナ偏向器アレイ(静電偏向器アレイ)19を備える。このアライナ偏向器アレイ19は、例えば、次に示す3つの機能のいずれかを有する。第1の機能は、アパーチャアレイ12から射出した各電子ビームが第1静電レンズアレイ13の所定の位置に入射するように、各電子ビームを偏向させるものである。第2の機能は、第1静電レンズアレイ13から射出した各電子ビームがブランキング偏向器アレイ14の所定の位置に入射するように、各電子ビームを偏向するものである。さらに、第3の機能は、ブランキング偏向器アレイ14から射出した各電子ビームがブランキングアパーチャアレイ15の所定の位置に入射するように、各電子ビームを偏向するものである。すなわち、アライナ偏向器アレイ19は、任意の2つの電子線光学素子の間に配置され得るものであり、この2つの光学素子の間で電子ビームを偏向し、電子ビームの位置合わせを行うものとして利用され得る。特に、本実施形態の光学系4では、上記3つの機能を実現するために、図1に示すようにアライナ偏向器アレイ19を電子ビームの経路上に3箇所設置している。ただし、アライナ偏向器アレイ19は、電子ビームの経路上の少なくとも1箇所、または1つの電子ビームごと、もしくは複数の電子ビームごとに設置されていてもよい。
図2は、アライナ偏向器アレイ19の構成を示す図である。特に、図2(a)は、アライナ偏向器アレイ19全体の構成を示す斜視図である。ここで、ある1つのアライナ偏向器19(便宜上、アライナ偏向器アレイと同一符号を付す)は、電子ビームの軌道9を挟み込むように、X方向において対向する電極対(電極d1、d2)と、Y方向において対向する電極対(電極d3、d4)とを上下2段有する。アライナ偏向器19は、電位生成部29により各電極d1〜d4に対して所望の電位を与えることで電極d間に電位差を発生させ、この電位差に応じて電極d間を通過する電子ビームを偏向させることで軌道9を調整する。なお、本実施形態のアライナ偏向器19は、アライナ偏向器アレイ19に複数備えられ、1つの電極対で1つの電子ビームを偏向するものとしているが、1つの電極対で複数本の電子ビームを偏向するように構成してもよい。また、アライナ偏向器19は、電極d1〜d4の組と、その下部に位置する電極d1´〜d4´の組との2段構成としているが、1段のみの構成としてもよい。図2(b)は、各電極dに対応する電位指令値を決定するための構成に特化したアライナ偏向器19を含む光学系4および基板ステージ5の一部を示す図である。基板ステージ5は、その上面に設置された電子ビーム検出器18の受光面において、電子ビームの入射量(強度)を適宜抑えるための突起部(ナイフエッジ)40を有する。また、基板ステージ5の外部には、電子ビーム検出器18の位置を検出する位置検出器41が設置されている。
図3は、アライナ偏向器アレイ19を構成する1つのアライナ偏向器の構成を示す図である。特に、図3(a)は、アライナ偏向器19の斜視図である。このアライナ偏向器19は、各電極d(図3ではd1〜d4を示す)の裏面、すなわち、電子ビームが通過する面の反対面にそれぞれコンデンサ50を有する。図3(b)は、コンデンサ50の構成を示す分解斜視図である。このコンデンサ50は、複数の誘電体52と薄膜電極53と交互に配置する積層構造とした積層コンデンサである。一般に、コンデンサの静電容量は、薄膜電極53の面積に比例し、かつ、誘電体52の比誘電率に比例する。そこで、誘電体52の表面積は、電極dの反対面の表面積と合う(同等とする)ことが望ましい。図3(c)は、電極d(d2)の裏面に設置したコンデンサ50の構成を示す断面図である。コンデンサ50を構成する誘電体52と薄膜電極53との積層部は、電極dとアース電極(アース)51とに挟まれる。また、薄膜電極53は、Z方向上下に設置された電極支持部材54にて保持される。この場合、Z方向上部の電極支持部材54は、電極d側に接続されており、一方、Z方向下部の電極支持部材54は、アース電極51側に接続(接地)される。図3(d)は、コンデンサ50の等価回路を示す図である。コンデンサ50は、その一端がアライナ偏向器19の電極dに接続され、一方、他端がアース電極51に接続される。
基板ステージ5は、被処理基板8を、例えば静電吸着により保持しつつ、XY平面内を電子ビームの照射位置に対して適宜移動可能であり、その位置は、不図示のレーザー測長器などにより実時間で計測される。また、基板ステージ5は、上述のとおり、アライナ偏向器アレイ19に対して与える電位に関連し、電子ビームの位置を検出する電子ビーム検出器18を設置している。なお、この電子ビーム検出器18は、本実施形態では基板ステージ5に設置する構成としているが、例えば、電子ビームの経路上の1箇所以上に挿入可能に構成されていてもよい。さらに、電子ビーム検出器18は、基板ステージ5上に限られず、別途専用のステージに設置してもよい。
制御部6は、描画装置1の描画に関わる各構成要素の動作を制御する各種制御回路と、各制御部を統括する主制御部20とを有する。各制御回路として、まず、第1レンズ制御部21は、コリメーターレンズ11および第1静電レンズアレイ13の動作を制御し、また、第2レンズ制御部22は、第2静電レンズアレイ17の動作を制御する。ブランキング制御部23は、描画パターン生成部24、ビットマップ変換部25およびブランキング指令生成部26により生成されるブランキング信号に基づいて、ブランキング偏向器アレイ14の動作を制御する。ここで、描画パターン生成部24は、描画パターンを生成し、この描画パターンは、ビットマップ変換部25によりビットマップデータに変換される。ブランキング指令生成部26は、このビットマップデータに基づいて上記ブランキング信号を生成する。偏向アンプ部27は、偏向信号生成部28により生成される偏向信号に基づいて、偏向器アレイ16の動作を制御する。電位生成部29は、偏向に必要な電位を与えることでアライナ偏向器アレイ19の動作を制御する。この電位生成部29に対する電位指令値は、電子ビーム検出器18の出力に基づいて電位指令部30が決定する。ステージ制御部31は、基板ステージ5のXY方向の駆動を制御する。このステージ制御部31は、パターン描画中は、被処理基板8(基板ステージ5)をY方向に連続的にスキャンさせる。このとき、偏向器アレイ16は、レーザー測長器などの基板ステージ5の測長結果を基準として、被処理基板8の表面上の像をX方向に偏向させる。そして、ブランキング偏向器アレイ14は、被処理基板8上で目標線量が得られるように電子ビームの照射のON/OFFを実施する。
ここで、図2(b)を参照して、アライナ偏向器アレイ19の各電極dに与える電位指令値の算出方法について説明する。まず、ステージ制御部31は、突起部40の先端部が第1静電レンズアレイ13の中心軸と一致するように予め基板ステージ5を移動させておく。次に、電位生成部29は、電子ビームの照射状態にてアライナ偏向器19の各電極dに与える電圧を振り、このときに電子ビーム検出器18から得られる電子ビームの強度との関係を求める。ここで、電極d間を通過する電子ビームが第1静電レンズアレイ13中の静電レンズの中心に入射すれば、突起部40により電子ビームの強度が50%で出力されるので、電位指令部30は、各電極dに対応する電位指令値を決定することができる。なお、この電位指令値は、電子ビームの位置計測によらずに、計算により求めてもよい。例えば、電位指令部30は、各電子線光学素子を含む光学系4の製造情報(各素子の寸法や配置など)や電子ビームの強度の情報に基づいて、予め電位指令値を算出してもよい。
次に、描画装置1の作用について説明する。図4は、描画装置1の本体部および制御部6の設置構成を示す斜視図である。ここで、本図では不図示であるが、アライナ偏向器アレイ19は、光学系4の構成要素として他の電子線光学素子とともに真空チャンバー7(7a)内に収容されている。また、制御部6を構成する主制御部20を始め、例えば第1レンズ制御部21および電位生成部29は、真空チャンバー7とは別に設置される筐体60に収納されている。特に、アライナ偏向器アレイ19と電位生成部29との間の信号伝送は、真空チャンバー7aに構成される真空フィードスルーコネクタ(真空フィードスルー)61aと、筐体60に構成されるコネクタ62aとを介して行われる。この真空フィードスルーコネクタ61aとコネクタ62aとは、アライナ偏向器19の電位指令を伝送する偏向器制御ケーブル(線)63により接続されている。同様に、コリメーターレンズ11と第1レンズ制御部21との間の信号伝送も、真空チャンバー7bに構成される真空フィードスルーコネクタ61bと、筐体60に構成されるコネクタ62bとを介したレンズ制御ケーブル64にて行われる。このとき、レンズ制御ケーブル64を介して第1レンズ制御部21から伝送される電圧は、高電圧(数kV)である。したがって、第1レンズ制御部21の近傍に敷設された偏向器制御ケーブル63の長さが長いと、この偏向器制御ケーブル63を伝わる信号に誘導ノイズやスパイクノイズなどが乗りやすくなり、偏向精度に影響が生じる場合がある。
次に、アライナ偏向器アレイ19に関する制御系について説明する。図5は、アライナ偏向器アレイに関する従来の制御系の構成を示す図である。なお、ここでは、便宜上各構成要素に対して描画装置1の構成要素と類似部分には同一の符号を付す。電位生成部29は、アライナ偏向器アレイ19を構成する電極に電位を与えるデバイスとしてD/Aコンバータ(デジタル−アナログ変換器)70を含む。このD/Aコンバータ70は、電位指令部30からの指令電位値に対応した電位を生成する。この場合、電位を与えるデバイスの数とアライナ偏向器アレイ19中の電極の数とは同じである。これに対して、本実施形態では、アライナ偏向器19を構成する各電極dにコンデンサ50を設置する。図6は、アライナ偏向器アレイ19に関する制御系の構成を示す図である。上述のとおり、このコンデンサ50の一端は、アライナ偏向器19の電極dに接続され、他端は、アース電極51に接続される。コンデンサ50は、直流インピーダンスが無限大となるので直流電流を流さず、交流(ノイズ)を流す性質がある。
図7は、コンデンサ50の作用を示す図である。特に、図7(a)は、コンデンサ50によるノイズ除去に関する図である。上述のとおり、偏向器制御ケーブル63の長さが長いと、この偏向器制御ケーブル63を伝わる信号に誘導ノイズやスパイクノイズなどが乗りやすい。これに対して、電位生成部29は、アライナ偏向器19に対して偏向電圧としてDCバイアス電圧を与えるので、直流の負荷電流は、電極dに向かって流れ、一方、交流のノイズ電流は、コンデンサ50を通過してアース電極51に向かって流れる。したがって、コンデンサ50により負荷電流からノイズ成分を除去し、電位を安定化させることができる。一方、図7(b)は、コンデンサ50による負荷電流バックアップに関する図である。例えば、なんらかの理由でアライナ偏向器19に大きな負荷電流が必要となった場合には、D/Aコンバータ70からの負荷電流に加えて、コンデンサ50が電流(放電電流)を放電すれば、負荷電流をバックアップすることができる。また、これによりアライナ偏向器19の電位を安定化させることができるという利点もある。
図8は、コンデンサの等価回路およびインピーダンス特性を示す図である。特に、図8(a)は、コンデンサの等価回路を示す図である。一般にコンデンサは、微小ながらも電気抵抗分やインダクタンス成分を含んでいる。これをESR(等価直列抵抗)、ESL(等価直列インダクタンス)いう。一方、図8(b)は、コンデンサのインピーダンス特性を模式的に示すグラフであり、横軸の周波数(kHz)に対して縦軸にインピーダンス(Ω)を取っている。ここで、本実施形態のようにコンデンサ50でノイズを効果的に除去するためには、インピーダンスを下げる必要がある。そこで、図8(b)を参照すると、図中点線の矢印で示すように、静電容量を大きくし、ESRを小さくし、かつ、ESLを小さくすれば、コンデンサ50のインピーダンスを下げることができる。なお、ESRの値は、コンデンサの材料、構成、または形状などにより決定される。
また、図3の各図に示すアライナ偏向器19の構成を参照すると、まず、アライナ偏向器19は、各電極dの裏面にそれぞれコンデンサ50を配置している。このように、コンデンサ50を電極dの裏面に直接配置することで、電極dとコンデンサ50との間の配線長が最短となる。したがって、この間の抵抗が可能な限り減り、ノイズ除去特性を向上させることができる。また、コンデンサ50は、積層構造を採用することでESRの値を小さくし、かつ、静電容量を大きくすることができる。また、コンデンサ50は、薄膜電極53に挟まれた複数の誘電体52をそれぞれ並列に配置するので、積層数に比例して静電容量を増やすことができる。さらに、誘電体52および薄膜電極53の厚みを可能な限り薄くすれば、所定の寸法(厚み)での積層数を増やすことができる。
ここで、一般に誘電体には、比誘電率が1000以上と高いのに対して損失が大きい強誘電体と、比誘電率が約100以下と低いのに対して損失が小さい常誘電体とがある。このうち、強誘電体であるチタン酸バリウムなどは、DCバイアスを印加すると静電容量がバイアスと共に変化する性質を有する。この性質は、「DCバイアス特性」と呼ばれ、自発分極を有する強誘電性セラミックスに特有の現象である。したがって、本実施形態では、アライナ偏向器19に対して偏向電圧としてDCバイアス電圧を与えるため、誘電体52としては、常誘電体を採用することが望ましい。このような常誘電体としては、例えば、比誘電率10程度のアルミナなどが採用可能である。
以上のように、本実施形態によれば、偏向器に与える電位の安定化に有利な荷電粒子線描画装置を提供することができる。
なお、アライナ偏向器19の電極dに設置するコンデンサの構成は、コンデンサ50のような電極dと同等の面積を有する薄膜を積層したものに限定しない。図9は、電極dに設置するコンデンサの他の例を示す図である。特に、図9(a)は、電極d(d2)の裏面に設置したコンデンサ55を示す斜視図、一方、図9(b)は、その分解図である。このコンデンサ55は、電極dの裏面に対して複数設置したチップコンデンサであり、例えば積層セラミックチップコンデンサなどが採用可能である。この積層セラミックチップコンデンサを構成する誘電体は、厚さが数ミクロンで面積が小さいものの、静電容量が比較的大きい。したがって、このようなコンデンサ55を採用することでも、コンデンサ50と同様に静電容量を大きくすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る描画装置について説明する。図10は、本実施形態に係るアライナ偏向器アレイ19に関する制御系の構成を示す図である。本実施形態の描画装置の特徴は、第1実施形態のアライナ偏向器アレイ19に関する制御系の構成において、電位生成部29にサンプルホールド回路を配置する点にある。サンプルホールド回路は、コンデンサに電荷が蓄えられて電圧が保持されることを応用した回路であり、特にアライナ偏向器アレイ19の各電極dに静電容量の大きなコンデンサ50をホールドコンデンサとして採用することで配置可能となる。例えば、図10に示す電位生成部(生成部)29は、1つのD/Aコンバータ70と、一端がD/Aコンバータ70に接続され、他端が各アライナ偏向器19に向かう偏向器制御ケーブル63に接続されるスイッチング素子80(切替部)とを含む。スイッチング素子80は、一例として4つのスイッチSW1〜SW4を含み、スイッチ切替指令部81によりそれぞれON/OFFが切り替えられる。この場合、まず、電位指令部30は、D/Aコンバータ70に対して時分割で電位指令を送信する。一方、スイッチ切替指令部81は、スイッチング素子80に含まれる各スイッチSW1〜SW4に対して切替指令を送信してON/OFFの切り替えを実施させることで、各アライナ偏向器19の電極def1〜def4に適宜電位を与える。ここで、図10では、各電極def1〜def4への負荷電位をそれぞれ電位V1〜V4と表記し、また、各アライナ偏向器19に設置されたコンデンサ50をそれぞれコンデンサC1〜C4と表記している。
図11は、本実施形態のアライナ偏向器アレイ19に関する制御系の動作を示すチャート図(タイミングチャート)である。なお、図11は、図10に示す4つのアライナ偏向器19の電極def1〜def4に対応するものであり、図中各電極def1〜def4に設定する電位データ(電位指令)をそれぞれdata1〜data4と表記している。例えば、まず、電位指令部30は、電極def1に設定する電位データ(data1)をD/Aコンバータ70に送信し、一方、スイッチ切替指令部81は、スイッチSW1をON(サンプル)することで、電極def1に対して電位V1を与える。次に、電位指令部30は、電極def2に設定する電位データ(data2)をD/Aコンバータ70に送信する。一方、スイッチ切替指令部81は、スイッチSW1をOFF(ホールド)すると同時に、スイッチSW2をONすることで、電極def2に対して電位V2を与える。ここで、電極def1における電位V1は、コンデンサC1に蓄積された電荷により一定にホールドされる。このとき、電極def1では、コンデンサのリーク電流などに起因し、いわゆる「ドループ」と呼ばれるホールドされた電位V1が次第に下がっていく現象(電圧低下ΔV)が起こる。この電圧低下量は、コンデンサC1の静電容量が大きければ大きいほど、小さな値に抑えることができる。そこで、本実施形態では、コンデンサC1〜C4の各静電容量は、低下した電圧が電極def1〜def4の仕様を満たすように決定される。なお、一旦低下した電圧は、再びスイッチSW1がONされることで回復する。このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、アライナ偏向器アレイ19に含まれる電極d(def)の総数に対して、電位を与えるデバイス(D/Aコンバータ70)の総数を大幅に削減することができる。したがって、描画装置1は、コストダウン、さらには省スペース化を可能とする。
(物品の製造方法)
本発明の実施形態に係る物品の製造方法は、例えば、半導体デバイスなどのマイクロデバイスや微細構造を有する素子などの物品を製造するのに好適である。該製造方法は、感光剤が塗布された基板の該感光剤に上記の描画装置を用いて潜像パターンを形成する工程(基板に描画を行う工程)と、該工程で潜像パターンが形成された基板を現像する工程とを含み得る。さらに、該製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージングなど)を含み得る。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
1 描画装置
5 被処理基板
19 アライナ偏向器(アレイ)
50 コンデンサ
51 アース電極
d 電極

Claims (7)

  1. 電粒子線で基板に描画を行う描画装置であって、
    前記荷電粒子線を偏向する電界を生成する電極対と、一端が前記電極対に電気的に接続され、かつ他端が接地されたコンデンサと、を含む偏向器と、
    線を介して前記電極対に直流電圧を印加する電位生成部と、
    を有することを特徴とする描画装置。
  2. 前記コンデンサは、電極と誘電体とが交互に積層されてなる積層構造を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
  3. 前記電極対を構成する電極が、前記コンデンサの一端の電極を兼ねている、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の描画装置。
  4. 前記誘電体は、常誘電体である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の描画装置。
  5. 前記コンデンサを2つ有し、前記電極対を構成する電極のそれぞれに前記コンデンサが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の描画装置。
  6. 複数の前記偏向器と、
    所定時間毎に、前記電圧の印加先を、複数の前記偏向器のそれぞれの前記電極対に切り替える切替部と、を有し、
    前記コンデンサは、前記コンデンサと接続されている電極対と前記電位生成部とが接続されていない間に、前記切替部を介して前記電位生成部から与えられた前記直流電圧の低下を抑える、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の描画装置。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の描画装置を用いて基板に描画を行う工程と、
    前記工程で描画行われた基板を現像する工程と、
    を含むことを特徴とする物品の製造方法。
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